説明

携帯電話機を用いた顧客識別管理方法

【課題】 新たな顧客に対してその氏名や住所などの個人情報の事前登録を必要とする認証を行わず、迅速性と汎用性に優れるとともに、その顧客情報を携帯電話機の画面上に表示することによって、多様なサービスに展開することができる携帯電話機を用いた顧客識別管理方法を提供する。
【解決手段】 店舗で取得された購入品目やポイントなどの顧客情報をインターネットに接続された管理サーバ13のデータベースで管理する顧客の所有する携帯電話機11を用いた顧客識別管理方法である。管理サーバ13にアクセスした携帯電話機11の固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードをそのデータベース上に生成して、携帯電話機11の所有者による顧客情報を店舗の情報端末12を介して前記管理サーバに送信して、顧客情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機を用いた顧客識別管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店などの店舗の多くは顧客を定着させるために磁気カード等を利用したポイントサービスを導入している。このポイントサービスでは、その購入代金に応じたポイントを算出して顧客ごとに積算し、積算ポイントに応じて、ポイントの換金や商品券との交換あるいはポイントに応じた商品の値引きなどのサービスを提供するものである。また、ポイントサービスをPOSシステムと連動させることで、顧客の購買履歴などの蓄積データを分析して、より的確な販促を可能にしたシステムが存在する。そして、顧客の利便性向上の観点から、カードを廃止して顧客の所有する携帯電話を利用したシステムへの移行が検討されるようになってきた。すなわち、顧客の携帯電話機に顧客識別IDをバーコード化して表示させ、これをスキャナで読み取ることで会員カードの代わりに利用し、あらかじめ登録した顧客の携帯電話のメールアドレスに販促情報を送信するようにしたシステムなどが提案されている。
【0003】
例えば、被認証者に付与されたバーコードを被認証者を特定するための識別標識として用いるようにしたものとして、特許文献1には、被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信するステップと、前記被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するステップと、前記被認証者が前記データベースに記録されていたときにバーコードを生成するステップと、該バーコードを前記被認証者の発信者番号に送信すると共に該バーコードをバーコードデータベースに記憶させるステップと、被認証者によって提示され認証を求める認証要求者から送信されてきたバーコードを受信するステップと、該受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されているバーコードと一致するか否かを判定するステップと、受信したバーコードが前記バーコードデータベースに記憶されていたときに当該被認証者を認証する旨の信号を前記認証要求者に送信するステップと、を備えた認証方法が記載されている。
【特許文献1】特許第3207192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1に記載の認証方法では、被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を被認証者から受信して、その被認証者がデータベースに記録されているか否かを判定するので、新たな顧客に対してそのパスワードを設定するなどの登録手続きが必要であるため迅速性と汎用性に欠けるという問題があった。また、被認証者がその発信者番号によって識別されるので、個人情報漏洩の面から種々のサービスへの展開が制約される場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、新たな顧客に対してその氏名や住所などの個人情報の事前登録を必要とする認証を行わず、迅速性と汎用性に優れるとともに、その顧客情報を携帯電話機の画面上に表示することによって、色々なサービスに展開することができる携帯電話機を用いた顧客識別管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電話機を用いた顧客識別管理方法は、店舗で取得された購入品目やポイントの履歴などの顧客情報をインターネットに接続された管理サーバのデータベースで管理する顧客の所有する携帯電話機を用いた顧客識別管理方法であって、(1)前記携帯電話機を介して前記管理サーバに接続するステップと、(2)前記管理サーバにアクセスした前記携帯電話機の固有IDを取得し、前記固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードがそのデータベース上に存在するか調べ、存在しない場合にレコードを追加するステップと、(3)前記顧客情報を前記携帯電話機に送信するステップと、(4)前記携帯電話機の画面上に二次元バーコードとして表示される前記顧客情報の一部をバーコード読取器を介して前記店舗に設けられた情報端末に取得するステップと、(5)前記管理サーバのURLに接続して、前記携帯電話機の所有者による前記店舗での購入品目や購入ポイント、購入店舗名などの購買情報を前記管理サーバに送信するステップと、(6)前記情報端末から送信された前記購買情報を、前記データベース上の前記携帯電話機の固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードを更新するステップと、を有するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インターネット上に設けた管理サーバにアクセスした携帯電話機の固有IDを取得し、前記固有IDをインデックスキーとして顧客情報を管理するので、新たな顧客に対してその個人情報の事前登録を必要とする認証を行わず、迅速性と汎用性に優れるとともに、種々の多様なサービスに利用することができる。すなわち、店舗は従来の会員カードを廃止してそのダイレクトメールなどの費用を削減し、顧客はカード管理のわずらわしさがなく、店舗から管理サーバを介して最新の情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示すように本実施形態の顧客識別管理方法が適用される顧客識別管理システム10は、各顧客の所有する固有IDの送信機能を備えた携帯電話機11と、各小売店などの店舗に設けられバーコード読取機を備えた情報端末12と、インターネットやイントラネットを介して携帯電話機11や情報端末12に接続される管理サーバ13とで構成される。
【0009】
携帯電話機11は、管理サーバ13との間でデータを送受信する送受信機能及びその固有IDを通知する固有ID通知機能とを備え、その画面に二次元バーコード化された顧客情報などを表示させることができるものが適用される。なお、携帯電話機11の固有IDとは携帯電話機の使用者を識別するためのキーとなるものを指し、携帯電話の製造番号や契約者番号等が固有IDに含まれる。
【0010】
情報端末12は店舗などに設けられ、インターネットを介して管理サーバ13に接続可能な状態になっている。情報端末12には、携帯電話機11を所有した顧客による購入品目やこれに付加されるポイントなどの購買情報を管理サーバ13に送信する機能を有している。なお、情報端末12は、携帯電話機11に表示された二次元バーコードを読み取るためのバーコード読取部を有している。
【0011】
管理サーバ13は、顧客情報のデータベース(記憶部)を有し、インターネット上に設定されたコンピュータである。この顧客情報のレコードは携帯電話機11の固有ID毎にインデックスが与えられており、そのレコードの参照が可能なようになっている。
なお、サーバで持っている顧客情報としては、(a)携帯電話の固有ID、(b)携帯所有者がどこで買い物をしたか、(c)そのポイント蓄積などが含まれる。現在、前記(a)〜(c)までを保持するように設定されているが、保持する情報は個人に関係するものであれば何でもよい。
【0012】
以下、図2に示す顧客識別管理方法の説明図を参照しながら、前述した顧客識別管理システム10における携帯電話機を用いた顧客識別管理方法について説明する。
最初のステップS1では、店舗に入店した顧客は、自らが保持する携帯電話機11に管理サーバ13のURLを入力して、その通信機能を用いて管理サーバ13に接続する。なお、管理サーバのURLは、携帯電話機11に予め登録しておくか、又は、その店舗に置かれたパンフレットなどに印刷された二次元バーコードなどからその記載内容を読み取って取得することができる。
【0013】
ステップS2では、携帯電話機11の固有ID通知機能により、管理サーバ13にアクセスした携帯電話機11から電話機の固有IDを取得する。次いで、前記固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードがそのデータベース上に存在するか調べ、存在しない場合にレコードが追加される。そして、顧客情報が前記携帯電話に送信される。
【0014】
ステップS3では、携帯電話機11の画面上に二次元バーコードとして表示されるその携帯電話機11の所有者を識別するIDがバーコード読取器を介して店舗に設けられた情報端末12に取得される。
なお、管理サーバ13のデータベースには、例えば、商品のコードや価格を記録する商品テーブル、商品の売上などを記録する売上テーブルなどを備える他に、ポイント項目として、固有IDに対応させた顧客情報(顧客の氏名、住所、メールアドレス、連絡先など)を記録する顧客テーブル、製造番号に対応させた商品の売上に応じて顧客に付加したポイント(加算ポイント、減算ポイント、ポイント残高など)を記録するポイントテーブルなどを有している。
【0015】
ステップS4では、情報端末12から携帯電話機11の所有者による店舗での購入品目や購入ポイント、購入店舗名などの購買情報が管理サーバ13に送信される。
【0016】
ステップS5では、情報端末12から送信された購買情報に基づき、データベース上に記憶された携帯電話機の固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードを更新する処理がなされる。
【0017】
こうして、携帯電話機を所有した顧客が店舗での入店の都度、以上のステップS1〜S5を繰り返すことによって、その携帯電話機の固有IDをインデックスキーとした顧客情報が管理サーバ13のデータベース上で管理されることになる。こうして、携帯電話の所有者はその固有IDを識別手段として、管理サーバ13にアクセスして自らの購入品リストやポイント数などの顧客情報を参照したり、通知サービスを始めとする種々のサービスを受けたりすることが出来る。
【0018】
このような携帯電話機の固有IDを介した識別方法を用いることで、例えば、店舗毎に異なるポイントカードを携帯電話機を介してひとまとめに管理したり、系列店のリストの中から情報を見たい店舗を選択して、店内の画像、地図、交通手段などを取得したりすることができる。
こうして、ポイントカードを大量に持っている煩わしさから開放され、突然の利用に際しても携帯電話機さえあれば容易に対応できる。またいつでもどこでも気軽に店舗の情報を取得できるので、セールや、イベント、新商品入荷などの機会を逃すことがなくなる。
【0019】
なお、携帯電話機を用いた顧客識別管理方法においては、「識別」と「認証」との概念が重要であり、その違いを以下に説明する。
「識別」とは、ただ物事の相違を見分けることであり、「認証」とは、権利があるかどうかや、その人が名乗っている本人かどうかなどを確認することを指す。
たとえば、「識別」に属する紙のスタンプカードは持参人式であり、利用者5人が別の5枚の紙のスタンプカードを持っていることを識別することが重要である。しかし、「認証」に属するクレジットカードなどは、誰が使ったかを特定しないといけないので、サインをもらうことが必要であり、別の人が勝手にクレジットカードを使うことはできない。
【0020】
図3は携帯電話機を用いた顧客識別管理方法における適用例の説明図である。以下図面を参照しながら説明する。図3(a)はポイントをためる場合における携帯電話機11及び情報端末12、管理サーバ13の三者間の手続きを示しており、図3(b)は店舗などでこのポイントを使う場合における三者間の手続きを示している。
【0021】
ポイントをためる場合は図3(a)に示すように、携帯電話機11を所有する個人を特定するために携帯電話機11から固有IDが管理サーバ13に送信される(S10)。次に管理サーバ13において、個人を識別する処理が実行される(S11)。次いでに固有IDに対応する顧客情報レコードが存在するか否かが判定され(S12)、存在しない場合(NO)は新たに対応するレコードがポイント数ゼロとして作成される(S13)。
そして顧客を識別するキーを表す二次元バーコードを携帯電話機11に表示するための情報を送信する(S14)。顧客は、携帯電話機11に表示された二次元バーコードが表す顧客自身を識別するキーを、店舗の情報端末12が有するバーコード読取器を介して通知する(S15)。店舗の情報端末12は、識別された個人が商品を店舗で購入した(S16)情報を管理サーバ13に送る。管理サーバ13は、受信した購買情報に基づき、前記顧客情報レコードにポイントに加算するようになっている(S17)。
【0022】
ポイントを使う場合は図3(b)に示すように、携帯電話機11を所有する個人を特定するために携帯電話機11から固有IDが管理サーバ13に送信される(S20)。次に管理サーバ13において、個人を識別する処理が実行される(S21)。次いで顧客を識別するキーを表す二次元バーコードを携帯電話機11に表示するための情報を送信する(S22)。顧客は、携帯電話機11に表示された二次元バーコードが表す顧客自身を識別するキーを、店舗の情報端末13が有するバーコード読取器を介して通知し(S23)、店舗の情報端末12は識別された個人に対して何らかのサービスを提供し(S24)、ポイントが消費される(S25)。次いでポイントを消費した情報が管理サーバ13に送られて前記顧客情報レコードのポイントに減算されるようになっている(S26)。
【0023】
以上説明したように、本発明の携帯電話機を用いた顧客識別管理方法は、インターネット上に設けた管理サーバにアクセスした携帯電話機の固有IDをインデックスとして顧客情報を管理するようにしたことを要旨としたものであリ、これに該当するものは本発明の権利範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の携帯電話機を用いた顧客識別管理方法は、インターネット上に設けた管理サーバにアクセスした携帯電話機の固有IDを取得し、前記固有IDをインデックスキーとして顧客情報を管理するので、新たな顧客に対してその個人情報の事前登録を必要とする認証を行わず、迅速性と汎用性に優れるとともに、種々の多様なサービスに利用することができ、店舗は従来の会員カードを廃止してそのダイレクトメールなどの費用を削減し、顧客はカード管理のわずらわしさがなく、店舗から管理サーバを介して最新の情報を得ることができ、産業上の利用可能性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】顧客識別管理システムの説明図である。
【図2】顧客識別管理方法の説明図である。
【図3】顧客識別管理方法における適用例の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10 顧客識別管理システム
11 携帯電話機
12 店舗の情報端末
13 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗で取得された購入品目やポイントの履歴などの顧客情報をインターネットに接続された管理サーバのデータベースで管理する顧客の所有する携帯電話機を用いた顧客識別管理方法であって、
(1)前記携帯電話機を介して前記管理サーバに接続するステップと、
(2)前記管理サーバにアクセスした前記携帯電話機の固有IDを取得し、前記固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードがそのデータベース上に存在するか調べ、存在しない場合にレコードを追加するステップと、
(3)前記顧客情報を前記携帯電話機に送信するステップと、
(4)前記携帯電話機の画面上に二次元バーコードとして表示される前記顧客情報の一部をバーコード読取器を介して前記店舗に設けられた情報端末に取得するステップと、
(5)前記管理サーバのURLに接続して、前記携帯電話機の所有者による前記店舗での購入品目や購入ポイント、購入店舗名などの購買情報を前記管理サーバに送信するステップと、
(6)前記情報端末から送信された前記購買情報をもって、前記データベース上の前記携帯電話機の固有IDをインデックスキーとする顧客情報のレコードを更新するステップと、
を有することを特徴とする携帯電話機を用いた顧客識別管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−334459(P2007−334459A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162929(P2006−162929)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(500422735)レッドフォックス株式会社 (2)