説明

携帯電話機の電波品質測定装置及びシステム

【課題】 屋内における携帯電話機の電波品質調査を手作業によることなく効率的に行え、また調査者の精神的負担も解消させることができるようにする。
【解決手段】 本体部1と操作部2は、共に携帯可能なもので、操作部を手に持ちながら、本体部を例えばデイパックに収納した状態で持ち運び、屋内のフロアで測定を行った場合に、外部からは操作部と接続ケーブルが多少見えるぐらいとなるので、よもや携帯電話機を発呼しているようには見えず、操作者(調査者)も他者の目を気にせず安心して測定することができる。このため、調査者は挙動不審な人物と見られることもなくなり、調査者の精神的負担も格段に減少する。操作部からの発呼指示により、本体部において指定された調査ポイントでの測定を自動的に行い、測定結果をディスプレイ20に表示する

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に屋内における携帯電話機の電波品質を測定する携帯電話機の電波品質測定装置及び電波品質測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機の通話状態は、通話エリア内に設置されたアンテナに対して、電波を良好に送受信できるかどうかで決定される。このため、各携帯電話サービス会社は、通話状態の改善を図る資料を得るために、通話エリア内の種々の場所で電波品質を測定調査するようにしている。
【0003】このような電波品質の測定調査として、当初は、調査員が通話エリア内の各所で、実際の携帯電話機で発呼し、その通信状態及び電波品質を地図に記していくという地道な作業が行われていた。
【0004】しかし、通話エリアの拡大に伴い、このような手作業ではとうてい測定調査が追いつかず、また調査員の労力も相当なものとなっていた。
【0005】このため、近時、カーナビゲーションシステムと汎用型パソコンとを利用した車載型の電波品質測定装置が開発され、利用されている。この装置は、パソコンの制御で、そこに接続した携帯電話を発呼させ、かつそのときの通信状態(例えば発呼成功、正常切断、異常切断、話し中、圏外など)及び電波品質を測定し、その測定値をカーナビゲーションシステムで受信した地図上に記していくというものである。
【0006】この測定装置では、所定ポイントにおける電波品質の測定値が自動的に記録されていくこと、移動が自動車ごとなので行動範囲が広がることなどのメリットがあり、当初の測定調査方法に比べて格段に作業能率が向上するものとなった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電波品質を調査する測定ポイントは、屋外にとどまらず、屋内でも必要となる。特に多層階ビルなどでは、それぞれ多数のテナントが入居しているのが通常であり、各フロアの複数ポイントで電波品質を測定調査する必要がある。
【0008】しかし、上述した車載搭載型測定装置は、カーナビゲーションシステムと連動する装置構成としていること、汎用型パソコンで携帯電話の発呼制御及び測定をすることなどから、装置構成が大がかりとなっている。加えて、各装置構成が特に統一して配置されておらず、各装置相互は単にケーブルで接続されるだけの構成となっているので、当然のことながら持ち運びができるような装置構成ではない。
【0009】このため、この装置を屋内の調査に用いることができず、結局、屋内用の調査は、当初から行われていた手作業によって行わなければならなかつた。
【0010】また、屋内の調査が従来の手作業によらなければならない結果、その調査は、建物の複数箇所で何度も電話をかけたり切ったりしているので、挙動不審な人物に見られがちである。特に携帯電話サービス会社から委託を受けて調査を行っている調査員の場合は、ビルの警備員などから任意で質問を受けることはもとより、それに回答してもなかなか理解されず(この点、携帯電話会社サービスの社員であれば、社標や名刺の提示などでまだ理解されやすい)、このため調査員の精神的負担も多大なものがあった。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、主として屋内における携帯電話機の電波品質調査を手作業によることなく効率的に行え、また調査者の精神的負担も解消させることのできる電波品質測定装置及びシステムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の携帯電話機の電波品質測定装置は、携帯可能な操作部とこの操作部と接続ケーブルを介して接続される携帯可能な本体部とで構成され、前記操作部が、測定場所における各所に定めた調査ポイントにおいて携帯電話機発呼のオンオフ動作指令を入力する手段と、調査ポイントの切り替えを入力する手段と、携帯電話機を指定入力する手段と、通信状態を表示するディスプレイとを備え、前記本体部が、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機をそれぞれ接続するための複数の携帯電話機用インタフェースと、前記操作部からの前記オンオフ動作指令に基づき指定された携帯電話機の発呼制御を行い、接続過程からその後の通話過程における通信状態と電波品質を検出し、検出した通信状態を前記ディスプレイに表示する制御手段と、前記制御手段が検出した測定値を前記調査ポイントと関連付けて格納するメモリとを備えることを特徴としている。
【0013】請求項2に記載の携帯電話機の電波品質測定装置は、測定場所における各所に定めた調査ポイントにおいてその調査ポイントを指定して測定開始の指示を入力する手段を備える携帯可能な操作部と、前記操作部と接続ケーブルを介して接続される携帯可能な本体部とで構成され、前記本体部が、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機をそれぞれ接続するための複数の携帯電話機用インタフェースと、測定場所における各所に定めた調査ポイントのリストと通話時間、発信間隔及び測定回数を含む測定条件とを格納する第1記憶手段と、前記操作部からの測定開始指示に応答して操作部が指定した調査ポイントにおける測定条件を前記第1記憶手段から取り出し、その取り出した測定条件に従って前記複数の携帯電話機用インタフェースのそれぞれに接続される携帯電話機を個別に発呼制御し接続過程からその後の通話過程における通信状態と電波品質を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した電波品質を携帯電話機と調査ポイントとを関連付けて格納する第2記憶手段とを備えることを特徴としている。
【0014】請求項3に記載の携帯電話機の電波品質測定装置は、請求項2に記載の携帯電話機の電波品質測定装置において、前記操作部は、ディスプレイを備え、前記本体部は、前記測定中の通信状態を前記ディスプレイに表示する手段を備えることを特徴としている。
【0015】請求項4に記載の携帯電話機の電波品質測定システムは、請求項1に記載の携帯電話機の電波品質測定装置とデータ解析用端末とで構成される携帯電話機の電波品質測定システムであって、前記本体部が、前記データ解析用端末を接続するための端末用インタフェースを備え、前記端末用インタフェースに接続されたデータ解析用端末が、前記メモリから測定結果を取り出し、少なくとも当該端末の画面に調査ポイントが示されたフロア平面図と前記各携帯電話機の測定データとを表示する手段とを備えることを特徴としている。
【0016】請求項5に記載の携帯電話機の電波品質測定システムは、請求項2または請求項3に記載の携帯電話機の電波品質測定装置とデータ解析用端末とで構成される携帯電話機の電波品質測定システムであって、前記本体部が、データ解析用端末を接続するための端末用インタフェースを備え、前記端末用インタフェースに接続されたデータ解析用端末が、測定する建物内の1以上のフロアにおける前記調査ポイントのリストと前記測定条件とを前記第1記憶手段に書き込む手段と、前記第2記憶手段から測定結果を取り出し、少なくとも当該端末の画面に調査ポイントが示されたフロア平面図と前記各携帯電話機の測定データとを表示する手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】本発明の携帯電話機の電波品質測定装置は、操作部と本体部とを接続ケーブルを介して接続した分離型となっている。操作部は、数個の入力手段とディスプレイを備えるが、通信状態の数語の単語で表示できるので、ディスプレイは数桁を表示できればよく、全体として、例えば、通常の大人が手で握って持てる程度の大きさにすることができる。
【0018】また、本体部は、機能実現手段は小型化が可能であるので、例えば、通常の大人が背負うことのできるデイパックにすっぽり入ることのできる程度の大きさとすることができる。
【0019】したがって、操作部を手に持ちながら、本体部を例えばデイパックに収納した状態で持ち運び、屋内のフロア(測定場所)で測定を行った場合に、外部からは操作部と接続ケーブルが多少見えるぐらいとなるので、よもや携帯電話機を発呼しているようには見えず、操作者(調査者)も他者の目を気にせず安心して測定することができる。このため、調査者は挙動不審な人物と見られることもなくなり、調査者の精神的負担も格段に減少する。
【0020】また、請求項1に記載の携帯電話機の電波品質測定装置では、操作部からの発呼指示により、本体部において指定された調査ポイントでの測定を自動的に行い、測定結果をディスプレイに表示するので、能率よく測定が行えるだけでなく、操作者(調査者)はディスプレイの表示を見て確認できるので、リトライをする必要があるかなどの判断ができ、正確なデータ収集が行えるようになる。
【0021】また、請求項2に記載の携帯電話機の電波品質測定装置では、操作部からの開始指示により、全ての調査ポイントについての測定が自動的に行われるので、一層効率良い測定が行える。
【0022】また、請求項3に記載の携帯電話機の電波品質測定装置では、操作者(調査者)はディスプレイの表示を見て確認できるので、リトライをする必要があるかなどの判断ができ、正確なデータ収集が行えるようになる。
【0023】ここに、本発明の携帯電話機の電波品質測定装置では、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機をそれぞれ接続して、各携帯電話機の電波品質を同時に測定できる構成であるので、その測定ポイントにおける通信状態の比較ができ、アンテナの向きや設置ポイントなどの改善を容易に行うことができるほか、自社の測定値が他社のものと比較して良好な場合はセールス情報として有効に利用できる。
【0024】この点は、請求項4、5に記載の携帯電話機の電波品質測定システムでは、測定結果を画面に表示できるので、一層顕著な効果が得られることになる。
【0025】
【発明の実施の形態】《実施の形態1》図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置の構成を示す全体図である。
【0026】図1に示すように、この屋内電波品質測定装置8は、本体部1と、この本体部1に接続ケーブル(フラットケーブル)4を介して接続される操作部2とで構成されている。このように、本体部1と操作部2とは、接続ケーブル4を介して接続される分離型となっている。
【0027】本体部1は、通常のデイパックであればすっぽり収納可能な大きさ(縦200mm×横150mm×厚み50〜60mm程度)の小型筐体のもので、また重量も1.2kg程度と軽量であり、用意に持ち運ぶことができるようになっている。
【0028】現在、我が国での携帯電話サービス会社は、3社ある。この3社は、通信方式として、PDC(Personal Digital Cellular)方式を採用しているが、その中の1社は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式も採用している。
【0029】そこで、本体部1には、4台の携帯電話機3a、3b、3c、3dが接続できるようになっている。例えば、携帯電話機3a、3b、3cは、それぞれPDC方式対応の携帯電話機であり、携帯電話機3dは、CDMA方式対応の携帯電話機である。
【0030】また、本体部1には、充電用のコネクタ5と、パソコン用のコネクタ6が設けられている。
【0031】次に、操作部2は、ディスプレイ20と、操作ボタン群21とを備えている。筐体は、縦60mm×横130mm×厚み20mmの薄型に形成されており、十分片手で握って持てるハンディ型となっている。
【0032】ディスプレイ20は、カナ文字16桁×1行、つまり最大16文字表示の液晶表示器である。操作ボタン群21は、5個のボタンを備えている。右端に電源スイッチが配置されている。電源スイッチの隣にある2つの小型ボタンは、一方が発呼オンオフスイッチで、他方が測定ポイント切替スイッチである。また、左側の2つの大型ボタンは、組み合わせにより4つの携帯電話機3a〜3dを個別に指定入力するためのスイッチである。
【0033】なお、本実施の形態では、構成の簡易化を徹底させるため、測定ポイントの自動検出化機構(例えばカーナビゲーションシステム)は採用しておらず、代わりに、予め調査対象のフロアにおいて測定する調査ポイントを決め(図5参照)、その調査ポイントを計画通りの順番で指定するものとしている。このため、決められた順番と調査ポイントとを一致させる必要があることから、前記測定ポイント切替スイッチが設けられている。
【0034】次に、本体部1は、図2に示すように、CPUを備える制御部10と、測定データを格納するメモリ11と、携帯電話機3a〜3dが接続される携帯電話機用インタフェース12a〜12dと、パソコン用インタフェース13と、操作部用インタフェース14と、バッテリ電源15とを備えている。
【0035】携帯電話機用インタフェース12a〜12dは、携帯電話機用インタフェース12a〜12cがPDC用で、携帯電話機用インタフェース12dがCDMA用となっている。これらのインタフェースは、それぞれの方式に従った信号変換を行って制御部10と信号授受を行う。
【0036】パソコン用インタフェース13は、コネクタ6に接続されたデータ解析用端末であるパソコンと制御部10との信号授受を行う。操作部用インタフェース14は、制御部10と操作部2との信号授受を行う。
【0037】制御部10は、操作部2からの発呼オンオフ動作指令及び携帯電話機の指定に基づき、携帯電話機3a〜3bに対して発呼・切断制御を行うとともに、通信状態を携帯電話3a〜3dから検出して操作部2のディスプレイ21に出力し、接続状態である場合は電波品質状態を携帯電話機3a〜3dから検出してメモリ11に記録させる。
【0038】メモリ11には、検出した測定値が格納されるが、必要があれば、制御部10が、格納された測定値をパソコン用インタフェース13から図示しないデータ解析用のパソコンへ出力するようになっている。その結果、パソコンの画面には、図6に示すように、測定結果が表示される。
【0039】操作部2のディスプレイ20には、制御部10が検出した携帯電話機3a〜3dの通信状態が表示される。これにより、操作者は電波品質測定作業の確認が行える。
【0040】ここで、通信状態のうち通話不可能の場合には、あきらかに通話圏外である他に、異常切断、話し中など種々の要因による場合があり、そのような場合に電波品質を正確に測定するためには正常に接続できるまで何度も測定を行う必要があり(これをリトライという)、このため通話不可能な理由が圏外であるのか否かを確認する必要がある。
【0041】この確認を、このディスプレイ20で行うことになるが、それら通話不可能な理由の表示を長々とさせたのでは、操作部のコンパクト化が達成できない。そこで、その表示として、通信状態を任意の段階に分け、各段階を簡易的な記号または数字で表示させるものとすれば、ごく少数の文字(最低1文字)で通信状態が確認でき、操作部2をよりコンパクトにすることができる。
【0042】実施の形態では、通信状態を7段階に分け、各段階を0から6の数字に置き換えて表示させるようにしている。その一例として、0は通話イベントなし、1は発呼成功、2は正常切断、3は発呼失敗、4は異常切断、5は話し中、6は圏外となっている。表示が3〜5の場合は、リトライする必要がある。原則として、接続可能となるまで、その測定ポイントにおいて測定作業が続行されることになる。
【0043】このように、通信状態を7段階に分け、1文字の数字に置き換えて表示させているので、最大16文字しか表示できない簡易型ディスプレイ20であっても、4つの携帯電話3a〜3dの通信状態を一度に表示させることができるものとなっている。
【0044】以上のように、本実施の形態1による測定装置は、きわめてコンパクトな構成となっている。このため、操作部2を手に持ちながら、本体部1を例えばデイパックに収納した状態で持ち運びができ、その状態で、手に持った操作部2のボタン群21を操作すれば、各携帯電話機3a〜3dが自動的に発呼され、発呼・切断、通信状態及び電波品質の測定まで自動的に処理が行われるので、きわめて効率的に測定作業が行えるし、その通信状態をディスプレイ20で確認しながら、その測定ポイントにおける電波品質を正確に検出できることになる。
【0045】すなわち、屋内用の測定装置としては最適な装置構成であり、また外部からは操作部2と接続ケーブル4が多少見えるぐらいであることから、よもや携帯電話機3a〜3dを発呼しているようには見えず、操作者(調査者)も他者の目を気にせず安心して測定することができる。このため、調査者は挙動不審な人物と見られることもなくなり、調査者の精神的負担も格段に減少する。
【0046】さらに、本実施の形態1では、複数の携帯電話機3a〜3dの電波品質が測定できるので、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機の4種をそれぞれ接続すれば、その測定ポイントにおける自社を含めた複数社の電波品質の比較ができる。
【0047】したがって、他社の測定値が自社に比して良好な場合は、その他社のアンテナの向きや設置ポイントなどを参考にすることで、電波品質の改善を容易に行うことができる。一方、自社の測定値が他社のものと比較して良好な場合は、自社のセールス情報として有効に利用できるというメリットがある。
【0048】《実施の形態2》次に、図3は、本発明の実施の形態2に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置の構成を示す全体図である。
【0049】実施の形態1では、調査対象のフロアに定めた調査ポイントにおいて調査者が4台の携帯電話機毎に発呼オンオフ指令を本体部1に送り、測定する方法を示したが、本実施の形態2では、調査対象のフロアに定めた調査ポイントにおいて調査者がその調査ポイントの番号を入力すると、本体部1が、自動的に4台の携帯電話機に発呼制御を行って測定する。
【0050】そのため、本実施の形態2では、図3に示すように、操作部2にテンキー22を追加し、調査対象のフロアに定めた調査ポイントの番号が入力できるようにしている。
【0051】また、本体部1では、図示しないパソコンが、測定開始前の初期設定時と測定終了後のデータ収集時に接続ケーブル(RS232Cケーブル)を介してパソコン用のコネクタ6に接続される。
【0052】つまり、測定開始前の初期設定時においては、パソコンからメモリ11に、調査対象のフロアに定めた調査ポイントのリストと測定条件が書き込まれる。制御部10は、番号で指定された調査ポイントにおいて、定められた測定条件に従って自動的に4台の携帯電話機に発呼制御を行って測定し、メモリ11に測定結果を調査ポイントの番号と関連付けて格納するようになっている。
【0053】そして、測定終了後のデータ収集時においては、コネクタ6に接続されたパソコンがメモリ11から測定データを読み出し、パソコン画面に、測定結果を表示するようになっている(図6参照)。
【0054】次に、図4〜図6を用いて、本実施の形態2に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置及びパソコンを含めたシステムの動作を説明する。なお、図4は、本実施の形態2に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置及びパソコンを含めたシステムの処理手順を説明するフローチャートである。図5は、調査ポイントの設定作業を説明するフロア平面図である。図6は、パソコン画面への測定結果の表示例を示す図である。
【0055】図4において、ステップST1では、測定開始前の初期設定時においてコネクタ6にパソコンを接続し、パソコンからメモリ11に調査ポイントのリストと測定条件(通話時間、発信間隔(休止時間)、繰り返し回数(発信回数))を取り込む。
【0056】調査用ポイントの設定は、例えば図5に示すように、パソコン画面に表示させた調査対象フロアの平面図において、調査用ポイントのマークと番号(図5では、番号101〜106で記す)を明記することにより行われる。これは、測定する建物内の1以上のフロアにおいて行われる。調査ポイントのリストは、このように設定した調査ポイントの番号の一覧である。
【0057】ここに、1フロア当たりの調査ポイント数は、そのフロアの状況や測定時間(測定時間=通話時間×繰り返し回数×調査ポイント数)との関係で定められるが、200ポイント以下とする。また、通話時間は、10〜60秒内の所定値、発信間隔は、10〜30秒内の所定値、繰り返し回数(発信回数)は、1〜5回内の所定値と定められる。
【0058】調査者は、このように初期設定が済むと、パソコンをコネクタ6から外し、測定装置を持参して測定対象のフロアに出向き、操作部2の電源スイッチをオンにし、フロア平面図を持って測定を開始する。
【0059】ステップST2では、制御部10は、操作部2から測定ポイントの指定入力があるのを監視している。測定ポイントの指定入力があると、ステップST3に進む。
【0060】ステップST3では、制御部10は、操作部2から測定ポイントの指定入力に応答して、メモリ11から測定条件を取り出し、指定の携帯電話機について、発信・休止を指定回数繰り返し行い、通話品質を測定する。なお、4台の携帯電話機3a〜3dの測定順序は、測定条件の中に含まれている。
【0061】ステップST4では、制御部10は、測定結果を操作部2のディスプレイ20に表示し、メモリ11に調査ポイント番号と関連付けて保存する。ディスプレイ20には、通話イベントなし、発呼成功、正常切断、発呼失敗、異常切断、話し中、圏外などの測定結果の通信状態が表示される。
【0062】また、メモリ11には、測点における発信、切断、網接続、中断、受信データの取得までの一連の経過が保存される。例えば、発信では、「CTM、時刻」「SND、発信番号」が保存される。切断では、「DTM、時刻」が保存される。網接続では、「ONL、時刻」が保存される。中断では、「STP、手動中断」が保存される。受信データでは、「LVL、受信レベル」「RSN、理由表示値CC」「RSN、理由表示値RT」「RSN、理由表示値MM」「ELS、[HexData]、その他の情報」が保存される。
【0063】なお、測点は、PNT(調査ポイント)、番号、備考、測点名、日付、緯度、経度で規定される。そして、備考、緯度、経度は、パソコンでの設定がそのまま引用されるようになっている。
【0064】メモリ11への保存内容の具体例を示すと次のようになる。測点として「PNT、001、グランドホテルロビー、000101、・・」、発信として「CTM、00080」「SND、117」、受信データとして「ELS、[D1]12」「LVL、−83dBm以上」「ELS、[21]、発信音」が保存される。
【0065】また、その後、受信データとして「ELS、[35]2620000001、」「ONL、網接続」「ELS、[6A]、」「LVL、*−83dBm以上」が保存される。
【0066】さらに、その後、受信データとして「LVL、*−83dBm以上」「LVL、*−83dBm以上」「DTM、000080」「LVL、*−83dBm以上」が保存される。
【0067】次に、ステップST5では、制御部10は、4台の携帯電話機3a〜3dの全てについて測定が終了したか否かを判断する。終了していない場合は、ステップST3に戻り、次の携帯電話機についての測定を行う。このようにして、ある調査ポイントにおいて、4台の携帯電話機3a〜3dの全てについて電波品質の測定を行い、メモリ11に保存し、また操作部2のディスプレイ20に表示する。
【0068】ステップST6では、制御部10は、ある調査ポイントで4台の携帯電話機3a〜3dの全てについて測定が終了すると、全ての調査ポイントで測定が終了したか否かを判断する。調査者は、1つの調査ポイントで測定が終了すると、次の調査ポイントに移動し、調査ポイントを決定し指定を行うので、制御部10は、終了していない場合は、ステップST2に戻り、決定入力を待機する。
【0069】制御部10は、新しい調査ポイントの決定入力があると、その調査ポイントでステップST3〜ST5の処理を実行し、同様に、4台の携帯電話機3a〜3dの全てについて測定結果をメモリ11に保存し、また表示も行う。
【0070】ステップST7では、このようにして全ての調査ポイントでの測定が終了すると、調査者が、コネクタ6にパソコンを接続し、そのパソコンを操作してメモリ11から測定結果をパソコンに出力させる。
【0071】ステップST8では、パソコンが搭載する解析プログラムにより、測定結果が解析され、例えば図6R>6に示すように、パソコン画面に、調査ポイントが示されたフロアの平面図、4台の携帯電話機毎の測定データの選択表示欄、測定物件の所在場所を明示した地図等が表示される。
【0072】図6において、右側の上半分が、4台の携帯電話機毎の測定データの選択表示欄であるが、調査ポイントの番号と、CH1〜CH4の測定結果が表示されている。CH1〜CH4は、携帯電話機3a〜3dに対応する。つまり、ある調査ポイントにおける携帯電話サービス事業者毎の測定データが示される。
【0073】図示例では、RSSI(Received Signal Strength Indicator)平均値が表示されているが、その他発呼成功確率も表示でき、データ/再生も行えるようになっている。
【0074】また、右側の下方には、地図システムとのリンクにより所得した地図に測定物件の所在地が明示されている。
【0075】さらに、画面の下端部に表示されている、「統計データ」「グラフ表示(RSSI)」「グラフ表示(成功率)」「グラフ表示(アクセスタイム)」の各ボタンを操作することにより、左端に示されるように、フロア単位での比較統計グラフが表示できるようになっている。
【0076】このように、本実施の形態によるパソコンを含めたシステムによれば、異なる携帯電話サービス会社の4台の携帯電話機それぞれの電波品質を同時に比較することができるので、アンテナの向きや設置ポイントなどの改善を容易に行うことができるほか、自社の測定値が他社のものと比較して良好な場合はセールス情報として一層有効に利用できるようになる。
【0077】なお、本実施の形態では、「屋内のフロア」として、ホテルのロビーやデパートの各階の売り場をイメージして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば地下道や地下街、駅のホームや改札、連絡地下通路、遊園地やイベント会場なども「屋内のフロア」に含むものである。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、屋内における携帯電話機の電波品質調査を手作業によることなく効率的に行え、また調査者の精神的負担も解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置の構成を示す全体図である。
【図2】本体部の内部構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置の構成を示す全体図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯電話機の屋内電波品質測定装置及びシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】調査ポイントの設定作業を説明するフロア平面図である。
【図6】パソコン画面への測定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 操作部
3a,3b、3c、3d 携帯電話機
4 接続ケーブル
8 屋内用電波品質測定装置
10 制御部
11 メモリ
12a〜12d 携帯電話機用インタフェース
13 パソコン用インタフェース
14 操作部用インタフェース
15 バッテリ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯可能な操作部と、前記操作部と接続ケーブルを介して接続される携帯可能な本体部とで構成され、前記操作部が、測定場所における各所に定めた調査ポイントにおいて携帯電話機発呼のオンオフ動作指令を入力する手段と、調査ポイントの切り替えを入力する手段と、携帯電話機を指定入力する手段と、通信状態を表示するディスプレイとを備え、前記本体部が、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機をそれぞれ接続するための複数の携帯電話機用インタフェースと、前記操作部からの前記オンオフ動作指令に基づき指定された携帯電話機の発呼制御を行い、接続過程からその後の通話過程における通信状態と電波品質を検出し、検出した通信状態を前記ディスプレイに表示する制御手段と、前記制御手段が検出した測定値を前記調査ポイントと関連付けて格納するメモリとを備えることを特徴とする携帯電話機の電波品質測定装置。
【請求項2】 測定場所における各所に定めた調査ポイントにおいてその調査ポイントを指定して測定開始の指示を入力する手段を備える携帯可能な操作部と、前記操作部と接続ケーブルを介して接続される携帯可能な本体部とで構成され、前記本体部が、異なる携帯電話サービス会社の携帯電話機をそれぞれ接続するための複数の携帯電話機用インタフェースと、測定場所における各所に定めた調査ポイントのリストと通話時間、発信間隔及び測定回数を含む測定条件とを格納する第1記憶手段と、前記操作部からの測定開始指示に応答して操作部が指定した調査ポイントにおける測定条件を前記第1記憶手段から取り出し、その取り出した測定条件に従って前記複数の携帯電話機用インタフェースのそれぞれに接続される携帯電話機を個別に発呼制御し接続過程からその後の通話過程における通信状態と電波品質を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した電波品質を携帯電話機と調査ポイントとを関連付けて格納する第2記憶手段とを備えることを特徴とする携帯電話機の電波品質測定装置。
【請求項3】 請求項2に記載の携帯電話機の電波品質測定装置において、前記操作部は、ディスプレイを備え、前記本体部は、前記測定中の通信状態を前記ディスプレイに表示する手段を備えることを特徴とする携帯電話機の電波品質測定装置。
【請求項4】 請求項1に記載の携帯電話機の電波品質測定装置とデータ解析用端末とで構成される携帯電話機の電波品質測定システムであって、前記本体部が、前記データ解析用端末を接続するための端末用インタフェースを備え、前記端末用インタフェースに接続されたデータ解析用端末が、前記メモリから測定結果を取り出し、少なくとも当該端末の画面に調査ポイントが示されたフロア平面図と前記各携帯電話機の測定データとを表示する手段とを備えることを特徴とする携帯電話機の電波品質測定システム。
【請求項5】 請求項2または請求項3に記載の携帯電話機の電波品質測定装置とデータ解析用端末とで構成される携帯電話機の電波品質測定システムであって、前記本体部が、前記データ解析用端末を接続するための端末用インタフェースを備え、前記端末用インタフェースに接続されたデータ解析用端末が、測定する建物内の1以上のフロアにおける前記調査ポイントのリストと前記測定条件とを前記第1記憶手段に書き込む手段と、前記第2記憶手段から測定結果を取り出し、少なくとも当該端末の画面に調査ポイントが示されたフロア平面図と前記各携帯電話機の測定データとを表示する手段とを備えることを特徴とする携帯電話機の電波品質測定システム。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2002−246988(P2002−246988A)
【公開日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−37640(P2001−37640)
【出願日】平成13年2月14日(2001.2.14)
【出願人】(500395897)株式会社電巧社 (1)
【出願人】(595095353)株式会社三技協 (4)
【上記2名の代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【出願人】(301063496)東芝アイティー・ソリューション株式会社 (1,478)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
【Fターム(参考)】