説明

携帯通信端末、これに用いられる着信報知方法及びプログラム

【課題】2つの振動器を備えた携帯電話機を卓上等に放置してマナーモードで使用する際に、着信時に消費電力を低減する技術を提供する。
【解決手段】折りたたみ型携帯電話機1は卓91の上に折りたたまれた状態で置かれている。重要な通信相手からの着信時には、下側の第2振動器16が振動する。この第2振動器16からの振動は卓91に伝わりやすく、大きな振動音を発生する。重要でない通信相手からの着信時には、上側の第1振動器が振動する。この第1振動器15からの振動は卓91に伝わりにくく、小さな振動音を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯通信端末で採用されている振動による着信報知技術に関する。特に、本発明は、携帯通信端末を卓上等に放置して使用する際の振動による着信報知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広く使用されている携帯電話機は、振動を発生することにより利用者に着信等を報知する機能を備えている。この機能は一般にマナーモードと呼ばれている。
【0003】
より大きな振動や、種類の異なる振動を発生させるため、複数の振動器を備えた携帯電話機が提案されている。例えば特開2003−211086(特許文献1)は、2個の振動器を共振させることにより、強力な振動を発生する技術を記載している。また、特開2006−157642(特許文献2)は、異なる振動を発生する振動器を組み合わせて作動させることにより、どのキーを押下したかの識別を可能とする技術を記載している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−211086
【特許文献2】特開2006−157642
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動器を複数個備えた携帯電話機は、発生する振動の強さや種類の多さの点において、振動器を1個のみ備えた携帯電話機より優れている。しかしながら、振動器を複数個備えた携帯電話機は、消費電力が大きいため使用可能時間が短くなる。
【0006】
また、マナーモードは、主に次の二つを想定して、設計されている。一つは、携帯電話機を手に持って、利用者が使用する場合である。もう一つは、携帯電話機をポケット等に入れて、利用者が使用する場合である。このため、振動器を1個のみ備えた携帯電話機を卓上等に放置して、利用者が使用する場合には、着信の際に発生する振動音を、利用者は感知しにくいという問題があった。この問題は、特許文献1に開示された技術により解決されうる。しかしながら、消費電力が大きいため使用可能時間が短くなる問題は、依然解決されない。
【0007】
本発明は、利用者が複数の振動器を備えた携帯電話機を卓上等に放置してマナーモードで使用する際に、消費電力を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、
振動により着信報知を行う携帯通信端末であり、
通信相手のアドレスと重要度が登録された電話帳であり、この重要度の項目には当該通信相手が「重要」であるか「普通」であるかを示す情報が登録されている電話帳と、
携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、
携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、
着信が、電話帳に登録された通信相手の中で重要度が「重要」の通信相手からである場合には、第2振動器を作動させ、重要度が「普通」の通信相手からの着信である場合には、第1振動器を作動させる制御部と、
他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部、
とを備えた携帯通信端末を提供する。
【0009】
本発明の第2の側面は、
通信相手のアドレスと重要度を登録可能な電話帳と、携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部とを備えた携帯通信端末で使用される振動による着信報知方法であり、
(A)着信時に、送信元電話番号と電話帳のアドレスとを比較照合して着信した通信相手の重要度を確認し、
(B)確認された重要度が「重要」の場合は、第2振動器を作動させ、
(C)確認された重要度が「普通」の場合は、第1振動器を作動させる
ことを特徴とする着信報知方法を提供する。
【0010】
本発明の第3の側面は、
通信相手のアドレスと重要度を登録可能な電話帳と、携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部とを備えた携帯通信端末で使用される振動による着信報知方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
(A)着信時に、送信元電話番号と電話帳のアドレスとを比較照合して着信した通信相手の重要度を確認し、
(B)確認された重要度が「重要」の場合は、第2振動器を作動させ、
(C)確認された重要度が「普通」の場合は、第1振動器を作動させる
ことを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数個の振動器を備えた携帯通信端末の消費電力を低減させる。また、本発明は、利用者が携帯通信端末を卓上等に放置してマナーモードで使用する際に、通信相手の重要度を考慮した着信報知を利用者が受けることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態が図面を参照して説明される。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。この携帯電話機1は、制御部10と、無線通信部11と、表示部12と、キー入力部13と、電話帳14と、第1振動器15と、第2振動器16からなる。
【0014】
無線通信部11は、他の携帯電話機との通信を行う。
【0015】
表示部12は、液晶ディスプレイを含み、携帯電話機1が提供する文字図形情報を表示する。
【0016】
キー入力部13は、テンキーと、オンフックキー、オフフックキー、電源のオンオフキー等の機能キーを含む。利用者は、キー入力部13のキーを押下することにより、携帯電話機1を操作する。
【0017】
電話帳14は、後述されるように、通信相手のアドレス(電話番号、メールアドレス等)と、通信相手の重要度とを登録している。
【0018】
第1振動器15と第2振動器16は、それぞれが独立して作動可能である。
【0019】
なお、制御部10の機能は、実施形態毎に、後述される。この制御部10は、好ましくは、中央制御装置(CPU)を用いて構成される。
【0020】
図2は、第1の実施形態での携帯電話機における第1振動器15および第2振動器16の配置を示す。図2に示されたように、携帯電話機1は折りたたみ型であり、表示部12等を含む液晶側筐体(「筐体上部」とも称する)1Aと、キー入力部13等を含むキー側筐体(「筐体下部」とも称する)1Bに分けられている。第1振動器15は、液晶側筐体1Aの内部に配置されている。第2振動器16は、キー側筐体1Bの内部に配置されている。なお、両振動器とも、この携帯電話機が折りたたまれた状態で、筐体の外側表面近くに配置されていることが好ましい。
【0021】
また、図2は、携帯電話機1がどのような場所にどのような状態で置かれているかも示す。図2に示されたように、携帯電話機1は、キー側筐体1Bを下側にして、折りたたまれた状態で、卓91の上に放置されている。
【0022】
図3は、第1の実施形態で使用される電話帳14の内容の一例を示す。図3は、3人の通信相手に関する登録内容を示している。各項目の内容は、データの連番であるIDと、電話番号と、メールアドレスと、重要度である。利用者は、「重要」な通信相手の重要度の項目には“1”を設定し、そうでない「普通」の通信相手の重要度の項目には“0”を設定する。
【0023】
次に、図4を参照して、第1の実施形態の動作が説明される。図4は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。
【0024】
この携帯電話機が着信すると、制御部10は、図4のステップS111において、送信元電話番号を確認する。次に、制御部10は、ステップS112において、送信元電話番号が、電話帳14に登録されているか否かを判定する。
【0025】
ステップS112での判定結果が“YES”の場合、制御部10は、ステップS113で電話帳14より該当する送信元電話番号の重要度を確認する。
【0026】
ステップS113で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS114で第2振動器16の振動を開始させる。図2に示されたように、第2振動器16は卓91に接触しているキー側筐体1B内に配置されており、卓91との接触面の近くに位置している。したがって第2振動器16による振動が卓91に伝わりやすいため、第2振動器16は大きな振動音を発生させる。
【0027】
一方、ステップS112での判定結果が“NO”の場合、制御部10は、ステップ115を実行する。また、ステップS113で確認された重要度が“0”の場合 、即ち重要でない「普通」の通信相手からの着信の場合にも、制御部10は、ステップS115を実行する。ステップS115では、制御部10は、第1振動器15の振動を開始させる。図2に示されたように、第1振動器15は卓91に接触していない液晶側筐体1A内に配置されており、卓91との接触面から遠くに位置している。したがって第1振動器15による振動が卓91に伝わりにくいため、第1振動器15は比較的小さな振動音を発生させる。
【0028】
ステップS116では、制御部10は、利用者がオフフックキーを押下して着信に応答したか、または発信者が呼を切断したかを判定する。判定結果が“NO”の場合、制御部10は、振動器の振動を継続したまま、ステップS116での判定を繰り返す。
【0029】
ステップS116での判定結果が“YES”の場合、制御部10は、ステップS117で現在振動している振動器を停止させる。
【0030】
このように本実施形態に係る携帯電話機は、2個の振動器のうち常に1個のみを作動させる。このため、複数の振動器を備えそれらを常に同時に作動させる特許文献1に開示された携帯電話機に比べ、この携帯電話機は、消費電力を低減させる。
【0031】
また、この携帯電話機は、「重要」な通信相手からの着信時には大きな振動音を、それ以外の着信時には比較的小さな振動音を発生させる。よって、利用者は、着信に応答する前に通信相手の重要度を識別できる。
【0032】
また、振動音の大きさの差により、「重要」な通信相手からの着信は、それ以外の着信よりも利用者に気づかれやすい。このため、この携帯電話機は、「重要」な通信相手からの着信を、利用者に、より確実に報知することを可能にする。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態につき、説明される。
【0034】
第2の実施形態の装置構成は、図1と同様である。また、第1振動器15と第2振動器16の配置および携帯電話機の卓上での置かれ方も図2と同様である。また、電話帳14の内容も図3と同様である。
【0035】
次に、図5を参照して、第2の実施形態の動作が説明される。図5は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図5のフローチャートにおいて、図4のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。図5では、図4のステップS114が、ステップS214に置き換えられている。
【0036】
図5では、ステップS113で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS214で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。2個の振動器は、第1の実施形態のように第2振動器16を単独で作動させた場合に比べ、さらに大きな振動音を発生させる。
【0037】
このように本実施形態に係る携帯電話機は、「重要」な通信相手からの着信時には2個の振動器を同時に作動させることにより、第1の実施形態よりもさらに大きな振動音を発生させる。このため、この携帯電話機は、「重要」な通信相手からの着信を、第1の実施形態よりもさらに確実に、利用者に報知することを可能にする。
【0038】
また、この携帯電話機は、重要でない「普通」の通信相手からの着信時には、2個の振動器のうち1個のみを作動させる。このため、複数の振動器を備えそれらを常に同時に作動させる特許文献1に開示された携帯電話機に比べ、この携帯電話機は、消費電力を低減させる。
【0039】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態につき、説明される。
【0040】
第3の実施形態の装置構成も、図1と同様である。また、第1振動器15と第2振動器16の配置および携帯電話機1の卓上での置かれ方も図2と同様である。
【0041】
図6は、第3の実施形態で使用される電話帳14の内容の一例を示す。図6は、5人の通信相手に関する登録内容を示している。利用者は、「特に重要」な通信相手の重要度の項目には“2”を設定し、「重要」な通信相手の重要度の項目には“1”を設定する。また利用者は、それ以外の「普通」の通信相手の重要度の項目には“0”を設定する。重要度の順位は、重要度“2”が最も重要度が高く、次が重要度“1”であり、最も低いのが重要度“0”である。IDと、電話番号と、メールアドレスの項目には、図3と同様の情報が設定される。
【0042】
次に、図7を参照して、第3の実施形態の動作が説明される。図7は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図7のフローチャートにおいて、図4および図5のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4および図5で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。図7では、図5のステップS113が、ステップS313に置き換えられている。
【0043】
図7では、ステップS313で確認された重要度が“2”の場合、即ち「特に重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS214で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。
【0044】
また、ステップS313で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS114で第2振動器16の振動を開始させる。
【0045】
また、ステップS112での判定結果が“NO”の場合、制御部10はステップS115を実行する。ステップS313で確認された重要度が“0”の場合、即ち重要でない「普通」の通信相手からの着信の場合にも、制御部10はステップS115を実行する。ステップS115では、制御部10は第1振動器15の振動を開始させる。
【0046】
本実施形態に係る携帯電話機は、重要度を3段階設定できることにより、第1および第2の実施形態に比べ、より柔軟できめ細やかな着信の報知を行うことができる。また、この携帯電話機は、「特に重要」な一部の通信相手のみを重要度“2”に設定することにより、2個の振動器が同時に作動する機会を減らし、第2の実施形態に比べ、消費電力を低減させる。
【0047】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態につき、説明される。
【0048】
図8は、第4の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。なお、図8のブロック図は、傾きセンサ17が加えられたことを除いては図1のブロック図と同一内容である。したがって、これら同一内容の構成要素についての説明は省略される。
【0049】
傾きセンサ17は、 携帯電話機1の筐体の傾きを感知し、携帯電話機1がどのような向きで置かれているかを判定する。
【0050】
なお、第4の実施形態における、第1振動器15と第2振動器16の配置は図2と同様である。また、電話帳14の内容も図3と同様である
次に、図2および図9を参照して、第4の実施形態における携帯電話機1の卓上での置かれ方と、傾きセンサ17の動作が具体的に説明される。
【0051】
図2は、第1、第2および第3の実施形態と同様に、携帯電話機1が卓91の上に、キー側筐体1Aを下側にして、折りたたまれた状態で放置されていることを示す。一方で、図9は、携帯電話機1が卓91の上に、液晶側筐体1Bを下側にして、折りたたまれた状態で放置されていることを示す。
【0052】
傾きセンサ17は、携帯電話機1の筐体の傾きを検出する。即ち傾きセンサ17は、第1振動器15と、第2振動器16のどちらが下側に位置しているかを検出する。このため、傾きセンサ17は、携帯電話機1が、図2の向きで卓上に放置されているのか、図9の向きで卓上に放置されているのかを判定することが出来る。
【0053】
次に、図10を参照して、第4の実施形態の動作が説明される。図10は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図10のフローチャートにおいて、図4のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。
【0054】
この携帯電話機が着信すると、制御部10は、図10のステップS401において、傾きセンサが示す第1振動器15と第2振動器16の位置関係を確認する。次に、制御部10は、ステップS402において、図2のようにキー側筐体1Bが下側か、図9のように液晶側筐体1Aが下側かの判定を行う。
【0055】
ステップS402で第2振動器16が下側と判定された場合、即ちキー側筐体1Bが下側と判定された場合の動作が以下に説明される。図10の以降のステップにおいて、この携帯電話機は、第1の実施形態と同様の動作を行う。即ち、この携帯電話機は、図10のステップS111乃至S115において、図4のステップS111乃至S115と同じ動作を行う。
【0056】
次に、ステップS402で第1振動器15が下側と判定された場合、即ち液晶側筐体1Aが下側と判定された場合の動作が以下に説明される。図10のステップS411、S412およびS413においては、この携帯電話機は、第1の実施形態と同様の動作を行う。即ち、図4のステップS111乃至S113と同様、送信元電話番号が電話帳に登録されているか否かが判定され、登録されている場合はその重要度が確認される。
【0057】
ステップS413で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS414で第1振動器15の振動を開始する。ステップS402で判明したとおり、図9で示されたように、第1振動器15は卓91に接触している液晶側筐体1A内に配置されており、卓91との接触面の近くに位置している。第1振動器15による振動が卓91に伝わりやすいため、第1振動器15は大きな振動音を発生させる。
一方、ステップS412での判定結果が“NO”の場合、制御部10はステップS415を実行する。ステップS413で確認された重要度が“0”の場合 、即ち重要でない「普通」の通信相手からの着信の場合にも、制御部10はステップS415を実行する。ステップS415では、制御部10は第2振動器16の振動を開始させる。ステップS402で判明したとおり、図9で示されたように、第2振動器16は卓91に接触していないキー側筐体1B内に配置されており、卓91との接触面から遠くに位置している。第2振動器16による振動が卓91に伝わりにくいため、第2振動器16は比較的小さな振動音を発生させる。
【0058】
ステップS116およびS117においては、この携帯電話機は第1の実施形態と同様の動作を行う。即ち、オフフックされるか、呼が切断されるかした場合、現在振動している振動器が停止される。
【0059】
このように本実施形態に係る携帯電話機は、置かれている向きにかかわらず、第1の実施形態同様の重要度に応じた振動による報知を行うことが出来る。即ち、「重要」な通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、下側に位置している振動器を作動させて大きな振動音を発生する。一方で、重要でない「普通」の通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、上側に位置している振動器を作動させて比較的小さな振動音を発生する。
【0060】
このため、例えば利用者が上下逆の向きに携帯電話を放置した場合も、意図したとおりの着信報知が行われる。また、例えば就寝時にベッドの上で使用している時、寝返り等で携帯電話機の向きが上下逆転した場合も、意図したとおりの着信報知が行われる。
【0061】
なお、本実施形態では、ステップS111およびS411の送信元確認動作は、ステップS402の前に実行されても良いことはもちろんである。このことは、後述される実施形態でも同様である。
【0062】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態につき、説明される。
【0063】
第5の実施形態の装置構成は、図8と同様である。また、第1振動器15と第2振動器16の配置および携帯電話機の卓上での置かれ方は図2または図9と同様である。また、電話帳14の内容は図3と同様である。
【0064】
次に、図11を参照して、第5の実施形態の動作が説明される。図11は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図11のフローチャートにおいて、図4、図5および図10のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4、図5および図10で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。図11では、図10のステップS414が、ステップS514に置き換えられている。
【0065】
本実施形態は、ステップS113およびステップS413で確認された重要度が“1”の場合を除いては、第4の実施形態と同一の動作を行う。以下に、同一でない箇所の動作が説明される。
【0066】
図11では、ステップS113で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS214で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。
【0067】
また、ステップS413で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合にも、制御部10は、ステップS514で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。
【0068】
このように本実施形態に係る携帯電話機は、置かれている向きにかかわらず、第2の実施形態同様の重要度に応じた振動による報知を行うことが出来る。即ち、「重要」な通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、2個の振動器を同時に作動させてより大きな振動音を発生する。一方で、重要でない「普通」の通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、上側に位置している振動器を作動させて比較的小さな振動音を発生する。
【0069】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態につき、説明される。
【0070】
第6の実施形態の装置構成は、図8と同様である。また、第1振動器15と第2振動器16の配置および携帯電話機の卓上での置かれ方は図2または図9と同様である。また、電話帳14の内容は図6と同様である。
【0071】
次に、図12を参照して、第6の実施形態の動作が説明される。図12は、この携帯電話機の着信時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図12のフローチャートにおいて、図4、図7、図10および図11のフローチャートの参照符号と同一の符号を付したステップは、図4、図7、図10および図11で説明したステップと同一内容である。したがって、これら同一内容のステップについての説明は省略される。図12では、図11のステップS413が、ステップS613に置き換えられている。
【0072】
本実施形態は、ステップS313およびステップS613での重要度の確認と、ステップS214、S114、S115、S514、S414およびS415での振動器の作動を除いては、第5の実施形態と同一の動作を行う。以下に、同一でない箇所の動作が説明される。
【0073】
図12では、ステップS313で確認された重要度が“2”の場合、即ち「特に重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS214で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。
【0074】
また、ステップS313で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS114で第2振動器16の振動を開始させる。
【0075】
一方で、ステップS613で確認された重要度が“2”の場合、即ち「特に重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS514で第1振動器15および第2振動器16の振動を開始させる。つまり、本実施形態は、着信が「特に重要」な通信相手からの着信時には、ステップS402の判定結果にかかわらず第1振動器および第2振動器の両方を作動させる。
【0076】
また、ステップS613で確認された重要度が“1”の場合、即ち「重要」な通信相手からの着信の場合、制御部10は、ステップS414で第1振動器15の振動を開始させる。
【0077】
このように本実施形態に係る携帯電話機は、置かれている向きにかかわらず、第3の実施形態同様の重要度に応じた振動による報知を行うことが出来る。即ち、「特に重要」な通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、2個の振動器を同時に作動させてより大きな振動音を発生する。また、「重要」な通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、下側に位置している振動器を作動させて大きな振動音を発生する。一方で、重要でない「普通」の通信相手からの着信時には、この携帯電話機は、上側に位置している振動器を作動させて比較的小さな振動音を発生する。
【0078】
以上のとおり、折りたたみ型携帯電話機の電話着信時を例として本発明の実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、他のタイプの携帯電話機、例えばストレート型やスライド型にも適用できる。この場合、ストレート型では、携帯電話機筐体の表示部およびキー入力部を有する面が前述の実施形態の筐体上部に相当し、反対側の面が前述の実施形態の筐体下部に相当する。また、スライド型では、スライド機構で接続された2つの筐体のうち、表示部を有する筐体が前述の実施形態の筐体上部に相当し、キー入力部を有する筐体が前述の実施形態の筐体下部に相当する。
【0079】
また、本発明は、携帯電話機以外の携帯通信端末、例えばPHS(Personal Handy-phone System)やPDA(Personal digital assistance)等にも適用できる。
【0080】
また、本発明は、電話着信時以外に、電子メールの着信時にも適用できる。
【0081】
また、本発明の第4乃至第6の実施形態においては、傾きセンサを備えることにより、携帯電話機が置かれている向きが判定された。この傾きセンサの代わりに、接触センサを使用しても、同様の効果が得られる。その場合、携帯電話機のどの面が卓と接しているかを接触センサが感知することにより、携帯電話機が置かれている向きが判定される。
【0082】
また、本発明の第1乃至第6の実施形態においては、対となる2個の振動器を備える携帯電話機が示された。しかしながら、本発明は、より多くの個数の振動器を備える携帯電話機にも適用できる。例えば、第1振動器は、複数の振動器からなるグループであっても良い。このことは、第2振動器についても同様である。
【0083】
また、本発明の第1乃至第6の実施形態においては、送信元電話番号が電話帳に登録されていない場合、重要でない「普通」の通信相手からの着信と同様の動作を行った。しかしながら、送信元電話番号が電話帳に登録されていない場合、着信を拒否する等の別の動作を行っても良い。また、この動作を行うかどうかを、利用者が選択して設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の携帯電話機の振動器の配置および、置かれ方の一例を示す図である。
【図3】図1の電話帳14の内容の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1の電話帳14の内容の他の例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第4乃至第6の実施形態に係る携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の携帯電話機の振動器の配置および、置かれ方の他の例を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第6の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 携帯電話機
10 制御部
11 無線通信部
12 表示部
13 キー入力部
14 電話帳
15 第1振動器
16 第2振動器
17 傾きセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動により着信報知を行う携帯通信端末であり、
通信相手のアドレスと重要度が登録された電話帳であり、この重要度の項目には当該通信相手が「重要」であるか「普通」であるかを示す情報が登録されている電話帳と、
前記携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、
前記携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、
前記着信が、前記電話帳に登録された通信相手の中で重要度が「重要」の通信相手からである場合には、前記第2振動器を作動させ、重要度が「普通」の通信相手からの着信である場合には、前記第1振動器を作動させる制御部と、
他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部、
とを備えた携帯通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記着信が、重要度が「重要」の通信相手からである場合には、前記第1振動器をさらに作動させる、
請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記電話帳の重要度の項目には、「特に重要」を示す情報が登録可能であり、
前記制御部は、前記着信が、重要度が「特に重要」の通信相手からである場合には、前記第1振動器および第2振動器を作動させる、
請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記携帯通信端末は、前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置しているか否かを検出する置き方センサをさらに備え、
前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置している時は、前記着信が、重要度が「重要」の通信相手からである場合には、前記制御部は、前記第1振動器を作動させ、重要度が「普通」の通信相手からの着信である場合には、前記制御部は、前記第2振動器を作動させる、
請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記携帯通信端末は、前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置しているか否かを検出する置き方センサをさらに備え、
前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置している時は、前記着信が、重要度が「重要」の通信相手からである場合には、前記制御部は、前記第1振動器および第2振動器を作動させ、重要度が「普通」の通信相手からの着信である場合には、前記制御部は、前記第2振動器を作動させる、
請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記携帯通信端末は、前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置しているか否かを検出する置き方センサをさらに備え、
前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置している時は、前記着信が、重要度が「特に重要」の通信相手からである場合には、前記制御部は、前記第1振動器および第2振動器を作動させ、重要度が「重要」の通信相手からの着信である場合には、前記制御部は、前記第1振動器を作動させ、重要度が「普通」の通信相手からの着信である場合には、前記制御部は、前記第2振動器を作動させる、
請求項3に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記置き方センサは、前記携帯通信端末の筐体の傾きを感知する傾きセンサである、請求項4乃至6の何れか1つに記載の携帯通信端末。
【請求項8】
前記置き方センサは、前記携帯通信端末の筐体が他の物体に接触しているかどうかを感知する接触センサである、請求項4乃至6の何れか1つに記載の携帯通信端末。
【請求項9】
通信相手のアドレスと重要度を登録可能な電話帳と、携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部とを備えた携帯通信端末で使用される振動による着信報知方法であり、
(A)着信時に、送信元電話番号と前記電話帳のアドレスとを比較照合して着信した通信相手の重要度を確認し、
(B)確認された重要度が「重要」の場合は、前記第2振動器を作動させ、
(C)確認された重要度が「普通」の場合は、前記第1振動器を作動させる
ことを特徴とする着信報知方法。
【請求項10】
前記ステップ(B)は、前記第1振動器をさらに作動させる、
請求項9に記載の着信報知方法。
【請求項11】
前記電話帳の重要度の項目には、「特に重要」を示す情報が登録可能であり、
(D)確認された重要度が「特に重要」の場合は、前記第1振動器および第2振動器を作動させるステップをさらに備えた、
請求項9に記載の着信報知方法。
【請求項12】
前記携帯通信端末は、前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置しているか否かを検出する置き方センサをさらに備えた携帯通信端末であり、
前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置している時は、前記ステップ(A)を実行後に、下記ステップ(D),(E)を実行する請求項9に記載の着信報知方法。
(D)確認された重要度が「重要」の場合は、前記第1振動器を作動させ、
(E)確認された重要度が「普通」の場合は、前記第2振動器を作動させる。
【請求項13】
前記ステップ(B)は、前記第1振動器をさらに作動させ、
前記ステップ(D)は、前記第2振動器をさらに作動させる、
請求項12に記載の着信報知方法。
【請求項14】
前記ステップ(A)を実行後に、下記ステップ(F)を実行する請求項12に記載の着信報知方法。
(F)確認された重要度が「特に重要」の場合は、前記第1振動器および第2振動器を作動させる。
【請求項15】
通信相手のアドレスと重要度を登録可能な電話帳と、携帯通信端末の筐体上部側に配置された第1振動器と、携帯通信端末の筐体下部側に配置された第2振動器と、他の携帯通信端末との交信を行う無線通信部とを備えた携帯通信端末で使用される振動による着信報知方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、このプログラムは、下記(A)−(C)のステップを含む。
(A)着信時に、送信元電話番号と前記電話帳のアドレスとを比較照合して着信した通信相手の重要度を確認し、
(B)確認された重要度が「重要」の場合は、前記第2振動器を作動させ、
(C)確認された重要度が「普通」の場合は、前記第1振動器を作動させる。
【請求項16】
前記ステップ(B)は、前記第1振動器をさらに作動させる、
請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記電話帳の重要度の項目には、「特に重要」を示す情報が登録可能であり、
(D)確認された重要度が「特に重要」の場合は、前記第1振動器および第2振動器を作動させるステップをさらに備えた、
請求項15に記載のプログラム。
【請求項18】
前記携帯通信端末は、前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置しているか否かを検出する置き方センサをさらに備えた携帯通信端末であり、
前記第2振動器が前記第1振動器の上側に位置している時は、前記ステップ(A)を実行後に、下記ステップ(D),(E)を実行する請求項15に記載のプログラム。
(D)確認された重要度が「重要」の場合は、前記第1振動器を作動させ、
(E)確認された重要度が「普通」の場合は、前記第2振動器を作動させる。
【請求項19】
前記ステップ(B)は、前記第1振動器をさらに作動させ、
前記ステップ(D)は、前記第2振動器をさらに作動させる、
請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記ステップ(A)を実行後に、下記ステップ(F)を実行する請求項18に記載のプログラム。
(F)確認された重要度が「特に重要」の場合は、前記第1振動器および第2振動器を作動させる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−16976(P2009−16976A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173688(P2007−173688)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】