説明

携帯電話端末、プログラム及び携帯電話端末の着信応答方法

【課題】携帯電話端末のユーザーが着信に応答するために必要な操作のステップを減らし、かつ、ユーザーは発信元情報を視認した後で応答するか否かを決定し、かつ、所謂スピーカーフォンではなく、携帯電話端末のスピーカー及びマイクをそれぞれユーザーの耳及び口に近づけて行なう通話として応答する。
【解決手段】ユーザーが携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する携帯電話端末の部位Bの近傍に近接センサを配置する。ユーザーが携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、部位Aと、部位B及び近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて閾値を予め定める。着信後に近接センサで測定した測定距離と閾値との比較結果に基づいて携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話端末の着信応答に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末の多機能化が進んでいるが、多機能化は操作の煩雑化を招きやすい。このため、操作がより簡単な携帯電話端末が求められている。
【0003】
携帯電話端末の最も基本的な機能のひとつに音声通話がある。携帯電話端末に着信があると携帯電話端末はスピーカーから着信音を発し或いはバイブレータで振動を発してユーザーに着信中であることを通知し、これにより着信に気がついたユーザーは表示装置にて発信元情報を視認してその着信に対して応答が必要であるか否か判断する。発信元情報とは、携帯電話網を介して携帯電話端末に通知される発信者電話番号や、発信元電話番号に予め関連づけて携帯電話端末の記憶装置に格納された発信者の氏名、名称等の発信者或いは発信元に関する情報である。一般に携帯電話端末は音声通話の開始を携帯電話端末に対して指示するキー(以下音声通話開始キーと呼ぶものとする)を備え、その着信に応答する必要があると判断する場合にユーザーはこのキーを押下する。音声通話開始キーの押下に応じて、携帯電話端末の制御装置はその着信に応答する。
【0004】
ここで、着信音やバイブレーション等によりユーザーが着信に気がついた後のユーザーの操作及び携帯電話端末の動作に着目する。従来の一般的な携帯電話端末では、音声通話開始キーとして機能する専用キー或いはソフトキーの押下を契機として、着信に応答し通話可能状態に移行する。この種の携帯電話端末を用いて着信に応答するためにユーザーが行なう操作は、(1)着信に気がつく、(2)発信元情報を確認し、応答の要否を判断する、(3)必要であれば音声通話開始キーを押下する、(4)スピーカーが耳元に位置し、マイクが口元に位置するように携帯電話端末を動かす、といった(1)〜(4)のステップを経る。折り畳み式携帯電話端末であって、閉状態でも視認可能な表示装置、所謂背面ディスプレイを備えないものが閉じた状態で着信があった場合は、(1)と(2)の間に携帯電話端末を開くステップが更に加わる。
【0005】
このステップを減らすため、折り畳み式携帯電話端末の一部には、着信中に端末の開閉状態が閉状態から開状態に変化したことを契機として通話可能状態に移行するものもある。背面ディスプレイを備えている場合はこれにより(3)のステップを省略することができる。言い換えると、端末の開閉状態の変化のみを契機として着信に応答する折り畳み式携帯電話端末では、(2)のステップで応答前に発信元情報を確認するために背面ディスプレイが不可欠である。背面ディスプレイを備えていない折り畳み式携帯電話端末にて開閉状態の変化のみを契機として着信に応答すると、応答前に発信者を確認することができないので、ユーザーは通話する必要がない相手からの着信にも応答することとなる。
【0006】
特許文献1には、固定電話端末として用いる電話装置を基本的に対象とした発明が記載されている。この電話装置は特定の場所に設置され、通話をしないときには周囲は無人であり、通話を行なうときに限って人が接近することを前提としている。このため、ユーザーが常時身につけていることを前提とする携帯電話端末に対して特許文献1に記載の発明を適用すると、携帯している間の全ての着信に対して否応なく自動的に応答することになる。
【0007】
また、この応答はスピーカーフォン通話にて行なわれる。固定電話端末は特定の場所に設置されるため、ユーザーの接近に応じて自動的にスピーカーフォンで応答することとしてもその通話内容が聞こえる者をある程度限定することが可能だが、携帯電話端末ではどこで着信し、そのとき周囲に誰がいるかは分からないので、携帯電話端末にてスピーカーフォンによる自動着信応答を行なうのは不適切である。
【0008】
更に、特許文献1の電話装置は表示装置を備えていないため、応答前に発信者を確認することができない。仮に、この電話機が表示装置を備え、発信者に関する情報を表示することとしても、表示装置を極端に大きくしない限り、表示された発信者情報を目視するためにはユーザーは電話装置に十分に近づく必要があるが、このときに相手が誰であっても結局は応答してしまうことになるので、発信者情報に基づいて応答するか否かをユーザーが選択することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−200623
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、携帯電話端末のユーザーが着信に応答するために必要な操作のステップを減らし、かつ、ユーザーは発信元情報を視認した後で応答するか否かを決定し、かつ、所謂スピーカーフォンではなく、携帯電話端末のスピーカー及びマイクをそれぞれユーザーの耳及び口に近づけて行なう通話として応答することができる携帯電話端末、携帯電話端末の着信応答方法及び携帯電話端末の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサと、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする携帯電話端末を提供する。
【0012】
また、本発明は、他の態様として、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する手順と、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定手順とを前記携帯電話端末が備えるコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0013】
更に、本発明は、他の態様として、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する段階と、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定段階とを含むことを特徴とする携帯電話端末の着信応答方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るためには、携帯電話端末の特定の部位(例えばスピーカー開口部)とユーザーの頭部の特定の部位(例えば耳)がある程度の距離に接近するが、本発明では携帯電話端末の特定部位付近に設けた近接センサにて接近を検出し、これに応じて着信に応答する。このため、本発明によれば、着信に応答するためにユーザーは音声通話開始キーの押下等の操作をする必要がなく、操作の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1である携帯電話端末1のブロック図である。
【図2】携帯電話端末1の外観を説明するための図であり、特に、スピーカー開口部6aと近接センサ7との位置関係を説明するための図である。
【図3】携帯電話端末1の着信応答動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2である携帯電話端末20のブロック図である。
【図5】携帯電話端末20の外観を説明するための図であり、特に、スピーカー開口部6aと近接センサ7との位置関係を説明するための図である。
【図6】携帯電話端末20の着信応答動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態である携帯電話端末は、近接センサと、近接センサによる測定距離と閾値との比較結果に基づいて着信に応答するか否かを判定する手段とを備える。ユーザーが携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を考える。このときユーザーの頭部のある部位A(例えば耳や口)と、この部位Aに対向する携帯電話端末の部位B(例えばスピーカーやマイクの開口部)との距離は、ユーザー間で個人差はあるものの、ある程度の範囲に収まる。この距離に基づいて閾値を定め、部位Bの近傍に近接センサを配置する。本発明の携帯電話端末は、着信があると、近接センサによる測定距離と閾値とを比較し、その結果に基づいて着信に応答するか否かを判定するといった着信応答動作を行なう。
【0017】
携帯電話端末での一般的な着信応答動作では、音声通話の開始を指示するキー(以下音声通話開始キーと記す)の押下に応じて応答するが、本発明の携帯電話端末では、上述のような着信応答動作を音声通話開始キーの押下による応答とは独立して行なう。ユーザーが音声通話開始キーを押下する/しないに関わらず、近接センサによる測定距離等に基づいて応答するので、着信に応答する際にユーザーは音声通話開始キーを押下する必要がない。
【0018】
着信に応答するか否かの判定としては、例えば測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答するものが考えられる。また、予め定められた測定距離の時間変化を検出した後、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答することが考えられる。例えば、着信時の測定距離はゼロ或いは短距離であり、次に測定距離が所定の距離よりも長くなり、次に測定距離が所定の距離よりも短くなったとき、着信に応答することが考えられる。
【0019】
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを定めることができない前記指標を生成する手段を更に備えることとし、前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定することとしてもよい。このような指標を参照して応答の要否を判定することにより、ユーザーがその着信に応答するつもりなのか否かをより正確に推定することができる。
【0020】
このような指標生成手段としては、携帯電話端末が折り畳み式の場合は開閉状態を検出する開閉検出手段がある。この場合、開閉検出手段により折り畳み式携帯電話端末が開いた状態にあり、かつ、近接センサによる測定距離が閾値よりも短いときに着信に応答することが考えられる。
【0021】
別の指標生成手段としては、着信に応答しないときにユーザーが入力する非応答時入力手段を設けることが考えられる。この場合、非応答時入力手段による入力がなく、かつ、近接センサによる測定距離が閾値よりも短いときに着信に応答することが考えられる。非応答時入力手段を用いる場合は、携帯電話端末が折り畳み型であってもストレート型であっても適用することができる。
【実施例1】
【0022】
本発明の第1の実施例である折り畳み式携帯電話端末1について図1を参照して説明する。折り畳み式携帯電話端末1は携帯通信網2を介して通信を行なう携帯電話端末であり、上部筐体3、下部筐体4と、これら筐体を開閉可能に繋ぐヒンジ部5を備える。
【0023】
上部筐体3はスピーカー6、近接センサ7、表示部8を備える。下部筐体4は無線部9、開閉検出部10、制御部11、キー部12、マイク13を備える。
【0024】
スピーカー6は音声を出力する。着信時には着信音を出力し、通話時には通話相手の音声を出力する。
【0025】
近接センサ7は非接触で物体の接近を検知するセンサである。動作原理は問わない。近接センサ7には、例えば、赤外線を発する発光素子と赤外線を検知する受光素子とを備え、発光素子から放った赤外線が物体に当たって反射した反射光を受光素子にて検知することにより、物体の接近を検知するものを用いることができる。通話の際にユーザーはスピーカー6に耳を近づける動作をするが、このときの耳の接近を検出するため、図2に示すように、近接センサ7はスピーカー6の開口部6aの近傍に配置される。
【0026】
表示部8は液晶ディスプレイ装置や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置等の表示装置である。
【0027】
無線部9は携帯電話網2の基地局との無線通信を行う。携帯電話網2から着信があると無線部9は制御部11に着信検出を通知する。
【0028】
開閉検知部10はヒンジ部5の開閉状態を検出して制御部11に通知する。
【0029】
キー部12は入力装置であり、テンキー、音声通話を開始する音声通話開始キー12a、音声通話を終了する終了キー、各種の機能キーからなる。
【0030】
制御部11は折り畳み式携帯電話端末の各部の動作を制御する。
【0031】
マイク13はユーザーの音声を入力するための装置である。
【0032】
次に折り畳み式携帯電話端末1の動作について図3を参照して説明する。今、ヒンジ部5は閉じており、開閉検知部10はヒンジ部5が閉じていることを制御部11に通知しているものとする。表示部8のスクリーンは上部筐体3の内側或いは前面に面している。尚、上部筐体3の背面側に所謂サブスクリーンは備えていないものとする。
【0033】
無線部9が携帯電話網2から着信通知を受信する(ステップS1)と、制御部11は、スピーカー6から予め定められた音量で着信音を鳴動させる等の着信通知処理を行なう(ステップS2)。着信音に気がついたユーザーが上部筐体3と下部筐体4とを開くと、開閉検知部10はヒンジ部5が閉状態から開状態に移行したことを検出(ステップS3)し、これを制御部11に通知する。
【0034】
開状態への移行を通知されて、ヒンジ部5の開閉状態が閉状態から開状態に移行したと判定すると、制御部11は、着信の発信元の名称や電話番号等の発信元情報を表示部8にてユーザーに対して表示する(ステップS4)と共に、近接センサ7を活性化する(ステップS5)。
【0035】
表示部8の画面上にて目視した発信元情報に基づいて、ユーザーはその着信に応答して通話を開始するか、その着信を無視するか、或いはその着信を保留するか等を判断する。通話を開始する場合、ユーザーは、開いた状態の折り畳み式携帯電話端末1をそのまま顔の横に移動させる。このときユーザーは音声通話開始キー12aを押下する必要はない。
【0036】
ユーザーが折り畳み式携帯電話端末1を顔の横に移動させると、ユーザーの頭部と折り畳み式携帯電話端末1との間の距離が徐々に接近していき、ある程度接近すると近接センサ7がユーザーの頭部等を検知し、距離を測定して、測定距離を制御部11に通知する。制御部11は通知された測定距離を所定の閾値と比較する(ステップS6)。
【0037】
閾値は、ユーザーが折り畳み式携帯電話端末1を開いた状態で手に持って通話するときのユーザーの頭部のいずれかの部位と、折り畳み式携帯電話端末1のいずれかの部位との間の距離を基準として予め定められる。本実施例ではユーザーの頭部の部位は耳であり、携帯電話端末の部位はスピーカー6の開口部である。一般に通話を行なう際にユーザーの耳は携帯電話端末のスピーカー開口部6aまで数センチメートル程度の距離まで接近するか或いは接触する。本実施例では通話時のユーザーの耳とスピーカー開口部6aの間の一般的な距離を基準として閾値を定める。
【0038】
測定距離が閾値を下回るとき、制御部11には、ステップS1にて無線部9から着信中であることが通知され、かつ、ステップS3にて開閉検知部10から開状態であることが通知され、かつ、ステップS6にて近接センサ7にて何らかの物体が接近していることが通知されていることになる。つまり、着信中に閉状態から開状態に移行した折り畳み式携帯電話端末1のスピーカー開口部6aに対し、何らかの物体が接近しているということである。本発明ではこのような状況下でスピーカー開口部6aに所定の距離よりも近づく物体を、折り畳み式携帯電話端末1のユーザーの耳であろうと推定し、以下に続く所定の動作を行なう。
【0039】
まず、制御部11は、スピーカー6から出力中の着信音の音量を下げる、或いは、着信音の鳴動を中止する(ステップS7)。ステップS2以降、スピーカー6は着信音を当初の音量にて出力しているが、当初の音量はユーザーが折り畳み式携帯電話端末1から離れた位置にいる場合や、折り畳み式携帯電話端末1が鞄の中にある場合であってもユーザーが気づくことができる程度に大きいため、ユーザーがスピーカー6に耳を近づけた状況では大きすぎる音量となっている。この点に鑑みて、制御部11は測定距離が所定の閾値よりも短くなると着信音の音量を下げる、或いは、着信音の鳴動を中止する。音量を下げる場合は、単に所定の音量まで下げることとしてもよいし、測定距離に応じて音量を下げる制御を行なうこととしてもよい。
【0040】
また、制御部11は着信に応答し呼を確立する(ステップS7)。このとき制御部11は音声通話開始キー12aの押下を待たずに応答する。このため、従来であれば、着信音に気づいたユーザーは、表示部にて発信元情報を目視して発信者を確認し、その着信に応答するつもりであれば、音声通話開始キーを押下して着信に応答するためだけの操作を行なった後、マイクと口元、スピーカーと耳との位置関係が通話に適したものになるように通信装置を動かしてから通話を開始していた。これに対して、上述の折り畳み式携帯電話端末1では、発信元情報を目視した後、その着信に応答する場合は、そのまま通話に適した位置まで折り畳み式携帯電話端末1を動かす行為が、着信に応答するための操作を兼ねるので、ユーザーはキーを押下することなく着信に応答することができるようになり、操作性の向上に寄与する。
【実施例2】
【0041】
本発明の他の実施例である携帯電話端末20について図4を参照して説明する。実施例1の携帯電話端末1は折り畳み型であり、その筐体は上部筐体3、下部筐体4からなっていたが、携帯電話端末20は所謂ストレート型の携帯電話端末であるため、上下の筐体を繋ぐヒンジ部5がなく、従ってその開閉を検出する開閉検出部10もない。携帯電話端末1と同じ機能を有する構成要素に対しては同じ参照符号を付し、説明を適宜省略する。
【0042】
キー部12は入力装置であり、テンキー、音声通話を開始する音声通話開始キー12a、音声通話を終了する終了キー、各種の機能キーからなる。図5に示すように、携帯電話端末20は、音声通話を終了する音声通話終了キー12b、ソフトキー12c、12dを備える。ソフトキー12c、12dは、携帯電話端末20の動作状態に応じて制御部11が機能を割り当てるキーである。
【0043】
携帯電話端末20の動作について図6を参照して説明する。以下の動作の間、発信者は発信を継続し、従って着信も継続するものとする。
【0044】
無線部9が携帯電話網2から着信通知を受信する(ステップS11)と、制御部11は、スピーカー6から予め定められた音量で着信音を鳴動させる等の着信通知処理を行なう(ステップS12)。
【0045】
また、制御部11は、ユーザーに対して、その着信に応答しない場合はソフトキー12dを押下するように促すメッセージと、その着信の発信元に関する発信元情報とを表示部8により表示する(ステップS13)。図6には反映されていないが、以後いつでも、着信が継続している間にソフトキー12dが押下されると、ユーザーはその着信に応答するつもりがないとして、制御部11は着信音の鳴動を中止することとしてもよい。また、着信音の鳴動を中止した後であっても、着信が続いている場合は音声通話開始キー12aの押下に応じて応答する。
【0046】
更に、制御部11は近接センサ7を活性化し、周辺の物体の検出を試みる(ステップS14)。所定の距離d1内に物体を検出(ステップS15)した場合、続く時間の経過と共に測定距離が所定の距離d2に達するか否かを判定する(ステップS16)。測定距離が変らない、短くなっている或いは距離d2に達しない場合は単に着信音の鳴動等ユーザーの呼び出しを続ける。測定距離が距離d2よりも長くなる場合、ユーザーが携帯電話端末20を鞄やポケット等から取り出したとの推定の元で続く処理を行なう。距離d1と距離d2はd1<d2の関係を有する。距離d1は携帯電話端末20を鞄やポケットに収めているときの鞄やポケットと近接センサ7との距離に基づいて定める。距離d2は例えば携帯電話端末20を片手に取ったユーザーが表示部8の文字を視認する際の距離に基づいて定めることが考えられる。
【0047】
近接センサ7での測定距離が時間経過と共に距離d2よりも長くなった後、続く時間経過と共に測定距離が所定の距離d3よりも短く(ステップS17)なり、かつ、ステップS13から現時点までの間にソフトキー12dが押下されていない(ステップS18)場合、前述のステップS7と同様に、制御部11はスピーカー6から出力中の着信音の音量を徐々に下げて鳴動を中止(ステップS19)し、着信に応答し呼を確立する(ステップS20)。距離d3は、例えば、ユーザーが携帯電話端末を片手に持って顔の横に移動させて通話のためにスピーカー開口部6aを耳元に寄せたときのスピーカー開口部6aとユーザーの耳との間の距離に基づいて定める。
【0048】
ステップS15において、距離d1以遠に物体を検出した、或いは、近接センサが検出可能な距離内に物体が存在しない場合も、同様に、時間経過と共に測定距離が所定の距離d3よりも短く(ステップS17)なり、かつ、ソフトキー12dが押下されていない(ステップS18)場合、制御部11は着信音の音量制御(ステップS19)を行なった後、着信に応答し呼を確立する(ステップS20)。この場合の動作は、着信時に携帯電話端末20が例えばテーブルに表示部8側を上にして置いてあり、スピーカー開口部6a周辺に物体が存在しないような状況を想定している。
【0049】
以上、本発明について実施の形態及びに即して説明したが、上述の実施形態及びその変形は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。上述の実施例では、近接センサを1基設けているが、これに限定されるものではなく、複数の近接センサを設け、それぞれの近接センサについて閾値を定めて、複数の比較結果の組み合わせに基づいて応答の要否を判定することとしてもよい。
【0050】
上記の実施形態及び実施例の一部又は全部は以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
(付記1)
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサと、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する手段と
を備えることを特徴とする携帯電話端末。
【0052】
(付記2)
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを決定しない前記指標を生成する指標生成手段を更に備え、
前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定する
ことを特徴とする付記1に記載の携帯電話端末。
【0053】
(付記3)
当該携帯電話端末は折り畳み式であり、
前記指標生成手段として、当該携帯電話端末の折り畳み機構の開閉状態を検出する開閉検出手段を備える
ことを特徴とする付記2に記載の携帯電話端末。
【0054】
(付記4)
着信に応答しないときにユーザーが入力するための非応答時入力手段を前記指標生成手段として備えることを特徴とする付記2に記載の携帯電話端末。
【0055】
(付記5)
前記判定は、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の携帯電話端末。
【0056】
(付記6)
前記判定は、測定距離の予め定められた時間変化を検出した後、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の携帯電話端末。
【0057】
(付記7)
前記部位A及び部位Bの組み合わせとして、耳とスピーカー開口部、及び、口とマイク開口部の少なくとも一方を含むことを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の携帯電話端末。
【0058】
(付記8)
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する手順と、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定手順と
を前記携帯電話端末が備えるコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0059】
(付記9)
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを決定しない前記指標を生成する指標生成手順を更に前記コンピュータに実行させ、
前記判定手順は、前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定する
ことを特徴とする付記8に記載のプログラム。
【0060】
(付記10)
前記携帯電話端末は折り畳み式であり、折り畳み機構の開閉状態を検出する開閉検出手段を備え、
前記指標生成手順は前記開閉検出手段による検出結果に基づいて前記指標を生成する
ことを特徴とする付記9に記載のプログラム。
【0061】
(付記11)
前記携帯電話端末は、着信に応答しないときにユーザーが入力するための非応答時入力手段を備え、
前記指標生成手順は前記非応答時入力手段による入力がないときに前記指標を生成する
ことを特徴とする付記9に記載のプログラム。
【0062】
(付記12)
前記判定手順は、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記9乃至11のいずれかに記載のプログラム。
【0063】
(付記13)
前記判定手順は、測定距離の予め定められた時間変化を検出した後、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記9乃至11のいずれかに記載のプログラム。
【0064】
(付記14)
前記部位A及び部位Bの組み合わせとして、耳とスピーカー開口部、及び、口とマイク開口部の少なくとも一方を含むことを特徴とする付記9乃至13のいずれかに記載のプログラム。
【0065】
(付記15)
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する段階と、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定段階と
を含むことを特徴とする携帯電話端末の着信応答方法。
【0066】
(付記16)
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを決定しない前記指標を生成する指標生成段階を更に前記コンピュータに実行させ、
前記判定段階は、前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定する
ことを特徴とする付記15に記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【0067】
(付記17)
前記携帯電話端末は折り畳み式であり、折り畳み機構の開閉状態を検出する開閉検出手段を備え、
前記指標生成段階は前記開閉検出手段による検出結果に基づいて前記指標を生成する
ことを特徴とする付記16に記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【0068】
(付記18)
前記携帯電話端末は、着信に応答しないときにユーザーが入力するための非応答時入力手段を備え、
前記指標生成段階は前記非応答時入力手段による入力がないときに前記指標を生成する
ことを特徴とする付記16に記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【0069】
(付記19)
前記判定手順は、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記15乃至18のいずれかに記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【0070】
(付記20)
前記判定手順は、測定距離の予め定められた時間変化を検出した後、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする付記15乃至18のいずれかに記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【0071】
(付記21)
前記部位A及び部位Bの組み合わせとして、耳とスピーカー開口部、及び、口とマイク開口部の少なくとも一方を含むことを特徴とする付記15乃至20のいずれかに記載の携帯電話端末の着信応答方法。
【符号の説明】
【0072】
1 折り畳み式携帯電話端末
2 携帯通信網
3 上部筐体
4 下部筐体
5 ヒンジ部
6 スピーカー
6a スピーカー開口部
7 近接センサ
8 表示部
9 無線部
10 開閉検出部
11 制御部
12 キー部
12a 音声通話開始キー
12b 音声通話終了キー
12c、12d ソフトキー
13 マイク
20 携帯電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサと、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する手段と
を備えることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを決定しない前記指標を生成する指標生成手段を更に備え、
前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
当該携帯電話端末は折り畳み式であり、
前記指標生成手段として、当該携帯電話端末の折り畳み機構の開閉状態を検出する開閉検出手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
着信に応答しないときにユーザーが入力するための非応答時入力手段を前記指標生成手段として備えることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話端末。
【請求項5】
前記判定は、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項6】
前記判定は、測定距離の予め定められた時間変化を検出した後、測定距離が閾値よりも短くなると着信に応答すると判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項7】
前記部位A及び部位Bの組み合わせとして、耳とスピーカー開口部、及び、口とマイク開口部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項8】
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する手順と、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定手順と
を前記携帯電話端末が備えるコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
着信に応答するか否かを定めるための副次的な指標であり、それ単体では着信に応答するか否かを決定しない前記指標を生成する指標生成手順を更に前記コンピュータに実行させ、
前記判定手順は、前記比較結果と前記指標との組み合わせに基づいて着信に応答するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るとき、ユーザーの頭部の部位Aに対向する当該携帯電話端末の部位Bの近傍に配置された近接センサにより距離を測定する段階と、
ユーザーが当該携帯電話端末を手に持って通話する姿勢を取るときにおける、前記部位Aと、前記部位B及び前記近接センサのいずれかとの間の距離に基づいて予め定められた閾値と、着信後に前記近接センサで測定した測定距離との比較結果に基づいて当該携帯電話端末への着信に応答するか否かを判定する判定段階と
を含むことを特徴とする携帯電話端末の着信応答方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156662(P2012−156662A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12506(P2011−12506)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】