説明

携帯電子機器、外部接続端子カバー、携帯電子機器の表面装飾方法

【課題】携帯電話などの携帯電子機器において、水分や有機物が嵌合隙間から侵入することによる故障を減少させる。
【解決手段】充電端子カバー13には、唐辛子乾燥粉末が忌避剤として含有されている。これにより、幼児やペットが携帯電話1をなめたり、噛んだりすると、充電端子カバー13に含有された唐辛子乾燥粉末が流出する。すると、幼児やペットの口に辛味が広がり、幼児やペットは、携帯電話1を嫌いな味のする物と認識する。これにより、幼児やペットが携帯電話1をなめたり、噛んだりすることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PHS(簡易型携帯電話)、PDA(Personal Digital Assistance)、ノートパソコン、腕時計、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤ、ICレコーダ、ヘッドホンステレオなどの携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の携帯電話の充電端子カバーを示す正面図、図6は図5に示す充電端子カバーの側面図である。
【0003】
従来、携帯電話の充電端子には、外部環境(水、塵埃など)から保護することを目的として、図5および図6に示すような充電端子カバー13が取り付けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−258964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これでは、幼児やペットが携帯電話1をなめたり、噛んだりした場合、充電端子カバーと筐体との嵌合隙間から水分や有機物が侵入し、故障を引き起こす恐れがあった。
【0005】
このような事態は、次のような事情により、近年ますます助長される傾向にある。
【0006】
第1に、携帯電話の使用者は水濡れによる故障を重要視していない。そのため、幼児のおもちゃ代わりに携帯電話を持たせる光景をよく目にする。また、『子供が携帯電話をなめたせいで、液晶画面が映らなくなった。』などという話も耳にする。
【0007】
第2に、携帯電話メーカが、使用者に向けて、携帯電話を幼児がなめないよう注意を払うよう促がすことは難しい。携帯電話の取扱説明書に記載したとしても、それが使用者の目に留まり、厳守してもらえるとは限らないからである。
【0008】
本発明は、こうした不都合を解消することが可能な、携帯電子機器、外部接続端子カバー、携帯電子機器の表面装飾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、請求項1に係る携帯電子機器の発明は、外部接続端子カバーが取り付けられた携帯電子機器において、前記外部接続端子カバーには、忌避剤が含有されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る携帯電子機器の発明は、前記忌避剤は、マイクロカプセルに封入されていることを特徴とする。
また、請求項3に係る外部接続端子カバーの発明は、携帯電子機器に取り付けられる外部接続端子カバーにおいて、忌避剤が含有されていることを特徴とする。
また、請求項4に係る外部接続端子カバーの発明は、前記忌避剤は、マイクロカプセルに封入されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る携帯電子機器の表面装飾方法の発明は、外部接続端子カバーに忌避剤が含有される忌避剤含有工程を含むことを特徴とする。
また、請求項6に係る携帯電子機器の表面装飾方法の発明は、前記忌避剤含有工程において、前記忌避剤はマイクロカプセルに封入された形で含有されることを特徴とする。
また、請求項7に係る携帯電子機器の表面装飾方法の発明は、前記忌避剤含有工程において、前記忌避剤は前記外部接続端子カバーの表面加工によって含有されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水分や有機物が嵌合隙間から侵入することによる携帯電子機器の故障を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は本発明に係る携帯電子機器である携帯電話の第1の実施形態を示す斜視図、図2は図1に示す携帯電話を閉じた状態を示す斜視図、図3は図1に示す携帯電話の充電端子カバーの正面図、図4は図3に示す充電端子カバーの側面図である。
【0013】
携帯電話1は、図1および図2に示すように、合成樹脂からなる折り畳み式の筐体(モールド)15を有しており、筐体15には、使用者が通話相手の音声を聞くために耳を当てるレシーバ2と、使用者に必要な情報を文字や記号、図形などで表示する表示部3および背面表示部7と、ダイヤル入力や各種設定の操作を行うキー操作部4と、使用者側の音声を相手側に送るために音声を電気信号に変換するマイク5と、内部に2色以上の異なる色で発光可能なLED(発光ダイオード)が設置され、着信やメール受信時および通話中に任意の色で発光する背面イルミネーション部8と、バッテリー充電中に赤く点灯し、バッテリー充電完了時に消灯することを主な役割とし、背面イルミネーション部8と同様に、着信やメール受信時および通話中に任意の色で発光することも可能なランプ9と、着信時やメロディのダウンロード時に音(メロディ)を発し、着信を使用者に知らせたり、音による情報を使用者に通知したり、またハンズフリー機能使用時において通話相手の音声(受話音)を出力するスピーカ10と、無線信号の送受信処理を行うアンテナ11とが設けられている。
【0014】
また、筐体15には、イヤホンジャック(図示せず)が取り付けられており、このイヤホンジャックには、図1および図2に示すように、イヤホンを使用しないときに塵埃や水滴の侵入を防ぐためのエラストマー製のイヤホンジャックカバー12が装着されている。
【0015】
さらに、筐体15には、充電端子(図示せず)が取り付けられており、この充電端子には、図1に示すように、充電しないときに塵埃や水滴の侵入を防ぐためのエラストマー製の充電端子カバー13が装着されている。この充電端子カバー13は、図3および図4に示すように、長方形状のカバー本体13aを有しており、カバー本体13aには、当該充電端子カバー13を筐体15に取り付けるための係止片13bが一体に連設されている。そして、充電端子カバー13には、唐辛子乾燥粉末が忌避剤として含有されている。ここで、忌避剤とは、幼児やペットが噛んだり、なめたりしたときに、特定の味成分(辛味成分、苦味成分、甘味成分など)またはにおい成分(刺激臭成分など)を放出して味覚的または嗅覚的に嫌悪感を起こさせる薬剤を意味する。また、この忌避剤の含有方法としては、忌避剤が含有されたエラストマーを充電端子カバー13の形状に成形する方法が考えられる。
【0016】
携帯電話1は以上のような構成を有するので、水分や有機物が嵌合隙間から侵入することによる故障を減少させることができる。すなわち、携帯電話1を無造作に放置しておいた際、幼児やペットが携帯電話1をなめたり、噛んだりすると、充電端子カバー13に含有された唐辛子乾燥粉末が流出する。すると、幼児やペットの口に辛味が広がり、幼児やペットは、携帯電話1を嫌いな味のする物と認識し、『携帯電話は食べ物ではない。』または、『もう、なめたくない。』と思う。これにより、幼児やペットが携帯電話1をなめたり、噛んだりすることがなくなる。その結果、水分や有機物が嵌合隙間から侵入することによる故障を減少させることが可能である。
【0017】
また、携帯電話1をなめたり噛んだりしないことにより、自己判断ができない幼児やペットを予期せぬ事故から守ることが可能となる。すなわち、携帯電話1の部品材料には有害物質を使用しないよう配慮されているが、使用頻度が高い製品などは、摩擦によって塗装が剥がれたり、落下によってケースが割れてしまったり、使用者が有害となる物質を触った手で携帯電話1を使用したりと、安全ではない場面が考えられる。したがって、本発明はこうした場面にも有効である。
【0018】
<第2の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、充電端子カバー13に忌避剤を含有する場合について説明したが、充電端子カバー13以外の外部接続端子カバー(例えば、イヤホンジャックカバー12、SDカードスロットカバー(図示せず)など)に忌避剤を含有することもできる。或いはまた、携帯電話1の外観表面上であれば、キー操作部4、筐体15、アンテナ11、表示部3など、どの部位に忌避剤を含有してもよい。
【0019】
<第3の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、忌避剤として唐辛子乾燥粉末を採用する場合について説明したが、唐辛子乾燥粉末以外に辛味成分を放出する薬剤を忌避剤として代用することも可能である。さらに、用途によっては、苦味成分や甘味成分を放出する薬剤を代用することもできる。
【0020】
<第4の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、エラストマー製の充電端子カバー13について説明したが、充電端子カバー13の材質についてはエラストマーに限るわけではなく、プラストマーも含めて広く合成樹脂に本発明を適用することができる。
【0021】
<第5の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、忌避剤が含有されたエラストマーを充電端子カバー13の形状に成形することにより、忌避剤を含有させる場合について説明したが、辛味成分を充電端子カバー13の表面にコーティングさせる表面加工による方法や、直径が数μm〜1mm程度の高分子材料からなるマイクロカプセルに忌避剤を封入し、これをエラストマーに混入させる方法などを採用することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、携帯電話のほか、PHS(簡易型携帯電話)、PDA(Personal Digital Assistance)、ノートパソコン、腕時計、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤ、ICレコーダ、ヘッドホンステレオなど各種の携帯電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る携帯電子機器である携帯電話の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話を閉じた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話の充電端子カバーの正面図である。
【図4】図3に示す充電端子カバーの側面図である。
【図5】従来の携帯電話の充電端子カバーを示す正面図である。
【図6】図5に示す充電端子カバーの側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1……携帯電話(携帯電子機器)
12……イヤホンジャックカバー(外部接続端子カバー)
13……充電端子カバー(外部接続端子カバー)
15……筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続端子カバーが取り付けられた携帯電子機器において、
前記外部接続端子カバーには、忌避剤が含有されていることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記忌避剤は、マイクロカプセルに封入されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
携帯電子機器に取り付けられる外部接続端子カバーにおいて、
忌避剤が含有されていることを特徴とする外部接続端子カバー。
【請求項4】
前記忌避剤は、マイクロカプセルに封入されていることを特徴とする請求項3に記載の外部接続端子カバー。
【請求項5】
外部接続端子カバーに忌避剤が含有される忌避剤含有工程を含むことを特徴とする、携帯電子機器の表面装飾方法。
【請求項6】
前記忌避剤含有工程において、前記忌避剤はマイクロカプセルに封入された形で含有されることを特徴とする、請求項5に記載の携帯電子機器の表面装飾方法。
【請求項7】
前記忌避剤含有工程において、前記忌避剤は前記外部接続端子カバーの表面加工によって含有されることを特徴とする、請求項5または6に記載の携帯電子機器の表面装飾方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−303550(P2006−303550A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117715(P2005−117715)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】