説明

携帯電話、通信接続制御方法、及びプログラム

【課題】国内外にて通信料金を抑えたローミング接続を実現する。
【解決手段】携帯電話は、国内外で通信に用いる通信部10を備えている。携帯電話に電源が投入されると、取得手段11は、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する。判断手段12は、取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する。そして、接続制御手段13は、定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、取得した通信会社情報で示される通信会社に通信部10で接続し、かつデータ通信を可とする。一方、接続制御手段13は、定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、取得した通信会社情報で示される通信会社に通信部10で接続し、かつデータ通信を不可とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、通信接続制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内では、データ通信の定額化、インターネットや、様々なアプリケーションなどが使えるスマートフォンの増加により、一人当たりのデータ通信量が増加してきている。また、スマートフォンや、インターネット接続機能をもつ携帯電話の多くは、ローミングサービスにより海外でもそのまま使用することが可能になってきており、非常に便利になってきた。海外到着時に携帯電話の電源を入れるだけで、ローミング可能な通信会社に自動的に接続されるため、ユーザは、通信会社の選択など意識することなく使用することができる。
【0003】
この便利さの反面、ローミング時の料金は日本国内とは異なり、通話料や、データ通信料が割高となる傾向にあった。そのため、海外での使用する際には、接続する通信会社が定額サービスに対応しているか確認するなど注意を払う必要があるが、気付かないで普段の感覚で使用してしまうと、後で高額な料金を請求されることになる。
【0004】
そういった背景もあり、一部の通信会社では、海外到着時にローミング先に接続すると『海外での通話やデータ通信は料金が割高になります』といったメッセージで知らせてくれる機能を持っている。
【0005】
この機能は、ユーザに注意喚起を行うだけのため、ユーザ自身が海外では極力使用しないようにしたいと考えていたとしても、相手から一方的に掛かってくる電話や、メール受信などで割高な料金が発生することを防ぐことができない。電話の場合には、一定時間着信に答えなければ相手から切断してくれるので、渡航者が注意していれば問題ないが、メール受信の場合には、強制的にデータ通信が行われてしまうため、どんなに注意していても割高な通信量が発生してしまう。
【0006】
出国前に海外でメールを強制的に受信しないように設定することもできるが、その設定を忘れたまま海外へ渡航する場合も考えられる。
【0007】
また、近年流行しているスマートフォンでは、インストールしたアプリケーションが定期的にデータ通信を行うことが多々あり、ユーザの意図とは別にデータ通信が行われてしまうケースがある。
【0008】
色々なアプリケーションをインストールできるスマートフォンで、どのアプリケーションが定期的にデータ通信を行うかをユーザが把握することは難しく、一つ一つのアプリケーションの設定を変更するのは現実的ではないし、通信しない設定に変更することができないアプリケーションも存在する。
【0009】
このようなユーザの意思とは別に強制的に行われるデータ通信を避けるためには、ユーザが海外に到着し、携帯電話の電源を入れた直後にデータ通信をOFFに設定する必要がある。通常、携帯電話や、スマートフォンには、データ通信をOFFにする機能が備わっており、データ通信OFFにすると、GSM(Global System for Mobile Communications)や、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)網などを経由したデータ通信はできなくなるが、通話や、Wi−Fi(Wireless fidelity)経由のデータ通信は可能となる。
【0010】
しかし、電源投入後、設定するまで間が空いてしまうと、その間にメール着信や、アプリケーションによるデータ通信が行われてしまう可能性は十分ある。そこで、設定の煩わしさを解消したり、データ通信をOFFし忘れたりしないためには、海外にいることを検知したときに、携帯電話側が自動的に設定を変える方法が考えられる。
【0011】
例えば、特許文献1、2には、海外に居ることを携帯電話が自動的に認識して自動的に携帯電話の設定を変更する方法として、基地局から発信される国の識別コードや、GPS(Global Positioning System)信号などを利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−44656
【特許文献2】特開2002−159043
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている方法を用いて、データ通信を自動的にOFFしてしまうと、国内だけで定額サービスを受けられる人が海外へ渡航する際は問題ないが、ローミング先でも定額データ通信のサービスが受けられる契約をしている人にとっては、定額データ通信のサービスが受けられなくなり不便である。
【0014】
また、一つの国でも複数の通信会社があり、それらすべての通信会社とローミングできるが、定額データ通信が行えるのは1つの通信会社だけといったケースもあり、携帯電話が定額データ通信のできない通信会社とローミング接続してしまう可能性があり、上記で一般的に知られた技術では回避できない問題である。これはヨーロッパのように様々な国が隣接しており、かつ頻繁に行き来が発生する環境でも発生する問題である。
【0015】
そこで本発明は、国内外にて通信料金を抑えたローミング接続を実現することができる携帯電話、通信接続制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の携帯電話は、国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替え可能な携帯電話であって、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得手段により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断手段によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得手段により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御手段とを備えることを特徴とする携帯電話である。
【0017】
本発明の通信接続制御方法は、国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える際の通信接続制御方法であって、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得するステップと、前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御ステップとを含むことを特徴とする通信接続制御方法である。
【0018】
本発明のプログラムは、国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える携帯電話のコンピュータに、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得機能、前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断機能、前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得機能により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、国内外にて通信料金を抑えたローミング接続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による携帯電話で用いられる、3種類のSIM(シムカード、Subscriber IdentityModule Card)カードの例を示す概念図である。
【図3】本実施形態による携帯電話の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】付記1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、GSMや、W−CDMAなどの通信方式に対応した携帯電話の海外ローミングにおいて、定額データ通信サービスが適用されないローミング先に接続されたとき、ユーザの意図しないデータ通信による通信料の請求を防止することを特徴とする。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態では、ユーザ自身が契約している内容に従い、定額データ通信が可能な通信会社のリストを作成し、携帯電話が接続先を探す際には、このリストにある定額データ通信が可能な通信会社へ優先的に接続するようにする。定額データ通信が可能な通信会社以外と接続せざるを得ないときには、データ通信を自動的にOFFにして接続する。
【0024】
なお、ここで言うデータ通信のON/OFFとは、GSMや、W−CDMA網などの回線、あるいはWi−Fi、Bluetooth(登録商標)などを経由したデータ通信も含まれる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態による通信システムの構成を示すブロック図である。図1には、3つのA国、B国、C国と、それぞれの国にある通信会社A−1、A−2、B−1、C−1の例を示している。A国には、通信会社A−1と通信会社A−2との2つの会社があり、B国には通信会社B、C国には通信会社Cとそれぞれ1つの通信会社が存在する。
【0026】
具体的なリストの内容と保存先を以下に示す。
図2は、本実施形態による携帯電話で用いられる、3種類のSIMカードの例を示す概念図である。SIMカードには、SIMカードの契約元である通信会社の国識別IDと通信会社IDに加え、ローミング接続可能な通信先の国識別IDと通信会社IDのリスト、定額データ通信可能先の国識別IDと通信会社IDのリストを記憶している。国識別IDと通信会社IDとは、3GPPで規定されている情報である。
【0027】
図2において、SIMカード10−1は、A国の通信会社A−1と契約しており、A国の通信会社A−2、B国の通信会社B−1、C国の通信会社C−1とローミング通信可能であり、通信会社A−1とだけ定額データ通信が受けられることが記憶されているカードである。SIMカード10−2は、B国の通信会社B−1と契約しており、A国の通信会社A−1、A−2、C国の通信会社C−1とローミング通信可能であり、A国の通信会社A−2、B国の通信会社B−1で定額データ通信サービスが受けられることが記憶されているカードである。SIMカード10−3は、C国の通信会社C−1と契約しており、A国の通信会社A−1、A−2、B国の通信会社B−1とローミング通信可能であり、A国の通信会社A−2と、B国の通信会社B−1とで定額データ通信サービスが受けられることが記憶されているカードである。
【0028】
携帯電話は、通信会社A−1、A−2、B−1、C−1のいずれでも音声通話や、データ通信ができる機能を有している。また、SIMカード10−1、10−2、10−3のいずれを用いても、通信会社A−1、A−2、B−1、C−1で互いにローミング可能である。
【0029】
なお、SIMカードへのリストのSIMカード10−1〜10−3への保存方法は、通信会社との契約時や、契約途中でも変更することができるものとするが、それらの方法は問わない。これら3種類のカードをSIMカードスロットがある、第2世代及び第3世代の携帯電話に挿入することで、それぞれの通信会社の通信サービスが受けられる。
【0030】
これらSIMカード10−1〜10−3のいずれか1つを差し込まれた携帯電話は、通信会社の基地局に接続する際に、SIMカードのリストと一致する国識別IDと通信会社IDとを探し、定額データ通信が可能な通信会社の基地局があった場合には、データ通信をON設定として接続を開始するが、一致しない場合には、ローミング接続可能な通信会社の基地局と接続し、データ通信を自動的にOFF設定とする。
【0031】
但し、状況によっては、定額データ通信の範囲外であっても、データ通信の継続が必要となる場合がある。そこで、本実施形態では、ローミング接続可能な通信会社毎に、データ通信を継続可能とするか、継続不可とするかを設定することができるようになっている。
【0032】
次に、上述した実施形態の動作について説明する。なお、以下では、SIMカード100−1〜10−3を総称してSIMカード10として説明する。
【0033】
図3は、本実施形態による携帯電話の動作を説明するためのフローチャートである。SIMカードが挿入された携帯電話は、電源が投入されると、近傍の基地局から国識別ID、通信会社IDを取得する(ステップS10)。次に、SIMカード10の情報(本実施形態では少なくとも図2に示す、SIMカード10の契約元、ローミング可能先、及び定額データ通信可能先の国識別IDと通信会社IDのリスト)を読み込む(ステップS2)。
【0034】
次に、基地局から取得した国識別ID、通信会社IDに一致する定額データ通信可能先があるか否かを判断する(ステップS3)。なお、本実施形態では、契約元の通信会社とは定額データ通信可能となっているが、そうでない場合も想定するようにしてもよい。この場合、まず、基地局から取得した国識別ID、通信会社IDと、契約元の国識別ID、通信会社IDとが一致するか否かを判断し、一致すれば、そのまま契約元の通信会社と接続すればよい。一致しない場合には、上記ステップS3のように、まず、一致する定額データ通信可能先があるか否かを判断すればよい。
【0035】
そして、一致する定額データ通信可能先がある場合には(ステップS3のYES)、一致した定額データ通信可能先の通信会社に優先的に接続し(ステップS4)、データ通信機能をONとし(ステップS5)、当該処理を終了する。
【0036】
一方、一致する定額データ通信可能先がない場合には(ステップS3のNO)、SIMカード10から読み込んだ情報(ローミング可能先)を参照し、ローミング接続可能な通信会社に接続する(ステップS6)。次に、接続したローミング接続可能な通信会社のデータ通信継続設定が「可」であるか否かを判断する(ステップS7)。
【0037】
そして、接続したローミング接続可能な通信会社のデータ通信継続設定が「可」でない場合には(ステップS7のNO)、データ通信機能をOFFとし(ステップS8)、当該処理を終了する。一方、接続したローミング接続可能な通信会社のデータ通信継続設定が「可」である場合には(ステップS7のYES)、データ通信機能をONとし(ステップS9)、当該処理を終了する。
【0038】
次に、図2に示すSIMカードを用いた具体例について説明する。
A.SIMカード10−1を用いた場合
まず、SIMカード10−1を挿した携帯電話の例について説明する。SIMカード10−1は、国Aの通信会社A−1が発行し、通信会社A−1とだけデータ通信が定額になる契約をしたカードである。
【0039】
A1.SIMカード10−1をA国で使う場合
A国で、SIMカード10−1を携帯電話に挿し、電源を入れると、国識別IDはAのみ、通信会社IDはA−1とA−2の両方が認識できる環境におかれる。携帯電話は、SIMカード10−1に記録されたカード発行元の国識別IDと通信会社IDを読み込み、現在認識しているIDと一致するか確認をする。SIMカード10−1に記録された国識別IDはA、通信会社IDはA−1なので、一致する通信会社A−1に優先的に接続をする。その後、携帯電話はデータ通信機能をONにする。
【0040】
A2.SIMカード10−1をB国(あるいはC国)で使う場合
B国で使う場合、携帯電話が受けられる国識別IDはB、通信会社IDはB−1だけである。通信会社A−1は、通信会社B−1に対してローミング可能であるため、SIMカード10−1を挿した携帯電話で、通信会社B−1に接続して使用することは可能である。前述の例と同様に、電源投入後、国識別IDと通信会社IDがSIMカード10−1に記録された内容と一致するかを確認するが、ここでは一致しない。そのため、ローミング可能な通信会社B−1に接続した後、携帯電話はデータ通信機能をOFFにする(音声通話は可能な状態である)。
【0041】
なお、定額データ通信を契約していない通信会社に接続したときに、データ通信機能を自動的OFFにする設定は、ユーザが任意に変更できるものとし、例えば、前述したように、データ通信継続設定を「可」に設定することで、定額データ通信を契約していない通信会社と接続し他場合であっても、データ通信を行うようにしてもよい。また、自動的にデータ通信がOFFになっても、その後、ユーザが携帯電話側で設定をすることで、データ通信ができるようにしてもよい。なお、SIMカード10−1をC国で使用した場合も、同様である。
【0042】
A3.SIMカード10−1でA国からB国へ移動する場合
A国からB国へ移動することで、国識別ID:A、通信会社ID:A−2と接続できなくなると、ローミング可能先として記録されている、国識別ID:B、通信会社ID:B−1に接続を切り替える。切り替える際に、SIMカード10−1に記録された情報を読み込むが、通信会社B−1とは定額データ通信はできないため、携帯電話は即座にデータ通信をOFFにする。もし、データ通信を行っているときであれば、切断されることになる。
【0043】
但し、定額データ通信可能先として記録されていない通信会社と接続した場合であっても、データ通信を継続して行えるように、前述したように、データ通信継続設定を「可」に設定するようにしてもよい。この場合、国境を超えてもデータ通信が切断されることはないが、通信会社B−1に切り替わった時点で定額データ通信の範囲外となる。
【0044】
B.SIMカード10−2を用いた場合
次に、SIMカード10−2を挿した携帯電話の例について説明する。SIMカード10−2は、通信会社B−1が発行し、通信会社B−1と通信会社A−2でデータ通信が定額になる契約をしたカードである。
【0045】
B1.SIMカード10−2をA国で使う場合
SIMカード10−2には、A国の通信会社A−2で定額データ通信ができることが記録されているため、A国内で通信会社IDがA−2の通信会社A−2に優先的に接続し、データ通信機能をONにする。
【0046】
もし、通信会社A−2の電波が届かず、通信会社A−1の電波しか受信できない場合には、ローミング可能先として記録されている通信会社A−1に接続するが、その時点でデータ通信機能をOFFとする。但し、定額データ通信可能先として記録されていない通信会社と接続した場合であっても、データ通信を継続して行えるように、前述したように、データ通信継続設定を「可」に設定しておけば、データ通信を継続することが可能である。
【0047】
B2.SIMカード10−1または10−2をC国で使う場合
SIMカード10−1及び10−2では、C国の通信会社C−1と定額データ通信はできない。このため、いずれかのSIMカード10−1または10−2を挿した携帯電話をC国で使用する場合には、ローミング可能先である通信会社C−1に接続し、データ通信機能を自動的にOFFとする(音声通話は可能な状態である)。
【0048】
但し、この場合でも、データ通信を継続して行えるように、前述したように、データ通信継続設定を「可」に設定しておくか、携帯電話側の設定を変更することで、ユーザが意識的にデータ通信機能をONにすることは可能である。
【0049】
B3.SIMカード10−2でA国からB国へ移動する場合
A国とB国が隣接しており、その間を移動する時、携帯電話がA国でそれまで接続していた国識別ID:A、通信会社ID:A−2と接続できなくなり、国識別ID:B、通信会社ID:B−1としか接続できない状態になるので、契約元である通信会社B−1に接続を切り替える。この場合、通信会社B−1でも定額データ通信が可能であるので、データ通信は途切れることなく行われる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、契約元、ローミング可能先、定額データ通信可能先の各々についてリストを作成したが、変形例として、1つのリストで検索順番にソートしておき、以下のようにして定額データ通信可否を判断してもよい。
(1)定額データ通信可否は、フラグで管理され、都度その状態を見て判断する。
(2)定額データ通信可と否の境界(ダミー項目や、可のデータで最終項目を示すデータ末尾にnullなど)が設定されていて、境界を越え、否側のリストで接続する場合にデータ通信不可とする。
【0051】
また、上述した実施形態は、通常の電源ON時の基地局への接続以外にも、国内において、移動しつつ基地局を次々と切り替えるハンドオーバーを行う場合にも適用可能である。ハンドオーバーを行う際には、定額データ通信可の基地局と、定額データ通信否の基地局との双方が次の接続先候補となることが想定される。この場合、今まで接続していた同じ通信会社の基地局→定額データ通信可の基地局→定額データ通信不可の基地局の順に接続を選ぶように動作を制御することが望ましい。
【0052】
あるいは、通常の接続も、ハンドオーバーも、(電源ON)→接続基地局サーチ→複数の基地局から接続先決定→接続開始→本発明の処理→通話・通信可能状態という流れで動作を制御するようにしてもよい。
【0053】
また、従来の電界強度が強い場合のみでも、従来の電界強度が所定値以上の基地局に対して本発明を適用するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、通信会社の情報を、SIMカード10に定額通信可能な通信会社を記録しておき、それを読み込むようにしたが、SIMカード以外にも、通信会社自身にこれら情報を持たせるようにしてもよい。その他に、携帯電話本体に情報を書き込む方法や、SDカードのような外部記録媒体に記録させるようにしてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、定額データ通信を契約していることを前提に、データ通信をON/OFFしていたが、海外ローミング時は、定額データ通信の契約の有無に関わらず、通信料を抑えることを優先するために、データ通信をOFFに設定するようにしてもよい。
【0056】
上述した実施携帯によれば、海外ローミング時に、割高になる海外での通信料を抑えることができる。特に、スマートフォンなどでユーザの意図しない勝手な通信が発生するような携帯電話で効果が高いと考えられる。
【0057】
また、上述した実施携帯によれば、国境付近で使用する場合に、契約している通信会社が隣の国の通信会社とローミングサービスを行っている場合、国境付近で使用すると、ローミング先に接続してしまう場合がある。こういった場合にも、通信料を抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態は、端末装置として携帯電話に適用した例であるが、本発明はこれに限定されるものではない。海外ローミングサービスに対応した機器であれば、例えば、スマートフォン、通信機能が内蔵されたパソコン、通信機能が内蔵されたタブレット端末、その他の電子機器等にも幅広く適用できる。
【0059】
以下、本発明の特徴を付記する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
図4は、付記1の構成図である。この図に示すように、付記1記載の発明は、
国内外で通信部10による通信に用いる通信会社を切り替え可能な携帯電話であって、
基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得手段11と、
前記取得手段11により取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断手段12と、
前記判断手段12によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得手段11により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部10で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断手段12によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得手段11により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部10で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御手段13と
を備えることを特徴とする携帯電話である。
【0060】
(付記2)
前記定額データ通信不可の通信会社と接続する場合のデータ通信の可否を設定するデータ通信継続設定手段を更に備え、前記接続制御手段は、前記定額データ通信不可の通信会社と接続した場合、前記データ通信継続設定手段により前記データ通信が可に設定されていれば、データ通信を可とし、前記データ通信継続設定手段により前記データ通信が否に設定されていれば、データ通信を不可とすることを特徴とする付記1に記載の携帯電話である。
【0061】
(付記3)
少なくとも前記予め用意された当該携帯電話が契約している定額データ通信可能な通信会社のリストを記憶する記憶手段を更に備え、前記判断手段は、定額データ通信可能な通信会社であるか否かを、前記記憶手段に記憶されている前記定額データ通信可能な通信会社のリストを参照することで判断することを特徴とする付記1または2に記載の携帯電話である。
【0062】
(付記4)
前記記憶手段は、当該携帯電話の初期設定情報等が記憶されているSIMカードであることを特徴とする付記3に記載の携帯電話である。
【0063】
(付記5)
前記記憶手段は、当該携帯電話に着脱可能な外部記録媒体であることを特徴とする付記3に記載の携帯電話である。
【0064】
(付記6)
国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える際の通信接続制御方法であって、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得するステップと、前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御ステップとを含むことを特徴とする通信接続制御方法である。
【0065】
(付記7)
国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える携帯電話のコンピュータに、基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得機能、前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断機能、前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得機能により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0066】
10 通信部
11 取得手段
12 判断手段
13 接続制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替え可能な携帯電話であって、
基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得手段により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断手段によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得手段により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御手段と
を備えることを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
前記定額データ通信不可の通信会社と接続する場合のデータ通信の可否を設定するデータ通信継続設定手段を更に備え、
前記接続制御手段は、
前記定額データ通信不可の通信会社と接続した場合、前記データ通信継続設定手段により前記データ通信が可に設定されていれば、データ通信を可とし、前記データ通信継続設定手段により前記データ通信が否に設定されていれば、データ通信を不可とする
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話。
【請求項3】
少なくとも前記予め用意された当該携帯電話が契約している定額データ通信可能な通信会社のリストを記憶する記憶手段を更に備え、
前記判断手段は、定額データ通信可能な通信会社であるか否かを、前記記憶手段に記憶されている前記定額データ通信可能な通信会社のリストを参照することで判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話。
【請求項4】
前記記憶手段は、当該携帯電話の初期設定情報等が記憶されているSIMカードであることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話。
【請求項5】
前記記憶手段は、当該携帯電話に着脱可能な外部記録媒体であることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話。
【請求項6】
国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える際の通信接続制御方法であって、
基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得するステップと、
前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断ステップで定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御ステップと
を含むことを特徴とする通信接続制御方法。
【請求項7】
国内外で通信部による通信に用いる通信会社を切り替える携帯電話のコンピュータに、
基地局との接続時に接続可能な通信会社情報を取得する取得機能、
前記取得した通信会社情報が定額データ通信可能な通信会社であるか否かを判断する判断機能、
前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社であると判断された場合には、前記取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を可とし、前記判断機能によって定額データ通信可能な通信会社でないと判断された場合には、前記取得機能により取得した通信会社情報で示される通信会社に前記通信部で接続し、かつデータ通信を不可とする接続制御機能
を実行させることを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70203(P2013−70203A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206771(P2011−206771)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】