説明

携帯電話機及び制御方法

【課題】MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機10を提供する。
【解決手段】携帯電話機10は、MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御部234、アンテナ103により受信した第3信号の出力先を切り換える切換器108、MIMO受信方式を用いると決定される場合、第3信号を受け取り、第3信号と、アンテナ101により受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理部237、受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、第3信号を受け取り、第3信号と、アンテナ105により受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理部240を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機において、MIMO(Multiple−Input Multiple−Output、マルチ入力マルチ出力処理)受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作させることができる移動通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等で用いられる移動通信システムでは、より高速な通信が求められてきている。例えば、従来からのCDMA2000 1x方式(以下、1x方式)に加えて、データ通信に特化したCDMA2000 1x EVDO(Evolution Data Only(Optimized))方式(以下、EVDO方式)が広く利用されている。
【0003】
また、LTE(Long Term Evolution)という規格も登場している。非特許文献1及び非特許文献2によると、LTEでは、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やMIMO多重などの技術が採用されている。LTE Rel.8では、複数の帯域幅(1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz及び20MHz)がサポートされ、LTE Rel.10(LTE−Advanced)では、20MHzよりも大きい連続する帯域を用いる方式、複数の異なる帯域を用いる方式、同一帯域内で複数のキャリアを用いる方式などにより、最大100MHz程度までの広帯域化がサポートされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−511504号公報
【特許文献2】特開2011−135341号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中村 武宏、他1名、”Super 3Gの技術動向 その1 Super 3Gの概要および標準化活動状況”、NTTドコモテクニカル・ジャーナル、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、2006年7月、VOL.14 NO.2、p.50−54
【非特許文献2】三木 信彦、他4名、”LTE−Advancedにおける広帯域化を実現するCarrier Aggregation”、NTTドコモテクニカル・ジャーナル、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、2010年7月、VOL.18 NO.2、p.12−21
【非特許文献3】樋口 健一、他1名、”マルチアンテナ無線伝送技術 その3 MIMO多重法における信号分離技術”、NTTドコモテクニカル・ジャーナル、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、2006年4月、VOL.14 NO.1、p.66−75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、LTEでは、利用される帯域幅が広いので、携帯電話機の無線回路において、多数の周波数帯に対応するために、周波数帯毎にアンテナ、パワーアンプ、フィルタ、分波器などの部品が必要となる。また、LTEでは、MIMO受信への対応も求められているので、受信回路が少なくとも2系統必要であり、無線回路の部品数が増える。さらに、LTEのサポートに加えて、受信ダイバーシティ処理のサポートの要望もあり、無線回路の部品数が増える要因となる。
【0007】
こうして、携帯電話機の無線回路に用いられる部品数が増えることにより、コストが増加するという問題がある。また、これらの部品の実装面積が増加することにより携帯電話機のサイズが大きくなるという問題がある。
このような問題を解決するため、本発明は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機であって、MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御手段と、前記制御手段の決定に応じて、第3アンテナにより受信した第3信号の出力先を切り換える第1切換手段と、MIMO受信方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第1アンテナにより受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理手段と、受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第2アンテナにより受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によると、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて用いることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態としての携帯電話機10の構成を示すブロック図である。図2に続く。
【図2】携帯電話機10の構成を示すブロック図である。図1から続く。
【図3】ベースバンド回路112の制御部234の動作を示すフローチャートである。
【図4】1.9GHz帯におけるMIMO受信及び800MHz帯におけるシングル音声受信の際の受信信号の流れを示す。
【図5】1.9GHz帯におけるSISO受信及び800MHz帯におけるダイバーシティ受信の際の受信信号の流れを示す。
【図6】1.9GHz帯におけるMIMO受信及び1.9GHz帯におけるシングル音声受信の際の受信信号の流れを示す。
【図7】1.9GHz帯におけるSISO受信及び1.9GHz帯におけるダイバーシティ受信の際の受信信号の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施の形態
本発明の一の実施の形態としての携帯電話機10について説明する。
1.1 携帯電話機10の構成
(1)携帯電話機10の全体構成
携帯電話機10は、MIMO受信方式における信号分離と受信ダイバーシティ方式における信号処理とを切り換えて動作する。
【0012】
携帯電話機10は、図1及び図2に示すように、アンテナ101、第1送受信共用回路102、アンテナ103、受信共用回路104、アンテナ105、第2送受信共用回路106、切換器107、切換器108、第1通信処理回路109、第2通信処理回路110、切換器111、ベースバンド回路112及びその他図示していない表示部、操作部、マイク、スピーカ等から構成される。
【0013】
アンテナ101は、第1送受信共用回路102を介して、第1通信処理回路109に接続されている。第1送受信共用回路102は、アンテナ101により受信した電波から、1.9GHz帯の信号又は800MHz帯の信号を選択し、選択した信号を第1通信処理回路109へ出力する。また、第1送受信共用回路102は、第1通信処理回路109から受け取った1.9GHz帯の信号又は800MHz帯の信号を増幅し、アンテナ101により電波として出力する。
【0014】
アンテナ103は、受信共用回路104を介して、切換器107及び切換器108に接続されている。受信共用回路104は、アンテナ103により受信した電波から、1.9GHz帯の信号又は800MHz帯の信号を選択し、それぞれ選択した信号を切換器108及び切換器107へ出力する。切換器107及び切換器108は、それぞれ、受信共用回路104から受け取った信号を、ベースバンド回路112が有する制御部234(後述する)の制御により、つまり、制御部234の決定に応じて、第1通信処理回路109及び第2通信処理回路110のいずれか一方へ出力することにより、信号の出力先を切り換える。
【0015】
アンテナ105は、第2送受信共用回路106を介して、第2通信処理回路110に接続されている。第2送受信共用回路106は、アンテナ105により受信した電波から、1.9GHz帯の信号又は800MHz帯の信号を選択し、選択した信号を第2通信処理回路110へ出力する。また、第2送受信共用回路106は、第2通信処理回路110から受け取った1.9GHz帯の信号又は800MHz帯の信号を増幅し、アンテナ105により電波として出力する。
【0016】
第1通信処理回路109は、データ信号を処理するための専用の集積回路である。第1通信処理回路109は、第1送受信共用回路102から受け取った信号に対して、信号電力のレベルを調整し、ベースバンド(0Hz帯)にまで周波数をダウンコンバートし、雑音除去を行った後に、雑音除去が行われた信号をベースバンド回路112へ出力する。また、第1通信処理回路109は、切換器107又は切換器108から信号を受け取った場合には、その信号に対して、上記と同様に、信号電力のレベルを調整し、ベースバンド(0Hz帯)にまで周波数をダウンコンバートし、雑音除去を行った後に、雑音除去が行われた信号を切換器111へ出力する。さらに、第1通信処理回路109は、ベースバンド回路112から受け取ったベースバンド(0Hz帯)の信号に対して、雑音除去を行い、1.9GHz帯又は800MHz帯の周波数にアップコンバートし、信号電力のレベルを調整し、信号電力のレベルが調整された信号を第1送受信共用回路102へ出力する。
【0017】
第2通信処理回路110は、音声信号を処理するための専用の集積回路である。第2通信処理回路110は、第2送受信共用回路106から受け取った信号に対して、信号電力のレベルを調整し、ベースバンド(0Hz帯)にまで周波数をダウンコンバートし、雑音除去を行った後に、雑音除去が行われた信号をベースバンド回路112へ出力する。また、第2通信処理回路110は、切換器107又は切換器108から信号を受け取った場合には、その信号に対して、上記と同様に、信号電力のレベルを調整し、ベースバンド(0Hz帯)にまで周波数をダウンコンバートし、雑音除去を行った後に、雑音除去が行われた信号を切換器111へ出力する。さらに、第2通信処理回路110は、ベースバンド回路112から受け取ったベースバンド(0Hz帯)の信号に対して、雑音除去を行い、1.9GHz帯又は800MHz帯の周波数にアップコンバートし、信号電力のレベルを調整し、信号電力のレベルが調整された信号を第2送受信共用回路106へ出力する。
【0018】
切換器111は、受信共用回路104から、第1通信処理回路109を介して受け取った信号、及び、受信共用回路104から、第2通信処理回路110を介して受け取った信号のいずれか一方を、制御部234の制御により選択し、選択した信号をベースバンド回路112へ出力する。言い換えると、制御部234の決定に応じて、いずれか一方の信号をベースバンド回路112へ出力するように切り換える。
【0019】
ベースバンド回路112は、切換器111から信号を受け取った場合、受け取った信号を、制御部234の制御により、データ信号及び音声信号のいずれか一方として、復調する。また、第1送受信共用回路102から、第1通信処理回路109を介して受け取った信号を、データ信号として、復調する。さらに、第2送受信共用回路106から、第2通信処理回路110を介して受け取った信号を、音声信号として、復調する。ここで、切換器111から受け取った信号をデータ信号として復調し、かつ、第1送受信共用回路102から、第1通信処理回路109を介して受け取った信号をデータ信号として、復調する場合に、ベースバンド回路112のMIMO処理部237(後述する)は、受け取った2個の信号を用いてMIMO受信方式における信号分離を行う。また、切換器111から受け取った信号を音声信号として復調し、かつ、第2送受信共用回路106から、第2通信処理回路110を介して受け取った信号を音声信号として、復調する場合に、ベースバンド回路112のダイバーシティ処理部240(後述する)は、受け取った2個の信号を用いて受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力する。
【0020】
また、ベースバンド回路112は、データ信号を変調して、変調したデータ信号を第1通信処理回路109へ出力する。また、音声信号を変調して、変調した音声信号を第2通信処理回路110へ出力する。
(2)アンテナ101及び第1送受信共用回路102
第1送受信共用回路102は、ダイプレクサ121、デュプレクサ122、パワーアンプ123、デュプレクサ124及びパワーアンプ125から構成されている。
【0021】
アンテナ101は、送受信共用のアンテナであり、ダイプレクサ121に接続されている。アンテナ101は、電波を受信し、電気信号としてダイプレクサ121へ出力する。また、ダイプレクサ121から受け取った電気信号を電波として空間に出力する。
ダイプレクサ121は、アンテナ101、デュプレクサ122及びデュプレクサ124に接続されている。ダイプレクサ121は、アンテナ101から受け取った電気信号から、1.9GHz帯の周波数を有する電気信号を通過させ、デュプレクサ122へ出力し、アンテナ101から受け取った電気信号から、800MHz帯の周波数を有する電気信号を通過させ、デュプレクサ124へ出力する。また、ダイプレクサ121は、デュプレクサ122から受け取った電気信号及びデュプレクサ124から受け取った電気信号をアンテナ101へ出力する。
【0022】
デュプレクサ122は、ダイプレクサ121、パワーアンプ123及び第1通信処理回路109の端子152(後述する)に接続されている。デュプレクサ122は、ダイプレクサ121から受け取った電気信号を第1通信処理回路109の端子152へ出力する。また、デュプレクサ122は、パワーアンプ123から受け取った電気信号をダイプレクサ121へ出力する。
【0023】
パワーアンプ123は、第1通信処理回路109の端子151及びデュプレクサ122に接続されている。パワーアンプ123は、第1通信処理回路109から、端子151を介して受け取った電気信号を増幅して、デュプレクサ122へ出力する。
デュプレクサ124は、ダイプレクサ121、パワーアンプ125及び第1通信処理回路109の端子154(後述する)に接続されている。デュプレクサ124は、ダイプレクサ121から受け取った電気信号を第1通信処理回路109の端子154へ出力する。また、デュプレクサ124は、パワーアンプ125から受け取った電気信号をダイプレクサ121へ出力する。
【0024】
パワーアンプ125は、第1通信処理回路109の端子153及びデュプレクサ124に接続されている。パワーアンプ125は、第1通信処理回路109から、端子153を介して受け取った電気信号を増幅して、デュプレクサ124へ出力する。
(3)アンテナ103及び受信共用回路104
受信共用回路104は、ダイプレクサ131、バンドパスフィルタ132及びバンドパスフィルタ133から構成されており、受信専用の回路である。
【0025】
アンテナ103は、受信専用のアンテナであり、ダイプレクサ131に接続されている。アンテナ103は、電波を受信し、電気信号としてダイプレクサ131へ出力する。
ダイプレクサ131は、アンテナ103、バンドパスフィルタ132及びバンドパスフィルタ133に接続されている。ダイプレクサ131は、アンテナ103から受け取った電気信号を、バンドパスフィルタ132及びバンドパスフィルタ133へ出力する。
【0026】
バンドパスフィルタ132は、一例として、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタであって、ダイプレクサ131及び切換器108に接続されている。バンドパスフィルタ132は、ダイプレクサ131から受け取った電気信号から、1.9GHz帯の周波数を有する電気信号を通過させ、切換器108へ出力する。
バンドパスフィルタ133は、一例として、SAWフィルタであって、ダイプレクサ131及び切換器107に接続されている。バンドパスフィルタ133は、ダイプレクサ131から受け取った電気信号から、800MHz帯の周波数を有する電気信号を通過させ、切換器107へ出力する。
【0027】
(4)アンテナ105及び第2送受信共用回路106
第2送受信共用回路106は、ダイプレクサ134、デュプレクサ135、パワーアンプ136、デュプレクサ137及びパワーアンプ138から構成されている。
アンテナ105は、ダイプレクサ134に接続されている。アンテナ105は、アンテナ101と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0028】
ダイプレクサ134は、アンテナ105、デュプレクサ135及びデュプレクサ137に接続されている。ダイプレクサ134は、ダイプレクサ121と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
デュプレクサ137は、ダイプレクサ134、パワーアンプ138及び第2通信処理回路110の端子186(後述する)に接続されている。デュプレクサ137は、デュプレクサ122と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0029】
パワーアンプ138は、第2通信処理回路110の端子185及びデュプレクサ137に接続されている。パワーアンプ138は、パワーアンプ123と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
デュプレクサ135は、ダイプレクサ134、パワーアンプ136及び第2通信処理回路110の端子184(後述する)に接続されている。デュプレクサ135は、デュプレクサ124と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0030】
パワーアンプ136は、第2通信処理回路110の端子183及びデュプレクサ135に接続されている。パワーアンプ136は、パワーアンプ125と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
(5)切換器107及び切換器108
切換器107は、受信共用回路104のバンドパスフィルタ133、第1通信処理回路109の端子155、第2通信処理回路109の端子182及びベースバンド回路112の端子216に接続されている。
【0031】
切換器107は、ベースバンド回路112の端子216を介して、制御部234から、ダイバーシティ選択信号及びMIMO選択信号のいずれか一方を受け取る。ここで、ダイバーシティ選択信号は、受信ダイバーシティ方式による、電波状況の優れた方の信号を優先的に使用したり、受信した信号を合成したりする信号処理の選択を示す。また、MIMO選択信号は、MIMO受信方式による、MIMO多重化された信号からの信号分離の選択を示す。また、バンドパスフィルタ133から、800MHz帯の周波数を有する電気信号を受け取る。
【0032】
MIMO選択信号を受け取ると、切換器107は、バンドパスフィルタ133から出力される信号を、第1通信処理回路109の端子155を介して、レベル調整器169(後述する)へ出力する。一方、ダイバーシティ選択信号を受け取ると、切換器107は、バンドパスフィルタ133から出力される信号を、第2通信処理回路110の端子182を介して、レベル調整器193(後述する)へ出力する。
【0033】
切換器108は、受信共用回路104のバンドパスフィルタ132、第1通信処理回路109の端子156、第2通信処理回路110の端子181及びベースバンド回路112の端子216に接続されている。
切換器108は、ベースバンド回路112の端子216を介して、制御部234からダイバーシティ選択信号及びMIMO選択信号のいずれか一方を受け取る。また、バンドパスフィルタ132から、1.9GHz帯の周波数を有する電気信号を受け取る。
【0034】
MIMO選択信号を受け取ると、切換器108は、バンドパスフィルタ132から出力される信号を、第1通信処理回路109の端子156を介して、レベル調整器171(後述する)へ出力する。一方、ダイバーシティ選択信号を受け取ると、切換器108は、バンドパスフィルタ132から出力される信号を、第2通信処理回路110の端子181を介して、レベル調整器191(後述する)へ出力する。
【0035】
(6)第1通信処理回路109
第1通信処理回路109は、データ専用の通信信号処理を行う集積回路である。一例として、第1通信処理回路109は、LTE方式によるデータ専用の通信処理回路である。なお、EVDO方式によるものとしてもよい。
第1通信処理回路109は、外部の回路との接続のための端子151〜159を備え、レベル調整器161、周波数変換器162、ローパスフィルタ163、レベル調整器164、レベル調整器165、周波数変換器166、ローパスフィルタ167、レベル調整器168、レベル調整器169、周波数変換器170、レベル調整器171及びローパスフィルタ172から構成されている。
【0036】
ローパスフィルタ163は、端子157及び周波数変換器162に接続されている。ローパスフィルタ163は、端子157から受け取ったベースバンド信号に対して、雑音除去を行い、雑音除去がされた信号を周波数変換器162へ出力する。
周波数変換器162は、ローパスフィルタ163、レベル調整器161及びレベル調整器165に接続されている。周波数変換器162は、ローパスフィルタ163から受け取った雑音除去がされたベースバンド信号に対して、周波数変換を行う。ここでは、1.9GHz帯の周波数を有する信号又は800MHz帯の周波数を有する信号にアップコンバートする。1.9GHz帯及び800MHz帯のいずれの周波数を有する信号に変換するかは、第1通信処理回路109が有するレジスタ(図示していない)に記憶されている送信指示信号に基づく。ここで、送信指示信号は、1.9GHz帯及び800MHz帯のいずれの周波数帯域を用いて信号を送信するかを示す。送信指示信号が、1.9GHz帯を用いて信号を送信することを示す場合には、周波数変換器162は、1.9GHz帯の周波数を有する信号に変換する。一方、送信指示信号が、800MHz帯を用いて信号を送信することを示す場合には、周波数変換器162は、800MHz帯の周波数を有する信号に変換する。周波数変換器162は、周波数が変換された後の信号を、レベル調整器161及びレベル調整器165に出力する。
【0037】
レベル調整器161は、周波数変換器162及び端子151に接続されている。レベル調整器161は、周波数変換器162から、周波数が変換された後の信号を受け取り、受け取った信号の電力を、第1送受信共用回路102の特性に適切なレベルに調整し、電力のレベルが調整された信号を端子151へ出力する。なお、第1通信処理回路109が有する前記レジスタに記憶されている送信指示信号が、800MHz帯による送信を示す場合、レベル調整器161は、周波数変換器162から受け取った信号の電力のレベルを0とし、信号を端子151へ出力しない。
【0038】
レベル調整器165は、周波数変換器162及び端子153に接続されている。レベル調整器165は、周波数変換器162から、周波数が変換された後の信号を受け取り、受け取った信号の電力を、第1送受信共用回路102の特性に適切なレベルに調整し、電力のレベルが調整された信号を端子153へ出力する。なお、第1通信処理回路109が有する前記レジスタに記憶されている送信指示信号が、1.9GHz帯による送信を示す場合、レベル調整器165は、周波数変換器162から受け取った信号の電力のレベルを0とし、信号を端子153へ出力しない。
【0039】
レベル調整器164は、周波数変換器166及び端子152に接続されている。レベル調整器164は、端子152から信号を受け取る。次に、第1通信処理回路109が有するレジスタに記憶されている受信指示信号に基づいて、受け取った信号の電力を適切なレベルに調整する。ここで、受信指示信号は、1.9GHz帯及び800MHz帯のいずれの周波数帯域を用いて信号を受信するかを示す。受信指示信号が、1.9GHz帯を用いて信号を受信することを示す場合には、レベル調整器164は、受け取った信号の電力を、ベースバンド回路112の特性に適切なレベルに調整し、電力のレベルが調整された信号を周波数変換器166へ出力する。一方、受信指示信号が、800MHz帯を用いて信号を受信することを示す場合には、レベル調整器164は、受け取った信号の電力を0とし、信号を周波数変換器166へ出力しない。
【0040】
レベル調整器168は、周波数変換器166及び端子154に接続されている。レベル調整器168は、端子154から信号を受け取る。次に、第1通信処理回路109が有するレジスタに記憶されている受信指示信号に基づいて、受け取った信号の電力を適切なレベルに調整する。受信指示信号が、800MHz帯を用いて信号を受信することを示す場合には、レベル調整器168は、受け取った信号の電力を、ベースバンド回路112の特性に適切なレベルに調整し、電力のレベルが調整された信号を周波数変換器166へ出力する。一方、受信指示信号が、1.9GHz帯を用いて信号を受信することを示す場合には、レベル調整器168は、受け取った信号の電力を0とし、信号を周波数変換器166へ出力しない。
【0041】
周波数変換器166は、ローパスフィルタ167、レベル調整器164及びレベル調整器168に接続されている。周波数変換器166は、レベル調整器164及びレベル調整器168のいずれか一方から受け取った信号電力のレベルが調整された信号に対して、周波数変換を行う。ここでは、1.9GHz帯の周波数を有する信号又は800MHz帯の周波数を有する信号を、ベースバンド帯の周波数を有する信号にダウンコンバートする。1.9GHz帯及び800MHz帯のいずれの周波数を有する信号を変換するかは、第1通信処理回路109が有するレジスタに記憶されている受信指示信号に基づく。受信指示信号が、1.9GHz帯を用いた信号を受信することを示す場合には、周波数変換器166は、レベル調整器164から受け取った1.9GHz帯の周波数を有する信号をベースバンド帯の周波数を有する信号に変換する。一方、受信指示信号が、800MHz帯を用いた信号を受信することを示す場合には、周波数変換器166は、レベル調整器168から受け取った800MHz帯の周波数を有する信号をベースバンド帯の周波数を有する信号に変換する。周波数変換器166は、周波数が変換された後の信号を、ローパスフィルタ167に出力する。
【0042】
ローパスフィルタ167は、周波数変換器166及び端子158に接続されている。ローパスフィルタ167は、周波数変換器166から、ベースバンド帯の周波数を有する信号を受け取り、受け取った信号に対して、雑音除去を行い、雑音除去がされたベースバンド帯の信号を端子158へ出力する。
レベル調整器169は、周波数変換器170及び端子155に接続されている。レベル調整器169は、レベル調整器168と同様の構成を有しており、説明を省略する。
【0043】
レベル調整器171は、周波数変換器170及び端子156に接続されている。レベル調整器171は、レベル調整器164と同様の構成を有しており、説明を省略する。
周波数変換器170は、ローパスフィルタ172、レベル調整器169及びレベル調整器171に接続されている。周波数変換器170は、周波数変換器166と同様の構成を有しており、説明を省略する。
【0044】
ローパスフィルタ172は、周波数変換器170及び端子159に接続されている。ローパスフィルタ172は、ローパスフィルタ167と同様の構成を有しており、説明を省略する。
(7)第2通信処理回路110
第2通信処理回路110は、音声専用の通信信号処理を行う集積回路である。一例として、第2通信処理回路110は、1x方式によるデータ専用の通信処理回路である。
【0045】
第2通信処理回路110は、外部の回路との接続のための端子181〜189を備え、レベル調整器191、周波数変換器192、レベル調整器193、ローパスフィルタ194、レベル調整器195、周波数変換器196、ローパスフィルタ197、レベル調整器198、レベル調整器199、周波数変換器200、ローパスフィルタ201及びレベル調整器202から構成されている。
【0046】
第2通信処理回路110は、第1通信処理回路109と同様の構成を有している。
端子181、182、レベル調整器191、193、周波数変換器192、ローパスフィルタ194及び端子187は、それぞれ、第1通信処理回路109の端子156、155、レベル調整器171、169、周波数変換器170、ローパスフィルタ172及び端子159に対応している。
【0047】
また、端子184、186、レベル調整器199、202、周波数変換器200、ローパスフィルタ201及び端子189は、それぞれ、第1通信処理回路109の端子154、152、レベル調整器168、164、周波数変換器166、ローパスフィルタ167及び端子158に対応している。
また、端子188、ローパスフィルタ197、周波数変換器196、レベル調整器195、198及び端子183、185は、それぞれ、第1通信処理回路109の端子157、ローパスフィルタ163、周波数変換器162、レベル調整器165、161及び端子153、151に対応している。
【0048】
このため、第2通信処理回路110を構成する各要素についての説明を省略する。
(8)切換器111
切換器111は、第1通信処理回路109の端子159、第2通信処理回路110の端子187、ベースバンド回路112の端子213及び端子216に接続されている。
切換器111は、ベースバンド回路112の端子216を介して、制御部234からダイバーシティ選択信号及びMIMO選択信号のいずれか一方を受け取る。また、切換器111は、第1通信処理回路109の端子159から信号を受け取り、第2通信処理回路110の端子187から信号を受け取る。
【0049】
MIMO選択信号を受け取ると、切換器111は、第1通信処理回路109の端子159から受け取った信号を、ベースバンド回路112の端子213へ出力する。一方、ダイバーシティ選択信号を受け取ると、切換器111は、第2通信処理回路110の端子187から受け取った信号を、ベースバンド回路112の端子213へ出力する。
このように、切換器111は、制御部234の決定に応じて、アンテナ103及び受信共用回路104から、第1通信処理回路109を介して入力された信号と、アンテナ103及び受信共用回路104から、第2通信処理回路110を介して入力された信号とのいずれか一方を、ベースバンド回路112へ出力するように切り換える。
【0050】
(9)ベースバンド回路112
ベースバンド回路112は、ベースバンド信号の処理を行う集積回路である。ベースバンド回路112は、外部の回路との接続のための端子211〜220を備え、切換器231、データ処理部232、音声処理部233及び制御部234から構成され、データ処理部232は、送信信号変調部235及び受信信号復調部236を含み、音声処理部233は、受信信号復調部238及び送信信号変調部239を含む。受信信号復調部236は、MIMO処理部237を含み、受信信号復調部238は、ダイバーシティ処理部240を含む。
【0051】
(制御部234)
制御部234は、MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する。制御部234は、音声信号の発呼又は着呼があった場合に、又は、通話中にデータ受信の終了操作を受け付けた場合に、ダイバーシティ選択信号を切換器107、108、111、231、受信信号復調部236及び受信信号復調部238へ出力する。また、制御部234は、データ受信の開始を示す操作が受け付けられた場合に、MIMO選択信号を切換器107、108、111、231、受信信号復調部236及び受信信号復調部238へ出力する。
【0052】
(送信信号変調部235、受信信号復調部236、受信信号復調部238及び送信信号変調部239)
送信信号変調部235は、端子217を介して、データ信号としての送信信号を受け取り、受け取った送信信号を変調して変調後の送信信号を端子211を介して、第1通信処理回路109の端子157へ出力する。
【0053】
受信信号復調部236は、第1通信処理回路109の端子158から、端子212を介して、データ信号としての受信信号を受け取る。また、受信信号復調部236がMIMO選択信号を受け取った場合には、切換器111から、端子213及び切換器231を介して、データ信号としての受信信号を受け取る。
受信信号復調部236がMIMO選択信号を受け取っていない場合には、受信信号復調部236は、端子212を介して、受け取った受信信号を復調する。
【0054】
受信信号復調部236がMIMO選択信号を受け取った場合には、MIMO処理部237は、アンテナ101により受信した電波に基づく信号(言い換えると、端子212を介して、受け取った信号)及びアンテナ103により受信した電波に基づく信号(言い換えると、切換器111から、端子213及び切換器231を介して、受け取った受信信号)を用いて、MIMO受信方式における信号分離を行う。MIMO多重及び信号分離については、公知である。MIMO受信方式における信号分離の方法として、例えば、非特許文献3には、最小平均2乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)法、SIC法、MLD法などが記載されている。ここでは、詳細の説明を省略する。
【0055】
受信信号復調部238は、第2通信処理回路110の端子189から、端子214を介して、音声信号としての受信信号を受け取る。また、受信信号復調部238がダイバーシティ選択信号を受け取った場合には、受信信号復調部238は、切換器111から、端子213及び切換器231を介して、音声信号としての受信信号を受け取る。
受信信号復調部238がダイバーシティ選択信号を受け取っていない場合には、受信信号復調部238は、第2通信処理回路110の端子189から、端子214を介して、受け取った受信信号を復調する。
【0056】
受信信号復調部238がダイバーシティ選択信号を受け取った場合には、ダイバーシティ処理部240は、アンテナ105により受信した電波に基づく信号(言い換えると、第2通信処理回路110の端子189から、端子214を介して、受け取った受信信号)及びアンテナ103により受信した電波に基づく信号(切換器111から、端子213及び切換器231を介して、受信した受信信号)を用いて、電波状況の優れた方の信号を優先的に使用したり、又は、受信した信号を合成したりなどして、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力する。なお、受信ダイバーシティ方式による信号の処理については、公知であり、ここでは、説明を省略する。
【0057】
送信信号変調部239は、端子220を介して、音声信号としての送信信号を受け取り、受け取った送信信号を変調して変調後の送信信号を端子215を介して、第2通信処理回路110の端子188へ出力する。
1.2 携帯電話機10における動作
ここでは、携帯電話機10における動作のうち、制御部234の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0058】
制御部234は、音声信号の発呼又は着呼があった場合に(ステップS101)、ダイバーシティ選択信号を切換器107、108、111、231、受信信号復調部236及び受信信号復調部238へ出力する(ステップS102)。
操作部により利用者の操作の受け付けが行われ(ステップS103)、その操作がデータ受信の開始を示す操作である場合(ステップS104でYES)、制御部234は、MIMO選択信号を切換器107、108、111、231、受信信号復調部236及び受信信号復調部238へ出力する(ステップS105)。
【0059】
操作部により利用者の操作の受け付けが行われ(ステップS106)、その操作がデータ受信の終了を示す操作である場合(ステップS107でYES)、制御部234は、ダイバーシティ選択信号を切換器107、108、111、231、受信信号復調部236及び受信信号復調部238へ出力する(ステップS108)。
1.3 携帯電話機10における受信信号の流れ
携帯電話機10における受信信号の流れについて、(1)1.9GHz帯におけるMIMO受信及び800MHz帯におけるシングル音声受信、(2)1.9GHz帯におけるSISO(Single−Input Single−Output)受信及び800MHz帯におけるダイバーシティ受信、(3)1.9GHz帯におけるMIMO受信及び1.9GHz帯におけるシングル音声受信、並びに、(4)1.9GHz帯におけるSISO受信及び1.9GHz帯におけるダイバーシティ受信のそれぞれの場合について、図4〜図7を用いて、説明する。
【0060】
(1)1.9GHz帯におけるMIMO受信及び800MHz帯におけるシングル音声受信の場合
ここでは、LTE方式においてMIMO多重化されたデータ信号を2本のアンテナ101及び103により受信してデータ信号を分離し、かつ、1x方式において単一のアンテナ105により音声信号の受信を行う場合について、図4を用いて説明する。なお、ここでは、LTE方式においては、1.9GHz帯を使用し、1x方式においては、800MHz帯を使用するものとする。
【0061】
この場合には、図4に示すように、経路301及び経路302を介して、LTE方式においてMIMO多重化された2個のデータ信号が受信される。また、経路303を介して、1x方式において単一の音声信号が受信される。
経路301において、アンテナ101により受信した信号は、第1送受信共用回路102内のダイプレクサ121及びデュプレクサ122を介して、第1通信処理回路109の端子152に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子158から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子212からMIMO処理部237へ出力される。
【0062】
一方、経路302において、アンテナ103により受信した信号は、受信共用回路104内のダイプレクサ131及びバンドパスフィルタ132を経て、切換器108を介して、第1通信処理回路109の端子156に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子159から出力される。さらに、信号は、切換器111を介して、ベースバンド回路112の端子213から切換器231を経て、MIMO処理部237へ出力される。
【0063】
次に、MIMO処理部237において、経路301及び経路302を介してそれぞれ受信したMIMO多重化された信号から、複数個の信号が分離される。
また、経路303において、アンテナ105により受信した信号は、第2送受信共用回路106内のダイプレクサ134及びデュプレクサ135を介して、第2通信処理回路110の端子184に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子189から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子214から受信信号復調部238へ出力され、復調される。
【0064】
以上のように、経路301及び経路302により、1.9GHz帯におけるMIMO受信が行われ、経路303により、800MHz帯におけるシングル音声受信が行われる。
(2)1.9GHz帯におけるSISO受信及び800MHz帯におけるダイバーシティ受信の場合
ここでは、LTE方式において送信された単一のデータ信号を1本のアンテナ101により受信し、かつ、1x方式において2本のアンテナ103及び105により音声信号を受信ダイバーシティ方式により受信する場合について、図5を用いて説明する。なお、ここでは、LTE方式においては、1.9GHz帯を使用し、1x方式においては、800MHz帯を使用するものとする。
【0065】
この場合には、図5に示すように、経路311を介して、LTE方式において単一のデータ信号が受信される。また、経路312及び313を介して、1x方式において2個の音声信号が受信される。
経路311において、アンテナ101により受信した信号は、第1送受信共用回路102内のダイプレクサ121及びデュプレクサ122を介して、第1通信処理回路109の端子152に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子158から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子212から受信信号復調部236へ出力され、復調される。
【0066】
また、経路312において、アンテナ103により受信した信号は、受信共用回路104内のダイプレクサ131及びバンドパスフィルタ133を経て、切換器107を介して、第2通信処理回路110の端子182に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子187から出力される。さらに、信号は、切換器111を介して、ベースバンド回路112の端子213から切換器231を経て、ダイバーシティ処理部240へ出力される。
【0067】
一方、経路313において、アンテナ105により受信した信号は、第2送受信共用回路106内のダイプレクサ134及びデュプレクサ135を介して、第2通信処理回路110の端子184に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子189から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子214からダイバーシティ処理部240へ出力される。
【0068】
次に、ダイバーシティ処理部240において、経路312及び経路313を介してそれぞれ受信した信号から、受信ダイバーシティ方式により、電波状況の優れた方の信号を優先的に使用したり、又は、受信した信号を合成したりなどして、信号を処理する。
以上のように、経路311により、1.9GHz帯におけるSISO受信が行われ、経路312及び経路313により、800MHz帯におけるダイバーシティ受信(MRD受信)が行われる。
【0069】
(3)1.9GHz帯におけるMIMO受信及び1.9GHz帯におけるシングル音声受信の場合
ここでは、LTE方式においてMIMO多重化されたデータ信号を2本のアンテナ101及び103により受信してデータ信号を分離し、かつ、1x方式において単一のアンテナ105により音声信号を受信する場合について、図6を用いて説明する。なお、ここでは、LTE方式においては、1.9GHz帯を使用し、1x方式においても、1.9GHz帯を使用するものとする。
【0070】
この場合には、図6に示すように、経路321及び322を介して、LTE方式においてMIMO多重化された2個のデータ信号が受信される。また、経路323を介して、1x方式において単一の音声信号が受信される。
経路321において、アンテナ101により受信した信号は、第1送受信共用回路102内のダイプレクサ121及びデュプレクサ122を介して、第1通信処理回路109の端子152に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子158から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子212からMIMO処理部237へ出力される。
【0071】
一方、経路322において、アンテナ103により受信した信号は、受信共用回路104内のダイプレクサ131及びバンドパスフィルタ132を経て、切換器108を介して、第1通信処理回路109の端子156に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子159から出力される。さらに、信号は、切換器111を介して、ベースバンド回路112の端子213から切換器231を経て、MIMO処理部237へ出力される。
【0072】
次に、MIMO処理部237において、経路321及び経路322を介してそれぞれ受信したMIMO多重化された信号から、複数個の信号が分離される。
また、経路323において、アンテナ105により受信した信号は、第2送受信共用回路106内のダイプレクサ134及びデュプレクサ137を介して、第2通信処理回路110の端子186に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子189から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子214から受信信号復調部238へ出力され、復調される。
【0073】
以上のように、経路321及び経路322により、1.9GHz帯におけるMIMO受信が行われ、経路323により、1.9GHz帯におけるシングル音声受信が行われる。
(4)1.9GHz帯におけるSISO受信及び1.9GHz帯におけるダイバーシティ受信の場合
ここでは、LTE方式において送信された単一のデータ信号を1本のアンテナ101により受信し、かつ、1x方式において2本のアンテナ103及び105により音声信号を受信ダイバーシティ方式により受信する場合について、図7を用いて説明する。なお、ここでは、LTE方式においては、1.9GHz帯を使用し、1x方式においても、1.9GHz帯を使用するものとする。
【0074】
この場合には、図7に示すように、経路331を介して、LTE方式において単一のデータ信号が受信される。また、経路332及び経路333を介して、1x方式において2個の音声信号が受信される。
経路331において、アンテナ101により受信した信号は、第1送受信共用回路102内のダイプレクサ121及びデュプレクサ122を介して、第1通信処理回路109の端子152に出力される。次に、信号は、第1通信処理回路109において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子158から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子212から受信信号復調部236へ出力され、復調される。
【0075】
また、経路332において、アンテナ103により受信した信号は、受信共用回路104内のダイプレクサ131及びバンドパスフィルタ132を経て、切換器108を介して、第2通信処理回路110の端子181に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子187から出力される。さらに、信号は、切換器111を介して、ベースバンド回路112の端子213から切換器231を経て、ダイバーシティ処理部240へ出力される。
【0076】
一方、経路333において、アンテナ105により受信した信号は、第2送受信共用回路106内のダイプレクサ134及びデュプレクサ137を介して、第2通信処理回路110の端子186に出力される。次に、信号は、第2通信処理回路110において、レベル調整、周波数変換及び雑音除去の各プロセスを経て、端子189から出力される。さらに、信号は、ベースバンド回路112の端子214からダイバーシティ処理部240へ出力される。
【0077】
次に、ダイバーシティ処理部240において、経路332及び経路333を介してそれぞれ受信した信号から、受信ダイバーシティ方式により、電波状況の優れた方の信号を優先的に使用したり、又は、受信した信号を合成したりなどして、信号を処理する。
以上のように、経路331により、1.9GHz帯におけるSISO受信が行われ、経路332及び経路333により、1.9GHz帯におけるダイバーシティ受信(MRD受信)が行われる。
【0078】
1.4 まとめ
携帯電話機10は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する。携帯電話機10において、制御部234から出力される選択信号に応じて、MIMO受信を行う場合には、アンテナ103により受信した信号を、受信共用回路104、切換器107又は切換器108、第1通信処理回路109、切換器111及び切換器231を介して、MIMO処理部237へ出力する。一方、ダイバーシティ受信を行う場合には、アンテナ103により受信した信号を、受信共用回路104、切換器107又は切換器108、第2通信処理回路110、切換器111及び切換器231を介して、ダイバーシティ処理部240へ出力する。
【0079】
こうして、携帯電話機10において、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する場合において、アンテナ103及び受信共用回路104を共用することができ、無線回路の部品数の増加を抑制することができる。
1.5 第2の課題
本発明の一実施の形態としての携帯電話機10が解決すべき課題は、携帯電話機の無線回路に用いられる部品数が増えることのみではない。
【0080】
従来より、携帯電話機が備えるベースバンド回路は、3個の受信ポート(受信用の端子)を備える場合が多く、3個の受信ポートを備えるベースバンド回路が普及している。
しかし、上記の実施の形態において説明したように、携帯電話機において、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作させようとすると、MIMO受信方式における受信において少なくとも2系統の受信回路、受信ダイバーシティ方式における受信において少なくとも2系統の受信回路が、合計で少なくとも4系統の受信回路が必要となる。従って、ベースバンド回路は、4個の受信ポートを必要とする。このため、4個の受信ポートを備えるベースバンド回路を新たに開発する必要があり、開発費用が多大となるという課題がある。
【0081】
携帯電話機10では、普及している3個の受信ポートを備えるベースバンド回路を用いて、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作させることができる。
これは、携帯電話機10が切換器111を備え、ベースバンド回路112が切換器231を備えるからである。
【0082】
第1通信処理回路109から出力される信号の伝達経路及び第2通信処理回路110から出力される信号の伝達経路が、切換器111により、1本の伝達経路に統合され、1個の端子213を介して、ベースバンド回路112に接続される。ベースバンド回路112内部では、1本に統合された信号の伝達経路が、切換器231により、2本の伝達経路に分離され、それぞれの伝達経路を介して、対応する受信信号復調部に信号が伝達される。
【0083】
このため、ベースバンド回路112の端子の数を削減することができる。
2.その他の変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記第2の課題を解決するために、本発明の一態様である携帯電話機10a(図示していない)は、携帯電話機10と類似の構成を有している。携帯電話機10との相違点は、次の通りである。
【0084】
携帯電話機10aは、携帯電話機10が有する切換器107及び108を有さない。また、携帯電話機10aは、さらに、アンテナ103a及び受信共用回路104aを有する。ここで、受信共用回路104aは、ダイプレクサ131a、バンドパスフィルタ132a及びバンドパスフィルタ133aから構成されている。ここで、アンテナ103a及び受信共用回路104aは、それぞれ、アンテナ103及び受信共用回路104と同一の構成を有している。
【0085】
受信共用回路104のバンドパスフィルタ132は、切換器108に接続される代わりに、第1通信処理回路109の端子156に接続され、受信共用回路104のバンドパスフィルタ133は、切換器107に接続される代わりに、第1通信処理回路109の端子155に接続される。
受信共用回路104aのバンドパスフィルタ132aは、第2通信処理回路110の端子181に接続され、受信共用回路104aのバンドパスフィルタ133aは、第2通信処理回路110の端子182に接続される。
【0086】
このように、携帯電話機10aは、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作させるため、MIMO受信方式における受信のための2系統の受信回路(アンテナ101及び第1送受信共用回路102、並びに、アンテナ103及び受信共用回路104)と、受信ダイバーシティ方式における受信のための2系統の受信回路(アンテナ105及び第2送受信共用回路106、並びに、アンテナ103a及び受信共用回路104a)を備えている。
【0087】
このように、携帯電話機10aによると、携帯電話機10aと同様に、第1通信処理回路109から出力される信号の伝達経路及び第2通信処理回路110から出力される信号の伝達経路が、切換器111により、1本の伝達経路に統合され、1個の端子213を介して、ベースバンド回路112に接続される。ベースバンド回路112内部では、1本に統合された信号の伝達経路が、切換器231により、2本の伝達経路に分離され、それぞれの伝達経路を介して、対応する受信信号復調部に信号が伝達される。
【0088】
このため、ベースバンド回路112の端子の数を削減することができる。
(2)上記の実施の形態において、携帯電話機10は、1.9GHz帯及び800MHz帯を使用しているが、これには限定されない。その他の周波数帯域を用いるとしてもよい。
(3)上記の実施の形態においては、LTE方式によるMIMO受信において、2系統の受信回路のそれぞれで、1.9GHz帯を用いるとしている。この場合において、携帯電話機10に対応する無線基地局は、2個のアンテナを含む2系統の送信回路により、信号を送信する。
【0089】
また、無線基地局は、N個のアンテナを備え、携帯電話機は、N個のアンテナを備えるとしてもよい。ここで、Nは、2以上の整数である。送信側の無線基地局は、送信信号を時空間符号化(STC:Space−Time Coding)により、時間と空間との両方に領域で情報の組替えを行って並列伝送信号を生成し、N個のアンテナにより、電波を空間に出力する。受信側の携帯電話機は、マルチパス伝送路を経由した電波をN個のアンテナで受け、STCの逆プロセスの処理である時空間復号回路(STD:Space−Time Decoding)により、混在した複数の信号から干渉を除去して個々の信号を分離・合成することにより、受信信号を生成する。
【0090】
(4)上記の実施の形態においては、アンテナ103及びアンテナ105の両方により電波を受信して、受信ダイバーシティ方式を用いて、電波状況の優れた方の信号を優先的に使用したり、又は、受信した信号を合成したりなどして、信号を処理して、音声信号による送受信を行っている途中で、つまり、通話中に、MIMO受信方式によるデータ受信に切り換える場合について、説明している。MIMO受信方式によるデータ受信に切り換えた後は、アンテナ105のみを用いて、音声信号の送受信を行う。また、アンテナ101及びアンテナ103の両方により電波を受信して、MIMO受信方式によるデータ受信を行う。
【0091】
しかし、本発明は、上記のケースには限定されない。MIMO受信方式によるデータ受信中に、受信ダイバーシティ方式に切り換えるとしてもよい。つまり、アンテナ101及びアンテナ103の両方により電波を受信して、MIMO受信方式を用いて、データ受信を行っている途中で、音声通信の着呼又は発呼があるときに、MIMO受信方式によるデータ受信を中止して、受信ダイバーシティ方式による音声信号の送受信に切り換えるとしてもよい。つまり、データ受信を通話に切り換えるとしてもよい。受信ダイバーシティ方式による通話に切り換えた後は、アンテナ103及びアンテナ105の両方により電波を受信して、受信ダイバーシティ方式を用いる。この場合に、アンテナ101のみを用いてデータ受信を行うとしてもよい。
【0092】
(5)ベースバンド回路112のデータ処理部232、音声処理部233及び制御部234は、それぞれ、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムであるとしてもよい。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、データ処理部232、音声処理部233及び制御部234は、それぞれ、その機能を達成する。つまり、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに含まれる各命令を1個ずつ読み出し、読み出した命令を解読し、解読結果に従って動作する。
【0093】
また、RAMに記憶されているコンピュータプログラムに含まれる命令に従って、マイクロプロセッサが動作することにより、当該コンピュータプログラムとマイクロプロセッサとが、あたかも、一つのハードウェア回路を構成し、このハードウェア回路が動作しているようにみせることができる。
(6)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0094】
3.まとめ
以上説明したように、本発明の一態様は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機であって、MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御手段と、前記制御手段の決定に応じて、第3アンテナにより受信した第3信号の出力先を切り換える第1切換手段と、MIMO受信方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第1アンテナにより受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理手段と、受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第2アンテナにより受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理手段とを含むことを特徴とする。
【0095】
この構成によると、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する場合において、第3アンテナを共用することができ、無線回路に用いられる部品数の増加を抑えることができるという優れた効果を奏する。
ここで、前記携帯電話機は、ベースバンド信号の処理を行うベースバンド回路と、第1通信方式による通信信号処理を行う第1通信処理回路と、第2通信方式による通信信号処理を行う第2通信処理回路と、送受信共用の前記第1アンテナと、前記第1アンテナと前記第1通信処理回路との間で、前記第1信号を入出力する第1送受信共用手段と、送受信共用の前記第2アンテナと、前記第2アンテナと前記第2通信処理回路との間で、前記第2信号を入出力する第2送受信共用手段と、受信専用の前記第3アンテナと、前記第3アンテナにより受信した前記第3信号を出力する受信専用手段とを含み、前記第1切換手段は、前記第3信号を、前記第1通信処理回路及び前記第2通信処理回路の何れか一方へ出力するように切り換え、前記ベースバンド処理回路は、前記制御手段、前記MIMO処理手段及び前記ダイバーシティ処理手段を含み、前記MIMO処理手段は、前記第1アンテナ及び前記第1送受信共用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力した第1信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力した第3信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行い、前記ダイバーシティ処理手段は、前記第2アンテナ及び前記第2送受信共用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力した第2信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力した第3信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力してもよい。
【0096】
この構成によると、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する場合において、第3アンテナ及び受信専用手段を共用することができ、無線回路に用いられる部品数の増加を抑えることができるという優れた効果を奏する。
ここで、前記携帯電話機は、さらに、前記制御手段の決定に応じて、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力された信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力された信号とのいずれか一方を、前記ベースバンド処理回路へ出力するように切り換える第2切換手段を含むとしてもよい。
【0097】
この構成によると、前記ベースバンド処理回路において、前記第1通信処理回路を介して入力された信号と、前記第2通信処理回路を介して入力された信号とを受ける端子を共通化することができる。
また、本発明の一態様は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機を制御する制御方法であって、MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御ステップと、前記制御ステップの決定に応じて、第3アンテナにより受信した第3信号の出力先を切り換える第1切換ステップと、MIMO受信方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第1アンテナにより受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理ステップと、受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第2アンテナにより受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0098】
この方法によると、携帯電話機においてMIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する場合において、第3アンテナを共用させることができ、携帯電話機における無線回路に用いられる部品数の増加を抑えることができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の一態様は、第1信号及び第2信号を用いたMIMO受信方式における信号分離と、第3信号及び第4信号を用いた受信ダイバーシティ方式による信号処理とを切り換えて動作する携帯電話機であって、前記第2信号及び前記第4信号の何れか一方を出力する切換手段と、ベースバンド回路とを含み、前記ベースバンド回路は、前記第1信号を受け取る第1端子と、前記第3信号を受け取る第2端子と、前記第2信号及び前記第4信号の何れか一方を受け取る第3端子と、MIMO受信方式を用いる場合、前記第1端子及び前記第3端子を介して受け取った前記第1信号と前記第2信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理手段と、受信ダイバーシティ方式を用いる場合、前記第2端子及び前記第3端子を介して受け取った前記第3信号と前記第4信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理手段とを含むことを特徴とする。
【0099】
この構成によると、第1端子、第2端子及び第3端子を備えるベースバンド回路を用いて、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作させることができるので、ベースバンド回路における端子数の増加を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明にかかる携帯電話機は、MIMO受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機として有用である。
【符号の説明】
【0101】
10 携帯電話機
101 アンテナ
102 第1送受信共用回路
103 アンテナ
104 受信共用回路
105 アンテナ
106 第2送受信共用回路
107 切換器
108 切換器
109 第1通信処理回路
110 第2通信処理回路
111 切換器
112 ベースバンド回路
231 切換器
232 データ処理部
233 音声処理部
234 制御部
235 送信信号変調部
236 受信信号復調部
237 MIMO処理部
238 受信信号復調部
239 送信信号変調部
240 ダイバーシティ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機であって、
MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御手段と、
前記制御手段の決定に応じて、第3アンテナにより受信した第3信号の出力先を切り換える第1切換手段と、
MIMO受信方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第1アンテナにより受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理手段と、
受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第2アンテナにより受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理手段と
を含むことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記携帯電話機は、
ベースバンド信号の処理を行うベースバンド回路と、
第1通信方式による通信信号処理を行う第1通信処理回路と、
第2通信方式による通信信号処理を行う第2通信処理回路と、
送受信共用の前記第1アンテナと、
前記第1アンテナと前記第1通信処理回路との間で、前記第1信号を入出力する第1送受信共用手段と、
送受信共用の前記第2アンテナと、
前記第2アンテナと前記第2通信処理回路との間で、前記第2信号を入出力する第2送受信共用手段と、
受信専用の前記第3アンテナと、
前記第3アンテナにより受信した前記第3信号を出力する受信専用手段とを含み、
前記第1切換手段は、前記第3信号を、前記第1通信処理回路及び前記第2通信処理回路の何れか一方へ出力するように切り換え、
前記ベースバンド処理回路は、前記制御手段、前記MIMO処理手段及び前記ダイバーシティ処理手段を含み、
前記MIMO処理手段は、前記第1アンテナ及び前記第1送受信共用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力した第1信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力した第3信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行い、
前記ダイバーシティ処理手段は、前記第2アンテナ及び前記第2送受信共用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力した第2信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力した第3信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記携帯電話機は、さらに、
前記制御手段の決定に応じて、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第1通信処理回路を介して入力された信号と、前記第3アンテナ及び前記受信専用手段から、前記第2通信処理回路を介して入力された信号とのいずれか一方を、前記ベースバンド処理回路へ出力するように切り換える第2切換手段
を含むことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)受信方式と受信ダイバーシティ方式とを切り換えて動作する携帯電話機を制御する制御方法であって、
MIMO受信方式及び受信ダイバーシティ方式のいずれを用いるかを決定する制御ステップと、
前記制御ステップの決定に応じて、第3アンテナにより受信した第3信号の出力先を切り換える第1切換ステップと、
MIMO受信方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第1アンテナにより受信した第1信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理ステップと、
受信ダイバーシティ方式を用いると決定される場合、前記出力先として前記第3信号を受け取り、受け取った前記第3信号と、第2アンテナにより受信した第2信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
第1信号及び第2信号を用いたMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)受信方式における信号分離と、第3信号及び第4信号を用いた受信ダイバーシティ方式による信号処理とを切り換えて動作する携帯電話機であって、
前記第2信号及び前記第4信号の何れか一方を出力する切換手段と、
ベースバンド回路とを含み、
前記ベースバンド回路は、
前記第1信号を受け取る第1端子と、
前記第3信号を受け取る第2端子と、
前記第2信号及び前記第4信号の何れか一方を受け取る第3端子と、
MIMO受信方式を用いる場合、前記第1端子及び前記第3端子を介して受け取った前記第1信号と前記第2信号とを用いて、MIMO受信方式における信号分離を行うMIMO処理手段と、
受信ダイバーシティ方式を用いる場合、前記第2端子及び前記第3端子を介して受け取った前記第3信号と前記第4信号とを用いて、受信ダイバーシティ方式により信号を処理して出力するダイバーシティ処理手段と
を含むことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110666(P2013−110666A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256009(P2011−256009)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】