説明

携帯通信端末

【課題】 表示画面を縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像等を表示させる表示領域が狭小化するのを抑制させた携帯通信端末を提供する。
【解決手段】 表示画面2aが縦長状態又は横長状態の何れの状態にあるかを判別する連結状態検出部18と、動作状態に応じて表示される第1及び第2の表示オブジェクトを記憶している表示オブジェクト記憶部20と、各表示オブジェクトを表示画面2a上に表示する表示制御部16により構成される。表示制御部16は、表示画面2aが縦長状態にある場合に、当該表示画面上端部に設けた第1オブジェクト表示領域内に複数の第1の表示オブジェクトを表示すると共に、表示画面下端部に設けた第2オブジェクト表示領域内に複数の第2の表示オブジェクトを表示し、表示画面2aが横長状態にある場合に、当該表示画面上端部又は下端部の何れかに設けた第3オブジェクト表示領域内に各第1及び第2の表示オブジェクトを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に係り、さらに詳しくは、表示画面が縦長状態及び横長状態を遷移可能となるように操作筐体に対して表示筐体が回転可能に保持された携帯電話機などの通信端末の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面を有する表示筐体と、操作キーを有する操作筐体と、両筐体を連結する連結手段を備え、操作筐体に対して表示筐体が表示画面に平行な面内で回転可能に保持された携帯電話機が知られている。
【0003】
この様な携帯電話機では、表示筐体を回転させることにより、表示画面の長手方向を上下方向とする縦長状態と、長手方向を左右方向とする横長状態とに切り替えて使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−250360号公報
【特許文献2】特開平10−26964号公報
【特許文献3】特開平10−49334号公報
【特許文献4】特開2005−241652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、電波の受信状態や電池残量を示すピクトグラム(絵文字)は、表示画面上端部の表示領域内に表示され、操作キーに割り当てられた機能割り当てを示すアイコンは、表示画面下端部の表示領域内に表示されていた。このため、表示画面を縦長状態から横長状態に遷移させると、上記各表示領域が横方向に拡がることから、画像などを表示させる表示領域が狭小化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示画面を縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域が狭小化するのを抑制させた携帯通信端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明による携帯通信端末は、表示画面を有する表示筐体と、操作キーを有する操作筐体と、上記表示筐体及び上記操作筐体を連結し、上記表示画面が縦長状態及び横長状態を遷移可能となるように上記操作筐体に対して上記表示筐体を回転可能に保持する連結手段とからなる携帯通信端末であって、上記連結手段による連結状態を検出し、上記表示画面が縦長状態又は横長状態のいずれの状態にあるかを判別する連結状態検出手段と、動作状態に応じて表示される第1及び第2の表示オブジェクトを記憶している表示オブジェクト記憶手段と、上記各表示オブジェクトを上記表示画面上に表示する表示制御手段とを備えて構成される。上記表示制御手段は、上記連結状態検出手段による判別結果に基づいて、上記表示画面が縦長状態にある場合に、当該表示画面上端部に設けた第1オブジェクト表示領域内に2以上の上記第1の表示オブジェクトを表示するとともに、表示画面下端部に設けた第2オブジェクト表示領域内に2以上の上記第2の表示オブジェクトを表示し、上記表示画面が横長状態にある場合に、当該表示画面上端部又は下端部のいずれかに設けた第3オブジェクト表示領域内に上記各第1及び第2の表示オブジェクトを表示する。
【0008】
この携帯通信端末では、表示画面が縦長状態又は横長状態のいずれの状態にあるかが判別され、その判別結果に基づいて各表示オブジェクトが表示画面上に表示される。その際、表示画面が横長状態にあれば、当該表示画面上端部又は下端部のいずれかに設けた第3オブジェクト表示領域内に第1及び第2の表示オブジェクトが表示される。この様な構成により、表示画面の横長状態では、同一のオブジェクト表示領域内に各表示オブジェクトが配置されるので、表示画面を縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域が狭小化するのを抑制させることができる。
【0009】
ここでいう表示オブジェクトとは、表示画面上に表示させる文字、画像などの表示対象のことである。具体的には、電波の受信状態や電池残量を示すピクトグラム(絵文字)、操作キーに割り当てられた機能割り当てを示すアイコン、発信元を示す文字列などが表示オブジェクトに含まれる。
【0010】
第2の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記表示制御手段が、上記第3オブジェクト表示領域を第1及び第2分割領域に区分し、上記第2分割領域よりも大きな領域幅の連続領域からなる上記第1分割領域内に上記各第1の表示オブジェクトを表示するように構成される。
【0011】
第3の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記第1分割領域の領域幅が、上記第1オブジェクト表示領域の領域幅と一致しているように構成される。
【0012】
第4の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記縦長状態では上記第1の表示オブジェクトとして上記第1オブジェクト表示領域内に表示される文字列が、上記横長状態では上記第1分割領域内に表示されるように構成される。この様な構成によれば、第2分割領域よりも大きな領域幅の連続領域からなる第1分割領域内に第1の表示オブジェクトとしての文字列を表示させるので、文字列の表示中に縦長状態から横長状態に表示画面を切り替えた際に、違和感が生じるのを抑制することができる。
【0013】
第5の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、着信時又は通話時に発信元を示す文字列からなる発信元表示オブジェクトを生成する発信元オブジェクト生成手段を備え、上記表示制御手段が、上記発信元表示オブジェクトを上記縦長状態では上記第1オブジェクト表示領域内に表示し、上記横長状態では上記第1分割領域内に表示するように構成される。
【0014】
第6の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記表示制御手段が、上記発信元表示オブジェクトをマーキー表示するように構成される。
【0015】
第7の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記表示制御手段は、同一行内を区分して上記第1及び第2分割領域を設けるように構成される。
【0016】
第8の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記各第2の表示オブジェクトが、それぞれ上記操作キーに割り当てられた機能割り当てを示すアイコンであり、上記表示制御手段が、上記第3オブジェクト表示領域を第1及び第2分割領域に区分し、連続領域からなる上記第1分割領域内に上記各第1の表示オブジェクトを表示するとともに、上記第1分割領域を挟んで左右に分割された上記第2分割領域内に上記各第2の表示オブジェクトを表示するように構成される。この様な構成によれば、第1分割領域を挟んで左右に分割された第2分割領域内にアイコンとしての各第2の表示オブジェクトを表示させるので、左右の操作キーに対応付け易くすることができる。
【0017】
第9の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加え、上記表示制御手段が、上記第3オブジェクト表示領域を表示画面下端部に設けるように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による携帯通信端末によれば、表示画面の横長状態では、同一のオブジェクト表示領域内に各表示オブジェクトが配置されるので、表示画面を縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域が狭小化するのを抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による携帯通信端末の概略構成の一例を示した斜視図であり、携帯通信端末の一例として折り畳み可能な携帯電話機1が示されている。
【図2】図1の携帯電話機1における表示筐体2を操作筐体4に対して回転させた状態を示した斜視図である。
【図3】図1の携帯電話機1の表示筐体2を回転させた状態を示した斜視図であり、正面から見て図1の状態から時計回りに90°回転させた状態が示されている。
【図4】図1の携帯電話機1内における機能構成の一例を示したブロック図である。
【図5】図1の携帯電話機1における動作の一例を示した図である。
【図6】図1の携帯電話機1における動作の一例を示した図であり、着信時又は通話時の表示画面2aの様子が示されている。
【図7】図1の携帯電話機1における動作の一例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態を示した図であり、横長状態にある表示画面2aの様子が示されている。
【図9】本発明のその他の実施形態を示した図であり、横長状態にある表示画面2aの様子が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施の形態による携帯通信端末の概略構成の一例を示した斜視図であり、携帯通信端末の一例として折り畳み可能な携帯電話機1が示されている。この携帯電話機1は、表示画面2aを有する表示筐体2と、操作キー4a,5a〜5cを有する操作筐体4と、表示筐体2及び操作筐体4を連結するヒンジ部3からなり、表示画面2a及び操作筐体4の操作面を対向させて両筐体を折り畳むことができる。なお、図1には、両筐体を展開させた状態での携帯電話機1が示されている。
【0021】
表示筐体2には、折り畳んだ状態で操作筐体4の操作面に対向する面に表示画面2a及び受話用レシーバ8が配置されている。表示画面2aは、文字や画像の出力部であり、矩形状に形成されている。ここでは、表示画面2aの長手方向が表示筐体2の長手方向と一致するように配置されている。受話用レシーバ8は、通話時における音声の出力部であり、表示筐体2におけるヒンジ部3とは反対側の端部に配置されている。
【0022】
操作筐体4には、折り畳んだ状態で表示筐体2の表示画面2aに対向する面に複数の操作キー4a,5a〜5c及び送話用マイクロホン7が配置されている。操作キー4aは、テンキー、オンフックキー、オフフックキーなどからなり、操作筐体4におけるヒンジ部3とは反対側に配置されている。
【0023】
操作キー5a〜5cは、機能割り当てを示すアイコンが表示画面2a上に表示される操作キーであり、ガイドキー、機能キー、ソフトキーなどと呼ばれている。各操作キー5a〜5cは、操作筐体4におけるヒンジ部3側に配置されている。
【0024】
ここでは、この様な操作キーとして、メニューキー5a、終了キー5b及び方向キー5cが設けられているものとする。メニューキー5aは、メニュー画面を表示させるための操作キーであり、操作筐体4の左側に配置されている。終了キー5bは、起動中のアプリケーションプログラムを終了させるための操作キーである。方向キー5cは、押下位置に応じて異なる入力が可能な多機能キーであり、カーソル位置などを上下左右に移動させることができる。送話用マイクロホン7は、通話時における音声入力部であり、操作筐体4におけるヒンジ部3とは反対側の端部に配置されている。
【0025】
ヒンジ部3は、操作筐体4に対して回動可能に設けられた連結部3aと、表示筐体2を保持する保持部3bにより構成される。連結部3aは、保持部3bの一端部において互いに一定間隔を隔てて突出するように形成された2つの円筒体からなる。操作筐体4の内面における長手方向の一端部には、長手方向に垂直な方向に延びるように円筒体6が形成されており、この円筒体6が連結部3aの各円筒体間に同軸に配置されている。ヒンジ部3を操作筐体4に対して回動させることにより、端末を折り畳むことができる。
【0026】
保持部3bは、表示筐体2を表示画面2aに平行な面内で回転可能に保持し、表示筐体2は、操作筐体4に対する傾斜角度を保った状態で回転できるようになっている。つまり、ヒンジ部3は、表示筐体2及び操作筐体4を連結し、表示画面2aが縦長状態及び横長状態を遷移可能となるように、操作筐体4に対して表示筐体2を回転可能に保持する手段となっている。
【0027】
この様な折り畳み式の携帯電話機1は、コンパクトに折り畳んだ状態で携帯することができ、筐体を展開させれば、表示画面2aの表示を見ながら、操作キー4a,5a〜5cを操作することができる。また、この携帯電話機1は、図1に示すように表示画面2aを縦長状態として表示筐体2の内面に耳を当てることにより、送話用マイクロホン7に口を近づけるとともに、受話用レシーバ8に耳を近づけて、良好に通話を行うことができるようになっている。
【0028】
図2は、図1の携帯電話機1における表示筐体2を操作筐体4に対して回転させた状態を示した斜視図であり、正面から見て図1の状態から時計回りに約45°回転させた状態が示されている。図3は、図1の携帯電話機1の表示筐体2を回転させた状態を示した斜視図であり、正面から見て図1の状態から時計回りに90°回転させた状態が示されている。
【0029】
ユーザは、操作筐体4を把持した状態で、表示筐体2を回転させることにより、図1に示した縦長状態と、図3に示した横長状態とを切り替えることができる。つまり、図1に示す縦長状態から表示筐体2を回転させることにより、図2の状態を経て、図3に示すような表示画面2aの横長状態に遷移させることができる。
【0030】
テレビ放送を視聴する際には、表示画面2aを横長状態に切り替えることにより、テレビ画像のアスペクト比に合致させてテレビ画像を表示することができる。すなわち、表示画面2aは、長辺と短辺の比が16:9となっており、一般的なテレビ放送に用いられるテレビ画像のアスペクト比と一致している。
【0031】
図1の状態から表示筐体2を時計回りに回転させる場合、図2に示した状態となるまでは、ヒンジ部3の保持部3b内に備えられた付勢手段により、表示筐体2に対して反時計回りに付勢力が作用するようになっている。したがって、図1の状態では、表示筐体2に対して反時計回りに作用する付勢力によって、外力が作用しない限り表示筐体2が図1の状態のまま維持されるようになっている。
【0032】
一方、図2の状態を超えて表示筐体2をさらに時計回りに回転させると、表示筐体2に作用する付勢力が時計回りに切り替わり、図3に示した状態で表示筐体2が係止される。これにより、外力が作用しない限り表示筐体2が図3の状態のまま維持されるようになっている。
【0033】
本実施の形態では、表示筐体2は一定位置に固定された回転軸を中心に回転するのではなく、表示筐体2の回転に伴って移動する回転軸を中心に回転するようになっている。これにより、図1に示すように長手方向の一端部が操作筐体4に近接した縦長状態の表示筐体2を90°回転させても、図3に示すように表示筐体2の長手方向に垂直な方向の一端部が操作筐体4に近接し、コンパクトに横長状態とされた表示画面2aにテレビ画像を表示させてテレビ放送を視聴することができるようになっている。
【0034】
また、操作筐体4を把持した状態のまま表示筐体2を縦長状態から横長状態に回転させることにより、携帯電話機1を持ち替えることなくテレビ放送を視聴することができる。このとき、表示筐体2に作用する付勢力により、表示筐体2を縦長状態と横長状態との間でスムーズに切り替えることができるようになっている。
【0035】
図4は、図1の携帯電話機1内における機能構成の一例を示したブロック図である。この携帯電話機1は、上述した受話用レシーバ8及び送話用マイクロホン7の他に、アンテナ11a,12a、セルラー通信部11、テレビ放送受信部12、操作入力部13、スピーカ14、表示制御部16、LCD17、連結状態検出部18、発信元オブジェクト生成部19及び表示オブジェクト記憶部20を備えており、それらの動作がプロセッサからなる主制御部15により制御される。
【0036】
スピーカ14は、音声の出力部であり、受話用レシーバ8から出力される場合よりも音声を増幅して出力することができる。これにより、表示筐体2から耳を離した状態であっても、音声を聞くことができる。
【0037】
ここで、受話用レシーバ8は、表示筐体2の内面にユーザが耳を当てた状態で使用されるのに対して、スピーカ14は、表示筐体2の内面からユーザが耳を離した状態で使用される。したがって、表示画面2aにおけるテレビ画像などの表示は、スピーカ14を使用しているときには見ることができるが、受話用レシーバ8を使用しているときには見ることができない。
【0038】
スピーカ14を用いて相手方電話機との間で通話を行う場合には、相手方電話機からの音声が増幅されてスピーカ14から出力されるとともに、送話用マイクロホン7からの入力信号が増幅されることにより、携帯電話機1を把持することなく、いわゆるハンズフリーで通話を行うことができる。このとき、送話用マイクロホン7からの入力信号は、ハウリングを防止するためのキャンセル回路に入力されるようになっている。受話用レシーバ8による通常の通話と、ハンズフリーによる通話との切り替えは、操作キーの操作により行うことができる。
【0039】
セルラー通信部11は、通信用のアンテナ11aを介して基地局との間で電波の送受信を行う移動体通信処理手段である。相手方電話機との間で通話状態が確立された状態では、ユーザの通話音に基づく音声信号がセルラー通信部11から送信され、相手方電話機からの通話音に基づく音声信号がセルラー通信部11で受信されることにより、通話音がリアルタイムで送受信される。
【0040】
テレビ放送受信部12は、テレビ放送受信用のアンテナ12aを介して、テレビ局から発信されているテレビ放送波を受信するチューナーである。テレビ局から発信されるテレビ放送波には、アナログ放送に対応したアナログ放送波と、デジタル放送に対応したデジタル放送波とが含まれている。このテレビ放送受信部12が受信するデジタル放送波は、一般のデジタルハイビジョン放送波の一定帯域に割り当てられた携帯電話機向けの1セグメント放送波であり、テレビ画像及びテレビ音声に加えて、そのテレビ画像に対応する字幕や関連する記事などの文字情報、受信電波の周波数帯に応じたチャンネル情報などが含まれている。
【0041】
テレビ放送受信部12で受信したテレビ放送波に基づいて、表示画面2aにテレビ画像を表示するとともに、そのテレビ画像に対応するテレビ音声をスピーカ14から出力することにより、テレビ放送を視聴することができる。また、テレビ放送波に含まれる文字情報を抽出して表示画面2aに表示させることにより、テレビ画像とともに字幕などの文字情報を表示させることができる。また、テレビ放送波に基づくテレビ画像やテレビ音声をメモリ(図示せず)に記憶させれば、テレビ放送を録画することができる。
【0042】
操作入力部13は、各操作キー4a,5a〜5cの操作に基づいて入力信号を生成する動作を行っている。連結状態検出部18は、ヒンジ部3による連結状態を検出し、表示画面2aが縦長状態又は横長状態のいずれの状態にあるかを判別する動作を行っている。具体的には、機械的又は電気的なスイッチにより構成され、ユーザによる表示筐体2の回転操作を検出することにより、表示筐体2の回転位置が検知される。
【0043】
表示オブジェクト記憶部20は、不揮発性のメモリであり、動作状態に応じて表示される第1及び第2の表示オブジェクトが格納されている。具体的には、電波の受信状態(受信強度)、電池残量、メール受信を示すピクトグラム(絵文字)などが第1の表示オブジェクトとして格納され、操作キー5a〜5cに割り当てられた機能割り当てを示すアイコンなどが第2の表示オブジェクトとして格納されている。
【0044】
上記ピクトグラムは、他のアプリケーションプログラムによる画面表示に影響されることなく、表示画面2a上に常に表示される表示オブジェクトとなっている。上記アイコンとしては、メニューキー5aに対応付けられたメニューアイコン、終了キー5bに対応付けられた終了アイコンが表示オブジェクトとして格納されている。
【0045】
発信元オブジェクト生成部19は、着信時又は通話時に発信元を示す文字列からなる発信元表示オブジェクトを生成する動作を行っている。具体的には、発信元電話番号、予め登録されているユーザ名などが発信元を示す表示オブジェクトとして生成される。
【0046】
LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)17は、表示画面2aを有する表示装置である。表示制御部16は、LCD17を制御し、文字や画像を表示画面2a上に表示させる動作を行っている。具体的は、連結状態検出部18による判別結果に基づいて、各表示オブジェクトを表示画面2a上に表示させる。すなわち、表示画面2aが縦長状態にある場合には、当該表示画面2a上端部に設けた第1オブジェクト表示領域内に複数の第1の表示オブジェクトを表示するとともに、表示画面2a下端部に設けた第2オブジェクト表示領域内に複数の第2の表示オブジェクトを表示する。一方、表示画面2aが横長状態にある場合には、当該表示画面2a下端部に設けた第3オブジェクト表示領域内に各第1及び第2の表示オブジェクトを表示する。
【0047】
ここでは、第3オブジェクト表示領域が、第1及び第2分割領域に区分され、第2分割領域よりも大きな領域幅の連続領域からなる第1分割領域内に各第1の表示オブジェクトが表示されるものとする。また、縦長状態では第1の表示オブジェクトとして第1オブジェクト表示領域内に表示される文字列が、横長状態では第1分割領域内に表示されるものとする。
【0048】
図5(a)及び(b)は、図1の携帯電話機1における動作の一例を示した図であり、図5(a)には、縦長状態にある表示画面2aの様子が示され、図5(b)には、横長状態にある表示画面2aの様子が示されている。縦長状態では、ユーザから見て、表示領域が左右方向に比べて上下方向に拡がっている。この様な縦長状態においては、表示画面2aの上端部に第1オブジェクト表示領域21が設けられ、下端部に第2オブジェクト表示領域23が設けられる。
【0049】
第1オブジェクト表示領域21及び第2オブジェクト表示領域23間は、画像などの表示領域22となっている。
【0050】
ここでは、第1オブジェクト表示領域21が、文字列を表示する際の行の高さを領域の高さとして設けられ、表示画面2aの短辺に隣接するように配置されるものとする。この例では、第1オブジェクト表示領域21内にピクトグラム24a〜24cが表示され、第2オブジェクト表示領域23内にアイコン25a及び25bが表示されている。
【0051】
ピクトグラム24aは、電波の受信強度を示す表示オブジェクトであり、左端部に配置されている。ピクトグラム24bは、電子メールの着信を示す表示オブジェクトである。ピクトグラム24cは、電池の残量を示す表示オブジェクトであり、右端部に配置されている。
【0052】
アイコン25aは、メニューアイコンであり、操作ボタン状のシンボルがメニューアイコンとして表示されている。このアイコン25aは、左端部に配置されている。アイコン25bは、終了アイコンであり、操作ボタン状のシンボルが終了アイコンとして表示されている。このアイコン25bは、右端部に配置されている。
【0053】
これに対し、横長状態では、ユーザから見て、表示領域が上下方向に比べて左右方向に拡がっている。この様な横長状態においては、表示画面2aの下端部に第3オブジェクト表示領域32が設けられる。第3オブジェクト表示領域32以外の領域は、画像などの表示領域31となっている。
【0054】
ここでは、第3オブジェクト表示領域32が、文字列を表示する際の行の高さを領域の高さとして設けられ、表示画面2aの長辺に隣接するように配置されるものとする。この第3オブジェクト表示領域32は、第1分割領域34及び第2分割領域33及び35に区分され、第2分割領域33及び35よりも大きな領域幅A3の連続領域からなる第1分割領域34内に各第1の表示オブジェクトが表示される。すなわち、第1分割領域34は、第2分割領域33及び35(領域幅はA2+A4)に比べ、縦長状態のときのオブジェクト表示領域(領域幅A1)に対する変化率が小さくなっている。
【0055】
ここでは、各表示領域33〜35が、同一行内を区分して設けられるものとする。すなわち、アイコン25a及び25b、ピクトグラム24a〜24c、文字列の高さを揃えて各表示オブジェクトが表示されるものとする。
【0056】
第1の表示オブジェクト24a〜24cは、縦長状態のときと同じ順序でそれぞれ第1分割領域34内に表示される。これにより、各ピクトグラム24a〜24cの配列順序が状態遷移の前後で変わらないので、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、違和感なく第1の表示オブジェクトを認識させることができる。
【0057】
第2の表示オブジェクト25a及び25bは、それぞれ第2分割領域33,35内に表示される。すなわち、左右に配置された各操作キー5a,5bに対応する2つのアイコン25a及び25bが、それぞれ左側の表示領域33及び右側の表示領域35内に表示される。具体的には、アイコン25aが左側に配置され、アイコン25bが右側に配置されている。
【0058】
この例では、第1分割領域34の領域幅A3が、第1オブジェクト表示領域21の領域幅A1と一致している。すなわち、第1分割領域34について、横方向の長さが縦長状態の場合における各オブジェクト表示領域21及び23の横方向の長さと変わらないように形成されている。この様にすれば、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、ピクトグラム24a〜24cの表示領域が第1オブジェクト表示領域21から第3オブジェクト表示領域32にそのまま下方に降りてくるだけなので、違和感が生じるのを抑制することができる。なお、第1分割領域34の領域幅A3を領域幅A1よりも大きくしても良い。
【0059】
また、第3オブジェクト表示領域32を表示画面2aの下端部に設けたことにより、第2の表示オブジェクトの位置が、縦長状態の場合と同様に横長状態であっても、操作筐体4の各操作キー5a〜5cに近くなるので、操作性を向上させることができる。特に、アイコン25a,25bを左側の表示領域33及び右側の表示領域35内に配置したことにより、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、違和感が生じるのを抑制することができる。
【0060】
図6は、図1の携帯電話機1における動作の一例を示した図であり、着信時又は通話時の表示画面2aの様子が示されている。表示画面2aが横長状態にある場合、着信時や通話時には、発信元を示す文字列からなる発信元表示オブジェクト41が第3オブジェクト表示領域32内に表示される。
【0061】
具体的には、発信元電話番号やユーザ名が発信元表示オブジェクト41として第1分割領域34内に表示される。この発信元表示オブジェクト41は、横方向を文字列の方向として、静的又は動的に表示される。静的な表示としては、所定の表示エリア内に一定の文字数を上限として文字列を表示する、いわゆるテロップ表示がある。動的な表示としては、文字の表示位置を変化させながら、所定の表示エリアの一端から他端へ一方向に文字列を流れるように表示する、いわゆるマーキー表示がある。
【0062】
図7のステップS101〜S105は、図1の携帯電話機1における動作の一例を示したフローチャートである。まず、連結状態検出部18は、ヒンジ部3の連結状態を検出する(ステップS101)。次に、表示制御部16は、表示画面2aが縦長状態から横長状態に切り替えられれば、第1及び第2の表示オブジェクトの配置を変更する(ステップS102,S103)。このとき、ピクトグラム24a〜24cやアイコン25a及び25bは、第3オブジェクト表示領域32内に配置される。
【0063】
一方、表示画面2aが横長状態から縦長状態に切り替えられれば、第1及び第2の表示オブジェクトの配置を変更する(ステップS104,S105)。このとき、ピクトグラム24a〜24cは、第1オブジェクト表示領域21内に配置され、アイコン25a及び25bは、第2オブジェクト表示領域23内に配置される。
【0064】
本実施の形態によれば、表示画面2aの横長状態では、同一のオブジェクト表示領域32内に各表示オブジェクトが配置されるので、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域31が狭小化するのを抑制させることができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、表示画面2aの下端部に第3オブジェクト表示領域が設けられる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、表示画面2aの上端部に第3オブジェクト表示領域を設けても良い。
【0066】
図8は、本発明の他の実施形態を示した図であり、横長状態にある表示画面2aの様子が示されている。この例では、表示画面2aの上端部に第3オブジェクト表示領域51が設けられる。第3オブジェクト表示領域51以外の領域は、画像などの表示領域52となっている。
【0067】
また、第3オブジェクト表示領域51内が、第1分割領域54、第2分割領域53及び55に区分され、各表示領域53〜55内に各表示オブジェクトが配置される。この様な構成によっても、表示画面2aの横長状態では、同一のオブジェクト表示領域51内に各表示オブジェクトが配置されるので、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域52が狭小化するのを抑制させることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、第1分割領域34を挟んで左右に分割された第2分割領域33,35内に各第2の表示オブジェクトが表示される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第3オブジェクト表示領域を2つの連続領域に区分し、一方の連続領域を第1分割領域として第1の表示オブジェクトを表示し、他方の連続領域を第2分割領域として第2の表示オブジェクトを表示しても良い。
【0069】
図9は、本発明のその他の実施形態を示した図であり、横長状態にある表示画面2aの様子が示されている。この例では、第3オブジェクト表示領域62が、左側表示領域63及び右側表示領域64の2つの連続領域に区分され、各表示領域内に各表示オブジェクトが配置される。表示領域61は、画像などの表示領域である。
【0070】
具体的には、ピクトグラム24a〜24cが左側表示領域63内に配置され、アイコン25a及び25bが右側表示領域64内に配置されている。左側表示領域63が第1分割領域となっており、右側表示領域64が第2分割領域となっている。左側表示領域63は、その領域幅B1が右側表示領域64の領域幅B2よりも大きな領域からなり、この領域内に各第1の表示オブジェクトが表示される。すなわち、左側表示領域63は、右側表示領域64に比べ、縦長状態のときのオブジェクト表示領域(領域幅A1)に対する変化率が小さくなっている。この様な構成によっても、表示画面2aの横長状態では、同一のオブジェクト表示領域62内に各表示オブジェクトが配置されるので、表示画面2aを縦長状態から横長状態に切り替えた際に、画像などを表示させる表示領域61が狭小化するのを抑制させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電話機
2 表示筐体
2a 表示画面
3 ヒンジ部
3a 連結部
3b 保持部
4a,5a〜5c 操作キー
4 操作筐体
7 送話用マイクロホン
8 受話用レシーバ
11 セルラー通信部
12 テレビ放送受信部
13 操作入力部
14 スピーカ
15 主制御部
16 表示制御部
17 LCD
18 連結状態検出部
19 発信元オブジェクト生成部
20 表示オブジェクト記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有する表示筐体と、操作キーを有する操作筐体と、上記表示筐体及び上記操作筐体を連結し、上記表示画面が縦長状態及び横長状態を遷移可能となるように上記操作筐体に対して上記表示筐体を回転可能に保持する連結手段とからなる携帯通信端末において、
上記連結手段による連結状態を検出し、上記表示画面が縦長状態又は横長状態のいずれの状態にあるかを判別する連結状態検出手段と、
動作状態に応じて表示される第1及び第2の表示オブジェクトを記憶している表示オブジェクト記憶手段と、
上記各表示オブジェクトを上記表示画面上に表示する表示制御手段とを備え、
上記表示制御手段は、上記連結状態検出手段による判別結果に基づいて、上記表示画面が縦長状態にある場合に、当該表示画面上端部に設けた第1オブジェクト表示領域内に2以上の上記第1の表示オブジェクトを表示するとともに、表示画面下端部に設けた第2オブジェクト表示領域内に2以上の上記第2の表示オブジェクトを表示し、上記表示画面が横長状態にある場合に、当該表示画面上端部又は下端部のいずれかに設けた第3オブジェクト表示領域内に上記各第1及び第2の表示オブジェクトを表示することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
上記表示制御手段は、上記第3オブジェクト表示領域を第1及び第2分割領域に区分し、上記第2分割領域よりも大きな領域幅の連続領域からなる上記第1分割領域内に上記各第1の表示オブジェクトを表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
上記第1分割領域の領域幅が、上記第1オブジェクト表示領域の領域幅と一致していることを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
上記縦長状態では上記第1の表示オブジェクトとして上記第1オブジェクト表示領域内に表示される文字列が、上記横長状態では上記第1分割領域内に表示されることを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
着信時又は通話時に発信元を示す文字列からなる発信元表示オブジェクトを生成する発信元オブジェクト生成手段を備え、
上記表示制御手段が、上記発信元表示オブジェクトを上記縦長状態では上記第1オブジェクト表示領域内に表示し、上記横長状態では上記第1分割領域内に表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯通信端末。
【請求項6】
上記表示制御手段は、上記発信元表示オブジェクトをマーキー表示することを特徴とする請求項5に記載の携帯通信端末。
【請求項7】
上記表示制御手段は、同一行内を区分して上記第1及び第2分割領域を設けることを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項8】
上記各第2の表示オブジェクトが、それぞれ上記操作キーに割り当てられた機能割り当てを示すアイコンであり、
上記表示制御手段が、上記第3オブジェクト表示領域を第1及び第2分割領域に区分し、連続領域からなる上記第1分割領域内に上記各第1の表示オブジェクトを表示するとともに、上記第1分割領域を挟んで左右に分割された上記第2分割領域内に上記各第2の表示オブジェクトを表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項9】
上記表示制御手段は、上記第3オブジェクト表示領域を表示画面下端部に設けることを特徴とする請求項8に記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−217380(P2011−217380A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94662(P2011−94662)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2010−273407(P2010−273407)の分割
【原出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】