説明

携帯電子機器

【課題】 筐体と、各種情報を表示する表示面を有すると共に筐体の内部に設けられる略板状の表示装置とを備える携帯電子機器において、筐体に加えられる衝撃を緩和してこの衝撃から表示装置を保護すると共に、筐体の薄型化を図ることができるようにする。
【解決手段】 表示装置11の側面側に配設される第1の結合部29と、前記筐体3の内面17a側の前記第1の結合部29に対向した位置に配設される第2の結合部41とを備え、これら2つの結合部29,41が、磁力によって相互に引き合う磁性材料を有して構成されることを特徴とする携帯電子機器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機、簡易型携帯電話機(PHS(登録商標))、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、簡易型携帯電話機(PHS(登録商標))、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ等の携行可能な携帯電子機器としては、筐体内部に各種情報を表示する液晶表示パネル等の表示装置を配して構成されたものがある。また、従来の携帯電子機器としては、表示装置を筐体に対して移動可能とするように筐体内部に保持すると共に、表示装置と筐体の内面との間にゴム、スポンジ等の弾性変形可能な緩衝体を配したものがある(例えば、特許文献1参照。)。この携帯電子機器においては、落下等によって筐体に加わる衝撃を緩衝体において吸収することができるため、表示装置に伝わる衝撃を抑制して表示装置の破損を防止することができる。なお、表示装置の破損とは、例えば、表示装置に備える変形し難いガラス基板が衝撃によって破損することを示している。
【特許文献1】特開2003−18264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の携帯電子機器は、表示装置の表示面と略平行な筐体の内面と表示装置との間に緩衝体を介在させて構成されているため、筐体の小型化や薄型化が困難になるという問題がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、筐体に加えられる衝撃を緩和してこの衝撃から表示装置を保護すると共に、筐体の薄型化を図ることができる携帯電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る携帯電子機器は、筐体と、各種情報を表示する表示面を有すると共に前記筐体の内部に設けられる略板状の表示装置とを備える携帯電子機器であって、前記表示装置の側面側に配設される第1の結合部と、前記筐体の内面側の前記第1の結合部に対向した位置に配設される第2の結合部とを備え、これら2つの結合部が、磁力によって相互に引き合う磁性材料を有して構成されることを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記第1の結合部と前記第2の結合部とを、前記表示面と略垂直な方向に配列したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記第1の結合部の前記第2の結合部に対する相対移動を規制する移動規制手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記移動規制手段が、前記表示面と平行な方向への前記相対移動を規制することを特徴とする。
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記移動規制手段が、前記第1の結合部を前記筐体に対して摺動させる摺動手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記第1の結合部が、前記表示装置を一体的に保持するホルダ部材を有して構成され、前記摺動手段が、前記ホルダ部材から前記第1の結合部と前記第2の結合部との配列方向に突出して形成される突出部と、前記筐体の内面側から前記配列方向に突出して形成されると共に前記突出部に対して摺動可能に係合する係合部とを備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記筐体の内部空間が、前記突出部及び前記係合部によって前記2つの結合部を含む第1の空間と、該第1の空間に対して隔離される第2の空間とに区画されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記突出部と前記係合部との摺動長さが、前記配列方向に関して前記筐体に対する前記表示装置の移動可能な長さよりも長いことを特徴とする。
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記ホルダ部材が金属製の磁性材料から形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記2つの結合部の一方が、永久磁石により構成され、前記2つの結合部の他方が、前記永久磁石の磁力が作用する金属材料により構成されることを特徴とする。
さらに、本発明に係る携帯電子機器は、前記筐体に、前記表示面を外部に露出させる開口部が形成され、前記第2の結合部が、前記開口部の周縁に位置する前記筐体の内面に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示装置及び筐体に各々配設された2つの結合部は、これらの間に作用する磁力によって相互に吸着させることができ、この吸着状態においては、筐体内部の所定位置に表示装置を位置決めすることができる。そして、この状態において、落下等により筐体に衝撃が加わった場合には、表示装置が前記磁力に抗して筐体から離間することで、この衝撃を吸収することができる。
また、第1の結合部は、表示装置の厚さ方向に重ならないように、表示装置の側面側に配されるため、表示装置の厚さ方向に沿う筐体の厚さ寸法を小さくして、筐体の薄型化を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1から図5は本発明に係る一実施形態を示しており、ここで説明する実施の形態は、この発明を携帯電話機に適用した場合のものである。この実施の形態に係る携帯電話機(携帯電子機器)1は、図1に示すように、第1の筐体2と、この第1の筐体2の厚さ方向に重ね合わせ可能な第2の筐体3と、これら2つの筐体2,3を相互に折り畳み自在に連結するヒンジ部5とを備えている。なお、ヒンジ部5は、2つの筐体2,3の各端部2a,3a(以下、基端部2a,3aと呼ぶ。)同士を連結するように配されている。
【0012】
第1の筐体2の内部には、通話キー、終話キー等の各種の押圧可能な操作キーからなる操作部7及び通話用のマイクロフォン部9が設けられている。マイクロフォン部9は、基端部2aとは反対側に位置する第1の筐体2の先端部2bに配されている。これら操作部7及びマイクロフォン部9は、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第2の筐体3に対向する第1の筐体2の対向面2cから外方に露出している。
第2の筐体3の内部には、各種情報を表示する表示面11aを有するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部(表示装置)11、通話用のスピーカ部13、そして、第1の筐体2に備える操作部7やマイクロフォン部9と電気接続させるための各種電子部品(図示せず)が設けられている。スピーカ部13は、基端部3aとは反対側に位置する第2の筐体3の先端部3bに配されている。
【0013】
表示部11の表示面11a及びスピーカ部13は、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第1の筐体2に対向する第2の筐体3の対向面3cから外方に露出している。なお、この第2の筐体3は、第2の筐体3の対向面3c側を構成するフロントケース17、及び、第2の筐体3の外面3d側を構成するリアケース19を備えている。これらフロントケース17及びリアケース19は、互いに第2の筐体3の厚さ方向に結合可能となっている。
また、2つの筐体2,3の各対向面2c,3cから露出する操作部7、マイクロフォン部9、表示部11及びスピーカ部13は、第1、第2の筐体2,3を互いに重ね合わせて閉じた状態において、各筐体2,3により覆い隠されるようになっている。なお、図中の符号15は、基地局と無線通信を行うためのアンテナである。
【0014】
表示部11は、図2,3に示すように、略板状に形成されており、その厚さ方向が第2の筐体3の厚さ方向に略一致するように、第2の筐体3の内部に配されたホルダ部材21の底面部21aの上面21bに接着等により固定して配設されている。なお、表示部11は、表示面11aが厚さ方向に略垂直となるようにホルダ部材21に配設されている。
ホルダ部材21は、パーマロイ等の高透磁率の金属磁性材料を平面視略矩形の板状に形成したものであり、その底面部21aから厚さ方向に突出して表示部11の周縁を囲むように形成された内枠リブ23と、内枠リブ23よりも外側に位置する前記底面部21aの周縁から内枠リブ23と同じ方向に突出する外枠リブ(突出部)25とを備えている。ここで、外枠リブ25は、内枠リブ23の高さ寸法よりも高く形成されている。
【0015】
これら内枠リブ23、外枠リブ25及びホルダ部材21の底面部21aにより、表示部11の周縁を囲む枠状のホルダ側溝部27が構成されており、このホルダ側溝部27の底面部21aの上面21bには、略矩形枠状に形成された第1の永久磁石(第1の結合部)29が接着剤や両面テープ等を介して固定されている。すなわち、この第1の永久磁石29は、表示面11aの外周方向である表示部11の側面側に固定して配設されることになる。この第1の永久磁石29は、例えば、サマリウムコバルト系希土類焼結磁石からなる。
また、ホルダ側溝部27の底面部21aの上面21bを基準とした第1の永久磁石29の高さ寸法は、前述した内枠リブ23の高さ寸法と略同等となっている、すなわち、表示部11が第1の永久磁石29に直接対向しないようになっている。さらに、ホルダ側溝部27の底面部21aの上面21bに配された第1の永久磁石29の高さ寸法は、外枠リブ25の高さ寸法よりも低くなっている。
【0016】
第2の筐体3を構成するフロントケース17には、図2に示すように、表示部11の表示面11aを外部に露出させるための開口部3eが形成されており、第2の筐体3の開口部3eは透明なカバーガラス31により閉塞されている。
この開口部3eの周縁に位置するフロントケース17の内面17aには、ホルダ部材21と同様の平面視略矩形枠状に形成された固定部材33が両面テープや接着剤等を介して固定されている。この固定部材33は、パーマロイ等の高透磁率の金属磁性材料からなり、フロントケース17の開口部3eと略同等の孔部33aを有している。
【0017】
また、この固定部材33には、フロントケース17の内面17aに固定された底部35の内縁及び外縁のそれぞれから、内面17aから垂直方向に突出する外縁壁部(係合部)37及び内縁壁部39が形成されている。これら底部35、外縁壁部37及び内縁壁部39により第2の永久磁石(第2の結合部)41を配する略矩形枠状の筐体側溝部43が構成されている。この第2の永久磁石41は前述した第1の永久磁石29と同じものであり、筐体側溝部43の底面に両面テープや接着剤等を介して固定されている。
この状態において、筐体側溝部43の底面を基準とした第2の永久磁石41の高さ寸法は、内縁壁部39の高さ寸法と略同等となっている。
【0018】
これらホルダ部材21及び固定部材33は、ホルダ側溝部27及び筐体側溝部43が表示部11の厚さ方向に相互に対向するように、かつ、固定部材33の外縁壁部37の外側面37aがホルダ部材21の外枠リブ25の内側面25aに接触するように配されている。これにより、ホルダ側溝部27に配設される第1の永久磁石29と筐体側溝部43に配設される第2の永久磁石41とは、図2に示すように、互いに対向して配設されることになる。また、この状態においては、第2の筐体3に対するホルダ部材21の移動(相対移動)が、外枠リブ25及び外縁壁部37によって表示部11の厚さ方向のみに規制されており、表示部11の表示面11aと平行な方向へのホルダ部材21の相対移動が規制されることになる。
【0019】
すなわち、ホルダ部材21の外枠リブ25及び固定部材33の外縁壁部37により、ホルダ部材21の固定部材33に対する相対移動(第1の結合部の第2の結合部に対する相対移動)を表示部11の厚さ方向(表示面11aと略垂直な方向)に規制する移動規制手段が構成され、ホルダ部材21と固定部材33とを2つの永久磁石29,41(第1の結合部と第2の結合部と)の配列方向に摺動させる摺動手段45が構成されている。
また、この状態においては、ホルダ部材21に固定された表示部11の表示面11aが、固定部材33の孔部33a及び第2の筐体3の開口部3eを介して外方に露出している。さらに、この状態においては、2つの永久磁石29,41が表示部11の厚さ方向に相互に対向して配列されており、2つの永久磁石29,41がその磁力によって相互に吸着し、この磁力によってホルダ部材21及び固定部材33が相互に結合されている。
【0020】
この結合状態においては、ホルダ部材21の内枠リブ23と固定部材33の内縁壁部39とが相互に当接しており、第2の筐体3の内部空間のうち、2つの永久磁石29,41を配した空間V1(以下、第1の空間V1と呼ぶ。)と、表示部11を配置した空間V2とが相互に隔離された状態となる。また、この結合状態においては、ホルダ部材21とリアケース19の内面19aとの間に隙間が形成されている。
なお、上記結合状態において、表示部11の厚さ方向に関して外枠リブ25及び外縁壁部37が相互に摺動する長さを摺動長さL2とした場合、この摺動長さL2は、ホルダ部材21とリアケース19の内面19aとの間隙L1よりも長いことが好ましい。このように間隙L1及び摺動長さL2を設定することにより、ホルダ部材21が固定部材33から最も離間する位置に配されていても、外枠リブ25の内側面25aと外縁壁部37の外側面37aとが相互に接触した状態に保持されることになる、すなわち、第2の筐体3に対するホルダ部材21の移動方向が、摺動手段45によって表示部11の厚さ方向に規制されることになる。
【0021】
以上のことから、第2の筐体3の内部空間のうち、第1の空間V1と、ホルダ部材21の外側に位置する空間V3(以下、第2の空間V3と呼ぶ。)とは、ホルダ部材21と固定部材33との相対的な位置関係に関わらず、外枠リブ25と外縁壁部37との接触により相互に隔離されることになる。なお、前述した各種電子部品は、この第2の空間V3に配されている。
【0022】
以上のように構成された携帯電話機1の製造において、第2の筐体3の内部に表示部11を組み込む場合には、はじめに、ホルダ部材21の底面部21aに表示部11及び第1の永久磁石29を固定すると共に、固定部材33に第2の永久磁石41を固定する。次いで、2つの永久磁石29,41が相互に対向するように、ホルダ部材21の内側に固定部材を挿入する。
最後に、固定部材33の底部35をフロントケース17の内面17aに固定すると共に、リアケース19をフロントケース17に結合させることで、第2の筐体3内部の所定位置に表示部11を組み込む作業が完了する。
【0023】
この構成の携帯電話機1が落下するなどして、第2の筐体3に衝撃が加えられた場合には、ホルダ部材21が前述の磁力に抗して第2の筐体3から離間することで、この衝撃を吸収することができる。なお、2つの永久磁石29,41は、表示部11の厚さ方向に配列されているため、特に表示部11の厚さ方向から加えられる衝撃を効率よく吸収できる。したがって、衝撃によって第2の筐体3が撓むなどしても、ホルダ部材21が固定部材33から適宜離間することで、表示部11が撓んで破損することを確実に防止できる。
ここで、ホルダ部材21の離間方向は外枠リブ25及び外縁壁部37からなる移動規制手段により規制されているため、2つの永久磁石29,41が相互に離間した状態から再度吸着する際には、これら2つの永久磁石29,41の相対的な位置関係を容易に保持することができる。
【0024】
また、この携帯電話機1によれば、ホルダ部材21及び固定部材33にそれぞれ永久磁石29,41を設けることにより、これら永久磁石29,41の磁力を利用して、表示部11を第2の筐体3に内部の所定位置に結合することができる。
また、第1の永久磁石29は、表示部11の厚さ方向に重ならないように、表示部11の側面側に固定されているため、表示部11の厚さ方向に沿う第2の筐体3の厚さ寸法を小さくして、第2の筐体3の薄型化を図ることができる。
【0025】
また、ホルダ部材21及び固定部材33は、金属製の磁性材料から形成されているため、2つの永久磁石29,41の間に作用する磁力の磁束方向を拘束することができる。したがって、2つの永久磁石29,41の磁力がホルダ部材21や固定部材33を貫通して表示部11を配した空間V2や第2の空間V3に到達することを防ぐことができる。
特に、2つの永久磁石29,41を配した第1の空間V1と各種電子部品を配した第2の空間V3とは、ホルダ部材21と固定部材33との相対的な位置関係に関わらず、外枠リブ25と外縁壁部37とにより相互に隔離されているため、2つの永久磁石29,41の間に作用する磁力が、第2の空間V3に到達することを確実に防いで、各種電子部品に誤動作が発生することを防止できる。
【0026】
なお、上記実施形態において、内枠リブ23は、ホルダ部材21の底面部21aの上面21bを基準とした第1の永久磁石29の高さ寸法と略同等の高さを有するとしたが、これに限ることはなく、例えば、第1の永久磁石29の高さ寸法よりも高く形成されるとしてもよい。すなわち、内枠リブ23の高さ寸法は、この内枠リブ23によって第1の永久磁石29の磁力が直接表示部11に到達しないように設定されていればよい。
また、第2の永久磁石41の高さ寸法は、内縁壁部39の高さ寸法と略同等としたが、これに限ることはなく、例えば、内縁壁部39の高さ寸法よりも低くなるようにしても構わない。すなわち、内縁壁部39の高さ寸法は、内縁壁部39をホルダ部材21の内枠リブ23に当接させて、第1の空間V1と表示部11を配した空間V2とを相互に隔離できるように設定されていればよい。
【0027】
さらに、ホルダ部材21及び固定部材33は、金属磁性材料により形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも2つの永久磁石29,41の磁束方向を拘束するように構成されていればよい。すなわち、例えば、ホルダ部材21及び固定部材33を非磁性材料により形成すると共に、2つの永久磁石29,41に対向若しくは接触するホルダ側溝部27及び筐体側溝部43の内面に磁束方向を拘束する金属磁性材料をコーティングするとしても構わない。
また、ホルダ側溝部27や筐体側溝部43の内面に金属磁性材料のコーティングが施されていなくても、第1の空間V1と第2の空間V3とは外枠リブ25及び外縁壁部37により相互に隔離されているため、2つの永久磁石29,41の間に作用する磁力が外枠リブ25及び外縁壁部37を貫通して第2の空間V3に到達することを抑えることができる。したがって、磁力に基づいて第2の空間V3に配された各種電子部品に誤動作が発生することを抑制できる。
【0028】
さらに、ホルダ部材21及び固定部材33には、2つの永久磁石29,41が各々固定されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも磁力によって引き合う2つの結合部が各々固定されていればよい。すなわち、例えば、図4に示すように、固定部材33に上記実施形態と同様の永久磁石(第2の結合部)51を固定すると共に、ホルダ部材21にこの永久磁石51の磁力が作用する金属材料からなる金属結合部(第1の結合部)53を固定するとしてもよい。この金属結合部53を形成する金属材料としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体が挙げられる。
【0029】
この構成においては、ホルダ部材21に固定される金属結合部53を、固定部材33に固定される永久磁石51よりも薄く形成することができる。すなわち、例えば、サマリウムコバルト系希土類焼結磁石により永久磁石51を形成した場合、永久磁石51の最低厚みが約1mmとなることに対し、金属材料を使用した金属結合部53は厚さ約0.3mmで形成することができる。
このため、表示部11の厚さ方向に沿って永久磁石51と金属結合部53とを重ねた高さ寸法を小さくし、永久磁石51及び金属結合部53が第2の筐体3の内部空間において占める容積を小さくすることができる。したがって、第2の筐体3及び携帯電話機の小型化・薄型化を容易に図ることができる。なお、この構成の場合には、上記実施形態のような内枠リブ23を形成する必要も無い。
なお、固定部材33に上記金属結合部53を配設し、ホルダ部材21に永久磁石51を配設して同様の構成としてもよい。
【0030】
また、ホルダ部材21の外枠リブ25は、固定部材33の外縁壁部37の外側に配されるとしたが、これに限ることはなく、外縁壁部37と共に第2の空間V3を第1の空間V1に対して隔離するように形成されていればよい。したがって、外枠リブ25は、例えば、外縁壁部37の内側に配されるように形成しても構わない。
さらに、これら外枠リブ25や外縁壁部37は、表示部11を囲むように形成されるとしたが、これに限ることはなく、第2の筐体3に対して少なくとも2つの永久磁石29,41の配列方向に摺動するように形成されていればよい。すなわち、これら外枠リブ25や外縁壁部37は、少なくとも相互に接触するように表示部11を挟んで対称な位置に形成されていればよい。
【0031】
また、摺動手段45は、外枠リブ25及び外縁壁部37により構成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、内枠リブ23及び内縁壁部39により構成されるとしても構わない。この構成においては、内枠リブ23の内側若しくは外側に内縁壁部39が接触するように配されていればよい。
この構成の場合には、内枠リブ23及び内縁壁部39の高さ寸法を適宜設定することにより、ホルダ部材21と固定部材33との位置関係に関わらず、表示部11を配した空間V2を第1の空間V1に対して隔離することが可能となる。このため、2つの永久磁石29,41の間に作用する磁力が内枠リブ23及び内縁壁部39を貫通して前記空間V2に到達することを抑えることができる。したがって、磁力に基づいて前記空間V2に配された表示部11に誤動作が発生することを抑制できる。
【0032】
さらに、フロントケース17の内面17aには、第2の永久磁石41を設けるための固定部材33が固定されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも第2の永久磁石41を配するための筐体側溝部43が形成されていればよい。すなわち、例えば、フロントケース17の内面17aに、上記実施形態と同様の外縁壁部37及び内縁壁部39を直接立設して形成するとしても構わない。この構成の場合には、開口部3eの周縁に位置するフロントケース17の内面17aに第2の永久磁石41を直接固定すればよい。
また、上記実施形態においては、互いに重ね合わせ可能な2つの筐体2,3を備えた携帯電話機1に適用されるとしたが、携帯電話機1に限ることはなく、PDA、デジタルカメラのように、少なくとも各種情報を表示する表示部を備えた携帯電子機器であればよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態に係る携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機において、第2の筐体の内部を示す拡大断面図である。
【図3】図1の携帯電話機において、ホルダ部材及び第1の永久磁石を示す斜視図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る携帯電話機の要部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
3 第2の筐体
3e 開口部
11 表示部(表示装置)
11a 表示面
17a 内面
21 ホルダ部材
25 外枠リブ(突出部)
37 外縁壁部(係合部)
29 第1の永久磁石(第1の結合部)
41 第2の永久磁石(第2の結合部)
45 摺動手段
51 永久磁石(第2の結合部)
53 金属結合部(第1の結合部)
V1 第1の空間
V3 第2の空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、各種情報を表示する表示面を有すると共に前記筐体の内部に設けられる略板状の表示装置とを備える携帯電子機器であって、
前記表示装置の側面側に配設される第1の結合部と、
前記筐体の内面側の前記第1の結合部に対向した位置に配設される第2の結合部とを備え、
これら2つの結合部が、磁力によって相互に引き合う磁性材料を有して構成されることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1の結合部と前記第2の結合部とが、前記表示面と略垂直な方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1の結合部の前記第2の結合部に対する相対移動を規制する移動規制手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記移動規制手段は、前記表示面と平行な方向への前記相対移動を規制することを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記移動規制手段が、前記第1の結合部を前記筐体に対して摺動させる摺動手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第1の結合部が、前記表示装置を一体的に保持するホルダ部材を有して構成され、
前記摺動手段が、前記ホルダ部材から前記第1の結合部と前記第2の結合部との配列方向に突出して形成される突出部と、前記筐体の内面側から前記配列方向に突出して形成されると共に前記突出部に対して摺動可能に係合する係合部とを備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記筐体の内部空間が、前記突出部及び前記係合部によって前記2つの結合部を含む第1の空間と、該第1の空間に対して隔離される第2の空間とに区画されることを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記突出部と前記係合部との摺動長さが、前記配列方向に関して前記筐体に対する前記表示装置の移動可能な長さよりも長いことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記ホルダ部材が、金属製の磁性材料から形成されていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記2つの結合部の一方が、永久磁石により構成され、
前記2つの結合部の他方が、前記永久磁石の磁力が作用する金属材料により構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記筐体に、前記表示面を外部に露出させる開口部が形成され、
前記第2の結合部が、前記開口部の周縁に位置する前記筐体の内面に固定されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−36033(P2007−36033A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219201(P2005−219201)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】