説明

携帯電子機器の電池パック収納部構造

【課題】電池パックの体積変化に関係なく、安定的に電池パックを保持できる携帯電子機器の電池パック収納部構造を提供する。
【解決手段】電池パック1の一端部に突出成形する第1突起4を係止できる係止爪5を機器本体の収納ポケット中に突起させ、前記電池パックの他端部の第2突起8を受入れる凹所を前記収納ポケット端壁に形成すると共に、前記電池パックの対応端面に接触できるゴムブロック7を前記係止爪側の収納ポケット端壁に配置し、同ゴムブロックで電池パックを前記凹所に向かって押圧した携帯電子機器の電池パック収納部構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電子機器に関し、特に、携帯電子機器の電池パック収納部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば携帯電話機のような携帯電子機器においては、電力容量の非常に大きなリチューム電池が電池パックとして用いられるが、同リチューム電池の体積は、滿充電の場合、非充電時に比較して約3%程度も増大するが、この電池パックの体積変化は、その厚み方向の寸法を著しく変化させる。
【0003】
このような体積変化を吸収するため、従来では、電池パックを入れる収容ポケットの裏蓋の内面に、スポンジやフェルト等の弾性シートを貼着し、裏蓋により収容ポケットからの抜け出しを防止される電池パックの体積変化を同弾性シートの変形で吸収している。
【特許文献1】特開2006−269292号公報
【特許文献2】特開2004−266625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこのような弾性シートによる体積変化吸収手段では、体積が小さな状態の電池パックが収容ポケット内で「ガタ」つき、帯行者に違和感を与えるばかりでなく、電池パックの電極板と機器本体の接触子との間で所謂「チャタリング」を起こし、電力供給状態が不安定になり、携帯機器の動作不良の原因となる場合があった。
本発明の目的は、以上に述べたような従来の携帯電子機器の問題に鑑み、電池パックの体積変化に関係なく、安定的に電池パックを保持できる携帯電子機器の電池パック収納部構造を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明は、電池パックの一端部に突出成形する第1突起を係止できる係止爪を機器本体の収納ポケット中に突起させ、前記電池パックの他端部の第2突起を受入れる凹所を前記収納ポケット端壁に形成すると共に、前記電池パックの対応端面に接触できるゴムブロックを前記係止爪側の収納ポケット端壁に配置し、同ゴムブロックで電池パックを前記凹所に向かって押圧した携帯電子機器の電池パック収納部構造を提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、充電状態で変化する電池パックの体積変化(主として厚み方向の寸法変化となって表れる)に無関係に、ゴムブロックで押圧された状態で電池パックが係止爪及び凹所により収容ポケット中に確実に保持されるから、電池パックが収容ポケット内で「ガタ」ついて、帯行者に違和感が与えられ、電力供給状態が不安定になるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、次のような好ましい実施形態で実施できる。
1)前記収納ポケットに臨んだ機器本体の一部には電池パックの厚み方向に弾性をもたされた接触子が支持され、同接触子の先端部は電池パックの表面に露呈された電極板に弾力的に接触される請求項1記載の携帯電子機器の電池パック収納部構造。
2)前記携帯電子機器は携帯電話機であることを特徴とする請求項1または前項の何れかひとつに記載の携帯電子機器の電池パック収納部構造。
【実施例1】
【0008】
以下、図面について本発明の実施例の詳細を説明する。
図面中、符号「1」はリチューム電池等の電池パックを、符号「2」は電池パックを収容できる裏面開放の収納ポケットを内部に形成された携帯電話機の樹脂製機器本体をそれぞれ示している。
【0009】
略直方体ブロック状に成形される電池パック1の左端部の幅方向一側には小さな第1突起4が突出成形され、この第1突起4に臨む収納ポケット3の底面には第1突起4を係止できる係止爪5が一体成形され、同係止爪5により収納ポケット3からの電池パック1の左端部の抜出しが阻止される。
また、前記電池パック1の左端部の他側に臨んだ収納ポケット3の底部には、機器本体2から直角に突出された固定片6が一体成形され、固定片6に対応するスロット7aを形成されたゴムブロック7(ゴムブロック)が嵌め込み固定される。
電池パック1が収納ポケット3に組み込まれるとき、前記ゴムブロック7の先端面が電池パック1の端面に当ってゴムブロック7が圧縮され、電池パック1を長さ方向に押圧できる。
【0010】
また、前記電池パック1の右端部には小さな2つの第2突起8が一体成形され、これらの第2突起8に臨む収納ポケット3の内部には対応第2突起8をそれぞれ挿入できる凹所9が機器本体2に形成される。したがって、凹所9に対する第2突起8の挿入状態では電池パック1の右端部が凹所9で係止され、電池パック1の右端部がその厚み方向に抜出すのが阻止される。
【0011】
一方、前記電池パック1は長さ方向側方に張り出した接続端子1aを有し、この接続端子1aに臨む機器本体2の側壁にはプリント配線基板11に固定した電源ブロック12が臨まされる。即ち、同電源ブロック12は突出方向にばねで付勢される接触子14を有し、同接触子14の先端部が前述した接続端子1aの電極板15に弾力的に接触される(図5図示)。
【0012】
図示実施例による携帯電話機の電池パック収納部構造は、以上のような構造であるから、図6及び図7に示すような手順で機器本体2の収納ポケット3に電池パック1を組み込むことができる。
先ず、電池パック1の左端部を下に向けて同左端部の第1突起4を係止爪5に引掛け(図7に1点鎖線で示す。)、次に、図7に2点鎖線で示すように、前記係止爪5を支点として電池パック1の右端部を下降させれば、電池パック1の第2突起8が凹所9に一致し、右方向へのゴムブロック7の押圧力により第2突起8が凹所9中に押し込まれ、電池パック1が機器本体2に固定される。
【0013】
機器本体2に対する電池パック1の固定状態は、図3に2点鎖線で示す携帯電話機の裏蓋15に対して無関係な状態(裏蓋16の内面にスポンジやフェルトは設けられておらず、裏蓋16に電池パック1が全く接触していない状態)で、しかも電池パック1が機器本体2に確実に固定されるから、接続端子1aの電極板15と接触子14との間の接触状態が不安定になることはなく、「チャタリング」による動作不良が起きるのを未然に防止できる。
また、機器本体2に対する電池パック1の固定状態では、電池パック1が裏蓋16に全く接触せず、裏蓋16と電池パック1との間に空間が形成された状態のため、充電状態により電池パック1の体積が変化(主として電池パック1の厚み方向の長さが変化する。)に拘わらず、安定した固定状態を維持できる。
【0014】
機器本体2から電池パック1を取出すには、機器本体2から裏蓋16を外した後、前述とは逆に、ゴムブロック7の押圧力に抗して電池パック1を左端部方向に押せば、凹所9から第2突起8が外れるので、収納ポケット3から電池パック1を取出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
前述した実施例の説明においては、本発明を携帯電話機に適用したものを例示したが、本発明は携帯端末等の他の携帯電子機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】裏蓋を取り除いて示す本発明による携帯電話機の裏面斜視図である。
【図2】裏蓋を取り除いて示す同携帯電話機の平面図である。
【図3】裏蓋を取り除いて示す同携帯電話機の一部破断側面図である。
【図4】図3のA部拡大断面図である。
【図5】図3のB部拡大断面図である。
【図6】電池パックと携帯電話機の本体との関係を示す分解斜視図である。
【図7】携帯電話機本体に対する電池パックの組込み手順説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 電池パック
2 機器本体
3 収納ポケット
4 第1突起
5 係止爪
6 固定片
7 ゴムブロック
8 第2突起
9 凹所
13 接触子
15 電極板
16 裏蓋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの一端部に突出成形する第1突起を係止できる係止爪を機器本体の収納ポケット中に突起させ、前記電池パックの他端部の第2突起を受入れる凹所を前記収納ポケット端壁に形成すると共に、前記電池パックの対応端面に接触できるゴムブロックを前記係止爪側の収納ポケット端壁に配置し、同ゴムブロックで電池パックを前記凹所に向かって押圧したことを特徴とする携帯電子機器の電池パック収納部構造。
【請求項2】
前記収納ポケットに臨んだ機器本体の一部には電池パックの厚み方向に弾性をもたされた接触子が支持され、同接触子の先端部は電池パックの表面に露呈された電極板に弾力的に接触されることを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器の電池パック収納部構造。
【請求項3】
前記携帯電子機器は携帯電話機であることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかひとつに記載の携帯電子機器の電池パック収納部構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−26582(P2009−26582A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187957(P2007−187957)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】