説明

携帯電子機器の着脱装置

【課題】 着脱可能な携帯電子装置を機器本体に確実に固定することができる携帯電子装置の着脱装置を提供する。
【解決手段】 オーディオ装置100と、オーディオ装置100に着脱自在に装着されるナビゲーション装置200と、オーディオ装置100側に設けられ、オーディオ装置100に取り付けられたナビゲーション装置200を押し出す方向に押圧するリリースピン180と、ナビゲーション装置200に係合して、リリースピン170に押圧されるナビゲーション装置200をオーディオ装置100に固定するフック部材170とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器の着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる小型で、簡易的なナビゲーション装置の可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたオーディオ・ナビゲーションシステムが提案されている。このオーディオ・ナビゲーションシステムは、オーディオ装置とナビゲーション装置とを有し、装置本体は、車両のDIN開口部に収容、固定されているが、ナビゲーション装置をオーディオ部から取り外すことができる。取り外されたナビゲーション装置は、電源を単独で備え、取り外した状態でナビゲーションが可能に構成されている。
【0003】
特許文献1〜3は、機器本体に操作パネルを着脱自在に取り付ける技術に関するものであり、操作パネルを機器本体にロックするロック部材と、ロック部材によるロックを解除したときに、操作パネルを前方に押し出すアーム部材とを設けた構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−52473号公報
【特許文献2】特開平7−156719号公報
【特許文献3】特開平7−132779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1から3に記載された発明は、ロック部材によるロックを解除して初めて、アーム部材が操作パネルに押圧力を働かせて、着脱装置を前方に押し出すものであった。操作パネルは、ロック部材で機器本体に固定されているだけなので、機器本体に装着されているときにはガタツキを生じる恐れがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、着脱可能な携帯電子装置を機器本体に確実に固定することができる携帯電子装置の着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の携帯電子装置の着脱装置は、携帯電子装置を機器本体に着脱自在に装着させる携帯電子装置の着脱装置であって、前記機器本体側に設けられ、前記機器本体に取り付けられた前記携帯電子機器を、前記機器本体とは反対側に押圧する押圧部材と、前記携帯電子装置に係合して、前記押圧部材に押圧される前記携帯電子装置を前記機器本体に固定する固定部材とを有している。
このように本発明によれば、機器本体との係合時でも常に携帯電子装置を機器本体に押圧することができ、携帯電子装置を機器本体にしっかりと固定することができる。
【0008】
上記携帯電子装置の着脱装置において、前記押圧部材は、回転の中心軸となる軸部と、該軸部に取り付けられたアーム部とを有し、前記固定部材と前記携帯電子装置との係合が外されると、前記軸部の回転によって前記アーム部が前記携帯電子機器を前記機器本体とは反対側に押し出すとよい。
このように押圧部材のアーム部が回転しながら携帯電子機器を機器本体側とは反対側に押圧する構成を取ったことで、着脱装置の設置スペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯電子装置を機器本体に確実に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本実施例の最良の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1(A)、(B)にオーディオ・ナビゲーションシステム1の構成を示す。なお、図1(A)は、ナビゲーション装置200が前面パネル150に取り付けられた状態を示し、図1(B)は、ナビゲーション装置200が前面パネル150から取り外された状態を示す。
図1(A)、(B)に示すように本実施例のオーディオ・ナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたオーディオ装置100と、オーディオ装置100に着脱可能に取り付けられたナビゲーション装置200とを備え、ナビゲーション装置200と、オーディオ装置100とはコネクタ部160で接続されている。
【0012】
ナビゲーション装置200は、オーディオ装置100の前面パネル150に嵌め込まれている。また、ナビゲーション装置200は、図1(B)に示すようにオーディオ装置100から取り外して単独で使用することも可能である。オーディオ装置100の前面パネル150には、ナビゲーション装置200の他に、表示部や、オーディオ装置100を操作可能な操作部などが設けられている。
【0013】
図2(A)、(B)に、ナビゲーション装置200が嵌め込まれる前面パネル150の取り付け部140の構造を示す。なお、図2(A)と図2(B)とは、前面パネル150を別角度から見た状態を表している。
取り付け部140は、ナビゲーション装置200が取り付け可能なように凹部形状をしており、コネクタ部160、フック部材170、リリースピン180、突起部190などが設けられている。
【0014】
コネクタ部160は、オーディオ装置100とナビゲーション装置200との電気的な接続を取る接続部である。オーディオ装置100とナビゲーション装置200とは制御線や、電源線等の複数本の信号線で接続されている。コネクタ部160は、オーディオ装置側のコネクタと、ナビゲーション装置側のコネクタとを有し、これらが接続されることで、前述した複数本の信号線が接続される。
【0015】
フック部材170は、図2(A)に示すように取り付け部140の一方の端部に2つ並んで設けられている。ナビゲーション装置200が前面パネル150に取り付けられた時に、フック部材170は、ナビゲーション装置200側に設けられたロック掛止部210に掛止して、ナビゲーション装置200を前面パネル150に固定する。図3(A)に、フック部材170がロック掛止部210に係合して固定された状態を示す。このフック部材170は、前面パネル150側に設けられた取り外しスイッチ(不付図)が押されることで回転し、ロック掛止部210から外される。
【0016】
リリースピン180は、前面パネル150の空きスペース130を利用して配置されている。前面パネル150には、ナビゲーション装置200の取り付け部140を設けるため、空きスペース130ができる。この空きスペース130にリリースピン180を配置している。
【0017】
リリースピン180は、前面パネル150に取り付けられたナビゲーション装置200を、バネの付勢力によって前面パネル150とは反対側(以下、この方向を前方方向という)に押圧する。
図3(A)に示すナビゲーション装置200を取り付けた状態では、ナビゲーション装置200を、リリースピン180が押圧し、押圧されたナビゲーション装置200を前面パネル150のフック部材170で固定している。このため、装着されるナビゲーション装置200は、前面パネル150への取り付け時に常に前面パネル側に押圧されているので、ナビゲーション装置200がガタツクことがなく、ナビゲーション装置200を前面パネル150にしっかりと固定することができる。
また、図3(B)に示すようにフック部材170がロック掛止部210から取り外されると、リリースピン170の押圧力によってナビゲーション装置200を前方方向に押し出す。従って、前面パネル150に嵌め込まれたナビゲーション装置200を前面パネル150から取り出すことができる。
【0018】
図4(A)にリリースピン180の構成を示す。リリースピン180は、回転軸となる円柱状の軸部181と、軸部181に取り付けられ、軸部181の回転によってナビゲーション装置200を押圧するアーム部182とを有している。アーム部182は、図4(A)に示すようにアーチ状に形成されており、軸部181の回転によってナビゲーション装置200を前方に押圧する。アーム部182をアーチ状とすることで、アーム部182の可動範囲を小さくすることができ、小さなスペースにリリースピン180を配置することができる。
図4(B)にリリースピン180を真上から見た図を示す。リリースピン180の上部には軸部181からアーム部182の方向に伸びる溝183が設けられており、この溝183にバネが嵌め込まれている。ナビゲーション装置200を前面パネル150に取り付けると、アーム部182が回転してバネの付勢力がアーム部182に働く。フック部材170がロック掛止部210から離れると、このバネの力で軸部181及びアーム部182が回転し、ナビゲーション装置200を前方に押し出す。
【0019】
また、前面パネルの取り付け部140のフック部材170やリリースピン180とは反対側の端部には、図2(B)に示すように凸部190が設けられている。凸部190は、ナビゲーション装置200に設けられた凹部220に嵌め込まれ、ナビゲーション装置200のもう一方の端部を前面パネル150に固定する。
フック部材170がロック掛止部210から外され、ナビゲーション装置200がリリースピン180によって前方方向に押圧されると、図3(B)に示すように凸部190が支点となってナビゲーション装置200が回転する。
【0020】
このように本実施例は、オーディオ装置100との係合時でも常にナビゲーション装置200をオーディオ装置100に押圧することができ、ナビゲーション装置200をオーディオ装置100にしっかりと固定することができる。
【0021】
また、リリースピン170のアーム部182をアーチ形状とし、このアーム部182でナビゲーション装置200をオーディオ装置100とは反対側に押圧する構成を取ったことで、アーム部やフック部からなる着脱機構のスペースを小さくすることができる。これによって、着脱機構を有する機器本体を小型化(薄型化)することができる。
【0022】
上述した実施例は本発明の好適な実施の一例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)はオーディオ・ナビゲーションシステムの外観形状を示す図であり、(B)はオーディオ装置からナビゲーション装置を取り外した状態を示す図である。
【図2】前面パネルの構成を示す図である。
【図3】(A)は、ナビゲーション装置を前面パネルに取り付けた状態を示す図であり、(B)は、リリースピンによってナビゲーション装置を押し出した状態を示す図である。
【図4】(A)はリリースピンの外観形状を示す図であり、(B)は、リリースピンに取り付けられたバネを示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 オーディオ・ナビゲーションシステム
100 オーディオ装置
150 前面パネル
160 コネクタ部
170 フック部材
180 リリースピン
190 凸部
200 ナビゲーション装置
210 ロック掛止部
220 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子装置を機器本体に着脱自在に装着させる携帯電子装置の着脱装置であって、
前記機器本体側に設けられ、前記機器本体に取り付けられた前記携帯電子機器を、前記機器本体とは反対側に押圧する押圧部材と、
前記携帯電子装置に係合して、前記押圧部材に押圧される前記携帯電子装置を前記機器本体に固定する固定部材と、
を有することを特徴とする携帯電子装置の着脱装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、回転の中心軸となる軸部と、該軸部に取り付けられたアーム部とを有し、
前記固定部材と前記携帯電子装置との係合が外されると、前記軸部の回転によって前記アーム部が前記携帯電子機器を前記機器本体とは反対側に押し出すことを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器の着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−141076(P2008−141076A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327665(P2006−327665)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】