説明

携帯電話機

【課題】携帯電話機では、小型化された構造にするため送信用の高周波電流はアンテナ5だけでなくプリント回路基板4にも流れる。このプリント回路基板4に流れる高周波電流が、二次電池2の直下のプリント回路基板4上に設けられたLSIにも分流されて流れ込み、LSIの誤動作により音声品質などの通信性能を損なうのを防ぐ。
【解決手段】二次電池を有する携帯電話機において、この二次電池の導電性外皮が携帯電話機の本体内部に設けられたプリント回路基板のグランドと複数の箇所で接地されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯電話機に関し、特に二次電池を有する携帯電話機の誤動作防止に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の二次電池を有する携帯電話機について図3、図4および図5を参照して説明する。図3は、携帯電話機の概観図で、図3(a)は正面図、図3(b)は背面図であり、二次電池2は携帯電話機1の背面に取り付けられており、充電用端子3を持つ。図4はこの携帯電話機1の断面図であり、二次電池2は携帯電話機1の本体に取り付けられ、無線回路、受話回路、送話回路や制御回路などが搭載されたプリント回路基板4に電源ピン6を介して電力を供給している。また、アンテナ5がプリント回路基板4に設けられた無線回路と接続されている。一般に二次電池は交換のため携帯電話機の本体からとりはずされることができるとともに、筐体の一部を構成するような構造を持つ。図5は、二次電池2のプリント回路基板側の平面面であり、プリント回路基板に電力を供給するための電源用端子7が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の携帯電話機では、アンテナ5に所定の高周波電流を流して電波を発生させるが、携帯電話の小型化のためアンテナ5の長さは所定の周波数の半波長共振に対応する1/2波長よりも短く設計されており、そのため上記高周波電流はアンテナ5だけでなくプリント回路基板4にも流れる。このとき、二次電池2が電源ピン6を介してプリント回路基板4に電気的に接続されていると、二次電池2とそれに対向するプリント回路基板4は電源ピン6を短絡点とする並行平板構造を形成し、二次電池2に対向するプリント回路基板には高周波電流は電源ピン6で反射され、この反射された高周波電流は再び流れ込んだ入り口でも反射されるため、二次電池の直下のプリント回路基板には高周波電流が定在波として存在し、高周波電流が大きく増加する。そのため、このプリント回路基板4に流れる大きな高周波電流は、二次電池2の直下のプリント回路基板4上に設けられたLSIにも分流されて流れ込み、LSIの誤動作につながった。たとえば、通話中においては受話回路を構成するLSIに漏れこんだ送信用高周波電流が音声信号にパルスノイズを生じる現象がおこり、音声品質を損なう場合があった。したがって、本発明の目的は、上述した携帯電話機内部のプリント回路基板上に設けられたLSIが二次電池により増大された送信用高周波電流により誤動作を引き起こすのを防ぎ、良好な通信性能を持つ携帯電話機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による携帯電話機は二次電池を有し、この二次電池の導電性外皮が携帯電話機の本体内部に設けられたプリント回路基板のグランドと複数の箇所で接地されている。前記携帯電話機の二次電池の導電性外皮には、複数の接地用端子が設けられ、その位置が二次電池の周辺部に位置している。前記二次電池の導電性外皮に複数の接地用端子が設けられ、その位置は二次電池の4隅あるいはその近傍である。二次電池が携帯電話機から取り外せる構造を持ち、この二次電池の導電性外皮に設けられた複数の接地用の端子と接触するように、前記プリント回路基板上にグランドと接続された接地ピンが設けられている。
【0005】本発明による携帯電話機は、二次電池の導電性外皮をプリント回路基板のグランドと複数の箇所で接地することにより、プリント回路基板に流れる高周波電流は二次電池の外側に流れ出し、二次電池直下のLSIが搭載されているプリント回路基板に流れる高周波電流を大幅に減少する作用をもつ。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態による携帯電話機の断面図である。簡単のため、表示部や操作ボタンは省いている。また、プリント回路基板上のLSIも省略している。図1において、プリント回路基板4に、アンテナ5、二次電池2が設けられ、この二次電池2とプリント回路基板4とを接続される電源ピン6と、接地ピン8が設けられている、また、二次電池の充電用端子3も設けられる。図2は携帯電話機用二次電池のプリント回路基板側の平面図である。図2において二次電池2に、電源用端子7、接地用端子9が設けられている。この携帯電話機は、アンテナ5と電気的に接続された無線回路、受話回路、送話回路や制御回路などが搭載されたプリント回路基板4を持つ。充電用端子3を持つ二次電池2が前記プリント回路基板4に電源ピン6を介して電力を供給するとともに、二次電池2の導電性外皮の周辺部に設けられた接地用端子9が接地ピン8を介してプリント回路基板4のグランドに複数の箇所で接地されている。
【0007】そのため、アンテナ5およびプリント回路基板4に流れる高周波電流は、接地ピン8および接地用端子9を通って二次電池2の外側に流れ出し、二次電池直下のプリント回路基板4に流れ込まなくなる。したがって二次電池2の直下の高周波電流は、従来の携帯電話機においては定在波として存在して大きかったのに対し、大幅に減少する。これは、二次電池2の導電性外皮とプリント回路基板4のグランドが複数の箇所で接地されることにより、シールド構造が形成され、二次電池2の直下のプリント回路基板4の二次電池側に設けられたLSIへの高周波電流の流れ込みが抑制され、LSIの誤動作が起きなくなる。
【0008】本発明の他の実施の形態として、図1に示したような携帯電話の本体が一体化された構造に限られず、本体が折りたたみ構造を持つ携帯電話機にも適用できる。この場合は、二次電池が接地されている側の本体部において、二次電池の導電性外皮の周辺部に設けられた接地用端子が接地ピンを介してプリント回路基板のグランドに複数の箇所で接地されている構造を持つ。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、携帯電話機内部のプリント回路基板上の二次電池に挟まれた領域に設けられたLSIが誤動作を引き起こすのを防ぎ、良好な通信性能が得られるという効果がある。その理由は、二次電池2の直下のプリント回路基板を流れる高周波電流が減少し、その結果二次電池側に設けられたLSIへの高周波電流の流れ込みが抑制されるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の形態による携帯電話機の断面図である。
【図2】本実施の形態における二次電池2の平面図である。
【図3】従来技術による携帯電話機の表面図及び裏面図である。
【図4】従来技術による携帯電話機の断面図である。
【図5】従来技術による二次電池2の平面図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機
2 二次電池
3 充電用端子
4 プリント回路基板
5 アンテナ
6 電源ピン
7 電源用端子
8 接地ピン
9 接地用端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電池を有する携帯電話機において、この電池の導電性外皮が携帯電話機の本体内部に設けられたプリント回路基板のグランドと複数の箇所で接地されていることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】 前記電池の導電性外皮に複数の接地用端子が設けられ、その位置が電池の周辺部であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】 前記電池の導電性外皮に複数の接地用端子が設けられ、その位置が電池の4隅あるいはその近傍であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】 前記電池が携帯電話機から取り外せる構造を持ち、この電池の導電性外皮に設けられた複数の接地用の端子と接触するように、前記プリント回路基板上にグランドと接続された接地ピンが設けられている事を特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項5】 前記電池の導電性外皮に設けられた複数の接地用端子が、前記導電性外皮に直流的に電気接続された導電体により形成されるか、あるいは、誘電体を介して高周波的に電気接続された導電体により形成されたことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項6】 前記電池が二次電池電池であることを特徴とする請求項1乃至5記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−348202(P2003−348202A)
【公開日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−156577(P2002−156577)
【出願日】平成14年5月30日(2002.5.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】