説明

携帯電話機、留守番電話機能起動方法、及びプログラム

【課題】水中における留守番電話機能に係るユーザ操作の煩わしさを解消し、また、水中での作業に注意を集中させる。
【解決手段】電話着信が発生すると、携帯電話機が水中に在るかを判定し、水中ではない場合には、着信音鳴動や、バイブレータ駆動、着信画面表示の着信表示を行う。一方、携帯電話機が水中に在ると判定された場合には、携帯電話機に加わる水圧を検出し、水圧が閾値「n」以上であるかを判定し、水圧が閾値「n」以上と判定した場合には、留守番電話機能を起動し、水中専用の留守番電話応答メッセージを読み出して再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話着信が発生した際に、携帯電話機が水中に在る場合であっても留守番電話機能で自動応答可能な携帯電話機、留守番電話機能起動方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水や埃による影響を軽減するために、防水機能を付加した携帯電話機が市場に提供されている。例えば、水中に在ることを検出する機能と、水圧を検出する機能とを有し、圧力の検出部により検出された負荷が水圧に起因するものなのか、他の圧力に起因するものなのかを判定し、水圧の程度に応じて所定の制御を行う携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−35054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、水中では、ユーザの呼吸や、発声が続かないため、会話による電話への対応が困難である。そのため、ダイビングでは、ユーザが直ちに水上へ浮上できない深い水中に在るときに、電話着信が発生した場合、電話対応の方法として留守番電話機能による応答が考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1のような携帯電話機においては、会話が困難である水中において発生した電話着信に応答するための考慮がなされておらず、水中に在るときに電話着信が発生した場合、ユーザ自らが携帯電話機を操作して留守番電話機能を起動する必要があり操作が煩わしかった。
【0006】
また、留守番電話機能を起動する際に、一時的にユーザの注意が携帯電話機に向けられるため、水中で事故を起こす恐れがあった。また、特許文献1のダイバー機能を持たせた携帯電話機においては、水中と判定したことでキーロックをかけるため留守番電話機能を起動するためのユーザ操作もできなかった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決することのできる携帯電話機、留守番電話機能起動方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、防水構造を備え、電話着信に対して自動応答する留守番電話機能を提供する携帯電話機であって、水中に在ることを検出する水中検出手段と、水圧を検出する水圧検出手段と、前記水中検出手段による検出結果と前記水圧検出手段による検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする携帯電話機である。
【0009】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、防水構造を備えた携帯電話機の電話着信に対する留守番電話機能起動方法であって、水中に在ることを検出する水中検出ステップと、水圧を検出する水圧検出ステップと、前記水中検出ステップでの検出結果と前記水圧検出ステップでの検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御ステップとを含むことを特徴とする留守番電話機能起動方法である。
【0010】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、防水構造を備え、電話着信に対して自動応答する留守番電話機能を提供する携帯電話機のコンピュータに、水中に在ることを検出する水中検出機能、水圧を検出する水圧検出機能、前記水中検出機能での検出結果と前記水圧検出機能での検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、水中における留守番電話機能に係るユーザ操作の煩わしさを解消することができ、また、水中での作業に注意を集中することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態による携帯電話機において留守番電話機能の起動から終了までを説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の携帯電話機において留守番電話サービスの使用、及び停止を制御する動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施形態による携帯電話機本体の留守番電話モードの設定、及び解除を制御する動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明では、電話着信が発生した際に、携帯電話機が水中に在り、かつ閾値以上の水圧が加わっていることを判定し、当該判定結果に応じて自動的に留守番電話機能を起動して着信に応答する。さらに、本発明では、当該判定結果に水圧の条件を加えていることで、水圧が低い浅い水中であれば携帯電話機を水上に取り出して電話着信に応答するが、水圧が高い深い水中であれば携帯電話機を水中で使用継続しつつ電話着信に応答するといった使用方法の考慮も可能とする。
【0014】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図である。図において、携帯電話機100は、CPU(中央処理装置)10を搭載しており、CPU10は、バス30を介して装置内の各部と接続されている。ROM11は、CPU10が実行するための電子メールエディタや、留守番電話機能、水中検出部21、水圧検出部22の制御といった各種の制御プログラムや、各種メロディを鳴音するための固定的なメロディデータを格納したリード・オン・メモリーである。また、ROM11には、後述する留守番電話機能を起動するための動作プログラムや、水中専用の応答メッセージのデータも格納している。
【0015】
RAM(ランダム・アクセス・メモリ)12は、使用者が入力したデータや、ダウンロードしたデータを保存する用途に使用されると共に、インターネットにアクセスした際のデータを一時的に保存したり、作業用のメモリとしても利用される。また、RAM12は、本第1実施形態においては、留守番電話機能により録音された伝言メモのデータの格納にも利用している。
【0016】
無線機送受信部13は、無線によってデータの送受信を行う回路である。マイク14、スピーカ15、レシーバ16は、通話を行う際に使用する音響部品であり、マイク14にて送話者の音声を入力し、スピーカ15またはレシーバ16より相手話者の音声を出力する。表示制御部17は、表示部18の表示を制御する制御回路である。
【0017】
キー入力部19は、各種のキー(テンキー、機能キー、携帯電話機を折りたたんだり、スライドして閉じたりする際に外側に配置されるキー)より入力を受け付ける入力回路である。カメラ20は、静止画や動画を撮影するための光学センサであり、CPU10が、キー入力部19に割り付けられたシャッターボタンの押下を検知することで、カメラ20に入力されている画像を、RAM12へ保存する。
【0018】
水中検出部21は、携帯電話機が水中に在るかを検出するための水分検知センサであり、電極間に水分が付着して電流が流れることで水分の存在を検知する。これにより、水圧検出部22にて検出した負荷が、水圧によるものか、そうでないものかを判定する。なお、水中を検出する方法は、特許文献1にて提案されているような他の方法でもよい。水圧検出部22は、圧力センサであり、水中における水圧を検出する。
【0019】
次に、本第1実施形態の動作(留守番電話機能起動方法)について説明する。
図2は、本第1実施形態による携帯電話機において留守番電話機能の起動から終了までを説明するためのフローチャートである。該フローチャートは、電話着信発生時に実行される。電話着信が発生すると、図1の水中検出部21を用いて携帯電話機が水中に在るかを判定し(ステップS1)、水中ではない場合には、例えば、着信音鳴動や、バイブレータ駆動、着信画面表示の着信表示を行う(ステップS2)。その後、従来の携帯電話機と同様、ユーザが着信への応答操作を行い(ステップS3)、例えば、会話による応対の後、電話を切断する(ステップS4)。
【0020】
一方、携帯電話機が水中に在ると判定された場合には(ステップS1のYES)、図1の水圧検出部22を用いて携帯電話機に加わる水圧を検出し、水圧が閾値「n」以上であるかを判定する(ステップS5)。そして、水圧が閾値「n」未満の場合には、上述したステップS1の水中ではない場合と同様の処理を実施する(ステップS2〜S4)。
【0021】
また、水圧が閾値「n」以上と判定した場合には(ステップS5のYES)、留守番電話機能を起動し(ステップS6)、図1のROM11から水中専用の留守番電話応答メッセージを読み出し、再生を行う(ステップS7)。メッセージ再生後は、発信相手からの伝言メモ録音を行い(ステップS8)、電話切断する(ステップS4)。
【0022】
なお、ステップS5においての閾値「n」は、携帯電話機の工場出荷時に設定されている固定値としてもよいし、ユーザにより変更可能な可変の値としてもよい。
【0023】
上述した本第1実施形態によれば、携帯電話機が水中に在ること、及び一定以上の水圧であるかを判定し、当該判定結果に基づいて留守番電話機能を自動で起動して電話着信に応答するので、水中においてユーザが留守番電話起動の操作を行う必要がなくなり、操作の煩わしさを解消することができる。さらに、操作が不要となることで、ユーザの注意を携帯電話機から水中に関連する事項に向けることができる(水中での安全性を確保)。
【0024】
また、本第1実施形態によれば、携帯電話機が水中に在ること、及び一定以上の水圧であるかを判定し、当該判定結果に基づいて留守番電話機能を自動で起動して電話着信に応答し、水中専用の応答メッセージを再生するので、電話を発信した側が、現在、着信側の携帯電話機が水中に在ることを容易に認識することができる。
【0025】
また、本第1実施形態によれば、携帯電話機が水中に在ること、及び一定以上の水圧であるかを判定し、当該判定結果に基づいて留守番電話機能を自動で起動して電話着信に応答するので、着信音鳴動やバイブレータ駆動の様な着信表示が不要になり、その分の電力消費を抑えることができる。
【0026】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態では、ネットワークにより実現される留守番電話サービスの使用、及び停止を制御する。なお、携帯電話機の構成は、図1と同様であるので説明を省略する。
【0027】
図3は、本第2実施形態の携帯電話機において留守番電話サービスの使用、及び停止を制御する動作を説明するためのフローチャートである。本第2実施形態では、図2における水中に在るかの判定(ステップS1)と、水圧が閾値以上であるかの判定(ステップS5)を実施するタイミングを、例えば、タイマ等の携帯電話機内部で発生するイベントのタイミングで実施するように変更して、定期的に判定を行うようにする。
【0028】
監視を開始すると、携帯電話機が水中に在るかを判定し(ステップS10)、水中ではない場合、留守番電話サービスが停止中であるかを判定し(ステップS11)、停止中ではない場には、ネットワークへ留守番電話サービス停止の信号を送信する(ステップS12)。一方、留守番電話サービスが停止中である場合には(ステップS11のYES)、当該処理を終了する。
【0029】
また、携帯電話機が水中に在ると判定した場合には(ステップS10のYES)、携帯電話機に加わる水圧が閾値「n」以上であるかを判定する(ステップS13)。そして、水圧が閾値「n」未満の場合には(ステップS13のNO)、ステップS10で水中ではないと判定した場合と同様に、ステップS11〜S12を実施して終了する。
【0030】
一方、水圧が閾値「n」以上の場合には(ステップS13のYES)、留守番電話サービスを使用中であるかを判定し(ステップS14)、使用中でない場合には、ネットワークへ留守番電話サービス使用の信号を送信する(ステップS15)。また、留守番電話サービス使用中の場合には(ステップS14のYES)、当該処理を終了する。
【0031】
上述した第2実施形態によれば、携帯電話機が水中に在ること、及び一定以上の水圧であるかを判定し、当該判定結果に基づいて、ネットワークにより実現される留守番電話サービスの使用、及び停止を制御するので、水中においてユーザが留守番電話起動の操作を行う必要がなくなり、操作の煩わしさを解消することができる。さらに、操作が不要となることで、ユーザの注意を携帯電話機から水中に関連する事項に向けることができる(水中での安全性を確保)。
【0032】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、前述した第2実施形態であるネットワークの設定の代わりに、携帯電話機本体の設定について、留守番電話モードの設定、及び解除を行う。
【0033】
図4は、本第3実施形態による携帯電話機本体の留守番電話モードの設定、及び解除を制御する動作を説明するためのフローチャートである。本第3実施形態では、前述した第2実施形態におけるステップS11とステップS14の判定対象、及びステップS12とステップS15の設定対象を、ネットワークから携帯電話機本体に置き換えている。
【0034】
監視を開始すると、携帯電話機が水中に在るかを判定し(ステップS20)、水中ではない場合、留守番電話モードが解除中であるかを判定し(ステップS21)、解除中ではない場には、携帯電話機を留守番電話モード解除に設定する(ステップS22)。一方、留守番電話モードが解除中である場合には(ステップS21のYES)、当該処理を終了する。
【0035】
また、携帯電話機が水中に在ると判定した場合には(ステップS20のYES)、携帯電話機に加わる水圧が閾値「n」以上であるかを判定する(ステップS23)。そして、水圧が閾値「n」未満の場合には(ステップS23のNO)、ステップS20で水中ではないと判定した場合と同様に、ステップS21〜S22を実施して終了する。
【0036】
一方、水圧が閾値「n」以上の場合には(ステップS23のYES)、留守番電話モードを設定中であるかを判定し(ステップS24)、設定中でない場合には、携帯電話機を留守番電話モードに設定する(ステップS25)。また、留守番電話モード設定中の場合には(ステップS24のYES)、当該処理を終了する。
【0037】
上述した第3実施形態によれば、携帯電話機が水中に在ること、及び一定以上の水圧であるかを判定し、当該判定結果に基づいて、携帯電話機本体の留守番電話モードの設定、及び解除を制御するので、水中においてユーザが留守番電話起動の操作を行う必要がなくなり、操作の煩わしさを解消することができる。さらに、操作が不要となることで、ユーザの注意を携帯電話機から水中に関連する事項に向けることができる(水中での安全性を確保)。第3の実施形態の処理と第2の実施形態の処理とは、同時に行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 無線機送受信部
14 マイク
15 スピーカ
16 レシーバ
17 表示制御部
18 表示部
19 キー入力部
20 カメラ
21 水中検出部
22 水圧検出部
30 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水構造を備え、電話着信に対して自動応答する留守番電話機能を提供する携帯電話機であって、
水中に在ることを検出する水中検出手段と、
水圧を検出する水圧検出手段と、
前記水中検出手段による検出結果と前記水圧検出手段による検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記制御手段は、
電話着信が発生した際に、前記水中検出手段により当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出手段により一定以上の水圧に在ると検出された場合に、前記留守番電話機能を起動し、所定の応答メッセージを再生することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記留守番電話機能は、
ネットワークを介して提供される留守番電話サービスであり、
前記制御手段は、
前記水中検出手段により当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出手段により一定以上の水圧に在ると検出された場合に、前記ネットワークを介して前記留守番電話サービスの使用を要求することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記水中検出手段により当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出手段により一定以上の水圧に在ると検出された場合に、電話着信が発生した際に前記留守番電話機能を動作させる留守番電話モードに設定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記留守番機能は、
少なくとも、通話相手に所定の応答メッセージを再生する機能、または/及び通話相手からのメッセージを録音する機能を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯電話機。
【請求項6】
防水構造を備えた携帯電話機の電話着信に対する留守番電話機能起動方法であって、
水中に在ることを検出する水中検出ステップと、
水圧を検出する水圧検出ステップと、
前記水中検出ステップでの検出結果と前記水圧検出ステップでの検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御ステップと
を含むことを特徴とする留守番電話機能起動方法。
【請求項7】
前記制御ステップは、
電話着信が発生した際に、前記水中検出ステップで当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出ステップで一定以上の水圧に在ると検出された場合に、前記留守番電話機能を起動し、所定の応答メッセージを再生することを特徴とする請求項6に記載の留守番電話機能起動方法。
【請求項8】
前記留守番電話機能は、
ネットワークを介して提供される留守番電話サービスであり、
前記制御ステップは、
前記水中検出ステップで当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出ステップで一定以上の水圧に在ると検出された場合に、前記ネットワークを介して前記留守番電話サービスの使用を要求することを特徴とする請求項6に記載の留守番電話機能起動方法。
【請求項9】
前記制御ステップは、
前記水中検出ステップで当該携帯電話機が水中にあり、かつ、前記水圧検出ステップで一定以上の水圧に在ると検出された場合に、電話着信が発生した際に前記留守番電話機能を動作させる留守番電話モードに設定することを特徴とする請求項6に記載の留守番電話機能起動方法。
【請求項10】
防水構造を備え、電話着信に対して自動応答する留守番電話機能を提供する携帯電話機のコンピュータに、
水中に在ることを検出する水中検出機能、
水圧を検出する水圧検出機能、
前記水中検出機能での検出結果と前記水圧検出機能での検出結果とに基づいて、前記留守番電話機能の動作を制御する制御機能
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−74922(P2012−74922A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218091(P2010−218091)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】