説明

携帯電話機および着信転送方法

【課題】着信があっても電話にでられない人に、他の人を介して用件を伝えることを可能にした携帯電話機を提供する。
【解決手段】基地局を介して他の電話機と通信するための第1の通信部と、所定の距離内で直接に他の携帯電話機と通信するための第2の通信部と、接続要求信号の転送先の候補として携帯電話機の識別子が記述されたリストが格納され、第1の通信部を介して接続要求信号を受け付けた後、所定の時間内にユーザが応答しない、または、接続要求信号の送信元から転送指示があると、所定の距離内にリストに属する識別子の携帯電話機があるか第2の通信部を介して探索し、リストに属する識別子の携帯電話機があれば、携帯電話機に接続要求信号を転送することを第1の通信部を介して基地局に指示する制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機および着信転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自宅の固定電話機にかかってきた電話を携帯電話機に転送するサービスが行われている。しかし、このサービスを利用することで携帯電話機に電話が転送されても、ユーザが電話に出られないこともある。この問題に対して、携帯電話機に着信を転送するのではなく、相手先の電話番号を電子メールで携帯電話機に通知する技術が開示されている(特許文献1参照)。これにより、ユーザは、電話をかけられる状況になったときに、電子メールの電話番号を見て、電話をかけてきた人に自分の方から電話をかけることができる。
【0003】
なお、携帯電話機にBluetooth(登録商標)の機能を備えたものがある(特許文献2参照)。また、携帯電話機とハンズフリー端末の両方にBluetooth(登録商標)機能を備え、車の運転中での通話を可能にしている例がある。
【特許文献1】特開2003−46663号公報
【特許文献2】特開2002−319887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の場合、相手が携帯電話機で電話を受けられないとき、相手に自分の電話番号が通知されるが、相手がいつ電話をかけてきてくれるかわからない。急いで連絡をとりたい場合には不便である。
【0005】
複数のメンバで複数の車に分乗してドライブに行く際、次のような問題が起こり得る。複数のメンバは出発前に車の台数に応じてグループに分かれる。走行中に、先頭から2台目以降の車に乗っているメンバが休憩したいと思い、先頭車両の運転手の携帯電話機に電話をかける。運転手が携帯電話機の呼び出しに気がつかなければ、車はそのまま走行を続けてしまうことになる。運転手が呼び出しに気がついても、先頭車両がハンズフリー端末を装備していなければ、運転手はかかってきた電話を受けることができない。そして、運転手が着信履歴から電話をかけなおすために、停車させる場所を探しているうちに、電話をかけた人が休憩しようと思っていた場所を通りすぎてしまうことがある。
【0006】
この問題は、公道を走行中に休憩する場合に限らない。目的地までのルートを変更する場合、ルート変更点の交差点で右折または左折する旨を先頭車両の運転手に通知する前に先頭車両がその交差点を通過してしまうことが起こり得る。また、高速道路を走行中に高速道路から公道に下りる場合、高速道路の出口を先頭車両の運転手に通知する前に先頭車両がその出口で下りずに通過してしまうことが起こり得る。
【0007】
上述の問題は、その運転手の車に同乗している他のメンバに電話をかけて用件を言い、そのメンバが運転手に用件を伝えることで解決することもある。しかし、車の台数が多いと、どの車に誰が乗っていたかわからず、予想しながら電話をかけることになる。先頭に乗車したメンバの誰かと電話がつながるまで時間がかかってしまうと、上述の問題が起きてしまうことになる。
【0008】
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、着信があっても電話にでられない人に、他の人を介して用件を伝えることを可能にした携帯電話機および着信転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の携帯電話機は、
基地局を介して他の電話機と通信するための第1の通信部と、
所定の距離内で直接に他の携帯電話機と通信するための第2の通信部と、
通信接続を要求する旨の信号である接続要求信号の転送先の候補として携帯電話機の識別子が記述されたリストが格納され、前記第1の通信部を介して前記接続要求信号を受け付けた後、所定の時間内にユーザが応答しない、または、前記接続要求信号の送信元から転送指示があると、前記所定の距離内に前記リストに属する識別子の携帯電話機があるか前記第2の通信部を介して探索し、前記リストに属する識別子の携帯電話機があれば、該携帯電話機に前記接続要求信号を転送することを前記第1の通信部を介して前記基地局に指示する制御部と、
を有する構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電話をかけた先の相手が電話で応答できなくても、その人の近くにいる、予め登録された人を介して相手に用件を伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の携帯電話機は、基地局を介して通信する第1の手段と、端末同士で直接通信する第2の手段とを有し、第1の手段を介して受け取った接続要求に対して応答しないとき、第2の手段の通信範囲で、かつ、同じグループの他の端末にその接続要求を転送または通知することを特徴とする。以下に、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
本実施例の携帯電話機の構成を説明する。図1は本実施例の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、携帯電話機10は、基地局を介して他の端末と通信する無線通信部A22と、他の端末と直接に通信する無線通信部B22と、記憶部23と、制御部25とを有する。また、ユーザへのメッセージを表示する表示部26と、ユーザが指示を入力するための操作部27と、マイク28と、スピーカ29とが設けられている。
【0014】
無線通信部B22は端末同士で直接通信するための通信手段である。無線通信部B22の通信規格として、例えば、Bluetooth(登録商標)がある。
【0015】
記憶部23には、ユーザ独自の電話帳が登録されている。電話帳には、氏名および電話番号の情報を含むエントリが登録されている。電話番号が携帯電話機の識別子となる。以下では、携帯電話機の識別子を端末識別子と称する。各エントリには、通常の携帯電話機に設けられた電話帳のように、郵便番号および住所などの情報が含まれていてもよい。
【0016】
本実施例の電話帳には、各エントリに、電話の転送先として指定するための欄が設けられている。この欄を転送指定欄と称する。転送先に指定する電話番号については、その電話番号のエントリの転送指定欄に、転送先に指定する旨の印が記述される。転送先に指定しない電話番号については、その電話番号のエントリの転送指定欄は空欄になる。
【0017】
予め決めた複数の人のうち誰にでも電話を転送してもよい場合がある。この場合、複数の転送先を1つのグループとし、転送先に指定されたエントリの転送指定欄にはそのグループを特定するための識別子であるグループ識別子が記述される。同じグループ識別子が記述されたエントリのリストがグループメンバリストに相当する。グループメンバリストには、少なくともグループ識別子と携帯電話機の識別子の情報が含まれていればよい。以下に、具体例を説明する。
【0018】
複数のメンバで複数台の車に分乗してドライブに行く際、車の台数に応じてグループに分かれる。各車の運転手は、運転中に電話がかかってきても電話に出られないので、同乗するメンバの携帯電話機を転送先に選ぶ。運転手のうちの一人は、出発前に携帯電話機を操作して、転送先に選んだメンバのエントリの転送指定欄にグループ識別子「G1」を設定する。
【0019】
また、ドライブの“行き”と“帰り”で同乗するメンバが異なる場合がある。この場合、運転手の一人は、“行き”に同乗するメンバのエントリの転送指定欄にグループ識別子「G1」を設定し、“帰り”に同乗するメンバのエントリの転送指定欄にグループ識別子「G2」を設定する。なお、グループが1つしかない場合には、グループメンバリストには、グループ識別子は必要なく、同じグループのメンバの携帯電話機の識別子の情報があればよい。
【0020】
制御部25は、無線通信部A22を管理する通信管理部A24と、無線通信部B22を管理する通信管理部B24とを有する。制御部25には、プログラムにしたがって所定の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムが格納されたメモリ(不図示)とが設けられている。CPUがプログラムを実行することで、通信管理部A24および通信管理部B24が仮想的に構成される。
【0021】
通信管理部A24は、通信接続を要求する旨の信号である接続要求信号を基地局から受信すると、モータ(不図示)による振動またはスピーカ29からの呼び出し音で、電話がかかってきたことをユーザに通知する。予め決められた所定の時間内にユーザが応答しなければ、ユーザへの通知を停止する。そして、接続要求信号には発信元の端末識別子の情報が含まれているので、接続要求信号の発信元の端末識別子の情報を通信管理部B24に渡す。
【0022】
通信管理部B24は、接続要求信号の発信元の端末識別子の情報を通信管理部A24から受け取ると、その端末識別子が記憶部23に登録されたグループメンバリストにあるか否かを調べる。通信管理部A24から受け取った端末識別子がグループメンバリストに属している場合、その端末識別子が属するグループのグループ識別子および自装置の端末識別子の情報と応答を要求する旨の情報を含む報知情報を送出する。通信管理部A24から受け取った端末識別子がグループメンバリストに属していない場合、何もせずに処理を終了する。
【0023】
また、通信管理部B24は、報知情報の応答として、グループ識別子と端末識別子の情報を含む応答情報を受信すると、グループ識別子が応答情報に含まれる情報と一致するグループメンバリストを記憶部23で参照する。そして、そのグループメンバリストに、応答情報に含まれる端末識別子が登録されていることを認識すると、基地局に対して、その端末識別子を接続要求信号の転送先に指定する旨を通知する。
【0024】
一方、通信管理部B24は、報知情報を他の端末から受信すると、グループ識別子が報知情報に含まれる情報と一致するグループメンバリストが登録されているか調べる。グループ識別子の一致するグループメンバリストがあると、報知情報に含まれる端末識別子がそのグループメンバリストに登録されているか否かを調べる。報知情報に含まれる端末識別子がそのグループメンバリストに登録されている場合、グループ識別子と自装置の端末識別子の情報を含む応答情報を報知情報の送信元に送信する。報知情報に含まれる端末識別子がそのグループメンバリストに登録されていない場合、報知情報の応答要求には答えず処理を終了する。
【0025】
さらに、制御部25は、マイク28で入力される音声をデジタル信号に変換し、その信号を符号化して無線通信部を介して外部に送信する。また、無線通信部を介して受信する音声信号を復号化してスピーカ29に出力させる。これらの通話機能は通常の携帯電話機と同様であるため、本実施例では、詳細な説明を省略する。さらに、DSP(Digital Signal Processor)を制御部25に設け、DSPにアナログ信号とデジタル信号の切り替えを行わせるようにしてもよい。
【0026】
操作部27には、オンフックボタン、オフフックボタンおよび文字入力キーなどの他に、電話をかけた際に発信先の携帯電話機に電話の転送を指示するための転送指示ボタン(不図示)が設けられている。発信元で転送指示ボタンを押せば、発信先の携帯電話機が所定の時間、呼び出しを続けるのを待つ必要がなく、発信元の意思で電話の転送を早く指示することが可能になる。なお、転送指示ボタンの代わりに、既存のボタンに対して予め決められた操作により転送の指示をできるようにしてもよい。
【0027】
なお、携帯電話機の基地局(不図示)は、接続要求信号の転送先を示す端末識別子の情報を受信すると、接続要求信号の発信先をその端末識別子で特定される電話機に切り替える。基地局における転送方法については、一般的に知られている方法と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0028】
次に、図1に示した携帯電話機の動作を説明する。図2は、本実施例の複数の携帯電話機において、着信を受けた端末が他の端末に着信を転送する動作を説明するための図である。以下では、携帯電話機をUE(User Equipment)と表記する。
【0029】
図2は、UE11からUE12にかかってきた電話に対してUE12のユーザが応答せず、UE12が近くにグループメンバの端末がないか探索し、探索の結果、グループメンバの端末があれば、その端末に電話を転送する場合を示す。各ユーザが予め自分のUEを操作してグループ登録を行うことにより、各UEの記憶部23にはグループ識別子とグループメンバのUEの端末識別子の情報を含むグループメンバリストが登録されている。UE11、UE12、UE15、およびUE16が同じグループに属するものとし、このグループの識別子をG1とする。
【0030】
図3は本実施例の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。図3では、図2に示したUE12とUE15の2台の携帯電話機の動作を示す。
【0031】
UE11のユーザが携帯電話機の操作部27を操作してUE12に電話をかける。UE12は基地局を介してUE11から接続要求信号を受信すると、電話がかかってきたことをユーザに通知するために、モータ(不図示)を振動させるか、または呼び出し音をスピーカ29から出力する。UE12の着信の通知に対して、UE12のユーザが応答しないか、またはUE11からの転送指示があると、これが転送トリガとなってUE12の通信管理部A24に入力される。通信管理部A24は、転送トリガが入力されると、発信元のUE11の端末識別子の情報を通信管理部B24に渡す(ステップ201)。
【0032】
UE12の通信管理部B24は、UE11の端末識別子の情報を通信管理部A24から受け取ると、記憶部23に登録されたグループメンバリストにUE11が含まれているか否かを調べる(ステップ202)。そして、UE11がグループ識別子G1のグループメンバリストに入っていることを確認すると、通信手段を切り替える旨を通信管理部A24に通知し、通信手段を無線通信部B22に切り替える(ステップ203)。続いて、グループ識別子G1およびUE12の端末識別子の情報を含む報知情報を無線通信部B22を介して外部に送出する(ステップ204)。
【0033】
UE15の通信管理部B24は、UE12から報知情報を受信すると、記憶部23に登録されたグループメンバリストにUE12が含まれているか否かを調べる(ステップ205)。そして、UE12がグループ識別子G1のグループメンバリストに含まれていると判断すると、グループ識別子G1およびUE15の端末識別子の情報を含む応答情報をUE12に送信する(ステップ206)。
【0034】
なお、ステップ205で、図2に示したUE13およびUE14も、UE12から報知情報を受信すると、記憶部23に登録されたグループメンバリストにUE12が含まれているか否かを調べる。本実施例においては、UE13およびUE14はUE12と別のグループメンバに属するため、UE13およびUE14にはグループ識別子G1のメンバリストが登録されておらず、UE13およびUE14は応答要求に答えずに処理を終了する。
【0035】
UE12の通信管理部B24は、UE15から応答情報を受信すると、通信手段の切り替えを通信管理部A24に通知し、UE15の端末識別子の情報を渡す(ステップ207)。UE12の通信管理部A24は、UE15の端末識別子とUE15に接続要求先を変更する旨の情報を基地局に送信し、UE11からの接続要求信号をUE15に転送させる(ステップ208)。
【0036】
ステップ208の後、UE15のユーザが呼び出しに応答しなければ、UE15とUE16が図3に示した動作手順と同様な処理を行い、UE11からの接続要求をUE16に転送する。
【0037】
次に、上述の動作手順を簡潔にまとめて説明する。
【0038】
無線通信ネットワークに相当する携帯電話網(図2に示すネットワークA)におけるUE11からUE12への接続要求は、それぞれの端末の通信管理部A24を用いて行われる。接続要求による着信を受けたUE12がUE11に応答しないと、UE12の通信手段が通信管理部A24から通信管理部B24に切り替わる。UE12の通信管理部B24は、無線通信部B22による通信可能なエリア(ネットワークB)内のUEのうち同じグループメンバリストに属するUEを探索する。そして、応答してきたUE15にUE11からの接続要求を転送するために、UE12の通信管理部A24が接続要求の転送先の情報を基地局に通知する。これにより、UE11からの接続要求がUE15に転送される。転送先のUE15も応答しないと、上述の転送方法と同様にして、UE15の通信可能なエリア(ネットワークB’)内のUEのうち同じグループメンバリストに属するUEを探索する。そして、UE15は、応答してきたUE16にUE11からの接続要求を転送する。
【0039】
なお、本実施例では、電話帳の各エントリに転送指定欄を設けて、各エントリの電話番号が転送先に指定されているか否かを登録する場合で説明したが、電話帳とは別にグループメンバリストを格納するようにしてもよい。また、グループメンバリストを記憶部23に登録する場合で説明したが、制御部25内のメモリ(不図示)に登録してもよい。
【0040】
また、図2および図3の説明ではグループが複数ある場合として、報知情報にグループ識別子を含むとしたが、グループが1つであれば、報知情報にグループ識別子の情報がなくてもよい。
【0041】
本発明によれば、連絡をとりたい人の携帯電話機に電話をかけても応答してくれないとき、その人と所定の距離内にいる、同じグループの他の人の携帯電話機に着信が転送される。そのため、電話で応答可能な人に、電話で応答できない人への伝言をお願いすることが可能となる。車の運転手のように運転中に電話に出られなくても、同乗する他の人の携帯電話機に着信が転送されるため、電話に応答可能な人が運転手に用件を伝えることができる。
【実施例2】
【0042】
本実施例は、着信の転送先を探索する際に、複数の端末から応答があると、応答の最も早かった端末を転送先に指定するものである。
【0043】
本実施例の携帯電話機の構成と動作を説明する。以下では、実施例1と同様な構成については詳細な説明を省略し、本実施例に関連する部分について詳細に説明する。
【0044】
図4は本実施例の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。携帯電話機100には、クロック信号を生成するための信号発振器32が設けられている。制御部25には、クロック信号の入力をカウントすることで時間を計測するカウンタ回路33が設けられている。
【0045】
通信管理部B24は、カウンタ回路33を動作させて、無線通信部B22を介して報知情報を送出したときから応答情報を受信するまでの時間を計測する。そして、複数の端末から応答情報を受信する場合、報知情報を送出してから最も早い時間に応答情報を送ってきた端末を接続要求の転送先に指定する。
【0046】
このようにして転送先を指定するのは、応答してきた複数の携帯電話機のうち、応答の一番早かった携帯電話機が、報知情報を送出した携帯電話機の最も近くにあると考えられるからである。本実施例によれば、連絡をとりたい人の最も近くにいる人の携帯電話機に電話を転送することができる。
【実施例3】
【0047】
本実施例は、着信を転送する際、着信の転送元に接続要求信号の送信先を指定しないようにするものである。図2を用いて説明すると、UE15が着信の転送先を探索する際、UE12からも応答情報を受信し、着信の転送先をUE12に指定してしまうことが考えられる。この場合、UE15は、UE12から着信の転送を受けたのに、UE12に着信を転送してしまうことになる。本実施例は、このようなことを防ぐものである。
【0048】
本実施例の携帯電話機の構成と動作を説明する。以下では、実施例1と同様な構成については詳細な説明を省略し、本実施例に関連する部分について詳細に説明する。
【0049】
本実施例の報知情報は転送履歴を含んでいる。図2を用いて具体例を説明する。UE15から送出される報知情報には、UE12からUE15に接続要求信号が転送された旨の転送履歴の情報が含まれている。
【0050】
通信管理部B24は、報知情報を受信すると、報知情報に含まれる転送履歴を格納する。その後、自装置が接続要求信号の転送先に指定され、転送された接続要求にユーザが応答しなければ、接続要求信号の転送先を探すために、格納した転送履歴に自装置の識別子の情報を追加して履歴を更新し、更新した転送履歴を含む報知情報を送出する。他の端末から応答情報を受信すると、応答情報から端末識別子を読み出し、読み出した端末識別子が転送履歴に含まれていれば、その端末識別子の端末を接続要求信号の転送先の候補から除外する。
【0051】
このようにして、本実施例では、既に着信の転送先として選ばれた端末を再び転送先に指定してしまうことを防げる。なお、はじめに電話をかけたときにユーザが応答しなくても、しばらく時間を置いた後にユーザが応答できることもある。この場合、報知情報に転送履歴が含まれていなくもよく、既に着信の転送先となった端末に再び転送してもよい。転送履歴による転送管理を携帯電話機にさせるか否かを発信元のユーザの操作で選択できるようにしてもよい。
【実施例4】
【0052】
実施例1から実施例3はグループメンバの端末に着信を転送するものであるが、本実施例は、グループメンバの端末への着信の転送を行わず、発信元の端末の情報をグループメンバに通知するものである。
【0053】
本実施例の携帯電話機の構成と動作を説明する。以下では、実施例1と同様な構成については詳細な説明を省略し、本実施例に関連する部分について詳細に説明する。
【0054】
実施例1で説明した操作部27の転送指示ボタンの代わりに、着信情報転送ボタン(不図示)が設けられている。他の携帯電話機に対して接続要求を行っている間に、この着信情報転送ボタンが押されると、通信管理部A24は、着信情報を他の端末に転送を指示する旨の着信情報転送信号を携帯電話機に基地局を介して送信する。
【0055】
図3のフローチャートを参照して説明する。UE12の通信管理部24Bは、電話がかかってきても所定の時間内にユーザが応答しない、または、UE11から着信情報転送信号を受信すると、ステップ204で、報知情報の代わりに、発信元のUE11の端末識別子と着信があった旨の情報とを含む着信情報を無線通信部B22を介して送出する。
【0056】
UE15の通信管理部B24は、ステップ204で着信情報をUE12から受信すると、着信情報に含まれるグループ識別子が付与されたグループメンバリストが登録されているか否かを調べる。該当するグループメンバリストがあると、そのリストにUE11の端末識別子があるか否かを調べる。リストにUE11の端末識別子が登録されていれば、UE11から着信があった旨の情報を表示部26に表示する。一方、着信情報に含まれるグループ識別子が付与されたグループメンバリストがない場合、または、リストがあってもUE11の端末識別子が登録されていない場合、通信管理部B24は何もせずに処理を終了する。
【0057】
UE15のユーザは、表示部26に表示されたUE11の着信の情報を見て、UE11に電話をかける。UE11とUE15との基地局を介しての通信が確立すると、UE11のユーザが、UE12のユーザに対するメッセージをUE15のユーザに通知する。UE15のユーザは、電話をきった後に、UE11のユーザからのメッセージをUE12のユーザに伝える。
【0058】
本実施例では、連絡をとりたい人が電話に応答してくれなくても、その近くにいる、同じグループの人が電話をかけてきてくれる可能性がある。この場合、電話に応答してくれない人に対するメッセージの伝言を、電話をかけてきてくれた人に頼むことができる。
【実施例5】
【0059】
本実施例は、電子メールの送り先の携帯電話機のユーザに対してメールの内容について早く回答が欲しいときに、そのユーザの近くにいる人にメールの開封を催促してもらうものである。
【0060】
本実施例の携帯電話機の構成を説明する。以下では、実施例1と同様な構成については詳細な説明を省略し、本実施例に関連する部分について詳細に説明する。
【0061】
本実施例の携帯電話機には、電子メール機能が設けられている。電子メール機能は特許文献1に開示されたものと同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。実施例1で説明した操作部27の転送指示ボタンの代わりに、伝言要求ボタン(不図示)が設けられている。他の携帯電話機に対して接続要求を行っている間に、この伝言要求ボタンが押されると、通信管理部A24は、自装置の端末識別子と電子メールの開封を要求する旨のメッセージを含む伝言要求信号を、接続要求先の携帯電話機に基地局を介して送信する。
【0062】
携帯電話機は、電話がかかってきたことをユーザに知らせる動作を行っている間に、伝言要求信号を受信すると、通信管理部B24は、接続要求信号の送信元の携帯電話機の端末識別子が予め登録されたグループメンバリストにあるか否かを調べる。その端末識別子がグループメンバリストにあると、伝言要求信号を無線通信部B22を介して送出する。
【0063】
通信管理部B24は、無線通信部B22を介して伝言要求信号を受信すると、その信号に含まれる端末識別子が予め登録されたグループメンバリストにあるか否かを調べる。その端末識別子がグループメンバリストにある場合、端末識別子で特定されるユーザに対して電子メールの開封を催促するメッセージを表示部26に表示する。伝言要求信号に含まれる端末識別子がグループメンバリストにない場合、通信管理部B24は、何もせずに処理を終了する。
【0064】
本実施例の携帯電話機の動作を、図2を参照して説明する。
【0065】
UE11のユーザが操作部27を操作してUE12宛に電子メールを基地局を介して送信する。その後、UE11のユーザがUE12に電話をかけるが、UE12のユーザが応答しないと、操作部27の伝言要求ボタンを押す。これにより、UE11はUE12宛に伝言要求信号を送信する。UE12は、伝言要求信号をUE11から受信すると、UE11がグループメンバリストにあることを確認し、無線通信部B22を介して伝言要求信号を外部に送出する。
【0066】
UE15が伝言要求信号をUE12から受信すると、UE11がグループメンバリストにあるか否かを調べる。UE11の端末識別子がグループメンバリストにあることを認識すると、UE11のユーザに電子メールの開封を催促する旨のメッセージを表示部26に表示する。UE15のユーザは、UE12のユーザに対して電子メールを開封するように伝える。
【0067】
本実施例は、電話では伝えにくい内容を電子メールで相手先の携帯電話機宛に送った際、相手先にメールを早く開封して欲しい旨を電話で伝えたいが、電話に応答してくれないときに有効である。
【0068】
なお、メール開封催促ボタンの代わりに、既存のボタンに対して予め決められた操作によりメール開封催促の指示をできるようにしてもよい。また、伝言内容は電子メールの開封を催促するものに限られない。
【0069】
上記実施例1から実施例5のうちいずれを組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図2】実施例1の複数の携帯電話機において、着信を受けた端末が他の端末に着信を転送する動作を説明するための図である。
【図3】実施例1の携帯電話機の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例2の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
10 携帯電話機
A22、B22 通信管理部
A24、B24 無線通信部
23 記憶部
25 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して他の電話機と通信するための第1の通信部と、
所定の距離内で直接に他の携帯電話機と通信するための第2の通信部と、
通信接続を要求する旨の信号である接続要求信号の転送先の候補として携帯電話機の識別子が記述されたリストが格納され、前記第1の通信部を介して前記接続要求信号を受け付けた後、所定の時間内にユーザが応答しない、または、前記接続要求信号の送信元から転送指示があると、前記所定の距離内に前記リストに属する識別子の携帯電話機があるか前記第2の通信部を介して探索し、前記リストに属する識別子の携帯電話機があれば、該携帯電話機に前記接続要求信号を転送することを前記第1の通信部を介して前記基地局に指示する制御部と、
を有する携帯電話機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記リストに属する識別子の携帯電話機を探索する際、自装置の識別子の情報を含む報知情報を前記第2の通信部を介して外部に送出し、該報知情報に対する応答情報を前記第2の通信部を介して受信すると、該応答情報の送信元を示す識別子が前記リストに登録されているか否かを調べ、該識別子が前記リストに登録されていれば、該識別子の携帯電話機を前記接続要求信号の転送先に指定する、請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記接続要求信号の転送履歴の情報を前記報知情報に含み、転送履歴に含まれる識別子の携帯電話機を前記接続要求信号の転送先から除外する、請求項2記載の携帯電話機。
【請求項4】
クロック信号を生成する信号発振器が設けられ、
前記制御部に、前記クロック信号の入力をカウントして時間を計測するカウンタ回路が設けられ、
前記制御部は、
前記報知情報を送出したときから前記応答情報を受信するまでの時間を前記カウンタ回路で計測し、
前記応答情報を複数受信し、かつ、該応答情報の送信元を示す識別子が前記リストに登録されているとき、最も早く受信した応答情報の送信元の識別子で特定される携帯電話機を前記接続要求信号の転送先に指定する、請求項1から3のいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の通信部を介して前記接続要求信号を受け付けた後、前記所定の時間内に前記接続要求信号の送信元から該送信元の識別子およびメッセージの情報を含む伝言要求信号を受信すると、前記所定の距離内に前記リストに属する識別子の携帯電話機があるか前記第2の通信部を介して探索し、前記リストに属する識別子の携帯電話機があれば、該携帯電話機に前記第2の通信部を介して前記伝言要求信号を転送し、また、該伝言要求信号を前記第2の通信部を介して受信すると、該伝言要求信号に含まれる識別子が前記リストに登録されているか否かを調べ、該識別子が前記リストに登録されていれば、前記伝言要求信号に含まれるメッセージを表示部に表示させる、請求項1から4のいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項6】
基地局を介して他の電話機と通信するための第1の通信部と、
所定の距離内で直接に他の携帯電話機と通信するための第2の通信部と、
グループのメンバの携帯電話機の識別子が記述されたリストが格納され、通信接続を要求する旨の信号である接続要求信号を前記第1の通信部を介して受け付けた後、所定の時間内にユーザが応答しない、または、前記接続要求信号の送信元から着信情報転送の指示があると、前記所定の距離内に前記リストに属する識別子の携帯電話機があるか前記第2の通信部を介して探索し、前記リストに属する識別子の携帯電話機があれば、該携帯電話機に前記第2の通信部を介して前記接続要求信号の送信元の識別子を含む着信情報を転送し、また、該着信情報を前記第2の通信部を介して受信すると、該着信情報に含まれる識別子が前記リストに登録されているか否かを調べ、該識別子が前記リストに登録されていれば、該識別子が示す携帯電話機から着信があった旨を表示部に表示させる、携帯電話機。
【請求項7】
基地局を介して他の電話機と通信するための第1の通信部と、所定の距離内で直接に他の携帯電話機と通信するための第2の通信部とを有する携帯電話機による着信転送方法であって、
通信接続を要求する旨の信号である接続要求信号の転送先の候補として携帯電話機の識別子が記述されたリストを格納し、
前記第1の通信部を介して前記接続要求信号を受け付けた後、所定の時間内にユーザが応答しない、または、前記接続要求信号の送信元から転送指示があると、前記所定の距離内に前記リストに属する識別子の携帯電話機があるか前記第2の通信部を介して探索し、
前記リストに属する識別子の携帯電話機があれば、該携帯電話機に前記接続要求信号を転送することを前記第1の通信部を介して前記基地局に指示する、着信転送方法。
【請求項8】
前記リストに属する識別子の携帯電話機を探索する際、自装置の識別子の情報を含む報知情報を前記第2の通信部を介して外部に送出し、
前記報知情報に対する応答情報を前記第2の通信部を介して受信すると、該応答情報の送信元を示す識別子が前記リストに登録されているか否かを調べ、
前記応答情報の送信元を示す識別子が前記リストに登録されていれば、該識別子の携帯電話機を前記接続要求信号の転送先に指定する、請求項7記載の着信転送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−10850(P2009−10850A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172129(P2007−172129)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】