携帯通信端末
【課題】アンテナを筐体に対して自在に変位させることが可能な構成を採用しつつ、アンテナの共振周波数の安定化を図ることができる携帯通信端末を提供すること。
【解決手段】筐体と、筐体との相対距離が変化するように筐体に取り付けられて構成される第1のアンテナ部20と、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20と筐体との距離に応じて、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを調整する共振周波数調整部22と、を有する。
【解決手段】筐体と、筐体との相対距離が変化するように筐体に取り付けられて構成される第1のアンテナ部20と、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20と筐体との距離に応じて、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを調整する共振周波数調整部22と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体との相対距離が変化可能に構成されるアンテナを有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体と、当該筐体との距離を変更可能に筐体に取り付けられるアンテナと、を有する携帯通信端末が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このような携帯通信端末は、使用状態に応じて、アンテナの角度や位置を変更可能なように可倒・伸縮が自在なように構成されている。
【非特許文献1】可倒・伸縮式のアンテナを有する携帯端末、[平成19年12月3日]、インターネット<http://k−tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32731.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アンテナの角度や位置を変更した場合、筐体とアンテナとの相対距離が変わり、筐体のアンテナに対する影響が変化する。そうすると、アンテナの共振周波数が変化してしまい、アンテナの通信感度が安定しないという課題がある。
【0004】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、アンテナを筐体に対して自在に変位させることが可能な構成を採用しつつ、アンテナの共振周波数の安定化を図ることができる携帯通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る携帯通信端末は、上述の課題を解決するために、筐体と、前記筐体との相対距離が変化するように前記筐体に取り付けられて構成されるアンテナと、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて、前記アンテナの共振周波数を調整する共振周波数調整手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、上記携帯通信端末では、前記アンテナは、所定の周波数の信号の送信又は受信を行い、前記共振周波数調整手段は、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて変化する前記アンテナの共振周波数を前記所定の周波数に調整する、ことが好ましい。
【0007】
また、上記携帯通信端末では、前記アンテナは、第1の位置と、前記第1の位置に比して前記筐体に近接する第2の位置の間で変位するように構成されており、前記共振周波数調整手段は、前記アンテナの共振周波数を、前記アンテナが、前記第1の位置にあるときよりも、前記第2の位置にあるときの方が高くなるように調整する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アンテナと筐体との相対距離が変化してもアンテナの通信感度が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、本発明に係る携帯通信端末を携帯電話機に適用したものであるが、本発明は、携帯電話機に限定されるものではなく、携帯電話機以外の携帯通信端末、例えば、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコン、操作部を備えるELディスプレイ又は液晶ディスプレイ等にも適用可能である。
【0010】
まず、本発明の一実施形態の携帯電話機1における基本構造について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)の斜視図である。図2は、本実施形態の携帯電話機1について、表示部側筐体3(第1筐体)を、ヒンジ部4(基台部)の回動軸Y(第1回転軸)を中心にして所定角度回動した状態の斜視図である。図3は、本実施形態の携帯電話機1について、表示部側筐体3を、ヒンジ部4の回動軸Yを中心にして180°回動した状態(ターン状態、第2開状態)の斜視図である。図4は、本実施形態の携帯電話機1について、操作部側筐体2(第2筐体)と表示部側筐体3とを、ヒンジ部4の開閉軸X(第2回転軸)を中心に閉回転し、閉じた状態(第1閉状態)の平面図である。
【0012】
携帯電話機1は、図1から図4に示すように、第1筐体である表示部側筐体3と、第2筐体である操作部側筐体2とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、2軸ヒンジ機構を備えるヒンジ部4を介して連結されており、携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とするとともに、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることができる。
【0013】
すなわち、ヒンジ部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心に任意の角度で開閉可能に連結するとともに、回動軸Yを中心に任意の角度で回動可能に連結する2軸ヒンジ機構を備えている。回動軸Yは、開閉軸Xに対して直交している。
【0014】
ここで、閉状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態(第1開状態ともいう)とは、表示部側筐体3の表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2の表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)をいう。開状態における裏状態(第2開状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態(図3参照)をいう。
【0015】
閉状態における表状態(第1閉状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態(図4参照)をいう。閉状態における裏状態(第2閉状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態(図示せず)をいう。
【0016】
操作部側筐体2は、その外面が操作部フロントケース2a及び操作部リアケース2bを主体として構成されている。操作部側筐体2は、その操作部フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とがそれぞれ露出して構成されている。ここで、操作キー群11は、各種設定、電話帳機能、メール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0017】
また、マイク12は、操作部側筐体2の表面2A側の先端部(ヒンジ部4とは反対側の端部)近傍に配置されている。
【0018】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1においては、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0019】
操作部側筐体2の側面には、例えば、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース、ヘッドホン/マイク端子、着脱可能な外部メモリのインターフェース、バッテリを充電するための充電端子が設けられている。
【0020】
また、操作部側筐体2には、図1乃至4に示すように、放送波の受信を行う放送波受信用の第1のアンテナ部20が配置される。
【0021】
表示部側筐体3は、その外面が表示部フロントケース3a及び表示部リアケース3bを主体として構成されている。表示部フロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出して配置されている。音声出力部31は、表示部側筐体3の表面3Aの先端部(ヒンジ部4とは反対側の端部)近傍に配置されている。
【0022】
また、表示部側筐体3は、ヒンジ部4と連結されている側の端面に第1緩衝部材32aと第2緩衝部材32bが設けられている。
【0023】
また、表示部側筐体3の表示部リアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ33が露出して配置されている。ディスプレイ30及びサブディスプレイ33は、液晶パネル、該液晶パネルを駆動する駆動回路、該液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部等から構成されている。
【0024】
また、操作部側筐体2には、ヒンジ部4を回動軸Yと直交する開閉軸Xにより把持する第1把持部16aと第2把持部16bを有している。
【0025】
なお、本実施形態においては、ヒンジ部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でも良い。
【0026】
つぎに、図5の機能ブロック図を参照して、携帯電話機1の各機能について説明する。携帯電話機1は、図5に示すように、放送波を受信する放送波受信部100(第1の信号処理手段)と、外部の機器(例えば、基地局)と通信を行う通信部150(第2の信号処理手段)と、所定の処理を行う処理部200と、を備えている。
【0027】
放送波受信部100の構成と動作について説明する。放送波受信部100は、放送波受信用の第1のアンテナ部20と、第1のアンテナ部20に所定の電力を給電する給電部21と、第1のアンテナ部20の共振周波数を調整する共振周波数調整部22と、第1のアンテナ部20により受信した信号に対して所定の処理を行う放送波処理部101と、を備える。また、詳細は後述するが、第1のアンテナ部20は、電波の受信角度を調整可能なように構成されている。
【0028】
また、放送波受信部100は、いわゆるワンセグ放送の受信を行う。ここで、ワンセグ放送について説明する。
【0029】
地上波デジタル放送は、470MHz〜770MHzのUHF帯の電波を使用しており、1チャンネル(帯域幅6MHz)を14個に周波数分割し、その中の13個(セグメント)(帯域幅5.6MHz)を放送に使用する。また、残りの1個は、隣のチャンネルとの混信を避けるためのガードバンドとして使用される。
【0030】
また、13セグメントの内、中央のセグメントがワンセグ放送用に割り当てられる。
【0031】
また、ワンセグ放送は、429kHzと帯域が狭いが、移動体端末向けということで雑音に強い変調方式(QPSK−OFDM(Quadrature Phase Shift Keying(4位相偏移変調)−Orthogonal Frequency Division Multiplexing(直交周波数分割多重))方式)が採られており、また、1セグメントだけの受信で済むので、アナログ放送の受信に比べて消費電力を抑えることができる。
【0032】
また、日本の地上波デジタル放送方式ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)は、各階層毎に搬送波の変調方式や誤り訂正の強さを変えることができるという特徴がある。これによって、1セグメントを移動体端末向けに雑音に強い方式で変調して、残りの12セグメントを固定受信機向けに情報レート優先で変調して高精細で放送するといったことが可能となっている。
【0033】
つぎに、通信部150の構成と動作について説明する。通信部150は、所定の通信方式(例えば、CDMA(Code Division Mulitiple Access)2000_1x等)に基づいて、基地局を介して他の通信端末装置との間で電話による通信やメールによる通信等を行う第2のアンテナ部151と、送信処理を行う送信回路と受信処理を行う受信回路とにより構成される通信処理部152と、を備える。
【0034】
第2のアンテナ部151は、所定の使用周波数帯(例えば、824MHz〜875MHz)で基地局と通信を行う。また、第2のアンテナ部151から基地局へ送信される送信信号の周波数帯は、例えば、824MHzであり、基地局から第2のアンテナ部151に受信される受信信号の周波数帯は、例えば、875MHzである。
【0035】
通信処理部152は、第2のアンテナ部151によって受信した信号を受信回路により復調処理し、処理後の信号を処理部200に供給し、また、処理部200から供給された信号を送信回路により変調処理し、第2のアンテナ部151を介して基地局に送信する。
【0036】
また、処理部200は、操作キー群11と、マイク12と、ディスプレイ30と、音声出力部31と、所定のデータが格納されているメモリ201と、所定の音処理を行う音処理部202と、所定の画像処理を行う画像処理部203と、被写体を撮像するカメラ部25と、着信音等が出力されるスピーカ204と、を備えている。
【0037】
ここで、放送波受信部100の第1のアンテナ部20と、給電部21と、共振周波数調整部22の具体的な構成について説明する。なお、図6は、第1のアンテナ部20を引き伸ばしたときの様子を示す図であり、図7は、給電部21の構成例を示す図であり、図8は、第1のアンテナ部20と給電部21の位置関係を示す図であり、図9は、給電部21と共振周波数調整部22とにより構成される第1のマッチング回路の構成例を示す図であり、図10は、給電部21と共振周波数調整部22とにより構成される第2のマッチング回路の構成例を示す図である。
【0038】
第1のアンテナ部20は、位置状態の変化に伴って、操作部側筐体2と表示部側筐体3(以下、単に「筐体」という)との相対距離が変化するように筐体に取り付けられて構成されている。具体的には、第1のアンテナ部20は、図7に示すように、使用状態に応じて、伸張(図7中のA方向)及び収納(図7中のB方向)が自在に変位可能に構成されており、引き伸ばした状態において、任意の方向に任意の角度で倒すことができるように構成されている。
【0039】
給電部21は、図7に示すように、例えば、円環状に構成されたA〜Hの8つの給電端子から構成されており、各給電端子は、互いに電気的に接触しないように独立して構成されている。なお、給電端子の数は、8つに限られず、8つ以下でも良いし、8つ以上でも良い。
【0040】
また、給電部21の中心に挿通される第1のアンテナ部20は、図8に示すように、使用者の操作に応じて、任意の点Xを支点にして、8つの方向に倒せるように構成されており、倒された方向と反対の方向に形成されている給電端子と接触することにより給電が受けられるように構成されている。
【0041】
また、図9に示すように、各給電端子に接続されている共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20と筐体の相対距離がどのような関係になっても、常に一定の共振周波数fcが得られるように、それぞれ異なる回路定数のマッチング回路により構成されている。なお、図9に示すマッチング回路は、一例であり、コンデンサとコイル以外の組み合わせにより構成されていても良い。
【0042】
また、本発明に係る携帯電話機1は、第1のアンテナ部20と筐体の相対距離がどのような関係になっても、常に一定の共振周波数fcが得られるように、図10に示すように、各給電端子に接続されている誘電体の誘電率や、当該誘電体の大きさや、共振周波数調整部22までの距離等をそれぞれ異なるようにして、構成されても良い。例えば、給電端子Aに誘電率ε1を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L1であり、共振周波数調整部22までの距離dをd1とする。また、給電端子Bに誘電率ε2を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L2であり、共振周波数調整部22までの距離dをd2とする。また、給電端子Cに誘電率ε3を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L3であり、共振周波数調整部22までの距離dをd3とする。また、給電端子Dに誘電率ε4を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L4であり、共振周波数調整部22までの距離dをd4とする。また、給電端子Eに誘電率ε5を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L5であり、共振周波数調整部22までの距離dをd5とする。また、給電端子Fに誘電率ε6を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L6であり、共振周波数調整部22までの距離dをd6とする。また、給電端子Gに誘電率ε7を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L7であり、共振周波数調整部22までの距離dをd7とする。また、給電端子Hに誘電率ε8を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L8であり、共振周波数調整部22までの距離dをd8とする。
【0043】
このような構成によれば、共振周波数調整部22の回路構成は単一のものにすることができる。
【0044】
このようにして、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20と筐体との距離に応じて、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを調整する。
【0045】
したがって、本発明では、通信状況に応じて第1のアンテナ部10の位置状態を筐体に対して自在に変化させることが可能な構成を採用しつつ、第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても第1のアンテナ部20の共振周波数fcの安定化を図ることができる。したがって、第1のアンテナ部20により送受信される際の通信感度を安定させることができる。
【0046】
また、第1のアンテナ部20は、使用者の操作に応じて、第1の位置(図11中のY)と、当該第1の位置に比して筐体に近接する第2の位置(図11中のZ)の間で位置状態が変化するように構成されている。共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを、第1のアンテナ部20の位置状態が、第1の位置に変化しているときよりも、第2の位置に変化しているときの方が高くなるように調整することが好ましい。
【0047】
これは、第1のアンテナ部20の通信感度は、第1のアンテナ部20と筐体との相対距離により変動し、筐体と位置が近い場合には、共振周波数fcが減衰する特性がある。そこで、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20が筐体に近い場合には、共振周波数fcが所定量高くなるように調整する。
【0048】
このように構成されることにより、本発明では、通信状況に応じて第1のアンテナ部10の位置状態を筐体に対して自在に変化させることが可能な構成を採用しつつ、第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても第1のアンテナ部20の共振周波数fcの安定化を図ることができる。したがって、第1のアンテナ部20により送受信される際の通信感度を安定させることができる。
【0049】
また、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20の共振周波数fcを最も通信感度の良い所定の周波数に調整(変更)するような構成であっても良い。
【0050】
なお、本実施例においては、地上波デジタル放送を受信する第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても常に共振周波数fcを一定に調整する構成について説明したが、本発明は、地上波デジタル放送を受信するアンテナに限られず、他の信号を受信するアンテナに適用されても良い。
【0051】
また、本実施例においては、第1のアンテナ部20は、図7及び図8に示すように、円環状に構成された複数の給電端子を有し、任意の点Xを支点にして、複数の方向に倒せる構成であるとして説明したが、特にこれに限られず、例えば、伸縮のみ行える構成とし、伸縮の程度によって、電気的に接触する給電端子が変化するような構成であっても良いし、また、携帯電話機1がいわゆるスライド式の場合において、一方の筐体に第1のアンテナ部20を固定し、筐体同士がスライドする程度によって、電気的に接触する給電端子が変化するような構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機を開いた状態(第1開状態)の斜視図である。
【図2】本実施形態の携帯電話機について、表示部側筐体を、ヒンジ部の回動軸を中心にして所定角度回動した状態の斜視図である。
【図3】本実施形態の携帯電話機について、表示部側筐体を、ヒンジ部の回動軸を中心にして180°回動した状態(ターン状態、第2開状態)の斜視図である。
【図4】本実施形態の携帯電話機について、操作部側筐体と表示部側筐体とを、ヒンジ部の開閉軸を中心に閉回転し、閉じた状態(第1閉状態)の平面図である。
【図5】本発明に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図6】第1のアンテナ部を引き伸ばしたときの様子を示す図である。
【図7】給電部の外観構成を示す図である。
【図8】第1のアンテナ部と給電部の位置関係を示す図である。
【図9】給電部と共振周波数調整部とにより構成される第1のマッチング回路の構成例を示す図である。
【図10】給電部と共振周波数調整部とにより構成される第2のマッチング回路の構成例を示す図である。
【図11】第1のアンテナ部の位置状態の変化についての説明に供する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 携帯電話機
20 第1のアンテナ部
21 給電部
22 共振周波数調整部
100 放送波受信部
101 放送波処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体との相対距離が変化可能に構成されるアンテナを有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体と、当該筐体との距離を変更可能に筐体に取り付けられるアンテナと、を有する携帯通信端末が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このような携帯通信端末は、使用状態に応じて、アンテナの角度や位置を変更可能なように可倒・伸縮が自在なように構成されている。
【非特許文献1】可倒・伸縮式のアンテナを有する携帯端末、[平成19年12月3日]、インターネット<http://k−tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32731.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アンテナの角度や位置を変更した場合、筐体とアンテナとの相対距離が変わり、筐体のアンテナに対する影響が変化する。そうすると、アンテナの共振周波数が変化してしまい、アンテナの通信感度が安定しないという課題がある。
【0004】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、アンテナを筐体に対して自在に変位させることが可能な構成を採用しつつ、アンテナの共振周波数の安定化を図ることができる携帯通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る携帯通信端末は、上述の課題を解決するために、筐体と、前記筐体との相対距離が変化するように前記筐体に取り付けられて構成されるアンテナと、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて、前記アンテナの共振周波数を調整する共振周波数調整手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、上記携帯通信端末では、前記アンテナは、所定の周波数の信号の送信又は受信を行い、前記共振周波数調整手段は、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて変化する前記アンテナの共振周波数を前記所定の周波数に調整する、ことが好ましい。
【0007】
また、上記携帯通信端末では、前記アンテナは、第1の位置と、前記第1の位置に比して前記筐体に近接する第2の位置の間で変位するように構成されており、前記共振周波数調整手段は、前記アンテナの共振周波数を、前記アンテナが、前記第1の位置にあるときよりも、前記第2の位置にあるときの方が高くなるように調整する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アンテナと筐体との相対距離が変化してもアンテナの通信感度が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、本発明に係る携帯通信端末を携帯電話機に適用したものであるが、本発明は、携帯電話機に限定されるものではなく、携帯電話機以外の携帯通信端末、例えば、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコン、操作部を備えるELディスプレイ又は液晶ディスプレイ等にも適用可能である。
【0010】
まず、本発明の一実施形態の携帯電話機1における基本構造について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)の斜視図である。図2は、本実施形態の携帯電話機1について、表示部側筐体3(第1筐体)を、ヒンジ部4(基台部)の回動軸Y(第1回転軸)を中心にして所定角度回動した状態の斜視図である。図3は、本実施形態の携帯電話機1について、表示部側筐体3を、ヒンジ部4の回動軸Yを中心にして180°回動した状態(ターン状態、第2開状態)の斜視図である。図4は、本実施形態の携帯電話機1について、操作部側筐体2(第2筐体)と表示部側筐体3とを、ヒンジ部4の開閉軸X(第2回転軸)を中心に閉回転し、閉じた状態(第1閉状態)の平面図である。
【0012】
携帯電話機1は、図1から図4に示すように、第1筐体である表示部側筐体3と、第2筐体である操作部側筐体2とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、2軸ヒンジ機構を備えるヒンジ部4を介して連結されており、携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とするとともに、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることができる。
【0013】
すなわち、ヒンジ部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心に任意の角度で開閉可能に連結するとともに、回動軸Yを中心に任意の角度で回動可能に連結する2軸ヒンジ機構を備えている。回動軸Yは、開閉軸Xに対して直交している。
【0014】
ここで、閉状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態(第1開状態ともいう)とは、表示部側筐体3の表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2の表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)をいう。開状態における裏状態(第2開状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態(図3参照)をいう。
【0015】
閉状態における表状態(第1閉状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態(図4参照)をいう。閉状態における裏状態(第2閉状態ともいう)とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態(図示せず)をいう。
【0016】
操作部側筐体2は、その外面が操作部フロントケース2a及び操作部リアケース2bを主体として構成されている。操作部側筐体2は、その操作部フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とがそれぞれ露出して構成されている。ここで、操作キー群11は、各種設定、電話帳機能、メール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0017】
また、マイク12は、操作部側筐体2の表面2A側の先端部(ヒンジ部4とは反対側の端部)近傍に配置されている。
【0018】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1においては、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0019】
操作部側筐体2の側面には、例えば、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース、ヘッドホン/マイク端子、着脱可能な外部メモリのインターフェース、バッテリを充電するための充電端子が設けられている。
【0020】
また、操作部側筐体2には、図1乃至4に示すように、放送波の受信を行う放送波受信用の第1のアンテナ部20が配置される。
【0021】
表示部側筐体3は、その外面が表示部フロントケース3a及び表示部リアケース3bを主体として構成されている。表示部フロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出して配置されている。音声出力部31は、表示部側筐体3の表面3Aの先端部(ヒンジ部4とは反対側の端部)近傍に配置されている。
【0022】
また、表示部側筐体3は、ヒンジ部4と連結されている側の端面に第1緩衝部材32aと第2緩衝部材32bが設けられている。
【0023】
また、表示部側筐体3の表示部リアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ33が露出して配置されている。ディスプレイ30及びサブディスプレイ33は、液晶パネル、該液晶パネルを駆動する駆動回路、該液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部等から構成されている。
【0024】
また、操作部側筐体2には、ヒンジ部4を回動軸Yと直交する開閉軸Xにより把持する第1把持部16aと第2把持部16bを有している。
【0025】
なお、本実施形態においては、ヒンジ部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でも良い。
【0026】
つぎに、図5の機能ブロック図を参照して、携帯電話機1の各機能について説明する。携帯電話機1は、図5に示すように、放送波を受信する放送波受信部100(第1の信号処理手段)と、外部の機器(例えば、基地局)と通信を行う通信部150(第2の信号処理手段)と、所定の処理を行う処理部200と、を備えている。
【0027】
放送波受信部100の構成と動作について説明する。放送波受信部100は、放送波受信用の第1のアンテナ部20と、第1のアンテナ部20に所定の電力を給電する給電部21と、第1のアンテナ部20の共振周波数を調整する共振周波数調整部22と、第1のアンテナ部20により受信した信号に対して所定の処理を行う放送波処理部101と、を備える。また、詳細は後述するが、第1のアンテナ部20は、電波の受信角度を調整可能なように構成されている。
【0028】
また、放送波受信部100は、いわゆるワンセグ放送の受信を行う。ここで、ワンセグ放送について説明する。
【0029】
地上波デジタル放送は、470MHz〜770MHzのUHF帯の電波を使用しており、1チャンネル(帯域幅6MHz)を14個に周波数分割し、その中の13個(セグメント)(帯域幅5.6MHz)を放送に使用する。また、残りの1個は、隣のチャンネルとの混信を避けるためのガードバンドとして使用される。
【0030】
また、13セグメントの内、中央のセグメントがワンセグ放送用に割り当てられる。
【0031】
また、ワンセグ放送は、429kHzと帯域が狭いが、移動体端末向けということで雑音に強い変調方式(QPSK−OFDM(Quadrature Phase Shift Keying(4位相偏移変調)−Orthogonal Frequency Division Multiplexing(直交周波数分割多重))方式)が採られており、また、1セグメントだけの受信で済むので、アナログ放送の受信に比べて消費電力を抑えることができる。
【0032】
また、日本の地上波デジタル放送方式ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)は、各階層毎に搬送波の変調方式や誤り訂正の強さを変えることができるという特徴がある。これによって、1セグメントを移動体端末向けに雑音に強い方式で変調して、残りの12セグメントを固定受信機向けに情報レート優先で変調して高精細で放送するといったことが可能となっている。
【0033】
つぎに、通信部150の構成と動作について説明する。通信部150は、所定の通信方式(例えば、CDMA(Code Division Mulitiple Access)2000_1x等)に基づいて、基地局を介して他の通信端末装置との間で電話による通信やメールによる通信等を行う第2のアンテナ部151と、送信処理を行う送信回路と受信処理を行う受信回路とにより構成される通信処理部152と、を備える。
【0034】
第2のアンテナ部151は、所定の使用周波数帯(例えば、824MHz〜875MHz)で基地局と通信を行う。また、第2のアンテナ部151から基地局へ送信される送信信号の周波数帯は、例えば、824MHzであり、基地局から第2のアンテナ部151に受信される受信信号の周波数帯は、例えば、875MHzである。
【0035】
通信処理部152は、第2のアンテナ部151によって受信した信号を受信回路により復調処理し、処理後の信号を処理部200に供給し、また、処理部200から供給された信号を送信回路により変調処理し、第2のアンテナ部151を介して基地局に送信する。
【0036】
また、処理部200は、操作キー群11と、マイク12と、ディスプレイ30と、音声出力部31と、所定のデータが格納されているメモリ201と、所定の音処理を行う音処理部202と、所定の画像処理を行う画像処理部203と、被写体を撮像するカメラ部25と、着信音等が出力されるスピーカ204と、を備えている。
【0037】
ここで、放送波受信部100の第1のアンテナ部20と、給電部21と、共振周波数調整部22の具体的な構成について説明する。なお、図6は、第1のアンテナ部20を引き伸ばしたときの様子を示す図であり、図7は、給電部21の構成例を示す図であり、図8は、第1のアンテナ部20と給電部21の位置関係を示す図であり、図9は、給電部21と共振周波数調整部22とにより構成される第1のマッチング回路の構成例を示す図であり、図10は、給電部21と共振周波数調整部22とにより構成される第2のマッチング回路の構成例を示す図である。
【0038】
第1のアンテナ部20は、位置状態の変化に伴って、操作部側筐体2と表示部側筐体3(以下、単に「筐体」という)との相対距離が変化するように筐体に取り付けられて構成されている。具体的には、第1のアンテナ部20は、図7に示すように、使用状態に応じて、伸張(図7中のA方向)及び収納(図7中のB方向)が自在に変位可能に構成されており、引き伸ばした状態において、任意の方向に任意の角度で倒すことができるように構成されている。
【0039】
給電部21は、図7に示すように、例えば、円環状に構成されたA〜Hの8つの給電端子から構成されており、各給電端子は、互いに電気的に接触しないように独立して構成されている。なお、給電端子の数は、8つに限られず、8つ以下でも良いし、8つ以上でも良い。
【0040】
また、給電部21の中心に挿通される第1のアンテナ部20は、図8に示すように、使用者の操作に応じて、任意の点Xを支点にして、8つの方向に倒せるように構成されており、倒された方向と反対の方向に形成されている給電端子と接触することにより給電が受けられるように構成されている。
【0041】
また、図9に示すように、各給電端子に接続されている共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20と筐体の相対距離がどのような関係になっても、常に一定の共振周波数fcが得られるように、それぞれ異なる回路定数のマッチング回路により構成されている。なお、図9に示すマッチング回路は、一例であり、コンデンサとコイル以外の組み合わせにより構成されていても良い。
【0042】
また、本発明に係る携帯電話機1は、第1のアンテナ部20と筐体の相対距離がどのような関係になっても、常に一定の共振周波数fcが得られるように、図10に示すように、各給電端子に接続されている誘電体の誘電率や、当該誘電体の大きさや、共振周波数調整部22までの距離等をそれぞれ異なるようにして、構成されても良い。例えば、給電端子Aに誘電率ε1を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L1であり、共振周波数調整部22までの距離dをd1とする。また、給電端子Bに誘電率ε2を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L2であり、共振周波数調整部22までの距離dをd2とする。また、給電端子Cに誘電率ε3を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L3であり、共振周波数調整部22までの距離dをd3とする。また、給電端子Dに誘電率ε4を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L4であり、共振周波数調整部22までの距離dをd4とする。また、給電端子Eに誘電率ε5を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L5であり、共振周波数調整部22までの距離dをd5とする。また、給電端子Fに誘電率ε6を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L6であり、共振周波数調整部22までの距離dをd6とする。また、給電端子Gに誘電率ε7を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L7であり、共振周波数調整部22までの距離dをd7とする。また、給電端子Hに誘電率ε8を有する誘電体が接続されており、当該誘電体の長さLは、L8であり、共振周波数調整部22までの距離dをd8とする。
【0043】
このような構成によれば、共振周波数調整部22の回路構成は単一のものにすることができる。
【0044】
このようにして、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20と筐体との距離に応じて、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを調整する。
【0045】
したがって、本発明では、通信状況に応じて第1のアンテナ部10の位置状態を筐体に対して自在に変化させることが可能な構成を採用しつつ、第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても第1のアンテナ部20の共振周波数fcの安定化を図ることができる。したがって、第1のアンテナ部20により送受信される際の通信感度を安定させることができる。
【0046】
また、第1のアンテナ部20は、使用者の操作に応じて、第1の位置(図11中のY)と、当該第1の位置に比して筐体に近接する第2の位置(図11中のZ)の間で位置状態が変化するように構成されている。共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の共振周波数fcを、第1のアンテナ部20の位置状態が、第1の位置に変化しているときよりも、第2の位置に変化しているときの方が高くなるように調整することが好ましい。
【0047】
これは、第1のアンテナ部20の通信感度は、第1のアンテナ部20と筐体との相対距離により変動し、筐体と位置が近い場合には、共振周波数fcが減衰する特性がある。そこで、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20が筐体に近い場合には、共振周波数fcが所定量高くなるように調整する。
【0048】
このように構成されることにより、本発明では、通信状況に応じて第1のアンテナ部10の位置状態を筐体に対して自在に変化させることが可能な構成を採用しつつ、第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても第1のアンテナ部20の共振周波数fcの安定化を図ることができる。したがって、第1のアンテナ部20により送受信される際の通信感度を安定させることができる。
【0049】
また、共振周波数調整部22は、第1のアンテナ部20の位置状態の変化に伴って変化する第1のアンテナ部20の共振周波数fcを最も通信感度の良い所定の周波数に調整(変更)するような構成であっても良い。
【0050】
なお、本実施例においては、地上波デジタル放送を受信する第1のアンテナ部20の位置状態が変化しても常に共振周波数fcを一定に調整する構成について説明したが、本発明は、地上波デジタル放送を受信するアンテナに限られず、他の信号を受信するアンテナに適用されても良い。
【0051】
また、本実施例においては、第1のアンテナ部20は、図7及び図8に示すように、円環状に構成された複数の給電端子を有し、任意の点Xを支点にして、複数の方向に倒せる構成であるとして説明したが、特にこれに限られず、例えば、伸縮のみ行える構成とし、伸縮の程度によって、電気的に接触する給電端子が変化するような構成であっても良いし、また、携帯電話機1がいわゆるスライド式の場合において、一方の筐体に第1のアンテナ部20を固定し、筐体同士がスライドする程度によって、電気的に接触する給電端子が変化するような構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機を開いた状態(第1開状態)の斜視図である。
【図2】本実施形態の携帯電話機について、表示部側筐体を、ヒンジ部の回動軸を中心にして所定角度回動した状態の斜視図である。
【図3】本実施形態の携帯電話機について、表示部側筐体を、ヒンジ部の回動軸を中心にして180°回動した状態(ターン状態、第2開状態)の斜視図である。
【図4】本実施形態の携帯電話機について、操作部側筐体と表示部側筐体とを、ヒンジ部の開閉軸を中心に閉回転し、閉じた状態(第1閉状態)の平面図である。
【図5】本発明に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図6】第1のアンテナ部を引き伸ばしたときの様子を示す図である。
【図7】給電部の外観構成を示す図である。
【図8】第1のアンテナ部と給電部の位置関係を示す図である。
【図9】給電部と共振周波数調整部とにより構成される第1のマッチング回路の構成例を示す図である。
【図10】給電部と共振周波数調整部とにより構成される第2のマッチング回路の構成例を示す図である。
【図11】第1のアンテナ部の位置状態の変化についての説明に供する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 携帯電話機
20 第1のアンテナ部
21 給電部
22 共振周波数調整部
100 放送波受信部
101 放送波処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体との相対距離が変化するように前記筐体に取り付けられて構成されるアンテナと、
前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて、前記アンテナの共振周波数を調整する共振周波数調整手段と、を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記アンテナは、所定の周波数の信号の送信又は受信を行い、
前記共振周波数調整手段は、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて変化する前記アンテナの共振周波数を前記所定の周波数に調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記アンテナは、第1の位置と、前記第1の位置に比して前記筐体に近接する第2の位置の間で変位するように構成されており、
前記共振周波数調整手段は、前記アンテナの共振周波数を、前記アンテナが、前記第1の位置にあるときよりも、前記第2の位置にあるときの方が高くなるように調整する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【請求項1】
筐体と、
前記筐体との相対距離が変化するように前記筐体に取り付けられて構成されるアンテナと、
前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて、前記アンテナの共振周波数を調整する共振周波数調整手段と、を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記アンテナは、所定の周波数の信号の送信又は受信を行い、
前記共振周波数調整手段は、前記アンテナと前記筐体との相対距離に応じて変化する前記アンテナの共振周波数を前記所定の周波数に調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記アンテナは、第1の位置と、前記第1の位置に比して前記筐体に近接する第2の位置の間で変位するように構成されており、
前記共振周波数調整手段は、前記アンテナの共振周波数を、前記アンテナが、前記第1の位置にあるときよりも、前記第2の位置にあるときの方が高くなるように調整する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−177350(P2009−177350A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11910(P2008−11910)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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