説明

携帯電子機器

【課題】連結部の組み立てが容易な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、貫通孔11hが形成された表示筐体5と、貫通孔11hの貫通方向の一方側において貫通孔11hに対向する第1側方穴部35h、及び、貫通孔11hの貫通方向の他方側において貫通孔11hに対向する第2側方穴部37hが形成された操作筐体3とを有する。また、携帯電話機1は、第1側方穴部35h及び貫通孔11hに跨って配置されており、その配置が第1側方穴部35hから出つつ貫通孔11hへ入る移動により可能である第1軸部品27と、貫通孔11h及び第2側方穴部37hに跨って配置されており、その配置が第1軸部品27により貫通孔11hから押し出されつつ第2側方穴部37hへ入る移動により可能である第2軸部品29とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA、ゲーム機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの筐体を折り畳み可能な携帯電子機器が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1において、2つの筐体を連結する連結部は、一方の筐体に形成された第1筒状部と、他方の筐体に形成され、第1筒状部の両側に同軸状に配置された2つの第2筒状部とを有している。また、連結部は、第1筒状部及び一方の第2筒状部に挿通される第1軸部品と、第1筒状部及び他方の第2筒状部に挿通される第2軸部品とを有している。このように連結部が形成されることにより、2つの筐体は、第1及び第2筒状部の軸回りに相対回転可能に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、第1軸部品及び第2軸部品の組み立ては、煩わしい作業となりがちである。
【0005】
本発明の目的は、連結部の組み立てが容易な携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、貫通孔が形成された第1筐体と、前記貫通孔の貫通方向の一方側において前記貫通孔に対向する第1側方穴部、及び、前記貫通孔の貫通方向の他方側において前記貫通孔に対向する第2側方穴部が形成された第2筐体と、前記第1側方穴部及び前記貫通孔に跨って配置されており、その配置が前記第1側方穴部から出つつ前記貫通孔へ入る移動により可能である第1軸部品と、前記貫通孔及び前記第2側方穴部に跨って配置されており、その配置が前記第1軸部品により前記貫通孔から押し出されつつ前記第2側方穴部へ入る移動により可能である第2軸部品と、を有する。
【0007】
好適には、前記携帯電子機器は、前記第1側方穴部及び前記貫通孔に跨って配置された状態の前記第1軸部品の前記第1側方穴部側から前記貫通孔側への移動、及び、前記貫通孔及び前記第2側方穴部に跨って配置された状態の前記第2軸部品の前記貫通孔側から前記第2側方穴部側への移動を規制する第1係止部を更に有する。
【0008】
好適には、前記第1係止部は、前記第2軸部品に当接して前記第2軸部品の前記貫通孔側から前記第2側方穴部側への移動を規制し、前記第1軸部品は、前記第1係止部により移動が規制された状態の前記第2軸部品に当接することにより、前記第1側方穴部側から前記貫通孔側への移動が規制される。
【0009】
好適には、前記第2筐体は、前記第1側方穴部及び前記第2側方穴部が形成される第1ケース部材と、前記第1ケース部材と固定される第2ケース部材と、を有し、前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材と固定されたときに、前記第2軸部品により移動が規制された状態の前記第1軸部品に当接して前記第1軸部品の前記貫通孔側から前記第1側方穴部側への移動を規制する第2係止部を有する。
【0010】
好適には、前記第2筐体は、前記第2側方穴部を中空領域とする筒状部を有し、前記第1係止部は、前記筒状部の前記貫通孔とは反対側の端面部であり、前記端面部には、前記第2軸部品よりも径が小さい小孔部が形成されている。
【0011】
好適には、前記第2筐体は、前記第1側方穴部及び前記第2側方穴部が形成される第1ケース部材と、前記第1ケース部材と固定される第2ケース部材と、を有し、前記第1ケース部材は、前記第2側方穴部の前記貫通孔とは反対側において、前記貫通方向に見て前記第2側方穴部の少なくとも一部に重なり、前記第2側方穴部との距離が前記第2軸部品の長さよりも短い壁部を有する。
【0012】
好適には、前記貫通方向において、前記第2軸部品の長さは、前記貫通孔の長さと同等である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連結部の組み立てを容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機を開状態で示す外観斜視図。
【図2】図1の携帯電話機を閉状態で示す外観斜視図。
【図3】図1の携帯電話機の一部を示す分解斜視図。
【図4】図1の携帯電話機の連結突部周辺における分解斜視図。
【図5】図4のV−V線における断面図。
【図6】図1の携帯電話機の連結部の組み立て方法を説明する斜視図。
【図7】図6の続きを示す斜視図。
【図8】図6の続きを示す断面図。
【図9】図7及び図8の続きを示す斜視図。
【図10】図7及び図8の続きを示す断面図。
【図11】図9及び図10の続きを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。また、図2は、携帯電話機1の外観を閉状態で示す斜視図である。
【0016】
携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されている。すなわち、携帯電話機1は、操作筐体3と、表示筐体5と、これら2つの筐体を回転軸RA回りに相対回転可能に連結する連結部6とを有している。
【0017】
操作筐体3及び表示筐体5は、概ね薄型直方体状に形成されており、閉状態では、対向面3a及び5aを互いに対向させて重ね合わされる。このとき、操作筐体3及び表示筐体5の輪郭は略一致する。また、開状態では、操作筐体3及び表示筐体5は、対向面3a及び5aを露出させるように回転軸RAを挟んで配列される。
【0018】
連結部6は、表示筐体5から突出する連結突部11が、操作筐体3に形成された凹部13に挿入されて構成されている。連結突部11は、表示筐体5の端部において、対向面5aの面する方向へ突出している。凹部13は、対向面3aの平面視における操作筐体3の縁部を切り欠いた形状に形成されている。なお、連結部6は、連結突部11に対して回転軸RA方向の両側に配置された第1側方部15及び第2側方部16を有していると捉えることもできる。
【0019】
操作筐体3には、特に図示しないが、例えば、通話用のマイクロフォン、通信のためのアンテナ、報知用のスピーカ、カメラ、ユーザの操作を受け付ける操作部7(図1)が設けられている。表示筐体5には、特に図示しないが、例えば、通話用のスピーカ、表示部9(図1)が設けられている。
【0020】
操作筐体3は、操作筐体3の対向面3a側を構成する操作フロントケース17と、操作筐体3の対向面3aとは反対側を構成する操作リアケース19とを有している。
【0021】
操作フロントケース17及び操作リアケース19は、例えば、樹脂により、又は、板金が埋設された樹脂により形成されている。操作フロントケース17及び操作リアケース19は、例えば、一方に挿通された不図示のネジが他方に螺合されることにより互いに固定されている。操作フロントケース17及び操作リアケース19は、互いに対向しており、その間には、不図示の回路基板などが挟持されて収容されている。
【0022】
表示筐体5は、表示筐体5の対向面5a側を構成する表示フロントケース21及びトリムプレート23(図1)と、表示筐体5の対向面5aとは反対側を構成する表示リアケース25(図2)とを有している。
【0023】
表示フロントケース21及び表示リアケース25は、例えば、樹脂により、又は、板金が埋設された樹脂により形成されている。表示フロントケース21及び表示リアケース25は、例えば、一方に挿通された不図示のネジが他方に螺合されることにより互いに固定されている。表示フロントケース21及び表示リアケース25は、互いに対向しており、その間には、不図示の回路基板などが挟持されて収容されている。トリムプレート23は、例えば、透光性の樹脂又はガラスにより形成されている。トリムプレート23は、例えば、不図示の両面テープにより表示フロントケース21に固定されている。トリムプレート23は、表示筐体5内に保持された表示装置の表示面を保護する。
【0024】
図3は、携帯電話機1の一部を示す分解斜視図である。具体的には、図3では、操作筐体3と表示筐体5とが互いに切り離された状態で示されているとともに、操作筐体3は、操作フロントケース17のみが示されている。
【0025】
操作筐体3と表示筐体5は、第1軸部品27が第1側方部15及び連結突部11に跨って挿通され、また、第2軸部品29が第2側方部16及び連結突部11に跨って挿通されることにより、回転軸RA回りに相対回転可能に連結される。
【0026】
第1軸部品27は、第1部分31と、第1部分31に対して相対回転可能に連結された第2部分33とを有している。第1部分31は、第1側方部15により回転不可能に保持され、第2部分33は、連結突部11に回転不可能に保持される。第1部分31と第2部分33とが相対回転であることにより、第1側方部15と連結突部11との回転軸RA回りの相対回転が許容される。第1軸部品27の内部には、開閉に伴ってクリック感を生じさせる機構などが設けられている。
【0027】
第2軸部品29は、断面が概ね円形の軸状の部材により構成されている。第2軸部品29は、金属などの比較的強度の高い材料により形成されている。第2軸部品29は、第2側方部16及び連結突部11の少なくとも一方に対して回転軸RA回りに回転可能である。これにより、第2側方部16と連結突部11との回転軸RA回りの相対回転が許容される。
【0028】
第1側方部15は、操作フロントケース17と、操作リアケース19とにより構成されており、内部に中空領域が形成された筒状となっている。また、第1側方部15は、第1軸部品27の第1部分31を保持する第1保持部35を有している。
【0029】
第1保持部35は、操作フロントケース17と一体的に形成されている。第1保持部35は、概ね、操作フロントケース17の内側面に立設された、比較的厚みのある壁状に形成されており、凹部13を構成する壁部の一部を担っている。第1保持部35には、第1部分31が挿通される第1側方穴部35hが形成されている。なお、第1保持部35は、壁状に形成されているが、第1側方穴部35hを中空領域とする筒状に形成されていると捉えられてもよい。
【0030】
第1側方穴部35hは、第1保持部35を貫通しており、また、開口方向に見て非円形(楕円又は多角形など)に形成されている。一方、第1側方穴部35hに挿入される、第1軸部品27の第1部分31は、回転軸RAに直交する断面形状が、第1側方穴部35hの開口方向に見た形状と概ね同一の形状となっている。第1部分31は、第1側方穴部35hに嵌合することにより、回転軸RA回りに回転不可能に第1保持部35に保持される。
【0031】
第2側方部16は、操作フロントケース17と、操作リアケース19とにより構成されており、内部に中空領域が形成された筒状となっている。また、第2側方部16は、第2軸部品29の一端側部分を保持する第2保持部37を有している。
【0032】
第2保持部37は、操作フロントケース17と一体的に形成されている。第2保持部37は、概ね、回転軸RAを軸とする筒状に形成されており、その内部は、第2軸部品29が挿通される第2側方穴部37h(図8参照)となっている。
【0033】
第2側方穴部37hは、連結突部11側に開口しており、また、開口方向に見て円形に形成されている。第2軸部品29は、第2側方穴部37hの内周面に対して摺動可能に第2側方穴部37hに挿通されることにより、回転軸RA回りに回転可能に第2保持部37に保持される。
【0034】
図4は、連結突部11周辺における分解斜視図である。
【0035】
連結突部11は、突部本体39と、突部本体39に取り付けられる板金部材41と、突部本体39及び板金部材41を覆うカバー43とを有している。
【0036】
突部本体39は、第1軸部品27及び第2軸部品29を保持する部分である。板金部材41は、操作筐体3と表示筐体5との電気的な導通、又は、突部本体39の補強などの目的で設けられるものである。カバー43は、デザイン性の向上などの目的で設けられるものである。板金部材41及びカバー43は、例えば、係合などにより突部本体39に固定されている。
【0037】
図5は、図4のV−V線における断面図である。
【0038】
図4及び図5に示すように、突部本体39は、表示フロントケース21と一体的に形成されている。突部本体39は、表示フロントケース21の外側面から突出する突状に形成されている。突部本体39は、突部本体39の大部分を構成する主部39aと、主部39aから第2側方部16側(図4及び図5の紙面右側)に突出する延在部39bとを有している。
【0039】
主部39aは、概ね、直方体形状の上に半円筒形状を設けた形状となっている。主部39aの内部には、中空部39c(図5)が形成されている。中空部39cは、表示フロントケース21の内側面に開口しており、表示筐体5の内部と連通している。中空部39cには、不図示のバイブレータなどの適宜な電子部品が配置される。
【0040】
また、主部39aには、第1軸部品27が挿通される第1中央穴部39d(図5)が形成されている。別の観点では、主部39aは、第1中央穴部39dを中空領域とする筒状の収容部39e(図5)を有している。第1中央穴部39dは、第1側方部15側(図4及び図5の紙面左側)に開口している。第1中央穴部39dの開口方向に見た形状は、少なくとも穴の奥側においては、非円形となっている。第1軸部品27の第2部分33の回転軸RAに直交する断面形状は、第1中央穴部39dの開口方向に見た形状と概ね同一の形状(非円形)となっている。第2部分33は、第1中央穴部39dに嵌合することにより、回転軸RA回りに回転不可能に収容部39eに保持される。
【0041】
延在部39bは、概ね筒状に形成されている。延在部39bの内部空間、及び、主部39aの延在部39b側の壁部に形成された孔部は、第2軸部品29が挿通される第2中央穴部39f(図5)を構成している。また、収容部39eと中空部39cとを仕切る仕切壁(収容部39eの端面部)39gにも、第2軸部品29が挿通される第3中央穴部39h(図5)が形成されている。第2中央穴部39f及び第3中央穴部39hの開口方向に見た形状は円形に形成されている。第2軸部品29は、第2中央穴部39f及び第3中央穴部39hの内周面に対して摺動可能にこれらの穴部に挿通されることにより、回転軸RA回りに回転可能に突部本体39に保持される。
【0042】
第1中央穴部39d、第3中央穴部39h、中空部39c、及び、第2中央穴部39fは、順に接続されている。従って、突部本体39には、これらの複数の穴部により形成され、突部本体39を回転軸RA方向に貫通する貫通孔が形成されていると捉えることができる。また、突部本体39は、その貫通孔を内部空間とする筒状に形成されていると捉えることができる。
【0043】
上記の貫通孔は、カバー43が突部本体39に取り付けられると、第1側方部15側において、カバー43の第1側方部15側の開口43h(図8参照)によってカバー43の厚み分により延長される。以下では、開口43h、第1中央穴部39d、第3中央穴部39h、中空部39c、及び、第2中央穴部39fにより構成される貫通孔を貫通孔11hということがある。また、連結突部11は、貫通孔11hを内部空間とする筒状に形成されていると捉えることができる。
【0044】
なお、連結部6は、操作筐体3の電子回路と、表示筐体5の電子回路とを電気的に接続するFPC45(図3)の配置にも利用される。FPC45は、延在部39bや第2保持部37に巻かれて連結部6に配置される。
【0045】
図6〜図11を参照して、連結部6の組み立て方法を説明する。組み立ては、図6から図11へ順次進む。ただし、図7と図8とは同時点における図であり、また、図9と図10とは同時点における図である。図6、図7及び図9は斜視図であり、図8、図10及び図11は、図5に対応する断面図である。
【0046】
まず、図6において矢印y1及びy2で示すように、第1軸部品27を第1側方穴部35hに挿通するとともに、第2軸部品29を連結突部11(貫通孔11h)に挿通する。
【0047】
なお、図6では、表示筐体5は、組み立てが完了している。すなわち、表示フロントケース21、トリムプレート23及び表示リアケース25は、内部に電子部品(FPC45の一端を含む)等を収容した状態で互いに固定されている。また、連結突部11においては、板金部材41やカバー43が突部本体39に取り付けられている。このように、本実施形態の連結部6の組み立て方法は、表示筐体5の組み立て完了後に行うことができることも有利な効果の一つである。ただし、連結部6の組み立ては、表示筐体5の組み立て完了前に行われてもよい。
【0048】
図6では、操作フロントケース17内に電子部品が配置されていない。ただし、連結部6の組み立ては、操作フロントケース17内に電子部品が配置された状態で行われてもよい。
【0049】
図6では、第1軸部品27は凹部13側から第1側方穴部35hに挿通されている。これは、操作フロントケース17の、対向面3aの外周を囲む外壁部17sのうち、第1側方部15側の部分を構成する第1壁構成部17bが第1側方穴部35hの凹部13とは反対側に位置し、第1軸部品27を凹部13とは反対側から第1側方穴部35hに挿通することを妨げていることからである。
【0050】
このような第1壁構成部17bは、第1側方穴部35hの開口方向に見て第1側方穴部35hの少なくとも一部と重なっている(図8参照)。また、第1壁構成部17bと第1側方穴部35hの凹部13とは反対側の開口面との距離は、第1軸部品27の軸方向の長さよりも短い。
【0051】
ただし、第1壁構成部17b等の操作フロントケース17の一部若しくは他の部材が第1側方穴部35hに対して凹部13とは反対側に隣接していない場合には、第1軸部品27は、凹部13とは反対側から第1側方穴部35hに挿通されてもよい。
【0052】
図6では、第2軸部品29は第1側方部15側から連結突部11に挿通されている。ただし、第2軸部品29は、その反対側から連結突部11に挿通されてもよい。
【0053】
図7及び図8は、第1軸部品27の第1側方穴部35hへの挿入、及び、第2軸部品29の連結突部11(貫通孔11h)への挿入が完了した状態を示している。
【0054】
第1軸部品27は、凹部13側へ食み出さない位置まで第1側方穴部35hに挿入される。換言すれば、第1軸部品27は、貫通孔11h側の端部が第1側方穴部35h内に収まるように第1側方穴部35hに挿入される。なお、このとき、第1壁構成部17bは、第1軸部品27に対して隣接している。第1壁構成部17bと第1軸部品27とは比較的狭い距離で離間していてもよいし、当接していてもよい。
【0055】
また、第2軸部品29は、その全体が貫通孔11hに収まるように貫通孔11hに挿入されている。より具体的には、第2軸部品29の軸方向の長さは、貫通孔11hの貫通方向の長さ(連結突部11の幅;図8のW)と同等であり、第2軸部品29の両端は、貫通孔11hの両端に位置している。
【0056】
なお、製造誤差などを考慮して、第2軸部品29を所定の余裕量で貫通孔11hの長さよりも短くした場合も、上記の同等の範囲に含まれるものとする。余裕量は、例えば、カバー43の厚み(開口43hの深さ)未満、又は、1.0mm(より好ましくは0.5mm)以下である。
【0057】
連結突部11の幅と凹部13の幅とは、図8において幅Wで示されるように同等である。また、上述のように、第1軸部品27は、凹部13側へ食み出しておらず、第2軸部品29は、その全体が連結突部11に収容されている。従って、図8において矢印y3及びその両側の点線で示されるように、連結突部11は凹部13に対して回転軸RAに直交する方向に挿入可能である。
【0058】
図9及び図10は、連結突部11の凹部13への嵌合が完了した状態を示している。
【0059】
図9に示されるように、操作フロントケース17と表示筐体5とは、連結突部11が凹部13に嵌合することにより、また、対向面3a及び5aが互いに当接することにより互いに位置決めされる。
【0060】
そして、図10に示されるように、第1側方穴部35h及び貫通孔11hの一方端は、回転軸RA方向において互いに対向し、第2側方穴部37h及び貫通孔11hの他方端は、回転軸RA方向において互いに対向する。換言すれば、第1側方穴部35h、貫通孔11h及び第2側方穴部37hは、順に同軸状に配列される。また、第1軸部品27及び第2軸部品29も同軸状に配列され、互いに隣接している。
【0061】
従って、図10において矢印y4で示す方向に第1軸部品27を押し込むと、第1軸部品27は、第1側方穴部35hから押し出されつつ、貫通孔11hに入る。また、貫通孔11hに入った第1軸部品27は、第2軸部品29に当接して第2軸部品29を押す。第2軸部品29は、貫通孔11hから押し出されつつ第2側方穴部37hに入る。
【0062】
図11は、第1軸部品27の押し込みが完了した状態を示している。
【0063】
第1軸部品27を押し込んでいくと、第1軸部品27に押されて第2側方穴部37hに挿通された第2軸部品29は、第2保持部37の筒形状の端面部37aに当接し、それ以上の貫通孔11h側から第2側方穴部37h側への移動が規制される。また、第1軸部品27は、端面部37aに係止された第2保持部37から反力を受け、それ以上の第1側方穴部35h側から貫通孔11h側への移動が規制される。なお、このとき、第1軸部品27は、仕切壁39gには当接していない。
【0064】
その後、操作フロントケース17と操作リアケース19との間に電子部品を配置しつつ、操作フロントケース17と操作リアケース19とを固定すると、操作リアケース19に設けられたリブ19dが第1軸部品27と第1壁構成部17bとの間に挿入される。リブ19dは、第1軸部品27に対して貫通孔11hとは反対側に隣接する。リブ19dは、第1軸部品27に対して当接してもよいし、比較的微小な距離で離間してもよい。
【0065】
リブ19dにより、第1軸部品27の貫通孔11h側から第1側方穴部35h側への移動が規制される。また、第2軸部品29は、リブ19dに係止された第1軸部品27により、第2側方穴部37h側から貫通孔11h側への移動が規制される。
【0066】
なお、第2保持部37の貫通孔11hとは反対側には、操作フロントケース17の外壁部17sの一部である第2壁構成部17cが設けられている。第2壁構成部17cは、第2側方穴部37hの開口方向に見て第2側方穴部37hの少なくとも一部に重なっている。第2側方穴部37hの凹部13とは反対側の端面と第2壁構成部17cとの距離は、第2軸部品29の長さよりも短い。
【0067】
次に、連結部6の分解方法について説明する。
【0068】
まず、操作フロントケース17から操作リアケース19を取り外す。これにより、リブ19dによる第1軸部品27及び第2軸部品29の第2側方部16側から第1側方部15側への移動(図11の紙面左側への移動)の規制が解除される。
【0069】
第2保持部37の端面部37aには、第2側方穴部37h(第2軸部品29)よりも直径が小さい小孔部37jが形成されている。そして、ピンなどを小孔部37jに挿通して第2軸部品29を押すことにより、第2軸部品29及び第1軸部品27を第2側方部16側から第1側方部15側へ移動させることができる。これにより、連結部6は、図9及び図10に示す状態に戻る。
【0070】
その後、連結突部11を凹部13から引き抜くことにより、連結部6は、図7及び図8に示す状態に戻る。そして、第1軸部品27は第1側方穴部35hから引き抜き可能、第2軸部品29は貫通孔11hから引き抜き可能となる。
【0071】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、貫通孔11hが形成された表示筐体5と、貫通孔11hの貫通方向の一方側において貫通孔11hに対向する第1側方穴部35h、及び、貫通孔11hの貫通方向の他方側において貫通孔11hに対向する第2側方穴部37hが形成された操作筐体3とを有する。また、携帯電話機1は、第1側方穴部35h及び貫通孔11hに跨って配置されており、その配置が第1側方穴部35hから出つつ貫通孔11hへ入る移動により可能である第1軸部品27と、貫通孔11h及び第2側方穴部37hに跨って配置されており、その配置が第1軸部品27により貫通孔11hから押し出されつつ第2側方穴部37hへ入る移動により可能である第2軸部品29とを有する。
【0072】
従って、第1軸部品27及び第2軸部品29を同時に各穴部に挿通することができる。その結果、連結部6の組み立てが容易化される。また、筐体の設計の自由度等が向上する。例えば、第1軸部品27に関しては、作業者は、第1壁構成部17bと第1保持部35との間の隙間に指又は工具を入れて、第1側方穴部35hに収容されている第1軸部品27を貫通孔11hへ押し込む。一方、第2軸部品29に関しては、第2軸部品29は、第1軸部品27により押し込まれるから、第2軸部品29を押し込むために指又は工具を入れる隙間は必要ない。従って、その隙間の不要性によって筐体の設計の自由度の向上や小型化が図られる。
【0073】
携帯電話機1は、第1側方穴部35h及び貫通孔11hに跨って配置された状態の第1軸部品27の第1側方穴部35h側から貫通孔11h側への移動、及び、貫通孔11h及び第2側方穴部37hに跨って配置された状態の第2軸部品の貫通孔11h側から第2側方穴部37h側への移動を規制する端面部37aを更に有する。
【0074】
従って、端面部37aに係止されるまで第1軸部品27を押し込めばよく、組み立てが容易である。
【0075】
端面部37aは、第2軸部品29に当接して第2軸部品29の貫通孔11h側から第2側方穴部37h側への移動を規制する。第1軸部品27は、端面部37aにより移動が規制された状態の第2軸部品29に当接することにより、第1側方穴部35h側から貫通孔11h側への移動が規制される。
【0076】
従って、第1軸部品27及び第2軸部品29のそれぞれに対応して係止部を設ける態様(この態様も本発明に含まれる)に比較して、構成が簡素である。また、2つの部品で、一の係止部の係止に係るガタ(余裕量又は精度誤差)を共有することになるから、ガタを縮小し、ひいては、連結部6を小型化できる。
【0077】
操作筐体3は、第1側方穴部35h及び第2側方穴部37hが形成される操作フロントケース17と、操作フロントケース17と固定される操作リアケース19と、を有する。操作リアケース19は、操作フロントケース17と固定されたときに、第2軸部品29により移動が規制された状態の第1軸部品27に当接して第1軸部品27の貫通孔11h側から第1側方穴部35h側への移動を規制するリブ19dを有する。
【0078】
従って、操作フロントケース17と操作リアケース19との固定により、第1軸部品27の移動の規制がなされることになり、構成が簡素である。さらに、一対の係止部(リブ19d及び端面部37a)により、2つの軸部品を両方向において位置決めするから、構成の簡素化及びガタの縮小が図られる。
【0079】
操作筐体3は、第2側方穴部37hを中空領域とする筒状の第2保持部37を有する。第2軸部品29の貫通孔11h側から第2側方穴部37h側への移動を規制する係止部は、第2保持部37の筒形状の、貫通孔11hとは反対側の端面部37aである。端面部37aには、第2軸部品29よりも径が小さい小孔部37jが形成されている。
【0080】
従って、第2軸部品29を筒状の第2保持部37により確実に保持しつつ、第2軸部品29の移動を規制する係止部を簡便に形成することができる。そして、小孔部37jにより、筒状の第2保持部37から第2軸部品29を押し出すことが容易化され、さらには、第1軸部品27を貫通孔11hから押し出すことも容易化される。
【0081】
操作筐体3は、第1側方穴部35h及び第2側方穴部37hが形成される操作フロントケース17と、操作フロントケース17と固定される操作リアケース19と、を有する。操作フロントケース17は、第2側方穴部37hの貫通孔11hとは反対側において、貫通孔11hの貫通方向に見て第2側方穴部37hの少なくとも一部に重なり、第2側方穴部37hとの距離が第2軸部品29の長さよりも短い第2壁構成部17cを有する。
【0082】
このような第2壁構成部17cは、第2軸部品29が、第1軸部品27により貫通孔11hから押し出されて第2側方穴部37hに挿入される構成により実現される。すなわち、第2軸部品29を第2側方穴部37hに貫通孔11hとは反対側から挿入する構成の場合には、第2壁構成部17cは第2軸部品29の挿入の妨げとなるから、第2壁構成部17cを設けることができない。本実施形態ではそのような不都合が生じず、第2壁構成部17cの配置が可能となる。そして、その結果、筐体の設計の自由度の向上又は小型化が可能となる。
【0083】
貫通孔11hの貫通方向において、第2軸部品29の長さは、貫通孔11hの長さと同等である。
【0084】
従って、第1軸部品27の貫通孔11hへの挿入量は、第2軸部品29の第2側方穴部37hへの挿入量と同等となる。従って、設計が容易化される。また、第2軸部品29の長さを貫通孔11hの長さと同等とすることは、第2軸部品29の長さをできるだけ長くすることを意味する。一方、第2軸部品29は、一般に、金属により形成されるなど、強度が高い材料により形成される。従って、連結部6の強度向上が図られることになる。当該強度向上の効果は、貫通孔11h及び第2側方穴部37hを構成する部分(突部本体39及び第2保持部37)が、第2軸部品29を構成する材料(金属)よりも強度の低い材料(樹脂)により形成されているときに顕著である。
【0085】
なお、以上の実施形態において、携帯電話機1は本発明の携帯電子機器の一例であり、表示筐体5は本発明の第1筐体の一例であり、操作筐体3は本発明の第2筐体の一例であり、端面部37aは本発明の第1係止部の一例であり、操作フロントケース17は本発明の第1ケース部材の一例であり、操作リアケース19は本発明の第2ケース部材の一例であり、リブ17dは本発明の第2係止部の一例であり、第2壁構成部17cは本発明の壁部の一例である。
【0086】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0087】
例えば、小孔部37jの代わりに、第2軸部品29の第2側方穴部37h側端面の一部分が露出し、残りの部分が端面部37aに閉塞されるように端面部37aに開口部が形成されてもよい。この場合、当該開口部の径は第2軸部品29よりも径が大きくてもよい。
【0088】
携帯電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、携帯電子機器は、PDA、デジタルカメラ、ゲーム機であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…携帯電話機(携帯電子機器)、3…操作筐体(第2筐体)、5…表示筺体(第1筐体)、11h…貫通孔、27…第1軸部品、29…第2軸部品、35h…第1側方穴部、37h…第2側方穴部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された第1筐体と、
前記貫通孔の貫通方向の一方側において前記貫通孔に対向する第1側方穴部、及び、前記貫通孔の貫通方向の他方側において前記貫通孔に対向する第2側方穴部が形成された第2筐体と、
前記第1側方穴部及び前記貫通孔に跨って配置されており、その配置が前記第1側方穴部から出つつ前記貫通孔へ入る移動により可能である第1軸部品と、
前記貫通孔及び前記第2側方穴部に跨って配置されており、その配置が前記第1軸部品により前記貫通孔から押し出されつつ前記第2側方穴部へ入る移動により可能である第2軸部品と、
を有する携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1側方穴部及び前記貫通孔に跨って配置された状態の前記第1軸部品の前記第1側方穴部側から前記貫通孔側への移動、及び、前記貫通孔及び前記第2側方穴部に跨って配置された状態の前記第2軸部品の前記貫通孔側から前記第2側方穴部側への移動を規制する第1係止部を更に有する
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1係止部は、前記第2軸部品に当接して前記第2軸部品の前記貫通孔側から前記第2側方穴部側への移動を規制し、
前記第1軸部品は、前記第1係止部により移動が規制された状態の前記第2軸部品に当接することにより、前記第1側方穴部側から前記貫通孔側への移動が規制される
請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第2筐体は、
前記第1側方穴部及び前記第2側方穴部が形成される第1ケース部材と、
前記第1ケース部材と固定される第2ケース部材と、
を有し、
前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材と固定されたときに、前記第2軸部品により移動が規制された状態の前記第1軸部品に当接して前記第1軸部品の前記貫通孔側から前記第1側方穴部側への移動を規制する第2係止部を有する
請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第2筐体は、前記第2側方穴部を中空領域とする筒状部を有し、
前記第1係止部は、前記筒状部の前記貫通孔とは反対側の端面部であり、
前記端面部には、前記第2軸部品よりも径が小さい小孔部が形成されている
請求項2〜4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第2筐体は、
前記第1側方穴部及び前記第2側方穴部が形成される第1ケース部材と、
前記第1ケース部材と固定される第2ケース部材と、
を有し、
前記第1ケース部材は、前記第2側方穴部の前記貫通孔とは反対側において、前記貫通方向に見て前記第2側方穴部の少なくとも一部に重なり、前記第2側方穴部との距離が前記第2軸部品の長さよりも短い壁部を有する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記貫通方向において、前記第2軸部品の長さは、前記貫通孔の長さと同等である
請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−172023(P2011−172023A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34085(P2010−34085)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】