説明

携帯装置及びプログラム

【課題】次案内地点への到達時間を予測し、予測時間を基準としてGPS測位部を動作させることでGPS測位部の動作回数を逓減し、バッテリの持続時間を向上させる。
【解決手段】目的地までの経路を案内する機能を有する携帯装置において、GPS測位部(2)と、経路案内を行うナビゲーション処理部(41a)と、GPS測位部を制御する制御部(41b)とを備え、前記制御部は、ナビゲーション処理部の経路情報とGPS位置情報とから次案内地点への到達時間を予測し、予測結果に基づいてGPS測位部の駆動タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGPS測位部の駆動タイミングを制御して電力消費を節約するようにした携帯装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機にナビゲーション機能を持たせるものが提案されており、その殆どは携帯電話機のGPS(Groval Positioning System )機能で現在位置情報を取得し、現在位置や目的地等の情報を外部のサーバ計算器に送信してサーバ計算器でナビゲーション処理し、携帯電話機からサーバ計算機にアクセスして地図データや探索経路を取得して案内するというものである。しかし、このようなシステムでは頻繁にサーバ計算機と交信するため、処理時間がかかるとともに、通信コストが高くなってしまう。そこで、最初から携帯電話機内にナビゲーションプログラムをダウンロードして保存し、以後このプログラムを立ち上げるだけでナビゲーション処理を行えるようにしたものも提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−3654
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし特許文献1では、GPSを一定時間毎に自動的に動作させてそのデータから位置情報を取得して案内している。例えば、図3に示すように、現在地(出発地)▲から案内交差点11、12を経由する経路10を通って目的地Gへ案内する場合、GPS捕捉場所は、図の黒点で示すように案内地点等に関係なく一定時間毎に行っており、そのため携帯電話機のバッテリの消耗が激しく、バッテリの持続時間が短くなってしまうとい問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、次案内地点への到達時間を予測し、予測時間を基準としてGPS測位部を動作させることでGPS測位部の動作回数を極力逓減し、バッテリの持続時間を向上させることを目的とする。
本発明は、目的地までの経路を案内する機能を有する携帯装置において、GPS測位部と、経路案内を行うナビゲーション処理部と、GPS測位部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、ナビゲーション処理部の経路情報とGPS位置情報とから次案内地点への到達時間を予測し、予測結果に基づいてGPS測位部の駆動タイミングを制御することを特徴とする。
また、本発明は、目的地までの経路を案内する機能を有する携帯装置を制御するプログラムにおいて、経路情報とGPS位置情報とから次案内地点への到達時間を予測するステップ、予測結果に応じてGPS測位部の駆動タイミングを制御するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、次案内地点への到達時間を予測し、予測時間を基準としてGPS測位部を動作させることでGPS測位部の動作回数を逓減し、バッテリの持続時間を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係る携帯装置の例を示すブロック図である。入力キー1は、数字キー、ローマ字キー、変換キー、各種機能キーなどからなっている携帯装置の入力手段である。GPS測位装置2は、GPS衛星や基地局に対して位置情報要求信号を送信し、数秒〜60秒後に受信して現在位置情報を取得するためのものである。メモリ3は、電話番号、メールアドレス、写真データ等の携帯電話機能に関連した情報、地図データ、道路データ、経路案内データ等のナビゲーション機能に関連した情報、その他各種プログラム等の情報を記憶する半導体メモリである。
【0007】
装置本体4は、ナビゲーションプログラムをダウンロードしてあり、このプログラムを立ち上げるだけでナビゲーション処理を行えるようにしており、そのため、電話機能部42以外に携帯ナビゲーション部41を備えている。携帯ナビゲーション部41は、経路案内処理を行うためのナビゲーション処理部41a、交差点に関する情報などの経路情報、移動速度、GPS位置情報の取得に要する時間等を考慮して次案内地点への到達時間を予測し、その予測結果に基づいてGPS測位装置2の駆動タイミングを制御する制御部41bを備えていて、GPS測位装置2の駆動回数を極力減らして無用にバッテリが消耗しないようにするためのものである。電話機能部42は、電話やメールの送受信処理、インターネットへの接続処理等を行っており、この機能を使ってナビゲーションプログラムをダウンロードしている。送受信装置5は電話機能部の処理のための無線通信装置である。ディスプレイ6は携帯装置のナビゲーション処理結果やメール通信時の出力画面である。
【0008】
なお、携帯ナビゲーション部41におけるナビゲーション処理は、地図データ、道路データ、ナビゲーションデータ等の経路案内に必要となるデータをメモリ3に自前で保持していて、GPS測位装置で取得した現在位置情報に基づいて経路探索し、探索経路を案内する方式に限らず、外部のサーバ計算器を利用し、サーバ計算器から地図データ、道路データ、探索経路等を取得して案内する方式のものであってもよい。
【0009】
図2は本実施形態のGPS捕捉場所を説明する図である。
現在地(出発地)▲から案内交差点11、12を経由する経路10を通って目的地Gへ案内する場合、最初に移動速度の算出を行うため、少なくとも2箇所、例えば位置P1、P2においてGPS測位装置を駆動して位置情報を取得し、位置情報と情報を取得した時間の差から移動速度を算出する。移動速度の算出は、出発時に限らず、経路上で移動手段の変更が生じた場合、例えば、徒歩から自転車、自転車から車両、車両から電車というように移動速度の異なる移動手段へ変更した場合にも行うようにする。こうして算出した移動速度とナビゲーション処理部41aのもつ経路情報とから次案内交差点11への到達時間を予測し、次案内交差点11に接近したタイミング(位置P3)でGPS測位装置を駆動して位置情報を取得する。この位置情報取得により、案内交差点11での走行、ここでは右折を正しく行うことができる。なお、案内交差点への到達時間を予測する場合、経路上の通過する交差点(ここでは交差点13と14)の数、信号の数を道路データから取得し、交差点を通過するに要する時間も考慮に入れるようにしてもよい。
【0010】
次に、経路上の案内交差点11と12の間の距離が長い場合を想定する。例えば、途中の位置P4でGPS測位装置を駆動して位置情報を取得する。このように、次案内交差点までの距離が長い場合は、ルートの逸脱があった場合に時間のロスが大きくなるので、その確認のために行う。この場合、2箇所でGPS測位装置を駆動して位置情報を取得し、移動速度の再確認を行うようにしてもよい。この位置情報の取得と、再確認をした場合にはその移動速度から次案内交差点12への到達時間を予測する。この予測は、上記した場合と同様に、通過する交差点の数や信号の数を考慮するが、さらに、ここでは経路10と交差する道路20が幹線道路のように大きな道路であるため、道路データからその交差点15に関する情報を取得し、交差点15の大きさ(規模)や信号の占有率(走行する方向の信号が青信号である時間の割合)を考慮して次案内交差点12への到達時間を予測する。そして、次案内交差点11に接近したタイミング(位置P3)でGPS測位装置を駆動して位置情報を取得することで、案内交差点12での走行、ここでは左折を正しく行うことができる。最後に、目的地Gへの到達時間を予測し、目的地に接近したタイミングでGPS測位装置を駆動して位置情報を取得し、目的地への到達を確認することができる。
【0011】
なお、上記では経路情報とGPS位置情報とから次案内交差点への到達時間を予測するようにしているが、さらにGPS位置情報取得には時間を要するため、このGPS位置情報取得時間も考慮して次案内交差点までの到達時間を予測し、GPS測位部の駆動タイミングを制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る携帯装置の例を示すブロック図である。
【図2】本実施携帯のGPS捕捉場所を説明する図である。
【図3】従来のGPS捕捉場所を説明する図である。
【符号の説明】
【0013】
1…入力キー、2…GPS測位装置、3…メモリ、4…装置本体、5…送受信装置、6…ディスプレイ、41…携帯ナビゲーション部、41a…ナビゲーション処理部、41b…制御部、42…電話機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路を案内する機能を有する携帯装置において、
GPS測位部と、
経路案内を行うナビゲーション処理部と、
GPS測位部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、ナビゲーション処理部の経路情報とGPS位置情報とから次案内地点への到達時間を予測し、予測結果に基づいてGPS測位部の駆動タイミングを制御することを特徴とする携帯装置。
【請求項2】
前記制御部は、通過する交差点の数を考慮して次案内地点への到達時間を予測することを特徴とする請求項1記載の携帯装置。
【請求項3】
前記制御部は、通過する交差点の信号の数を考慮して次案内地点への到達時間を予測することを特徴とする請求項1または2記載の携帯装置。
【請求項4】
前記制御部は、通過する交差点の大きさを考慮して次案内地点への到達時間を予測することを特徴とする請求項1または2記載の携帯装置。
【請求項5】
前記制御部は、通過する交差点の信号の占有率を考慮して次案内地点への到達時間を予測することを特徴とする請求項1または2記載の携帯装置
【請求項6】
前記制御部は、さらにGPS位置情報取得時間に応じてGPS測位部の駆動タイミングを制御することを特徴とする請求項1記載の携帯装置。
【請求項7】
目的地までの経路を案内する機能を有する携帯装置を制御するプログラムにおいて、
経路情報とGPS位置情報とから次案内地点への到達時間を予測するステップ、
予測結果に応じてGPS測位部の駆動タイミングを制御するステップ、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−85662(P2009−85662A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253203(P2007−253203)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】