携帯端末
【課題】板バネのサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷による板バネの過剰な変形を防いで電子部品の電気的接続を安定させる。
【解決手段】携帯電話機(携帯端末)において、プリント基板6上に板バネ10を配置し、この板バネ10に板バネ接触部11が圧接することにより、スピーカ7をプリント基板6に接続させる。スピーカ7がプリント基板6に取り付けられたときに、プリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1を板バネ10の自由高さh2よりも小さくする。板バネ10の周囲に、この隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低い突起部12を設け、この突起部12により、スピーカ7が押し込まれたときの板バネ10の変形を制限する。
【解決手段】携帯電話機(携帯端末)において、プリント基板6上に板バネ10を配置し、この板バネ10に板バネ接触部11が圧接することにより、スピーカ7をプリント基板6に接続させる。スピーカ7がプリント基板6に取り付けられたときに、プリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1を板バネ10の自由高さh2よりも小さくする。板バネ10の周囲に、この隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低い突起部12を設け、この突起部12により、スピーカ7が押し込まれたときの板バネ10の変形を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板と、このプリント基板上に配置された板バネと、この板バネに板バネ接触部が圧接することにより、このプリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の半田付けを行わずに圧接により電気的に接続する電子部品の接続構造では、板バネの厚さを厚くすることにより、組付時、落下時等の外部からの衝撃に対して塑性変形を防いで電気的接続を確保するようにしている。
【0003】
また、例えば特許文献1では、回路基板の給電部に接触する板バネをゴムホルダの凹部に収容し、この凹部よりも突出する接地部を給電部に当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話機などの携帯端末において、携帯性やデザイン性の向上のために、板バネのサイズや厚さを小さくする必要がある。
【0006】
上記特許文献1のように電子部品側に板バネを設ける場合には、電子部品に板バネを収容する凹部を設けることも可能であるが、プリント基板上に板バネを設ける場合、凹部を設けることにより板バネに加わる荷重を制限することができず、板バネに過剰な負荷がかかって塑性変形し、電子部品との電気的接続が十分に行えないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板バネのサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷によって板バネが過剰に変形するのを防いで電子部品の電気的接続を安定させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、板バネの過剰な変形を防ぐ突起をプリント基板に設けるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、プリント基板と、該プリント基板上に配置された板バネと、該板バネに板バネ接触部が圧接することにより該プリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末を前提とする。
【0010】
そして、上記携帯端末は、
上記電子部品が上記プリント基板に取り付けられたときに、該プリント基板の表面と上記板バネ接触部との間の隙間は、上記板バネの自由高さよりも小さく、
上記板バネの周囲には、上記隙間よりも上記プリント基板の表面からの高さが低く、上記電子部品が押し込まれたときに、上記板バネの変形を制限する突起部が設けられている。
【0011】
上記の構成によると、電子部品をプリント基板に取り付ける際に必要以上に電子部品をプリント基板に押し付けてしまっても、突起部が、板バネが過剰に変形するのを防ぐので、板バネの弾性が維持され、電子部品とプリント基板との間の電気的接続が確保される。また、突起部は、プリント基板の表面と板バネ接触部との間の隙間に設けられるので、余分なスペースを必要とせず、また、板バネのサイズや厚さを大きくする必要がない。さらに、プリント基板側に突起部を設けているので、電子部品側の厚さが増えない。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記板バネは、対向して一対設けられ、
上記一対の板バネ間に上記突起部が配置されている。
【0013】
上記の構成によると、一対の板バネ間の空いたスペースに突起部を配置できるので、余分なスペースを必要とせず、かつ、1つの突起部で一対の板バネの過剰な変形が防止される。
【0014】
第3の発明では、第1の発明において、
上記電子部品は、一対の板バネ接触部を有するスピーカである。
【0015】
上記の構成によると、スピーカ側に突起部を設ける必要がなく、コンパクトなスピーカのままで確実にプリント基板と電気的接続が可能となる。
【0016】
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記板バネは、先端が三又に分かれ、該三又のうち中央の部分が上記プリント基板から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端が上記プリント基板に向かって湾曲している。
【0017】
上記の構成によると、三又のうちの中央部分のみが電子部品の板バネ接触部に当接するので、強度を確保しにくいが、突起部により、中央部分の過剰な変形が防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、板バネの周囲にプリント基板の表面と板バネ接触部との間の隙間よりもプリント基板の表面からの高さが低い突起部を設けたことにより、板バネのサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷による板バネの過剰な変形を防いで電子部品の電気的接続を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態にかかる携帯端末の一対の板バネ及び突起部を拡大して示す斜視図である。
【図2】閉じ状態の携帯電話機を正面側から見た斜視図である。
【図3】開き状態の携帯電話機を正面側から見た斜視図である。
【図4】閉じ状態の携帯電話機を背面側から見た斜視図である。
【図5】第2の筐体の背面側キャビネットを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】スピーカのバネ接触部側を拡大して示す斜視図である。
【図7】板バネがバネ接触部に接続された様子を示す拡大側面図である。
【図8】試験1の結果を示す表である。
【図9】試験2の結果を示す表である。
【図10】試験3の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図2〜図4は本発明の実施形態の携帯端末としてのスライド式携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、表面側に表示部2を有する第1の筐体3が、表面下側に操作部4を有する第2の筐体5に重なる閉じ状態(図1及び図2に示す)と、第1の筐体3が第2の筐体5上をスライドして第2の筐体5の操作部4が露出する開き状態(図3に示す)とで切り換え可能に構成されている。なお、携帯電話機1は、第1の筐体と第2の筐体とが一体のストレートタイプの携帯電話機や、第1の筐体が第2の筐体に対して折り畳まれる折り畳み式携帯電話機であってもよい。
【0022】
第2の筐体5は、正面側キャビネット5aと、背面側キャビネット5bとを有する。図5に示すように、背面側キャビネット5bを取り外すと、内部のプリント基板6が露出する。このプリント基板6上には、電子部品としてのスピーカ7を接続するための一対の板バネ10が向かい合わせに貼り付けされている。なお、プリント基板6の上側には、カメラ8が配置され、下側には、バッテリ9が装着されている。
【0023】
スピーカ7は、図6にも示すように、携帯電話機1の厚みをおさえるために、凹凸の少ない矩形薄型板状であり、プリント基板6側に一対の板バネ接触部11が設けられている。これら一対の板バネ接触部11が一対の板バネ10に圧接することにより、プリント基板6に電気的に接続され、音声が出力されるようになっている。
【0024】
そして、図1に拡大して示すように、板バネ10は、例えば、板厚0.1mmのSUS301よりなり、先端が三又に分かれ、三又のうち中央部分10aがプリント基板6から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端10bがプリント基板6に向かって湾曲している。
【0025】
図7に示すように、スピーカ7がプリント基板6に取り付けられたときに、プリント基板6の表面(板バネ取付面6a)と板バネ接触部11との間の隙間h1は、板バネ10の自由高さh2よりも小さくなっている(h1<h2)。
【0026】
そして、本発明の特徴として、一対の板バネ10間のプリント基板6の表面には、例えば、円柱状の突起部12が設けられている。この突起部12は、隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低くなっている(h3<h1)。突起部12の形状は特に限定されず、円筒状、円錐状、半球状などでもよい。この突起部12により、スピーカ7が板バネ10側へ押し込まれたときに、板バネ10が過剰に変形するのを防ぐ役割を果たす。
【0027】
本実施形態では、板バネ10の厚さが極めて薄く、しかも三又のうちの中央部分10aのみがスピーカ7の板バネ接触部11に当接するので、強度を確保しにくい。しかし、スピーカ7をプリント基板6に取り付ける際に必要以上にスピーカ7をプリント基板6に押し付けてしまったり、携帯電話機1の落下時の衝撃でスピーカ7に荷重が加わっても、突起部12が、スピーカ7に当接して板バネ10が過剰に変形するのを防ぐので、スピーカ7とプリント基板6との間の電気的接続が確保される。
【0028】
また、突起部12は、プリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1に設けられるので、余分なスペースを必要とせず、また、板バネ10のサイズや厚さを大きくする必要がない。しかも、1つの突起部12で一対の板バネ10の過剰な変形が防止されるので、突起部12を複数設ける必要がない。
【0029】
そして、スピーカ7側に突起部12を設ける必要がなく、コンパクトで薄いスピーカ7のままで確実にプリント基板6と電気的接続が可能となる。
【0030】
−板バネの特性試験−
次に、本実施形態にかかる板バネ10の特性試験について説明する。
【0031】
板バネ10は、サイズをできるだけ小さくすると共に、板厚を薄くしているので、従来の厚さの厚い板バネよりも過剰な変形により弾性がなくなりやすくなっている。この板バネ10の特性と、突起部12の効果を調べるために特性試験を行った。
【0032】
(試験1)板バネ10を中央部分10aがプリント基板6の表面に底当たりするまで押し込んだ後、押圧を開放する動作を10サイクル実施する。
【0033】
(試験2)板バネ10を底当たりするまで押し込んだのち押圧を開放する動作を初回のみ実施する。次いで、板バネ10の高さh1が0.45mmになるまで押圧し、開放する動作を9サイクル実施する。
【0034】
(試験3)板バネ10の高さh1が0.45mmになるまで押圧し、開放する動作を10サイクル実施する。
【0035】
これら試験1〜3を行ったときの自由高さh2、変位量、荷重の大きさをそれぞれ図8〜図10に示す表にまとめた。
【0036】
試験1においては、底当たりまで押し下げると、図8に示すように、初回と比べ2回目以降は、自由高さh2が平均約0.15mm減少し、荷重が平均約3%減少した。
【0037】
試験2において、一度底当たりまで押し下げてしまうと、図9に示すように、自由高さが平均約0.16mm減少することがわかった。
【0038】
すなわち、試験1及び2からわかるように、一度でも底当たりしてしまうと、板バネ10が過剰に変形して約0.15mm自由高さh2が減少し、荷重も低下することから、スピーカ7との接触が不十分になることがわかる。
【0039】
試験3において、自由高さh2から0.45mmまで押し下げると、図10に示すように、自由高さh2が平均で約0.11mm減少することがわかった。一方で、荷重平均値は、3%減ったものの依然として弾性を有しているので、減少後の自由高さh2よりも隙間h1の大きさを小さく、突起部12の高さh3を0.45mm以上にすることで、スピーカ7との電気的接続を確保することができることがわかった。
【0040】
したがって、本実施形態にかかる携帯電話機1によると、板バネ10の周囲にプリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低い突起部12を設けたことにより、板バネ10のサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷による板バネ10の過剰な変形を防いでスピーカ7の電気的接続を安定させることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
すなわち、上記実施形態では、板バネ10の形状は、先端が三又に分かれているものとしたが、その形状は特に限定されず、板板10の先端全体が板バネ接触部11に当接してもよい。
【0043】
上記実施形態では、電子部品は、スピーカ7としたが、これに限定されず、プリント基板6上に取り付け可能な電子部品であればよい。例えば、バイブレーター、レシーバー等でもよい。
【0044】
上記実施形態では、板バネ20を一対設けたが、1つだけ設けてもよい。この場合には、板バネ20の自由端側近傍に突起部を12設ければよい。
【0045】
上記実施形態では、プリント基板6側に突起部
上記実施形態では、携帯端末は、携帯電話機1としたが、PHS(Personal Handy-phone System )、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、パソコン、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤー等スピーカを有するものであれば、特に制限されない。
【0046】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 表示部
3 第1の筐体
4 操作部
5 第2の筐体
5a 正面側キャビネット
5b 背面側キャビネット
6 プリント基板
6a 板バネ取付面
7 スピーカ
8 カメラ
9 バッテリ
10 板バネ
10a 中央部分
10b 先端
11 板バネ接触部
12 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板と、このプリント基板上に配置された板バネと、この板バネに板バネ接触部が圧接することにより、このプリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の半田付けを行わずに圧接により電気的に接続する電子部品の接続構造では、板バネの厚さを厚くすることにより、組付時、落下時等の外部からの衝撃に対して塑性変形を防いで電気的接続を確保するようにしている。
【0003】
また、例えば特許文献1では、回路基板の給電部に接触する板バネをゴムホルダの凹部に収容し、この凹部よりも突出する接地部を給電部に当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話機などの携帯端末において、携帯性やデザイン性の向上のために、板バネのサイズや厚さを小さくする必要がある。
【0006】
上記特許文献1のように電子部品側に板バネを設ける場合には、電子部品に板バネを収容する凹部を設けることも可能であるが、プリント基板上に板バネを設ける場合、凹部を設けることにより板バネに加わる荷重を制限することができず、板バネに過剰な負荷がかかって塑性変形し、電子部品との電気的接続が十分に行えないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板バネのサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷によって板バネが過剰に変形するのを防いで電子部品の電気的接続を安定させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、板バネの過剰な変形を防ぐ突起をプリント基板に設けるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、プリント基板と、該プリント基板上に配置された板バネと、該板バネに板バネ接触部が圧接することにより該プリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末を前提とする。
【0010】
そして、上記携帯端末は、
上記電子部品が上記プリント基板に取り付けられたときに、該プリント基板の表面と上記板バネ接触部との間の隙間は、上記板バネの自由高さよりも小さく、
上記板バネの周囲には、上記隙間よりも上記プリント基板の表面からの高さが低く、上記電子部品が押し込まれたときに、上記板バネの変形を制限する突起部が設けられている。
【0011】
上記の構成によると、電子部品をプリント基板に取り付ける際に必要以上に電子部品をプリント基板に押し付けてしまっても、突起部が、板バネが過剰に変形するのを防ぐので、板バネの弾性が維持され、電子部品とプリント基板との間の電気的接続が確保される。また、突起部は、プリント基板の表面と板バネ接触部との間の隙間に設けられるので、余分なスペースを必要とせず、また、板バネのサイズや厚さを大きくする必要がない。さらに、プリント基板側に突起部を設けているので、電子部品側の厚さが増えない。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記板バネは、対向して一対設けられ、
上記一対の板バネ間に上記突起部が配置されている。
【0013】
上記の構成によると、一対の板バネ間の空いたスペースに突起部を配置できるので、余分なスペースを必要とせず、かつ、1つの突起部で一対の板バネの過剰な変形が防止される。
【0014】
第3の発明では、第1の発明において、
上記電子部品は、一対の板バネ接触部を有するスピーカである。
【0015】
上記の構成によると、スピーカ側に突起部を設ける必要がなく、コンパクトなスピーカのままで確実にプリント基板と電気的接続が可能となる。
【0016】
第4の発明では、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、
上記板バネは、先端が三又に分かれ、該三又のうち中央の部分が上記プリント基板から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端が上記プリント基板に向かって湾曲している。
【0017】
上記の構成によると、三又のうちの中央部分のみが電子部品の板バネ接触部に当接するので、強度を確保しにくいが、突起部により、中央部分の過剰な変形が防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、板バネの周囲にプリント基板の表面と板バネ接触部との間の隙間よりもプリント基板の表面からの高さが低い突起部を設けたことにより、板バネのサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷による板バネの過剰な変形を防いで電子部品の電気的接続を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態にかかる携帯端末の一対の板バネ及び突起部を拡大して示す斜視図である。
【図2】閉じ状態の携帯電話機を正面側から見た斜視図である。
【図3】開き状態の携帯電話機を正面側から見た斜視図である。
【図4】閉じ状態の携帯電話機を背面側から見た斜視図である。
【図5】第2の筐体の背面側キャビネットを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】スピーカのバネ接触部側を拡大して示す斜視図である。
【図7】板バネがバネ接触部に接続された様子を示す拡大側面図である。
【図8】試験1の結果を示す表である。
【図9】試験2の結果を示す表である。
【図10】試験3の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図2〜図4は本発明の実施形態の携帯端末としてのスライド式携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、表面側に表示部2を有する第1の筐体3が、表面下側に操作部4を有する第2の筐体5に重なる閉じ状態(図1及び図2に示す)と、第1の筐体3が第2の筐体5上をスライドして第2の筐体5の操作部4が露出する開き状態(図3に示す)とで切り換え可能に構成されている。なお、携帯電話機1は、第1の筐体と第2の筐体とが一体のストレートタイプの携帯電話機や、第1の筐体が第2の筐体に対して折り畳まれる折り畳み式携帯電話機であってもよい。
【0022】
第2の筐体5は、正面側キャビネット5aと、背面側キャビネット5bとを有する。図5に示すように、背面側キャビネット5bを取り外すと、内部のプリント基板6が露出する。このプリント基板6上には、電子部品としてのスピーカ7を接続するための一対の板バネ10が向かい合わせに貼り付けされている。なお、プリント基板6の上側には、カメラ8が配置され、下側には、バッテリ9が装着されている。
【0023】
スピーカ7は、図6にも示すように、携帯電話機1の厚みをおさえるために、凹凸の少ない矩形薄型板状であり、プリント基板6側に一対の板バネ接触部11が設けられている。これら一対の板バネ接触部11が一対の板バネ10に圧接することにより、プリント基板6に電気的に接続され、音声が出力されるようになっている。
【0024】
そして、図1に拡大して示すように、板バネ10は、例えば、板厚0.1mmのSUS301よりなり、先端が三又に分かれ、三又のうち中央部分10aがプリント基板6から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端10bがプリント基板6に向かって湾曲している。
【0025】
図7に示すように、スピーカ7がプリント基板6に取り付けられたときに、プリント基板6の表面(板バネ取付面6a)と板バネ接触部11との間の隙間h1は、板バネ10の自由高さh2よりも小さくなっている(h1<h2)。
【0026】
そして、本発明の特徴として、一対の板バネ10間のプリント基板6の表面には、例えば、円柱状の突起部12が設けられている。この突起部12は、隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低くなっている(h3<h1)。突起部12の形状は特に限定されず、円筒状、円錐状、半球状などでもよい。この突起部12により、スピーカ7が板バネ10側へ押し込まれたときに、板バネ10が過剰に変形するのを防ぐ役割を果たす。
【0027】
本実施形態では、板バネ10の厚さが極めて薄く、しかも三又のうちの中央部分10aのみがスピーカ7の板バネ接触部11に当接するので、強度を確保しにくい。しかし、スピーカ7をプリント基板6に取り付ける際に必要以上にスピーカ7をプリント基板6に押し付けてしまったり、携帯電話機1の落下時の衝撃でスピーカ7に荷重が加わっても、突起部12が、スピーカ7に当接して板バネ10が過剰に変形するのを防ぐので、スピーカ7とプリント基板6との間の電気的接続が確保される。
【0028】
また、突起部12は、プリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1に設けられるので、余分なスペースを必要とせず、また、板バネ10のサイズや厚さを大きくする必要がない。しかも、1つの突起部12で一対の板バネ10の過剰な変形が防止されるので、突起部12を複数設ける必要がない。
【0029】
そして、スピーカ7側に突起部12を設ける必要がなく、コンパクトで薄いスピーカ7のままで確実にプリント基板6と電気的接続が可能となる。
【0030】
−板バネの特性試験−
次に、本実施形態にかかる板バネ10の特性試験について説明する。
【0031】
板バネ10は、サイズをできるだけ小さくすると共に、板厚を薄くしているので、従来の厚さの厚い板バネよりも過剰な変形により弾性がなくなりやすくなっている。この板バネ10の特性と、突起部12の効果を調べるために特性試験を行った。
【0032】
(試験1)板バネ10を中央部分10aがプリント基板6の表面に底当たりするまで押し込んだ後、押圧を開放する動作を10サイクル実施する。
【0033】
(試験2)板バネ10を底当たりするまで押し込んだのち押圧を開放する動作を初回のみ実施する。次いで、板バネ10の高さh1が0.45mmになるまで押圧し、開放する動作を9サイクル実施する。
【0034】
(試験3)板バネ10の高さh1が0.45mmになるまで押圧し、開放する動作を10サイクル実施する。
【0035】
これら試験1〜3を行ったときの自由高さh2、変位量、荷重の大きさをそれぞれ図8〜図10に示す表にまとめた。
【0036】
試験1においては、底当たりまで押し下げると、図8に示すように、初回と比べ2回目以降は、自由高さh2が平均約0.15mm減少し、荷重が平均約3%減少した。
【0037】
試験2において、一度底当たりまで押し下げてしまうと、図9に示すように、自由高さが平均約0.16mm減少することがわかった。
【0038】
すなわち、試験1及び2からわかるように、一度でも底当たりしてしまうと、板バネ10が過剰に変形して約0.15mm自由高さh2が減少し、荷重も低下することから、スピーカ7との接触が不十分になることがわかる。
【0039】
試験3において、自由高さh2から0.45mmまで押し下げると、図10に示すように、自由高さh2が平均で約0.11mm減少することがわかった。一方で、荷重平均値は、3%減ったものの依然として弾性を有しているので、減少後の自由高さh2よりも隙間h1の大きさを小さく、突起部12の高さh3を0.45mm以上にすることで、スピーカ7との電気的接続を確保することができることがわかった。
【0040】
したがって、本実施形態にかかる携帯電話機1によると、板バネ10の周囲にプリント基板6の表面と板バネ接触部11との間の隙間h1よりもプリント基板6の表面からの高さh3が低い突起部12を設けたことにより、板バネ10のサイズや厚さを大きくすることなく、外部からの負荷による板バネ10の過剰な変形を防いでスピーカ7の電気的接続を安定させることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
すなわち、上記実施形態では、板バネ10の形状は、先端が三又に分かれているものとしたが、その形状は特に限定されず、板板10の先端全体が板バネ接触部11に当接してもよい。
【0043】
上記実施形態では、電子部品は、スピーカ7としたが、これに限定されず、プリント基板6上に取り付け可能な電子部品であればよい。例えば、バイブレーター、レシーバー等でもよい。
【0044】
上記実施形態では、板バネ20を一対設けたが、1つだけ設けてもよい。この場合には、板バネ20の自由端側近傍に突起部を12設ければよい。
【0045】
上記実施形態では、プリント基板6側に突起部
上記実施形態では、携帯端末は、携帯電話機1としたが、PHS(Personal Handy-phone System )、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、パソコン、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤー等スピーカを有するものであれば、特に制限されない。
【0046】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 表示部
3 第1の筐体
4 操作部
5 第2の筐体
5a 正面側キャビネット
5b 背面側キャビネット
6 プリント基板
6a 板バネ取付面
7 スピーカ
8 カメラ
9 バッテリ
10 板バネ
10a 中央部分
10b 先端
11 板バネ接触部
12 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、該プリント基板上に配置された板バネと、該板バネに板バネ接触部が圧接することにより該プリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末において、
上記電子部品が上記プリント基板に取り付けられたときに、該プリント基板の表面と上記板バネ接触部との間の隙間は、上記板バネの自由高さよりも小さく、
上記板バネの周囲には、上記隙間よりも上記プリント基板の表面からの高さが低く、上記電子部品が押し込まれたときに、上記板バネの変形を制限する突起部が設けられている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
上記板バネは、対向して一対設けられ、
上記一対の板バネ間に上記突起部が配置されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、
上記電子部品は、一対の板バネ接触部を有するスピーカである
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の携帯端末において、
上記板バネは、先端が三又に分かれ、該三又のうち中央の部分が上記プリント基板から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端が上記プリント基板に向かって湾曲している
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項1】
プリント基板と、該プリント基板上に配置された板バネと、該板バネに板バネ接触部が圧接することにより該プリント基板に電気的に接続される電子部品とを備えた携帯端末において、
上記電子部品が上記プリント基板に取り付けられたときに、該プリント基板の表面と上記板バネ接触部との間の隙間は、上記板バネの自由高さよりも小さく、
上記板バネの周囲には、上記隙間よりも上記プリント基板の表面からの高さが低く、上記電子部品が押し込まれたときに、上記板バネの変形を制限する突起部が設けられている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
上記板バネは、対向して一対設けられ、
上記一対の板バネ間に上記突起部が配置されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、
上記電子部品は、一対の板バネ接触部を有するスピーカである
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の携帯端末において、
上記板バネは、先端が三又に分かれ、該三又のうち中央の部分が上記プリント基板から離れる方向へ起きあがるように傾斜し、先端が上記プリント基板に向かって湾曲している
ことを特徴とする携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−98692(P2013−98692A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238617(P2011−238617)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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