説明

携帯電話端末、携帯電話端末のデータ保護方法、及びデータ保護プログラム

【課題】落下時に重要なデータを優先的に保護することが可能な携帯電話端末を提供する。
【解決手段】落下時にユーザデータを保護する携帯電話端末であって、ユーザデータを記憶する記憶部と、落下時に保護するべきユーザデータを記憶する外部メモリと、携帯電話端末の加速度を計測する加速度センサと、加速度に基づいて携帯電話端末の落下を検出すると、予め定められた優先順位に従って記憶部に記憶されたユーザデータを外部メモリへ移動する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ保護機能を有する携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末は、電話機としての機能以外に、様々な機能を備えるようになってきている。例えば、デジタルカメラや、スケジュール表や、住所録、あるいは電子メールといった機能である。これに伴って、携帯電話端末は、多様なデータを記憶するようになっている。ところで、携帯電話端末は、モバイル装置としての性質上、ユーザに持ち運ばれることが常である。そのため、ユーザの不注意等により、携帯電話端末が落下して故障する可能性がある。この落下時の衝撃により携帯電話端末が動作不能となった場合、携帯電話端末に格納されたデータを取り出すことは困難である。さらに、故障の度合いによっては、データを失うことにもなりかねない。
【0003】
特許文献1は、携帯電話のデータが壊れてしまう状態になった場合、ユーザの操作無く、最新の状態をバックアップする携帯電話を開示している。特許文献1の携帯電話は、検出手段と、保持手段と、制御手段とを備える。検出手段は、特定の状態を検出する。保持手段は、各種データをバックアップ用に記憶する。制御手段は、検出手段が特定の状態を検出した場合、データを保持手段に転送して記憶させる。特許文献1の携帯電話によれば、携帯電話内のデータが壊れるような予測できない事故の際も、検出手段でその特定の状態を検出することで、ユーザの操作が無くとも自動的に、さらに最新の状態を保持手段にバックアップすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−346566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、落下時に重要なデータを優先的に保護することが可能な携帯電話端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電話端末は、落下時にユーザデータを保護する携帯電話端末であって、ユーザデータを記憶する記憶部と、落下時に保護するべきユーザデータを記憶する外部メモリと、携帯電話端末の加速度を計測する加速度センサと、加速度に基づいて携帯電話端末の落下を検出すると、予め定められた優先順位に従って記憶部に記憶されたユーザデータを外部メモリへ移動する制御部とを備える。
【0007】
本発明の携帯電話端末のデータ保護方法は、落下時にユーザデータを保護する携帯電話端末において、ユーザデータを記憶部へ記憶するステップと、落下時に保護するべきユーザデータを外部メモリへ記憶するステップと、携帯電話端末の加速度を計測するステップと、加速度に基づいて携帯電話端末の落下を検出するステップと、携帯電話端末の落下を検出すると、予め定められた優先順位に従って外部メモリに記憶されたユーザデータを外部メモリへ移動するステップとを備える。
【0008】
本発明の携帯電話端末のデータ保護プログラムは、上述の携帯電話端末のデータ保護方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、落下時に重要なデータを優先的に保護することが可能な携帯電話端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における携帯電話端末10の構成を示す図である。
【図2】本実施形態における携帯電話端末10の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明による携帯電話端末を以下に説明する。
【0012】
[構成の説明]
はじめに、本実施形態における携帯電話端末10の構成の説明を行う。図1は、本実施形態における携帯電話端末10の構成を示す図である。
【0013】
携帯電話端末10は、図示されない移動体通信ネットワークに参加して、移動体通信ネットワークの備える無線基地局を介して、他の携帯電話端末10との音声通話や、インターネット上のWebサーバとのデータ通信を行うことが可能である。
【0014】
本実施形態の携帯電話端末10は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、送受信制御回路14と、送受信部15と、表示部16と、入力部17と、電源部18と、加速度センサ19と、外部メモリ装着部20と、外部メモリ21とを備える。
【0015】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)に例示される。表示部16は、制御部11と接続される。表示部16は、制御部11から出力されたデータを表示する。
【0016】
入力部17は、文字や数字を入力するためのキー入力装置に例示される。入力部17は、制御部11と接続される。入力部17は、ユーザとの入力インターフェースであり、ユーザからの入力を制御部11へ出力する。
【0017】
加速度センサ19は、携帯電話端末10の加速度を計測する。加速度センサ19は、制御部11と接続される。加速度センサ19は、計測された加速度情報を制御部11へ出力する。
【0018】
送受信部15は、電波送受信用のアンテナを備える。送受信部15は、送受信制御回路14と接続される。送受信部15は、携帯電話端末10の参加する移動体通信ネットワークの備える無線基地局からの電波を受信して、受信信号を送受信制御回路14へ出力し、また、送受信制御回路14から入力される送信信号を、無線基地局へ送信波として送信する。
【0019】
送受信制御回路14は、送受信信号に対して変復調等を含めた送受信処理を行う。送受信制御回路14は、送受信部15と制御部11とに接続される。送受信制御回路14は、送受信部15から入力される受信信号に対して復調等の受信処理を行うことにより受信データを取得して、受信データを制御部11へ出力する。また、送受信制御回路14は、制御部11から入力される送信データに対して変調等の送信処理を行うことにより送信信号を生成して、送信信号を送受信部15へ出力する。
【0020】
ROM12は、携帯電話端末10の機能を実現する処理用プログラムやユーザデータを記憶する。携帯電話端末10の記憶するユーザデータには、電話帳データや、電子メールデータ等を含む。ROM12は、制御部11と接続される。ROM12は、制御部11により、データの読み書きが行われる。
【0021】
RAM13は、制御部11によりROM12に記憶された処理用プログラムが実行される際に一時的にデータを格納する。RAM13は、制御部11と接続される。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)に例示される。制御部11は、ROM12に記憶された処理用プログラムを読み込んで実行することにより、携帯電話端末10の機能を実行する。
【0023】
外部メモリ装着部20は、外部メモリ21を装着可能である。外部メモリ装着部20は、制御部11と接続される。外部メモリ装着部20は、外部メモリ21と制御部11との間の接続インターフェースである。
【0024】
外部メモリ21は、メモリカードに例示されるフラッシュメモリ等を搭載した補助記憶装置である。外部メモリ21は、外部メモリ装着部20へ装着されて、ユーザデータを記憶する。本実施形態において、外部メモリ21は、携帯電話端末10の落下時に退避される、保護するべきユーザデータを記憶する。
【0025】
電源部18は、リチウムイオン電池に例示される。電源部18は、携帯電話端末10の各構成部位へ電源を供給する。
【0026】
以上が、本実施形態における携帯電話端末10の構成の説明である。なお、図1に示した携帯電話端末10の構成は、一例であり、これに限定しない。携帯電話端末10は、さらに多くの機能を搭載している場合がある。例えば、他の機能としては、デジタルカメラ機能や、ワンセグ放送受信機能等が存在する。この場合、携帯電話端末10は、これらの機能に対応する構成を備える。また、ROM12は、これらの機能に対応する処理用プログラムや、ユーザデータをさらに記憶する。
【0027】
[動作の説明]
次に、本実施形態における携帯電話端末10の動作の説明を行う。図2は、本実施形態における携帯電話端末10の動作フローである。なお、以下において、携帯電話端末10は、外部メモリ装着部20に外部メモリ21を装着しているものとして説明を行う。
【0028】
(ステップS1)
ROM12は、各種ユーザデータを記録する。携帯電話端末10は、ユーザにより使用されることで様々な機能が実行される。制御部11は、機能の実行に伴って、各種ユーザデータをROM12へ記録する。各種ユーザデータとは、電話帳データや、電子メールデータや、デジタルカメラ機能により撮影された写真データや、インターネットからダウンロードされた音楽データ等である。このようなROM12は、このようなユーザデータを記録する。
【0029】
(ステップS2)
ROM12は、外部メモリ21へ退避させて保護するべきユーザデータの優先順位を記録する。ここで、退避とは、制御部11がROM12に記憶されるユーザデータを外部メモリ21へ移動させることを示す。制御部11による移動は、ROM12から外部メモリ21へのユーザデータのコピーであっても良いし、ROM12にはユーザデータを残さずにユーザデータ外部メモリ21へ移してもよい。ユーザは、ROM12に記憶されたユーザデータのうちで、携帯電話端末10の落下を検知したときに、優先的に外部メモリ21へ退避させるべきユーザデータを決定する。携帯電話端末10が実際に落下した場合、携帯電話端末10が動作不能となる可能性のある落下による衝撃、あるいは水没等の影響を受けるまでの時間には限りがあるためである。予め優先順位を決定しておくことで、重要なユーザデータを優先的に退避させて、保護することができる。本実施形態においてこの決定方法は、制御部11が、優先的に退避させるべきユーザデータであることを示す優先フラグをROM12に記憶されたユーザデータに対して付与することにより行う。以下の説明では、ユーザにより優先フラグが付与されたユーザデータを優先的に外部メモリへ退避させることとして説明を行う。
【0030】
なお、外部メモリ21へ退避させるべきユーザデータの優先順位の決定方法は、上述の方法に限定しない。例えば、予め携帯電話端末10に設定されていても良い。これは、携帯電話端末10の製造者等によって予め処理用プログラムに優先順位が登録されることを意味する。つまり、優先順位を、電話帳データ>写真データ>その他のユーザデータ、といったように処理用プログラム上で予め決められており、制御部11は、この優先順位でユーザデータを退避させてもよい。あるいは、制御部11が、ユーザによる携帯電話端末10への操作に基づいて、ROM12へ記憶された各ユーザデータへのアクセス回数を記録しておき、アクセス回数の多いユーザデータを重要データとみなして優先順位を高く決定してもよい。
【0031】
また、制御部11は、優先順位を決定した段階で、外部メモリ21のデータ記憶容量をオーバーしているか否かを判定して、ユーザに対して表示部16を介して通知しても良い。例えば、制御部11は、優先するべき順番にデータを並べた場合に、どのユーザデータまで外部メモリ21へ退避させることができるのかを表示部16を介してユーザに通知する。これにより、ユーザは、優先フラグを付与したユーザデータが全て退避できないことを認識することができる。これは、前述した携帯電話端末10により優先順位が決定される場合にも有効である。ユーザデータの優先順位が、携帯電話端末10により決定された場合、どのユーザデータが退避される予定であるのかをユーザへ通知することができる。ユーザは、この通知に参考にして、より重要なユーザデータの優先順位を高くするように、ユーザデータの優先順位を指定しなおしても良い。なお、外部メモリ21へ退避させるべきユーザデータの優先順位の決定方法は、上述した優先順位の決定方法の組み合わせであってもよい。
【0032】
(ステップS3)
制御部11は、携帯電話端末10が落下しているか否かを判定する。加速度センサ19は、常時、携帯電話端末10の加速度を計測して、加速度情報として制御部11へ通知する。制御部11は、加速度センサ19から入力する加速度情報に含まれる加速度が、所定の閾値を超えているか否かを判定する。所定の閾値は、携帯電話端末10が自由落下をしている場合の加速度に対する閾値であり、多数の統計的なデータに基づいて決定される。制御部11により携帯電話端末10が落下していないと判定された場合、ステップS1に戻る。この場合、携帯電話端末10は、ユーザにより更にユーザデータの記録や削除等が行われ、また、新たに記憶されたユーザデータに対して優先フラグの付与等が行われる。一方、制御部11により、携帯電話端末10が落下していると判定された場合、ステップS4へ進む。
【0033】
(ステップS4)
制御部11は、ユーザデータを外部メモリ21へ退避させる。制御部11は、ステップS3の判定において、携帯電話端末10が落下していると判定した場合、ROM12に記憶されたユーザデータを、外部メモリ装着部20を介して外部メモリ21へ移動する。本実施形態では制御部11がROM12から取り外し可能な外部メモリ21へユーザデータを移動することによりユーザデータを退避させる。このとき制御部11は、ROM12に記憶されたユーザデータのうち、ステップS2で決定された優先順位の高いユーザデータから先に外部メモリ21へ移動する。本実施形態では、優先順位の高いユーザデータは、ROM12において優先フラグを記録されている。制御部11は、ROM12に記憶されたユーザデータのうち優先フラグの付与されているデータを優先順位が高いと判定して、優先フラグの付与されているユーザデータから先に外部メモリ21へ移動する。なお、優先順位が前述した他の方法により決定されている場合、制御部11は、その優先順位に従って優先順位を判定してユーザデータを外部メモリ21へ移動する。外部メモリ21は、制御部11から入力するユーザデータを記憶する。このようにすることで、落下後に仮に携帯電話端末10が故障したとしても、重要なユーザデータが外部メモリ21へ退避されて保護されているので、ユーザは、容易に重要なユーザデータを携帯電話端末10から取り出すことが可能となる。以上が、本実施形態における携帯電話端末10の動作の説明である。
【0034】
ここまで、本実施形態による携帯電話端末10を説明してきた。本実施形態の携帯電話端末10のROM12は、記録されているユーザデータのうちから、予め退避するべきユーザデータの優先順位を記録している。そして、制御部11は、携帯電話端末10が自由落下を検知した場合、優先順位に従って退避させる。そのため、たとえ、落下による衝撃や水没の影響を携帯電話端末10が受けるまで短い時間しかないとしても、重要なユーザデータを優先的に外部メモリ21へ退避して保護することができる。
【0035】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 携帯電話端末
11 制御部
12 ROM
13 RAM
14 送受信制御回路
15 送受信部
16 表示部
17 入力部
18 電源部
19 加速度センサ
20 外部メモリ装着部
21 外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下時にユーザデータを保護する携帯電話端末であって、
前記ユーザデータを記憶する記憶部と、
前記落下時に保護するべき前記ユーザデータを記憶する外部メモリと、
前記携帯電話端末の加速度を計測する加速度センサと、
前記加速度に基づいて前記携帯電話端末の落下を検出すると、予め定められた優先順位に従って前記記憶部に記憶された前記ユーザデータを前記外部メモリへ移動する制御部と
を備える携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話端末であって、
前記記憶部は、優先するべき前記ユーザデータに対応させて優先フラグを記憶しており、
前記制御部は、予め優先フラグを付与された前記ユーザデータを優先順位が高いと判定する
携帯電話端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯電話端末であって、
前記制御部は、前記ユーザデータへのアクセス回数をカウントして、前記アクセス回数の多い前記ユーザデータを前記優先順位が高いと判定する
携帯電話端末。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の携帯電話端末であって、
情報を表示する表示部をされに備え、
前記制御部は、前記優先順位の順番に前記ユーザデータを並べた場合に、どの前記ユーザデータまで前記外部メモリへ記録させることができるかを前記表示部へ表示する
携帯電話端末。
【請求項5】
落下時にユーザデータを保護する携帯電話端末において、
前記ユーザデータを記憶部へ記憶するステップと、
前記落下時に保護するべき前記ユーザデータを外部メモリへ記憶するステップと、
前記携帯電話端末の加速度を計測するステップと、
前記加速度に基づいて前記携帯電話端末の落下を検出するステップと、
前記携帯電話端末の落下を検出すると、予め定められた優先順位に従って前記記憶部に記憶された前記ユーザデータを前記外部メモリへ移動するステップと
を備える携帯電話端末のデータ保護方法。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯電話端末のデータ保護方法であって、
優先するべき前記ユーザデータに対応させて優先フラグを記憶部へ記憶するステップ
をさらに備え、
前記移動するステップは、
予め優先フラグを付与された前記ユーザデータを優先順位が高いと判定するステップ
を含む携帯電話端末のデータ保護方法。
【請求項7】
請求項5に記載の携帯電話端末のデータ保護方法であって、
前記ユーザデータへのアクセス回数をカウントするステップ
をさらに備え、
前記移動するステップは、
前記アクセス回数の多い前記ユーザデータを前記優先順位が高いと判定するステップ
を含む携帯電話端末のデータ保護方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれかに記載の携帯電話端末のデータ保護方法であって、
前記優先順位の順番に前記ユーザデータを並べた場合に、どの前記ユーザデータまで前記外部メモリへ記録させることができるかを前記表示部へ表示するステップ
をさらに備える携帯電話端末のデータ保護方法。
【請求項9】
請求項5から請求項8までのいずれかに記載の携帯電話端末のデータ保護方法をコンピュータに実行させる携帯電話端末のデータ保護プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−109367(P2011−109367A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261687(P2009−261687)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】