説明

携帯電話器

【課題】 携帯電話器を利用して、如何なる状態においても最も身近な箇所で火災検知ができ、異常事態の検知と同時に警報発生させることで、携帯電話器保持者の失命を防ぐことができる機能をもった機器を提供するものである。
【解決手段】 本発明の携帯電話器は、携帯電話器本体1あるいは表示部3内に対流空気インレット細管4、対流空気アウトレット細管6からなる対流空気孔を設け、その中間部に発光ダイオード7及び光センサー8を備えた空間ボックス5を設けることにより火事で発生した煙が空間ボックス5を通過するとき発光ダイオード7の光が煙による散乱光が生じるため、この散乱光を光センサー8で検知することができる煙検知機構を備えたことを特徴とするもので、これにより、煙検知と同時に携帯電話器の着信音声を発生させることで、睡眠中の携帯電話器所持者に緊急事態発生を知らせて覚醒させることを可能にした携帯電話器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の携帯電話器能に煙センサー機能を施し、火事に遭遇したときいち早く緊急事態を知らしめることを可能ならしめる携帯電話器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話器は、通話及び画像機能が凝縮されたユニットである。古来、火事に巻き込まれ失命する事態が多々発生しており、近年自宅、営業事務所、あるいはホテル等の室内に火災報知器を取り付けて万が一の火災発生に備えている。しかしながら、如何なる状態においても最も身近な箇所で火災検知ができ警報発生ができれば火災による失命を防ぐことのできる可能が高くなるが、現段階においては、その様な機能を有する機器は存在しない。
【0003】
火災検知器により火災を検知し、防災受信盤、緊急通報システムを通して発報エリア内の携帯電話に火災情報を送信して火災を通報する「携帯電話を利用した緊急通報システム」が本出願前に出願されている(特許文献1)。このシステムは、火災報知器の発報エリアを特定する発報エリア手段と、警報信号を送信する発報エリアを特定する発報特定エリア手段と送信する携帯電話の位置検出手段、位置検出手段で確認された携帯電話に火災情報送信するための送信機器、及び火災情報を受信する携帯電話器とから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−216591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火災に遭遇する予測は誰にもできない。火事による災害では睡眠に入った状態で火災が発生する状態が多く、火災に気が付いたときには煙に巻き込まれ逃げる方向が判らないことと有毒ガスの発生で呼吸困難に陥り逃げることができなくなって死亡するケースが多い。また、簡易ホテル等に宿泊した場合、火災通報が遅れ煙により非常口の方向を見失って大惨事を生じることも往々にしてある。このような災害から逃れるためには常時自分自身で火災の発生状況を監視しておかねばならない課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、就寝前室内の特定場所に置いておくことで火災を早期検知し、緊急警報を発する携帯電話器を提供することで火事災害から逃れることを可能ならしめる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が提供する携帯電話器は、火事に特長の煙あるいは有毒ガス検知器を携帯電話器内に組み込むことにより、睡眠時等に火災が発生したとき煙を検知し、直ちに携帯電話器の着信音を発して火災発生を知らしめることで火災事故から脱することを可能ならしめる。
【発明の効果】
【0007】
本発明が提供する携帯電話器は、従来の携帯電話器の構成品に火災検知および緊急警報発生機能を組み込んだことを特徴とする。携帯電話器は持ち運びが最も簡単且つ常時万人に携帯されている物品であり、如何なる場合でも携帯者の身辺に置くことが可能な物である。自宅における就寝時、あるいは外出先ホテルにおける就寝時に火災が発生した場合、煙の最適検出可能と思われる場所に設置しておくことが可能な物品である。就寝場所近辺で火災が発生したとき所定場所に置いてある本発明の携帯電話器が煙を検知する。煙を検知した携帯電話器は直ちに緊急警報のため着信音を発する。この着信音により就寝者は目覚めることができ火事災害から脱することができ火事災害減少に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による携帯電話器の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA部断面拡大図とその構成断面図を示す。
【図3】煙検出機能の詳細具体例を示す。
【図4】本発明による携帯電話器の機能を示すブロック図である。
【図5】本発明による携帯電話器の就寝時設置場所一例を示す。
【図6】図5のB部拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の携帯電話器の外観は通常の携帯電話器同様、大別すると携帯電話器本体と、携帯電話器として使用するための画像表示部から構成されている。本発明による携帯電話器の特徴は携帯電話器内に自然対流で室内空気を通す細い管を設け、その管の一部に流通する空気内に含まれる煙を検出するための発光ダイオードと光センサーを備えた点にある。通常時、発光ダイオードの光は出口側空気流通管を通して外部に放射され管内でのダイオード光の照度は全くない。火災時煙が混入した空気が空気流通管に入った場合、ダイオード光の光が煙に反射し空気流通管内部が明るくなる。空気流通管内部の明るくなった照度を光センサーが検出し、この光検出信号を着信音声出力機構に送信することにより携帯電話器の着信音を鳴らし、携帯電話器保持者に緊急事態であることを知らしめることで災害からいち早く逃れることを可能ならしめた。
【実施例】
【0010】
まず、本発明が提供する携帯電話器について説明する。
本発明の携帯電話器の構成を図1に示す。図中、1は携帯電話器本体、2はキーボード操作部、3は表示部である。4は対流空気インレット細管であり表示部3内に自然対流空気を取り込むための細管である。5は空間ボックスで自然対流空気を一時的に貯めおくものであり6は対流空気アウトレット細管で空間ボックス5に貯まった空気を自然対流で外部に送出するための細管である。7は発光ダイオードでビーム状光線を発し、対流空気アウトレット細管6を通し外部に放射する機能を有している。8は光センサーで空間ボックス5内部の光を検知する機能を有しており、発光ダイオード7の光放射を直接受光しない空間ボックス5内の位置に固定化され、火災発生時、空間ボックス5内に流入した循環空気内の煙に発光ダイオード7のビーム光が当たって生じる反射光を検出する。9は携帯電話器内部発熱源部である。31ストラップであり、32はストラップ掛けで、ドア類または壁、机等に携帯電話器を引っ掛けておくものである。図2の(A)図は図1A部の拡大図であり、対流空気インレット細管4、空間ボックス5、対流空気アウトレット細管6、発光ダイオード7及び光センサー8のそれぞれの設置場所を示す部分拡大図である。図2の(B)図は、対流空気インレット細管4、空間ボックス5、対流空気アウトレット細管6の構造を示す断面図であり、同時に発光ダイオード7及び光センサー8の空間ボックス5内における取付場所を示したものである。
【0011】
図3は、対流空気インレット細管4、空間ボックス5、対流空気アウトレット細管6を通して流れる対流空気の状態を示したものである。図中、9は携帯電話器内部発熱源部であり、電源がオンになっている状態では携帯電話器内の電気回路による発熱で携帯電話器内部の温度は周辺の外気より若干高くなっている。このため、図3の矢印に示す対流空気が生じる。図3の(X)図及び(Y)図は対流空気の流れを示すとともに煙の有無及び火災が発生した際、煙を検知するための機能を示したものである。図3の(X)、(Y)両図とも空気の自然対流の流れを矢印で示す。図2(B)で示すごとく対流空気インレット細管4と対流空気アウトレット細管6の設置位置には上下差をもたせたことが本発明の特徴であり、この両細管の高低差を利用して以下に述べるような携帯電話器内部への室内空気の対流を行うものである。
携帯電話器の置き方によっては自然滞留空気が図に示す方向と反対の方向に流れることもあるが、対流空気の流れはどちら方向でも機能上全く問題はない。通常、携帯電話器は電源をオフにしない限り携帯電話器本体1および表示部3には通電されており携帯電話器内部発熱源部9は通電による発熱のため、携帯電話器の内部温度は外気温度に比較し若干高くなっている。この外気温度と携帯電話器内部温度との温度差を利用することで外部空気は対流空気インレット細管4から流入し空間ボックス5を経て対流空気アウトレット細管6から外部に流出させ、携帯電話器内部に常時室内空気を流入させ対流循環を行う機能をもたせることができる。
【0012】
図3の(X)図は平常時の対流空気の流れを示したものである。対流空気インレット細管4から表示部3内部に吸い込まれた空気は、空間ボックス5を経由して対流空気アウトレット細管6から自然対流により流出する。この(X)図の状態では発光ダイオード7のビーム光は対流空気アウトレット細管6を通し外部に放射され経路内で反射対象物がないため光センサー8は光を検知することはない。(Y)図は火災発生時、煙が室内に流入した場合の携帯電話器の対流空気の流れを示したものである。火災発生時は煙が対流空気に混入するため発光ダイオード7のビーム光は経路内の煙に反射し空間ボックス5の内部を明るくするため光センサー8が光を検知する。
【0013】
図4は本発明の携帯電話器の機能全体を示すブロック図である。図中10は煙検知機構、11は着信等音声出力制御機構、12は着信音発生器である。このブロック線図に示す煙検知機構10は、図1〜図3で示した携帯電話器内を対流する空気に含まれる煙を検知するシステムをまとめて総称したものである。光センサー8が光を検知したこと即ち煙検知機構10が作動したとき、この検知信号は着信等音声出力制御機構11に伝達されて通常の着信音と同様、着信音声発生器12から着信音を発生させる。一般に携帯電話器の着信音はその近くに所有者がいる限り、所有者が如何なる状態にあっても発信音に気付くよう設定することができる。このため携帯電話器所有者が昏睡状態に陥っても着信音により覚醒し異常事態を察知し早急な避難が可能となる。
【0014】
図5に就寝時に本発明による携帯電話器を設置した状態の具体例を示す。図中、33は携帯電話器保持者の就寝状態を示したものであり、34はベッド、35は開閉用ドア、36は壁面である。図中、開閉用ドア35の上部に本発明の携帯電話器が掛けられている。図6にB部詳細図を示す。ストラップ掛け32をドア35に固着させ、それにストラップ31を掛けて携帯電話器1をぶら下げた状態を示す。一般に、一酸化炭素をはじめとする有毒ガスは上部から下部に沈むため、室外で火事が発生した場合ドア35の隙間から入り込んでくる煙はドア35の上部サイドから床に沈むような状態で室内に侵入してくる。この煙が就寝中の携帯電話器保持者33の高さに達する前に本発明による携帯電話器が感知して着信音を発生させるため、就寝者は直ぐに覚醒でき退避行動をとることが可能となる。
【0015】
以上、実施例での説明において空気対流経路を携帯電話器の表示部3内に組み込んだ状態で説明を行ったが、この煙検知機構10は携帯電話器本体1の内部に組み込むことも可能である。本発明においては具体例として煙を検知することで火災検知手段の説明を行ったが、火災検知の手段については赤外線を使っての一酸化炭素ガスなど異常ガス、あるいは温度の検知、火災時特有の臭いの検知、室内で火災が発生したとき生ずる特有の音による検知や赤外線センサーを用いての火炎特有の光検知など火災検知手段は上記説明した具体例のほかにも多々考察することができる。
【0016】
また、上記実施例の説明においては、煙検知により携帯電話器の着信音声の発生で睡眠者を覚醒させて異常事態を知らせ、緊急避難が可能となることを詳述したが、本発明の応用例として、前記異常事態が発生した際、予め設定しておいた電話番号先を呼び出す機能を持たせることも容易に考察できる。これは、幼児のみを自宅におき保護者が戸外にいるとき火災が発生した場合、室内に置いておいた本発明による火事発生携帯電話器から保護者所有の別個の携帯電話器に異常発生を知らせることで緊急に対処するための機構も簡単に構築することができ、本発明の携帯電話器を所有することにより、不慮の事故から免れることが可能となる。また、本発明の応用例として、空気の自然対流による煙の検出ではなく、超小型ファンを携帯電話器内に組み込み、室内空気の一部を強制的にインレット細管4から空間ボックス5を経由してアウトレット細管6から流出させることにより、自然対流空気循環より早く煙を検知するする機構も簡単に考察することができる。
【0017】
以上、実施例で述べたように本発明による携帯電話器は、室内空気を携帯電話器本体内に絶えず自然対流で流し続け、その対流空気に煙が混在した状況を検知することにより着信音を発して携帯電話器保持者だけではなく近傍者にも危険を知らせることができる。また、本発明の携帯電話器を乳幼児やペットなどの存在する部屋に置いておくことにより、乳幼児などの緊急事態に際しても着信音により室外者に知らせることができ、いち早く救助あるいは避難行動がとれる機能をも兼ね備えることができることを特徴とする。
【符号の説明】
【0018】
1 携帯電話器本体
2 キーボード操作部
3 表示部
4 対流空気インレット細管
5 空間ボックス
6 対流空気アウトレット細管
7 発光ダイオード
8 光センサー
9 携帯電話器内部発熱源部
10 煙検知機構
11 着信等音声出力制御機構
12 着信音発生器
31 ストラップ
32 ストラップ掛け
33 携帯電話器保持者の就寝状態を示したもの
34 ベッド
35 開閉用ドア
36 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話あるいは画像表示機能を有する携帯電話器において、機器の内外の温度差による対流を利用して、周辺の気体を機器本体に取り込み排出させる気体導入排出流路機構と、この流路内の気体に光を照射する発光ダイオードと、この気体を介して光を検出する光センサーと、この光センサーの出力で機器本体の着信音を発生させ電話器保持者を覚醒させるようにした煙検知機構を有することを特徴とする携帯電話器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−2867(P2011−2867A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142856(P2009−142856)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(591123540)
【Fターム(参考)】