説明

携帯電話機

本発明による携帯電話機は、少なくとも1つの発音要素(10)と、この発音要素(10)と機械的に接触してこれに音を発生させるようにする少なくとも1つのアクチュエータ部材(8)とを含む呼び出し機構(1)と、呼び出し機構を制御する電子手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
「携帯電話機」とは、携帯電話機自体又は携帯情報端末(PDA)などの、携帯電話機能を有するあらゆる物体を意味すると理解される。
【0003】
人口の大部分が携帯電話機を使用しており、これらには数多くの機能が備わっている。長年にわたり、電子部品の小型化が進んだことにより、カメラ、MP3プレーヤ、GPS、又はメッセージを打ち込んだりインターネットにアクセスしたりすることができるコンパクトなキーパッドを含むことが可能になってきた。
【0004】
他の電子機器の場合と同様に、携帯電話機の所有者は、これらに合った美的かつ機能的な特徴をますます求めるようになっている。従って、ユーザの間には、異なる着信音、壁紙、機能性、色、又はデザインを選択することにより、自身の携帯電話機をパーソナライズ及びカスタマイズしたいと望む傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、驚くような、また実際に魅力的な携帯電話機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、
‐少なくとも1つの発音要素と、この発音要素と機械的に接触してこれを振動させることにより音を発生させる少なくとも1つの作動部材とを含む呼び出し機構と、
‐呼び出し機構を制御するための電子手段と、
を備えた携帯電話機を提供する。
【0007】
従って、本発明による携帯電話機は、特に、着信電話、メッセージの受信、又は電話のアラーム機能によってトリガすることができる呼び出し機械装置又は機構を含む。本発明による携帯電話機は、スピーカを備えた従来の呼び出し装置を含むこともでき、ユーザが2つの呼び出しオプションの一方を選択できるようにすることができる。
【0008】
このような呼び出し機構は、音(機械的な呼び出しは、スピーカによる呼び出しとは異なる音を生み出す)並びに美観及び外観(携帯電話機上のガラスを通じて呼び出し機構が見えるようにすることができる)の両方の点で、予期しない、魅力的な、さらには遊び心のある特徴を携帯電話機に与える。
【0009】
本発明の特定の実施形態は、添付の従属請求項において定める。
【0010】
添付の概略図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと、本発明のその他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態による、機械的呼び出し装置を備えた閉鎖位置にある携帯電話機の平面図である。
【図2】第1の実施形態による携帯電話機の呼び出し機構の部品を示す断面図である。
【図3】特に、この呼び出し機構を制御する電子部品を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による携帯電話機で使用する呼び出し機構の平面図である。
【図5】特に、図4に示す呼び出し機構を制御する電子部品を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による携帯電話機の側面図である。
【図7】特に、電話のケーシングの一部を取り外して呼び出し機構及び巻上げ機構を示す、本発明の第2の実施形態による携帯電話機の透視図である。
【図8】巻上げ機構の変形例を示す、図7と同じ種類の図である。
【図9】取り替え可能な回転シリンダを使用する第1又は第2の実施形態による携帯電話機の透視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態による携帯電話機で使用する、2つの異なる位置にある呼び出し機構の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態による携帯電話機で使用する、2つの異なる位置にある呼び出し機構の断面図である。
【図12】図10及び図11に示す機構の頂面図である。
【図13】特に、本発明の第3の実施形態による携帯電話機の呼び出し機構を制御する電子部品を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電話機の電子部品により制御される機械的呼び出し装置又は機構を含む携帯電話機の異なる実施形態について説明する。
【0013】
図1及び図2を参照すると、本発明の第1の実施形態による携帯電話機が、従来のスピーカ呼び出し装置(図示せず)に加え、呼び出し機構1を備える。この機構1は、電話機のケーシング4内に形成された開口部3を閉じるガラス2を通して完全に又は部分的に見ることができる。図示の例では、電話機が折り畳み式電話機であり、すなわち一方を他方の上に折り畳むことができる2つの部分5、6を連結して形成され、呼び出し機構1は、これら2つの部分のうちの画面を有する部分6内に形成され、ガラス2は、2つの部分5、6を一体に折り畳んだときでも機構1が見えるように、この部分6の画面とは反対側の外面内に装着される。しかしながら、代替例として、呼び出し機構1を電話機の他方の部分5内に配置することもできる。別の代替例では、本発明による携帯電話機を、互いにスライドする2つの部分、又は一体構成とすることができる。
【0014】
呼び出し機構1は、軸を中心に回転可能なシリンダ7と、それぞれの軸9を中心に枢動するように装着され、シリンダ7の軸に対して垂直に延びるハンマ8と、ハンマ8にそれぞれ付随するチューブ10とを有する。個々のハンマ8は、シリンダ7の表面に近接する第1の端部11と、それぞれのチューブ10に近接する第2の端部12とを有する。個々のハンマ8は、第1の端部11がシリンダ7に接触せず、第2の端部12がそれぞれのチューブ10に接触しない中立位置にハンマ8を保つ伸縮ばね(図示せず)の作用を受ける。チューブ10は、打たれたときにチューブ自体の振動によって異なる音符を生成するように異なる長さを有する。シリンダ7は、表面上に突起13を有する。シリンダ7が回転して、所与の突起13が対応するハンマ8に達すると、突起13がハンマ8の第1の端部11に接触してこれに重みを掛け、ハンマ8をその伸縮ばねの作用に抗して枢動させる。この枢動中に、ハンマ8の第2の端部12が持ち上がり、すなわちそれぞれのチューブ10から離れる方向へ動く。突起13が第1の端部11を過ぎてもはやこれに接触しなくなると、ハンマ8がその伸縮ばねの作用のみを受けるようになる。伸縮ばねが弛緩することにより、端部12がそれぞれのチューブ10を打つことによって音符を生成するまでハンマ8が逆方向に素早く枢動し、その後ハンマ8は、チューブ10が共鳴できるように、チューブ10に近接はするが接触しない中立位置へと戻る。シリンダ7を回転駆動したときに機構1が奏でる旋律は、シリンダ7の表面上の突起13の配置によって定められる。電話機のケーシング4には、ダストフィルタにより保護された小開口部14をチューブ10の一端に形成して、発生した音が抜けるようにする。
【0015】
代替の実施形態では、チューブ10を別のゴング、又はチャイム式腕時計において見られる種類のストリップ、ベル又は曲げたワイヤなどの発音要素に置き換えることができる。
【0016】
図3は、呼び出し機構1の制御シーケンスを示している。電話機のメインプロセッサ17には、通常は12C、UART、又はSPI接続などのシリアル接続16によってマイクロコントローラが接続される。マイクロコントローラ15は、増幅回路19を介して回転電気モータ18に接続された出力部を有する。電気モータ18はシリンダ7に機械的に接続されて、マイクロコントローラ15による命令時にシリンダ7を回転駆動する。
【0017】
従って、ユーザがこの呼び出しオプションを電話機で使用するものとして事前に選択していた場合、電話機が電話を受けると、プロセッサ17がマイクロコントローラ15に機構1の呼び出しをトリガするように命令する。次に、マイクロコントローラ15がモータ18を作動させ、これがシリンダ7を回転駆動し始めて旋律を奏でる。ユーザが電話機のキーパッドと画面を介して電話を容認又は拒否すると、プロセッサ17がマイクロコントローラ15に呼び出しを停止するように命令する。この結果、マイクロコントローラ15はモータ18を停止する。ユーザが、電話機の従来のスピーカ呼び出しオプションを使用するものとして事前に選択していた場合、プロセッサ17は、電話を受けたときにこの呼び出し手段のトリガを制御してマイクロコントローラ15に関与しない。
【0018】
1つの代替の実施形態では、ユーザが依然として電話の容認も拒否も行っていない場合、プロセッサ17が、機構1の呼び出しを停止するとともに、所定の時間後にスピーカを介した従来の呼び出しをトリガするように制御する。この所定の時間は、ユーザがプログラムすることができる。
【0019】
プロセッサ17によるマイクロコントローラ15を介した命令時には、呼び出し機構1を、電話の受け取りをユーザに知らせることからなる以外の機能、例えば、SMSメッセージの受信又はバッテリ充電量が低いことをユーザに知らせたり、アラームクロックとして、又はユーザが事前にプログラムしていたイベントに関するリマインダのために使用することもできる。呼び出し機構1を1又はそれ以上の機能専用にし、従来の呼び出し装置を1又はそれ以上の別の機能専用にして、聞こえる呼び出しの種類から、呼び出しをトリガしているイベントの種類をユーザが判断できるようにすることもできる。
【0020】
本発明の第2の実施形態による携帯電話機は、従来のスピーカ呼び出し装置に加え、図4に示すような呼び出し機構20を備える。第1の実施形態と同様に、呼び出し機構20は、表面上に突起(図示せず)を有する回転シリンダ21と、シリンダ21と協働するハンマ22と、ハンマ22によって作動するチューブ、ストリップ、ベル又は曲げたワイヤなどの発音要素23とを有する。第1の実施形態とは異なり、回転シリンダ21は電気モータによって駆動されず、機械式ばねモータによって駆動される。
【0021】
機械式ばねモータ24は、機械式腕時計の駆動部材のように、つる巻きモータばね26を収容するバレル25を有する。バレル25は、ばね26の内端が固定されたシャフト27を中心に軸回転するように装着され、ばね26の外端はバレル25に固定される。シャフト27は、巻上げロッド30に装着された円筒形部品29のワームスレッドに係合するラチェットホイール28と同軸上にあってこれに固定して取り付けられる。電話機のケーシング外部には、ロッド30の終端に位置し、これに固定して取り付けられた竜頭30aが突出する。竜頭30aを一方向に回すと、ワームスレッド29を有する円筒形部品が回転し、これによりシャフト27がばね26を巻く方向に回転する。ラチェットホイール28には歯止め(図示せず)が作用して、シャフト27の逆方向の回転を防ぐ。従来の腕時計の巻上げ機構のように、竜頭30aを上述した方向と逆の方向に回してもラチェットホイール28が回転駆動しないようにする手段が提供される。これらの手段(図示せず)は、ロッド30に装着された第1及び第2のピニオンを含むことができる。第1のピニオンは、ロッド30の周囲を自由に回転することができ、ワームスレッド29を有する円筒形部品に対して固定されて回転する。「摺動ピニオン」と呼ばれる第2のピニオンは、ロッド30上に固定されて回転するが、ロッド30上を平行移動することができ、ばねにより第1のピニオンに抗して適用される。第1及び第2のピニオンは、第2のピニオンにより第1のピニオンを一方向に、すなわちばね26を巻く方向にのみ駆動できるようにするブレゲ型の歯を有する。
【0022】
バレル25は、シリンダ21と同軸上にあってこれに歯車列32を介して固定して取り付けられたピニオン31と協働する周辺歯を有する。ばね26が緩和され、又は弛緩できるようになると、これによりバレル25が回転し、この結果歯車列32及びピニオン31を介してシリンダ21が回転駆動される。図示の例では、歯車列32が、バレル25に係合するホイール33と、ホイール33と同軸上にあってこれに固定して取り付けられた第1のピニオン34と、第1のピニオン34に係合する第2のピニオン35と、第2のピニオン35に係合する第3のピニオン36と、第3のピニオン36及びピニオン31に係合してピニオン31とともにかさ歯車を形成する第4のピニオン37とを有する。
【0023】
ばね26は、竜頭30aを使用して手動で巻かれるが、機械式ばねモータ24の起動及び停止は、電話機の電子部品により制御される。この目的のために、双安定電磁石38などを備えた電気機械部材が使用され、この電磁石38は、固定部又は固定子39と、固定部39内で平行移動できる部品40と、この電磁石38の可動部40と機械的に連結した枢動阻止片41とを有する。電磁石38は、電話機のメインプロセッサ44にシリアル接続45(図5を参照)によって接続されたマイクロコントローラ43により、電子増幅回路42を介して制御される。電磁石38の可動部40は、電磁石38がエネルギーを消費しない2つの安定位置にあることができる。枢動片41は、電磁石38の可動部40に接続された第1の端部46と、ホイール33の2つの連続する歯間に挿入することができるフィンガを形成する第2の端部47とを有する。可動部40は、その安定位置の一方では、フィンガ47がホイール33の歯の外側にくる角度位置に片41を保持する。この位置では、弛緩したばね26の作用によってバレル25、歯車列32及びシリンダ21が回転し、これがハンマ22を作動させて発音要素23に打ち付け、シリンダ21の表面上に位置する突起により定められる旋律を奏でる。可動部40は、その他方の安定位置では、フィンガ47がホイール33の2つの連続する歯間に挿入される角度位置に片41を保持する。これにより、バレル25、歯車列32及びシリンダ21がもはや回転できないようになる。呼び出し手段は停止される。代替例として、片41が、バレル25の歯などの、ホイール33上にある歯以外の歯の組と協働して、バレル25、歯車列32及びシリンダ21を阻止又は解除することもできる。
【0024】
なお、図4に示す呼び出し機構では、電磁石38を一方の安定位置から他方の安定位置へ移行させるためにしか電気エネルギーが必要とされない。事実、機構に音を出させるのに必要なエネルギーはばね26により提供される。従って、本発明のこの実施形態は、電気エネルギーの観点から見て経済的であり、換言すれば、電話機のバッテリへの依存度が減少する。
【0025】
竜頭30aは、巻上げロッド30に固定して取り付けられた、六角凹部などの凹部を備えたフェルールに置き換えることができる。この場合、ばね26は、凹部に適合する鍵を使用して巻かれる。竜頭30aにこのような凹部を設けて、鍵の有無に関わらず作動できるようにしてもよい。
【0026】
本発明の別の特徴によれば、この第2の実施形態による携帯電話機が、ばね26を、竜頭30a又は前記フェルールを手動で作動させる以外の方法で、すなわち電話機の使用を構成する動作によって巻かれるようにする機構を備える。本出願人による国際特許出願PCT/FR2008/051554号には、2つの互いにヒンジ連結された又はスライドする部分からなる電話機の場合に、これを開くこと、ボタンを押すことなどの電話機の使用を構成する動作により、電話内に設けられた機械式腕時計のモータばねが巻かれるようにする機構についての記載がある。本発明では、このような巻上げ機構を使用してばね26を巻くことができる。
【0027】
図6及び図7は、ヒンジ50を介して連結された2つの部分48、49で形成される第2の実施形態による電話機の場合に、この電話機に提供できるこのような巻上げ機構の例を示している。呼び出し機構20は、電話機のキーパッドを含む部分48に収容される。図6に示すように、部分48の側面の一方には竜頭30aが突出する。巻上げロッド30に装着され、これに固定して取り付けられたピニオン51が、ヒンジ50のスピンドル54と同軸上にあってこれに固定して取り付けられたピニオン53にピニオン列52を介して係合し、スピンドル54が、部分49に固定して取り付けられる。従って、ユーザが電話機を閉じると、部分49が部分48に対して枢動し、ピニオン53、及びピニオン列52とピニオン51を介して巻上げロッド30をばね26を巻く方向に回転させる。ユーザが電話機を開くと、上述したような巻上げロッド30に装着された摺動ピニオン装置が、ロッド30がラチェットホイール28を駆動するのを防ぐ。言うまでもなく、巻上げ方向を逆にすることもでき、すなわち電話機を開くことによってばね26が巻かれるようにすることもできる。
【0028】
第2の実施形態による電話機内に提供できるばね26の巻上げ機構の別の例を図8に示す。この例では、巻上げロッド30がヒンジ50のスピンドル54に、歯車列によってではなく、巻上げロッド30及びヒンジスピンドル54にそれぞれ固定して取り付けられた滑車56、57と協働するベルト55によって接続される。
【0029】
2つの互いにスライドする部分からなる携帯電話機の場合、呼び出し機構を有していない部分がラックを含むことができ、このラックが、電話機の開閉時に、ばね26を巻くための巻上げロッド30と同軸上にあってこれに固定して取り付けられたピニオンと直接的に、又は歯車列を介して間接的に噛み合う。
【0030】
上述した巻上げ機構の代替例として、第2の実施形態による携帯電話機が、自動機械式腕時計に提供される種類の振動質量体を含む自動巻上げ機構を備えることができ、この機構は、携帯電話機の動きを利用して、バレルシャフト27をばね26を巻く方向に回転させる。
【0031】
第1の実施形態の場合のように、呼び出し機構20を、様々な機能、すなわち電話又はメッセージの受信をユーザに知らせたり、バッテリ充電量が低いことをユーザに知らせたり、アラームクロックとして、又はイベントに関するリマインダのために使用することができる。第1の機能では、ユーザが依然として電話の容認も拒否も行っていない場合、プロセッサ44が、機構20の呼び出しの停止を制御して、所定の時間後に従来のスピーカ呼び出しのトリガを制御するようにすることができる。この所定の時間は、ユーザがプログラムすることができる。さらに、図5を参照してわかるように、ばね26の張力が呼び出し機構20を動作させるのに十分であるかどうかを判定するトルクセンサ58を提供することができる。ばね26が十分に巻かれていない場合、トルクセンサ58により測定された張力状態を入力部の1つにおいて受け取るマイクロコントローラ43が、呼び出し機構20を作動させずにこの情報をプロセッサ44に与え、次いでこのプロセッサ44が、従来の呼び出しをトリガするように制御する。
【0032】
本発明の有利な変形例によれば、第1の実施形態のシリンダ7又は第2の実施形態のシリンダ21は取り替え可能であり、すなわちユーザは、これらのシリンダを、異なる旋律を生み出すように突起を別様に配置した別のシリンダと置き換えることができる。この目的のために、図9に示すように、電話機のケーシングにシリンダのためのハウジング59が定められ、ここではこのシリンダを参照番号60で示している。ハウジング59には、ケーシング内に形成された開口部61を介してアクセスすることができる。開口部61は、ヒンジ63を介してケーシングに連結された可動片62によって開閉することができる。シリンダ60は、中心縦方向ボア64、及びボア64内に開く内部縦方向溝65を有する。シリンダ60の第1の端部では、ボア64が、駆動スピンドル、すなわち第1の実施形態におけるモータ18のスピンドル及び第2の実施形態におけるピニオン31のスピンドルを受け入れるようにされる。この駆動スピンドルは、溝65と協働してシリンダ60を前記スピンドルに回転固定させるリブを有する。シリンダ60の第2の端部では、ボア64が、可動片62の内面上に突出して駆動スピンドルと位置合わせされた支持及び案内突起66を受け入れるようにされる。シリンダ60は、その第1の端部をフランジ67によって、その第2の端部を片62(図7参照)によって保持されることにより、その軸方向位置に保持される。可動片62は、例えばボールデテント又はネジにより閉鎖位置に保持することができる。
【0033】
この組み立てモードでは、ユーザがシリンダ60を容易に取り外すことができ、ユーザは、片62を開き、開口部61を通じてシリンダ60をそのハウジング59から軸方向にスライドさせるだけでよい。ハウジング59内に別のシリンダを配置することも同様に容易である。
【0034】
第1及び第2の実施形態の代替例では、ハンマ8、22を省略し、発音要素10、23が、シリンダ7、21の表面の突起によって直接作動される振動ストリップの形をとるようにすることができる。
【0035】
本発明の第3の実施形態による携帯電話機は、スピーカ呼び出し装置に加え、図10及び図13に部分的に示すような呼び出し機構68を有する。この機構68は、各々が電磁石70、枢動ハンマ71、及びチューブ、ストリップ、ベル又は曲げたワイヤなどの発音要素72を含む1又はそれ以上の発音ユニットを有する。ハンマ71はばね73の作用を受け、このばね73は、電磁石70が励起されていないときには、ハンマ71をその端部が電磁石70にも発音要素72にも接触しない中立位置(図10)に保持する。ハンマ71の少なくとも一方の端部74は、鉄鋼材などの磁化材料で形成される。電磁石70は、励起されるとハンマ71の端部74を引きつけ、これによりハンマ71が枢動してハンマ71の他端75が発音要素72を打つようになる(図11)。実際には、電磁石70は電気パルスにより制御される。ハンマ71は、個々のパルス時に発音要素72を打ち、その後ばね73の作用により直ちにその中立位置へ戻って発音要素72が共鳴できるようにする。機構68が、異なる長さの発音要素72を含む複数の発音ユニットを有する場合、電磁石70へ所定のシーケンスの電気パルスを送ることにより旋律を奏でることができる。
【0036】
図13は、呼び出し機構68を制御するための電子部品を示している。この電子部品は、電話機のメインプロセッサ76と、メインプロセッサ76に接続されたマイクロコントローラ77と、マイクロコントローラ77のそれぞれの出力部に接続された増幅回路78とを有する。機構の個々の電磁石70は、それぞれの増幅回路78の出力部に接続され、従ってこの増幅回路78を介してマイクロコントローラ77により制御される。
【0037】
この呼び出し機構68を、第1及び第2の実施形態の機能と同じ機能のために使用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 呼び出し機構
2 ガラス
3 開口部
4 ケーシング
5 部分
6 部分
7 シリンダ
8 ハンマ
9 軸
10 チューブ
11 第1の端部
12 第2の端部
13 突起
14 小開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐少なくとも1つの発音要素(10、23、72)と、該発音要素(10、23、72)と機械的に接触してこれを振動させることにより音を発生させることができる少なくとも1つの作動部材(8、13、22、71)とを含む呼び出し機構(1、20、68)と、
‐前記呼び出し機構を制御するための電子手段(15、17、19、42〜45、76〜78)と、
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記呼び出し機構(1、20、68)は、異なるそれぞれの音符を生成するように配置されたいくつかの発音要素(10、23、72)と、それぞれの作動部材(8、13、22、71)とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記呼び出し機構(1、20)は、表面上に突起(13)を備えた回転部材(7、21)を含み、これらの突起(13)は、前記作動部材(8、13、22)を駆動又は形成する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記呼び出し機構(1)は、前記回転部材(7)を回転駆動するように、前記電子手段(15、17、19)により制御される電気モータ(18)を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記呼び出し機構(20)は、前記回転部材(21)を回転駆動するための、ばね(26)を有する機械モータ(24)と、前記ばね(26)の弛緩を阻止又は許容するように前記電子手段(42〜45)により制御される電気機械部材(38、41)と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記ばね(26)を有する機械モータ(24)は、前記ばね(26)を収容するとともに少なくとも1つの歯車(31、32)を介して前記回転部材(21)を駆動するバレル(25)を含み、前記電気機械部材は、前記電子手段(42〜45)により制御される双安定電磁石(38)と、該双安定電磁石(38)により制御されて、前記バレル(25)又は前記歯車(32)の歯状配列のうちの2つの連続する歯間に挿入することができるフィンガ(47)を有する機械的阻止要素(41)とを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記携帯電話機の使用を構成する動作によって前記ばね(26)が巻かれるようにする機構(28、30、51〜54、54〜57)を備える、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記携帯電話機は、互いに動くことができる2つの部分(48、49)を備え、前記呼び出し機構(20)は、これらの2つの部分の一方(48)に位置し、前記巻上げ機構は、前記ばね(26)に接続された巻上げロッド(30)と、前記2つの部分(48、49)の相対的動きを前記巻上げロッド(30)の回転に変換するための手段(51〜53、55〜57)とを有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯電話機。
【請求項9】
前記回転部材(7、21)は、ユーザにより置き換え可能に構成される、
ことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項10】
前記回転部材(7、21)は、シリンダ(60)であり、該シリンダ(60)の一端が駆動スピンドル上に装着され、他端が、前記シリンダ(60)のボア(64)内に受け入れられた突起(66)によって支持され、前記突起(66)は、前記シリンダ(60)が配置されるハウジング(59)を閉じる役目を果たす可動片(62)により定められる、
ことを特徴とする請求項9に記載の携帯電話機。
【請求項11】
前記呼び出し機構(68)は、前記作動部材(71)を磁気によってそれぞれ制御するように、前記電子手段(76〜78)により制御される1又はそれ以上の電磁石(70)を含む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項12】
前記作動部材(8、22、71)又は個々の前記作動部材(8、22、71)は、対応する前記発音要素(10、23、72)を打つように構成されたハンマである、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項13】
前記発音要素(10、23、72)又は個々の前記発音要素(10、23、72)は、チューブ型、ストリップ型、ベル型、及びワイヤ型のうちの1つである、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項14】
前記電子制御手段は、前記携帯電話機の前記メインプロセッサ(17、44、76)を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項15】
前記呼び出し機構(1)は、前記携帯電話機のガラス(2)を通して視認可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−513143(P2012−513143A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541626(P2011−541626)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007679
【国際公開番号】WO2010/070408
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(510055895)
【Fターム(参考)】