説明

携帯装置のプログラム、携帯装置および携帯装置の制御方法

【課題】使用者が接続を所望するデバイスを簡易な操作で選択することができる、携帯装置のプログラム等を提供すること。
【解決手段】携帯電話10は、使用者の操作を受け付ける加速度センサ26等と、MFPと無線通信を行う無線送受信部15と、携帯電話の位置情報、MFP位置情報、方向情報を記憶する記憶部12を備える。CPU11は、携帯電話の位置情報と、MFP位置情報と、方向情報と、に基づいて、選択候補となるMFPのうち、方向情報が示す方向に位置するMFPを選択する。また、選択したMFPを通信相手として、通信を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信するデバイス装置を簡易な手続きで選択することができる携帯装置のプログラム、携帯装置および携帯装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯装置(ノートパソコン、携帯電話等)とデバイス装置(プリンタ等)とを、無線通信(無線LAN、Bluetooth等)により接続する技術が知られている。無線通信の電波は指向性がなく、携帯装置の周囲に発信される。よって、デバイス装置が周囲に複数存在する場合には、無線通信先の候補が複数存在しうる。この場合、無線通信可能なデバイス装置の識別情報(アドレス、名称等)を携帯装置の表示部へ一覧表示し、使用者に接続先のデバイス装置を選択させる、という技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、携帯端末と画像形成装置とがGPS(Global Positioning System)受信器を備えており、GPSにより生成する座標データに基づいて、携帯端末が、最寄の画像形成装置へ印刷データを送信する技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、使用者の後ろに存在する画像形成装置に携帯端末が印刷データを送信してしまうことも起こりうるため、使用者にとって、必ずしも便利とは言えなかった。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載のプログラムは、携帯装置のコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、コンピュータを、携帯装置の物理的位置を示す第1情報と、複数の候補装置の物理的位置を示す第2情報と、携帯装置に対する使用者の操作を受け付ける操作部が受け付けた操作が、携帯装置の位置を基準とする何れの方向を指定する操作であったのかを示す第3情報と、に基づいて、無線ネットワーク上の複数の候補装置のうち、第3情報が示す方向に位置する候補装置を選択する選択手段と、選択手段が選択した装置を通信相手として通信するよう、無線ネットワークを用いて通信を行う通信部を制御する通信制御手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0006】
本願に記載のプログラムでは、使用者が携帯装置の通信相手として所望する候補装置の方向を指定する操作を行うことにより、携帯装置が、指定された方向と、携帯装置の物理的位置と、候補装置の物理的位置に基づいて、使用者が指定した方向に位置する候補装置を通信相手として選択し、通信を行う。すなわち、使用者が所望していない方向の装置と通信してしまうことはなくなるため、使用者にとって、便利である。
【0007】
また、本願に記載のプログラムでは、加速度センサが測定した加速度が閾値を超えたら、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を操作部が受け付けたとして方向情報が決定される。これにより、例えば、使用者がデータ通信を所望する候補装置に向けて携帯装置を振る、という簡易操作により、所望の候補装置と通信を行うことが可能になる。
【0008】
また、本願に記載のプログラムでは、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を操作部が受け付けたら、指定された方向や、携帯装置の物理的位置や、候補装置の物理的位置などについて、最新の情報に基づいて候補装置が選択される。すなわち、携帯装置を持って移動し、移動先に存在する装置との間で簡単にデータ通信を行いたいとき、移動先での携帯装置の位置、移動先に存在する候補装置の位置を比較し、移動先に存在する候補装置を通信相手として選択することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】通信システム1のブロック図である。
【図2】携帯電話の動作フローチャート(その1)を示す図である。
【図3】携帯電話の動作フローチャート(その2)を示す図である。
【図4】携帯電話の動作フローチャート(その3)を示す図である。
【図5】MFPの動作フローチャートを示す図である。
【図6】携帯電話の概観図である。
【図7】MFPの配置の一例を示す図である。
【図8】記憶テーブルの記憶内容の一例を示す図(その1)である。
【図9】記憶テーブルの記憶内容の一例を示す図(その2)である。
【図10】携帯電話の動作フローチャート(その4)を示す図である。
【図11】携帯電話の動作フローチャート(その5)を示す図である。
【図12】サーバの動作フローチャート(その1)を示す図である。
【図13】サーバの動作フローチャート(その2)を示す図である。
【図14】携帯電話の使用態様の概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本願に係る第1実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、携帯電話10、第1MFP51ないし第3MFP53、アクセスポイント62、サーバ71、基地局61を備える。携帯電話10、および、第1MFP51ないし第3MFP53は、既知の無線LAN端末装置としての機能を備える。また、第1MFP51ないし第3MFP53は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備える多機能周辺装置である。また、第1MFP51ないし第3MFP53は、電話回線網100を使用した通信機能を備える。アクセスポイント62は、既知の無線LANアクセスポイントとしての機能を備える。サーバ71は、インターネット70を介してアクセスポイント62に接続される。
【0011】
なお、第1MFP51ないし第3MFP53の各々とアクセスポイント62とは、無線LAN方式のインフラストラクチャーモード(複数の無線LAN端末装置が、アクセスポイントを介してデータ通信するモード)に準拠する無線通信(電波を用いたデータ通信)201ないし203の各々を行うことが可能とされている。また、アクセスポイント62とサーバ71とは、インターネット70を介して通信可能に接続されている。すなわち、携帯電話10は、アクセスポイント62へアクセスし、無線LANのインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200を行える状態になれば、携帯電話10は、アクセスポイント62を介して、第1MFP51ないし第3MFP53、サーバ71とデータ通信することが可能になる。なお、無線LAN方式の例としては、例えばIEEE802.11a/b/g/nの規格で定められる通信方式が挙げられる。
【0012】
携帯電話10の構成について説明する。図1に示すように、携帯電話10は、CPU(Central Processing Unit)11、記憶部12、無線送受信部15、無線アンテナ部16、ボタン入力部17、パネル18、携帯電話送受信部22、携帯電話アンテナ部23、GPS部24、コンパス部25、加速度センサ26、カメラ部27、を主に備えている。また、通話や音声入力を行うために、スピーカ3とマイク4とを備えている。
【0013】
また、図6に、携帯電話10の概観図を示す。図6に示すように、携帯電話10の操作や通話がしやすいように、スピーカ3の開口部とマイク4の開口部は、パネル18の設置面に配置されている。また、スピーカ3の開口部とマイク4の開口部とが、使用者の口と耳の間程度離れるように、スピーカ3の開口部とパネル18とマイク4の開口部とは、携帯電話10の長手方向に並んで配置されている。
【0014】
CPU11は、記憶部12に記憶されるプログラムに従って処理を実行する。以降、通信プログラム28やオペレーティングシステムなど、プログラムを実行するCPU11のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば「通信プログラム28が」という記載は、通信プログラム28を実行するCPU11が」を意味する場合がある。なお、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(ハードディスク)、CPU11が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。無線送受信部15は、無線アンテナ部16を介して、無線LANのインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200を行う。そして、無線送受信部15により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。GPS部24は、GPS衛星からの電波を受信し、携帯電話10の物理的位置を示す位置情報を算出する部材である。なお、位置情報は、緯度、経度および高度の成分を有する。また、携帯電話送受信部22は、携帯電話アンテナ部23を介して、基地局61との間で携帯電話通信の方式に準拠する無線通信210を行う。記憶部12は、プログラム21を記憶する。プログラム21は、基本プログラム(図示省略)、通信プログラム28等を含む。基本プログラムは、携帯電話送受信部22に通信を実行させるためのプログラムや、無線送受信部15に無線通信200を実行させるためのプログラム等を含む。また基本プログラムは、GPS部24が算出した情報を各プログラムが取得するためのAPI(Application Programming Interface)を提供するプログラムでもある。また通信プログラム28は、後述する通信システム1の動作フローをCPU11に実行させるためのプログラムである。
【0015】
また記憶部12は、設定値記憶領域12aおよびテーブル記憶領域12bを備える。設定値記憶領域12aには、後述する、所定時間、加速度の所定値、許容角度範囲、所定距離、などが記憶される。またテーブル記憶領域12bには、記憶テーブルTB1が記憶される。図8に、記憶テーブルTB1の一例を示す。記憶テーブルTB1は、第1MFP51ないし第3MFP53の各々ごとに、選択順位220を割り当てて、MFP識別情報230、MFP位置情報240、相対方向241、相対距離242、フラグ243を対応付けて記憶する。MFP識別情報230は、第1MFP51ないし第3MFP53の各々に固有の情報である。MFP識別情報230は、例えば、MFPのIPアドレス232である。MFP名称231は、第1MFP51ないし第3MFP53の各々にMFPの使用者や管理者が割り当てた名称、あるいは、生産者が工場出荷時に割り当てた名称である。また、MFP位置情報240は、第1MFPないし第3MFP53の物理的位置を示す情報であり、緯度、経度および高度の成分を有する。なお、携帯電話10は、MFPから物理的位置を示す情報を受信し、その情報をそのまま、そのMFPのMFP位置情報240として、記憶テーブルTB1に記憶する。相対方向241は、携帯電話10の位置を基準とした第1MFP51ないし第3MFP53がどの方向に位置しているかを示す情報である。また、相対方向241は、水平成分(携帯電話10とMFPと相対位置を水平面に投影した場合の、携帯電話10を基準とした、MFPが位置する方向)と鉛直成分(携帯電話10とMFPと相対位置を、携帯電話10とMFPとを含む鉛直面と直交する鉛直面に投影した場合の、携帯電話10を基準とした、MFPが位置する方向)とを有する。相対距離242は、携帯電話10と、第1MFP51ないし第3MFP53との間の距離である。また、相対距離242は、水平成分(携帯電話10とMFPと相対位置を水平面に投影した場合の、携帯電話10とMFPとの間の距離)と鉛直成分(携帯電話10とMFPと相対位置を、携帯電話10とMFPとを含む鉛直面と直交する鉛直面に投影した場合の、携帯電話10とMFPとの間の距離)とを有する。フラグ243は、選択候補であることを示すフラグ情報である。
【0016】
ボタン入力部17、GPS部24、コンパス部25、加速度センサ26、カメラ部27は、携帯電話10の使用者による操作を受け付ける操作部である。ボタン入力部17は、タッチパネルとして、パネル18と一体に構成されている。パネル18は、携帯電話10の各種機能情報を表示する。コンパス部25は、携帯電話10の向きを取得する地磁気センサを備えている。加速度センサ26は、携帯電話10の加速度を計測するセンサである。カメラ部27は、CCD等により画像データを取得する部位である。なお、コンパス部25が取得した向きを示す情報や、加速度センサ26が計測した加速度や、カメラ部27が取得した画像データなどを各プログラムが取得するためのAPI(Application Programming Interface)を、基本プログラムが提供する。
【0017】
第1MFP51の構成について説明する。第1MFP51は、CPU32、記憶部33、無線送受信部36、無線アンテナ部37、ボタン入力部38、パネル39、モデム40、電話回線接続部41、プリンタ19、スキャナ20、GPS部44、表示灯45、を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート43を介して互いに通信可能とされている。
【0018】
CPU32は、記憶部33に記憶されるプログラムや、無線送受信部36を介して送受信される各種信号などに従って、各機能の制御を行う。なお、記憶部33は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(ハードディスク)などが組み合わされて構成されているとしてもよい。
【0019】
無線送受信部36は、無線アンテナ部37を介して、無線LAN方式のインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信201を行う。そして、無線送受信部36により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。
【0020】
ボタン入力部38は、第1MFP51の各機能を実行するためのキーである。ボタン入力部38は、タッチパネルとして、パネル39と一体に構成されていてもよい。パネル39は、第1MFP51の各種機能情報を表示する。プリンタ19は、印刷を実行する部位である。スキャナ20は、読み取りを実行する部位である。GPS部44は、第1MFP51の位置情報を取得する部位である。表示灯45は、LED(Light Emitting Diode)等を備えており、第1MFP51の各種ステータスを使用者に報知するための部位である。モデム40は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部41を介して送信したり、電話回線網100から電話回線接続部41を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調するものである。なお、第2MFP52および第3MFP53の構成は、第1MFP51と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0021】
サーバ71の構成について説明する。サーバ71は、CPU72、記憶部73、通信部74、を主に備えている。サーバ71は、ネットワークにおいて、クライアント装置に対し、自身の持っている機能やデータを提供する装置である。CPU72は、各機能の制御を行う。記憶部73は、各種のデータを記憶する。通信部74は、様々な情報を携帯電話10との間で通信する。
【0022】
第1実施形態に係る通信システム1の動作を、図2ないし図9を用いて説明する。図2ないし図4を用いて、携帯電話10で行われるフローを説明する。図2ないし図4のフローは、携帯電話10の通信プログラム28を起動することに応じて、実行が開始される。なお、第1実施形態では、図14に示すように、使用者が、携帯電話10のマイク側を握って、パネル18が上を向くように持ち、データ通信の対象としたいMFPに向けて(携帯電話10のスピーカ3側の先端が向くように)携帯電話10を素早く振ると、携帯電話10が、スピーカ3側の先端が向いた方に存在するMFPをデータ通信の対象として、データ通信を行う、という実施形態である。
【0023】
図2のS9において、CPU11は、加速度センサ26で計測された加速度が、まず、一の方向に向かう所定値以上の大きさの加速度から、反対の方向へ向かう同等の大きさの加速度へと急に切り替わったか、すなわち、使用者による操作がトリガ条件を満たす操作か否かを判断する。このとき、CPU11は、API用いて定期的に加速度を取得し、取得した加速度を用いて判断を行う。トリガ条件が満たされていない場合(S9:NO)には、S9へ戻り待機する。一方、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10へ進む。トリガ条件の判断を設けることにより、使用者が携帯電話10を素早く振って止めるという操作をしないと、S10以降の処理は実行されない。よって、使用者がデータ通信を行う意図を有さずに携帯電話10を動かした際に、誤ってデータ通信が実行されてしまう事態を防止することができる。
【0024】
S10において、CPU11は、APIを用いてコンパス部25から携帯電話10の向きを示す情報を取得する。そして、取得した情報を用いて、携帯電話10の基準位置(携帯電話10の長手方向の中心、かつ、短手方向の中心、かつ、厚み方向の中心(図6参照))を基準とした、携帯電話10の長手方向の中心軸(短手方向の中心、かつ、厚み方向の中心に位置し、長手方向に伸びる軸)(図6参照)における、マイク側先端に対するスピーカ3側先端が位置している方向を算出する。すなわち、携帯電話10が使用者から受け付けた操作が、携帯電話の位置を基準として、何れの方向を指定する操作であったのかを示す情報を算出する。そして、算出した情報を、方向情報として記憶部12に記憶させる。なお、方向情報は、水平成分(コンパス部25の基準位置と携帯電話10のスピーカ3側の先端との相対位置を水平面に投影した場合の、コンパス部25の基準位置を基準とした、携帯電話10のスピーカ3側の先端が位置する方向)を有する。
【0025】
続いて、S11において、CPU11は、ネットワーク設定値を取得する。具体的には、無線送受信部15を用いて、無線LANのプローブ要求をブロードキャストする。そして、無線送受信部15の電波が届く範囲のアクセスポイント(例えば、アクセスポイント62)が返信するプローブ応答に含まれるSSID(Service Set Identifier)を受信し、一時的に、CPU11のワーク領域(記憶部12のRAM、または、バッファ)に記憶する。S13において、CPU11は、取得したSSIDを用いてアクセスポイント62へアクセスし、無線LAN方式のインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200を行える状態になる。
【0026】
S15において、CPU11は、相対方向および相対距離の取得フローを実行する。図3を用いて、相対方向および相対距離の取得フローの詳細な内容を説明する。S111において、CPU11は、無線送受信部15を用いて、無線LAN方式のインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200により、第1データをブロードキャストする(第1データは、第1データがブロードキャストされていることを示すために、第1データの受信先を示す情報としてブロードキャストアドレスを含んでいる)。すると、アクセスポイント経由で、アクセスポイント62にアクセスしている無線クライアント(すなわち、第1MFP51ないし第3MFP53を含む無線クライアント)が第1データを受信する。なお、第1データは、第1データの送信元を示すために携帯電話10の識別情報(IPアドレス)を含んでいる。また、第1データは、通信プログラム28に対応しているか否かを問い合わせるための、問い合わせ情報(第1データであることを示す情報でもある。また、具体的な例では、SNMP(Simple Network Management Protocol)Requestコマンドである)を含んでいる。
【0027】
S113において、CPU11は、第1MFP51ないし第3MFP53から、第2データの返信を受けたか否かを判断する。具体的には、受信先を示すために携帯電話10の識別情報を含み、送信元を示すためにMFPの識別情報(IPアドレス)を含み、第1データに対する返信である旨を携帯電話10に報知するための、返信情報(第2データであることを示す情報でもある。また、具体的な例では、SNMP Replyコマンドである)を含んでいるデータを受信したか否かを判断する。第2データを受信した場合(S113:YES)にはS115へ進む。S115において、CPU11は、MFPの識別情報を、第2データから抽出する。また、第2データは、MFPの物理的位置を示す情報も含んでいるため、CPU11は、MFPの物理的位置を示す情報も、第2データから抽出する。そして、抽出した識別情報および物理的位置を示す情報を、そのMFPのIPアドレス232およびMFP位置情報240として記憶テーブルTB1に一時的に記憶させる。
【0028】
一方、第2データを受信していない場合(S113:NO)にはS117に進み、CPU11は、第2データの返信待ち時間がタイムアウトとなったか否かを判断する。タイムアウトでない場合(S117:NO)にはS113へ戻り、タイムアウトである場合(S117:YES)にはS121へ進む。S121においてCPU11は、GPS部24が算出した、携帯電話10の位置情報を取得する。そして、取得した携帯電話10の位置情報を、記憶部12に一時的に記憶させる。
【0029】
S125において、CPU11は、相対方向および相対距離を算出する。相対方向および相対距離の算出は、記憶部12に記憶されている、携帯電話10の位置情報とMFPの位置情報240とに基づいて行われる。算出された相対方向および相対距離は、そのMFPの相対方向241および相対距離242として記憶テーブルTB1に一時的に記憶される。
【0030】
S127において、CPU11は、第2データを返信してきた全てのMFPについて、相対方向241および相対距離242を算出したか否かを判断する。算出した場合(S127:YES)にはフローを終了し、算出していない場合(S127:NO)にはS129へ進む。S129において、CPU11は、未算出のMFPを選択した上で、S125へ戻る。これにより、第2データを返信してきた全てのMFPについて、相対方向241および相対距離を取得することができる。そしてS21(図2)へ進む。
【0031】
S21において、CPU11は、記憶部12が記憶している方向情報と、携帯電話10の位置情報と、MFPの位置情報とに基づいて、対象MFPを選択する。対象MFPは、データ通信の対象となるMFPである。図4を用いて、対象MFPを選択するフローを説明する。S311において、CPU11は、相対方向241の水平成分が示す方向と方向情報の水平成分が示す方向との差が小さいMFPの選択順位220のほうが、相対方向241の水平成分が示す方向と方向情報の水平成分が示す方向との差が大きいMFPの選択順位220よりも上位となるように、記憶テーブルTB1に記憶されたMFPの選択順位220をソートする。
【0032】
S313において、CPU11は、相対方向241の水平成分が示す方向と方向情報の水平成分が示す方向との差が90度以内(すなわち、携帯電話10のスピーカ3側の先端が向いている方、あるいは、携帯電話10の使用者から見ての前方)であるMFP(使用者の前方に存在するMFP)の数を判断する。使用者の前方に存在するMFPが複数存在する場合(S313:複数)には、S314へ進む。使用者の前方に存在するMFPが複数存在しない場合(S313:ゼロ)には、S315へ進む。使用者の前方に存在するMFPが1つだけ存在する場合(S313:1つ)には、S316へ進む。S316において、CPU11は、当該MFPを対象MFPとして決定し、フローを終了する。また、S314において、CPU11は、使用者の前方に存在するMFPを選択候補にする。なお、例えば、携帯電話10の使用者が1階に居るときに、2階に設置されているMFPをデータ通信の対象としては不便であるため、相対方向241の水平成分が示す方向と方向情報の水平成分が示す方向との差が90度以内であるMFPのうち、相対距離242の鉛直成分が示す距離が閾値以内(例えば、2メートル以内)であるMFPのみを選択候補にする。選択候補にするとは、記憶テーブルTB1が記憶する、選択候補にするMFPの情報に、選択候補であることを示すフラグ243(図8)を対応付けて記憶することである。S315において、CPU11は、相対距離242の水平成分が示す距離が小さいMFPの選択順位220のほうが、相対距離242の水平成分が示す距離が大きいMFPの選択順位220よりも上位となるように、記憶テーブルTB1に記憶されたMFPの選択順位220をソートする。
【0033】
S317において、CPU11は、選択候補であるMFP(記憶テーブルTB1が記憶する情報に、フラグ243が対応付けて記憶されているMFP)を示す選択肢(MFP名称を表すボタン)を、記憶テーブルTB1に基づいて、携帯電話10のパネル18に表示させる。
【0034】
S319において、CPU11は、操作部への使用者入力によって何れかの選択肢が指定されると、指定された選択肢が示すMFPを、対象MFPとして決定する。対象MFPが決定されると、図4のフローを終了し、S23(図2)へ戻る。
【0035】
S23において、CPU11は、対象MFPとの間でデータ通信を実行する。具体的には、記憶テーブルTB1から対象MFPのMFP識別情報230(IPアドレス)を読み出して、受信先を示すために対象MFPのIPアドレスを含んだデータを、対象MFPへの送信データとして無線送受信部15に送信させ、対象MFPのIPアドレスを含んでいる(すなわち、対象MFPが送信した)データを受信データとして無線送受信部15に受信させるデータ通信を実行する。なお、データ通信にて扱うデータは、様々なデータが考えられる。例えば、無線送受信部15に処理データを対象MFPへ送信させ、対象MFPに所定の処理を実行させてもよい。具体的には、無線送受信部15に印刷データを対象MFPへ送信させ、対象MFPにプリンタ19を用いた印刷データの印刷をさせてもよい。また、無線送受信部15にスキャン指示を対象MFPへ送信させ、対象MFPがスキャナ20を用いて生成したスキャンデータを、無線送受信部15に対象MFPから受信させるとしてもよい。また、無線送受信部15にIP電話指示を対象MFPへ送信させ、対象MFPのモデム40および電話回線接続部41を介して、電話回線の先に存在する電話装置やファクシミリ装置を相手に、通話やファクシミリ通信を実行するとしてもよい。
【0036】
図5を用いて、第1MFP51ないし第3MFP53で行われるフローを説明する。S211において、CPU32は、携帯電話10からブロードキャストされた第1データを受信したか否かを判断する(具体的には、受信先を示す情報としてブロードキャストアドレスを含み、かつ、第1データであることを示す情報を含むデータを受信したか否かを判断する)。受信していない場合(S211:NO)にはS219へ進み、受信した場合(S211:YES)にはS213へ進む。S213において、CPU32は、第2データを携帯電話10へ返信する。
【0037】
S219において、CPU32は、印刷データ等の処理データを携帯電話10から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S219:NO)にはS211へ戻り、受信した場合(S219:YES)にはS221へ進む。S221において、CPU32は、処理データの処理を実行する。例えば、処理データが印刷データである場合には、プリンタ19を用いて印刷データを印刷する処理を実行する。そしてS211へ戻る。
【0038】
第1実施形態に係る通信システム1の動作の具体例を、図7に示すような形態で第1MFP51ないし第3MFP53が配置されている場合を説明する。また、第1MFP51が対象MFPとして選択される場合を説明する。また、使用者による操作を受け付ける操作部として加速度センサ26が用いられる場合を説明する。また、対象MFPに印刷データが送信される場合を説明する。
【0039】
使用者が携帯電話10のボタン入力部17を操作し、通信プログラム28を起動することに応じて、図2のフローが開始される。第1MFP51をデータ通信の対象としたいと考える使用者が、第1MFP51に向けて携帯電話10を振って止めることに応じて、トリガ条件が満たされる(S9:YES)。続いて、携帯電話10は、方向情報を取得する(S10)。この場合では、方向情報が示す方向は、携帯電話10から第1MFP51へと向かう方向になる。続いて、携帯電話10は、アクセスポイント62へアクセスし、無線LANのインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200を行える状態になる(S13)。続いて、携帯電話10は、第1データを第1MFP51ないし第3MFP53へブロードキャストする(S111)。すると、第1MFP51ないし第3MFP53は、第1データを受信し(S211:YES)、第2データを携帯電話10へ返信する(S213)。携帯電話10は、第1MFP51ないし第3MFP53から第2データを受信し(S113:YES)、記憶部12の記憶テーブルTB1に記憶させる(S115)。よって、図8に示すように、MFP識別情報230およびMFP位置情報240が、第1MFP51ないし第3MFP53ごとに対応付けられて、記憶テーブルTB1に記憶される。なお、この時点においては、選択順位220は、記憶テーブルTB1に記憶された順番となっている。
【0040】
携帯電話10は、GPS部24が算出した、携帯電話の位置情報を取得する(S121)。携帯電話10は、第1MFP51ないし第3MFP53の各々について、相対方向および相対距離を算出する(S125)。よって、図7に示すように、第1MFP51の相対方向=D1と、第2MFP52の相対方向=D2と、第3MFP53の相対方向=D3と、が算出される。また、第1MFP51の相対距離=R1、第2MFP52の相対距離=R2、第3MFP53の相対距離=R3、がそれぞれ算出される。そして、図8に示すように、算出された相対方向および相対距離は、相対方向241および相対距離242として記憶テーブルTB1に記憶される。
【0041】
第1MFP51ないし第3MFP53の全てのMFPについて、相対方向および相対距離が算出されると(S127:YES)、携帯電話10は、相対方向241の水平成分が示す方向と方向情報V1の水平成分が示す方向との差が小さい順に、記憶テーブルTB1に記憶されたMFPの選択順位220をソートする(S311)。図7の例では、方向情報V1の水平成分が示す方向と相対方向241=D1の水平成分が示す方向とが一致するため、第1MFP51の選択順位220が最上位である「1」とされる。また方向情報V1の水平成分が示す方向と相対方向241=D3の水平成分が示す方向が大きく異なるため、第3MFP53の選択順位220が最下位である「3」とされる。そして、方向情報V1の水平成分が示す方向と相対方向241の水平成分が示す方向との差が90度以内であるMFPが複数(第1MFP51および第2MFP52)存在するため(S313:YES)、第1MFP51および第2MFP52のみが選択候補となり(S314)、選択候補であることを示すフラグ243が記憶テーブルTB1に記憶される(図9)。そして、選択順位220が、相対距離242の水平成分が示す距離が小さい順にソートされる(S315)。図7の例では、相対距離242=R1の水平成分が示す距離の方がR2の水平成分が示す距離よりも小さいため、第1MFP51の選択順位220が「1」とされ、第2MFP52の選択順位220が「2」とされる。これにより、図9の記憶テーブルTB1に示すように、ソートが完了する。
【0042】
続いて、携帯電話10は、選択候補であるMFPを示す選択肢を、パネル18に表示させる(S317)。図7の例では、第1MFP51を示す選択肢、および、第2MFP52を示す選択肢が、パネル18に表示される。使用者がボタン入力部を操作して第1MFP51を示す選択肢を選択する使用者入力を行うと、携帯電話10は、第1MFP51を対象MFPとして決定する(S319)。携帯電話10は、第1MFP51とデータ通信を実行し、印刷データを送信する(S23)。第1MFP51は、印刷データを受信し(S219:YES)、プリンタ19を用いて印刷データを印刷する(S221)。そしてフローを終了する。
【0043】
以上説明した、第1実施形態の説明例に係る通信システム1の効果を説明する。通信システム1では、使用者が通信プログラム28を起動し、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向に向けて携帯電話10を振って止めることにより、携帯電話10が、その方向に存在するMFPを対象MFPとして決定し、携帯電話10を振って止めた方向の反対方向に存在するMFPを対象MFPとすることはない。すなわち、使用者が所望していない方向に存在するMFPと通信してしまうことはなくなるため、使用者にとって、便利である。
【0044】
また通信システム1では、対象MFPを決定する際に、使用者が携帯電話10を振って止めた方向に存在するMFPが複数存在する場合に、それらMFPを示す選択肢をパネル18に表示させ、使用者に選択肢を選択させている。すなわち、相対方向241のみを用いては1の対象MFPを決定することができない場合においても、適切な1の対象MFPを決定することが可能となる。
【0045】
また通信システム1では、トリガ条件が満たされると、S10以降の処理を実行する。これにより、使用者が対象MFPを選択する意図を有しない場合に、誤って対象MFPが選択されてしまう事態を防止することができる。
【0046】
また通信システム1では、トリガ条件が満たされたと判断された場合に、携帯電話10の位置情報が取得される。これにより、トリガ条件が満たされた時点での携帯電話10の位置情報に基づいて、対象MFPを特定できる。よって、使用者が移動しながら携帯電話10を操作する場合など、ネットワーク状態が動的に変化する場合においても、正確に対象MFPを特定することが可能となる。また、通信システム1では、加速度センサ26が測定した加速度が閾値を越えたことをトリガとし、コンパス部25を用いて方向情報を算出しているので、使用者が携帯電話10を縦に振って止める、横に振って止める、あるいは、携帯電話10のスピーカ3側先端を突き出すようにして止める、というような、使用者の色々なアクションに応じて、対象MFPを選択する処理を実行できる。
【0047】
以上、第1実施形態を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0048】
例えば、S10において、CPU11が、携帯電話10の基準位置に対して、スピーカ3側先端が位置している方向を示す情報を算出する構成に限らない。第1の変形例として、S10において、CPU11が、携帯電話10の基準位置に対して、マイク側先端が位置している方向を示す情報を算出するものでもよい。このようにすることで、使用者が携帯電話10のスピーカ3側を握り、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向をマイク側先端が向くように振って止める使用法で、第1実施携帯と同様の便利さを奏することができる。
【0049】
また、第2の変形例として、S10において、CPU11が、携帯電話10の基準位置に対して、携帯電話10のカメラ部27の設置面が位置している方向を示す情報を算出するものでもよい。このようにすることで、使用者が、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向をカメラ部27が向くように携帯電話10を握り、携帯電話を押し出して止める使用法で、第1実施携帯と同様の便利さを奏することができる。
【0050】
また、例えば、トリガを条件を満たす操作は、携帯電話10を振って止める、という操作に限らない。第3の変形例として、操作部としてボタン入力部17を用い、カメラ部27を用いた撮影を行うよう指示する操作を、トリガ条件を満たす操作として用いる構成でもよい。この場合、使用者が通信プログラム28を起動すると、カメラ部27が起動し、パネル部18が、カメラ部27の電子ファインダーとして機能する。そして、図2に示したフローのS9において、CPU11は、カメラ部27を用いた撮影を行うよう、ボタン入力部17への使用者操作(すなわち、トリガ条件を満たす操作)があったか否かを判断する。そして、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10において、CPU11は、コンパス部25を用いて、携帯電話10の基準位置を基準とした、携帯電話10のカメラ27の設置面が位置している方向、すなわち、電子ファインダーであるパネル18を見ている使用者が、カメラ27をどの方向に向けて撮影したのかを示す情報を算出し、方向情報として記憶部12に記憶させる。
【0051】
なお、第3の変形例における、S9、および、S10において、CPU11が、第2の変形例と同様の処理を実行する構成でもよい。このようにすることで、使用者が通信プログラム28を起動し、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向に携帯電話10のカメラ27を向けて撮影する(あるいは、携帯電話10を押し出す)という使用法で、第1実施形態と同様の便利さを奏することができる。
【0052】
また、第4の変形例として、操作部として加速度センサ26を用い、使用者が、携帯電話10を所定の間、同じ方向に向けたままにすることを、トリガ条件を満たす操作として用いる構成でもよい。この場合、使用者が通信プログラム28を起動すると、携帯電話10の図2に示したフローのS9において、CPU11は、加速度センサ26で計測された加速度が閾値(携帯電話10を意図的に動かしているとは思えないほど、小さな値)を超えないまま所定時間が経過したか(すなわち、トリガ条件を満たす操作がされたか)否かを判断する。そして、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10において、CPU11は、第1実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例のいずれかと同様の処理を実行する。なお、使用者が通信プログラム28を起動したときに、第3の変形例と同様に、カメラ部27が起動し、パネル部18が、カメラ部27の電子ファインダーとして機能してもよい。このようにすることで、使用者が通信プログラム28を起動し、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向に携帯電話10のスピーカ3側先端(マイク側先端、カメラ部27の設置面のいずれか)を向けて所定時間動かさないという使用法で、第1実施形態と同様の便利さを奏することができる。
【0053】
なお、第4の変形例にて、CPU11が、S9において、GPS部24が算出した位置情報に閾値以上の変化がないまま所定時間が経過したか、を判断する構成としてもよい。また、S9において、コンパス部25が取得した向きを示す情報に、閾値以上の変化がないまま所定時間が経過したか、を判断する構成としてもよい。この構成でも、第1実施形態と同様の便利さを奏することができる。
【0054】
また、第5の変形例として、操作部としてボタン入力部17(タッチパネルでもよい)を用い、あるいは、操作部としてマイク4を用い、使用者が、ボタン入力部17、あるいは、マイク4に所定の入力をすることを、トリガ条件を満たす操作として用いる構成でもよい。この場合、使用者が通信プログラム28を起動すると、携帯電話10の図2に示したフローのS9において、CPU11は、ボタン入力部17に所定の入力がなされたか(すなわち、トリガ条件を満たす操作がされたか)否かを判断する。そして、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10において、CPU11は、第1実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例のいずれかと同様の処理を実行する。なお、使用者が通信プログラム28を起動したときに、第3の変形例と同様に、カメラ部27が起動し、パネル部18が、カメラ部27の電子ファインダーとして機能してもよい。このようにすることで、使用者が通信プログラム28を起動し、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向に携帯電話10のスピーカ3側先端(マイク側先端、カメラ部27の設置面のいずれか)を向けてボタン入力部17、あるいは、マイク4に所定の入力を行うという使用法で、第1実施形態と同様の便利さを奏することができる。
【0055】
また、第5の変形例において、所定の入力とは、ボタン入力部17(タッチパネルを含む)の、図示しない方向ボタン(例えば、正面ボタンなら0度、右ボタンなら右90度、左ボタンなら左90度、後方ボタンなら180度の角度が対応付けられている)を操作する入力でもよい。また、同じく第5の変形例において、所定の入力とは、ボタン入力部17(タッチパネル)にて、指示体(指やタッチペンなど)を所定の方向に滑らす(例えば、長手方向のスピーカ3側先端に向けて滑らすなら0度、短手方向の右に滑らすなら右90度、短手方向の左に滑らすなら左90度、長手方向のマイク側先端に向けて滑らすなら180度の角度が対応付けられている)という入力でもよい。また、同じく第5の変形例において、所定の入力とは、マイク4への、方向を指示する音声入力(例えば、「正面」という音声に0度、「右」という音声に右90度、「左」という音声に左90度、「後方」という音声に180度の角度が対応付けられている)という入力でもよい。そして、これら入力ののち、S10において、CPU11が、算出した情報に、さらに、使用者が操作した方向ボタンに対応付けられた角度を加算した方向を示す情報を、方向情報として記憶部12に記憶させてもよい。
【0056】
このようにすることで、使用者が通信プログラム28を起動し、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPのいる方向に携帯電話10のスピーカ3側先端(マイク側先端、カメラ部27の設置面のいずれか)を向けて方向ボタンを操作する、あるいは、指を滑らす、あるいは、マイク4に音声入力する、という使用法で、第1実施形態と同様の便利さ(スピーカ3側先端、マイク側先端、カメラ部27のいずれかが向いている方向よりも、例えば右側に存在するMFPを対象MFPとして決定し、左側に存在するMFPを対象MFPとすることはない)を奏することができる。
【0057】
また、第6の変形例として、S10において、携帯電話10の向きを示す情報を加速度センサ26を用いて取得することも可能である。具体的には、S9において加速度センサ26で計測された一の方向と、一の方向と反対方向とが同一軸線上である場合には、当該軸線方向を、携帯電話10の向きを示す情報として記憶部12に記憶させればよい。
【0058】
また、第7の変形例として、S313(図4)において、使用者の前方に存在するMFPが複数存在しない場合(S313:ゼロ)の変形例を説明する。この場合には、S317において、選択候補のMFPが存在しないことを携帯電話10のパネル18に表示させた上で、フローを終了するとしてもよい。またこの場合には、S317において、使用者が携帯電話10を振った方向には選択候補のMFPが存在しないことを、携帯電話10のパネル18に表示させてもよい。そして、アクセスポイント62によって形成される無線ネットワークに接続されているMFP(第1MFP51ないし第3MFP53)を、選択肢としてパネル18に表示させてもよい。そして、S319において、選択肢の選択入力を受け付けるとしてもよい。
【0059】
また、第8の変形例として、S9(図2)において、加速度センサ26で計測された加速度が所定値以上となることが検出されることを条件として、使用者による操作がトリガ条件を満たすと判断されてもよい。これにより、大きな加速度が携帯電話10に与えられるのみで、トリガ条件を検出できる。よって、使用者が、データ通信の対象としたいMFPに向けて携帯電話10を素早く振る動作を行うだけで対象MFPを決定できる。そして、携帯電話10を振った後に停止させるという動作まで行う必要を無くすことができる。
【0060】
また、例えば、S11において、複数のネットワーク設定値を取得(例えば、複数のアクセスポイントからプローブ応答を受信することにより)し、それら設定値を用いて複数のアクセスポイントにアクセスする構成でもよい。この場合、CPU11は、S11において複数のネットワーク設定値を取得する。そして、S13において、取得した設定値のうちの1つを用いてアクセスポイントにアクセスし、S15において、相対方向および相対距離の取得フローを実行し、相対方向および相対距離を取得する都度、記憶テーブルTB1に追加して記憶していく、という処理を繰り返せばよい。このようにすることで、1つのネットワークに接続しているMFPからだけでなく、他のネットワークに接続しているMFPからも、対象MFPを選択することができる。また、例えば、S11におけるネットワーク設定値の取得は、携帯電話10の設定値記憶領域12aに予め記憶されているネットワーク設定値を、一時的に、CPU11のワーク領域に記憶するという構成でもよい。
【0061】
また、S9にてトリガ条件を満たす操作が行われたと判断(S9:YES)したにもかかわらず、S23において携帯電話10が対象MFPとの間でデータ通信を行うことなく、携帯電話10がアクセスしたネットワークと携帯電話10との接続が切断されてしまった場合に、S15で記憶した記憶テーブルTB1の値を破棄し、再度S9でトリガ条件を満たす操作が行われたと判断する必要なく、S10から処理を再開してもよい。これにより、使用者が、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPに近づくように移動しながら携帯電話10を操作する場合など、ネットワーク接続が途切れやすい状況でも、使用者が再度トリガ条件を満たす操作を行う手間なく、方向情報の取得処理、相対方向および相対距離の取得処理が行われるので、使用者が所望する方向に存在するMFPと携帯電話10とがデータ通信することができるようになる。
【0062】
また、S15で記憶した記憶テーブルTB1の値を破棄してから、再度S9でトリガ条件を満たす操作が行われたと判断する必要なく、S11から処理を再開してもよい。これにより、使用者が、携帯電話10のデータ通信の対象として所望するMFPの方向を示す操作をしてから、携帯電話10を使用者に任意の持ち方で持ち、所望するMFPに近づくように移動する場合など、ネットワーク接続が途切れやすい状況でも、使用者が再度トリガ条件を満たす操作を行う手間なく、相対方向および相対距離の取得処理が行われるので、使用者が所望する方向に存在するMFPと携帯電話10とがデータ通信することができるようになる。
【0063】
また、例えば、携帯電話10の電源がオンとされることに応じて、S11からS13の処理が定期的に実行され、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10の処理を行い、S15へと処理を続けるとしてもよい。また、例えば、携帯電話10の電源がオンとされることに応じて、S11からS15の処理が定期的に実行され、トリガ条件が満たされた場合(S9:YES)には、S10の処理を行い、S21へと処理を続けるとしてもよい。
【0064】
また、例えば、S21において対象MFPとして決定されたMFPに対して、決定した旨を報知する報知情報を送信する処理を、無線送受信部15に実行させてもよい。そしてACK信号等の返信信号を所定時間内に受信しなかった場合には、別のMFPを対象MFPに決定し、新たに決定された対象MFPへ報知情報を再度送信する処理を、無線送受信部15に実行させてもよい。これにより、対象MFPとの通信をより確実に行うことが可能となる。
【0065】
また例えば、サーバ71が、第1MFP51ないし第2MFP53から、定期的に識別情報と物理的位置を示す情報を受信し、記憶部73に記憶している構成でもよい。この場合、サーバ71は、携帯電話10がS111で送信した第1データを受信すると、記憶している、第1MFP51ないし第2MFP53の識別情報と物理的位置を示す情報を含んだ第2データを携帯電話10へと返信する。なお、サーバ71が返信する第2データは、受信先を示すために携帯電話10の識別情報を含み、送信元を示すためにサーバ71の識別情報(IPアドレス)を含み、第2データであることを示す返信情報を含んでいる。そして、この場合、携帯電話10のCPU11は、サーバ71が送信する第2データをS113において受信したら、S115において、MFPの識別情報と、物理的位置を示す情報とを第2データから抽出し、記憶テーブルTB1に一時的に記憶させる。
【0066】
なお、第1実施形態では、携帯電話10が無線LANのインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200によって、アクセスポイント62経由で、第1MFP51ないし第3MFP53との通信を行っていたが、これに替えて、携帯電話10がBluetooth(登録商標)に準拠する無線通信によって、第1MFP51ないし第3MFP53と直接通信を行う構成であってもよい。この場合、第1MFP51ないし第3MFP53はBluetoothに準拠した探索に応答可能な状態である。携帯電話10のCPU11は、S11において携帯電話10とBluetoothに準拠した無線通信が可能な距離に存在するMFP(すなわち第1MFP51ないし第3MFP53)から、MFPのBluetoothアドレス(識別情報の一種、BDアドレスなどとも言う)を含む応答を受信する。具体的には、例えばSDAP(Service Discovery Application Profile)による探索処理を行い、プリンタ機能とスキャナ機能を提供する装置(すなわちMFP)からの応答を受信する。そして、S13において、Bluetoothに準拠した接続処理にて第1MFP51に接続する。続いて、S15において、接続したMFPから相対方向および相対距離を取得する。なお、この場合、S111では第1データをブロードキャストするのではなく、送信先を示すために、接続したMFPのBluetoothアドレスを含んでいる第1データを送信する処理を、無線送受信部15に実行させるようにしてもよい。続いて、このS13に戻って第2MFP52に接続し、S15を実行し、S13に戻って第3MFP52に接続し、S15を実行する(すなわち、無線通信が可能な距離に存在するMFPの全てに対し、S13とS15の処理を実行する)。以降、S21で対象MFPを特定し、S23で対象MFPとデータ通信を実行する。なお、第1MFP51ないし第3MFP53と直接通信を行う構成では、Bluetoothに代えて、無線LAN方式のアドホックモード(複数の無線LAN端末装置がアクセスポイントを介さず、直接データ通信するモード)に準拠する無線通信を用いるようにしてもよい。
【0067】
第2実施形態を説明する。第2実施形態は、図1に例示される通信システム1において、サーバ71を使用した形態である。第1実施形態において携帯電話10で行われていた処理が、第2実施形態では、サーバと携帯電話10で分業して行われる。また、サーバ71の記憶部73には、記憶テーブルTB1が記憶される。第2実施形態における通信システム1の動作を、図10ないし図13のフローチャートを用いて説明する。図10および図11は、携帯電話10で行われるフローである。図12および図13は、サーバ71で行われるフローである。
【0068】
携帯電話10で行われるフローを説明する。図10のS609において、携帯電話10のCPU11は、操作部(加速度センサ26、コンパス部25、ボタン入力部17など)が使用者の操作入力を受け付けたか否かを判断する。操作入力を受け付けていない場合(S609:NO)には、S609へ戻り待機する。一方、操作入力を受け付けた場合(S609:YES)には、S613へ進む。S613においてCPU11は、操作入力に関する情報(コンパス部25が取得した向きを示す情報や、加速度センサ26が計測した加速度や、カメラ部27が取得した画像データなど)を、無線通信200、アクセスポイント62およびインターネット70を介して、サーバ71へ送信する。
【0069】
S614において、CPU11は、APIを用いてコンパス部25から携帯電話10の向きを示す情報を取得する。そして方向情報を算出し、記憶部12に記憶させる。またCPU11は、無線通信200、アクセスポイント62およびインターネット70を介して、方向情報をサーバ71へ送信する処理を、無線送受信部15に実行させる。
【0070】
S615において、CPU11は、第2データの取得および送信を実行する。図11を用いて、第2データの取得および送信フローの、詳細な内容を説明する。S709においてCPU11は、アクセスポイント62に対し、インフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200を行う。S711において、CPU11は、無線送受信部15を用いて、無線LAN方式のインフラストラクチャーモードに準拠する無線通信200により、第1データをブロードキャストする。すると、アクセスポイント経由で、第1MFP51ないし第3MFP53が第1データを受信する。S713において、CPU11は、第1MFP51ないし第3MFP53から、第2データの返信を受けたか否かを判断する。具体的には、携帯電話10の識別情報、MFPの識別情報(IPアドレス)、返信情報を含んでいるデータを受信したか否かを判断する。第2データを受信した場合(S713:YES)にはS715へ進み、CPU11は、第2データを記憶テーブルTB1に一時的に記憶させる。
【0071】
一方、第2データを受信していない場合(S713:NO)にはS717に進み、CPU11は、第2データの返信待ち時間がタイムアウトとなったか否かを判断する。タイムアウトでない場合(S717:NO)にはS713へ戻り、タイムアウトである場合(S717:YES)にはS721へ進む。S721においてCPU11は、GPS部24が算出した、携帯電話10の位置情報を取得する。そして、取得した携帯電話10の位置情報を、記憶部12に一時的に記憶させる。S723において、CPU11は、記憶部12に記憶されている第2データおよび携帯電話の位置情報を、サーバ71へ送信する処理を、無線送受信部15に実行させる。そして、第2データの取得フローが終了し、S621(図10)へ戻る。
【0072】
S621において、CPU11は、記憶テーブルTB1の内容をサーバ71から受信する。S623において、CPU11は、選択候補であるMFP(記憶テーブルTB1が記憶する情報に、フラグ243が対応付けて記憶されているMFP)を示す選択肢(MFP名称を表すボタン)を、記憶テーブルTB1に基づいて、携帯電話10のパネル18に表示する。S625において、CPU11は、操作部への使用者入力によって何れかの選択肢が指定されると、指定された選択肢が示すMFPを、対象MFPとして決定する。S627において、CPU11は、記憶テーブルTB1から対象MFPのMFP識別情報230(IPアドレス)を読み出して、対象MFPとの間でデータ通信を実行する。そして、携帯電話10で行われるフローが終了する。
【0073】
サーバ71で行われるフローを説明する。図12のS609bにおいて、サーバ71のCPU72は、携帯電話10から受信した操作入力が、トリガ条件を満たすか否かを判断する。トリガ条件が満たされていない場合(S609b:NO)にはS609bへ戻り待機し、トリガ条件が満たされた場合(S609b:YES)にはS610bへ進む。S610bにおいて、CPU72は、方向情報を携帯電話10から受信する。
【0074】
S615bにおいて、CPU72は、相対方向および相対距離の取得フローを実行する。図13を用いて、相対方向および相対距離の取得フローの詳細な内容を説明する。S721bにおいてCPU72は、第2データおよび携帯電話10の位置情報を携帯電話10から受信し、記憶部73に一時的に記憶させる。S722bにおいてCPU72は、第2データから、MFPのIPアドレス232およびMFP位置情報240を抽出する。そして、MFP位置情報240およびIPアドレス232を、MFPごとに対応付けて、記憶部73の記憶テーブルTB1に記憶させる。S725bにおいて、CPU72は、相対方向241および相対距離242を算出する。相対方向241および相対距離242の算出は、記憶部73に記憶されている、携帯電話10の位置情報とMFP位置情報240とに基づいて行われる。算出された相対方向および相対距離は、そのMFPの相対方向241および相対距離242として、記憶テーブルTB1に一時的に記憶される。
【0075】
S727bにおいて、CPU72は、第2データを返信してきた全てのMFPについて、相対方向241および相対距離242を算出したか否かを判断する。算出した場合(S727b:YES)にはフローを終了し、算出していない場合(S727b:NO)にはS729bへ進む。S729bにおいて、CPU72は、相対方向および相対距離を未算出のMFPを選択した上で、S725bへ戻る。これにより、第2データを返信してきた全てのMFPについて、相対方向241および相対方向241距離を取得することができる。
【0076】
図12のフローに戻り、S621bにおいて、CPU72は、対象MFPを特定する。図4を用いて、対象MFPを特定するフローを説明する。サーバ71のCPU72は、S311ないしS315までにおける、MFPの選択順位220をソートする処理を行う。そしてS315のステップが終了すると、対象MFPを特定するフローが終了され、S622b(図12)へ進む。なお、図4において、S317およびS319のステップは実行されない。S622bにおいて、CPU72は、ソート後の記憶テーブルTB1の内容を携帯電話10へ送信する処理を、通信部74に実行させる。そして、サーバ71で行われるフローが終了する。
【0077】
以上説明したように、第2実施形態の説明例に係る通信システム1では、相対方向および相対距離を取得する処理や、対象MFPを特定する処理などの一部を、サーバ71で行うことができる。よって、携帯電話10や第1MFP51ないし第3MFP53における、処理の負担を軽減することが可能となる。
【0078】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0079】
第2実施形態において、サーバ71がMFP位置情報240、MFP識別情報230、携帯電話10の位置情報などを取得する経路は様々であってよい。第2実施形態では、サーバ71は、MFP位置情報240およびMFP識別情報230を含んだ第2データを、携帯電話10から受信するとしたが、この形態に限られない。例えば、サーバ71の記憶部73に、第1MFP51ないし第3MFP53の各々についてのMFP位置情報240が、予め記憶されているとしてもよい。そしてサーバ71は、携帯電話10の位置情報のみを携帯電話10から受信するとしてもよい。この場合、サーバ71は、携帯電話10の位置情報とMFP位置情報240とを比較することで、携帯電話10の周囲に存在するMFPを検索するとすればよい。これにより、サーバ71に携帯電話10の位置情報を送信することで、携帯電話10の周囲に存在するMFPについてのMFP位置情報240および識別情報を、サーバ71から受け取ることが可能となる。よって、第1MFP51ないし第3MFP53が、GPS部44等の位置測定機器を備える必要がないため、構成を簡略化することが可能となる。
【0080】
また、相対方向241を決定する方法は、S125の方法に限られない。携帯電話10がMFPからデータを受信したときの電波の特性に基づいて、相対方向241を特定するとしてもよい。具体例としては、携帯電話10が指向性アンテナを備えることで、電波を発信してくるMFPの相対方向241を得る方法が挙げられる。また例えば、携帯電話10がアンテナを複数備えており、電波の受信タイムラグから、電波を発信してくるMFPの相対方向241を得る方法が挙げられる。これにより、携帯電話10の位置情報やMFP位置情報240が取得できない場合においても、相対方向241を取得することが可能となる。
【0081】
また、相対距離242を決定する方法は、S125の方法に限られない。無線通信の電波強度に基づいて、相対距離242を算出するとしてもよい。これにより、携帯電話10の位置情報やMFP位置情報240が取得できない場合においても、相対距離242を取得することが可能となる。
【0082】
また携帯電話10に代えて、ノートパソコンなどの通信機能を有する機器を用いることも可能である。この場合、通信プログラム28は、ノートパソコンにインストールされている、各種のドライバソフトであってもよい。また、通信システムに接続されるMFPの台数は、3台に限られず、多数存在してもよい。また、アクセスポイント62と第1MFP51ないし第3MFP53との間の通信は、無線LAN方式に限らず、有線LAN方式によって行われても良い。
【0083】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0084】
CPU11はコンピュータの一例である。携帯電話の位置情報は第1情報の一例である。第1MFP51ないし第3MFP53は候補装置の一例である。MFP位置情報240は第2情報の一例である。操作部の一例は、加速度センサ26、コンパス部25などと、CPU11によるOS(Operating System)などの実行によって実現される。方向情報は第3情報の一例である。S319、S316を実行するCPU11は、選択手段、選択ステップの一例である。通信部の一例は、無線送受信部15と、CPU11によるOSなどの実行によって実現される。S23に到る処理を実行するCPU11は、通信制御手段、通信制御ステップ、通信手段の一例である。
【0085】
S10の変形例を実行するCPU11は、第1更新手段の一例である。S10を実行するCPU11は、第2更新手段の一例である。S121を実行するCPU11は、第3更新手段の一例である。S115を実行するCPU11は、第4更新手段の一例である。
【0086】
なお、各プログラムは一つのプログラムモジュールから構成されるものであってもよいし、複数のプログラムモジュールから構成されるものであってもよい。また、各一例は置換可能な他の構成であってもよく、本発明の範疇である。プログラム(通信プログラム28など)に基づく処理を実行するコンピュータ(CPU11など)であってもよいし、オペレーティングシステムや他のアプリケーションなど、画像処理プログラム以外のプログラムに基づく処理を実行するコンピュータであってもよいし、コンピュータの指示に従って動作するハード構成(パネル18など)であってもよいし、コンピュータとハード構成とが連動した構成であってもよい。もちろん、複数のプログラムに基づく処理を連動させて処理を実行するコンピュータであってもよいし、複数のプログラムに基づく処理を連動させて処理を実行するコンピュータの指示に従って動作するハード構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1:通信システム、10:携帯電話、11および72:CPU、12および73:記憶部、15:無線送受信部、17:ボタン入力部、24:GPS部、25:コンパス部、26:加速度センサ、28:通信プログラム、51:第1MFP、52:第2MFP、53:第3MFP、74:通信部、230:MFP識別情報、240:MFP位置情報、TB1:記憶テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯装置のコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータを、
携帯装置の物理的位置を示す第1情報と、複数の候補装置の物理的位置を示す第2情報と、
前記携帯装置に対する使用者の操作を受け付ける操作部が受け付けた操作が、前記携帯装置の位置を基準とする何れの方向を指定する操作であったのかを示す第3情報と、
に基づいて、無線ネットワーク上の複数の候補装置のうち、第3情報が示す方向に位置する候補装置を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した装置を通信相手として通信するよう、前記無線ネットワークを用いて通信を行う通信部を制御する通信制御手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記選択手段が、第1情報と、第2情報とから、算出部が算出した前記携帯装置の位置を基準とする方向のうち前記無線ネットワーク上の候補装置が位置する方向と、第3情報が示す方向と、を比較し、前記第3情報が示す方向に位置する候補装置を選択するように機能させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、操作部としての加速度センサであって前記携帯装置を使用者が操作した時に前記携帯装置に加わる加速度を測定する加速度センサ、が測定した加速度が閾値を超えたら、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を前記操作部が受け付けたとして機能させる、請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、前記携帯装置に対する使用者の操作を受け付ける操作部としての加速度センサであって前記携帯装置を使用者が操作した時に前記携帯装置に加わる加速度を測定する加速度センサ、が測定した加速度が閾値を超えたら、第3情報を、加速度の方向に基づいて算出される情報に更新する第1更新手段と、して機能させる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を前記操作部が受け付けたら、第3情報を、前記携帯装置が備えるコンパスが示す方向に基づいて算出される情報に更新する第2更新手段と、して機能させる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を前記操作部が受け付けたら、第1情報を更新する第3更新手段と、して機能させる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、複数の方向のうち何れの方向を指定する操作を前記操作部が受け付けたら、第2情報報を更新する第4更新手段と、して機能させる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、前記選択手段が、第3情報が示す方向に位置する候補装置を1つ選択するように機能させる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、前記通信制御手段が、前記選択手段が選択した複数の候補装置のうち前記使用者が指定した候補装置を通信相手として通信するよう、前記通信部を制御するように機能させる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
携帯装置の制御方法であって、
携帯装置の物理的位置を示す第1情報と、複数の候補装置の物理的位置を示す第2情報と、
前記携帯装置に対する使用者の操作を受け付ける操作部が受け付けた操作が、前記携帯装置の位置を基準とする何れの方向を指定する操作であったのかを示す第3情報と、に基づいて、無線ネットワーク上の複数の候補装置のうち、第3情報が示す方向に位置する候補装置を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択した装置を通信相手として通信するよう、前記無線ネットワークを用いて通信を行う通信部を制御する通信制御ステップと、
からなる制御方法。
【請求項11】
携帯装置の物理的位置を示す第1情報と、複数の候補装置の物理的位置を示す第2情報と、
前記携帯装置に対する使用者の操作を受け付ける操作部が受け付けた操作が、前記携帯装置の位置を基準とする何れの方向を指定する操作であったのかを示す第3情報と、に基づいて、無線ネットワーク上の複数の候補装置のうち、第3情報が示す方向に位置する候補装置を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した装置を通信相手として通信する通信手段と、
を備える携帯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−95265(P2012−95265A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93374(P2011−93374)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】