説明

携帯電子機器の充電用置き台

【課題】置き台に載置された携帯電子機器からの鳴動音を減衰させることなく、周囲に響かせることのできる携帯電子機器の充電用置き台を提案する。
【解決手段】筐体の外面に鳴動部8が配置された携帯電子機器1を外面と対向して載置する携帯電子機器の充電用置き台10であって、外面と対向する筐体対向面14のうち鳴動部8に対向する部位から外面よりも外側に向けて連通する部位に、筐体から離間する音抜け溝13を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器の充電用置き台に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS等の移動通信機、PDA(Personal Digital Assistant)或いはノート型パーソナルコンピュータのような携帯電子機器では、携帯電子機器を定期的に充電用置き台に載置して、内蔵されたバッテリを充電するものがある。この際、携帯電子機器に設けた充電端子と充電用置き台に設けた給電端子とを接触させることでバッテリの充電が行われる。
携帯電話機を充電する充電用置き台としては、例えば、携帯電話機を横置きにして載置するもの(特許文献1参照)や、縦置きにして載置する(特許文献2参照)がある。
【特許文献1】特開2005−287198号公報
【特許文献2】特開2005−318734号公報
【特許文献3】特開2005−184050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、携帯電話機のスピーカー音穴が背面に配置される場合が多く、充電用置き台に載せた状態ではスピーカー音穴が充電用置き台により塞がれて、着信音や音楽等の音圧が減衰してしまう。このため、充電用置き台にアンプを搭載したり、充電用置き台に載せたことを検出して、携帯電話機本体のアンプゲインを上げて、音圧を大きくしていた。
しかし、充電用置き台にアンプを搭載した場合、充電用置き台の形状が大型化するとともに、制御手段も複雑になってしまうという問題がある。
また、充電用置き台にスピーカーを設置することも考えられるが、装置が複雑化するとともに、製造コストが嵩むという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、装置を大型化あるいは複雑化することなく、置き台に載置された携帯電子機器からの鳴動音を減衰させることなく、周囲に響かせることのできる携帯電子機器の充電用置き台を提案することを目的とする。
また、携帯電子機器に設置されたスピーカー音の音質を向上することのできる携帯電子機器の充電用置き台を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る携帯電子機器の充電用置き台では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明は、筐体の外面に鳴動部が配置された携帯電子機器を該外面と対向して載置する携帯電子機器の充電用置き台であって、前記外面と対向する筐体対向面のうち、前記鳴動部に対向する部位から前記外面よりも外側に向けて連通する部位に、前記筐体から離間する音抜け溝を備えることを特徴とする。
【0006】
また、前記外面と対向する筐体対向面のうちの前記鳴動部に対向する部位に形成された第一孔と、置き台側面に形成された第二孔と、置き台内部に形成されると共に前記第一孔及び前記第二孔に連通する内部空間と、からなる音抜け孔部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記外面と対向する筐体対向面のうちの前記鳴動部に対向する部位に形成された第一孔と、置き台側面に形成された第二孔と、置き台内部に形成された内部空間に配置されると共に前記第一孔及び前記第二孔に対して両端が連結された管部と、からなる音抜け管部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記筐体対向面には、前記携帯電子機器に設けられた充電端子に接合する給電端子が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
携帯電子機器の外面と対向する携帯電子機器の充電用置き台の筐体対向面のうち、携帯電子機器の鳴動部に対向する部位から前記外面よりも外側に向けて連通する部位に、筐体から離間する音抜け溝等を備えるので、鳴動部の発する着信音あるいは音楽を減衰させることなく、周囲に響かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の携帯電子機器の充電用置き台の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態の携帯電話機用置き台に使用される携帯電話機の一概略構成を示す図である。
携帯電話機1は、筐体2の正面1a側に、各種情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)或いはEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等からなる表示部3が設けられる他、受話機能を確保するためのスピーカー部4が設けられている。また、複数のテンキー5、モード切替えボタン6、電源ボタン等からなる操作釦が設けられると共に、送話機能を確保するためのマイクロフォン部7が設けられている。
【0011】
筐体2の内部には、キースイッチ、シールドケース、回路基板及びバッテリ等(いずれも不図示)が重ねて配されている。
また、筐体2の背面(外面)1b側には、着信音あるいは充電操作中に音楽等を流すための鳴動部である背面スピーカー8及び充電端子9が配設されている。充電端子9は、後述する携帯電話機用置き台10に設けられた給電端子12と当接するようになっている。
【0012】
図2は、本発明の第1実施形態に係る携帯電話機用置き台10を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
携帯電話機用置き台10は、携帯電話機1を載置して内蔵バッテリの充電を行う装置であって、携帯電話機1の背面1b側を収容し載置する置き台本体11と、携帯電話機1の充電端子9に接合する給電端子12と、を備えている。
【0013】
置き台本体11は、上面視略矩形に形成された部材であって、その上面に、携帯電話機1の背面1bを収容して戴置可能な載置面(筐体対向面)14が形成されている。
また、載置面14の一端側には、携帯電話機1の背面に露出して配置された充電端子9に当接する給電端子12が設けられている。
【0014】
また、置き台本体11のうち携帯電話機1の背面スピーカー8に対向する部位(載置面14)には、置き台本体11を幅方向に貫く音抜け溝13が形成されている。音抜け溝13は、携帯電話機の筐体2から離間しており、背面スピーカー8である鳴動部に対向する部位から携帯電話機1の背面1bよりも外側に向けて連通している。
【0015】
以上のように構成された携帯電話機用置き台10では、携帯電話機1を載置面14に載置すると、携帯電話機1の背面スピーカー8が音抜け溝13に対向配置されているので、スピーカーからの音が音抜け溝13に沿って両側に抜けて、充電中であってもスピーカー音圧の減衰量を少なくすることができる。
したがって、充電を検出してスピーカーアンプのゲインを上げる等の機構を必要とすることなく、着信音の音圧レベルを例えば80dB以上に維持することが可能となる。
また、携帯電話機1を携帯電話機用置き台10に載置した状態で、テンキー5及びモード切替えボタン6を操作して、表示部3に各種情報を表示させたり、音楽を聴く等の操作を行うことが可能となっている。
更に、携帯電話機1は携帯電話機用置き台10にしっかりと保持されるので、給電端子12と充電端子9との接触が良好に保たれ、バッテリの充電が確実に行われる。
【0016】
このように、本発明の携帯電話機用置き台10では、鳴動部である背面スピーカー8に対向する部位から外部に連通する音抜け溝13を設けたので、増幅機構や充電検出機構を設けることなく、携帯電話機1の充電時における着信音圧を確保することができる。更に、充電時においても、音楽を楽しんだり、映像を楽しむことができる。
【0017】
図3は、本発明の携帯電話機用置き台の第2実施形態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A線断面図である。
携帯電話機用置き台30は、携帯電話機1をその背面1bと対向して載置して内蔵バッテリの充電を行う装置であって、携帯電話機1の背面1b側を収容し載置する置き台本体35を備えている。
置き台本体35は、上面視略矩形に形成された部材であって、その上面に、携帯電話機1の背面1bを収容して戴置可能な載置面(筐体対向面)37が形成されている。
【0018】
また、載置面37のうち携帯電話機1の背面スピーカー8に対向する部位には、置き台本体35を幅方向に貫く音抜け溝13が形成されている。
更に、置き台本体35には、音抜け溝13のうちの背面スピーカー8に対向する部位に形成された第一孔31と、置き台側面に形成された第二孔32と、置き台内部に形成されると共に前記第一孔31及び前記第二孔32に連通する内部空間33とからなる音抜け孔部34が形成されている。
また、置き台本体35の載置面37の一端側には、携帯電話機1の背面に露出して配置された充電端子9に当接する給電端子36が設けられている。
【0019】
第一孔31は、携帯電話機用置き台30の筐体対向面99に形成されており、携帯電話機1を携帯電話機用置き台に収納した際に、背面スピーカー8と一致する位置に形成される。第二孔32は、置き台本体35の一側面又は両側面に形成されている。
そして、携帯電話機用置き台30に形成された第一孔31と第二孔32とは、内部空間33を介して連通している。
【0020】
以上のように構成された携帯電話機用置き台30では、携帯電話機1を載置すると、携帯電話機1の背面スピーカー8が第一孔31に対向配置されているので、スピーカーからの音が内部空間33を介して第二孔32から外部に抜けて、充電中であってもスピーカー音圧の減衰量を少なくすることができる。特に、内部空間33の容積や、第二孔32の開口面積等を適宜選択することにより、バッフル効果により背面スピーカー8からの音楽等の音質を向上させて周囲に響かせることができる。
したがって、充電を検出してスピーカーアンプのゲインを上げる等の機構を必要とすることなく、着信音の音圧レベルを例えば80dB以上に維持することが可能となる。
また、携帯電話機1を携帯電話機用置き台30に載置した状態で、テンキー5及びモード切替えボタン6を操作して、表示部3に各種情報を表示させたり、音楽を聴く等の操作を行うことが可能となっている。
更に、携帯電話機1は携帯電話機用置き台30にしっかりと保持されるので、給電端子12と充電端子9との接触が良好に保たれ、バッテリの充電が確実に行われる。
【0021】
図4は、本発明の携帯電話機用置き台の第3実施形態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はB−B線断面図である。
携帯電話機用置き台40は、携帯電話機1をその背面1bと対向して載置して内蔵バッテリの充電を行う装置であって、携帯電話機1の背面1b側を収容し載置する置き台本体45を備えている。
置き台本体45は、上面視略矩形に形成された部材であって、その上面に、携帯電話機1の背面1bを収容して戴置可能な載置面(筐体対向面)47が形成されている。
【0022】
また、載置面47のうち携帯電話機1の背面スピーカー8に対向する部位には、置き台本体35を幅方向に貫く音抜け溝13が形成されている。
更に、置き台本体45には、音抜け溝13のうちの背面スピーカー8に対向する部位に形成された第一孔41と、置き台側面に形成された第二孔42と、置き台内部に形成された内部空間に配置されると共に第一孔41及び第二孔42に対して両端が連結された管部43と、からなる音抜け管部44を備えている。
また、置き台本体45の載置面47の一端側には、携帯電話機1の背面に露出して配置された充電端子9に当接する給電端子46が設けられている。
【0023】
第一孔41は、携帯電話機用置き台40の筐体対向面98に形成されており、携帯電話機1を携帯電話機用置き台に収納した際に、背面スピーカー8と一致する位置に在る。また、第一孔41と第二孔42は、管部43で直接連通している。
【0024】
以上のように構成された携帯電話機用置き台40では、携帯電話機1を載置すると、携帯電話機1の背面スピーカー8が第一孔41に対向配置されているので、スピーカーからの音が管部43を介して第二孔42から外部に抜けて、充電中であってもスピーカー音圧の減衰量を少なくすることができる。特に、管部43の長さや形状、第二孔42の開口面積等を適宜選択することにより、バッフル効果により背面スピーカー8からの音楽等の音質を向上させて周囲に響かせることができる。
したがって、充電を検出してスピーカーアンプのゲインを上げる等の機構を必要とすることなく、着信音の音圧レベルを例えば80dB以上に維持することが可能となる。
また、携帯電話機1を携帯電話機用置き台40に載置した状態で、テンキー5及びモード切替えボタン6を操作して、表示部3に各種情報を表示させたり、音楽を聴く等の操作を行うことが可能となっている。
更に、携帯電話機1は携帯電話機用置き台40にしっかりと保持されるので、給電端子12と充電端子9との接触が良好に保たれ、バッテリの充電が確実に行われる。
【0025】
上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、携帯電話機について説明したが、これに限らない。
本発明は、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等の携行可能な携帯電子機器に対して適用することができる。
【0027】
携帯電子機器の充電用置き台としては、携帯電子機器が内蔵するバッテリの充電を行う充電用置き台に限らない。携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータを載置することで、これらと電気的に接続して各種データを同期させたりするクレードル装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の携帯電話機用置き台に使用される携帯電話機の一概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る携帯電話機用置き台10を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明の携帯電話機用置き台の第2実施形態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A線断面図である。
【図4】本発明の携帯電話機用置き台の第3実施形態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1…携帯電話機(携帯電子機器)、 1b…背面(外面)、 2…筐体、 8…背面スピーカー(鳴動部)、 9…充電端子、 10…携帯電話機用置き台(携帯電子機器の充電用置き台)、 11…置き台本体、 12…給電端子、 13…音抜け溝、 14…載置面(筐体対向面)、 30…携帯電話機の充電用置き台(携帯電子機器の充電用置き台)、 31…第一孔、 32…第二孔、 33…内部空間、 34…音抜け孔部、 35…置き台本体、 36…給電端子、 37…載置面(筐体対向面)、 40…携帯電話機の充電用置き台(携帯電子機器の充電用置き台)、 41…第一孔、 42…第二孔、 43…管部、 44…音抜け管部、 45…置き台本体、 46…給電端子、 47…載置面(筐体対向面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の外面に鳴動部が配置された携帯電子機器を該外面と対向して載置する携帯電子機器の充電用置き台であって、
前記外面と対向する筐体対向面のうち、前記鳴動部に対向する部位から前記外面よりも外側に向けて連通する部位に、前記筐体から離間する音抜け溝を備えることを特徴とする携帯電子機器の充電用置き台。
【請求項2】
前記外面と対向する筐体対向面のうちの前記鳴動部に対向する部位に形成された第一孔と、置き台側面に形成された第二孔と、置き台内部に形成されると共に前記第一孔及び前記第二孔に連通する内部空間と、からなる音抜け孔部を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器の充電用置き台。
【請求項3】
前記外面と対向する筐体対向面のうちの前記鳴動部に対向する部位に形成された第一孔と、置き台側面に形成された第二孔と、置き台内部に形成された内部空間に配置されると共に前記第一孔及び前記第二孔に対して両端が連結された管部と、からなる音抜け管部を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器の充電用置き台。
【請求項4】
前記筐体対向面には、前記携帯電子機器に設けられた充電端子に接合する給電端子が配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の携帯電子機器の充電用置き台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−130212(P2010−130212A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301330(P2008−301330)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】