携帯配送システム
【課題】配送指示を適時かつ適切に行うとともに、広いエリア内での効率的な配送を担保する液化石油ガス容器の配送システムを提供する。
【解決手段】配送システムは、充填所から各デポに向けて配送されるガスボンベの種類・本数のデータと前日の各デポにおける配送残のガスボンベの種類・本数のデータとの合計であるデポごとの日々の配送データを生成し、かつ当該配送データを当該デポからの配送を担当する各配送員に割り当てた配送員別配送データを生成する。配送システムは、配送員の携帯電話機からのアクセスに応答して当該配送員分の配送データを送信し、かつ当日に実際に配送が行われた顧客宅の作業データおよび配送残のデータに基づいて配送システム内のデータベースを更新する。配送員によってダウンロードされた配送データは、カーナビに送信されることによって、当日配送予定の顧客宅の場所が地図上に表示され、配送員の配送を支援するデータとして利用される。
【解決手段】配送システムは、充填所から各デポに向けて配送されるガスボンベの種類・本数のデータと前日の各デポにおける配送残のガスボンベの種類・本数のデータとの合計であるデポごとの日々の配送データを生成し、かつ当該配送データを当該デポからの配送を担当する各配送員に割り当てた配送員別配送データを生成する。配送システムは、配送員の携帯電話機からのアクセスに応答して当該配送員分の配送データを送信し、かつ当日に実際に配送が行われた顧客宅の作業データおよび配送残のデータに基づいて配送システム内のデータベースを更新する。配送員によってダウンロードされた配送データは、カーナビに送信されることによって、当日配送予定の顧客宅の場所が地図上に表示され、配送員の配送を支援するデータとして利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油(LP)ガス容器の配送システムに関する。より詳細には、本発明は、顧客に関連付けられた郵便番号に基づいてソートされ、グループ分けされた所定エリアの日々の配送データを配送員の配送能力に従って配送員別の日次配送データとして各配送員の携帯電話機を介して配信し、配送結果データを受信するLPガスの配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLPガス容器の配送を効率化する仕組みは多数提案されてきた(特許文献1参照)。また、LPガスの配送は、1次基地から各地の充填工場へタンクローリーで配送されたガスを各充填工場にて各種容器のガスボンベに充填した上で個々の顧客宅へと配送していた。また、配送を担当する各配送員にはその担当する固定的な配送エリアが設定されていた(固定エリア制)。このような仕組みの下で、従来は、センターシステムで各顧客宅の過去のガス消費実績量、検針データ、容器配送実績等を基に各顧客宅のガスボンベの残量を予測し、次回配送予定を算出していた。そして、算出された配送予定に基づき、センターシステムは、10日先を基準日として基準日以降1週間分の配送伝票(容器管理票)を発行し、各配送拠点である充填工場へ当該配送伝票が送られていた。
【0003】
各配送拠点では、配送員は、配送管理者によって仕分けられた配送員毎の配送伝票を受け取り、受け取った配送伝票に基づきどの顧客から廻るかといった配送予定は自分で決定していた。実際の配送時には、配送員はLPガス容器交換後に、配送した日付、当日のメータ指針、容器社番、保安検査の各項目を配送伝票に手書きし、配送管理者に提出しており、配送員1人あたりの分量も非常に多かった。返却された配送伝票は、配送管理者によって記入漏れがないかチェックされた後、計算センターでキーパンチャーによってシステムに入力されていた。このようにして入力された配送伝票のデータなどに基づいて次回配送予定日が決定されていた。
【0004】
また、固定エリア制には、担当エリア内での顧客増による配送員の負荷増大に起因するガス欠(ガスボンベの残量ゼロ)の発生、配送エリアの充填所からの距離の遠近による不公平感、担当エリア固定による休日取得の困難、および配送員の休暇・欠員による代替者の配送は地図を見ながら行うといった非効率さ、などの問題が発生していた。
【0005】
さらに、10日先の1週間分の配送伝票をまとめて渡すと配送員は自分の固定エリア内で隣り合った顧客に対してセンターシステムによって算出された予定配送日を無視して同日に配送してしまったり、配送伝票の配送・現場での記入・システム入力に時間的・人的コストがかかったり、個人情報を含む配送伝票の紛失時には個人情報漏れの危険性があったりした。
【0006】
このような仕事の仕組みを改めるため、近年、各地のガスボンベ充填所での充填作業を1次基地においてまとめて行うことにより、各地の充填工場を容器貯蔵所(以下、「デポ」と称する)に変えるとともに、従来の配送員のエリアを数ヶ所集めて一つのエリアとして設定し、その中を複数の配送員がチームを組んでローテーションで配送エリアを順次担当するエリアローテーション制への移行が行われてきた。
【0007】
また、ハンディターミナルを利用して省力化を図る試みも一部で行われていたが、ハンディターミナル自体高価なデバイスであり、紛失時には大量の顧客データ紛失というリスクも抱えていた。また、ハンディターミナルは、営業所に実際に来てデータをアップデートしなければならず、情報のリアルタイム性に欠けていた。
【0008】
一方、商品に関する情報を提供するバーコード、およびバーコードよりもさらに多くの情報を提供することが可能な白と黒のドットで構成された模様の2次元コードを読み取り、当該バーコードや2次元コードによって特定される情報を表示する機能を有する携帯電話機が近年普及していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−329159号公報
【発明の概要】
【0010】
エリアローテーション制の下では各配送員の配送エリアが日々変化するため、配送指示を適時かつ適切に行うとともに、広いエリア内での効率的な配送を担保するシステムを提供する必要があった。また、1次基地からデポに容器をトレーラーで運搬し、デポから顧客宅に個別配送を行うとしても、計画的な個別配送が困難な場合にはかなりの数の予備容器をデポに配置する必要があり、作業員も常時配置した有人デポとならざるを得ず、オーバースペックとなる恐れもあった。さらに、携帯電話機を利用して配送指示を出す場合には、各配送員の行っている作業を全て携帯電話機から処理できるようにする必要があった。これらのニーズおよび課題を解決するために、本発明に係る携帯配送システムは以下に述べる処理を行う。
【0011】
センターシステムは、月々のガスメータ検針により取得された各顧客のガス消費量実績、設置されている機器設備情報、および前回の容器配送実績等に基づいて各顧客のガスボンベの残量を予測し、各顧客の次回配送予定日を算出する。センターシステムは、算出された配送予定日が翌日である配送データのみを所定の時間(例えば、夕刻)以降、各配送員の携帯電話からのアクセスに応答して当該携帯電話機に送信する。一方、各デポに用意すべき翌日の配送本数は、センターシステムによって把握されている当日の配送残の本数を加味した上でセンターシステムによって計算される。デポごとに用意すべき本数から当日の配送残の本数を減算した本数が当該デポへ運搬する本数のデータであるとして、センターシステムからハブ基地の充填所に通知される。これにより、各デポへ運搬する本数のガスボンベがトレーラーに積み込まれて深夜に各デポに運ばれる。
【0012】
各配送員の携帯電話機に送信される配送データは、各デポの担当エリアの中の郵便番号を基準としてシステムによりソートされた後、配送員の配送能力(以下、「ランク」という)に応じて自動的に各配送員に割り当てられる。上述したエリアローテーション制を担保するため配送員への割り当て順序は日々更新される。
【0013】
本発明に係るシステムは、配送を担当するデポからの距離の遠近を示すデータを有しているため、配送員に送信される配送データは、初期状態として出発するデポから近い順番にソートされている。また、当日配送するガスボンベを一度に配送車に積み込めない場合には、配送データは、1車目、2車目で配送する標準的な廻り方を含むようになっている(例えば、1車目ではデポから近いエリアの顧客宅、2車目ではデポから遠いエリアの顧客宅、など)。そして、配送員の携帯電話機によって受信された配送データは、カーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」と称す)に転送され、カーナビの地図に配送地点が廻る順路を含めて表示される。これにより、配送員は、毎朝デポにおいて配送データで示された1車目で必要なLPガス容器を積み込み、本発明に係るシステムによって示された効率的な順路にしたがって配送に出発することが可能となる。
【0014】
配送員は、各顧客宅にて配送したガスボンベの容器交換が終了する毎に、ガスメータの指針および容器交換時に実施する保安点検結果を含む作業終了時入力を携帯電話機経由でセンターシステムに送信する。交換した容器の容器番号は容器に貼られているバーコードを携帯電話機のコードリーダ機能を用いて読み込むことによって行えるため、本発明に係るシステムではガスボンベの容器管理を実施することができる。配送員は、1車目が終わったらデポに戻って空の容器を降ろし、配送データで示された2車目に必要な容器を積み込み、配送業務を継続する。
【0015】
上述したように、各配送員の配送状況は顧客宅への配送が1軒終了する毎にリアルタイムでセンターシステムに送信されるため、当日の所定の時刻までに配送終了の送信がされなかった顧客に関しては明日の配送予定データに自動的に繰り越される。また、デポにある配送残のガスボンベの本数は各配送員の携帯電話機から送信された配送状況からシステムで自動的に把握することができるため、翌日の配送予定の容器の数から当該残数をシステムで自動的に減算してハブ基地の充填所に指示される。その後、充填所から各デポに対して容器の運搬が行われるが、そのトレーラーは各デポにある空容器を充填所までの帰り便として持ち帰る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、エリアローテーション制をサポートする配送データの生成および配信システムを提供することができる。エリアローテーション制の下では、配送員の配送エリアが拡大するため、本発明は、配送をサポートするシステム機能、すなわち、郵便番号でソートされた配送データの配送員への割り当て、1車目/2車目の積み込みデータの明示、標準的な配送ルートの自動設定および配送データとカーナビとの連携による効率的な配送実現、などを提供し、その結果、エリアローテーション制の下での効率的な配送を実現することができる。また、本発明により、配送員の現場での作業(容器交換時の保安点検、メータ指針・交換容器の容器番号の読み込み、等)を全て携帯電話機で実現できるようにし、および配送員のランクに基づく適正な配送割当の結果としての配送残の縮減が図られるという効果も得られる。さらに、計画配送と配送残のリアルタイムの把握により、デポにおける正確な容器管理をシステムによって実現できるようになる。
【0017】
また、本発明による他の効果として、(1)デポからの距離の遠近による各配送員の配送エリアの不公平が解消できること、(2)配送エリアに複数の配送員が配置され、配送員の休暇・欠員にも迅速に対応できること、(3)配送エリアの急激な顧客増加に対しても配送員の追加だけで対応できること、(4)翌日の配送データしか配送員に配信しないので配送員の恣意的な容器管理を防止でき、結果的に容器の残量率が減り配送経費の削減を図れること、(5)紙の伝票類を一切用いず、全ての業務を携帯電話機で行うことにより雨天時の作業効率と質が向上すること、(6)配送員が直接現場で入力できるようになることで、配送管理票(紙)のやり取りがなくなり、配送管理者の確認作業およびキーパンチャーによる入力作業が不要になり、この結果、人件費の大幅削減につながること、(7)配送および配送員に関するデータをリアルタイムに把握することができ、適正な配送員管理を容易にできること、(8)全ての業務を汎用の携帯電話機で行えるため設備投資が安価で済み、配送員がネットワーク経由で直接現場からデータ入力するため顧客増加に対しても固定費の増加がほとんどなくなること、(9)本システムにより、日々の各エリアの配送本数が配送残も計算された上で前日に配送計画を生成できることから、デポへの容器運搬も効率化されること、(10)従来の配送拠点では、充填されたガスボンベの置き場から各配送員が自分の配送に必要な容器を車両まで運搬しなければならなかったが、デポではトレーラーの荷台がそのまま容器置き場になるため、配送車両を横付けしてそのまま積み込みを行えること、等の効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るセンターシステムの概略を示す図である。
【図2】配送システムに関連して行われる処理の概要を示すフロー図である。
【図3】配送データ生成処理の詳細なフロー図である。
【図4】顧客マスタの一例を示す図である。
【図5】エリアマスタの一例を示す図である。
【図6】ガス消費実績量テーブルの一例を示す図である。
【図7】配送データの一例を示す図である。
【図8】配送データ割当処理の詳細なフロー図である。
【図9】担当者マスタの一例を示す図である。
【図10】配送データダウンロード処理の詳細なフロー図である。
【図11】ダウンロードされた配送データの一例を示す図である。
【図12】配送済データ送信処理の詳細なフローを示す図である。
【図13】携帯電話機のディスプレイに表示される画面の一例である。
【図14】システム構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書で説明する実施形態はあくまでも例示であり、本発明は当該実施形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることに留意されたい。また、当該実施形態で説明する方法、機能および手段は、コンピュータ実行可能なプログラムとして実装することも可能であり、また、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実施することも可能である。
【0020】
<センターシステム>
図1は、本発明に係る携帯配送システムに含まれるセンターシステム(基幹システム)100、各配送員の携帯電話110および配送車のカーナビ120を示す図である。センターシステム100は、複数の携帯電話機110とネットワーク130を介して接続され、また、携帯電話110はカーナビ120と短距離無線通信技術(例えば、ブルートゥース)で通信可能である。携帯電話機110は、バーコードおよび2次元コード読み取り機能を備える周知の携帯電話機とすることができる。カーナビ120は、携帯電話110から配送先の住所データ(予め取得された顧客宅の緯度・経度などのGPS情報を含む)を受信して、ディスプレイに表示された地図にその住所を明示する機能(例えば、フラグを立てる)を備える。ネットワーク130は、LAN(local area network)、インターネットおよびセルラーネットワークなどの周知のネットワークとすることができる。
【0021】
センターシステム100は、配送システム101、検針・請求システム102および保安システム103を含む。なお、図1は、センターシステム100が3つのシステム101〜103を内部に含むように示しているが、3つのシステム101〜103が独立して存在し、各システム101〜103がネットワーク経由でセンターシステム100に接続される構成としても構わない。
【0022】
以下、配送システム101、検針・請求システム102および保安システム103について概略を説明した後、本発明に係る配送システム101について詳細に説明する。
【0023】
<配送システム>
配送システム101は、充填所から各デポに向けて配送されるガスボンベの種類・本数のデータと前日の各デポにおける配送残のガスボンベの種類・本数のデータとの合計であるデポごとの日々の配送データを生成し、かつ当該配送データを当該デポからの配送を担当する各配送員に割り当てた配送員別配送データを生成する。
【0024】
また、配送システム101は、各配送員の携帯電話機からのアクセスに応答して当該配送員分の配送データを送信し、かつ当日に実際に配送が行われた顧客宅の作業データおよび配送残のデータに基づいて配送システム101内のデータベース(DB)を更新する。各配送員によってダウンロードされた配送データは、カーナビ120に送信されることによって、当日の配送予定の顧客宅の場所が地図上に表示され、配送員の配送を支援するデータとしても利用される。
【0025】
以下、図2を参照しながら、配送システム101、携帯電話機110およびカーナビ120によって実行される処理を説明する。図2は、配送システム101に関連して行われる処理の概要を示すフロー図である。この処理フローは日々行われる。
【0026】
ステップS201において、配送システム101は、各デポの管轄する顧客宅のデータ(例えば、月々のガスメータ検針により取得されたガス使用量の履歴情報、設置されている機器設備情報、過去の容器配送実績、およびデポの担当者が入力したスケジュールデータ、など)に基づいて各顧客のガスボンベの残量を予測し、各顧客の次回配送予定日を算出する。配送システム101は、次回配送予定日が翌日である顧客宅のデータ(第1の配送データ)および各デポにおける前日の配送残データ(第2の配送データ)を合計して、各デポの翌日の配送予定データを生成する。すなわち、配送予定データは、各デポの第1の配送データおよび第2の配送データから成り、翌日配送対象となっている顧客宅のデータのみが含まれている。また、第1の配送データによって示されるガスボンベの種類・本数が、実際に充填所から各デポにトレーラー配送される。
【0027】
ステップS202において、配送システム101は、各デポの配送予定データ(第1の配送データおよび第2の配送データ)を実際に勤務する配送員に割り当てる配送データ割当処理を行う。配送システム101は、まず、配送予定データに含まれる各顧客宅の郵便番号データに基づいてソートすることによって距離的に近い顧客宅を並べ替える処理を行う。次に、配送システム101は、担当者マスタ900から各デポの配送員のうち、翌日に勤務する予定の配送員のデータを取得し、取得された配送員のランクに従って各配送員の配送予定データ(第3の配送データ)として割り当てる処理を行う。なお、上述したエリアローテーション制を担保するため配送員への割り当て順序は日々更新される。
【0028】
また、配送システム101は、各顧客宅についてデポからの距離の遠近を示すデータを使用することによって、第3の配送データをデポから近い順番にソートする。また、配送員の使用する配送車の積載容量では当日配送するガスボンベを一度に積み込めない場合、配送システム101は、第3の配送データを1車目、2車目に分割する。この1車目、2車目の区分は、配送する標準的な廻り方にしたがったものとなる(例えば、1車目ではデポから近いエリアの顧客宅、2車目ではデポから遠いエリアの顧客宅、など)。
【0029】
ステップS203において、配送システム101は、各携帯電話110からのアクセスに対して、アクセスした配送員を識別する処理を行い、識別された配送員の配送予定データ(第3の配送データ)だけを携帯電話110に配信する。携帯電話110にダウンロードされた第3の配送データは、配送員の当日の配送計画として使用される。
【0030】
ステップS204において、各配送員の配送予定データは、配送車のカーナビ120に短距離無線通信技術を用いて送信可能である。カーナビ120は、受信した配送予定データに含まれる顧客宅の住所データ(郵便番号、住所、および顧客宅の緯度・経度などのGPS情報、等)を使用して、ディスプレイに表示される地図上の顧客宅の位置にフラグなどの目印を廻る順路を含めて表示する。上述したように顧客宅は郵便番号情報によってソートされているので個々の配送員が担当するエリアは地理的に近く集合したエリアとなり、よって、カーナビ120を介した標準的かつ効率的な配送ルートの提供が可能となる。
【0031】
ステップS205において実際に顧客宅に配送が行われたら、配送員はガスボンベの交換、ガスメータの指針確認、機器設備の確認などの保安作業といった所定の行為を行う。ステップS206において、配送員は、携帯電話110において当該顧客宅の配送データを選択した上で、上記所定の行為の結果を携帯電話110経由で配送システム100に送信する。なお、交換した容器の容器番号は、容器に貼られているバーコードを携帯電話110のバーコードリーダー機能を用いて読み込むことが可能であり、効率的かつ誤りのない容器管理を実施することができる。
【0032】
ステップS207において、配送システム100は、各携帯電話110から受信した顧客宅への配送データ、メータ指針値および保安作業の結果のデータに基づいてデータベースを更新する。
【0033】
<検針・請求システム>
検針・請求システム102は、顧客宅のメータに示されたガス使用量(数値情報)を検針担当者の携帯電話機110を介して受信し、受信したガス使用量および当該顧客宅の前回検針時のガス使用量に基づいて請求データを生成する。検針・請求システム102は、当月のガス使用量を検針年月日の情報とともに蓄積する。当月のガス使用量および検針年月日の情報は、配送システム101における配送予定生成時に使用される。なお、本明細書で「検針」とは、毎月のガスの使用量をメータによって確認し、請求を行うためのものであり、上記したガスボンベの配送とは別途行われることに留意されたい。
【0034】
<保安システム>
保安システム103は、顧客宅の設備情報、当該設備の満期情報、地域ごとに定められた所定の調査項目などの情報を格納し、かつ保安担当者の携帯電話機110から顧客宅で行われた保安作業情報を受信して当該情報を更新する。当該保安作業情報には顧客宅のメータに示されたガス使用量、および設置されているファンヒーターなどの機械設備情報が少なくとも含まれる。また、保安システム103は、保安担当者の携帯電話機110に対して所与の情報を提供し、保安担当者の顧客宅での作業を支援する。なお、本明細書で「保安」とは、顧客宅に設置されている機器設備などの点検作業であって、その実施が法定されているものであり、上記したガスボンベの配送とは別途行われることに留意されたい。
【0035】
保安システム103は、各顧客宅の機械設備情報、ガス使用量、および当該ガス使用量の受信年月日の情報を有するが、これらのデータは、配送システム101における配送予定生成時に使用される。また、保安作業時には、顧客宅のGPS情報(緯度・経度)が取得され、保安システム103に格納される。
【0036】
以下、図2を参照しながら説明した各フローで行われる処理の詳細を説明する。
【0037】
<配送データ生成処理>
図3は、ステップS201で説明した配送データ生成処理の詳細なフロー図であり、各デポの翌日の配送予定データを生成する処理を説明する図である。
【0038】
ステップS301では、配送システム101は、図7に例示するような配送データを生成するために、顧客マスタ400(図4)、エリアマスタ500(図5)、およびガス消費実績量テーブル600(図6)を読み込む。ここで、読み込まれるデータベースについて図4〜図6を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、顧客マスタ400を例示する。顧客マスタ400は、顧客ID、名称、郵便番号、ブロック、住所、連絡先、GPS情報、メータ識別番号、前回配送日、配送予定日、予定指針、設置容器種別、設置容器本数、営業所コード(エリアコード)、グループコード、特記事項、配送員メモを含む。ブロックは、デポからの距離の遠近を示す値であり、配送順の1車目や2車目を指定する際に利用可能な情報であり、かつ各エリアによって所定の複数のレベルを設定することができる。GPS情報は、顧客宅にガスメータを設置する際に計測された情報であり、保安システム103を介して取得される。メータ識別番号は、各顧客宅に設置されているメータを識別する番号である。前回配送日は、直近でその顧客宅に配送を行った年月日を指す。配送予定日は次回の配送予定日が格納されるが、通常は日々の配送データ生成処理において翌日に配送対象となった顧客データに日付情報が登録される。しかしながら、その後配送者から諸事情により別の日程に変更する旨のデータ更新があった場合にはその指定された日付情報が登録される。予定指針は、配送時のメータの予想値である。設置容器種別および設置容器本数は、顧客宅の容器の種類(50kg、30kg、20kgなど)およびガスボンベの本数を示す。営業所コードおよびグループコードは、その顧客宅を担当する配送員の所属する営業所(すなわち、エリア)および配送担当者のグループを示す。営業所とグループは一致することもあり、比較的広いエリアを管轄する営業所の場合には営業所内に複数グループが存在することもある。
【0040】
図5はエリアマスタ500を例示する。エリアマスタ500は、郵便番号、担当グループ、割当優先順、エリア名を含み、郵便番号で示されるエリアがどのグループの担当であるのかを示す。割当優先順は、1車目や2車目を割り当てる際に使用することが可能な情報である。顧客マスタ400のブロックは、エリア内のデポからの距離の遠近を詳細に示したい際に使用可能であり、割当優先順は、郵便番号ごとにエリア内のデポからの距離の遠近を示すだけでよい際に使用される。換言すれば、配送時の1車目や2車目の割り当ては、顧客マスタ400のブロックまたはエリアマスタ500割当優先順のいずれでも使用することができ、エリアの事情に応じて使い分けることもできる。
【0041】
図6は、ガス消費実績量テーブル600を例示する。ガス消費実績量テーブル600は、顧客ID、情報元、メータ識別番号、年月日、指針、消費量を含む。顧客IDおよびメータ識別番号は、顧客マスタ400の顧客IDおよびメータ識別番号と同じであり、情報元は、配送/検針/保安のいずれの作業において登録されたのかを示す情報である。そして、情報の取得された年月日ごとにその時のガスメータの指針の情報、および直近のデータからの差分である消費量の情報も含まれる。
【0042】
再び、図3のフロー図に戻って説明する。ステップS302において、配送システム101は、顧客マスタ400から顧客データを1件ずつ順次読み出し、当該顧客のガス消費実績量テーブル600から前回配送時のデータを検索する。図6の例では、顧客ID:A111−1111について2010年12月27日の配送時のデータがあり、その際の指針が59.2となっている。次に、配送システム101は、顧客マスタ400から当該顧客宅に設置されている容器の種別および本数を識別するとともに、ガス消費実績量テーブル600から上記配送時以降のガス消費実績量の算出および前年同時期のガス消費実績量の識別を行う。さらに、配送システム101は、識別された前年同時期のガス消費実績量について、前年同月およびその翌月の増減率(例えば、3%増、5%減、など)を識別する。その結果、予め定められた基準を満たす場合には、配送システム101は、当該顧客宅への配送を翌日に行うべきであると特定する。
【0043】
例えば、顧客宅に設置されている容器が50kgであり、かつ1本である場合、配送時以降のガス消費実績量の合計値が予め定めた基準値の範囲内(例えば、容器内のガス残量率が12%〜7%、など)にあり、かつ前年同時期のガス消費実績量と上記増減率から、容器内のガスの残量が当該基準値の範囲から外れるほど少なくなっている場合には、当該顧客への配送を行うべきであると判断する。
【0044】
なお、後述するように、配送システム101は、各顧客宅への配送時に実際のメータの指針の情報を携帯電話機110から得ることができるので、生成された配送予定データと実際の指針の情報とを対比して、上記した容器内のガス残量率などの基準値の範囲を一定の数以上のサンプルに基づいて自動的に変更することができる。例えば、配送予定生成時には交換が必要と判断されたが、実際にはガス残量率の多かったサンプルが多数ある場合には、上記基準値を11.5%〜6.9%などに自動的に変更することも可能である。かかる場合に、配送システム101は、ガスボンベのガス欠を防ぐ観点から基準値の上限値と下限値について異なる変動率を設定することも可能である。
【0045】
また、他の実施形態では、上記ガス消費実績量に加えて、保安システム103によって取得された顧客宅の機器設備情報に基づいて配送予定日を算出することも可能である。例えば、前回配送日以後に、新たに暖房器具やファンヒーターなどが設置された場合、当該暖房器具やファンヒーターのガス正味使用量の情報(例えば、従来機器より5%増)が分かっていれば、配送予定日の算出時に当該情報を使用することも可能である。
【0046】
ステップS303において、配送システム101は、翌日配送対象と特定された顧客について図7に示す配送データ700の各項目のうち担当者コードを除くデータ項目に顧客マスタ400、エリアマスタ500およびガス消費実績量テーブル600から取得したデータをセットする。担当者コードについては図8のフロー図で説明する処理にてセットされる。本ステップで生成された配送データは、上述した第1の配送データに相当する。ここで、図7の配送データ700について説明する。
【0047】
配送データ700は、図7に例示されるように、伝票ID、営業所コード、グループコード、担当者コード、配送順、顧客ID、郵便番号、ブロック、住所、氏名、連絡先、GPS情報、最新予定日、予定指針、配送時指針、前回検針日、前回検針時指針、前回配送日、前回配送時指針、メータ識別番号、交換容器種別、交換容器本数、特記事項、配送員メモ、配送済フラグ、などのデータ項目を含む。配送データ700は、他のデータベースから取得されるデータがセットされて生成されるため、図7に例示した以外のデータ項目を含めることも可能である。また、伝票IDは、配送データの識別コードである。ブロックは、デポからの距離の遠近を示す値である。配送順は、郵便番号やブロックなどに基づいて配送システム101によって決定される配送順番である。配送済フラグは配送員による配送が完了したことを示すフラグである。
【0048】
なお、本明細書において説明するように、一旦生成された予定をデポの管理者や配送員の都合によって任意に変更することはできない。仮に当日配送できなかったものについては配送済フラグの値により配送未完了であることを配送システム101は識別できるので、前日配送残のデータとして処理される。換言すれば、管理者や配送員の都合により任意の日付に変更可能な場合、配送システム101によって予測された配送予定日から大幅に遅れた日に配送される危険性があり、その場合に顧客宅でのガス欠が発生する虞があるからである。
【0049】
ステップS304において、配送システム101は、図7に示した配送データのうち、当日の配送対象であり、かつ配送済フラグが未完了を示すデータである当日の配送残データ(すなわち、上述した第2の配送データ)を読み込む。
【0050】
ステップS305において、配送システム101は、ステップS303およびS304の配送データを結合し、その後、営業所コード、グループコード、および郵便番号を基にデータをソートする。
【0051】
上述したように、図3のフロー図で生成される配送予定データは、各デポの第1の配送データおよび第2の配送データから成り、翌日配送対象となっている顧客宅のデータのみが含まれている。
【0052】
<配送データ割当処理>
図8は、ステップS202で説明した配送データ割当処理の詳細なフロー図であり、各担当者の翌日の配送予定データを生成する処理を説明する図である。なお、以下の説明では、前日の配送残のガスボンベについて前日の担当者ではなく当日当該顧客宅を担当する配送者に割り当てる実施形態で説明するが、これは上述したエリアローテーション制の下では日々該当エリアの配送担当者が変わる可能性があるからである。
【0053】
かかる場合、配送システム101は、配送担当者ごとに当日の配送残データリストを生成しておき、担当者のランクの見直しや配送順路の見直しなどに活かすことも可能である。例えば、同一エリアで配送残が多数発生する場合、配送員個々人の問題ではなく何らかの障害があると考えられるからである。また、翌日の配送本数が各グループの配送能力を著しく超えて配送不可となる場合には一義的にグループの管理者に割り当てるようにしている。かかる場合には、管理者の判断で配送の優先順位が決められることもあるが、実際に配送できなかったものについては配送残データとして処理される。
【0054】
ステップS801において、配送システム101は、図9に例示されるような担当者マスタ900を読み込み、翌日に休暇を取得する担当者を除外した上で勤務予定の担当者を特定する。担当者マスタ900は、会社ID、担当者ID、氏名、パスワード、ログイン日時、最終DL日時、営業所コード、グループコード、配分順位、ランク、超過割当係数、配送車、休暇期間FROM、休暇期間TOなどの項目を含む。
【0055】
ここで、最終DL日時は各配送員が自分の配送予定データを携帯電話機110にダウンロードした日時を示す。営業所コードはデポを管轄する営業所を指し示し、グループコードは営業所内のグループを指定することができる。配分順位は、エリアローテーション制の下でグループ内の配送員の担当エリアを割り振る際に使用される。ランクは担当者の一日当たりの配送可能本数であり、超過割当係数は当該デポおよびグループに割り当てられた当日の配送本数がグループの配送員のランク合計よりも超過した場合に、各配送員への超過割り当てを算出する際に使用する係数である。
【0056】
配送車は配送員が使用する車両を示し、当該情報は、配送車の種類によっては一度に積み込めない量のガスボンベが配送員に割り当てられる際、1車目や2車目といったデータ区分を設定するための情報となる。なお、配送システム101が実際に当該担当者の配送データを1車目や2車目に分割する際には、上述したブロックに基づいてデータをソートすることによりデポから顧客宅への配送距離の遠近を識別した上で行う。
【0057】
休暇期間FROMおよび休暇期間TOは、別システムの勤怠管理データから直近の休日情報を取得し、設定される情報である。休暇期間FROMおよび休暇期間TOのデータに基づいて、配送員に配送データを割り当てるか否かが判断される。なお、他の実施形態として、半日休暇については、別システムの勤怠管理データから休日情報を取得する際に、休暇期間FROM/休暇期間TOを設定せず、該当日だけランクの数値を一時的に半減させることで対処することも可能である。
【0058】
ステップS802において、配送システム101は、図3のフロー図で生成された配送予定データを用いて各グループの配送本数を算出する。当該配送予定データは、営業所コードおよびグループコードを含んでいるので、それらのコードをキーにして合算処理をすることで、営業所およびグループごとの配送本数を算出することができる。当該配送本数は、容器種別や本数の情報を含む。
【0059】
ステップS803において、配送システム101は、読み込まれた担当者マスタ900から、勤務予定の各担当者のランクを合算し、グループごとの配送可能本数を算出する。
【0060】
ステップS804において、配送システム101は、各グループの配送本数と各グループの配送可能本数を比較し、実際の配送本数が配送可能本数以下であればステップS805に処理を進め、そうでなければステップS806に処理を進める。
【0061】
ステップS805において、配送システム101は、以下の計算式にしたがって各担当者に配送本数を割り当てる(第1の割当処理)。
割当本数=配送本数合計÷配送可能本数合計×担当者のランク 式1
式1によれば、各担当者への割当本数はランク以下の数量となる。配送システム101は、担当者マスタ900の配分順位が1番の者から順番に割当処理を行っていくが、式1によって算出される割当本数が整数値にならない場合には切り上げ処理を行って整数値にする。上述したように、配送予定データは郵便番号に基づいてソートされているため、当該グループに割り当てられた配送予定データの1件目から順番に配分順位1番の者に割り当てていくことで、地理的に近くまとまっている顧客宅を各担当者に割り当てることが可能となる。なお、顧客宅に容器を2本配送する場合であって、担当者への割当をランク通りにすると1本だけになってしまう場合には2本とも割り当てるようにする。
【0062】
ステップS806において、配送システム101は、当該グループにおける勤務予定の担当者のランクおよび超過割当係数に基づいて、当該グループの超過可能本数合計を算出する。例えば、図9の担当者マスタ900においてランクが60であり、超過割当係数が1.2の場合、配送システム101は、その担当者は、60×1.2=72本を配送可能であり、したがって、超過可能本数は72−60=12本であると判断する。各担当者の超過可能本数を合計したものがグループの超過可能本数合計として算出される。
【0063】
ステップS807において、配送システム101は、以下の計算式にしたがって各担当者に配送本数を割り当てる(第2の割当処理)。
割当本数=(配送本数合計−配送可能本数合計)÷超過可能本数合計×担当者の超過可能本数+担当者のランク 式2
式2によれば、担当者は自分の配送可能本数(ランク)+最大超過可能本数以下の数が割り当てられることとなる。次に、配送システム101は、上述したように、担当者マスタ900の配分順位が1番の者から順番に割当処理を行っていく。
【0064】
なお、超過可能係数を使用してもグループに割り当てられた配送予定本数の方が多い場合には、上述したように、管理者に割り当てる。
【0065】
ステップS808において、配送システム101は、配送データ700に担当者の情報を付加し、さらに当該担当者の情報およびデポからの遠近を示すブロックの情報に基づいてソートし、翌日の配送データ生成を完了する。また、配送システム101は、翌々日の配送データ割当処理のために、担当者マスタ900の配分順位を更新する。例えば、配分順位が1番だった者が最後尾になり、他の担当者が1番ずつ繰り上がるようにしてもよいし、あるいは他のアルゴリズムによって配分順位を変更するようにしてもよい。
【0066】
<配送データダウンロード処理>
図10は、ステップS203で説明した配送データダウンロード処理の詳細なフロー図であり、配送システム101にアクセスしてきた担当者の翌日の配送予定データのみを当該担当者に対して送信(ダウンロード)する処理を説明する図である。
【0067】
ステップS1001において、担当者が携帯電話機110の画面上に表示されるメニュー画面から配送データ受信のメニューを選択すると、携帯電話機110はネットワーク130経由で配送システム101にアクセスする。かかるアクセスの際、担当者は、担当者IDおよびパスワードを入力する。
【0068】
また、本発明に係る携帯配送システムでは、携帯電話機110に一意に割り当てられている機番号をアクセス時に自動的に送信するようにしてもよいし、セキュリティを高めるため、担当者ID・パスワード・機番号を組み合わせてもよい。なお、機番号が使用される場合には担当者マスタ900に機番号の情報が追加される。機番号は、携帯固有情報(携帯電話ごとに割り当てられた固有の識別情報)を指し示し、端末製造番号、サブスクライバIDまたは端末シリアル番号と呼ばれる場合もある。この携帯固有情報は、所定のサイトにアクセスする際にログインIDとして認証処理に使用されることも可能である。
【0069】
ステップS1002において、配送システム101は、アクセスしてきた担当者について担当者マスタ900に格納されている情報に基づいて認証処理を行う。その結果、正当なユーザであると判断されれば、ステップS1003に処理が進み、不正なユーザであると判断されればエラーメッセージを携帯電話機110に送信した上で処理を終了する。
【0070】
ステップS1003において、配送システム101は、翌日の配送予定データのうち、当該認証された担当者のデータ(第3の配送データ)のみをネットワーク130経由で携帯電話機110に送信する。担当者のデータのみをダウンロードさせる理由は、余計なデータをダウンロードさせてデータが紛失されるリスクを最小限に抑えるためである。ステップS1004において、携帯電話機110は、ダウンロードした配送予定データを携帯電話機110内の記憶媒体に格納する。
【0071】
なお、他の実施形態として、配送システム101は、担当者マスタ900の最終DL日時に基づいて所定の時間ごとに配送データのダウンロードを行っていない担当者の携帯電話110に対して、ダウンロードを促す旨のメール通知を行うようにしてもよい。
【0072】
ここで、ダウンロードされた配送データ700の一例を図11に示す。図11には、担当者がその日に配送するデータのリストが表示されている。この例では、担当者は、20件の配送先があり、50kgの容器を45本、30kgの容器を15本配送することが示されている。さらに、1車目および2車目でどの位の本数を運べばいいのかも示されている。図11の例で、携帯電話機110の所定のキーを押下して1車目を選択すると配送先の顧客リストが表示される。また、以下で説明する配送済データ送信処理を行った顧客については画面上で識別できるように色を変更したり、明示的な識別子を表示したりすることが可能である。
【0073】
<配送済データ送信処理>
図12は、ステップS206において説明した配送済データ送信処理の詳細なフローを示す図である。顧客宅への配送が行われ、かつメータの指針確認、機器設備の確認などの保安作業といった所定の行為が行われた後、配送員は、携帯電話110において図11に示された当該顧客宅の配送データを選択して所定のキーを押下する(ステップS1201)。携帯電話機110は図13に示すような画面を表示する。
【0074】
図13に表示されている画面は、配送時のメータの指針、交換したガスボンベの容器番号、および予め定められた保安項目などを表示しているが、これらは単なる一例である。例えば、保安項目については、顧客宅の所在地である都道府県によっても保安項目が異なり、設置されている設備によっても異なる。しかしながら、図13の画面に表示されるデータ項目は、顧客マスタおよび配送データに格納されている情報および関連するデータベースによって決まり、どのデータ項目を表示するかは配送システム101によって予め決定されている。
【0075】
配送員は、表示画面において所定のデータ項目を入力し(ステップS1202)、携帯電話機110の所定のボタンを押下すると入力されたデータは配送システム101に送信される(ステップS1203)。なお、交換した容器の容器番号は、容器に貼られているバーコードを携帯電話110のバーコードリーダー機能を用いて読み込むことが可能であり、効率的かつ誤りのない容器管理を実施することができる。
【0076】
<データベース更新>
配送システム101は、図12で説明した顧客宅の配送完了のデータを受信すると、図4の顧客マスタ400、図6のガス消費実績量テーブル600、図7の配送データ700、および保安システム103のデータベースなど関連するデータベースをリアルタイムでアップデートする。このようにアップデートを行うことによって、配送システム101は、翌日の配送予定を最新のデータに基づいて行うことができ、また他システム102、103についても最新のデータに基づいて処理を行うことが可能となる。
【0077】
<システム構成>
以下、図14を参照しながら本発明に係る配送システム101のシステム構成について説明する。配送システム101は、制御部1401、主記憶部1402、補助記憶部1403、インターフェース(I/F)部1404、入力部1405、出力部1406、顧客マスタ400、エリアマスタ500、ガス消費実績量テーブル600、配送データ700、担当者マスタ900を含む。
【0078】
制御部1401は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、上記各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部1403に格納されている各種プログラムを主記憶部1402に読み出して実行する。主記憶部1402は、メインメモリとも呼ばれ、配送システム101が受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。
【0079】
補助記憶部1403は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。主記憶部1402は、補助記憶部1403よりも記憶容量が相対的に小さいため、一時的なデータの記憶や演算処理などに使用されるのに対し、補助記憶部1403は、必要なデータや情報の長期的な記憶・保存のために使用される。つまり、制御部1401がプログラムを実行してデータの演算を行う場合には、補助記憶部1403から必要なデータやプログラムを主記憶部1402に読み出し、演算結果のデータを長期的に記憶・保存するには制御部1401が補助記憶部1403に演算結果のデータを書き込む。
【0080】
インターフェース(I/F)部1404は、配送システム101の外部にあるコンピュータ装置および携帯電話機110との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たす。外部から受信したデータは、主記憶部1402に一時的に記憶される。また、インターフェース部1404は、入力部1405を介して入力された各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースも提供する。出力部1406は、配送システム101のアウトプット(画面・帳票など)を出力する。
【0081】
顧客マスタ400、エリアマスタ500、ガス消費実績量テーブル600、配送データ700、および担当者マスタ900は、それぞれ、図4、図5、図6、図7、および図9を参照して上述したようなデータ項目を有する。これらのデータベースは、入力部1405を介して入力されるデータにしたがってアップデートされ、また携帯電話機110から送信されたデータにしたがってアップデートされる。特に、配送データ700は、日々、配送予定データが生成され、実際の配送が終了したら配送済の配送データとして使用される。なお、これらのデータベースから抽出されたデータを使用して所定項目のデータを時系列に生成・格納することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 センターシステム(基幹システム)
101 配送システム
102 検針・請求システム
103 保安システム
110 携帯電話機
120 カーナビ
130 ネットワーク
400 顧客マスタ
500 エリアマスタ
600 ガス消費実績量テーブル
700 配送データ
900 担当者マスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油(LP)ガス容器の配送システムに関する。より詳細には、本発明は、顧客に関連付けられた郵便番号に基づいてソートされ、グループ分けされた所定エリアの日々の配送データを配送員の配送能力に従って配送員別の日次配送データとして各配送員の携帯電話機を介して配信し、配送結果データを受信するLPガスの配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLPガス容器の配送を効率化する仕組みは多数提案されてきた(特許文献1参照)。また、LPガスの配送は、1次基地から各地の充填工場へタンクローリーで配送されたガスを各充填工場にて各種容器のガスボンベに充填した上で個々の顧客宅へと配送していた。また、配送を担当する各配送員にはその担当する固定的な配送エリアが設定されていた(固定エリア制)。このような仕組みの下で、従来は、センターシステムで各顧客宅の過去のガス消費実績量、検針データ、容器配送実績等を基に各顧客宅のガスボンベの残量を予測し、次回配送予定を算出していた。そして、算出された配送予定に基づき、センターシステムは、10日先を基準日として基準日以降1週間分の配送伝票(容器管理票)を発行し、各配送拠点である充填工場へ当該配送伝票が送られていた。
【0003】
各配送拠点では、配送員は、配送管理者によって仕分けられた配送員毎の配送伝票を受け取り、受け取った配送伝票に基づきどの顧客から廻るかといった配送予定は自分で決定していた。実際の配送時には、配送員はLPガス容器交換後に、配送した日付、当日のメータ指針、容器社番、保安検査の各項目を配送伝票に手書きし、配送管理者に提出しており、配送員1人あたりの分量も非常に多かった。返却された配送伝票は、配送管理者によって記入漏れがないかチェックされた後、計算センターでキーパンチャーによってシステムに入力されていた。このようにして入力された配送伝票のデータなどに基づいて次回配送予定日が決定されていた。
【0004】
また、固定エリア制には、担当エリア内での顧客増による配送員の負荷増大に起因するガス欠(ガスボンベの残量ゼロ)の発生、配送エリアの充填所からの距離の遠近による不公平感、担当エリア固定による休日取得の困難、および配送員の休暇・欠員による代替者の配送は地図を見ながら行うといった非効率さ、などの問題が発生していた。
【0005】
さらに、10日先の1週間分の配送伝票をまとめて渡すと配送員は自分の固定エリア内で隣り合った顧客に対してセンターシステムによって算出された予定配送日を無視して同日に配送してしまったり、配送伝票の配送・現場での記入・システム入力に時間的・人的コストがかかったり、個人情報を含む配送伝票の紛失時には個人情報漏れの危険性があったりした。
【0006】
このような仕事の仕組みを改めるため、近年、各地のガスボンベ充填所での充填作業を1次基地においてまとめて行うことにより、各地の充填工場を容器貯蔵所(以下、「デポ」と称する)に変えるとともに、従来の配送員のエリアを数ヶ所集めて一つのエリアとして設定し、その中を複数の配送員がチームを組んでローテーションで配送エリアを順次担当するエリアローテーション制への移行が行われてきた。
【0007】
また、ハンディターミナルを利用して省力化を図る試みも一部で行われていたが、ハンディターミナル自体高価なデバイスであり、紛失時には大量の顧客データ紛失というリスクも抱えていた。また、ハンディターミナルは、営業所に実際に来てデータをアップデートしなければならず、情報のリアルタイム性に欠けていた。
【0008】
一方、商品に関する情報を提供するバーコード、およびバーコードよりもさらに多くの情報を提供することが可能な白と黒のドットで構成された模様の2次元コードを読み取り、当該バーコードや2次元コードによって特定される情報を表示する機能を有する携帯電話機が近年普及していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−329159号公報
【発明の概要】
【0010】
エリアローテーション制の下では各配送員の配送エリアが日々変化するため、配送指示を適時かつ適切に行うとともに、広いエリア内での効率的な配送を担保するシステムを提供する必要があった。また、1次基地からデポに容器をトレーラーで運搬し、デポから顧客宅に個別配送を行うとしても、計画的な個別配送が困難な場合にはかなりの数の予備容器をデポに配置する必要があり、作業員も常時配置した有人デポとならざるを得ず、オーバースペックとなる恐れもあった。さらに、携帯電話機を利用して配送指示を出す場合には、各配送員の行っている作業を全て携帯電話機から処理できるようにする必要があった。これらのニーズおよび課題を解決するために、本発明に係る携帯配送システムは以下に述べる処理を行う。
【0011】
センターシステムは、月々のガスメータ検針により取得された各顧客のガス消費量実績、設置されている機器設備情報、および前回の容器配送実績等に基づいて各顧客のガスボンベの残量を予測し、各顧客の次回配送予定日を算出する。センターシステムは、算出された配送予定日が翌日である配送データのみを所定の時間(例えば、夕刻)以降、各配送員の携帯電話からのアクセスに応答して当該携帯電話機に送信する。一方、各デポに用意すべき翌日の配送本数は、センターシステムによって把握されている当日の配送残の本数を加味した上でセンターシステムによって計算される。デポごとに用意すべき本数から当日の配送残の本数を減算した本数が当該デポへ運搬する本数のデータであるとして、センターシステムからハブ基地の充填所に通知される。これにより、各デポへ運搬する本数のガスボンベがトレーラーに積み込まれて深夜に各デポに運ばれる。
【0012】
各配送員の携帯電話機に送信される配送データは、各デポの担当エリアの中の郵便番号を基準としてシステムによりソートされた後、配送員の配送能力(以下、「ランク」という)に応じて自動的に各配送員に割り当てられる。上述したエリアローテーション制を担保するため配送員への割り当て順序は日々更新される。
【0013】
本発明に係るシステムは、配送を担当するデポからの距離の遠近を示すデータを有しているため、配送員に送信される配送データは、初期状態として出発するデポから近い順番にソートされている。また、当日配送するガスボンベを一度に配送車に積み込めない場合には、配送データは、1車目、2車目で配送する標準的な廻り方を含むようになっている(例えば、1車目ではデポから近いエリアの顧客宅、2車目ではデポから遠いエリアの顧客宅、など)。そして、配送員の携帯電話機によって受信された配送データは、カーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」と称す)に転送され、カーナビの地図に配送地点が廻る順路を含めて表示される。これにより、配送員は、毎朝デポにおいて配送データで示された1車目で必要なLPガス容器を積み込み、本発明に係るシステムによって示された効率的な順路にしたがって配送に出発することが可能となる。
【0014】
配送員は、各顧客宅にて配送したガスボンベの容器交換が終了する毎に、ガスメータの指針および容器交換時に実施する保安点検結果を含む作業終了時入力を携帯電話機経由でセンターシステムに送信する。交換した容器の容器番号は容器に貼られているバーコードを携帯電話機のコードリーダ機能を用いて読み込むことによって行えるため、本発明に係るシステムではガスボンベの容器管理を実施することができる。配送員は、1車目が終わったらデポに戻って空の容器を降ろし、配送データで示された2車目に必要な容器を積み込み、配送業務を継続する。
【0015】
上述したように、各配送員の配送状況は顧客宅への配送が1軒終了する毎にリアルタイムでセンターシステムに送信されるため、当日の所定の時刻までに配送終了の送信がされなかった顧客に関しては明日の配送予定データに自動的に繰り越される。また、デポにある配送残のガスボンベの本数は各配送員の携帯電話機から送信された配送状況からシステムで自動的に把握することができるため、翌日の配送予定の容器の数から当該残数をシステムで自動的に減算してハブ基地の充填所に指示される。その後、充填所から各デポに対して容器の運搬が行われるが、そのトレーラーは各デポにある空容器を充填所までの帰り便として持ち帰る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、エリアローテーション制をサポートする配送データの生成および配信システムを提供することができる。エリアローテーション制の下では、配送員の配送エリアが拡大するため、本発明は、配送をサポートするシステム機能、すなわち、郵便番号でソートされた配送データの配送員への割り当て、1車目/2車目の積み込みデータの明示、標準的な配送ルートの自動設定および配送データとカーナビとの連携による効率的な配送実現、などを提供し、その結果、エリアローテーション制の下での効率的な配送を実現することができる。また、本発明により、配送員の現場での作業(容器交換時の保安点検、メータ指針・交換容器の容器番号の読み込み、等)を全て携帯電話機で実現できるようにし、および配送員のランクに基づく適正な配送割当の結果としての配送残の縮減が図られるという効果も得られる。さらに、計画配送と配送残のリアルタイムの把握により、デポにおける正確な容器管理をシステムによって実現できるようになる。
【0017】
また、本発明による他の効果として、(1)デポからの距離の遠近による各配送員の配送エリアの不公平が解消できること、(2)配送エリアに複数の配送員が配置され、配送員の休暇・欠員にも迅速に対応できること、(3)配送エリアの急激な顧客増加に対しても配送員の追加だけで対応できること、(4)翌日の配送データしか配送員に配信しないので配送員の恣意的な容器管理を防止でき、結果的に容器の残量率が減り配送経費の削減を図れること、(5)紙の伝票類を一切用いず、全ての業務を携帯電話機で行うことにより雨天時の作業効率と質が向上すること、(6)配送員が直接現場で入力できるようになることで、配送管理票(紙)のやり取りがなくなり、配送管理者の確認作業およびキーパンチャーによる入力作業が不要になり、この結果、人件費の大幅削減につながること、(7)配送および配送員に関するデータをリアルタイムに把握することができ、適正な配送員管理を容易にできること、(8)全ての業務を汎用の携帯電話機で行えるため設備投資が安価で済み、配送員がネットワーク経由で直接現場からデータ入力するため顧客増加に対しても固定費の増加がほとんどなくなること、(9)本システムにより、日々の各エリアの配送本数が配送残も計算された上で前日に配送計画を生成できることから、デポへの容器運搬も効率化されること、(10)従来の配送拠点では、充填されたガスボンベの置き場から各配送員が自分の配送に必要な容器を車両まで運搬しなければならなかったが、デポではトレーラーの荷台がそのまま容器置き場になるため、配送車両を横付けしてそのまま積み込みを行えること、等の効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るセンターシステムの概略を示す図である。
【図2】配送システムに関連して行われる処理の概要を示すフロー図である。
【図3】配送データ生成処理の詳細なフロー図である。
【図4】顧客マスタの一例を示す図である。
【図5】エリアマスタの一例を示す図である。
【図6】ガス消費実績量テーブルの一例を示す図である。
【図7】配送データの一例を示す図である。
【図8】配送データ割当処理の詳細なフロー図である。
【図9】担当者マスタの一例を示す図である。
【図10】配送データダウンロード処理の詳細なフロー図である。
【図11】ダウンロードされた配送データの一例を示す図である。
【図12】配送済データ送信処理の詳細なフローを示す図である。
【図13】携帯電話機のディスプレイに表示される画面の一例である。
【図14】システム構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書で説明する実施形態はあくまでも例示であり、本発明は当該実施形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることに留意されたい。また、当該実施形態で説明する方法、機能および手段は、コンピュータ実行可能なプログラムとして実装することも可能であり、また、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実施することも可能である。
【0020】
<センターシステム>
図1は、本発明に係る携帯配送システムに含まれるセンターシステム(基幹システム)100、各配送員の携帯電話110および配送車のカーナビ120を示す図である。センターシステム100は、複数の携帯電話機110とネットワーク130を介して接続され、また、携帯電話110はカーナビ120と短距離無線通信技術(例えば、ブルートゥース)で通信可能である。携帯電話機110は、バーコードおよび2次元コード読み取り機能を備える周知の携帯電話機とすることができる。カーナビ120は、携帯電話110から配送先の住所データ(予め取得された顧客宅の緯度・経度などのGPS情報を含む)を受信して、ディスプレイに表示された地図にその住所を明示する機能(例えば、フラグを立てる)を備える。ネットワーク130は、LAN(local area network)、インターネットおよびセルラーネットワークなどの周知のネットワークとすることができる。
【0021】
センターシステム100は、配送システム101、検針・請求システム102および保安システム103を含む。なお、図1は、センターシステム100が3つのシステム101〜103を内部に含むように示しているが、3つのシステム101〜103が独立して存在し、各システム101〜103がネットワーク経由でセンターシステム100に接続される構成としても構わない。
【0022】
以下、配送システム101、検針・請求システム102および保安システム103について概略を説明した後、本発明に係る配送システム101について詳細に説明する。
【0023】
<配送システム>
配送システム101は、充填所から各デポに向けて配送されるガスボンベの種類・本数のデータと前日の各デポにおける配送残のガスボンベの種類・本数のデータとの合計であるデポごとの日々の配送データを生成し、かつ当該配送データを当該デポからの配送を担当する各配送員に割り当てた配送員別配送データを生成する。
【0024】
また、配送システム101は、各配送員の携帯電話機からのアクセスに応答して当該配送員分の配送データを送信し、かつ当日に実際に配送が行われた顧客宅の作業データおよび配送残のデータに基づいて配送システム101内のデータベース(DB)を更新する。各配送員によってダウンロードされた配送データは、カーナビ120に送信されることによって、当日の配送予定の顧客宅の場所が地図上に表示され、配送員の配送を支援するデータとしても利用される。
【0025】
以下、図2を参照しながら、配送システム101、携帯電話機110およびカーナビ120によって実行される処理を説明する。図2は、配送システム101に関連して行われる処理の概要を示すフロー図である。この処理フローは日々行われる。
【0026】
ステップS201において、配送システム101は、各デポの管轄する顧客宅のデータ(例えば、月々のガスメータ検針により取得されたガス使用量の履歴情報、設置されている機器設備情報、過去の容器配送実績、およびデポの担当者が入力したスケジュールデータ、など)に基づいて各顧客のガスボンベの残量を予測し、各顧客の次回配送予定日を算出する。配送システム101は、次回配送予定日が翌日である顧客宅のデータ(第1の配送データ)および各デポにおける前日の配送残データ(第2の配送データ)を合計して、各デポの翌日の配送予定データを生成する。すなわち、配送予定データは、各デポの第1の配送データおよび第2の配送データから成り、翌日配送対象となっている顧客宅のデータのみが含まれている。また、第1の配送データによって示されるガスボンベの種類・本数が、実際に充填所から各デポにトレーラー配送される。
【0027】
ステップS202において、配送システム101は、各デポの配送予定データ(第1の配送データおよび第2の配送データ)を実際に勤務する配送員に割り当てる配送データ割当処理を行う。配送システム101は、まず、配送予定データに含まれる各顧客宅の郵便番号データに基づいてソートすることによって距離的に近い顧客宅を並べ替える処理を行う。次に、配送システム101は、担当者マスタ900から各デポの配送員のうち、翌日に勤務する予定の配送員のデータを取得し、取得された配送員のランクに従って各配送員の配送予定データ(第3の配送データ)として割り当てる処理を行う。なお、上述したエリアローテーション制を担保するため配送員への割り当て順序は日々更新される。
【0028】
また、配送システム101は、各顧客宅についてデポからの距離の遠近を示すデータを使用することによって、第3の配送データをデポから近い順番にソートする。また、配送員の使用する配送車の積載容量では当日配送するガスボンベを一度に積み込めない場合、配送システム101は、第3の配送データを1車目、2車目に分割する。この1車目、2車目の区分は、配送する標準的な廻り方にしたがったものとなる(例えば、1車目ではデポから近いエリアの顧客宅、2車目ではデポから遠いエリアの顧客宅、など)。
【0029】
ステップS203において、配送システム101は、各携帯電話110からのアクセスに対して、アクセスした配送員を識別する処理を行い、識別された配送員の配送予定データ(第3の配送データ)だけを携帯電話110に配信する。携帯電話110にダウンロードされた第3の配送データは、配送員の当日の配送計画として使用される。
【0030】
ステップS204において、各配送員の配送予定データは、配送車のカーナビ120に短距離無線通信技術を用いて送信可能である。カーナビ120は、受信した配送予定データに含まれる顧客宅の住所データ(郵便番号、住所、および顧客宅の緯度・経度などのGPS情報、等)を使用して、ディスプレイに表示される地図上の顧客宅の位置にフラグなどの目印を廻る順路を含めて表示する。上述したように顧客宅は郵便番号情報によってソートされているので個々の配送員が担当するエリアは地理的に近く集合したエリアとなり、よって、カーナビ120を介した標準的かつ効率的な配送ルートの提供が可能となる。
【0031】
ステップS205において実際に顧客宅に配送が行われたら、配送員はガスボンベの交換、ガスメータの指針確認、機器設備の確認などの保安作業といった所定の行為を行う。ステップS206において、配送員は、携帯電話110において当該顧客宅の配送データを選択した上で、上記所定の行為の結果を携帯電話110経由で配送システム100に送信する。なお、交換した容器の容器番号は、容器に貼られているバーコードを携帯電話110のバーコードリーダー機能を用いて読み込むことが可能であり、効率的かつ誤りのない容器管理を実施することができる。
【0032】
ステップS207において、配送システム100は、各携帯電話110から受信した顧客宅への配送データ、メータ指針値および保安作業の結果のデータに基づいてデータベースを更新する。
【0033】
<検針・請求システム>
検針・請求システム102は、顧客宅のメータに示されたガス使用量(数値情報)を検針担当者の携帯電話機110を介して受信し、受信したガス使用量および当該顧客宅の前回検針時のガス使用量に基づいて請求データを生成する。検針・請求システム102は、当月のガス使用量を検針年月日の情報とともに蓄積する。当月のガス使用量および検針年月日の情報は、配送システム101における配送予定生成時に使用される。なお、本明細書で「検針」とは、毎月のガスの使用量をメータによって確認し、請求を行うためのものであり、上記したガスボンベの配送とは別途行われることに留意されたい。
【0034】
<保安システム>
保安システム103は、顧客宅の設備情報、当該設備の満期情報、地域ごとに定められた所定の調査項目などの情報を格納し、かつ保安担当者の携帯電話機110から顧客宅で行われた保安作業情報を受信して当該情報を更新する。当該保安作業情報には顧客宅のメータに示されたガス使用量、および設置されているファンヒーターなどの機械設備情報が少なくとも含まれる。また、保安システム103は、保安担当者の携帯電話機110に対して所与の情報を提供し、保安担当者の顧客宅での作業を支援する。なお、本明細書で「保安」とは、顧客宅に設置されている機器設備などの点検作業であって、その実施が法定されているものであり、上記したガスボンベの配送とは別途行われることに留意されたい。
【0035】
保安システム103は、各顧客宅の機械設備情報、ガス使用量、および当該ガス使用量の受信年月日の情報を有するが、これらのデータは、配送システム101における配送予定生成時に使用される。また、保安作業時には、顧客宅のGPS情報(緯度・経度)が取得され、保安システム103に格納される。
【0036】
以下、図2を参照しながら説明した各フローで行われる処理の詳細を説明する。
【0037】
<配送データ生成処理>
図3は、ステップS201で説明した配送データ生成処理の詳細なフロー図であり、各デポの翌日の配送予定データを生成する処理を説明する図である。
【0038】
ステップS301では、配送システム101は、図7に例示するような配送データを生成するために、顧客マスタ400(図4)、エリアマスタ500(図5)、およびガス消費実績量テーブル600(図6)を読み込む。ここで、読み込まれるデータベースについて図4〜図6を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、顧客マスタ400を例示する。顧客マスタ400は、顧客ID、名称、郵便番号、ブロック、住所、連絡先、GPS情報、メータ識別番号、前回配送日、配送予定日、予定指針、設置容器種別、設置容器本数、営業所コード(エリアコード)、グループコード、特記事項、配送員メモを含む。ブロックは、デポからの距離の遠近を示す値であり、配送順の1車目や2車目を指定する際に利用可能な情報であり、かつ各エリアによって所定の複数のレベルを設定することができる。GPS情報は、顧客宅にガスメータを設置する際に計測された情報であり、保安システム103を介して取得される。メータ識別番号は、各顧客宅に設置されているメータを識別する番号である。前回配送日は、直近でその顧客宅に配送を行った年月日を指す。配送予定日は次回の配送予定日が格納されるが、通常は日々の配送データ生成処理において翌日に配送対象となった顧客データに日付情報が登録される。しかしながら、その後配送者から諸事情により別の日程に変更する旨のデータ更新があった場合にはその指定された日付情報が登録される。予定指針は、配送時のメータの予想値である。設置容器種別および設置容器本数は、顧客宅の容器の種類(50kg、30kg、20kgなど)およびガスボンベの本数を示す。営業所コードおよびグループコードは、その顧客宅を担当する配送員の所属する営業所(すなわち、エリア)および配送担当者のグループを示す。営業所とグループは一致することもあり、比較的広いエリアを管轄する営業所の場合には営業所内に複数グループが存在することもある。
【0040】
図5はエリアマスタ500を例示する。エリアマスタ500は、郵便番号、担当グループ、割当優先順、エリア名を含み、郵便番号で示されるエリアがどのグループの担当であるのかを示す。割当優先順は、1車目や2車目を割り当てる際に使用することが可能な情報である。顧客マスタ400のブロックは、エリア内のデポからの距離の遠近を詳細に示したい際に使用可能であり、割当優先順は、郵便番号ごとにエリア内のデポからの距離の遠近を示すだけでよい際に使用される。換言すれば、配送時の1車目や2車目の割り当ては、顧客マスタ400のブロックまたはエリアマスタ500割当優先順のいずれでも使用することができ、エリアの事情に応じて使い分けることもできる。
【0041】
図6は、ガス消費実績量テーブル600を例示する。ガス消費実績量テーブル600は、顧客ID、情報元、メータ識別番号、年月日、指針、消費量を含む。顧客IDおよびメータ識別番号は、顧客マスタ400の顧客IDおよびメータ識別番号と同じであり、情報元は、配送/検針/保安のいずれの作業において登録されたのかを示す情報である。そして、情報の取得された年月日ごとにその時のガスメータの指針の情報、および直近のデータからの差分である消費量の情報も含まれる。
【0042】
再び、図3のフロー図に戻って説明する。ステップS302において、配送システム101は、顧客マスタ400から顧客データを1件ずつ順次読み出し、当該顧客のガス消費実績量テーブル600から前回配送時のデータを検索する。図6の例では、顧客ID:A111−1111について2010年12月27日の配送時のデータがあり、その際の指針が59.2となっている。次に、配送システム101は、顧客マスタ400から当該顧客宅に設置されている容器の種別および本数を識別するとともに、ガス消費実績量テーブル600から上記配送時以降のガス消費実績量の算出および前年同時期のガス消費実績量の識別を行う。さらに、配送システム101は、識別された前年同時期のガス消費実績量について、前年同月およびその翌月の増減率(例えば、3%増、5%減、など)を識別する。その結果、予め定められた基準を満たす場合には、配送システム101は、当該顧客宅への配送を翌日に行うべきであると特定する。
【0043】
例えば、顧客宅に設置されている容器が50kgであり、かつ1本である場合、配送時以降のガス消費実績量の合計値が予め定めた基準値の範囲内(例えば、容器内のガス残量率が12%〜7%、など)にあり、かつ前年同時期のガス消費実績量と上記増減率から、容器内のガスの残量が当該基準値の範囲から外れるほど少なくなっている場合には、当該顧客への配送を行うべきであると判断する。
【0044】
なお、後述するように、配送システム101は、各顧客宅への配送時に実際のメータの指針の情報を携帯電話機110から得ることができるので、生成された配送予定データと実際の指針の情報とを対比して、上記した容器内のガス残量率などの基準値の範囲を一定の数以上のサンプルに基づいて自動的に変更することができる。例えば、配送予定生成時には交換が必要と判断されたが、実際にはガス残量率の多かったサンプルが多数ある場合には、上記基準値を11.5%〜6.9%などに自動的に変更することも可能である。かかる場合に、配送システム101は、ガスボンベのガス欠を防ぐ観点から基準値の上限値と下限値について異なる変動率を設定することも可能である。
【0045】
また、他の実施形態では、上記ガス消費実績量に加えて、保安システム103によって取得された顧客宅の機器設備情報に基づいて配送予定日を算出することも可能である。例えば、前回配送日以後に、新たに暖房器具やファンヒーターなどが設置された場合、当該暖房器具やファンヒーターのガス正味使用量の情報(例えば、従来機器より5%増)が分かっていれば、配送予定日の算出時に当該情報を使用することも可能である。
【0046】
ステップS303において、配送システム101は、翌日配送対象と特定された顧客について図7に示す配送データ700の各項目のうち担当者コードを除くデータ項目に顧客マスタ400、エリアマスタ500およびガス消費実績量テーブル600から取得したデータをセットする。担当者コードについては図8のフロー図で説明する処理にてセットされる。本ステップで生成された配送データは、上述した第1の配送データに相当する。ここで、図7の配送データ700について説明する。
【0047】
配送データ700は、図7に例示されるように、伝票ID、営業所コード、グループコード、担当者コード、配送順、顧客ID、郵便番号、ブロック、住所、氏名、連絡先、GPS情報、最新予定日、予定指針、配送時指針、前回検針日、前回検針時指針、前回配送日、前回配送時指針、メータ識別番号、交換容器種別、交換容器本数、特記事項、配送員メモ、配送済フラグ、などのデータ項目を含む。配送データ700は、他のデータベースから取得されるデータがセットされて生成されるため、図7に例示した以外のデータ項目を含めることも可能である。また、伝票IDは、配送データの識別コードである。ブロックは、デポからの距離の遠近を示す値である。配送順は、郵便番号やブロックなどに基づいて配送システム101によって決定される配送順番である。配送済フラグは配送員による配送が完了したことを示すフラグである。
【0048】
なお、本明細書において説明するように、一旦生成された予定をデポの管理者や配送員の都合によって任意に変更することはできない。仮に当日配送できなかったものについては配送済フラグの値により配送未完了であることを配送システム101は識別できるので、前日配送残のデータとして処理される。換言すれば、管理者や配送員の都合により任意の日付に変更可能な場合、配送システム101によって予測された配送予定日から大幅に遅れた日に配送される危険性があり、その場合に顧客宅でのガス欠が発生する虞があるからである。
【0049】
ステップS304において、配送システム101は、図7に示した配送データのうち、当日の配送対象であり、かつ配送済フラグが未完了を示すデータである当日の配送残データ(すなわち、上述した第2の配送データ)を読み込む。
【0050】
ステップS305において、配送システム101は、ステップS303およびS304の配送データを結合し、その後、営業所コード、グループコード、および郵便番号を基にデータをソートする。
【0051】
上述したように、図3のフロー図で生成される配送予定データは、各デポの第1の配送データおよび第2の配送データから成り、翌日配送対象となっている顧客宅のデータのみが含まれている。
【0052】
<配送データ割当処理>
図8は、ステップS202で説明した配送データ割当処理の詳細なフロー図であり、各担当者の翌日の配送予定データを生成する処理を説明する図である。なお、以下の説明では、前日の配送残のガスボンベについて前日の担当者ではなく当日当該顧客宅を担当する配送者に割り当てる実施形態で説明するが、これは上述したエリアローテーション制の下では日々該当エリアの配送担当者が変わる可能性があるからである。
【0053】
かかる場合、配送システム101は、配送担当者ごとに当日の配送残データリストを生成しておき、担当者のランクの見直しや配送順路の見直しなどに活かすことも可能である。例えば、同一エリアで配送残が多数発生する場合、配送員個々人の問題ではなく何らかの障害があると考えられるからである。また、翌日の配送本数が各グループの配送能力を著しく超えて配送不可となる場合には一義的にグループの管理者に割り当てるようにしている。かかる場合には、管理者の判断で配送の優先順位が決められることもあるが、実際に配送できなかったものについては配送残データとして処理される。
【0054】
ステップS801において、配送システム101は、図9に例示されるような担当者マスタ900を読み込み、翌日に休暇を取得する担当者を除外した上で勤務予定の担当者を特定する。担当者マスタ900は、会社ID、担当者ID、氏名、パスワード、ログイン日時、最終DL日時、営業所コード、グループコード、配分順位、ランク、超過割当係数、配送車、休暇期間FROM、休暇期間TOなどの項目を含む。
【0055】
ここで、最終DL日時は各配送員が自分の配送予定データを携帯電話機110にダウンロードした日時を示す。営業所コードはデポを管轄する営業所を指し示し、グループコードは営業所内のグループを指定することができる。配分順位は、エリアローテーション制の下でグループ内の配送員の担当エリアを割り振る際に使用される。ランクは担当者の一日当たりの配送可能本数であり、超過割当係数は当該デポおよびグループに割り当てられた当日の配送本数がグループの配送員のランク合計よりも超過した場合に、各配送員への超過割り当てを算出する際に使用する係数である。
【0056】
配送車は配送員が使用する車両を示し、当該情報は、配送車の種類によっては一度に積み込めない量のガスボンベが配送員に割り当てられる際、1車目や2車目といったデータ区分を設定するための情報となる。なお、配送システム101が実際に当該担当者の配送データを1車目や2車目に分割する際には、上述したブロックに基づいてデータをソートすることによりデポから顧客宅への配送距離の遠近を識別した上で行う。
【0057】
休暇期間FROMおよび休暇期間TOは、別システムの勤怠管理データから直近の休日情報を取得し、設定される情報である。休暇期間FROMおよび休暇期間TOのデータに基づいて、配送員に配送データを割り当てるか否かが判断される。なお、他の実施形態として、半日休暇については、別システムの勤怠管理データから休日情報を取得する際に、休暇期間FROM/休暇期間TOを設定せず、該当日だけランクの数値を一時的に半減させることで対処することも可能である。
【0058】
ステップS802において、配送システム101は、図3のフロー図で生成された配送予定データを用いて各グループの配送本数を算出する。当該配送予定データは、営業所コードおよびグループコードを含んでいるので、それらのコードをキーにして合算処理をすることで、営業所およびグループごとの配送本数を算出することができる。当該配送本数は、容器種別や本数の情報を含む。
【0059】
ステップS803において、配送システム101は、読み込まれた担当者マスタ900から、勤務予定の各担当者のランクを合算し、グループごとの配送可能本数を算出する。
【0060】
ステップS804において、配送システム101は、各グループの配送本数と各グループの配送可能本数を比較し、実際の配送本数が配送可能本数以下であればステップS805に処理を進め、そうでなければステップS806に処理を進める。
【0061】
ステップS805において、配送システム101は、以下の計算式にしたがって各担当者に配送本数を割り当てる(第1の割当処理)。
割当本数=配送本数合計÷配送可能本数合計×担当者のランク 式1
式1によれば、各担当者への割当本数はランク以下の数量となる。配送システム101は、担当者マスタ900の配分順位が1番の者から順番に割当処理を行っていくが、式1によって算出される割当本数が整数値にならない場合には切り上げ処理を行って整数値にする。上述したように、配送予定データは郵便番号に基づいてソートされているため、当該グループに割り当てられた配送予定データの1件目から順番に配分順位1番の者に割り当てていくことで、地理的に近くまとまっている顧客宅を各担当者に割り当てることが可能となる。なお、顧客宅に容器を2本配送する場合であって、担当者への割当をランク通りにすると1本だけになってしまう場合には2本とも割り当てるようにする。
【0062】
ステップS806において、配送システム101は、当該グループにおける勤務予定の担当者のランクおよび超過割当係数に基づいて、当該グループの超過可能本数合計を算出する。例えば、図9の担当者マスタ900においてランクが60であり、超過割当係数が1.2の場合、配送システム101は、その担当者は、60×1.2=72本を配送可能であり、したがって、超過可能本数は72−60=12本であると判断する。各担当者の超過可能本数を合計したものがグループの超過可能本数合計として算出される。
【0063】
ステップS807において、配送システム101は、以下の計算式にしたがって各担当者に配送本数を割り当てる(第2の割当処理)。
割当本数=(配送本数合計−配送可能本数合計)÷超過可能本数合計×担当者の超過可能本数+担当者のランク 式2
式2によれば、担当者は自分の配送可能本数(ランク)+最大超過可能本数以下の数が割り当てられることとなる。次に、配送システム101は、上述したように、担当者マスタ900の配分順位が1番の者から順番に割当処理を行っていく。
【0064】
なお、超過可能係数を使用してもグループに割り当てられた配送予定本数の方が多い場合には、上述したように、管理者に割り当てる。
【0065】
ステップS808において、配送システム101は、配送データ700に担当者の情報を付加し、さらに当該担当者の情報およびデポからの遠近を示すブロックの情報に基づいてソートし、翌日の配送データ生成を完了する。また、配送システム101は、翌々日の配送データ割当処理のために、担当者マスタ900の配分順位を更新する。例えば、配分順位が1番だった者が最後尾になり、他の担当者が1番ずつ繰り上がるようにしてもよいし、あるいは他のアルゴリズムによって配分順位を変更するようにしてもよい。
【0066】
<配送データダウンロード処理>
図10は、ステップS203で説明した配送データダウンロード処理の詳細なフロー図であり、配送システム101にアクセスしてきた担当者の翌日の配送予定データのみを当該担当者に対して送信(ダウンロード)する処理を説明する図である。
【0067】
ステップS1001において、担当者が携帯電話機110の画面上に表示されるメニュー画面から配送データ受信のメニューを選択すると、携帯電話機110はネットワーク130経由で配送システム101にアクセスする。かかるアクセスの際、担当者は、担当者IDおよびパスワードを入力する。
【0068】
また、本発明に係る携帯配送システムでは、携帯電話機110に一意に割り当てられている機番号をアクセス時に自動的に送信するようにしてもよいし、セキュリティを高めるため、担当者ID・パスワード・機番号を組み合わせてもよい。なお、機番号が使用される場合には担当者マスタ900に機番号の情報が追加される。機番号は、携帯固有情報(携帯電話ごとに割り当てられた固有の識別情報)を指し示し、端末製造番号、サブスクライバIDまたは端末シリアル番号と呼ばれる場合もある。この携帯固有情報は、所定のサイトにアクセスする際にログインIDとして認証処理に使用されることも可能である。
【0069】
ステップS1002において、配送システム101は、アクセスしてきた担当者について担当者マスタ900に格納されている情報に基づいて認証処理を行う。その結果、正当なユーザであると判断されれば、ステップS1003に処理が進み、不正なユーザであると判断されればエラーメッセージを携帯電話機110に送信した上で処理を終了する。
【0070】
ステップS1003において、配送システム101は、翌日の配送予定データのうち、当該認証された担当者のデータ(第3の配送データ)のみをネットワーク130経由で携帯電話機110に送信する。担当者のデータのみをダウンロードさせる理由は、余計なデータをダウンロードさせてデータが紛失されるリスクを最小限に抑えるためである。ステップS1004において、携帯電話機110は、ダウンロードした配送予定データを携帯電話機110内の記憶媒体に格納する。
【0071】
なお、他の実施形態として、配送システム101は、担当者マスタ900の最終DL日時に基づいて所定の時間ごとに配送データのダウンロードを行っていない担当者の携帯電話110に対して、ダウンロードを促す旨のメール通知を行うようにしてもよい。
【0072】
ここで、ダウンロードされた配送データ700の一例を図11に示す。図11には、担当者がその日に配送するデータのリストが表示されている。この例では、担当者は、20件の配送先があり、50kgの容器を45本、30kgの容器を15本配送することが示されている。さらに、1車目および2車目でどの位の本数を運べばいいのかも示されている。図11の例で、携帯電話機110の所定のキーを押下して1車目を選択すると配送先の顧客リストが表示される。また、以下で説明する配送済データ送信処理を行った顧客については画面上で識別できるように色を変更したり、明示的な識別子を表示したりすることが可能である。
【0073】
<配送済データ送信処理>
図12は、ステップS206において説明した配送済データ送信処理の詳細なフローを示す図である。顧客宅への配送が行われ、かつメータの指針確認、機器設備の確認などの保安作業といった所定の行為が行われた後、配送員は、携帯電話110において図11に示された当該顧客宅の配送データを選択して所定のキーを押下する(ステップS1201)。携帯電話機110は図13に示すような画面を表示する。
【0074】
図13に表示されている画面は、配送時のメータの指針、交換したガスボンベの容器番号、および予め定められた保安項目などを表示しているが、これらは単なる一例である。例えば、保安項目については、顧客宅の所在地である都道府県によっても保安項目が異なり、設置されている設備によっても異なる。しかしながら、図13の画面に表示されるデータ項目は、顧客マスタおよび配送データに格納されている情報および関連するデータベースによって決まり、どのデータ項目を表示するかは配送システム101によって予め決定されている。
【0075】
配送員は、表示画面において所定のデータ項目を入力し(ステップS1202)、携帯電話機110の所定のボタンを押下すると入力されたデータは配送システム101に送信される(ステップS1203)。なお、交換した容器の容器番号は、容器に貼られているバーコードを携帯電話110のバーコードリーダー機能を用いて読み込むことが可能であり、効率的かつ誤りのない容器管理を実施することができる。
【0076】
<データベース更新>
配送システム101は、図12で説明した顧客宅の配送完了のデータを受信すると、図4の顧客マスタ400、図6のガス消費実績量テーブル600、図7の配送データ700、および保安システム103のデータベースなど関連するデータベースをリアルタイムでアップデートする。このようにアップデートを行うことによって、配送システム101は、翌日の配送予定を最新のデータに基づいて行うことができ、また他システム102、103についても最新のデータに基づいて処理を行うことが可能となる。
【0077】
<システム構成>
以下、図14を参照しながら本発明に係る配送システム101のシステム構成について説明する。配送システム101は、制御部1401、主記憶部1402、補助記憶部1403、インターフェース(I/F)部1404、入力部1405、出力部1406、顧客マスタ400、エリアマスタ500、ガス消費実績量テーブル600、配送データ700、担当者マスタ900を含む。
【0078】
制御部1401は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、上記各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部1403に格納されている各種プログラムを主記憶部1402に読み出して実行する。主記憶部1402は、メインメモリとも呼ばれ、配送システム101が受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。
【0079】
補助記憶部1403は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。主記憶部1402は、補助記憶部1403よりも記憶容量が相対的に小さいため、一時的なデータの記憶や演算処理などに使用されるのに対し、補助記憶部1403は、必要なデータや情報の長期的な記憶・保存のために使用される。つまり、制御部1401がプログラムを実行してデータの演算を行う場合には、補助記憶部1403から必要なデータやプログラムを主記憶部1402に読み出し、演算結果のデータを長期的に記憶・保存するには制御部1401が補助記憶部1403に演算結果のデータを書き込む。
【0080】
インターフェース(I/F)部1404は、配送システム101の外部にあるコンピュータ装置および携帯電話機110との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たす。外部から受信したデータは、主記憶部1402に一時的に記憶される。また、インターフェース部1404は、入力部1405を介して入力された各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースも提供する。出力部1406は、配送システム101のアウトプット(画面・帳票など)を出力する。
【0081】
顧客マスタ400、エリアマスタ500、ガス消費実績量テーブル600、配送データ700、および担当者マスタ900は、それぞれ、図4、図5、図6、図7、および図9を参照して上述したようなデータ項目を有する。これらのデータベースは、入力部1405を介して入力されるデータにしたがってアップデートされ、また携帯電話機110から送信されたデータにしたがってアップデートされる。特に、配送データ700は、日々、配送予定データが生成され、実際の配送が終了したら配送済の配送データとして使用される。なお、これらのデータベースから抽出されたデータを使用して所定項目のデータを時系列に生成・格納することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 センターシステム(基幹システム)
101 配送システム
102 検針・請求システム
103 保安システム
110 携帯電話機
120 カーナビ
130 ネットワーク
400 顧客マスタ
500 エリアマスタ
600 ガス消費実績量テーブル
700 配送データ
900 担当者マスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2および第3のコンピュータシステムと、複数の携帯電話機とがネットワークを介して接続された液化石油ガス容器の配送システムであって、
前記第1のコンピュータシステムは、
顧客識別子、第1の地域識別情報、前回配送日、設置容器情報を少なくとも含む顧客情報である第1のDBと、
前記顧客識別子に関連付けられる時系列のガス消費実績量データを含む第2のDBと、
第2の地域識別情報および配送担当者のデータを含む第3のDBと、
顧客ごとに前記液化石油ガス容器の配送予定日を算出し、該配送予定日が翌日である顧客の配送データのみを生成するデータ生成手段であって、該配送予定日は、前記第1のDBに含まれる設置容器情報、並びに、前記第2のDBから導き出される前回配送時のガス消費実績量データ、該前回配送時以後に発生したガス消費実績量データ、および前年同時期の複数のガス消費実績量データに基づいて計算され、該配送データは、前記第1のDBに含まれる顧客識別子、第1の地域識別情報、および設置容器情報を含み、かつ該第1の地域識別情報に基づいてソートされ、該配送データは第4のDBに格納される、データ生成手段と、
前記生成された配送データに含まれる前記第1の地域識別情報および前記第3のDBの第2の地域識別情報に基づいて、前記第3のDBに含まれる配送担当者の情報を該配送データに付加して、配送担当者別配送データを生成するデータ割当手段であって、該配送担当者は、前記配送予定日に勤務する者であり、該配送担当者の情報を付加することは、該第3のDBの配送担当者のデータによって示される該配送担当者の配送能力およびデータ割当順位に基づいて行われる、データ割当手段と、
前記携帯電話機からの通信アクセスに応答して、該携帯電話機に対応付けられる配送担当者の前記配送担当者別配送データのみを該携帯電話機に送信するデータ送信手段と、
前記容器の配送完了に関連付けられるデータを前記携帯電話機から受信するデータ受信手段と、
前記受信された容器の配送完了に関連付けられるデータに基づいて、前記第1のDBおよび第2のDBを更新するデータ更新手段であって、前記配送担当者別配送データは配送完了を示すように更新されて前記第4のDBに格納される、データ更新手段と
を備え、
前記第2のDBは、前記顧客のガス消費実績量に基づいて請求書生成を行う前記第2のコンピュータシステムから送信されるデータ、および前記顧客の設置容器情報の保安結果を格納する前記第3のコンピュータシステムから送信されるデータに基づいてさらに更新される、ことを特徴とする液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項2】
前記データ割当手段は、前記第1の地域識別情報に含まれる営業所コードおよびグループコードごとに前記データ生成手段によって生成された配送データに含まれる配送量を合算して第1の量を算出し、かつ該営業所コードおよびグループコードごとに前記配送予定日に勤務する配送担当者の配送能力を合算して第2の量を算出し、
前記第1の量が前記第2の量以下である場合には、第1の式、
第1の量/第2の量×配送担当者の配送能力
によって前記配送担当者別配送データを生成し、
前記第1の量が前記第2の量よりも多い場合には、第2の式、
(第1の量−第2の量)÷超過可能本数合計×担当者の超過可能本数+配送担当者の配送能力
によって前記配送担当者別配送データを生成し、ここで、担当者の超過可能本数が前記配送担当者の配送能力を超えて該担当者が配送可能な本数を示し、超過可能本数合計が該担当者の超過可能本数の営業所コードおよびグループコードについての合計値である、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項3】
前記第3のDBは、前記配送担当者が使用する車両情報をさらに含み、
前記携帯電話機は、配送車に搭載されたカーナビゲーションシステムとネットワークを介して接続可能であり、
前記カーナビゲーションシステムは、前記携帯電話機から送信される前記配送担当者別配送データの前記第1の地域識別情報に基づいて配送場所を示し、
前記配送担当者別配送データは、液化石油ガス容器の配送開始地点からの距離が相対的に近いエリアおよび相対的に遠いエリアを示し、かつ該近いエリアおよび遠いエリアの区別は、前記第1の地域識別情報および前記車両情報に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項4】
前記配送担当者別配送データのうち、配送完了を示すように更新されなかったデータは、前記データ生成手段によって生成されるさらに翌日の配送データに組み入れられる、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項5】
前記第1の地域識別情報は、郵便番号、住所、GPS情報、ブロック、営業所コードおよびグループコードを含み、前記第2の地域識別情報は、営業所コードおよびグループコードを含むことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項6】
前記第1のDBの設置容器情報は、液化石油ガス容器の容量および本数を含むことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項7】
第1、第2および第3のコンピュータシステムと、複数の携帯電話機とがネットワークを介して接続された液化石油ガス容器の配送システムにおいて実行される方法であって、
前記第1のコンピュータシステムは、
顧客識別子、第1の地域識別情報、前回配送日、設置容器情報を少なくとも含む顧客情報である第1のDBと、
前記顧客識別子に関連付けられる時系列のガス消費実績量データを含む第2のDBと、
第2の地域識別情報および配送担当者のデータを含む第3のDBと、
配送データを格納する第4のDBと
を備え、
前記方法は、
顧客ごとに前記液化石油ガス容器の配送予定日を算出し、該配送予定日が翌日である顧客の配送データのみを前記第1のコンピュータシステムが生成するステップであって、該配送予定日は、前記第1のDBに含まれる設置容器情報、並びに、前記第2のDBから導き出される前回配送時のガス消費実績量データ、該前回配送時以後に発生したガス消費実績量データ、および前年同時期の複数のガス消費実績量データに基づいて計算され、該配送データは、前記第1のDBに含まれる顧客識別子、第1の地域識別情報、および設置容器情報を含み、かつ該第1の地域識別情報に基づいてソートされる、ステップと、
前記生成された配送データに含まれる前記第1の地域識別情報および前記第3のDBの第2の地域識別情報に基づいて、前記第3のDBに含まれる配送担当者の情報を該配送データに付加して、配送担当者別配送データを前記第1のコンピュータシステムが生成するステップであって、該配送担当者は、前記配送予定日に勤務する者であり、該配送担当者の情報を付加することは、該第3のDBの配送担当者のデータによって示される該配送担当者の配送能力およびデータ割当順位に基づいて行われる、ステップと、
前記携帯電話機からの通信アクセスに応答して、該携帯電話機に対応付けられる配送担当者の前記配送担当者別配送データのみを該携帯電話機に前記第1のコンピュータシステムが送信するステップと、
前記容器の配送完了に関連付けられるデータを前記携帯電話機から前記第1のコンピュータシステムが受信するステップと、
前記受信された容器の配送完了に関連付けられるデータに基づいて、前記第1のDBおよび第2のDBを前記第1のコンピュータシステムが更新するステップであって、前記配送担当者別配送データは配送完了を示すように更新されて前記第4のDBに格納される、ステップと
を含み、
前記第2のDBは、前記顧客のガス消費実績量に基づいて請求書生成を行う前記第2のコンピュータシステムから送信されるデータ、および前記顧客の設置容器情報の保安結果を格納する前記第3のコンピュータシステムから送信されるデータに基づいてさらに更新される、ことを特徴とする方法。
【請求項1】
第1、第2および第3のコンピュータシステムと、複数の携帯電話機とがネットワークを介して接続された液化石油ガス容器の配送システムであって、
前記第1のコンピュータシステムは、
顧客識別子、第1の地域識別情報、前回配送日、設置容器情報を少なくとも含む顧客情報である第1のDBと、
前記顧客識別子に関連付けられる時系列のガス消費実績量データを含む第2のDBと、
第2の地域識別情報および配送担当者のデータを含む第3のDBと、
顧客ごとに前記液化石油ガス容器の配送予定日を算出し、該配送予定日が翌日である顧客の配送データのみを生成するデータ生成手段であって、該配送予定日は、前記第1のDBに含まれる設置容器情報、並びに、前記第2のDBから導き出される前回配送時のガス消費実績量データ、該前回配送時以後に発生したガス消費実績量データ、および前年同時期の複数のガス消費実績量データに基づいて計算され、該配送データは、前記第1のDBに含まれる顧客識別子、第1の地域識別情報、および設置容器情報を含み、かつ該第1の地域識別情報に基づいてソートされ、該配送データは第4のDBに格納される、データ生成手段と、
前記生成された配送データに含まれる前記第1の地域識別情報および前記第3のDBの第2の地域識別情報に基づいて、前記第3のDBに含まれる配送担当者の情報を該配送データに付加して、配送担当者別配送データを生成するデータ割当手段であって、該配送担当者は、前記配送予定日に勤務する者であり、該配送担当者の情報を付加することは、該第3のDBの配送担当者のデータによって示される該配送担当者の配送能力およびデータ割当順位に基づいて行われる、データ割当手段と、
前記携帯電話機からの通信アクセスに応答して、該携帯電話機に対応付けられる配送担当者の前記配送担当者別配送データのみを該携帯電話機に送信するデータ送信手段と、
前記容器の配送完了に関連付けられるデータを前記携帯電話機から受信するデータ受信手段と、
前記受信された容器の配送完了に関連付けられるデータに基づいて、前記第1のDBおよび第2のDBを更新するデータ更新手段であって、前記配送担当者別配送データは配送完了を示すように更新されて前記第4のDBに格納される、データ更新手段と
を備え、
前記第2のDBは、前記顧客のガス消費実績量に基づいて請求書生成を行う前記第2のコンピュータシステムから送信されるデータ、および前記顧客の設置容器情報の保安結果を格納する前記第3のコンピュータシステムから送信されるデータに基づいてさらに更新される、ことを特徴とする液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項2】
前記データ割当手段は、前記第1の地域識別情報に含まれる営業所コードおよびグループコードごとに前記データ生成手段によって生成された配送データに含まれる配送量を合算して第1の量を算出し、かつ該営業所コードおよびグループコードごとに前記配送予定日に勤務する配送担当者の配送能力を合算して第2の量を算出し、
前記第1の量が前記第2の量以下である場合には、第1の式、
第1の量/第2の量×配送担当者の配送能力
によって前記配送担当者別配送データを生成し、
前記第1の量が前記第2の量よりも多い場合には、第2の式、
(第1の量−第2の量)÷超過可能本数合計×担当者の超過可能本数+配送担当者の配送能力
によって前記配送担当者別配送データを生成し、ここで、担当者の超過可能本数が前記配送担当者の配送能力を超えて該担当者が配送可能な本数を示し、超過可能本数合計が該担当者の超過可能本数の営業所コードおよびグループコードについての合計値である、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項3】
前記第3のDBは、前記配送担当者が使用する車両情報をさらに含み、
前記携帯電話機は、配送車に搭載されたカーナビゲーションシステムとネットワークを介して接続可能であり、
前記カーナビゲーションシステムは、前記携帯電話機から送信される前記配送担当者別配送データの前記第1の地域識別情報に基づいて配送場所を示し、
前記配送担当者別配送データは、液化石油ガス容器の配送開始地点からの距離が相対的に近いエリアおよび相対的に遠いエリアを示し、かつ該近いエリアおよび遠いエリアの区別は、前記第1の地域識別情報および前記車両情報に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項4】
前記配送担当者別配送データのうち、配送完了を示すように更新されなかったデータは、前記データ生成手段によって生成されるさらに翌日の配送データに組み入れられる、ことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項5】
前記第1の地域識別情報は、郵便番号、住所、GPS情報、ブロック、営業所コードおよびグループコードを含み、前記第2の地域識別情報は、営業所コードおよびグループコードを含むことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項6】
前記第1のDBの設置容器情報は、液化石油ガス容器の容量および本数を含むことを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス容器の配送システム。
【請求項7】
第1、第2および第3のコンピュータシステムと、複数の携帯電話機とがネットワークを介して接続された液化石油ガス容器の配送システムにおいて実行される方法であって、
前記第1のコンピュータシステムは、
顧客識別子、第1の地域識別情報、前回配送日、設置容器情報を少なくとも含む顧客情報である第1のDBと、
前記顧客識別子に関連付けられる時系列のガス消費実績量データを含む第2のDBと、
第2の地域識別情報および配送担当者のデータを含む第3のDBと、
配送データを格納する第4のDBと
を備え、
前記方法は、
顧客ごとに前記液化石油ガス容器の配送予定日を算出し、該配送予定日が翌日である顧客の配送データのみを前記第1のコンピュータシステムが生成するステップであって、該配送予定日は、前記第1のDBに含まれる設置容器情報、並びに、前記第2のDBから導き出される前回配送時のガス消費実績量データ、該前回配送時以後に発生したガス消費実績量データ、および前年同時期の複数のガス消費実績量データに基づいて計算され、該配送データは、前記第1のDBに含まれる顧客識別子、第1の地域識別情報、および設置容器情報を含み、かつ該第1の地域識別情報に基づいてソートされる、ステップと、
前記生成された配送データに含まれる前記第1の地域識別情報および前記第3のDBの第2の地域識別情報に基づいて、前記第3のDBに含まれる配送担当者の情報を該配送データに付加して、配送担当者別配送データを前記第1のコンピュータシステムが生成するステップであって、該配送担当者は、前記配送予定日に勤務する者であり、該配送担当者の情報を付加することは、該第3のDBの配送担当者のデータによって示される該配送担当者の配送能力およびデータ割当順位に基づいて行われる、ステップと、
前記携帯電話機からの通信アクセスに応答して、該携帯電話機に対応付けられる配送担当者の前記配送担当者別配送データのみを該携帯電話機に前記第1のコンピュータシステムが送信するステップと、
前記容器の配送完了に関連付けられるデータを前記携帯電話機から前記第1のコンピュータシステムが受信するステップと、
前記受信された容器の配送完了に関連付けられるデータに基づいて、前記第1のDBおよび第2のDBを前記第1のコンピュータシステムが更新するステップであって、前記配送担当者別配送データは配送完了を示すように更新されて前記第4のDBに格納される、ステップと
を含み、
前記第2のDBは、前記顧客のガス消費実績量に基づいて請求書生成を行う前記第2のコンピュータシステムから送信されるデータ、および前記顧客の設置容器情報の保安結果を格納する前記第3のコンピュータシステムから送信されるデータに基づいてさらに更新される、ことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−232841(P2012−232841A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104189(P2011−104189)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(595058808)日本瓦斯株式会社 (13)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(595058808)日本瓦斯株式会社 (13)
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