説明

携帯電子機器

【課題】簡易な構成によって携帯しながら操作する場合の保持性を向上させること。
【解決手段】本発明に係る携帯電子機器は、表示部が配された第1面を有する一方の筐体と、第1面の背面を覆う第1カバーとを備える。そして、一方の筐体は、背面において他の部分より厚く形成された凸部を有し、カバーは、凸部を含む領域において切り欠きを有する。なお、切り欠きは、矩形であることが好ましい。また、一方の筐体は、凸部に電池の収納部が設けられていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器には、単に持ち運びが可能であるだけでなく、携帯しながら操作が可能なものがある。特許文献1では、携帯しながら操作する場合の保持性を向上させるために、背面部にベルト部とフック部とを設けた情報処理装置(携帯電子機器)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されている従来の携帯電子機器は、携帯しながら操作する場合の保持性を向上させるためにベルト部とフック部という新たな部材を付加するものであり、携帯電子機器の構成を複雑化するとともに、美観を損ねている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成によって携帯しながら操作する場合の保持性を向上させる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、表示部が配された第1面を有する一方の筐体と、前記第1面の背面を覆う第1カバーとを備え、前記一方の筐体は、前記背面において他の部分より厚く形成された凸部を有し、前記カバーは、前記凸部を含む領域において切り欠きを有する。
【0007】
ここで、前記切り欠きは、前記一方の筐体の各側面と平行な線分により構成されていることが好ましい。
【0008】
また、前記切り欠きは、矩形であることが好ましい。
【0009】
また、前記一方の筐体は、前記凸部に電池の収納部が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記一方の筐体は、前記第1面において、前記凸部に重畳する位置に操作部がさらに配されることが好ましい。
【0011】
また、前記携帯電子機器は、他の表示部が配された第2面を有する他方の筐体と、前記他方の筐体と前記一方の筐体とを相対的に回動可能に連結する連結部とをさらに備え、前記他方の筐体は、前記第2面の背面と前記第1面とが対向する閉状態において、前記第2面が外部に露出し、前記切り欠きは、前記連結部近傍に設けられることが好ましい。
【0012】
また、前記携帯電子機器は、前記第2面を覆う第2カバーをさらに備え、前記第2カバーは、透明又は半透明な素材からなることが好ましい。
【0013】
また、前記他の表示部は、発光源を有しないディスプレイであることが好ましい。
【0014】
また、前記第2カバーは、端面が他の面に対して垂直な平面であることが好ましい。
【0015】
また、前記第1カバー及び前記第2カバーは、前記第1面と前記第2面とが対向する閉状態において互いの端部において接触するよう前記一方の筐体及び前記他方の筐体に覆われ、当該接触する端部の一部分に切り欠きを有することが好ましい。
【0016】
また、前記他方の筐体は、前記第2面において前記凸部に重畳する位置に操作部がさらに配されることが好ましい。
【0017】
また、前記第2カバーは、前記第1面と前記第2面とが露出する開状態となった場合に前記一方の筐体の端部と係合し、前記一方の筐体および前記他方の筐体のさらなる回動を規制することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る携帯電子機器は、簡易な構成によって携帯しながら操作する場合の保持性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、閉状態にある携帯電子機器を示す斜視図である。
【図2】図2は、開状態にある携帯電子機器を示す斜視図である。
【図3】図3は、携帯電子機器の分解斜視図である。
【図4】図4は、閉状態にある携帯電子機器の正面図である。
【図5】図5は、閉状態にある携帯電子機器の平面図である。
【図6】図6は、閉状態にある携帯電子機器の底面図である。
【図7】図7は、閉状態にある携帯電子機器の側面図である。
【図8】図8は、開状態にある携帯電子機器の平面図である。
【図9】図9は、開状態にある携帯電子機器の側面図である。
【図10】図10は、閉状態にある携帯電子機器のA−A’断面の概要を示す図である。
【図11】図11は、開状態にある携帯電子機器のB−B’断面の概要を示す図である。
【図12】図12は、開状態にある携帯電子機器の利用の仕方の一例を示す図である。
【図13−1】図13−1は、閉状態にある携帯電子機器の利用の仕方の一例を示す図である。
【図13−2】図13−2は、閉状態にある携帯電子機器の持ち運び方の一例を示す図である。
【図14】図14は、携帯電子機器の機能的な構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、携帯電子機器の形態の変化と連動して表示部の表示内容を変化させる制御の処理手順を示すフロー図である。
【図16】図16は、閉状態にある他の携帯電子機器を示す斜視図である。
【図17】図17は、開状態にある他の携帯電子機器を示す斜視図である。
【図18】図18は、1つの筐体からなる携帯電子機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、本発明に係る携帯電子機器は、電子書籍表示装置、携帯電話端末、PHS(Personal Handy-phone System)、パソコン、携帯情報端末、ゲーム機等の各種装置を含む。
【0021】
(実施形態)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電子機器1の外観について説明する。図1は、閉状態にある携帯電子機器1を示す斜視図である。図2は、開状態にある携帯電子機器1を示す斜視図である。
【0022】
図1および図2に示すように、携帯電子機器1は、第1筐体1Aと、第2筐体1Bと、ヒンジ機構8とを有する。ヒンジ機構8は、第1筐体1Aと第2筐体1Bとを、相対的に回動可能に連結する。すなわち、携帯電子機器1は、折り畳み式の筐体を有する。
【0023】
第1筐体1A(他方の筐体)は、最も表面積が広い面の1つに第1表示部32と、ボタン13aおよび13bと、カバー14とを有する。第1表示部32は、電子ペーパ等の、発光源を有さず、メモリ性のある表示パネルを備える。ここで、メモリ性があるということは、電源の供給が切れても表示内容を保持可能であることを意味する。ボタン13aおよび13bは、第1表示部32に表示される情報のページ切り替え等の操作のために用いられる。カバー14は、樹脂等からなる透明または半透明の部材である。
【0024】
また、第1筐体1Aは、第1表示部32を有する面と反対側の面に第2表示部34を有する。第2表示部34は、第1表示部32が備える表示パネルと異なる方式で情報を表示する表示パネル(例えば、液晶ディスプレイや有機ELパネル)を備える。第2表示部34が備える表示パネルは、少なくとも応答速度、発色数、色の鮮明度のいずれか1つにおいて、第1表示部32が備える表示パネルよりも優れる。
【0025】
第2筐体1B(一方の筐体)は、最も表面積が広い面の1つに第3表示部36と、ボタン13c〜13iと、カバー16と、を有する。第3表示部36は、第2表示部34と同じ種類の表示パネルを備える。ボタン13c〜13fは、第2表示部34および第3表示部36に表示される情報のページ切り替え等の操作のために用いられる。ボタン13g〜13iは、携帯電子機器1に搭載されたオペレーティングシステムが提供する各種機能を呼び出すために用いられる。カバー16は、カバー14と同一の素材からなる透明な部材である。
【0026】
図1に示す閉状態において、携帯電子機器1は、折り畳まれて、第1筐体1Aの第2表示部34を有する面と、第2筐体1Bの第3表示部36を有する面とが対向する形状となる。この形状は、携帯電子機器1の露出部分の表面積が最小となる形状であり、携帯電子機器1を持ち運ぶのに適している。閉状態においては、第1表示部32と、ボタン13aおよび13bとが外部に露出している。このため、利用者は、閉状態のままで、第1表示部32に表示されている情報を閲覧したり、ボタン13aまたは13bを操作して第1表示部32に表示されている情報を切り替えたりすることができる。
【0027】
図2に示す開状態において、携帯電子機器1は、第1筐体1Aの第2表示部34を有する面と、第2筐体1Bの第3表示部36を有する面とが外部に露出し、同一平面上に並んだ形状となる。第2表示部34および第3表示部36は、開状態における第1筐体1Aと第2筐体1Bとの境界と平行方向に略同一の幅を有し、また、端部の1つが境界に近接するように配置されている。開状態において、携帯電子機器1は、第2表示部34および第3表示部36を連結した1つの表示部として制御し、第2表示部34および第3表示部36にまたがって情報を表示させる。
【0028】
上述したように、携帯電子機器1は、閉状態と開状態の両方の状態においても利用可能に構成されている。閉状態において、利用者は、第1表示部32に表示される情報を閲覧することができる。第1表示部32が備える表示パネルはメモリ性を有するため、閉状態において携帯電子機器1を利用しても消費電力は少なくて済む。
【0029】
また、開状態において、第2表示部34および第3表示部36は、同一平面上にほとんど間隔を空けずに配置されるので、携帯電子機器1は、第2表示部34および第3表示部36にまたがる広い表示領域に情報を閲覧することができる。さらに、第2表示部34および第3表示部36が備える表示パネルは、消費電力以外の点において第1表示部32が備える表示パネルよりも優れているため、開状態における携帯電子機器1は、閉状態における携帯電子機器1よりも多様な用途に用いることができる。
【0030】
このように、携帯電子機器1は、省電力化と用途の多様化とを実現することができる。
【0031】
次に、図3から図11を参照しながら、携帯電子機器1の構成についてさらに詳しく説明する。図3は、携帯電子機器1の分解斜視図である。図4から図7は、それぞれ、閉状態にある携帯電子機器1の正面図、平面図、底面図、側面図である。図8および図9は、それぞれ、開状態にある携帯電子機器1の平面図および側面図である。図10は、閉状態にある携帯電子機器1のA−A’断面の概要を示す図である。図11は、開状態にある携帯電子機器1のB−B’断面の概要を示す図である。なお、図10および図11では、装置内部の構成を簡略化して図示している。
【0032】
図3および図8等に示すように、ヒンジ機構8は、第1筐体1Aに設けられた凸構造8aおよび8bと、第2筐体1Bに設けられた凸構造8cおよび8dとを有する。凸構造8aおよび凸構造8cは、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の一方の端部付近で組み合わされ、凸構造8bおよび凸構造8dは、境界のもう一方の端部付近で組み合わされる。
【0033】
このように、ヒンジ機構8は、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の両端付近において第1筐体1Aおよび第2筐体1Bを連結するように構成されている。このため、第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の中央部には第1筐体1Aおよび第2筐体1Bを連結するための構造がなく、第2表示部34と第3表示部36とを境界付近で近接させて配置することが可能になっている。
【0034】
また、携帯電子機器1は、図11に示すように、開状態において、第1筐体1Aの第2表示部34を有する面SAと、第2筐体1Bの第3表示部36を有する面SBとが同一平面上に並ぶように構成されている。このため、開状態において、第2表示部34と第3表示部36とを段差なく配置することが可能になっている。
【0035】
このような構成を実現するため、ヒンジ機構8は、回動途中における面SAを拡張した面と面SBを拡張した面との交線上に回転軸Pが位置するように配置される。回転軸Pは、第1筐体1Aと第2筐体1Bとが相対的に回動する際の回転軸である。この結果、図9に示すように、開状態において、面SAおよび面SBは、回転軸Pを通過する同一平面上に位置することとなる。
【0036】
また、携帯電子機器1は、開状態において、面SAと面SBとが同一平面上に位置する状態を維持することができるように以下の構成を有する。1つには、携帯電子機器1は、図11に示すように、開状態において第1筐体1Aの面およびカバー14と、第2筐体1Bの面とが係合するため、面SAと面SBとが相対的に180度以上回動しないように規制される。また、もう1つには、携帯電子機器1は、図9に示すように、開状態においてカバー14とカバー16とが係合して、所定以上の力が印加されない限り形状が閉状態へ遷移しないように規制される。
【0037】
また、第1筐体1Aは、図8および図11に示すように、開状態において、面SAが回転軸Pよりも第2筐体1B側へ入り込む形状となっている。このため、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界に近接するように配置されている第2表示部34は、図6に示すように、閉状態において一部が外部に露出する。携帯電子機器1は、この第2表示部34の露出部分に文字やシンボルを表示することにより、利用者に対して、着信したメールや登録されたスケジュール等についての通知や、各種の情報提供を行うことができる。
【0038】
また、図3等に示すように、第1筐体1Aは、面SAと反対側の面がカバー14によって覆われ、第2筐体1Bは、面SBと反対側の面がカバー16によって覆われる。カバー14は、透明または半透明の素材からなり、第1表示部32に表示されている内容を透過させつつ、面SAと反対側の面および第1表示部32を保護する。カバー16は、カバー14と同一の素材からなり、面SBと反対側の面を保護する。なお、カバー14およびカバー16は、任意の色に着色されていてもよい。
【0039】
また、カバー14およびカバー16は、第1筐体1Aまたは第2筐体1Bと接する面と反対側の面には滑り止めのための微細な凹凸が設けられ、少なくとも側面側の端面(第1筐体1Aまたは第2筐体1Bと接する面に対して略垂直な面)は平滑な平面となっている。このため、カバー14およびカバー16は、入射した光を端面から漏れ出でさせ、携帯電子機器1に特徴的な美観をもたらす。
【0040】
カバー14およびカバー16は、さらに別の機能的な効果をもたらす。図4等に示すように、カバー14には、閉状態においてヒンジ機構8と反対側でカバー16と当接する部分に切り欠き14aが設けられている。また、カバー16には、閉状態においてヒンジ機構8と反対側でカバー14と当接する部分に切り欠き16aが設けられている。また、携帯電子機器1は、閉状態において、ヒンジ機構8と反対側にカバー14およびカバー16の厚みの分だけの段差を有する。この段差は、利用者が携帯電子機器1の形状を閉状態から開状態へ遷移させる際に指先をかける場所として機能する。なお、切り欠き14aおよび切り欠き16aは、いずれか一方のみが設けられている場合でも、指先をかける場所として機能しうる。
【0041】
さらに、カバー16は、図3および図6等に示すように、切り欠き16aの反対側、すなわち、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の近傍(回転軸Pの近傍)に端部を丸めた矩形状の切り欠き16bが設けられている。このため、カバー16は、切り欠き16bの両端で、カバー16の厚み分だけの段差(凸部)を境界と垂直な方向に生じさせる。これらの段差は、閉状態と開状態のいずれにおいても、利用者が携帯電子機器1を安定的に保持するために役立つ。
【0042】
具体的に説明すると、閉状態においては、図13−1に示すように、利用者が、第1筐体1Aの側面の一方を上にして、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の中央付近を片手で握って、携帯電子機器1を利用することが想定されている。この場合、携帯電子機器1を握る手の指が境界と垂直な方向の段差にかかって、手の位置が縦方向にずれることを抑止する。なお、ボタン13aおよび13bは、閉状態において携帯電子機器1を握る手の指で操作しやすいように、境界の近傍に配置されている。
【0043】
開状態においては、利用者が、図12に示すように、第1筐体1Aの側を上にして、第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の端部の下側(第2筐体1B側)付近を片手または両手で握って、携帯電子機器1を利用することが想定されている。この場合、携帯電子機器1を握る手の指が境界と垂直な方向の段差にかかって、手の位置が横方向にずれることを抑止する。なお、ボタン13cおよび13dは、開状態において携帯電子機器1を握る左手の指で操作しやすいように、第2筐体1Bの左側面の近傍に配置されている。ボタン13eおよび13fは、開状態において携帯電子機器1を握る右手の指で操作しやすいように、第2筐体1Bの右側面の近傍に配置されている。
【0044】
携帯電子機器1を安定的に保持させる効果は、カバー16だけでなく、第2筐体1Bの構造からも生じる。図10および図11に示すように、第2筐体1Bは、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の近傍(回転軸Pの近傍)に、携帯電子機器1が備える部品の中で最も重い部品の1つである充電池11を収容する。そして、既に説明したように、携帯電子機器1は、閉状態と開状態のいずれにおいても、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界付近を手で握って利用することが想定されている。このため、携帯電子機器1は、利用時には、閉状態と開状態のいずれにおいても、重心付近を握って安定的に保持されることとなる。
【0045】
さらに、図10および図11に示すように、第2筐体1Bは、電源容量を確保するために比較的大型になっている充電池11を収容するために、開状態における第1筐体1Aおよび第2筐体1Bの境界の近傍(回転軸Pの近傍)が他の部分よりも厚くなっている。この厚みは、グリップとして機能し、携帯電子機器1を握りやすくする。また、携帯電子機器1を閉状態で持ち運ぶ場合、図13−2に示すように、利用者は、充電池11を収容する凸部の下の部分に指をかけることができ、携帯電子機器1を落下させ難い。また、この厚みは、第2筐体1Bの面SBと反対側に立体的な形状をもたせ、第2筐体1Bの機械的な強度を増大させる。
【0046】
このように、携帯電子機器1は、カバー14およびカバー16や充電池11のように一般的な携帯電子機器に使われる部材の形状や配置を工夫することによって、携帯しながら操作する場合の保持性の向上が図られている。
【0047】
次に、図14を参照しながら、携帯電子機器1の機能的な構成について説明する。図14は、携帯電子機器1の機能的な構成を示すブロック図である。図14に示すように、携帯電子機器1は、制御部22と、記憶部24と、通信部26と、開閉検出部28と、操作部13と、第1表示部32と、第2表示部34と、第3表示部36とを有する。
【0048】
記憶部24は、各種情報を記憶する記憶装置である。記憶部24は、携帯電子機器1内に固定的に設けられたフラッシュメモリ等の記憶媒体に情報を記憶させるものであってもよいし、メモリカード等の取り出し可能な記憶媒体と、記憶媒体の読み書き装置との組み合わせとして構成されていてもよい。
【0049】
記憶部24には、制御部22での処理に利用されるデータやプログラムが記憶される。記憶部24に記憶されるプログラムには、例えば、電子書籍の閲覧機能を提供するプログラム、WEBページの閲覧機能を提供するプログラム、携帯電子機器1の形態の変化と連動して第1表示部32等の表示内容を変化させる機能を提供するプログラムが含まれる。また、記憶部24に記憶されるデータには、例えば、第1表示部32等に表示される書籍データ、種々の情報が格納されたデータベースが含まれる。
【0050】
通信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信および情報通信を行う。操作部13は、ボタン13a〜13iを含み、これらのボタンが利用者によって操作されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、利用者の指示として制御部22へ入力される。
【0051】
開閉検出部28は、携帯電子機器1の形態の変化、すなわち、携帯電子機器1が閉状態から開状態となったこと、または、開状態から閉状態となったことを検出し、検出結果を示す信号を制御部22へ入力する。
【0052】
第1表示部32は、既に説明したように、電源の供給が切れても表示内容を保持する表示パネルを備え、閉状態と開状態のいずれにおいても外部に露出する。第2表示部34および第3表示部36は、既に説明したように、開状態において連結した表示部として情報を表示することができるように構成され、閉状態においては、第2表示部34の一部を除いて外部から視認されない。
【0053】
なお、第1表示部32、第2表示部34および第3表示部36は、表示面に対する指等の接触を検出する機能を備えたタッチパネルであってもよい。この場合、表示面に対する指等の接触を検出する方式は、感圧式、静電容量式等の任意の方式でよい。第1表示部32等をタッチパネルとすることにより、利用者は、直感的な操作によってページの切り替えや文字列の選択等を行うことが可能になり、利便性が向上する。また、第2表示部34および第3表示部36は、開状態において同一平面上に位置するため、第2表示部34および第3表示部36をまたがってドラッグやスイープ等の操作を行うことが容易である。
【0054】
制御部22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、制御部22は、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部13や開閉検出部28から入力される信号等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部26、第1表示部32、第2表示部34、第3表示部36等の動作を制御する。
【0055】
制御部22は、記憶部24に記憶されているコンピュータプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。制御部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、コンピュータプログラムに定義された手順にしたがって携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、制御部22は、記憶部24に記憶されるコンピュータプログラムから命令列を順次読み込んで処理を実行する。
【0056】
制御部22は、携帯電子機器1の制御の一部として、携帯電子機器1の形態の変化と連動して第1表示部32等の表示内容を変化させる。この制御は、制御部22が、記憶部24に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより実現される。
【0057】
次に、図15を参照しながら、携帯電子機器1の形態の変化と連動して第1表示部32等の表示内容を変化させる制御の処理手順について説明する。図15は、携帯電子機器1の形態の変化と連動して第1表示部32等の表示内容を変化させる制御の処理手順を示すフロー図である。
【0058】
図15に示すように、ステップS11として、開閉検出部28が携帯電子機器1の形態の変化を検出すると、制御部22は、ステップS12として、その変化が閉状態から開状態への変化であるかを判定する。検出された変化が閉状態から開状態への変化である場合(ステップS12,Yes)、制御部22は、ステップS13として、第1表示部32で選択されている文字列があるかを判定する。
【0059】
既に説明した通り、第1表示部32は、閉状態においても外部から視認可能である。このため、利用者は、閉状態においても、第1表示部32に表示されている情報を閲覧することができる。そして、利用者は、第1表示部32に表示されている情報の一部である文字列を、例えば、ボタン13aまたはボタン13bを操作することによって選択することができる。第1表示部32がタッチパネルとして構成されている場合には、利用者は、第1表示部32の表面を指でなぞることで所望の文字列を選択することができる。制御部22は、第1表示部32に表示させたテキストの一部が選択された場合、他の部分と識別できるように、反転表示させる等して選択された部分の表示態様を変化させる。
【0060】
第1表示部32で選択されている文字列がある場合(ステップS13,Yes)、制御部22は、ステップS14として、選択されている文字列を検索キーとして検索を実行する。ここでいう検索とは、記憶部24に予め記憶されている辞書データやデータベース等から検索キーに対応する情報を抽出する処理であってもよいし、検索サービスを提供するネットワーク上のサーバへ検索キーを送信して検索を依頼し、検索結果を受信する処理であってもよい。
【0061】
そして、制御部22は、ステップS15として、検索結果を第2表示部34および第3表示部36にまたがって表示させる。なお、検索結果を表示させる場所は、第2表示部34または第3表示部36のいずれか一方であってもよい。
【0062】
第1表示部32が備える電子ペーパ等は、利用者が長時間見ても目への負担が少なく、また、消費電力が少ないという特徴がある。したがって、閉状態における携帯電子機器1は、例えば、電子書籍の閲覧装置として有用である。そして、上記のように、携帯電子機器1は、第1表示部32に表示されている文字列が選択されている状態で形状が閉状態から開状態へ遷移した場合に、選択されている文字列を検索キーとして検索した結果が第2表示部34等に表示されるように構成されている。
【0063】
このため、利用者が、閉状態にある携帯電子機器1を電子書籍の表示装置として利用して読書を行っている最中に不明な単語をみつけた場合、その単語を選択して携帯電子機器1を開状態にすることにより、その単語について検索した結果を第2表示部34等に表示させることができる。
【0064】
ここで、検索結果を第2表示部34および第3表示部36にまたがって表示させることにより、情報を表示する領域を広く確保することができ、情報の一覧性が向上する。また、検索結果は短時間表示すればよいので、第2表示部34および第3表示部36が備える表示パネルとして、消費電力が比較的高いが高速表示やカラー表示に適した液晶ディスプレイや有機ELパネル等を利用でき、検索結果の視認性が向上する。また、携帯電子機器1を変形させて第2表示部34および第3表示部36を露出させる操作と連動して検索の実行と検索結果の表示が行われるため、利用者は、検索の実行と検索結果の表示のためにボタンの押下等の操作をする必要がない。
【0065】
ステップS13において、第1表示部32で選択されている文字列がなかった場合(ステップS13,No)、制御部22は、ステップS16として、第1表示部32に表示されている内容と関連する情報を第2表示部34および第3表示部36にまたがって表示させる。なお、関連する情報を表示させる場所は、第2表示部34または第3表示部36のいずれか一方であってもよい。
【0066】
ここで、第1表示部32に表示されている内容と関連する情報とは、例えば、第1表示部32に電子書籍が表示されている場合、その電子書籍の作者のプロフィールや、その電子書籍に含まれる人物の相関を示す図や、第1表示部32に表示されている場面の挿絵や写真である。第1表示部32に表示されている内容と関連する情報は、第1表示部32に表示されている電子書籍等に予め含まれていてもよいし、無線通信によって逐次取得してもよい。
【0067】
また、ステップS12において、検出された変化が開状態から閉状態への変化であった場合(ステップS12,No)、制御部22は、ステップS17として、第2表示部34または第3表示部36で選択されている文字列があるかを判定する。
【0068】
利用者は、第2表示部34または第3表示部36に表示されている情報の一部である文字列を、例えば、ボタン13c〜13iのいずれかを操作することによって選択することができる。第2表示部34および第3表示部36がタッチパネルとして構成されている場合には、利用者は、第2表示部34または第3表示部36の表面を指でなぞることで所望の文字列を選択することができる。制御部22は、第2表示部34または第3表示部36に表示させたテキストの一部が選択された場合、他の部分と識別できるように、反転表示させる等して選択された部分の表示態様を変化させる。
【0069】
第2表示部34または第3表示部36で選択されている文字列がある場合(ステップS17,Yes)、制御部22は、ステップS18として、選択されている文字列を第1表示部32に表示させる。第2表示部34または第3表示部36で選択されている文字列がない場合(ステップS17,No)、制御部22は、形態の変化にともなう表示内容の更新処理を特に実行しない。
【0070】
なお、第2表示部34または第3表示部36で画像等が選択されている場合に、選択されている画像等を第1表示部32に表示させることとしてもよい。また、第2表示部34または第3表示部36で何も選択されていない場合、第2表示部34または第3表示部36に表示されている情報、あるいは、第2表示部34および第3表示部36にまたがって表示されている情報の全てを第1表示部32に表示させることとしてもよい。
【0071】
既に説明した通り、開状態においては、第2表示部34および第3表示部36を連結された表示部として扱って広い表示領域を確保することができ、また、第2表示部34および第3表示部36は、高速表示やカラー表示等に適している。したがって、開状態における携帯電子機器1は、例えば、動画やWEBページの閲覧や、各種データの編集を行うための装置として有用である。
【0072】
しかしながら、第2表示部34や第3表示部36に情報を表示させていると、消費電力が多くなってしまう。そこで、利用者は、携帯電子機器1を開状態にして利用中に、時間をかけて読みたい情報や後で確認したい情報を見つけた場合に、その情報を選択して携帯電子機器1の形態を閉状態に遷移させることにより、選択した情報を第1表示部32に表示させる。こうすることにより、消費電力を抑制しつつ、情報が第1表示部32に表示された状態を維持することができる。また、利用者は、情報を第1表示部32へ転記するためにボタンの押下等の操作をする必要がない。
【0073】
なお、上述した携帯電子機器1の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、ボタン13a等のボタンの数や配置や役割は、上記の実施形態に限定されない。
【0074】
また、上記の実施形態では、第1表示部32がメモリ性のある表示パネルを備え、第2表示部34および第3表示部36がメモリ性のない表示パネルを備えることとしたが、各表示部が備える表示パネルは、この通りでなくてもよい。例えば、第1表示部32がメモリ性のない表示パネルを備え、ボタンの押下等に応じて情報の表示と非表示とを切り替えることとしてよい。また、第2表示部34および第3表示部36がメモリ性のある表示パネルを備えてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、折り畳み式の筐体を有する携帯電子機器1について説明したが、本発明は、各種の形態の携帯電子機器に適用することができる。例えば、本発明は、図16および図17に示す携帯電子機器2のように、筐体2Aおよび筐体2Bがスライド自在に組み合わされ、図16に示す閉状態では表示部36が露出せず、図17に示す開状態では表示部36が露出するスライド式の筐体を有する携帯電子機器にも適用できる。また、本発明は、図18に示す携帯電子機器3のように、筐体3Aという1つの筐体からなり、カバー16が筐体3Aの反対側までを覆ってカバー14の役割を兼ねる携帯電子機器にも適用できる。携帯電子機器2および携帯電子機器3は、カバー16が切り欠き16bを有し、携帯電子機器1と同様に、図13−1および図13−2と同様に保持される。また、携帯電子機器3と、閉状態の携帯電子機器1および携帯電子機器2は、図12と同様に、切り欠き16bの両端に指をかけた状態でも保持されうる。
【符号の説明】
【0076】
1 携帯電子機器
1A 第1筐体
1B 第2筐体
8 ヒンジ機構
11 充電池
13 操作部
14 カバー
14a 切り欠き
16 カバー
16a、16b 切り欠き
22 制御部
24 記憶部
26 通信部
28 開閉検出部
32 第1表示部
34 第2表示部
36 第3表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が配された第1面を有する一方の筐体と、
前記第1面の背面を覆う第1カバーとを備え、
前記一方の筐体は、前記背面において他の部分より厚く形成された凸部を有し、
前記カバーは、前記凸部を含む領域において切り欠きを有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記切り欠きは、前記一方の筐体の各側面と平行な線分により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記切り欠きは、矩形であることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記一方の筐体は、前記凸部に電池の収納部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記一方の筐体は、前記第1面において、前記凸部に重畳する位置に操作部がさらに配されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
他の表示部が配された第2面を有する他方の筐体と、
前記他方の筐体と前記一方の筐体とを相対的に回動可能に連結する連結部とをさらに備え、
前記他方の筐体は、前記第2面の背面と前記第1面とが対向する閉状態において、前記第2面が外部に露出し、
前記切り欠きは、前記連結部近傍に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記第2面を覆う第2カバーをさらに備え、
前記第2カバーは、透明又は半透明な素材からなることを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記他の表示部は、発光源を有しないディスプレイであることを特徴とする請求項6又は7に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記第2カバーは、端面が他の面に対して垂直な平面であることを特徴とする請求項8に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記第1カバー及び前記第2カバーは、前記第1面と前記第2面とが対向する閉状態において互いの端部において接触するよう前記一方の筐体及び前記他方の筐体に覆われ、当該接触する端部の一部分に切り欠きを有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項11】
前記他方の筐体は、前記第2面において前記凸部に重畳する位置に操作部がさらに配されることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項12】
前記第2カバーは、前記第1面と前記第2面とが露出する開状態となった場合に前記一方の筐体の端部と係合し、前記一方の筐体および前記他方の筐体のさらなる回動を規制することを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−138708(P2012−138708A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288789(P2010−288789)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】