説明

携帯電子機器

【課題】投影されている画像に関連する情報を利用者が利用しやすくする。
【解決手段】携帯電子機器1は、画像を投影するプロジェクタ34と、画像を表示する表示部32と、自身の姿勢の変化を検出する加速度センサ38と、処理部22とを備える。処理部22は、プロジェクタ34に第1の画像を投影させるとともに、表示部32に第1の画像と関連を有する第2の画像を表示させる。そして、処理部22は、加速度センサ38によって前記姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じてプロジェクタ34から投影される第1の画像を変化させるとともに、変化後の第1の画像に応じて表示部32に表示される前記第2の画像を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンや壁面に画像を投影する画像投影部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面やスクリーンに画像を投影する装置としては、いわゆるプロジェクタがある。このプロジェクタは、商用電源から電力が供給され、所定位置に固定した状態で使用される、いわゆる据え置き型の装置が主流である。この据え置き型のプロジェクタは、固定した状態で、一定箇所の壁面やスクリーンに画像を投影させる。
【0003】
これに対して、近年、プロジェクタとして、小型で持ち運びが容易な携帯型のプロジェクタが提案されている。例えば、特許文献1には、上キャビネットと、下キャビネットと、上キャビネット及び下キャビネットを互いに回動可能に接続するヒンジ部とを備え、レンズと光源とを有するプロジェクタが搭載されたプロジェクタ機能付携帯端末が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−96542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯型のプロジェクタによって投影される画像は、比較的解像度が低い。このため、携帯型のプロジェクタで画像を投影する場合、画像中の文字等の細かい情報を利用者が識別することができず、利用者が必要とする情報を得ることができないことがあった。
【0006】
本発明は、投影される画像に関連する情報を利用者が利用しやすくする携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、画像を投影する投影部と、画像を表示する表示部と、自身の姿勢の変化を検出する検出部と、前記投影部に第1の画像を投影させるとともに、前記表示部に前記第1の画像と関連を有する第2の画像を表示させ、前記検出部によって前記姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像を変化させるとともに、変化後の前記第1の画像に応じて前記表示部に表示される前記第2の画像を変化させる処理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記処理部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1の画像が投影対象の一定の範囲に一定の大きさで投影されるように前記投影部を制御することが好ましい。
【0009】
また、前記投影部は、当該携帯電子機器の姿勢の変化があっても前記第1の画像を前記一定の範囲に一定の大きさで投影することが可能な投影可能範囲を有し、前記処理部は、前記検出部によって検出された姿勢の変化の量の前記投影可能範囲に対する比率を、前記第1の画像を変化させる量に換算することが好ましい。
【0010】
また、前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像をスクロールさせることが好ましい。
【0011】
また、前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像に含まれる対象物を回転させることが好ましい。
【0012】
また、前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像の視点を変更させることが好ましい。
【0013】
また、前記処理部は、前記第1の画像を形成するための第1の画像データのうち、その一部を用いて前記第1の画像を投影することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、投影される画像に関連する情報を利用者が利用しやすくするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図3】図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図1に示す携帯電子機器のプロジェクタが画像を投影している状態を示す説明図である。
【図5】図5は、姿勢の変化に応じて投影される画像の内容を変更する例を示す図である。
【図6】図6は、携帯電子機器の投影可能範囲の一例を示す図である。
【図7】図7は、投影対象のスクロール範囲の一例を示す図である。
【図8】図8は、携帯電子機器の投影動作の一例を示すフロー図である。
【図9】図9は、携帯電子機器の画像出力動作の一例を示すフロー図である。
【図10】図10は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図11】図11は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図12】図12は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例として携帯電話機を取り上げるが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0017】
図1は、実施形態に係る携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。図1、図2に示す携帯電子機器1は、無線通信機能と、出力手段と、音声取得手段と、撮像手段とを有する携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体1Cが複数の筐体で構成される。具体的には、筐体1Cは、第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成される。すなわち、携帯電子機器1は、折り畳み式の筐体を有する。なお、携帯電子機器1の筐体は、このような構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体と他方の筐体とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【0018】
第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、連結部であるヒンジ機構8で連結されている。ヒンジ機構8で第1筐体1CAと第2筐体1CBとを連結することにより、第1筐体1CA及び第2筐体1CBは、ヒンジ機構8を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向(図2の矢印Rで示す方向)に回動できるように構成される。第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると携帯電子機器1が開き、第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに接近する方向に回動すると携帯電子機器1が閉じて、折り畳まれた状態となる(図2の点線で示す状態)。
【0019】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すディスプレイ2が設けられる。ディスプレイ2は、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、第1筐体1CAには、携帯電子機器1の通話時に音声を出力する出力手段であるレシーバ16が設けられる。
【0020】
第1筐体1CAのディスプレイ2と反対側には、画像投影部であるプロジェクタ34、プロジェクタ34の光出射部(対物レンズ)から画像投影対象までの距離を測定する距離測定手段である距離センサ36、及び、画像が投影される面の画像を撮影(取得)するカメラ40が設けられる。このような構成により、プロジェクタ34によって画像を投影対象物に投影したり、プロジェクタ34の出射面と投影対象物との距離を距離センサ36で測定して、プロジェクタ34が投影する画像の焦点を自動的に合わせたりすることができる。なお、プロジェクタ34の光出射部、カメラ40の撮影窓は、第1筐体1CAの外部に露出している。
【0021】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー13Aが複数設けられ、また、ディスプレイ2に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー13Bが設けられる。操作キー13A及び方向及び決定キー13Bは、携帯電子機器1の操作部13を構成する。また、第2筐体1CBには、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取る音声取得手段であるマイク15が設けられる。操作部13は、図2に示す、第2筐体1CBの操作面1PCに設けられる。操作面1PCとは反対側の面が、携帯電子機器1の背面1PBである。
【0022】
図3は、図1、図2に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯電子機器1は、処理部22と、記憶部24と、送受信部26と、操作部13と、音声処理部30と、表示部32と、プロジェクタ34と、距離センサ36と、動き検出手段である加速度センサ38と、カメラ40と、を有する。処理部22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する機能を有する。すなわち、処理部22は、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部13の操作や携帯電子機器1の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、送受信部26や、音声処理部30や、表示部32等の動作を制御する。
【0023】
携帯電子機器1の各種の処理としては、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧等がある。また、送受信部26、音声処理部30、表示部32等の動作としては、例えば、送受信部26による信号の送受信、音声処理部30による音声の入出力、表示部32による画像の表示等がある。
【0024】
処理部22は、記憶部24に記憶されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。処理部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、処理部22は、記憶部24に記憶されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0025】
処理部22は、複数のアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。処理部22が実行するアプリケーションプログラムとしては、例えば、プロジェクタ34や距離センサ36の駆動を制御するアプリケーションプログラムや、各種の画像ファイル(画像情報)を記憶部24から読み出してデコードするアプリケーションプログラム、及びデコードして得られる画像を表示部32に表示させたりプロジェクタ34に投影させたりするアプリケーションプログラム等の複数のアプリケーションプログラムがある。
【0026】
本実施形態において、処理部22は、プロジェクタ制御部22a、画像処理部22b、条件判定部22c、姿勢・位置演算部22d、投影補正部22e、連係出力制御部22f、方向換算部22gを有する。
【0027】
プロジェクタ制御部22aは、プロジェクタ34を制御して画像を画像投影対象に投影させる。画像処理部22bは、記憶部24に記憶されているデータや送受信部26によって受信されたデータをデコードして、プロジェクタ34によって投影される画像や表示部32に表示される画像を生成する。また、画像処理部22bは、利用者に情報を提供したり、利用者から情報の入力を受け付けたりするための各種画面として表示又は投影される画像を生成する。画像処理部22bは、画像に対して拡大、縮小、変形等の加工を施す処理も実行する。
【0028】
条件判定部22cは、プロジェクタ制御部22aによる画像の投影に影響する条件が変化したか否かを判定する。ここで、プロジェクタ制御部22aによる画像の投影に影響する条件とは、例えば、携帯電子機器1の姿勢(向き)の変化や画像投影対象との距離の変化である。姿勢・位置演算部22dは、距離センサ36や加速度センサ38の検出結果等に基づいて、携帯電子機器1の姿勢及び位置を算出する。
【0029】
投影補正部22eは、画像投影対象の一定の位置に一定の大きさで画像が投影されるように補正処理を行う。具体的には、投影補正部22eは、姿勢・位置演算部22dによって算出される携帯電子機器1の姿勢及び位置の変化に応じて、プロジェクタ制御部22aによるプロジェクタ34の制御内容や、画像処理部22bによる画像処理の内容を変化させることにより、投影画像の位置と大きさとを一定に保たせる。
【0030】
連係出力制御部22fは、第1の画像をプロジェクタ34から投影させるとともに、第1の画像と関連を有する第2の画像を表示部32に表示させる。そして、連係出力制御部22fは、姿勢・位置演算部22dによって算出される携帯電子機器1の姿勢及び位置の変化に応じて、第1の画像として投影される対象物の範囲や角度を変化させるとともに、第1の画像の変化に応じて、第2の画像の内容を変化させる。
【0031】
方向換算部22gは、携帯電子機器1の姿勢の変化量を、第1の画像として投影される対象物の範囲や角度の変化量に換算する。例えば、方向換算部22gは、携帯電子機器1の−10度〜+10の姿勢の変化を、第1の画像として投影される対象物の−180度〜+180の角度の変化に換算する。このような換算をすることにより、携帯電子機器1の姿勢を±10度変化させるだけで、第1の画像として投影される対象物の角度を360度変化させることができる。
【0032】
プロジェクタ制御部22a、画像処理部22b、条件判定部22c、姿勢・位置演算部22d、投影補正部22e、連係出力制御部22f、方向換算部22gがそれぞれ有する機能は、処理部22及び記憶部24で構成されるハードウェア資源が、処理部22の制御部が割り当てるタスクを実行することにより実現される。ここで、タスクとは、アプリケーションソフトウェアが行っている処理全体、又は同じアプリケーションソフトウェアが行っている処理のうち、同時に実行できない処理単位である。
【0033】
記憶部24には、処理部22での処理に利用されるソフトウェアやデータが記憶されており、上述した、プロジェクタ34や距離センサ36の駆動を制御するアプリケーションプログラムを作動させるタスクや、画像処理用プログラムを作動させるタスクが記憶されている。また、記憶部24には、これらのタスク以外にも、例えば、通信、ダウンロードされた音声データ、あるいは記憶部24に対する制御に処理部22が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等が記述されて管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が記憶されている。
【0034】
なお、ソフトウェアの処理過程で用いられるコンピュータプログラムや一時的なデータは、処理部22によって記憶部24に割り当てられた作業領域へ一時的に記憶される。記憶部24は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0035】
送受信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。操作部13は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー等、各種の機能が割り当てられた操作キー13Aと、方向及び決定キー13Bとで構成される。そして、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。発生した信号は、ユーザの指示として処理部22へ入力される。
【0036】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16やスピーカ17から出力される音声信号の処理を実行する。すなわち、音声処理部30は、マイク15から入力される音声を増幅し、AD変換(Analog Digital変換)を実行した後、さらに符号化等の信号処理を施して、ディジタルの音声データに変換して処理部22へ出力する。また、処理部22から送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、レシーバ16やスピーカ17へ出力する。ここで、スピーカ17は、携帯電子機器1の筐体1C内に配置されており、着信音やメールの送信音等を出力する。
【0037】
加速度センサ38は、携帯電子機器1に印加される加速度の方向及び大きさを検出する。加速度センサ38の検出結果は、携帯電子機器1の姿勢変化や移動の有無を判定したり、姿勢の変化量や移動距離を算出したりするために用いられる。なお、携帯電子機器1の姿勢変化の有無を判定したり、姿勢の変化量を算出したりするために、携帯電子機器1に方位センサを設けることとしてもよい。
【0038】
表示部32は、上述したディスプレイ2を有しており、処理部22から供給される映像データに応じた映像や画像データに応じた画像を表示パネルに表示させる。ディスプレイ2は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルで構成される。なお、表示部32は、ディスプレイ2に加え、サブディスプレイを有していてもよい。
【0039】
プロジェクタ34は、光源と、画像データに基づいて前記光源から射出された光を投影するか否かを切り換える光学系とで構成されている。本実施形態において、プロジェクタ34は、光源である可視光照射装置(可視光照射手段)31と、光学系である描画装置35と、焦点調整装置39とを含んで構成される。可視光照射装置31は、可視光のレーザー光を照射する。可視光領域の光は、短波長側が360nmから400nm以上、長波長側が760nmから830nm以下の光であり、本実施形態において、可視光照射装置31は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3色の光を照射する。
【0040】
描画装置35は、可視光照射装置31から照射される3色の光を合成するとともに、画像投影対象に照射する。描画装置35は、光源から射出された光を透過させるか否かを切り換える切り換え素子、及び当該切り換え素子を通過した光をラスター走査させるミラーを含んで構成される。そして、描画装置35は、ミラーによって可視光照射装置31から射出されたレーザー光の角度を変えて、画像投影対象にレーザー光を走査させることで、画像投影対象に画像を投影させる。
【0041】
前記ミラーとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーが用いられる。MEMSミラーは、圧電素子を利用してミラーを駆動して、可視光照射装置31から照射される可視光を走査し、可視画像や不可視画像を生成する。この場合は、ミラーによって光源から照射された光の角度を変えて、画像投影対象の全面に光源から照射された光を走査させることで、画像投影対象に可視画像や不可視画像を投影させることができる。このように、プロジェクタ34は、スキャン方式のプロジェクタである。なお、プロジェクタ34の構成は、上述したレーザーを光源とするものに限定されるものではない。例えば、プロジェクタ34は、ハロゲンライトや、LED光源、LD光源を光源とし、LCDや、DMD(Digital Micro-mirror Device)を光学系に備える構成のプロジェクタを用いてもよい。
【0042】
焦点調整装置39は、プロジェクタ制御部22aからの指令により、描画装置35から投影される可視画像が画像投影対象上で結像させる機能(焦点調整機能)を有する。焦点調整装置39は、例えば、可動するレンズ等で構成される焦点調整機構を備えており、レンズを動かすことで前記焦点調整機能を実現する。また、焦点調整装置39は、プロジェクタ34が投影する画像のデータに対して画像処理部22bによって所定の画像処理を施すことにより、前記焦点調整機能を実現するものであってもよい。さらに、焦点調整装置39は、焦点調整機能及び画像処理によって前記焦点調整機能を実現するものであってもよい。距離センサ36は、プロジェクタ34の光出射部と画像投影対象との距離を計測する。なお、距離センサ36の代わりに、焦点調整装置39の、プロジェクタ34から投影された画像の焦点を調整する機能を利用して、プロジェクタ34の光出射部と画像投影対象との距離を計測してもよい。
【0043】
図4は、図1に示す携帯電子機器のプロジェクタが画像を投影している状態を示す説明図である。上述したように、プロジェクタ34は、画像を投影する画像投影部であり、画像投影面が携帯電子機器1の筐体1Cの外部に露出している。携帯電子機器1は、プロジェクタ34から画像を投影することで、図4に示すように、プロジェクタ34の画像投影面と対向する位置の画像投影対象(例えば、壁面やスクリーン等)のうち、所定の領域(投影領域)PAに画像Pを投影させることができる。なお、プロジェクタ34は、処理部22により動作が制御され、処理部22から送られる種々の映像、例えば動画やプレゼンテーション資料等を投影し、投影領域PAに表示させる。
【0044】
カメラ40は、上述したようにプロジェクタ34の光射出部の近くに設けられ、投影領域を含む領域の画像を取得する撮像機構である。つまり、カメラ40は、プロジェクタ34が光を射出する方向の画像を取得する。なお、カメラ40は、プロジェクタ34により投射される画像の投射画角よりも広い画角で画像を撮影する撮影機構であり、プロジェクタ34により画像が投影される投影領域よりも広い領域の画像を撮影することができる。
【0045】
処理部22は、こうしてカメラ40によって撮影される画像等に基づいて、携帯電子機器1の姿勢や位置が所定の許容範囲内で変化しても、画像Pが投影領域PAに一定の大きさで投影されるようにプロジェクタ34等を制御する。例えば、携帯電子機器1が角度R1だけ回転した場合でも、処理部22は、プロジェクタ34の投影方向を変更させる等して、画像Pを投影領域PAに投影させる。
【0046】
また、携帯電子機器1は、携帯電子機器1の姿勢の変化に応じて、投影領域PAに投影される画像の内容を変更することができる。図5は、携帯電子機器1の姿勢の変化に応じて投影される画像の内容を変更する例を示す図である。図5に示す図においては、当初、世界地図Mのうち日本付近の地図が投影領域PAに投影されている。
【0047】
このとき、利用者が携帯電子機器1を角度R1だけ反時計回りに回転させると、携帯電子機器1は、姿勢の変化方向及び変化量に応じて、世界地図のうち投影領域PAに投影される部分を右方向にスクロールさせる。その結果、投影領域PAには、例えば、世界地図Mのうち米国付近の地図が投影されるようになる。
【0048】
また、携帯電子機器1は、プロジェクタ34によって投影される内容が変化すると、表示部32に表示される内容を連動して変化させることができる。例えば、プロジェクタ34によって日本付近の地図が投影されている場合、携帯電子機器1は、表示部32に日本に関する情報を表示する。そして、プロジェクタ34によって米国付近の地図が投影されるようになると、携帯電子機器1は、表示部32に米国に関する情報を表示させる。
【0049】
このように、携帯電子機器1は、自装置の姿勢の変化方向及び変化量に応じて、投影すべき画像のうち、プロジェクタ34によって投影される範囲を変化させる。また、携帯電子機器1は、プロジェクタ34によって投影される内容の変化に応じて、表示部32に表示される内容を変化させる。このような制御を行うことにより、利用者が、携帯電子機器1の投影内容及び表示内容を、携帯電子機器1の姿勢を変化させるという直感的な操作によって変化させることが可能になり、利用者の利便性が向上する。
【0050】
ここで、図6及び図7を参照しながら、携帯電子機器1の姿勢の変化量と、プロジェクタ34によって投影される内容の変化量との対応付けについてさらに詳しく説明する。図6は、携帯電子機器1の投影可能範囲の一例を示す図である。図7は、投影対象のスクロール範囲の一例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、携帯電子機器1が画像を投影することができる最大投影範囲の横方向の角度を示す角度RYは、実際に画像が投影される投影範囲PAの投影角度を示す角度RXよりも広い。このため、携帯電子機器1の姿勢を横方向に角度RYと角度RXの差の範囲内で変化させても、携帯電子機器1は、投影範囲PA全体に画像を投影することができる。この角度RYと角度RXの差、すなわち、携帯電子機器1の姿勢変化があっても画像を投影範囲PAに同じ大きさで投影することが可能な範囲を投影可能範囲と呼ぶこととする。
【0052】
そこで、図7に示すように、世界地図M1の投影範囲を部分地図MLから部分地図MRまで距離Dの範囲で横方向にスクロールできるようにするには、投影可能範囲とスクロール範囲とを対応づければよい。例えば、世界地図M1のうち投影範囲PAに投影される投影範囲を以下の式を用いて決定することにより、投影可能範囲とスクロール範囲とを対応づけることができる。
【0053】
d = D × r / (RY − RX)
【0054】
ここで、dは、投影範囲PAに投影する部分をスクロールさせる量である。rは、携帯電子機器1の姿勢の変化量を示す角度である。また、RY − RXは、投影可能範囲、すなわち、携帯電子機器1が投影画像を投影範囲PAに一定の大きさで投影することができる姿勢変化の範囲を示す。
【0055】
なお、携帯電子機器1の姿勢が変化する方向と、世界地図M1のうち投影範囲PAに投影される部分をスクロールさせる方向との対応は任意でよい。例えば、携帯電子機器1が時計回りに回転した場合に右方向へスクロールさせ、逆時計回りに回転した場合に左方向へスクロールさせることとしてもよいし、時計回りに回転した場合に左方向へスクロールさせ、逆時計回りに回転した場合に右方向へスクロールさせることとしてもよい。
【0056】
また、ここでは携帯電子機器1の横方向での姿勢の変化を投影範囲の横方向のスクロールと対応づける例について説明したが、同様にして、携帯電子機器1の縦方向での姿勢の変化を投影範囲の縦方向のスクロールと対応づけることができる。また、横方向と縦方向の両方で対応づけを行うことにより、投影範囲を斜めにスクロールさせることができるようにしてもよい。
【0057】
また、ここでは携帯電子機器1の姿勢の変化を投影範囲のスクロールと対応づける例を示したが、携帯電子機器1の姿勢の変化を回転と対応づけてもよい。姿勢の変化を回転と対応づける方式としては、姿勢の変化に応じて投影画像に含まれる対象物を回転させる方式と、姿勢の変化に応じて投影画像の視点を回転させる方式が考えられる。携帯電子機器1の姿勢の変化を回転と対応づける方式では、投影可能範囲内で携帯電子機器1の姿勢を変化させることにより、投影画像に含まれる対象物や投影画像の視点を360度変化させることもできる。
【0058】
姿勢の変化に応じて投影画像に含まれる対象物を回転させる方式では、例えば、投影画像に含まれる地球を、携帯電子機器1の姿勢の変化に応じて回転させ、地球を所望の向きで投影させることができる。また、姿勢の変化に応じて投影画像の視点を回転させる方式では、例えば、星座が出ている夜空の画像の視点の向きを携帯電子機器1の姿勢の変化に応じて変化させ、所望の星座を投影させることができる。
【0059】
次に、図8を用いて携帯電子機器のプロジェクタの画像投影動作を説明する。ここで、図8は、携帯電子機器の投影動作の一例を示すフロー図である。まず、携帯電子機器1の処理部22は、ステップS101として、条件判定部22cにより、携帯電子機器1が搭載するプロジェクタ34が使用中であるか否かを判定する。処理部22は、ステップS101でプロジェクタ動作中ではない(No)、すなわち、条件判定部22cでプロジェクタ34は使用中でないと判定したら、本制御を終了する。
【0060】
また、処理部22は、ステップS101でプロジェクタが動作中である(Yes)、すなわち、条件判定部22cがプロジェクタ34は使用中であると判定したら、ステップS102として姿勢変化又は移動があったかを判定する。つまり、処理部22は、ステップS102として、条件判定部22cにより、携帯電子機器1が搭載するプロジェクタ34に動きがあったか、すなわち、プロジェクタ34(携帯電子機器1)の姿勢変化又は移動があったか否かを判定する。ここで、条件判定部22cは、カメラ40で撮影した画像、及び、オートフォーカス機能で算出した焦点距離に基づいて、プロジェクタ34の姿勢変化又は移動があったかを判定することができる。また、条件判定部22cは、距離センサ36や加速度センサ38の検出結果を用いることでも、プロジェクタ34の姿勢変化又は移動があったかを判定することができる。なお、本実施形態では、投影面とプロジェクタ34との相対的な移動も、プロジェクタ34の移動と判定する。つまり、条件判定部22cは、投影面とプロジェクタ34との間の距離が変化したら、移動したと判定する。あるいは、投影方向(つまり、投影方向に沿って投影面)に向かって進む動きや、退く動きを検出したら、移動したと判定してもよい。処理部22は、ステップS102で変化及び移動なし(No)、すなわち、条件判定部22cでプロジェクタ34に動きはなかったと判定したら、本制御は終了する。
【0061】
また、処理部22は、ステップS102で、プロジェクタ34の姿勢変化又は移動があった(Yes)、つまり、条件判定部22cがプロジェクタ34に動きがあったと判定したら、ステップS103として、姿勢・位置演算部22dにより、プロジェクタ34(携帯電子機器1)の動きに基づいて、姿勢の変化量及び移動距離を算出する。つまり、プロジェクタ34と画像が投影される投影面との角度及び距離の変化を算出する。具体的には、処理部22は、カメラ40または加速度センサ38の検出結果に基づいて、プロジェクタ34の姿勢を検出し、基準姿勢または前回の姿勢と比較することで、姿勢の変化量を算出する。また、処理部22は、カメラ40または距離センサ36及び加速度センサ38の検出結果に基づいて、投影面とプロジェクタ34との間の距離を検出し、基準距離または前回の距離と比較することで、移動距離、移動方向を算出する。
【0062】
処理部22は、ステップS103で姿勢の変化量及び移動距離を算出したら、ステップS104として、投影補正部22eにより、ステップS103で求められた姿勢の変化量及び移動距離に応じてプロジェクタ34の投影方向及び投影角度を変更させて、姿勢変化または移動の前と同じ位置に同じ大きさで画像を投影させる。処理部22は、ステップS104の処理を終了したら、本制御を終了する。処理部22は、プロジェクタ34による画像の投影中は、上記処理を繰り返す。
【0063】
なお、プロジェクタ34の投影方向の変更(投影画像の位置の調整)は、例えば、プロジェクタ34を可動式にしてプロジェクタ34自体の方向を変更することで実現してもよいし、描画装置35を構成するミラーの走査範囲(回動する範囲)を変更することで実現してもよい。また、プロジェクタ34の光射出部に可動式のレンズを配置し、そのレンズの方向を変化させることによって実現してもよい。また、画像処理部22bが透明なレイヤの上に投影対象の画像を合成した画像を生成することとし、透明なレイヤ上での投影対象の画像の位置を変更することによって実現してもよい。また、これらの方式を組み合わせてもよい。
【0064】
また、プロジェクタ34の投影角度の変更(投影画像の大きさの調整)は、例えば、描画装置35を構成するミラーの振り角(回動する角度)の大きさを変更することで実現してもよい。また、プロジェクタ34の光射出部に可動式のレンズを配置し、そのレンズと光源との距離を変化させることによって実現してもよい。また、画像処理部22bが透明なレイヤの上に投影対象の画像を合成した画像を生成することとし、透明なレイヤ上での投影対象の画像の大きさを変更することによって実現してもよい。また、これらの方式を組み合わせてもよい。
【0065】
次に、図9を用いて携帯電子機器が画像を連係させて出力する動作について説明する。ここで、図9は、携帯電子機器の画像出力動作の一例を示すフロー図である。なお、図9に示す投影動作は、図8に示した画像出力動作と並行して繰り返し実行される。まず、処理部22の連係出力制御部22fは、ステップS201として、第1の画像をプロジェクタ34から投影させる。また、連係出力制御部22fは、ステップS202として、第1の画像と関連を有する第2の画像を表示部32に表示させる。
【0066】
そして、連係出力制御部22fは、ステップS203として、携帯電子機器1の姿勢の変化が検出されたかを判定する。連係出力制御部22fは、ステップS203で携帯電子機器1の姿勢の変化が検出された(Yes)と判定したら、ステップS204として、姿勢の変化方向と変化量とに応じて第1の画像の表示範囲、第1の画像が含む対象物の向き、または、第1の画像の視点を変更する。
【0067】
なお、表示範囲等の変化方向および変化量は、方向換算部22gによって算出される。また、変化後の第1の画像として投影されるデータは、携帯電子機器1が予め記憶しているものであってもよいし、携帯電子機器1が演算を行って動的に生成したものであってもよいし、携帯電子機器1が通信によって他の装置から取得したものであってもよい。
【0068】
続いて、連係出力制御部22fは、ステップS205として、変化後の第1の画像の表示内容に応じて、第1の画像と第2の画像が関連を有するように、第2の画像の表示内容を更新する。その後、連係出力制御部22fは、ステップS203の判定を再実行する。
【0069】
連係出力制御部22fは、ステップS203で携帯電子機器1の姿勢の変化が検出されない(No)と判定したら、ステップS206として、終了指示が操作部13等で受け付けられたかを判定する。そして、連係出力制御部22fは、ステップS206で終了指示が受け付けられた(Yes)と判定したら、本制御を終了する。一方、連係出力制御部22fは、ステップS206で終了指示が受け付けられていない(No)と判定したら、ステップS203の判定を再実行する。
【0070】
次に、具体例を用いて、携帯電子機器1についてより詳細に説明する。ここで、図10から図12は、それぞれ、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。なお、図10から図12は、携帯電子機器1の形状を模式的に図示している。
【0071】
図10に示すステップS11では、携帯電子機器1は、第1の画像P1として、日本の関東地方の天気図をプロジェクタ34から投影させている。第1の画像P1には、カーソルCが重畳されている。また、携帯電子機器1は、第1の画像P1と関連する第2の画像P2として、第1の画像P1においてカーソルCが指し示している東京の天気予報の詳細画面を表示部32に表示している。
【0072】
ここで、利用者が携帯電子機器1を時計回りに角度R2だけ回転させたものとする。携帯電子機器1は、自装置の姿勢の変化を検出すると、ステップS12のように、検出された姿勢の変化の方向及び変化量に応じて、第1の画像P1として投影される範囲をスクロールさせる。その結果、ステップS12では、関西地方の天気図が第1の画像P1として投影され、カーソルCは、大阪を指し示すようになっている。そして、携帯電子機器1は、第2の画像P2として、カーソルCが指し示している大阪の天気予報の詳細画面を表示部32に表示している。
【0073】
このように、広い範囲の天気図を投影しつつ、その中の特定の地域の天気予報の詳細画面を表示部32に表示することにより、天気図を大きく拡大して閲覧しつつ、特定の地域に関する詳細な情報を高解像度のディスプレイ2上で確認することができる。また、携帯電子機器1の姿勢の変化方向及び変化量に応じて天気図をスクロールさせ、天気予報の詳細画面の内容を変更することにより、携帯電子機器1の姿勢を変化させるという直感的な操作によって天気図及び詳細画面を所望の地域のものに変更させることができる。
【0074】
なお、利用者が携帯電子機器1の位置を変化させた場合に、携帯電子機器1が位置の変化を検出し、位置の変化に応じてカーソルCの位置を移動させることとしてもよい。この場合、例えば、利用者が携帯電子機器1の位置を右に移動させることにより、カーソルCの位置が右に移動する。
【0075】
続いて、図11について説明する。図10では、携帯電子機器1の姿勢の変化を投影部分のスクロールと対応づける例を示したが、図11では、携帯電子機器1の姿勢の変化を回転と対応づける例を示す。
【0076】
図11に示すステップS21では、携帯電子機器1は、第1の画像P1として、ある視点から見たある街の画像をプロジェクタ34から投影させている。具体的には、ステップS21では、商業ビルの画像がプロジェクタ34から投影されている。そして、第1の画像P1には、カーソルCが重畳されている。また、携帯電子機器1は、第1の画像P1と関連する第2の画像P2として、第1の画像P1においてカーソルCが指し示している商業ビルに予め関連づけられている情報を表示部32に表示している。具体的には、携帯電子機器1は、カーソルCが指し示している商業ビルに入居しているテナントの一覧を表示部32に表示している。
【0077】
ここで、利用者が携帯電子機器1を反時計回りに角度R3だけ回転させたものとする。携帯電子機器1は、自装置の姿勢の変化を検出すると、ステップS22のように、第1の画像P1として表示する画像を、検出された姿勢の変化の方向及び変化量とに応じて視点の向きを変更した画像に変更する。このときの画像の変化は、人が立ち止まった状態で視線の向きを変更した場合の風景の変化と同様の変化である。
【0078】
視点の向きが変化した結果、ステップS22では、地下鉄の駅の入口の画像が第1の画像P1として表示され、カーソルCは、地下鉄の駅の入口を指し示すようになっている。そして、携帯電子機器1は、第2の画像P2として、カーソルCが指し示している地下鉄の駅に予め関連づけられている情報を表示部32に表示している。具体的には、携帯電子機器1は、カーソルCが指し示している地下鉄の駅の時刻表を表示部32に表示している。
【0079】
このように、街の景色を投影しつつ、その中の特定の建物や施設に関する情報を表示部32に表示することにより、実際の街の景色を大きく拡大して閲覧しつつ、特定の建物や施設に関する情報を高解像度のディスプレイ2上で確認することができる。また、携帯電子機器1の姿勢の変化方向及び変化量に応じて視点の方向を変化させ、視点の方向の変化に応じて建物等に関する情報の表示内容を変更することにより、携帯電子機器1の姿勢を変化させるという直感的な操作によって、あたかもその場にいるような感覚で街の情報を取得することができる。
【0080】
なお、利用者が携帯電子機器1の位置を変化させた場合に、携帯電子機器1が位置の変化を検出し、位置の変化に応じてカーソルCの位置を移動させることとしてもよい。この場合、例えば、利用者が携帯電子機器1の位置を右に移動させることにより、カーソルCの位置が右に移動する。
【0081】
また、携帯電子機器1の位置の変化に応じて視点の位置を変更することとしてもよい。例えば、携帯電子機器1が画像投影対象により近い位置へ移動した場合に、視点を前方へ進ませ、携帯電子機器1が画像投影対象から遠ざかった場合に、視点を後方へ下がらせてもよい。このように携帯電子機器1の位置の変化に視点を移動させることにより、直感的な操作によって、あたかも実際に街を歩いているような感覚で街の情報を取得することができる。
【0082】
続いて、図12について説明する。図10では、携帯電子機器1の姿勢の変化と対応づけて投影範囲を横方向にスクロールする例を示したが、図12では、携帯電子機器1の姿勢の変化と対応づけて投影範囲を縦方向にスクロールする例を示す。
【0083】
図12に示すステップS31では、携帯電子機器1は、第1の画像P1として、WEBページの先頭部分をプロジェクタ34から投影させている。また、携帯電子機器1は、第1の画像P1と関連する第2の画像P2として、WEBページの全体を表示部32に表示している。
【0084】
ここで、利用者が携帯電子機器1を下向きに角度R4だけ回転させたものとする。携帯電子機器1は、自装置の姿勢の変化を検出すると、ステップS32のように、検出された姿勢の変化の方向及び変化量とに応じて、第1の画像P1として表示するWEBページを下方向にスクロールさせる。その結果、ステップS32では、WEBページのより下の部分が投影されるようになっている。
【0085】
このように、携帯電子機器1の姿勢の変化と対応づけて投影部分を縦方向にスクロールすることもできる。なお、図12に示した例では、表示部32に表示される内容がステップS31とステップS32とで変化していないが、それぞれのステップにおいて、投影されているのがどの部分であるかを、その部分を枠で示す等して、表示部32上に表示することとしてもよい。
【0086】
なお、上記の実施形態で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、プロジェクタ34が、ディスプレイ2の反対側以外の面から画像を投影することとしてもよい。また、上記の実施形態では、静止画をプロジェクタ34から投影し、静止画をディスプレイ2に表示させることとしたが、いずれか又は両方の静止画を動画としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 携帯電子機器
1C 筐体
2 ディスプレイ
13 操作部
13A 操作キー
13B 方向及び決定キー
22 処理部
22a プロジェクタ制御部
22b 画像処理部
22c 条件判定部
22d 姿勢・位置演算部
22e 投影補正部
22f 連係出力制御部
22g 方向換算部
24 記憶部
30 音声処理部
31 可視光照射装置
32 表示部
34 プロジェクタ
35 描画装置
36 距離センサ
38 加速度センサ
39 焦点調整装置
40 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影する投影部と、
画像を表示する表示部と、
自身の姿勢の変化を検出する検出部と、
前記投影部に第1の画像を投影させるとともに、前記表示部に前記第1の画像と関連を有する第2の画像を表示させ、前記検出部によって前記姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像を変化させるとともに、変化後の前記第1の画像に応じて前記表示部に表示される前記第2の画像を変化させる処理部と
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記処理部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1の画像が投影対象の一定の範囲に一定の大きさで投影されるように前記投影部を制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記投影部は、当該携帯電子機器の姿勢の変化があっても前記第1の画像を前記一定の範囲に一定の大きさで投影することが可能な投影可能範囲を有し、
前記処理部は、前記検出部によって検出された姿勢の変化の量の前記投影可能範囲に対する比率を、前記第1の画像を変化させる量に換算することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像をスクロールさせることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像に含まれる対象物を回転させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記処理部は、前記検出部によって姿勢の変化が検出された場合に、検出された姿勢の変化に応じて前記投影部から投影される前記第1の画像の視点を変更させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1の画像を形成するための第1の画像データのうち、その一部を用いて前記第1の画像を投影することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−138686(P2012−138686A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288619(P2010−288619)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】