説明

携帯電話機

【課題】携帯電話機に装着されるキャップの抜け落ちを好適に防止しつつ、キャップ交換時などでの手間を省くことができるようにする。
【解決手段】本発明の携帯電話機においては、筐体11内に設けられるコネクタ15と、コネクタ15の接続口に開閉可能に装着されるキャップ12と、キャップ12の一部に設けられキャップ12を筐体11に係合させる係合脚部16と、コネクタ12の接続口の周縁に設けられる係止穴Pから挿入された係合脚部16を係止する係止部材14とを備え、係止部材14には係止突起18が設けられ、係止突起18は筐体11の一部に設けられた開口部Qから挿入され、係止穴Pから挿入された係合脚部16は係止突起18に遊嵌状態で挟持されるとともに、キャップ12の開状態で係合脚部16の先端に設けられた係合端部17が係止突起18に係止され、係止穴Pからの係合脚部16の離脱が拘束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に係り、特に、携帯電話機に装着されるキャップの抜け落ちを防止することができるようにした携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置としての携帯電話機には、単なる音声通話による通信機能だけでなく、アドレス帳機能、カメラ機能、基地局やインターネットなどのネットワークを介したメール機能や、Webページなどを閲覧することが可能なブラウザ機能などの種々の機能が搭載されるようになってきている。これに伴い、携帯電話機にて取得された種々のデータを外部メモリとしてのメモリカードに記憶させて保存することが一般的になっており、携帯電話機には、このメモリカードを挿抜可能なメモリカード格納スロットが設けられる。
【0003】
携帯電話機には、このメモリカード格納スロット以外にも、充電器やイヤホンとの接続用のコネクタや、データ通信用のコネクタなどが設けられており、これらのスロットやコネクタの不使用時にスロットやコネクタが外部に露出することを防止するために、スロットキャップやコネクタキャップがそれぞれ設けられている。
【0004】
スロットキャップやコネクタキャップは、一般的に、携帯電話機の筐体に例えば樹脂部材などを用いて支持されているが、これらのキャップを強く引っ張ると、樹脂部材などが引っ張り応力に耐え切れずに途中で切れて破損してしまったり、あるいは、樹脂部材自体が筐体から取れてしまい、その結果、これらのキャップが携帯電話機から抜け落ちてしまう。
【0005】
そこで、これらのキャップの抜け落ち防止に関する技術として、コネクタキャップを筐体に係合させる係合手段と、コネクタキャップの一部に設けられ、筐体からコネクタキャップが抜け出すことを防止する防止手段が備えられ、外部から強く引っ張ってもコネクタキャップが外れて抜けることがないようにする技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−352899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案されている技術では、確かに外部から強く引っ張ってもコネクタキャップが外れて抜けることがないようにすることはできるが、例えばユーザがより強い引っ張り応力でこれらのキャップを引っ張ることも考えられ、これらのキャップが携帯電話機から抜け落ちてしまう場合も考えられる。これらのキャップの装着は携帯電話機の最終組み立て工程で行われることから、携帯電話機からキャップが一旦抜け落ちてしまうと、携帯電話機を再度分解して組み立て直す必要があり、キャップ交換時やキャップ修理時における手間が多くかかってしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、携帯電話機に装着されるキャップの抜け落ちを好適に防止しつつ、キャップ交換時などにおける手間を好適に省くことができる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯電話機は、上述した課題を解決するために、少なくとも1つ以上の筐体と、筐体内に設けられるコネクタと、筐体の一部に設けられるコネクタの接続口に開閉可能に装着されるキャップと、キャップの一部に設けられ、このキャップを筐体に係合させる係合脚部と、コネクタの接続口の周縁に設けられる係止穴から挿入された係合脚部を係止する係止部材とを備え、係止部材には係止突起が設けられ、キャップの閉状態で筐体の一部に設けられた開口部から挿入されて係止穴から挿入された係合脚部は係止突起に遊嵌状態で挟持される一方、キャップの開状態で、係合脚部の先端に設けられた係合端部が係止突起に係止され、係止穴からの係合脚部の離脱が拘束される。
【0009】
本発明の携帯電話機は、上述した課題を解決するために、少なくとも1つ以上の筐体と、ICカードを挿抜するカード格納スロットと、カード格納スロットの挿入口に開閉可能に装着されるキャップと、キャップの一部に設けられ、このキャップを筐体に係合させる係合脚部と、カード格納スロットの挿入口の周縁に設けられる係止穴から挿入された係合脚部を係止する係止部材とを備え、係止部材には係止突起が設けられ、キャップの閉状態で筐体の一部に設けられた開口部から挿入されて係止穴から挿入された係合脚部は係止突起に遊嵌状態で挟持される一方、キャップの開状態で、係合脚部の先端に設けられた係合端部が係止突起に係止され、係止穴からの係合脚部の離脱が拘束されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯電話機に装着されるキャップの抜け落ちを好適に防止しつつ、キャップ交換時などにおける手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る携帯電話機1の筐体11の外観斜視図を表している。図1の筐体11は、折り畳み式の携帯電話機1を構成する下部筐体(操作キーなどが配置された基板側の筐体)と上部筐体(メインディスプレイが設けられた筐体)のうち、下部筐体を示している。勿論、本発明は、携帯電話機1の筐体であれば下部筐体であろうと上部筐体であろうと適用することが可能である。
【0013】
図1に示されるように、携帯電話機1の筐体11内には、充電器やイヤホンとの接続用のコネクタ(図2のコネクタ15)などが設けられており、これらのコネクタの不使用時にコネクタが外部に露出することを防止するために、キャップ12(コネクタキャップ)が設けられている。このキャップ12は、筐体11の側面の一部に設けられるコネクタ(図2のコネクタ15)の接続口に、開閉可能に装着される。図1の場合、キャップ12の状態は、筐体11のコネクタの接続口に装着されて閉じた状態となっている。
【0014】
筐体11のコネクタの接続口の近傍には、図1のようにキャップ12がコネクタの接続口に完全に装着された後に、キャップ12を筐体11から取り外す際にユーザが指などを挿入するために用いられるキャップ取り外し用穴13が設けられている。このキャップ12を筐体11から取り外す際には、ユーザは、指などをこのキャップ取り外し用穴13に挿入した上で、キャップ12を矢印Mの方向に引っ張り出すことで、例えばコネクタ15を利用するために筐体11に装着されたキャップ12を適宜取り外すことが可能である。
【0015】
なお、携帯電話機1の筐体11には、メモリカードなどのICカードのカード格納スロット(図示せぬ)なども設けられており、スロットの不使用時にスロットが外部に露出することを防止するために設けられたスロットキャップに関して、本発明を適用するようにしてもよい。
【0016】
図2は、図1の携帯電話機1の筐体11にキャップ12を装着する場合の分解斜視図を表している。図2を用いて、筐体11にキャップ12を装着する装着方法について説明する。なお、図3は、図2の分解斜視図の拡大図を表している。
【0017】
図2に示されるように、キャップ12は、筐体11の側面の一部に設けられたコネクタ15の接続口に、図2の矢印Yの方向から開閉可能に装着される。このキャップ12のうちの、コネクタ15の接続口に対向する側の側面の一部には、キャップ12を筐体11に係合させる略棒状の係合脚部16が設けられている。この係合脚部16の先端には、例えば帽子状(ヘッド形状)の係合端部17が設けられており、係合端部17の最大径は係合脚部16の最大径より大きめに構成されている。なお、この係合端部17の形状は、帽子形状に限られず、少なくとも係合端部17のいずれかの位置で、係合端部17の最大径が係合脚部16の最大径よりも大きめに構成されていればよく、その他の形状にするようにしてもよい。なお、この係合端部17は、例えば可堯性を有する合成樹脂やゴムなどにより構成してもよいし、プラスチックなどの他の材質により構成するようにしてもよい。
【0018】
一方、コネクタ15の接続口の周縁には、キャップ12を筐体11に係止する際に用いられる係止穴Pが設けられている。そして、図3に示されるように、キャップ12がコネクタ15の接続口に矢印Y方向から装着される場合、キャップ12に設けられた係合脚部16が、係止穴Pに挿入される。なお、係止穴Pの径は、キャップ12の係合脚部16の先端の係合端部17の最大径よりもさらに大きめに構成されており、キャップ12の係合脚部16および係合端部17を係止穴Pに挿抜することが可能である。係止穴Pから挿入された係合脚部16は、矢印Yの挿入方向から見て係止穴Pの後方に形成される係止空間R内に収納される。
【0019】
図2および図3に示されるように、筐体11の係止空間Rの一部には、開口部Qが設けられている。キャップ12に設けられた係合脚部16が係止穴Pに挿入された後、この開口部Qには、係止穴Pから挿入されたキャップ12の係合脚部16を係止する係止部材14が、矢印Z方向から挿入される。この係止部材14には、略U字形状または凹形状を有する係止突起18が設けられており、係止部材14が開口部Qから挿入される場合、この係止突起18が係止空間R内に挿入される。このとき、すでに係止穴Pから挿入され、係止空間Rに収納されている係合脚部16は、開口部Qから挿入された係止部材14の係止突起18に遊嵌状態で挟持される。なお、係止部材14の一部には、図1のように係止部材14が開口部Qに完全に装着された後に、係止部材14を取り外すために用いられる取り外し用ピン(図示せず)の先端を外部から挿入することができるように、係止部材取り外し用穴19が設けられている。このように、本発明においては、携帯電話機1の本体の組立てとは別に、キャップ12の装着(または離脱)を行うことができる。
【0020】
図4は、キャップ12および係止部材14が筐体11に装着された場合における、図1のX−X´線上における拡大断面図を表している。図4に示されるように、前もって係止穴Pから挿入され、係止空間Rに収納されている係合脚部16は、開口部Qから挿入された係止部材14の係止突起18に遊嵌状態で挟持される。このとき、係合脚部16の径(最大径)はL1であり、略U字形状または凹形状を有する係止突起18の開口の径(最大径)はL1よりも幾分大きいL2であり、係合脚部16は多少の遊びを持った上で係止突起18に挟持される。一方、係止空間Rのより奥行き方向に収納されている係合端部17の径(最大径)は、係止突起18の開口の径であるL2よりもさらに大きいL3である。
【0021】
そのため、このキャップ12を筐体11から取り外す際には、図1に示されるように、ユーザは、指などをこのキャップ取り外し用穴13に挿入した上で、キャップ12を矢印Mの方向に引っ張り出すことで、例えばコネクタ15を利用するために筐体11に装着されたキャップ12を取り外すが、このときキャップ12の開状態で、係合脚部16の先端に設けられた係合端部17の最大径を有する部分が係止突起18に引っ掛かり、その結果、係合端部17が係止突起18に係止され、係止穴Pからの係合脚部16の離脱が拘束されることになる。これにより、キャップ12の開状態でキャップ12の筐体11からの抜け落ちを好適に防止することができる。
【0022】
また、キャップ12の開状態においても、係合脚部16は、開口部Qから挿入された係止部材14の係止突起18に遊嵌状態で挟持されていることから、例えばコネクタ15を利用する場合、図5に示されるように、キャップ12が筐体11から抜け落ちないようすると同時に、係止穴Pに挿入された係合脚部16を回転中心として矢印N方向に最大略360度まで回転させることができる。これにより、コネクタ15の利用時に、筐体11に内蔵されたコネクタ15を外部にユーザの利用しやすいように露出させることができる。従って、コネクタ15などの利用時の利便性を向上させることができる。
【0023】
本発明の実施形態においては、少なくとも1つ以上の筐体11と、筐体11内に設けられるコネクタ15と、筐体11の一部に設けられるコネクタ15の接続口に、開閉可能に装着されるキャップ12と、キャップ12の一部に設けられ、このキャップ12を筐体11に係合させる係合脚部16と、コネクタ15の接続口の周縁に設けられる係止穴Pから挿入された係合脚部16を係止する係止部材14とを備え、係止部材14には係止突起18が設けられ、この係止突起18は筐体11の一部に設けられた開口部Qから挿入され、係止穴Pから挿入された係合脚部16は係止突起18に遊嵌状態で挟持されるとともに、キャップ12の開状態で、係合脚部16の先端に設けられた係合端部17が係止突起18に係止され、係止穴Pからの係合脚部16の離脱が拘束されることができる。
【0024】
これにより、例えばユーザが過度に強い引っ張り応力でこれらのキャップ12を引っ張るような場合であっても、キャップ12が携帯電話機1から破損などで抜け落ちてしまうことを事前に防止することができる。また、従来のキャップ12の取り付けなどは携帯電話機1の最終組み立て工程で行われることから、携帯電話機1からキャップ12が一旦抜け落ちてしまうと、携帯電話機1を再度分解して組み立て直す必要があり、そのためにキャップ交換時やキャップ修理時における手間が多くかかってしまっていたが、本発明においては、キャップ交換時やキャップ修理時に、携帯電話機1の本体の組立てとは別にキャップ12の装着と離脱を行うことが可能となるため、携帯電話機1の本体の分解を行う必要がなくなり、キャップ交換時やキャップ修理時における手間を大幅に削減することができる。従って、携帯電話機1に装着されるキャップ12の抜け落ちを好適に防止しつつ、キャップ交換時などにおける手間を好適に省き、キャップ交換を容易にすることができる。
【0025】
なお、図6に示されるように、係止部材14に設けられる略U字状または凹状の係止突起18は、係止空間Rの奥行き方向に、係止突起18を支持するための係止突起支持部20を設けるようにしてもよい。これにより、係止突起18に強度を持たせることができ、キャップ12の開状態において、ユーザが過度に強い引っ張り応力でこれらのキャップ12を引っ張るような場合や継続的な使用がなされた場合であっても、係止突起18の破壊や劣化などを防止することができる。
【0026】
また、本発明の実施形態においては、略棒状の係合脚部16を略U字状または略凹状の係止突起18を用いて係止するようにしたが、このような場合に限られず、係合脚部16を係止突起18を係止することができさえすればよく、この2つの凹凸関係を逆にするようにしてもよい。
【0027】
なお、本発明は、携帯電話機1以外にも、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機、その他の情報処理装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る携帯電話機の筐体の外観斜視図。
【図2】図1の携帯電話機の筐体にキャップを装着する場合の分解斜視図。
【図3】図2の分解斜視図の拡大図。
【図4】キャップおよび係止部材が筐体に装着された場合における、図1のX−X´線上における拡大断面図。
【図5】キャップを開状態にした場合における、携帯電話機の分解斜視図の拡大図。
【図6】係止部材の他の外観を示す図。
【符号の説明】
【0029】
1…携帯電話機、11…筐体、12…キャップ、13…キャップ取り外し用穴、14…係止部材、15…コネクタ、16…係合脚部、17…係合端部、18…係止突起、19…係止部材取り外し用穴、20…係止突起支持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の筐体と、
前記筐体内に設けられるコネクタと、
前記筐体の一部に設けられるコネクタの接続口に開閉可能に装着されるキャップと、
キャップの一部に設けられ、このキャップを前記筐体に係合させる係合脚部と、
コネクタの接続口の周縁に設けられる係止穴から挿入された係合脚部を係止する係止部材とを備え、
前記係止部材には係止突起が設けられ、キャップの閉状態で前記筐体の一部に設けられた開口部から挿入されて係止穴から挿入された係合脚部が係止突起に遊嵌状態で挟持される一方、
キャップの開状態で、係合脚部の先端に設けられた係合端部が係止突起に係止され、係止穴からの係合脚部の離脱が拘束されることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の筐体と、
ICカードを挿抜するカード格納スロットと、
カード格納スロットの挿入口に開閉可能に装着されるキャップと、
キャップの一部に設けられ、このキャップを前記筐体に係合させる係合脚部と、
カード格納スロットの挿入口の周縁に設けられる係止穴から挿入された係合脚部を係止する係止部材とを備え、
前記係止部材には係止突起が設けられ、キャップの閉状態で前記筐体の一部に設けられた開口部から挿入されて係止穴から挿入された係合脚部が係止突起に遊嵌状態で挟持される一方、
キャップの開状態で、係合脚部の先端に設けられた係合端部が係止突起に係止され、係止穴からの係合脚部の離脱が拘束されることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
係止穴の径は、前記係合端部の最大径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記係止突起は、略U字形状または凹形状を有し、略U字形状または凹形状を有する前記係止突起の開口の径は、前記係合脚部の最大径よりも大きく、前記係合端部の最大径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項5】
係止穴に挿入された前記係合脚部は、キャップの開状態で回転可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−141431(P2009−141431A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312761(P2007−312761)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】