説明

携帯電話機

【課題】第1及び第2のアンテナによりダイバーシティ機能を有し、第1のアンテナに近接して発熱体を備える場合において、アンテナの性能低下を引き起こすことがない携帯電話機を提供する。
【解決手段】 第1アンテナ41及び第2アンテナ42によるダイバーシティ機能を有する携帯電話機10において、第1アンテナ41に近接してLED照明灯32が設けられている。また、LED照明灯32が発する熱を拡散する放熱板34が、回路基板23を構成するグラウンド層23bから隔離して、携帯電話機10の内部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルアンテナによるダイバーシティ機能を有し、一方のアンテナに近接してLED(Light Emitting Diode)照明灯等の発熱体を備える携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機において、高輝度LEDを備える場合に、高輝度LEDに蓄積される熱を拡散するための放熱板を備えている(特許文献1)。また、放熱板をグラウンドに接続して、熱をグラウンドに逃がすことにより、放熱効果を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−243310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイバーシティ機能を有する携帯電話機においては、携帯電話機の先端側及び下端側に第1及び第2のアンテナが配置される。第1及び第2のアンテナを携帯電話機内でできる限り距離をとって離間させることにより、各々のアンテナから放出される電磁波が相互に干渉してアンテナ特性が下がることを防止することができるからである。さらに、携帯電話機の先端側に、照明灯が配置される場合には、照明灯が発する熱を拡散するための放熱板が第1のアンテナに近接して配置されることとなる。しかし、放熱効果を上げるために、この放熱板が携帯電話機の内部に設けられたグラウンドに接続されると、携帯電話機の内部に備えられた通信処理回路等において発生するノイズが、グラウンド及び放熱板を介して、第1のアンテナに伝わり、これにより、アンテナの性能低下を引き起こすという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために、第1及び第2のアンテナによるダイバーシティ機能を有し、第1のアンテナに近接して発熱体を設け、さらに、当該発熱体が発する熱を拡散するための放熱板を設ける場合においても、アンテナの性能低下を引き起こすことがない携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1及び第2アンテナによるダイバーシティ機能を有する携帯電話機であって、第1アンテナに近接して発熱体が設けられ、当該発熱体が発する熱を拡散する放熱板が、グラウンドから隔離して、設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成によると、グラウンド及び放熱板を介するノイズにより、アンテナ性能が低下することを防止できる携帯電話機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】携帯電話機10の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機10を正面から見た場合における分解図である。
【図3】携帯電話機10を裏面から見た場合における分解図である。
【図4】LED照明灯32、照明回路基板33及び放熱板34並びにその周辺部の部分断面図である。この図は、図1のA−A部分断面図である。
【図5】LED照明灯32、照明回路基板33及び放熱板34並びにその周辺部の部分断面図である。この図は、図1のB−B部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
本発明に係る一の実施の形態としての携帯電話機10について説明する。
図1は、携帯電話機10の外観斜視図である。
携帯電話機10は、図1に示すように、正面52側において、液晶ディスプレィユニット53及び複数個の操作用キーからなる操作部54が長手方向に配置されている。ここで、携帯電話機10の長手方向の、液晶ディスプレィユニット53に近い側を先端側と呼び、操作部54に近い側を下端側と呼ぶ。
【0010】
携帯電話機10は、内蔵する第1アンテナ41及び第2アンテナ42によるダイバーシティ機能を有する。また、携帯電話機10は、図1に示すように、先端側の側面51を貫通して設けられたレンズ31を通して、LED照明灯32により、照明光を外部に照射する。
図2は、携帯電話機10を正面52から見た場合における分解図であり、図3は、携帯電話機10を正面52とは反対側に位置する裏面から見た場合における分解図である。
【0011】
携帯電話機10においては、図2及び図3に示すように、筐体25により、支持体22、回路基板23及びアンテナ保持体24が保持されている。支持体22、回路基板23及びアンテナ保持体24を保持した筐体25は、上部外装部21及び下部外装部26により被装され、上部外装部21には、正面被覆板20が取り付けられ、下部外装部26には、着脱自在に蓋部27が取り付けられている。
【0012】
支持体22は、液晶ディスプレィユニット53の表示面及び操作部54の各接点が表面63から露出するように、液晶ディスプレィユニット53及び操作部54を支持する。また、支持体22は、LED照明灯32が照射する照明光が、レンズ31を介して、携帯電話機10の外部に照射されるように、LED照明灯32が配置された照明回路基板33を、側面51において、支持する。
【0013】
回路基板23は、それぞれ平板状の配線層23a、グラウンド層23b及び配線層23cが積層されて構成されている。配線層23a及び配線層23cには、信号線が形成され、電子部品が配置される。グラウンド層23bは、一例として、銅を材料として形成される。なお、回路基板23は、この構造には、限定されない。配線層にグラウンド用の配線が形成されるとしてもよい。また、回路基板23は、さらに、電源層を備えるとしてもよい。回路基板23上には、携帯電話機10がサポートする移動通信方式を実現する通信処理回路やベースバンド回路などが構築される。また、ベースバンド回路は、第1アンテナ41及び第2アンテナ42より受信した信号を受信ダイバーシティ方式により処理する。受信ダイバーシティ方式による信号の処理については、公知であり、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0014】
アンテナ保持体24は、筐体25において、携帯電話機10の先端側に配され、アンテナ保持体24のアンテナ保持面61上には、帯状の第1アンテナ41が設けられている。第1アンテナ41は、回路基板23上に設けられた通信処理回路に接続されている。
筐体25のアンテナ保持面62上において、携帯電話機10の長手方向、下端側に相当する側に、帯状の第2アンテナ42が設けられている。第2アンテナ42は、回路基板23上に設けられた通信処理回路に接続されている。
【0015】
第1アンテナ41は、側面51の近傍に配され、第2アンテナ42は、携帯電話機10の下端側の側面55の近傍に配されている。このように第1アンテナ41と第2アンテナ42とが筐体25内で離間して配置されることにより、各々のアンテナから放出される電磁波が相互に干渉してアンテナ利得が下がることを防止することができる。
上部外装部21及び下部外装部26は、筐体25、支持体22、回路基板23及びアンテナ保持体24を保護する。
【0016】
図4は、LED照明灯32、照明回路基板33及び放熱板34並びにその周辺部の部分断面図であり、図1のA−A部分断面図である。また、図5は、LED照明灯32、照明回路基板33及び放熱板34並びにその周辺部の部分断面図であり、図1のB−B部分断面図である。
LED照明灯32は、図4及び図5に示すように、照明光の光軸が照明回路基板33の基板面に対して垂直方向、外側を向くように、照明回路基板33上に配置される。LED照明灯32は、先端側の側面51を貫通して設けられたレンズ31を通して、照明光を外部に照射する。
【0017】
携帯電話機10を手に保持して操作する際の向きと同一方向の側面51に、LED照明灯32を配置することにより、ユーザーは、携帯電話機10を操作する向きを変えることなく、自身の前方をLED照明灯32からの光により照らすことができる。
また、図4及び図5に示すように、照明回路基板33において、LED照明灯32の配置面の裏面に、一例としてアルミニウムを材料とする平板状の放熱板34が貼着されている。放熱板34は、発熱体としてのLED照明灯32が蓄積し発する熱を拡散する。図5に示すように、放熱板34は、回路基板23を構成するグラウンド層23bから隔離して、設けられている。レンズ31は、LED照明灯32から照射される照明光の照射角を調整する。
【0018】
図5に示すように、アンテナ保持体24のアンテナ保持面61上に設けられた第1アンテナ41は、放熱板34と近接して設けられている。一方、放熱板34が貼着された照明回路基板33は、支持体22により支持され、また、配線層23a、グラウンド層23b及び配線層23cが積層されて構成される回路基板23も、支持体22により支持されている。このように、グラウンド層23bと放熱板34とは、別個独立に、支持体22により支持されており、グラウンド層23bと放熱板34とは、接続されておらず、隔離して設けられている。
【0019】
以上説明したように、携帯電話機10において、発熱体であるLED照明灯32が発する熱を拡散する放熱板34が、グラウンド層23bから電気的に隔離して、設けられているので、グラウンド層23b及び放熱板34を介して、ノイズが第1アンテナ41に伝わることがなく、アンテナの性能低下を引き起こすことがないという優れた効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る携帯電話機は、LED照明灯等の発熱体が発する熱を拡散する放熱板が、グラウンドから隔離して、筐体内部に設けられている。このため、グラウンド及び放熱板を介して、ノイズが放熱板に近接して設けられた第1アンテナに伝わることがなく、アンテナの性能低下を引き起こすことがないという効果を奏する。本発明は、デュアルアンテナによるダイバーシティ機能を有し、前記第1アンテナに近接して発熱体を備える携帯電話機として有用である。
【符号の説明】
【0021】
10 携帯電話機
20 正面被覆板
21 上部外装部
22 支持体
23 回路基板
23a 配線層
23b グラウンド層
23c 配線層
24 アンテナ保持部
25 筐体
26 下部外装部
27 蓋部
31 レンズ
32 LED照明灯
33 照明回路基板
34 放熱板
41 第1アンテナ
42 第2アンテナ
53 液晶ディスプレィユニット
54 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナ及び第2アンテナによるダイバーシティ機能を有する携帯電話機であって、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナが、筐体内で離間して配され、
前記第1アンテナには近接して発熱体が設けられ、
当該発熱体が発する熱を拡散する放熱板が、グラウンドから電気的に隔離して、設けられている
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記発熱体は、LED照明灯である
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記LED照明灯が配置された照明回路基板の裏面に前記放熱板が貼着されている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記LED照明灯は、筐体側面に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115508(P2013−115508A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257987(P2011−257987)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】