説明

携帯電話所持検出装置

【課題】着信待ち状態の携帯電話機を所持して会場内に入るのを簡単な構成で、かつ安価に阻止することができるようにした携帯電話所持検出装置を提供する。
【解決手段】会場に入るのを制限するゲート1を通過する際に携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出する検出器2と、この検出器2による検出があったときに出力する表示装置3などの出力装置と、基地局から携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽可能な遮蔽体6とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信待ち状態の携帯電話機を所持して会場内に入るのを検出する携帯電話所持検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から劇場、映画館、美術館、レストラン、コンサート会場などのように一定の場内雰囲気を保つために、携帯電話機を着信待ち状態のままで入場するのを制限する会場が多数存在している。通常は、携帯電話機の電源を切るなど促すのが一般的であるが、さらに踏み込んで着信待ち状態の携帯電話機の所持を検出する携帯電話所持検出装置が提案されており、この携帯電話所持検出装置は、待ち状態にある携帯電話機から発する所定周波数の電波を検出して、警告するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。また、携帯電話機を収納する袋本体を設け、この袋本体内に入れた携帯電話機が発生する電磁波を遮断する電磁波シールド部材を設けたもの(例えば、特許文献2参照)や、携帯電話機の電磁波を遮断する機能を持つ布で作った収納袋に携帯電話機を入れて圏外状態とするようにしたもの(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−267973号公報
【特許文献2】特許平10−23913号公報
【特許文献3】実用新案登録第3139340号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯電話機を収納する袋は、いずれも携帯電話機から発生する電磁波を遮蔽するもので高価なものとなってしまうと共に、袋の収納口外周部にひも状のものを通し、このひも状のものを引っ張って綴じ合わせる構造であるため、完全に密閉することができず電波が漏れてしまうことがあった。また、着信待ち状態にある携帯電話機から発する所定周波数の電波を検出して、警告を発する従来の携帯電話所持検出装置では、ある時間帯に入場者が集中する場合にはどの携帯電話機を検出したのかも判別しなければならず、必ずしも会場に適した構成ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、着信待ち状態の携帯電話機を所持して会場内に入るのを簡単な構成で、かつ安価に阻止することができるようにした携帯電話所持検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、会場に入る際に携帯電話機の電源を切って入るように促す携帯電話所持検出装置において、基地局から前記携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽すると共に前記携帯電話機を収納可能な遮蔽体と、会場内に入るのを制限するゲートを通過する際に前記携帯電話器から基地局に発する制御信号を検出する検出器と、この検出器による検出があったときに出力する出力装置とを備えて構成したことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、先ず、携帯電話機の電源を切るように促すと共に、それができない場合には遮蔽体内に携帯電話機を入れるよう促すことができるので、携帯電話器から発する制御信号を検出器により検出する作業の殆どは、電源を入れた状態の携帯電話機を遮蔽体内に収納したもののふさわしい状態で収納していない場合に限定することが可能となるので簡素にすることができる。しかも、使用する遮蔽体は、基地局から携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽するものであるから、従来のように必ずしも電磁波を遮蔽する必要がなく,簡単で安価に製作することができる。また、検出器による検出は、携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出することによって判別することができるので、その構成も簡単にすることができる。
【0008】
また本発明は、上記の構成に加えて、前記遮蔽体は、一方の端部に挿入口と、折り曲げることによって前記挿入口を封じることが可能な封じ部とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、従来のように綴じひもで封じる場合のように不完全な閉じ状態を生じさせる可能性は少なく、殆どは基地局からの制御信号を遮蔽することができる。さらに、この遮蔽体は、電磁波を遮蔽するものではないので、造りは簡素になり安価に製作することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による携帯電話所持検出装置によれば、先ず、携帯電話機の電源を切るように促すと共に、それができない場合には遮蔽体内に携帯電話機を入れるよう促すことができるので、携帯電話器から発する制御信号を検出器により検出する作業の殆どは、電源を入れた状態の携帯電話機を遮蔽体内に収納したもののふさわしい状態で収納していない場合に限定することが可能となるので簡素にすることができる。しかも、使用する遮蔽体は、基地局から携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽するものであるから、従来のように必ずしも電磁波を遮蔽する必要がなく,簡単で安価に製作することができる。また、検出器による検出は、携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出することによって判別することができるので、その構成も簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態による携帯電話所持検出装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示した携帯電話所持検出装置の平面図である。
【図3】図1に示した携帯電話所持検出装置の遮蔽体を示す斜視図である。
【図4】図1に示した携帯電話所持検出装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の一実施の形態による携帯電話所持検出装置の概略構成を示す斜視図および平面図である。会場内に入る出入り口の全てまたは制限した一つに専用のゲート1を配置し、このゲート1もしくは近傍には、携帯電話器から基地局へ発せられる制御信号を検出する検出器2と、この検出器2での検出があったときに出力する出力装置、例えば表示装置3が接続されている。検出器2は、携帯電話器から発せられる電波を受けるアンテナ4と詳細を後述する受信処理回路を有している。またゲート1を通過する手前には、会場に入るのを妨げないように配置した複数のテーブル5が設置されており、各テーブル5上に検出器2と対で使用する複数の遮蔽体6が配置されている。
【0014】
図3は、上述した遮蔽体6を示す平面図で、その挿入口7から内部に携帯電話器を入れた後、封じ部8を折り曲げて挿入口7を完全に閉じると、この遮蔽体6は、基地局と携帯電話器の間で頻繁にやりとりして位置情報等として用いる制御信号、特に基地局から携帯電話器に発せられる制御信号を遮蔽することができるものである。このために遮蔽体6は、厚さ12μm程度のアルミで覆ったものであり、その形状は限定しない。
【0015】
図4は、検出器2の概略構成を示すブロック構成図である。アンテナ4を通して受信する受信部9と、受信部9で受信した信号が携帯電話機から基地局に発信している制御信号であることを判定する受信判定部10と、表示装置3への表示内容に対応する表示データを予め格納した記憶部11と、この記憶部11から取り出したデータを表示装置3で表示するように処理する表示処理部12と、これら各部を制御する制御部13とを備えている。
【0016】
今、携帯電話所持者が会場を訪れるとき、図2に示すように建屋出入り口14から入って会場入り口に設置したゲート1を通り会場内に入ろうとする。そのとき、建屋出入り口14付近に設置した表示15または係員の案内によって、電源を入れたままの携帯電話機を持って会場内に入れないことが伝えられ、また携帯電話機の電源が切れないときにはテーブル5上の遮蔽体6に携帯電話機を入れるように促される。
【0017】
ここで携帯電話所持者は、携帯電話機の電源を切って入場するか、電源を切らない状態の携帯電話機を遮蔽体6に入れて入場するかのどちらかを選択することができる。図3に示した遮蔽体6内に電源を切らない状態の自分の携帯電話機を入れて、封じ部8を折り曲げて挿入口7をふさわしい状態で閉じると、遮蔽体6は上述したように基地局と携帯電話器との間でやりとりしている制御信号、特に、基地局から携帯電話機に対して発せられる制御信号が遮蔽される。こうして携帯電話機は、基地局からの制御信号を受信できなくなると、携帯電話機から発する制御信号の出力をあげるが、この出力を上げた信号が例えば遮蔽体6から漏洩したとしても依然として遮蔽体6は基地局からの制御信号を遮蔽しているため、携帯電話は圏外となり着信できなくなる。
【0018】
このように携帯電話機の電源を切って入場する場合、また電源を切らない状態の携帯電話機を遮蔽体6内にふさわしい状態で入れて入場する場合には、いずれも着信ができないので、会場内で着信音を鳴動させるような状況を回避することができる。
【0019】
しかも、遮蔽体6は、封じ部8を折り曲げて挿入口7を閉じるものであるから、従来のように綴じひもで封じる場合のように不完全な閉じ状態を生じさせる可能性は少なくなり、殆どは基地局からの制御信号を遮蔽することができる。さらに、この遮蔽体6は、電磁波を遮蔽するものではないので、その造りは簡素になり安価に製作することができる。
【0020】
ところで、電源を切らない携帯電話機を遮蔽体6内へ入れたもののその入れ方が不完全な状態であった場合には、携帯電話器から基地局への制御信号が遮蔽体6の一部から漏れているので、携帯電話機から基地局へ発信している制御信号を検出することによって、このような状況を判別できる。
【0021】
つまり、この携帯電話所持者がゲート1に近づくと、携帯電話器から基地局に対して発した制御信号が検出器2によって検出される。図4に示したアンテナ4から受信部9で受け、処理判定部10で携帯電話機から基地局への制御信号であることを判定すると、表示処理部12は記憶部11内から予め格納しておいた対応する表示データを取り出し、表示処理を行って表示装置3に表示する。例えば、このときの表示は、このままでは会場には入れないので、携帯電話機をもう一度確認するように促すものである。この表示装置3への表示と共に、警告音を発したり、警告灯を点灯させたりしてもよい。
【0022】
このときの表示装置3を見たりした携帯電話所持者は、携帯電話機を再確認する。遮蔽体6内に携帯電話機を収納している場合は、その収納状況を再確認することによって、例えば、封じ部8を折り曲げずに携帯電話機の収納が不完全だったことに気付くなら、ふさわしい状態に収納し直す。すると、今度は携帯電話器から基地局に対して発する制御信号が遮蔽体6によって完全に遮蔽され、検出器2によって検出されることなく会場内に入ることができる。
【0023】
ここでは、携帯電話器から基地局に対して発する制御信号を検出器2で検出した場合、表示装置3に出力しているが、出力装置としては様々なものを使用することができる。例えば、警告音を発したり、スピーカから表示の場合と類似のアナウンスを行ったり、警告灯などの表示であったり、それらの組み合せでもよい。さらに、これらのうちのいずれか一つの出力を用いて係員に通知し、係員を通して携帯電話所持者に状況を伝えるようにすることもできる。
【0024】
同様にして、携帯電話機の電源を切ったつもりがうっかり電源が入った状態で会場内に入ろうとした場合にも検出器2で検出されるが、建屋出入り口14で携帯電話機の電源を切るよう促され、しかも、電源を切れない人は遮蔽体6内に入れるよう促されるので、その作業を見るなどした携帯電話機の所持者の大部分は、ふさわしい扱いをすることができる。従って、限られた時間帯に大勢の入場者がいる場合でも、検出器2で検出を実際に行うのは限られた台数の携帯電話機に制限することができる。
【0025】
以上説明した本発明の携帯電話所持検出装置によれば、基地局から携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽すると共に携帯電話機を収納可能な遮蔽体6と、会場に入るのを制限するゲート1を通過する際に携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出する検出器2と、この検出器2による検出があったときに出力する表示装置3などの出力装置とを備えて構成したため、先ず、携帯電話機の電源を切るように促すと共に、それができない場合には遮蔽体6内に携帯電話機を入れるよう促すことができるので、携帯電話器から発する制御信号を検出器により検出する作業は、電源を入れた状態の携帯電話機を遮蔽体6内に収納したもののふさわしい状態で収納していない場合に限定することが可能となって簡素にすることができる。しかも、使用する遮蔽体6は、基地局から携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽するものであるから、従来のように電磁波を遮蔽する必要がなく,簡単で安価に製作することができる。また、検出器2による検出は、携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出することによって判別することができるので、その構成も簡単にすることができる。
【0026】
こうして、電源を入れたままで携帯電話機を会場内に持ち込むことを回避することができる。また、基地局からの着信信号が携帯電話機に通知されないように会場内全体を遮蔽する場合に比べて、簡単な構成で、かつ安価に実現することができる。
【0027】
また、遮蔽体6との併用によって入場者が集中しても検出器2による検出は、電源を入れた状態の携帯電話機を遮蔽体6内に収納したもののふさわしい状態で収納していない場合に制限することができるので、携帯電話器から基地局に対して発した制御信号を検出する検出器2によって容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ゲート
2 検出器
3 表示装置
4 アンテナ
5 テーブル
6 遮蔽体
7 挿入口
8 封じ部
9 受信部
10 処理判定部
11 記憶部
12 表示処理部
13 制御部
14 建屋出入り口
15 表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会場に入る際に携帯電話機の電源を切って入るように促す携帯電話所持検出装置において、
基地局から前記携帯電話器に対して発する制御信号を遮蔽すると共に前記携帯電話機を収納可能な遮蔽体と、会場内に入るのを制限するゲートを通過する際に前記携帯電話器から基地局に発する制御信号を検出する検出器と、この検出器による検出があったときに出力する出力装置とを備えて構成したことを特徴とする携帯電話所持検出装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、一方の端部に挿入口と、折り曲げることによって前記挿入口を封じることが可能な封じ部とを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話所持検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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