説明

携帯電話機

【課題】 基地局へのアクセス時、アクセスサブアテンプト信号の送信を1回だけに留めて電池の消耗を抑えることを可能にした携帯電話機。
【解決手段】 携帯電話機10に設けられるモード設定キー19は、携帯電話機のユーザが電話機内10でのアクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモードを設定して、電池を節約する電池節約モード設定キーである。また、受信レベル検出部18は、基地局からの信号の受信レベルを監視し、受信レベルが予め定めた所定のレベル以下となった場合、あるいは、受信レベルの変動が少なくなった場合に、制御信号を発して、電話機内10でのアクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモードを設定して、自動的に電池を節約する電池節約モードにする機能を有する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、携帯電話機に係り、特に、CDMA方式を用いアクセスサブアテンプトを複数回繰り返して基地局に送信する携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式を用いる端末としての携帯電話機が通話をしようとして、移動電話用設備としての基地局に対してアクセスする場合、端末は、アクセスサブアテンプトと呼ばれる信号を基地局に送信して、基地局からの応答を得ることにより基地局との通信路を確保可能となる。
【0003】
図3は携帯電話機から発信を行う場合の送信信号について説明する図であり、図3を参照して、従来技術における発信時の携帯電話機からのアクセスについて説明する。
【0004】
通常、携帯電話機からの基地局へのアクセスは、アクセスサブアテンプトと呼ばれる信号を、基地局からの応答が得られるまで複数回送信することにより行われる。信号の送信回数は、携帯電話機内の設定により一定の回数、図示例の場合、図3(a)に示すようにi回に設定されており、i回のアクセスサブアテンプトの送信で基地局からの応答が得られない場合、送信信号が基地局に届かない(基地局で受信することができない)ものとして、アクセスサブアテンプト信号の送信を停止している。そして、1つのアクセスサブアテンプト信号は、図3(b)に示すように、複数回のアクセスプローブシーケンス信号により構成され、また、複数回のアクセスプローブシーケンス信号のそれぞれは、図3(c)に示すように、送信電力を徐々に大きくしていく複数の送信信号により構成される。アクセスサブアテンプトを構成するアクセスプローブシーケンス信号の送信回数(図示例ではj回)、及び、アクセスプローブシーケンスを構成する送信信号の送信回数(図示例ではl回)は、移動電話用設備により予め設定され、携帯電話機内に保持されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従来技術による携帯電話機は、前述したようなアクセス方法により基地局に対するアクセスを行うことにより、確実に基地局への接続を行うことが可能とされている。
【0006】
しかし、前述した方法は、携帯電話機が基地局から遠い位置の弱電界地域に居るような場合、携帯電話機が基地局からの信号を受信することができるが、基地局が携帯電話機からの信号を受信することができないという状況が発生することがある。
【0007】
このような場合、従来技術による携帯電話機は、図3により説明した発信のアクセスの全てが終了するまで、アクセスサブアテンプト信号の送信を繰り返さなければ、基地局にアクセスして接続を確立することが不可能であることを認識することができず、しかも、アクセスプロシーブシーケンスの送信電力を大きくしていかなければならないため、電池の消耗を早めてしまうという問題点を有している。
【0008】
本考案の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、基地局へのアクセス時、アクセスサブアテンプト信号の送信を1回だけに留めて電池の消耗を抑えることを可能にした携帯電話機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案によれば前記目的は、アクセスサブアテンプトを複数回繰り返し送信して基地局にアクセスする携帯電話機において、アクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモード設定手段を備えることにより達成される。
【0010】
また、前記目的は、前記モード設定手段として、モード設定キーを備えることにより達成される。
【0011】
さらに、前記目的は、前記モード設定手段として、基地局からの信号強度を検出する受信レベル検出部を備え、前記基地局からの信号強度が予め定めた所定の強度以下となったとき、あるいは、前記基地局からの信号強度の変動幅が予め定めた所定の幅以下となったとき、前記モードを設定することにより達成される。
【0012】
前述したような手段により構成される本考案は、ユーザの意志により、あるいは、基地局からの受信信号のレベルにより自動的に、発信動作時に、アクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限することができるので、電池の消耗を抑えることができる。
【0013】
【考案の実施の形態】
以下、本考案による携帯電話機の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0014】
図1は本考案の一実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図である。
図1において、10は携帯電話機、11は制御部、12はディスプレイ、13はキーパッド、14はマイク及びスピーカ、15はメモリ、16は送信部、17は受信部、18は受信レベル検出部、19はモード設定キー、20はアンテナである。
【0015】
本考案の一実施形態による携帯電話機10は、図1に示すように、電話機全体の制御を行う制御部11と、表示を行うディスプレイ12、数字キー、ファンクションキー等を持つキーパッド13と、マイク及びスピーカ14と、制御部11が使用するソフトウェア、電話番号等を記憶するメモリ15と、信号の送信部16と、信号の受信部17と、アンテナ20とを含むよく知られている携帯電話機の構成に、本考案により受信レベル検出部18、モード設定キー19を設けて構成されている。
【0016】
本考案の実施形態による携帯電話機10に設けられるモード設定キー19は、携帯電話機のユーザが電話機内10でのアクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモードを設定して、電池を節約する電池節約モード設定キーである。また、受信レベル検出部18は、基地局からの信号の受信レベルを監視し、受信レベルが予め定めた所定のレベル以下となった場合、あるいは、受信レベルの変動が少なくなった場合に、制御信号を発して、電話機内10でのアクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモードを設定して、自動的に電池を節約する電池節約モードにする機能を有する。
【0017】
いま、ユーザが前述のモード設定キー19により、携帯電話機を電池節約モードに設定して、発信のために基地局へのアクセスを行ったとする。このとき、携帯電話機10は、1回だけのアクセスサブアテンプトの送信を行って、その間に基地局からの応答が得られなかった場合、送信信号が基地局に届かないものとして、発信のためのアクセス動作を停止する。この発信時のアクセス信号の送信は、1回だけアクセスサブアテンプトを送信するものであり、アクセスサブアテンプトを構成するアクセスプローブシーケンス等の構成は、従来技術で説明したものと同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0018】
前述した電池節約モードが設定されて1回だけアクセスサブアテンプトを送信するアクセス動作によっても、携帯電話機10が強電界の地域に居る場合には、確実に基地局からの応答を得ることができ、また、弱電界の地域に居る場合、1回だけアクセスサブアテンプトを送信するだけで発信のためのアクセス動作を停止するので、電池の消耗を抑えることができる。
【0019】
前述した例は、モード設定キー19を備えるとして説明したが、モード設定キー19は、新たに設けてもよく、あるいは、既存のキーパッド13に備えられキーを組み合わせてモード設定キーの機能として使用するようにしてもよい。
【0020】
前述した本考案の実施形態は、モード設定キー19を設け携帯電話機のユーザが自分で電池節約モードを設定するようにしたが、本考案は、基地局からの信号
の受信信号のレベル(電界強度)を監視し、受信レベルが予め定めた所定のレベル以下となった場合、あるいは、受信レベルの変動が少なくなった場合に、制御信号を発して、電話機内10でのアクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモードを設定するようにすることができる。
【0021】
図1に示している受信レベル検出部18は、受信部17からの基地局からの受信信号のレベルを監視しており、受信信号のレベルが予め定めた所定のレベル以下となった場合、あるいは、受信レベルの変動が少なくなった場合に制御信号を制御部11に出力する。この制御信号は、制御部11内において、モード設定キー19が操作された場合と同様に扱われる。このため、前述の制御信号が発せられると、前述したと同様に、発信のために基地局へのアクセスを行ったとき、携帯電話機10は、1回だけのアクセスサブアテンプトの送信を行って、その間に基地局からの応答が得られなかった場合、送信信号が基地局に届かないものとして、発信のためのアクセス動作を停止する。これにより、前述の場合と同様に、電池の消耗を抑えることができる。
【0022】
図2は携帯電話10を持つユーザが移動する等により基地局からの信号強度が変化する様子の例、及び、弱電界域での基地局と携帯電話機との間で信号の送受信について説明する図であり、次に、これについて説明する。
【0023】
図2(a)に示す信号強度の変化を示す例は、例えば、携帯電話10を持つユーザが、2つの基地局の中間付近を一方の基地局から遠ざかり、他方の基地局に近づくように移動しているものとした場合の例であり、この図では、図の中央部の領域Bで基地局からの信号強度が低下して弱電界域となったものとして示している。この弱電界域では、図2(b)に示すように、基地局である移動電話用設備からの信号を携帯電話機10で受信することができるが、携帯電話機10からの送信信号が基地局で受信することができないという状況が発生する。
【0024】
前述した基地局からの信号の受信信号のレベルを監視し、その結果による電池節約モードを設定するようにする例の場合、信号の受信レベルが低い地域Bにおいて、自動的に電池節約モードが設定され、信号の受信レベルが高い地域A、Cにおいて、電池節約モードが解除される。
【0025】
また、本考案の実施形態は、信号の受信レベルの強弱にかかわらず、信号の受信レベルの変動が少ない場合、すなわち、変動幅が予め定めた幅以下の場合に、自動的に電池節約モードを設定するようにしてもよい。このような信号の受信レベルの変動が少ない状況は、例えば、携帯電話10を持つユーザが移動を停止しているような場合に生じる。
【0026】
このような場合に、自動的に電池節約モードを設定しても、携帯電話機10は、弱電界域では、発信のために基地局へのアクセスを行ったとき、1回だけのアクセスサブアテンプトの送信を行って、その間に基地局からの応答が得られないために、送信信号が基地局に届かないものとして、発信のためのアクセス動作を停止し、また、受信信号のレベルがある程度大きい場所で停止している場合、1回だけのアクセスサブアテンプトの送信を行えば、確実に基地局からの応答を得ることができるので、電池の消耗を抑えることができる。
【0027】
前述した本考案の実施形態における動作は、携帯電話機から発信を行う場合として説明したが、同様なことは、携帯電話機に着信があり、その着信に応答しようとする場合のアクセスの際にも生じる。本考案は、このような場合にも、前述した場合と同様に有効であり、無駄な電池の消耗を防止することができる。また、携帯電話機が異なる基地局エリアに移動してきて、自電話機の存在を新たな基地局に通知するためのアクセスを行う場合も同様である。
【0028】
【考案の効果】
以上説明したように本考案によれば、電池の消耗を抑えて、携帯電話機を長時間使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】携帯電話を持つユーザが移動する等により基地局からの信号強度が変化する様子の例、及び、弱電界域での基地局と携帯電話機との間で信号の送受信について説明する図である。
【図3】携帯電話機から発信を行う場合の送信信号について説明する図である。
【符号の説明】
10 携帯電話機
11 制御部
12 ディスプレイ
13 キーパッド
14 マイク及びスピーカ
15 メモリ
16 送信部
17 受信部
18 受信レベル検出部
19 モード設定キー
20 アンテナ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 アクセスサブアテンプトを複数回繰り返し送信して基地局にアクセスする携帯電話機において、アクセスサブアテンプトの送信回数を1回に制限するモード設定手段を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】 前記モード設定手段として、モード設定キーを備えることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】 前記モード設定手段として、基地局からの信号強度を検出する受信レベル検出部を備え、前記基地局からの信号強度が予め定めた所定の強度以下となったとき、前記モードを設定することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】 前記モード設定手段として、基地局からの信号強度を検出する受信レベル検出部を備え、前記基地局からの信号強度の変動幅が予め定めた所定の幅以下となったとき、前記モードを設定することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【登録番号】実用新案登録第3094595号(U3094595)
【登録日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【発行日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【考案の名称】携帯電話機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−7819(U2002−7819)
【出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)