説明

携帯電話機

【課題】既設の振動モータを兼用することにより、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱が増加する部品に対する冷却を安価に実現し、しかも、振動モータの振動の継続による操作性への影響を抑止して、取り扱い性の良い携帯電話機を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1において、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱する部品に近接するように筐体7に装備された通気孔41と、通気性を損なわずに通気孔41を覆うフィルタ43と、スライド動作により通気孔41を開閉する開閉カバー45と、高消費電流アプリケーションの運用時に自動的に振動モータ26を動力源として開閉カバー45を開く開閉制御機構47とを備えた構成として、兼用する振動モータ26の動作時間をカバーを開く時のみに制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機筐体を振動させて着信を知らせる着信用の振動モータを備えると共に、消費電流の多いアプリケーションが搭載される携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は市場の要求や製品の差別化のために高機能化・多機能化が図られており、従来は通話機能だけであったものが、各種の機能が追加されてきている。
【0003】
例えば、携帯電話機本来の通話機能に加えて、電子メールなどのテキストデータの伝送を初め、画像データや音楽データの伝送などを行う各種のデータ通信機能と、表計算や画像データの編集などを行うデータ編集機能と、インターネットのWEBの閲覧機能などを備えたものが開発されている。
また、これらの各種の機能で扱うデータをより鮮明に表示できるように、帯電話機に内蔵される表示装置の高精細化や画面サイズの大型化が図られるようにもなった。
【0004】
以上の各種機能におけるデータ伝送やデータ編集や表示装置への表示処理は、予め内蔵のメモリ等に組み込まれた各機能毎のアプリケーション(プログラム)により実行されるが、一般に画像処理量が多くなるアプリケーションは、実行時の演算処理量が多くなり、携帯電話機に内蔵された演算処理用の部品(所謂CPUや、画像処理専用のプロセッサーなど)への負担を増加させるため、消費電流が多くなる。
【0005】
近年は、高機能化に伴って、消費電流の多いアプリケーション(以下、高消費電流アプリケーションと呼ぶ)が増えており、このようなアプリケーションの運用時には、負荷が増大する部品において発熱量が増大し、電話機筐体内の温度の過昇温による電子部品の劣化を防止するために、冷却対策が不可欠になってきている。
【0006】
そこで、このような冷却対策として、電話機筐体を振動させて着信を知らせる着信用の振動モータを備えると共に、高消費電流アプリケーションが搭載される携帯電話機において、発熱量の多くなる部品を前記振動モータにより振動させて、前記部品からの発熱を拡散させる技術や、電話機筐体の裏面や底面に通気用の開口を設ける技術が提案された。(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このように、既に搭載されている振動モータを冷却機能に兼用できれば、冷却用に専用の駆動源を装備する必要がなくなり、冷却機能の装備に伴うコストアップを抑止することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−72420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、通常、携帯電話機はコンパクト化が重要課題になっていて、電話機筐体内では、部品の高密度実装が追求されるため、筐体内には余分な空間がほとんど残されないのが現状であり、上記特許文献1のように、振動モータにより発熱部品を振動させても、熱が拡散する空間が狭く、十分な冷却効果を得ることはできない。
【0010】
また、振動モータはかなり強い振動を発生するため、高消費電流アプリケーションが運用される間、絶えず連続稼働させておくのは、振動及び騒音の観点から望ましくなく、また、そのアプリケーションの操作性等にも不都合を招きかねない。
【0011】
更に、上記特許文献1の場合は、電話機筐体の裏面や底面に通気用の開口を設ける技術は記載されているものの、各開口には、外部からの異物の侵入を阻止する配慮がないため、通気と一緒に外部の異物が筐体内に進入して、内部回路の短絡等を招く虞があった。
【0012】
更に、上記特許文献1で開口を設定した電話機筐体の裏面や底面は、机上等に電話機を載置した時に机等の載置面によって覆われてしまうことが多く、開口が覆われてしまって、想定していた通気量が安定して得られず、期待していた冷却性能が十分に得られない虞もあった。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱が増加する部品に対して、安定した通気による冷却を安価に実現することができ、また前記アプリケーションの運用中に冷却機能用の駆動源が連続的に振動等を発して前記アプリケーションの操作性等に影響を及ぼすこともなく、また、冷却用の通気と一緒に筐体内に異物が侵入することを防止することもできる携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明の上記課題の解決は、電話機筐体を振動させて着信を知らせる着信用の振動モータを備えると共に、高消費電流アプリケーションが搭載される携帯電話機であって、
前記高消費電流アプリケーションの運用時に発熱する部品に近接するように前記筐体に装備された通気孔と、通気性を損なわずに前記通気孔を覆って前記通気孔からの異物の侵入を防止するフィルタと、スライド動作により前記通気孔を開閉する開閉カバーと、前記高消費電流アプリケーションの運用時に自動的に前記振動モータを動力源として前記開閉カバーを開く開閉制御機構とを備えたことを特徴とする携帯電話機により達成される。
【0015】
上記構成によれば、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱が増加する部品に対して、その部品に近接するように電話機筐体に装備された通気孔を開くもので、発熱部品が発生する熱を部品に近接した通気孔からの通気により安定して冷却することができる。
また、その通気孔を開く開閉カバーの開閉制御機構は、駆動源として着信を知らせる振動モータが兼用されるため、冷却機能用に専用の駆動源となるモータを追加する必要がなく、冷却を安価に実現することができる。
また、駆動源として利用される振動モータの駆動は、開閉カバーを開閉する時だけで良いため、高消費電流アプリケーションの運用中に振動モータが継続運転されて振動モータの発生する振動が前記アプリケーションの操作性等に影響を及ぼすこともない。
更に、上記の携帯電話機では、通気孔には、異物の侵入を防止するフィルタが装備されているため、冷却用の通気と一緒に筐体内に異物が侵入することを防止することもでき、信頼性の高い冷却を実施することができる。
【0016】
(2)なお、好ましくは、上記(1)に記載の携帯電話機において、前記通気孔が、電話機筐体の側面部に装備されている構成とすると良い。
このような構成にすると、一般に、電話機筐体は、側面が薄い偏平構造に形成されていて、机上等に電話機を載置したときでも、その側面部が載置面に接地される載置形態は発生しないため、側面部に装備された通気孔が載置面によって塞がれるといった不都合が発生することがない。
従って、机上等に電話機を載置された形態で利用される場合でも、通気孔による安定した通気が可能で、安定した通気によって必要な冷却性能を確保することができる。
【0017】
(3)また、好ましくは、上記(1)又は(2)に記載の携帯電話機において、前記フィルタは、通気性と防水性を兼ね備えた布材又はメッシュ体で形成されている構成とすると良い。
このような構成にすると、フィルタは、外部からの固形の異物の侵入を防止するだけでなく、外部からの水滴等の侵入を防止して、より高度に筐体内部の回路を保護することができる。
【0018】
(4)また、好ましくは、上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の携帯電話機において、前記開閉制御機構は、前記開閉カバーを開く動作にのみ振動モータの動力を利用し、開閉カバーを閉じる動作は、前記開閉カバーを閉じる方向に付勢するばねの復元力により行う構成とすると良い。
このような構成にすると、開閉カバーの開閉動作時における振動モータの動作時間が、開閉カバーを開く動作時のみとなり、振動モータの稼働時間がより短い時間に制限されて、振動の継続によるアプリケーション操作性の低下が更に軽減される。また、振動モータの稼働時間の短縮により、冷却用の駆動源に兼用される振動モータの寿命の低下を防止することもできる。
【0019】
(5)また、好ましくは、上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の携帯電話機において、前記開閉制御機構は、前記開閉カバーに一端を連結した紐状体を巻き取ることで前記開閉カバーを開く方向にスライドさせるプーリと、該プーリの回転軸を前記振動モータの出力軸に着脱する電磁クラッチとを備え、前記高消費電流アプリケーションの起動時に前記プーリを振動モータに連結して、開閉カバーを開く構成とすると良い。
このような構成にすると、開閉カバーを開く動作にのみ振動モータの動力を利用する上記(4)に記載の開閉制御機構を、比較的に単純な部品構成で実現することができる。また、開閉カバーのスライド動作にラック&ピニオンを使用する機構を採用する場合と比較すると、紐状体をプーリで巻き取るスライド機構は、開閉カバーのスライド量を大きく確保することがコストをかけずに容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る携帯電話機の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る携帯電話機の第1の実施の形態の前面側から見た斜視図、図2は図1に示した携帯電話機の背面側から、電話機筐体内の開閉制御機構を透視して示した斜視図、図3は図2に示した開閉制御機構の動作の説明図、図4は図1に示した携帯電話機の開閉制御機構の構成を示すブロック図、図5は図3に示した開閉制御機構の動作制御を示すフローチャートである。
【0021】
この第1の実施の形態の携帯電話機1は、上面に多種の押し釦スイッチ3から構成される操作部5が装備された第1の電話機筐体7の上端に、液晶ディスプレイ9による表示部10を搭載した第2の電話機筐体12が開閉可能にヒンジ結合された折り畳み式タイプの携帯電話機である。
【0022】
この携帯電話機1は、携帯電話機本来の通話機能に加えて、電子メールなどのテキストデータの伝送を初め、画像データや音楽データの伝送などを行う各種のデータ通信機能と、表計算や画像データの編集などを行うデータ編集機能と、インターネットのWEBの閲覧機能などを備えた多機能タイプのものである。
【0023】
携帯電話機1の開閉制御機構は、上記の第1の電話機筐体7及び第2の電話機筐体12内に、図2に示すような部品を収容した構成となっている。
図2に示した構成部品は、各種の機能を実施するためのアプリケーションプログラムが格納されたメモリ21、このメモリ21に搭載されたアプリケーションプログラムを実行したり各部の動作を制御するCPU22、前述の押し釦スイッチ3の操作等により機能選択やデータ入力等を行う操作部5、各機能の実行時に処理状態等を表示する前述の表示部10、通話データや画像その他の通信データを無線通信で送受信する無線部23、通話時の音声入力や受信した音声の再生を行う音声部25、電子メールや通話の着信時に筐体を振動させてその旨を知らせる着信用の振動モータ26とそのドライバ27、前記振動モータ26の駆動力を後述の開閉制御機構の駆動源として利用するための電磁クラッチ28とそのドライバ29、筐体内の温度を検出する温度センサ31、以上の各部に電流を供給する電源部33、電源部33から各部に電流を供給する電源ライン35、各部品相互間でデータを送受する信号路であるバスライン37等である。
【0024】
以上の各構成の内、CPU22、メモリ21、無線部23、振動モータ26、電磁クラッチ28、温度センサ31、電源部33などが、第1の電話機筐体7内に収容されている。
メモリ21に格納されるアプリケーションプログラムには、運用時の演算処理用が多く、前述のCPU22等への負担を増加させるため、消費電流が多くなる高消費電流アプリケーションも含まれる。
【0025】
本実施の形態の携帯電話機1では、図3に示すように、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱するCPU22等の部品を収容した第1の電話機筐体7には、その発熱部品22に近接するように第1の電話機筐体7に装備された適宜数の通気孔41と、通気性を損なわずに通気孔41を覆って通気孔41からの異物の侵入を防止するフィルタ43と、スライド動作により通気孔41を開閉する開閉カバー45と、高消費電流アプリケーションの運用時に自動的に着信通知用の振動モータ26を動力源として開閉カバー45を開く開閉制御機構47とを備えている。
【0026】
本実施の形態の場合、通気孔41は、第1の電話機筐体7の右の側面部7aに装備されている。
また、フィルタ43は、通気性と防水性を兼ね備えた布材又はメッシュ体で形成されていて、通気孔41を覆うように、側面部7aの内面に貼付されている。
【0027】
開閉制御機構47は、図3及び図4に示すように、側面部7aの内面側に固定装備されて板状の開閉カバー45を側面部7aに沿ってスライド自在に支持するガイドレール51と、開閉カバー45に一端を連結した紐状体52を巻き取ることで開閉カバー45を開く方向(図4(a)で矢印A方向)にスライドさせるプーリ53と、該プーリ53の回転軸53aを振動モータ26の出力軸26aに着脱する電磁クラッチ28と、開閉カバー45を閉じる方向に付勢するばね57と、を備えていて、高消費電流アプリケーションの起動時に、該高消費電流アプリケーションに埋め込まれた通気開始指令によって、プーリ53を振動モータ26に連結して、開閉カバー45を自動的に開く。
紐状体52の布設経路には、紐状体52の通過位置を規制するガイドプーリ55が装備される。
電磁クラッチ28は、永久磁石28aと、電磁クラッチ用電源部33aと、コイル58と、電磁石となる回転軸53a(軟鉄1)と、電磁石となるプーリ53(軟鉄2)と、から構成される。
そして、電磁クラッチ用電源のスイッチ56が、ソフトウェア制御によりオフ状態56aにあるとき(図4(a)の状態のとき)、左端の永久磁石28aに吸着する。
また、電磁クラッチ用電源のスイッチ56が、ソフトウェア制御によりオフ状態56a(図4(a)の状態)からオン状態56b(図4(b)の状態)に遷移すると、回転軸53a(軟鉄1)は、永久磁石28aと反発し、同時に電磁石となっているプーリ53(軟鉄2)は、振動モータの偏心重り(軟鉄3)を吸着する。
なお、上記軟鉄(一時磁石とも呼ばれる)は、各種磁石に付くと磁化されるが、離れると磁性は消えるものであり、含有する炭素量を調整することにより作ることができる。
また、電磁クラッチが図4(a)、(b)の動作をするように、永久磁石28aの極性と電磁石(回転軸53a、プーリ53)の極性は、コイル58の巻き向きと電磁クラッチ用電源部33aの極性を考慮して決める。
【0028】
また、上記の開閉制御機構47は、開閉カバー45を開く動作にのみ振動モータ26の動力を利用し、開閉カバー45を閉じる動作は、開閉カバー45を閉じる方向に付勢するばね57の復元力により行う。
【0029】
開閉制御機構47により開閉カバー45の開閉動作は、予め指定された高消費電流アプリケーションの起動・終了に連動して、図5に示すステップS101〜S106により、自動制御される。
即ち、開閉カバー45は、通常は、図4(a)に示すように、電磁クラッチ28によりプーリ53が振動モータ26から離脱した状態に維持され、ばね57の付勢力によって、通気孔41を閉じた状態に維持されている。
【0030】
そして、高消費電流アプリケーションが起動されると、該アプリケーションより、開閉カバー45を開く旨のトリガー信号が出力される(ステップS101)。
すると、トリガー信号に基づき、電磁クラッチ28が作動して、プーリ53を振動モータ26の出力軸26aに結合する(ステップS102)。すると、トリガー信号を発したモータ制御部(プログラム)が、ドライバ27を介して、振動モータ26を駆動して、図4(b)に示すように、開閉カバー45を開いた状態にする(ステップS103)。
開閉カバー45を開くと、振動モータ26は動作を停止し、高消費電流アプリケーションが終了するまでは、図4(b)の状態が維持される(ステップS104)。
【0031】
高消費電流アプリケーションの終了時には、その旨の信号がプログラムより出力され、その終了信号に基づいて、電磁クラッチ28がプーリ53を振動モータ26の出力軸26aから離脱させる(ステップS105)。この状態では、振動モータ26は回転自在になっていて、ばね57の復元力により、開閉カバー45が通気孔41を閉じる位置に復帰して、図4(a)の状態に戻る(ステップS106)。
【0032】
以上に説明した第1の実施の形態の携帯電話機1では、画像処理等の多い高消費電流アプリケーションの運用時に発熱が増加するCPU22等の部品に対して、その部品に近接するように電話機筐体7に装備された通気孔41を開くもので、発熱部品が発生する熱を部品に近接した通気孔41からの通気により安定して冷却することができる。
【0033】
また、その通気孔41を開く開閉カバー45の開閉制御機構47は、駆動源として着信を知らせる振動モータ26が兼用されるため、冷却機能用に専用の駆動源となるモータを追加する必要がなく、冷却を安価に実現することができる。
【0034】
また、駆動源として利用される振動モータ26の駆動は、開閉カバー45を開閉する時だけで良いため、高消費電流アプリケーションの運用中に振動モータ26が継続運転されて振動モータ26の発生する振動や音がアプリケーションの操作性等に影響を及ぼすこともない。
【0035】
更に、上記の携帯電話機1では、通気孔41には、異物の侵入を防止するフィルタ43が装備されているため、冷却用の通気と一緒に筐体内に異物が侵入することを防止することもでき、信頼性の高い冷却を実施することができる。
【0036】
また、本実施の形態の携帯電話機1では、通気孔41が、電話機筐体7の側面部7aに装備されている。
一般に、電話機筐体7は、図示のように、その側面が薄い偏平構造に形成されていて、机上等に電話機を載置したときでも、その側面部7aが載置面に接地される載置形態は発生しないため、側面部7aに装備された通気孔41が載置面によって塞がれるといった不都合が発生することがない。
従って、机上等に電話機を載置された形態で利用される場合でも、通気孔41による安定した通気が可能で、安定した通気によって必要な冷却性能を確保することができる。
【0037】
また、本実施の形態の携帯電話機1では、フィルタ43が通気性と防水性を兼ね備えた布材又はメッシュ体で形成されているため、フィルタ43は、外部からの固形の異物の侵入を防止するだけでなく、外部からの水滴等の侵入を防止して、より高度に筐体内部の回路を保護することができる。
【0038】
更に、本実施の形態の携帯電話機1では、前記開閉制御機構47は、前記開閉カバー45に一端を連結した紐状体52を巻き取ることで前記開閉カバー45を開く方向にスライドさせるプーリ53と、該プーリ53の回転軸53aを前記振動モータ26の出力軸26aに着脱する電磁クラッチ28とを備え、前記高消費電流アプリケーションの起動時に前記プーリ53を振動モータ26に連結して、開閉カバー45を開く構成で、開閉カバー45を開く動作にのみ振動モータ26の動力を利用し、開閉カバー45を閉じる動作は、前記開閉カバー45を閉じる方向に付勢するばね57の復元力により行う。
【0039】
そのため、開閉カバー45の開閉動作時における振動モータ26の動作時間が、開閉カバー45を開く動作時のみとなり、振動モータ26の稼働時間がより短い時間に制限されて、振動の継続によるアプリケーション操作性の低下が更に軽減される。また、振動モータ26の稼働時間の短縮により、冷却用の駆動源に兼用される振動モータ26の寿命の低下を防止することもできる。
【0040】
更に、上記の開閉制御機構47は、紐状体52を巻き取るプーリ53と、ガイドレール51との組み合わせで、開閉カバー45をスライド可能にした構成で、例えば、開閉カバーのスライド動作にラック&ピニオンを使用する機構を採用する場合と比較すると、比較的に単純な部品構成で開閉カバー45のスライド動作を実現することができ、また、開閉カバー45のスライド量を大きく確保することがコストをかけずに容易にできる。
【0041】
図6は、本発明に係る携帯電話機の第2の実施の形態の前面側から見た斜視図である。
本実施の形態の携帯電話機2は、単一の筐体8内に、図2に示した各種の構成部品を組み込んだもので、所謂ストレートタイプの電話機である。
この場合も、高消費電流アプリケーションの運用時に発熱するCPU22等に近接するように、電話機筐体8の側面部8aに、通気孔41が設けられる。
【0042】
なお、図示はしていないが、通気孔41が通気性と防水性を兼ね備えたフィルタで覆われる点や、通気孔41を開閉する開閉カバーがスライド可能に装備される点、前記開閉カバーが着信通知用の振動モータ26を駆動源とする開閉制御機構により高消費電流アプリケーションの起動時に開かれる点などは、第1の実施の形態と同様に構成される。
【0043】
なお、本発明に係る携帯電話機は、PHS用の電話機も含むものとする。
また、本発明に係る携帯電話機において、通気孔を装備する筐体壁面は、上記実施の形態に示した片側面に限るものではなく、発熱量や通気量に応じて、筐体の両側面にそれぞれ装備することも考えられる。
また、通気孔41の装備数や、通気孔41の大きさ等も、上記実施の形態に限るものでなく、発熱部品の発熱量や、筐体内に搭載される発熱部品の数量等に応じて、適宜設計変更することが可能である。
また、補助的に、電話機筐体の上面等に通気孔を追加することも考えられる。
【0044】
また、本発明に係る携帯電話機は、図2に示したように、電話機筐体内に温度センサ31を装備しておいて、高消費電流アプリケーションの運用時以外でも、筐体内の温度が規定以上に上昇する時には、開閉制御機構47を作動させて、通気孔41を開くように構成すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る携帯電話機の第1の実施の形態の前面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示した携帯電話機の背面側から、電話機筐体内の開閉制御機構を透視して示した斜視図である。
【図3】図2に示した開閉制御機構の動作の説明図である。
【図4】図1に示した携帯電話機の開閉制御機構の構成を示すブロック図である。
【図5】図3に示した開閉制御機構の動作制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る携帯電話機の第2の実施の形態の前面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 携帯電話機
2 携帯電話機
3 押し釦スイッチ
5 操作部
7 第1の電話機筐体
7a 側面部
8 電話機筐体
8a 側面部
10 表示部
12 第2の電話機筐体
21 メモリ
22 CPU(発熱部品)
26 振動モータ
26a 出力軸
27 偏心重り(軟鉄3)
28 電磁クラッチ
28a 永久磁石
31 温度センサ
33 電源部
33a 電磁クラッチ用電源部
41 通気孔
43 フィルタ
45 開閉カバー
47 開閉制御機構
51 ガイドレール
53 プーリ(軟鉄2)
53a 回転軸(軟鉄1)
55 ガイドプーリ
56 電磁クラッチ用電源のスイッチ
56a オフ状態のスイッチ
56b オン状態のスイッチ
57 ばね
58 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機筐体を振動させて着信を知らせる着信用の振動モータを備えると共に、高消費電流アプリケーションが搭載される携帯電話機であって、
前記高消費電流アプリケーションの運用時に発熱する部品に近接するように前記筐体に装備された通気孔と、通気性を損なわずに前記通気孔を覆って前記通気孔からの異物の侵入を防止するフィルタと、スライド動作により前記通気孔を開閉する開閉カバーと、前記高消費電流アプリケーションの運用時に自動的に前記振動モータを動力源として前記開閉カバーを開く開閉制御機構とを備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記通気孔が、電話機筐体の側面部に装備されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記フィルタは、通気性と防水性を兼ね備えた布材又はメッシュ体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記開閉制御機構は、前記開閉カバーを開く動作にのみ振動モータの動力を利用し、開閉カバーを閉じる動作は、前記開閉カバーを閉じる方向に付勢するばねの復元力により行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記開閉制御機構は、前記開閉カバーに一端を連結した紐状体を巻き取ることで前記開閉カバーを開く方向にスライドさせるプーリと、該プーリの回転軸を前記振動モータの出力軸に着脱する電磁クラッチとを備え、前記高消費電流アプリケーションの起動時に前記プーリを振動モータに連結して、開閉カバーを開くことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−252323(P2008−252323A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89056(P2007−89056)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】