説明

携帯電子機器

【課題】部品点数の増加を伴わず、筐体外部の水濡れを簡易に検出することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、開口部18a及び開口部18bが形成された操作部側筐体2と、開口部18a及び開口部18bから露出するように操作部側筐体2に配設され、外部装置と接続するように構成される第1の端子19a及び第2の端子19bと、第1の端子19aと第2の端子19bとの間の短絡状態を検出する抵抗値検出器52と、抵抗値検出器52により短絡状態が検出されると所定の動作を行うように制御する制御部46と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコネクタを有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器は、携帯電子機器の筐体内部が水に濡れたことを検出するために、水に濡れると色が変化するラベルを筐体内部に貼付したものが知られている。
【0003】
また近年、携帯電子機器の高機能化に伴い、携帯電子機器には多種多様なデータが保存される。このため、携帯電子機器に保存されるデータを保護することはより重要な課題となっている。
【0004】
例えば、特許文献1において、携帯電子機器が内部基板に水濡れ検出用の端子を2つ設けると共に、それら2つの端子間の短絡状態を検出し、検出した短絡状態をメモリに記憶することで故障の原因究明を容易にする技術が開示されている。さらに、特許文献1には、水に濡れたことの報知及び電源の供給の停止を行い、携帯電子機器の故障を防止し、データを保護する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−235724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、水濡れを検出するための検出用の端子を別途設ける必要があり、部品点数の増加によるコストアップ及び携帯電子機器の大型化を避けられない。
【0006】
そこで、本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、部品点数の増加を伴わず、筐体外部の水濡れを簡易に検出することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、開口部が形成された筐体と、前記開口部から露出するように前記筐体に配設され、外部装置と接続するように構成される複数のコネクタと、前記複数のコネクタ間の短絡状態を検出する第1の検出部と、前記第1の検出部により短絡状態が検出されると所定の動作を行うように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記携帯電子機器は、報知部を有し、前記制御部は、前記所定の動作として、前記報知部による所定の報知を行うように制御する、ことが好ましい。
【0009】
また、上記携帯電子機器は、主電源をオン状態又はオフ状態にするための動作を行う電源動作部を有し、前記制御部は、前記主電源がオン状態にされている場合において前記第1の検出部により短絡状態が検出されると、前記所定の動作として、前記主電源をオフ状態にするための動作を行うように制御する、ことが好ましい。
【0010】
また、上記携帯電子機器は、前記制御部は、前記第1の検出部による前記複数のコネクタ間の短絡状態の検出を所定の周期で行うように制御する、ことが好ましい。
【0011】
また、上記携帯電子機器は、アンテナと、前記アンテナにより間欠的に信号を受信する受信部と、を有し、前記制御部は、前記受信部による間欠的な信号の受信時に対応して前記第1の検出部により前記複数のコネクタ間の短絡状態を間欠的に検出することで、当該検出を前記所定の周期で行うように制御する、ことが好ましい。
【0012】
また、上記携帯電子機器は、前記制御部は、前記第1の検出部により検出された短絡状態が所定時間以上継続した場合には前記所定の動作を行うように制御する、ことが好ましい。
【0013】
また、上記携帯電子機器は、前記複数のコネクタの温度を検出する温度検出部を有し、前記制御部は、前記温度検出部により所定の温度以下の温度が検出されたときに、前記所定の動作を行うように制御する、ことが好ましい。
【0014】
また、上記携帯電子機器は、前記複数のコネクタの少なくとも一部は、バッテリに接続されるように構成される充電端子である、ことが好ましい。
【0015】
また、上記携帯電子機器は、前記バッテリの電圧状態を検出する第2の検出部を有し、前記制御部は、前記第2の検出部により検出された前記バッテリの電圧が所定値以下の場合に前記所定の動作を行い、前記第2の検出部により検出された前記バッテリの電圧が所定値より大きい場合に前記所定の動作を行わない又は抑制して行うように制御する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品点数の増加を伴わず、筐体外部の水濡れを簡易に検出することができる携帯電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の携帯電話機1について、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である。
【0018】
本実施形態における携帯電話機1は、折り畳み型の携帯電話機1であり、略直方体形状の操作部側筐体(筐体)2と、略直方体形状の表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、を備える。
【0019】
操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して開閉可能に連結されている。つまり、連結部4は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とを開閉軸Xを中心に開閉可能に連結している。携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転(回動)することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にすることができる。
【0020】
表示部側筐体3の前面は、フロントケース30a及びキャップ33を主体として構成されている。表示部側筐体3の背面3bは、リアケース30bを主体として構成されている。
【0021】
表示部側筐体3内には、各種情報を表示させるメインLCD表示部34が配置されている。メインLCD表示部34は、透明部分を主体とするキャップ33を介して、フロントケース30aに形成された開口部から表示部側筐体3の前面3aに露出するように配置されている。
【0022】
また、フロントケース30aには、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31が形成されている。
【0023】
図2は、図1に示す携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のリアケース30b側から視た斜視図である。表示部側筐体3のリアケース30b側には、図2に示すように、各種情報を表示させるサブLCD表示部36が配置されている。サブLCD表示部36は、リアケース30bの透明部分を介して表示部側筐体3の背面に露出するように配置されている。
【0024】
操作部側筐体2のリアケース22側には、開口部18a、18bが形成されている。この開口部18a、18bから外部装置としての外部電源と接続して充電値の充電を行うための充電端子群(複数のコネクタ)19が設けられている。充電端子群19は、第1の端子19aと、第2の端子19bとを備える。第1の端子19aと、第2の端子19bとは、それぞれ、開口部18a、開口部18bから露出するように操作部側筐体2に配設されている。
【0025】
メインLCD表示部34及びサブLCD表示部36は、それぞれ、液晶パネル、この液晶パネルを駆動する駆動回路、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部等から構成される。
【0026】
操作部側筐体2は、図2に示すように、その外面が、フロントケース21及びリアケース22を主体として構成されている。フロントケース21は、操作部側筐体2の前面側を構成する。リアケース22は、操作部側筐体2の前面側と反対側の面である背面側を構成する。
【0027】
フロントケース21は、操作キー群11が前面2aに露出するように構成されている。操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0028】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0029】
操作部側筐体2の前面には、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12が形成されている。
【0030】
図3は、携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話機1は、図3に示すように、操作キー群11と、マイク12と、メインアンテナ40と、RF回路部(受信部)41と、LCD制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部(制御部、電源動作部)46と、温度センサ(温度検出部)47と、水濡れ検出部(第1の検出部)48と、バッテリ49と、電圧測定部(第2の検出部)50とが操作部側筐体2に備えられ、メインLCD表示部34と、スピーカ25と、ドライバIC23と、サブLCD表示部36とが表示部側筐体3に備えられている。
【0031】
メインアンテナ40は、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行う。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であってもよい。また、例えばGPS通信のための第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)に対応できるデュアルバンド対応構成であってもよい。
【0032】
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部46に供給する。そして、制御部46から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、メインアンテナ40によって受信している信号の強度を制御部46に通知を行う。
【0033】
LCD制御部42は、制御部46の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC23に出力する。ドライバIC23は、LCD制御部42から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングでメインLCD表示部34又はサブLCD表示部36に出力する。
【0034】
音声処理部43は、制御部46の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ25に出力する。スピーカ25は、音声処理部43から供給された信号を外部に出力する。
【0035】
また、音声処理部43は、制御部46の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ40に出力する。
【0036】
メモリ44は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部46による演算処理に利用される。なお、メモリ44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0037】
制御部46は、携帯電話機1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。なお、制御部46の詳細については後述する。
【0038】
温度センサ47は、携帯電話機1の筐体内に設けられており、第1の端子19a及び第2の端子19bの温度を検出し、温度情報として制御部46に出力する。
【0039】
水濡れ検出部48は、第1の端子19aと、第2の端子19bとの間の抵抗値を監視することにより、第1の端子19a及び第2の端子19bの短絡状態を検出する。
【0040】
バッテリ49は、充電端子群19により外部装置から給電を行い、携帯電話機1の各部に電力を供給する。また、電圧測定部50は、バッテリ49の電圧値の測定を行う。
【0041】
図4は、携帯電話機1が水に濡れた状態を検出するための電気回路の構成を示す回路図である。水濡れ検出部48は、充電回路51と、抵抗値検出器52と、充電端子群19とを備える。
【0042】
充電回路51は、外部電源からの電流を出力し、バッテリを充電する。抵抗値検出器52は、第1の端子19aと、第2の端子19bと間の抵抗値を監視する。そして、抵抗値が所定の閾値以下になった場合、第1の端子19aと、第2の端子19bと間が短絡状態であることを制御部46へ通知する。このように抵抗値検出器52は、第1の端子19aと、第2の端子19bと間の抵抗値を監視することにより、第1の端子19aと、第2の端子19bと間が短絡状態を検出することができる。
【0043】
ここで、本発明に係る携帯電話機1の水濡れ検出の動作について詳細に説明する。
抵抗値検出器52は、第1の端子19aと、第2の端子19bと間の抵抗値(短絡状態)を検出する。制御部46は、抵抗値検出器52により第1の端子19aと、第2の端子19bと間の短絡状態が検出されると所定の動作を行うように制御する。これは、この短絡状態を水濡れ状態であるとの推定に基づいている。
【0044】
なお、所定の動作とは、例えば、後述する報知部による所定の報知や、携帯電話機1の主電源をオフ状態にするための動作等をいう。
【0045】
このように、本実施形態の携帯電話機1は、携帯電話機1に予め設けられている既存の端子である第1の端子19a及び第2の端子19bにより短絡状態を検出することができるため、携帯電話機1の部品点数を増加することなく水濡れ検出を行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、携帯電話機1に予め設けられている端子として第1の端子19a及び第2の端子19bを用いたがこれに限られない。例えば、外部インターフェイスコネクタ、イヤホンマイクコネクタ、マイクロSDスロット等を用いて短絡状態を検出してもよい。
【0047】
また、上述したような携帯電話機1に予め設けられている端子は、水に濡れることで故障や保存されているデータが消失するおそれが有る。本実施形態の携帯電話機1は、抵抗値検出器52により端子間の抵抗値を監視することにより端子間の短絡状態を検出している。このため、携帯電話機1に予め設けられている端子の水濡れを精度良く検出することができる。したがって、端子が水に濡れることで発生する故障や保存されているデータの消失を抑制することができる。
【0048】
また、制御部46は、報知部による所定の報知を所定の動作として行うように制御してもよい。ここで、報知部は、例えばメインLCD表示部34、サブLCD表示部36、スピーカ25、バイブレータ等が挙げられる。また、報知部による所定の報知とは、携帯電話機1が水濡れ状態であることをユーザに対して警告する報知である。
【0049】
例えば、制御部46は、メインLCD表示部34又は/及びサブLCD表示部36により水濡れ状態であることを警告する情報を表示するように制御してもよい。また、制御部46は、スピーカ25により水濡れ状態であることを警告する音や音声を出力するように制御してもよい。また、制御部46は、バイブレータにより水濡れ状態であることを警告する振動を発生させるように制御してもよい。このようにして、報知部により携帯電話機1が水濡れ状態であることをユーザに対して警告することができる。
【0050】
このように携帯電話機1は、外部に露出している第1の端子19a及び第2の端子19bが水濡れ状態であることをユーザに対して報知する。このため、ユーザが第1の端子19a及び第2の端子19bが水濡れ状態のまま外部電源と接続したり、水濡れ状態のまま携帯電話機1を長時間放置したり、水濡れ状態で凍結しやすい低温状態の環境に持ち込む等による携帯電話機1の故障を防ぐことができる。
【0051】
制御部46は、携帯電話機1の主電源をオン状態又はオフ状態にするための動作(シャットダウン動作)を行うように制御する。そして、主電源がオン状態にされている場合において、制御部46は、抵抗値検出器52により第1の端子19aと、第2の端子19bと間の短絡状態が検出されると、主電源をオフ状態にするための動作(シャットダウン動作)を所定の動作として行うように構成してもよい。
【0052】
これにより、携帯電話機1は、水濡れ状態が検出された場合、携帯電話機1をシャットダウンすることにより、携帯電話機1が水濡れにより故障した場合であっても、故障による被害を最小限に留めることができる。
【0053】
また、制御部46は、抵抗値検出器52による第1の端子19aと、第2の端子19bと間の短絡状態の検出を所定の周期で行うように構成してもよい。
【0054】
これにより、携帯電話機1は、水濡れ状態を検出するために消費される消費電力を低減することができる。
【0055】
ここで、RF回路部41は、例えば待ち受け状態でメインアンテナ40により間欠的に信号を受信する。間欠的な信号とは、携帯電話機1が基地局と待ち受け受信を行うための信号である。制御部46は、RF回路部41による間欠的な信号の受信時に対応して、メインアンテナ40により信号が間欠的に受信される際に消費される電力を利用して抵抗値検出器52により第1の端子19aと、第2の端子19bと間の短絡状態を間欠的に検出するように制御する。そして、制御部46は、抵抗値検出器52による間欠的な検出を所定の周期で行うように制御する。
【0056】
これにより、携帯電話機1は、メインアンテナ40により信号が間欠的に受信される際に消費される電力を利用して水濡れ状態を検出するために消費される消費電力を低減することができる。
【0057】
また、制御部46は、抵抗値検出器52により検出された短絡状態が所定時間以上継続した場合には、所定の動作を行うように制御してもよい。なお、所定時間の計測は、制御部46に内蔵又は制御部46に接続されるタイマにより計測することができる。
【0058】
これにより、携帯電話機1は、第1の端子19a及び第2の端子19bが水濡れ状態で長時間放置されることにより発生する故障を防ぐことができる。
【0059】
また、制御部46は、温度センサ47により所定の温度以下の温度が検出されると所定の動作を行うように制御してもよい。なお、所定の動作とは、報知部による所定の報知や、携帯電話機1の主電源をオフ状態にするための動作等をいう。また、所定の温度とは、携帯電話機1が凍結する危険がある低温状態をいい、例えば0℃以下の温度をいう。
【0060】
これにより、携帯電話機1が水濡れ状態であり、且つ低温状態であることをユーザに対して報知することにより、携帯電話機1の凍結による故障を防ぐことができる。また、報知した後に携帯電話機1のシャットダウン動作を行うことにより、携帯電話機1が凍結している場合であっても、凍結による故障の被害を最小限に抑えることができる。
【0061】
電圧測定部50は、バッテリ49の電圧値の測定を行い、バッテリ49の電圧状態を検出する。制御部46は、電圧測定部50により検出されたバッテリ49の電圧が所定値以下の場合には、所定の動作を行うように制御する。また、電圧測定部50により検出された電圧が所定値より大きい場合には、所定の動作を行わない又は所定の動作を抑制して行うように制御する。
【0062】
ここで、所定の動作を抑制して行うときの具体例を示す。例えば、所定の動作として、メインLCD表示部34及びサブLCD表示部36により水濡れ状態を報知した場合、所定の動作を抑制して行うとは、メインLCD表示部34又はサブLCD表示部36のいずれかにより水濡れ状態を報知するような動作をいう。
【0063】
バッテリ49の電圧が所定値以下の場合には、充電端子群19を外部装置に接続して充電を行う可能性が高いと考えられる。携帯電話機1は、バッテリ49の電圧が所定値以下の場合には、所定の動作(例えば、バッテリ残量が70%以下のときに充電端子群19の短絡状態を検出する)を行うことにより、水濡れ状態において携帯電話機1が充電されることによる故障の発生を防ぐことができる。
【0064】
一方、バッテリ49の電圧が所定値より大きい場合には、所定の動作を行わない又は抑制して行うことにより、携帯電話機1の消費電力を低減することができる。
【0065】
図5は、携帯電話機1の水濡れ検出処理の流れについて示すフローチャートである。
ステップS1において、携帯電話機1は、所定の操作に応じて主電源をオン状態にする。具体的には、ユーザによって操作キー群11の主電源ボタンが押圧操作されることにより、制御部46は、携帯電話機1の主電源をオン状態にするように制御する。
【0066】
ステップS2において、制御部46は、抵抗値検出器52が短絡状態(水濡れ状態)であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS5へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS3へ移る。
【0067】
ステップS3において、制御部46は、5秒間ウェイトし、ステップS4へ移る。
ステップS4において、制御部46は、第1の端子19a及び第2の端子19bが水濡れ状態でないことをメモリ44に記憶し、ステップS1へ戻る。
【0068】
ステップS5において、制御部46は、報知部により第1の端子19aと、第2の端子19bとが水濡れ状態であることをユーザに報知する。ステップS6において、制御部46は、温度センサ47により第1の端子19a及び第2の端子19bの温度が所定の温度以下であるか否か、すなわち第1の端子19a及び第2の端子19bが低温状態であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS7へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS11へ移る。
【0069】
ステップS7において、制御部46は、報知部により第1の端子19aと、第2の端子19bとが水濡れ状態であり、且つ低温状態であることをユーザに報知する。ステップS8において、制御部46は、30秒間ウェイトし、ステップS9へ移る。
【0070】
ステップS9において、制御部46は、第1の端子19aと、第2の端子19bとが水濡れ状態であり、且つ低温状態でシャットダウン動作を行うことをメモリ44に記憶する。そして、ステップS10において、制御部46は、携帯電話機1の主電源をオフ状態にするためにシャットダウン動作を行うように制御する。
【0071】
ステップS11において、制御部46は、バッテリ電圧が3.6V以下であるか否か判定する。この判定がYesの場合には、ステップS12へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS13へ移る。
【0072】
ステップS12において、制御部46は、報知部としてのサブLCD表示部36によって携帯電話機1を充電すると故障のおそれがある旨の警告をユーザに対して表示するように制御する。
【0073】
ステップS13において、制御部46は、ステップS2において水濡れを検出してから30分経過したか否かを判定する。なお、水濡れを検出してからの経過時間はタイマにより計測される。この判定がYesの場合には、ステップS14へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS17へ移る。
【0074】
ステップS14において、制御部46は、報知部によりユーザに警告を報知する。報知の内容としては、例えば水濡れを検出してから30分経過したため、携帯電話機1が水濡れによって故障又はデータが消失する危険があることをユーザに報知する。
【0075】
ステップS15において、制御部46は、水濡れを検出した後、30分経過したことをメモリ44に記憶する。そして、ステップS16において、制御部46は、シャットダウン動作を実行するように制御する。
【0076】
ステップS17において、制御部46は、第1の端子19aと、第2の端子19bとが水濡れ状態であることをメモリ44に記憶し、ステップS18へ移る。ステップS18において、制御部46は、タイマにより5秒間ウェイトした後、ステップS2へ戻る。
【0077】
なお、上述の実施形態においては、携帯電話機1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、PHS(登録商標:Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、例えばノートパソコン等の携帯型パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0078】
また、本実施形態では、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機1について、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のリアケース30b側から視た斜視図である。
【図3】携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。
【図4】携帯電話機1が水に濡れた状態を検出するための電気回路の構成を示す回路図である。
【図5】携帯電話機1の水濡れ検出処理の流れについて示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
18a、18b 開口部
19a 第1の端子
19b 第2の端子
46 制御部
52 抵抗値検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された筐体と、
前記開口部から露出するように前記筐体に配設され、外部装置と接続するように構成される複数のコネクタと、
前記複数のコネクタ間の短絡状態を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部により短絡状態が検出されると所定の動作を行うように制御する制御部と、を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
報知部を有し、
前記制御部は、前記所定の動作として、前記報知部による所定の報知を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
主電源をオン状態又はオフ状態にするための動作を行う電源動作部を有し、
前記制御部は、前記主電源がオン状態にされている場合において前記第1の検出部により短絡状態が検出されると、前記所定の動作として、前記主電源をオフ状態にするための動作を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の検出部による前記複数のコネクタ間の短絡状態の検出を所定の周期で行うように制御する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
アンテナと、
前記アンテナにより間欠的に信号を受信する受信部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部による間欠的な信号の受信時に対応して前記第1の検出部により前記複数のコネクタ間の短絡状態を間欠的に検出することで、当該検出を前記所定の周期で行うように制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の検出部により検出された短絡状態が所定時間以上継続した場合には前記所定の動作を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記複数のコネクタの温度を検出する温度検出部を有し、
前記制御部は、前記温度検出部により所定の温度以下の温度が検出されたときに、前記所定の動作を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記複数のコネクタの少なくとも一部は、バッテリに接続されるように構成される充電端子である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記バッテリの電圧状態を検出する第2の検出部を有し、
前記制御部は、前記第2の検出部により検出された前記バッテリの電圧が所定値以下の場合に前記所定の動作を行い、前記第2の検出部により検出された前記バッテリの電圧が所定値より大きい場合に前記所定の動作を行わない又は抑制して行うように制御する、ことを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−35036(P2010−35036A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196884(P2008−196884)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】