説明

携帯電子機器の取り付け構造

【課題】本体に対する携帯電子機器の取り付け姿勢を変更可能とする技術を提供する。
【解決手段】取り付け構造は、携帯電子機器5に装着される取付アダプタ4と、取付アダプタ4を介して携帯電子機器5が取り付けられるスピーカ一体型2DINオーディオ機器3と、を備える。取付アダプタ4は、取付アダプタ4を携帯電子機器5に装着した状態で携帯電子機器5の液晶表示部6の表示面6aに対して略直交する方向に延びる軸部9を有する。スピーカ一体型2DINオーディオ機器3には、取付アダプタ4の軸部9が挿入される軸受部25が形成されている。携帯電子機器5は、取付アダプタ4の軸部9の各軸部側永久磁石10がスピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25の各軸受部側永久磁石26と磁気結合することで、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3によって姿勢保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、携帯電話機や音楽プレーヤなどの携帯機器を車室内で使用したり一時的に保持しておくのに好適な保持装置を開示している。この保持装置は、携帯電話機を挟持する保持具によって構成されている。保持具は、ベースと、ベースに摺動可能に配置されたスライダーと、を有して構成されている。保持具は、携帯電話機の保持角度を変更して携帯電話機の画面を見易くできるように、前後に傾動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−178180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、携帯電話機を一方の向きにしか保持具に保持させることしかできなかった。
【0005】
そこで、本願発明の目的は、本体に対する携帯電子機器の取り付け姿勢を変更可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の観点によれば、表示部を有する携帯電子機器が装着される取付具と、前記取付具を介して前記携帯電子機器が取り付けられる本体と、を備えた取り付け構造であって、前記取付具は、前記携帯電子機器が装着された状態で、前記携帯電子機器の前記表示部の表示面に対して略直交する方向に延びる軸部と、前記軸部に固定される第1磁石と、を有し、前記本体は、前記軸部が挿入される軸受部と、前記軸受部に固定される第2磁石と、を有し、前記第1磁石及び前記第2磁石のうち少なくとも一方は複数の磁石からなり、前記携帯電子機器は、前記第1磁石と前記第2磁石とが選択的に磁気結合することで、前記本体に対して前記携帯電子機器の縦向き又は横向きのいずれかを上下方向として姿勢保持される、携帯電子機器の取り付け構造が提供される。
好ましくは、前記軸部は、略円柱状に形成されており、前記軸受部は、有底略円孔状に形成されている。
好ましくは、前記第1磁石は、前記軸部の先端面に配置されており、前記第2磁石は、前記軸受部の底面に配置されている。
好ましくは、前記第1磁石は、前記軸部の外周面に配置されており、前記第2磁石は、前記軸受部の内周面に配置されている。
好ましくは、前記第1磁石又は前記第2磁石は、前記軸部又は前記軸受部の中心軸周りに略90度間隔で配置されている。
好ましくは、前記第1磁石又は前記第2磁石は、前記携帯電子機器の姿勢として縦向き姿勢と横向き姿勢を選択できるように配置されている。
好ましくは、前記軸部の外周面又は前記軸受部の内周面のいずれか一方に、前記軸部の周方向に延びる案内溝部が形成されており、前記軸受部の内周面又は前記軸部の外周面のいずれか他方に、前記案内溝部に嵌る突起部が形成されている。
好ましくは、前記軸部の外周面には、前記案内溝部に接続しつつ、前記軸部の先端側に延びる着脱溝部が形成されている。
好ましくは、前記軸受部の内周面には、前記案内溝部に接続しつつ、前記軸受部の開口端側に延びる着脱溝部が形成されている。
好ましくは、前記本体は、少なくとも一対のスピーカーを備える。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、本体に対する携帯電子機器の取り付け姿勢を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、自動車の居住空間側から見たセンターコンソールパネルを示す図である。(第1実施形態)
【図2】図2は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器から携帯電子機器を取り外した状態を示す斜視図である。(第1実施形態)
【図3】図3は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器から携帯電子機器を取り外した状態を示す別の斜視図である。(第1実施形態)
【図4】図4は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に携帯電子機器を横向き姿勢で取り付けた状態を示す斜視図である。(第1実施形態)
【図5】図5は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に携帯電子機器を縦向き姿勢で取り付けた状態を示す斜視図である。(第1実施形態)
【図6】図6は、携帯電子機器の斜視図である。(第1実施形態)
【図7】図7は、取付アダプタを前方から見た斜視図である。(第1実施形態)
【図8】図8は、取付アダプタを後方から見た斜視図である。(第1実施形態)
【図9】図9は、図8の部分拡大図である。(第1実施形態)
【図10】図10は、図8の矢印Aの方向で見た軸部をイメージした図である。(第1実施形態)
【図11】図11は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器の斜視図である。(第1実施形態)
【図12】図12は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器の一部切り欠き斜視図である。(第1実施形態)
【図13】図13は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器の軸受部の斜視図である。(第1実施形態)
【図14】図14は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器の軸受部の正面図である。(第1実施形態)
【図15】図15は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を取り付ける際の正面図である。(第1実施形態)
【図16】図16は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を取り付ける際の要部拡大図である。(第1実施形態)
【図17】図17は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を縦向き姿勢で取り付けた際の正面図である。(第1実施形態)
【図18】図18は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を縦向き姿勢で取り付けた際の要部拡大図である。(第1実施形態)
【図19】図19は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を横向き姿勢で取り付けた際の正面図である。(第1実施形態)
【図20】図20は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器に対して携帯電子機器を横向き姿勢で取り付けた際の要部拡大図である。(第1実施形態)
【図21】図21は、軸部の斜視図である。(第1実施形態の第1変形例)
【図22】図22は、軸受部の斜視図である。(第1実施形態の第1変形例)
【図23】図23は、軸部の斜視図である。(第1実施形態の第2変形例)
【図24】図24は、軸受部の斜視図である。(第1実施形態の第2変形例)
【図25】図25は、軸部の斜視図である。(第2実施形態)
【図26】図26は、軸受部の斜視図である。(第2実施形態)
【図27】図27は、軸部の斜視図である。(第3実施形態)
【図28】図28は、軸受部の斜視図である。(第3実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、車載音響システム1を説明する。図1に示すように、本実施形態において車載音響システム1は、車両のセンターコンソールパネル2に予め用意されている2DIN搭載スペースに構築されるものである。昨今の車両においては、図1に示すように2DIN搭載スペースが略搭乗者の胸の高さとなるように設定されている。
【0010】
(車載音響システム1)
図2及び図3に示すように、車載音響システム1は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3(本体)と、取付アダプタ4(取付具)と、携帯電子機器5と、によって構築されている。そして、携帯電子機器5に取付アダプタ4を装着した上で、携帯電子機器5は取付アダプタ4を介して、センターコンソールパネル2の2DIN搭載スペースに挿入されて搭載されたスピーカ一体型2DINオーディオ機器3に取り付けられる。本実施形態において携帯電子機器5は、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して、図4に示すような横向き姿勢で取り付けることもできるし、図5に示すような縦向き姿勢で取り付けることもできるようになっている。なお、携帯電子機器5の取り付け構造は、少なくともスピーカ一体型2DINオーディオ機器3と取付アダプタ4を含んで構成されている。携帯電子機器の一例として、アイポッド(登録商標)などがある。
【0011】
(携帯電子機器5)
図6に示すように、携帯電子機器5は、略長方形の薄肉形状であって、前面5a、外周面5b、背面5cを有している。携帯電子機器5の前面5aには、液晶表示部6(表示部)と操作部7が配置されている。液晶表示部6は、タッチパネル機能付きの液晶パネルであって、アスペクト比が約1.3:1である長方形の表示面6aを有している。詳しく言うと、図6に示すように、携帯電子機器5は縦方向(第1方向)と横方向(第1方向に対して直交する第2方向)を有しており、液晶表示部6の表示面6aは、縦方向における寸法と横方向における寸法が異なっている。即ち、液晶表示部6の表示面6aの縦方向における寸法は、同じく横方向における寸法の約1.3倍である。
【0012】
(取付アダプタ4)
図7及び図8に示すように、取付アダプタ4は、外枠ケース8と軸部9によって構成されている。
【0013】
外枠ケース8は、プラスチック製又はシリコーンゴム製のケースであって、携帯電子機器5の背面5cと対向する背面部8aと、携帯電子機器5の外周面5bと対向する外周部8bと、によって構成されている。取付アダプタ4を携帯電子機器5に装着するには、外周部8b内に携帯電子機器5を強く押し込めばよい。図8に示すように背面部8aは、背面8cを有している。同様に、軸部9は、中心軸9Cを有している。
【0014】
図8に示すように、軸部9は、外枠ケース8の背面8cの略中央に配置されており、外枠ケース8の背面8cに対して略直交する方向に略円柱状に突出して形成されている。換言すれば、軸部9は、取付アダプタ4を携帯電子機器5に装着した状態で携帯電子機器5の液晶表示部6の表示面6aに対して略直交する方向に延びて形成されている。
【0015】
図9に示すように、略円柱状の軸部9は、先端面9aと外周面9bを有している。軸部9の先端面9aには、4つの軸部側永久磁石10(第1磁石)が設けられている。図10に示すように、4つの軸部側永久磁石10は、中心軸9Cから略等しい距離であって、外周面9bの近傍に配置されている。4つの軸部側永久磁石10は、軸部9の中心軸9C周りに略90度間隔で配置されている。ここで、軸部9の中心軸9Cを通り、取付アダプタ4の縦方向(即ち、携帯電子機器5の縦方向)と一致する基準線9Dを定義し、基準線9Dを基準として時計回りに角度θ[deg.]を定義すると、4つの軸部側永久磁石10は、θ[deg.]=0、90、180、270で表現される角度位置に配置されている。
【0016】
また、図9に示すように、軸部9の外周面9bには、軸部9の周方向に延びる案内溝部11が形成されている。図10に示すように、案内溝部11は、θ[deg.]=−90〜+45で表現される角度範囲に円弧状に形成されている。
【0017】
また、図9に示すように、軸部9の外周面9bには、案内溝部11に接続しつつ、軸部9の先端側に延びる着脱溝部12が形成されている。図10に示すように、着脱溝部12は、θ[deg.]=+45で表現される角度位置において、案内溝部11と接続している。
【0018】
(スピーカ一体型2DINオーディオ機器3)
図11に示すように、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3は、機器本体13と化粧板14によって構成されている。
【0019】
(機器本体13)
図12に示すように、機器本体13は、筐体15と、ステレオスピーカ(一対のスピーカ)を構築する運転席側スピーカ16(スピーカ)及び助手席側スピーカ17(スピーカ)と、ウーハースピーカ18と、アンプ内蔵型制御基板19と、SSD20(Solid State Drive)と、によって構成されている。
【0020】
筐体15は、一例として規格寸法の2DINを満たす形状である。筐体15は、居住空間側となる前面21を有している。運転席側スピーカ16と助手席側スピーカ17は、筐体15の前面21に搭載されている。
【0021】
運転席側スピーカ16と助手席側スピーカ17は、筐体15の前面21の左右に離して配置されている。本実施形態において運転席側スピーカ16は、高さ寸法が幅寸法よりも大きい長円形の振動板16aを有して構成されている。同様に、助手席側スピーカ17も、高さ寸法が幅寸法よりも大きい長円形の振動板17aを有して構成されている。運転席側スピーカ16及び助手席側スピーカ17は、アンプ内蔵型制御基板19に接続されており、アンプ内蔵型制御基板19から出力された音声信号に基づいて、所望の音波を放射する。
【0022】
ウーハースピーカ18は、運転席側スピーカ16や助手席側スピーカ17よりも低音域を受け持つスピーカである。ウーハースピーカ18は、筐体15の内部において、振動板からの音波の放射方向が下向きとなるように収容されている。筐体15には、ウーハースピーカ18の振動板から放射された音波を、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の前面21から居住空間側へと放出するためのダクト22が形成されている。スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の前面21におけるダクト22の開口は、左右に分割されている。即ち、ダクト22は、前面21において運転席側となる運転席側前面開口23と、前面21において助手席側となる助手席側前面開口24と、を有している。運転席側前面開口23は、運転席側スピーカ16の下側に配置されている。助手席側前面開口24は、助手席側スピーカ17の下側に配置されている。ウーハースピーカ18は、アンプ内蔵型制御基板19に接続されており、アンプ内蔵型制御基板19から出力された音声信号に基づいて、所望の音波を放射する。ウーハースピーカ18から放射された音波は、ダクト22、運転席側前面開口23、助手席側前面開口24を通じて居住空間に供給される。
【0023】
SSD20は、複数の楽曲を、例えばMP3(MPEG Audio Layer-3)形式やWMA(Windows Media Audio、登録商標)形式の楽曲データとして記憶するものである。SSD20は、アンプ内蔵型制御基板19に接続されており、アンプ内蔵型制御基板19から出力された要求信号に基づいて、所望の楽曲データをアンプ内蔵型制御基板19に供給する。なお、SSD20ではなく他の記憶媒体であってもよい。また、着脱可能な記憶媒体であってもよい。アンプ内蔵型制御基板19には、SSD20に加えて、有線又は無線により携帯電子機器5からも楽曲データが提供される。
【0024】
アンプ内蔵型制御基板19は、SSD20や携帯電子機器5から供給された楽曲データをデコードして音声信号を生成し、生成した音声信号を運転席側スピーカ16や助手席側スピーカ17、ウーハースピーカ18に出力する。
【0025】
(化粧板14)
化粧板14は、機器本体13の前面21に取り付けられるものである。図11に示すように、化粧板14には、軸受部25が形成されている。軸受部25は、図8に示す取付アダプタ4の軸部9が挿入されるものである。軸受部25は、図12に示す運転席側スピーカ16と助手席側スピーカ17によって挟まれる位置に配置されている。つまり、軸受部25は、運転席側スピーカ16と助手席側スピーカ17の間に位置する。
【0026】
図13及び図14に示すように、軸受部25は、有底略円孔状に形成されており、内周面25aと底面25bを有している。
【0027】
軸受部25の底面25bには、4つの軸受部側永久磁石26が配置されている。図14に示すように、4つの軸受部側永久磁石26は、軸受部25の中心軸25Cから略等しい距離であって、内周面25aの近傍に配置されている。4つの軸受部側永久磁石26は、軸受部25の中心軸25C周りに略90度間隔で配置されている。図14に示すように、軸受部25の中心軸25Cを通り、鉛直方向と一致する基準線25Dを定義し、基準線25Dを基準として時計回りに角度θ[deg.]を定義すると、4つの軸受部側永久磁石26は、θ[deg.]=0、90、180、270で表現される角度位置に配置されている。
【0028】
また、図14に示すように、軸受部25の内周面25aには、軸部9の案内溝部11に嵌る突起部27が形成されている。突起部27は、θ[deg.]=0で表現される角度位置に形成されている。
【0029】
(作動)
次に、図15〜図20を参照しつつ、車載音響システム1の作動を説明する。
【0030】
携帯電子機器5をスピーカ一体型2DINオーディオ機器3に取り付けるには、先ず、図2及び図3に示す取付アダプタ4を携帯電子機器5に装着する。次に、図8に示す取付アダプタ4の軸部9を図11に示すスピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25に挿入する。このとき、図15に示すように、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を斜めの姿勢とする。具体的には、図16に示すように、軸部9の基準線9Dが、軸受部25の基準線25Dから見て、θ[deg.]=−45で表現される角度位置となるように、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を斜めの姿勢とする。すると、軸受部25の突起部27が、軸部9の着脱溝部12内に挿入されて、軸部9の案内溝部11に到達する。また、このとき、図16に示すように、4つの軸部側永久磁石10と、4つの軸受部側永久磁石26は、全く対向していない。
【0031】
次に、図15の状態で、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を時計回りに45度回転させ、図17の状態とする。具体的には、図18に示すように、軸部9の基準線9Dが、軸受部25の基準線25Dから見て、θ[deg.]=0で表現される角度位置となるように、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を時計回りに45度回転させる。即ち、図18において、軸部9の基準線9Dと、軸受部25の基準線25Dは、完全に一致している。このとき、図18に示すように、軸受部25の突起部27は、軸部9の着脱溝部12から離れる方向に案内溝部11内で相対的に移動することになる。図18の状態で、4つの軸部側永久磁石10と、4つの軸受部側永久磁石26は、各々が対向している。従って、各軸部側永久磁石10と各軸受部側永久磁石26とが磁気結合し、もって、携帯電子機器5がスピーカ一体型2DINオーディオ機器3によって図17に示すような縦向き姿勢で姿勢保持されることになる。
【0032】
次に、図17の状態で、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を時計回りに更に90度回転させ、図19の状態とする。具体的には、図20に示すように、軸部9の基準線9Dが、軸受部25の基準線25Dから見て、θ[deg.]=90で表現される角度位置となるように、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を時計回りに更に90度回転させる。このとき、図20に示すように、軸受部25の突起部27は、軸部9の着脱溝部12から離れる方向に案内溝部11内で相対的に移動し、案内溝部11の末端に到達することになる。図20の状態で、4つの軸部側永久磁石10と、4つの軸受部側永久磁石26は、各々が対向している。従って、各軸部側永久磁石10と各軸受部側永久磁石26とが磁気結合し、もって、携帯電子機器5がスピーカ一体型2DINオーディオ機器3によって図19に示すような横向き姿勢で姿勢保持されることになる。
【0033】
そして、図17に示すように携帯電子機器5を縦向き姿勢で姿勢保持すると、携帯電子機器5の液晶表示部6は縦向きとなる。この縦向き姿勢は、携帯電子機器5の液晶表示部6にとって、複数の楽曲名をリスト形式で表示するのに適している。また、図19に示すように携帯電子機器5を横向き姿勢で姿勢保持すると、携帯電子機器5の液晶表示部6は横向きとなる。この横向き姿勢は、携帯電子機器5の液晶表示部6にとって、選択された楽曲にマッチした映像を表示するのに適している。また、楽曲再生時には、携帯電子機器5の液晶表示部6に表示された映像が、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の運転席側スピーカ16等と極めて近い位置で提供されるので、音と映像との強い一体感が実現される。
【0034】
携帯電子機器5の姿勢を図19に示す横向き姿勢から図17に示す縦向き姿勢にするには、単に、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を反時計回りに90度回転させればよい。また、図17の状態から携帯電子機器5をスピーカ一体型2DINオーディオ機器3から取り外すには、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5を反時計回りに45度回転させた上で手前に引き寄せればよい。このとき、軸受部25の突起部27は、案内溝部11から着脱溝部12を介して外部へと抜け出る。また、このとき、各軸部側永久磁石10と各軸受部側永久磁石26との磁気結合は解除されており(図16を併せて参照)、もって、小さな力で携帯電子機器5をスピーカ一体型2DINオーディオ機器3から取り外すことができる。
【0035】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態の特長は以下の通りである。
【0036】
取り付け構造は、縦方向(第1方向)と、横方向(第2方向)と、を有し、縦方向における寸法と横方向における寸法が異なる液晶表示部6を有する携帯電子機器5(携帯電子機器)に装着される取付アダプタ4(取付具)と、取付アダプタ4を介して携帯電子機器5が取り付けられるスピーカ一体型2DINオーディオ機器3(本体)と、を備える。取付アダプタ4は、取付アダプタ4を携帯電子機器5に装着した状態で携帯電子機器5の液晶表示部6の表示面6aに対して略直交する方向に延びる軸部9を有する。スピーカ一体型2DINオーディオ機器3には、取付アダプタ4の軸部9が挿入される軸受部25が形成されている。取付アダプタ4の軸部9には、4つの軸部側永久磁石10(第1磁石)が設けられている。スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25には、4つの軸受部側永久磁石26(第2磁石)が設けられている。携帯電子機器5は、取付アダプタ4の軸部9の4つの軸部側永久磁石10の何れかがスピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25の4つの軸受部側永久磁石26の何れかと選択的に磁気結合することで、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3によって姿勢保持される。以上の構成によれば、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対する携帯電子機器5の取り付け姿勢を変更することができる。
【0037】
なお、上記第1実施形態では、取付アダプタ4の軸部9に4つの軸部側永久磁石10を配置し、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25に4つの軸受部側永久磁石26を配置することにした。しかし、これに代えて、取付アダプタ4の軸部9に1つの軸部側永久磁石10を配置し、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25に4つの軸受部側永久磁石26を配置することとしてもよい。また、取付アダプタ4の軸部9に4つの軸部側永久磁石10を配置し、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3の軸受部25に1つの軸受部側永久磁石26を配置することとしてもよい。要するに、軸部側永久磁石10と軸受部側永久磁石26との間で、一対多、多対一、多対多の関係が成立していればよい。何れの場合でも、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対する携帯電子機器5の取り付け姿勢を変更することができる。
【0038】
また、軸部9は、略円柱状に形成されている。軸受部25は、有底略円孔状に形成されている。以上の構成によれば、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3による携帯電子機器5の姿勢を変更する際に、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対して携帯電子機器5をスムーズに回転させることができる。
【0039】
また、1つの実施態様として、軸部側永久磁石10は、軸部9の先端面9aに配置されている。軸受部側永久磁石26は、軸受部25の底面25bに配置されている。
【0040】
また、軸部側永久磁石10と軸受部側永久磁石26は、軸部9(又は軸受部25)の中心軸周りに略90度間隔で配置されている。以上の構成によれば、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3に対する携帯電子機器5の姿勢を90度単位で変更可能となる。
【0041】
また、軸部側永久磁石10と軸受部側永久磁石26は、携帯電子機器5の姿勢として縦向き姿勢と横向き姿勢を選択できるように配置されている。以上の構成によれば、携帯電子機器5の液晶表示部6の姿勢として縦向き姿勢と横向き姿勢を選択的に実現することが可能となる。従って、例えば、楽曲名を表示させるのに好適な状態と、映像を表示させるのに好適な状態と、を選択可能に実現することができる。
【0042】
また、軸部9の外周面9bには、軸部9の周方向に延びる案内溝部11が形成されている。軸受部25の内周面25aには、軸部9の案内溝部11に嵌る突起部27が形成されている。以上の構成によれば、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3からの携帯電子機器5の意図しない離脱を防止することができる。
【0043】
また、軸部9の外周面9bには、案内溝部11に接続しつつ、軸部9の先端側に延びる着脱溝部12が形成されている。以上の構成によれば、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3からの携帯電子機器5の意図しない離脱を防止しつつ、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3からの携帯電子機器5の意図する離脱を可能とすることができる。
【0044】
また、1つの実施態様として、着脱溝部12は、軸部9の長手方向(中心軸9Cの方向)で見たときに、携帯電子機器5を斜め姿勢としたときに突起部27と重複する関係となるように形成されている。
【0045】
なお、上記第1実施形態においては、軸部9に案内溝部11を形成し、軸受部25に突起部27を形成することにした。しかし、これに代えて、軸部9の外周面9bに突起部27を形成し、軸受部25の内周面25aに案内溝部11を形成してもよい。この場合、着脱溝部12は、案内溝部11に接続しつつ、軸受部25の開口端側に延びることになる。
【0046】
以上に、本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は、以下のように変更することができる。
【0047】
(第1変形例)
上記第1実施形態では、軸部9の先端面9aに軸部側永久磁石10を配置し、軸受部25の底面25bに軸受部側永久磁石26を配置することとした。しかし、これに代えて、図21に示すように軸部9の外周面9bに軸部側永久磁石10を配置し、図22に示すように軸受部25の内周面25aに軸受部側永久磁石26を配置することとしてもよい。
【0048】
(第2変形例)
また、上記第1実施形態では、軸部側永久磁石10と軸受部側永久磁石26を90度間隔で配置することにしたが、これに代えて、図23に示すように軸部側永久磁石10を45度間隔で配置し、図24に示すように軸受部側永久磁石26を45度間隔で配置してもよい。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図25及び図26を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0050】
上記第1実施形態において軸部9の外周面9bには案内溝部11を形成し、軸受部25の内周面25aには案内溝部11に嵌る突起部27を形成することとしたが、これら案内溝部11及び突起部27は省略することもできる。この場合でも、各軸部側永久磁石10と各軸受部側永久磁石26との磁気結合により、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3からの携帯電子機器5の意図しない離脱は防止される。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図27及び図28を参照しつつ、本願発明の第3実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0052】
上記第1実施形態において軸部9の外周面9bには案内溝部11を形成し、軸受部25の内周面25aには案内溝部11に嵌る突起部27を形成することとしたが、これに代えて、図27に示すように軸部9の外周面9bにオネジ30を形成し、図28に示すように軸受部25の内周面25aに、オネジ30に対応するメネジ31を形成してもよい。この場合も、スピーカ一体型2DINオーディオ機器3からの携帯電子機器5の意図しない離脱が効果的に防止される。
【符号の説明】
【0053】
1 車載音響システム
2 センターコンソールパネル
3 スピーカ一体型2DINオーディオ機器
4 取付アダプタ
5 携帯電子機器
10 軸部側永久磁石
11 案内溝部
26 軸受部側永久磁石
27 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する携帯電子機器が装着される取付具と、
前記取付具を介して前記携帯電子機器が取り付けられる本体と、
を備えた取り付け構造であって、
前記取付具は、前記携帯電子機器が装着された状態で、前記携帯電子機器の前記表示部の表示面に対して略直交する方向に延びる軸部と、
前記軸部に固定される第1磁石と、
を有し、
前記本体は、前記軸部が挿入される軸受部と、
前記軸受部に固定される第2磁石と、
を有し、
前記第1磁石及び前記第2磁石のうち少なくとも一方は複数の磁石からなり、
前記携帯電子機器は、前記第1磁石と前記第2磁石とが選択的に磁気結合することで、前記本体に対して前記携帯電子機器の縦向き又は横向きのいずれかを上下方向として姿勢保持される、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の取り付け構造であって、
前記軸部は、略円柱状に形成されており、
前記軸受部は、有底略円孔状に形成されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載の取り付け構造であって、
前記第1磁石は、前記軸部の先端面に配置されており、
前記第2磁石は、前記軸受部の底面に配置されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項4】
請求項2に記載の取り付け構造であって、
前記第1磁石は、前記軸部の外周面に配置されており、
前記第2磁石は、前記軸受部の内周面に配置されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の取り付け構造であって、
前記第1磁石又は前記第2磁石は、前記軸部又は前記軸受部の中心軸周りに略90度間隔で配置されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項6】
請求項5に記載の取り付け構造であって、
前記第1磁石又は前記第2磁石は、前記携帯電子機器の姿勢として縦向き姿勢と横向き姿勢を選択できるように配置されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項7】
請求項2〜6の何れかに記載の取り付け構造であって、
前記軸部の外周面又は前記軸受部の内周面のいずれか一方に、前記軸部の周方向に延びる案内溝部が形成されており、
前記軸受部の内周面又は前記軸部の外周面のいずれか他方に、前記案内溝部に嵌る突起部が形成されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項8】
請求項7に記載の取り付け構造であって、
前記軸部の外周面には、前記案内溝部に接続しつつ、前記軸部の先端側に延びる着脱溝部が形成されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項9】
請求項7に記載の取り付け構造であって、
前記軸受部の内周面には、前記案内溝部に接続しつつ、前記軸受部の開口端側に延びる着脱溝部が形成されている、
携帯電子機器の取り付け構造。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載の取り付け構造であって、
前記本体は、少なくとも一対のスピーカーを備える、
携帯電子機器の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−75545(P2013−75545A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214956(P2011−214956)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】