摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法
【課題】ツール寿命が向上され、製造の手間や製造コストを抑えることができる摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法を提供する。
【解決手段】金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材W1,W2を軟化させて加工するための摩擦加工用ツール20であって、円柱状のツール本体21を備え、被加工材W1,W2に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されている。摩擦加工用ツール20の材質は、Ni基2重複相金属間化合物合金からなる。
【解決手段】金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材W1,W2を軟化させて加工するための摩擦加工用ツール20であって、円柱状のツール本体21を備え、被加工材W1,W2に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されている。摩擦加工用ツール20の材質は、Ni基2重複相金属間化合物合金からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金属材料の被加工材同士を突き合せて摩擦熱により軟化させて接合するために用いられる摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加工法として、摩擦攪拌接合(FSW)が知られている。摩擦攪拌接合は、金属材料の被加工材同士を突き合せて形成される接合線に沿って円柱状のツールを回転させながら押し当て、接合方向に相対移動させることにより、発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて接合する方法である。また、上記ツールを用いて、被加工材表面の強度及び硬さ等を向上させる摩擦攪拌改質(FSP)や、被加工材を点接合する摩擦点接合(FSJ)も行われ、これらと上記摩擦攪拌接合とを総称して摩擦攪拌加工と称される。
【0003】
上記摩擦攪拌加工用ツールは、円柱状のツール本体と、ツール本体の先端面に形成されるショルダ面と、ショルダ面の中央に突設するプローブとを備える。そして、摩擦攪拌加工用ツールは、被加工材よりも硬さ、融点、耐摩耗性等の物性の高い材料が要求され、アルミニウム材等の低融点材料の被加工材の接合にはSKD鋼等の工具鋼が主に使用されている。一方、ステンレス等の鉄系材料の被加工材を接合する場合には、セラミックス製や超硬合金製の摩擦攪拌加工用ツールが使用されている。しかし、セラミックス製の摩擦攪拌加工用ツールは破損しやすく、超硬合金製の摩擦攪拌加工用ツールは短時間で摩耗が生じやすい等の問題がある。そこで、摩擦攪拌加工用ツールの材質として高強度で優れた高温特性を有するNi基2重複相金属間化合物合金からなるものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−255170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記摩擦攪拌加工用ツールのプローブは、被加工材同士を接合する場合に軟化した金属材料をプローブの長さ方向に流動させ、接合強度を向上させることを意図して設けられているが、プローブの加工を必要とするためツールの形状が複雑になり、製作コストが高く、また、プローブが破損すると、その摩擦攪拌加工用ツールはそれ以上使用できなくなる。また、上記プローブ深さによっては、薄板同士を接合させるFSWを行う場合に接合部に開口等の欠陥を起こし易くなる等のおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、ツール寿命が向上され、製造の手間や製造コストを抑えることができる摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る摩擦加工用ツールは、
金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて加工するための摩擦加工用ツールであって、
円柱状のツール本体を備え、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている。
【0008】
これにより、ショルダ面には摩耗等し易いプローブが設けられていないので、摩擦加工用ツールの寿命が向上される。また、ショルダ面にプローブを形成する必要がないので、摩擦加工用ツールを製造する手間や製造コストを抑えることができる。また、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されていることにより、被加工材を摩擦熱により軟化させて主にショルダ面の径方向に塑性変形ないし流動させて加工することができる。なお、このような加工原理によるツールを摩擦加工用ツールと呼ぶ。
【0009】
上記摩擦加工用ツールの材質は、Ni基2重複相金属間化合物合金であるのが好ましい。
この場合、摩擦加工用ツールは、耐熱及び耐摩耗性に優れるものとなる。従って、本摩擦加工用ツールは、被加工材の加工時に摩擦熱による高温下でも必要な硬さを発揮し、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材に対しても良好な接合等を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る摩擦加工装置は、
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて、加工方向に相対移動させる加工機構を備える摩擦加工装置であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15であり、
加工機構は、ツール送り速度が500〜900mm/minに設定されている。
なお、上記の摩擦接合用ツール及び加工機構の条件は、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板に対する設定とするのが望ましい。
【0011】
これにより、上記摩擦加工用ツールの作用効果に加え、プローブが無い摩擦加工用ツールによりステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材の薄板に対しても良好な接合等を行うことができる。
【0012】
上記摩擦加工装置において、
摩擦加工により摩耗等した摩擦加工用ツールにおけるショルダ面のみで形成する先端面を砥石により研削するツール再生機構を備え、
ツール再生機構は、上記摩擦加工用ツールを回転させながら砥石を回転させてツール本体のショルダ面を研削するように制御し、上記摩擦加工用ツールの回転トルクを検出するトルク検出手段の出力値が所定の設定値に達すると再生停止するように制御する制御手段を備えるのが望ましい。
【0013】
ショルダ面が摩耗することにより、ショルダ面と被加工材の接触状態が不安定になり良好な接合状態を得ることができなくなる。これに対して、上記ツール再生機構によれば、摩擦加工用ツールのショルダ面が摩耗等しても、ツール再生機構によりショルダ面を平面状態に復元して再生することができる。従って、摩耗等した摩擦加工用ツールを再生により再使用することができるので、摩擦加工用ツールの寿命が更に向上され、ツール交換頻度を少なくすることができる。特に、本摩擦加工用ツールにはプローブが無いので、上記ツール再生機構における砥石の構造も簡素に形成でき、再生が容易となる。
【0014】
また、ツール再生時に摩擦加工用ツールの回転トルクをトルク検出部により検出して、例えばショルダ面が滑らかな平面になった時の回転トルクの値を設定値とし、回転トルクがこの設定値になった時に再生停止することで、時間の無駄がなく、削りすぎることもなく良好なツール再生を行なうことができる。
【0015】
一方、本発明に係る摩擦加工方法は、
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて加工方向に相対移動させることにより、摩擦熱により被加工材を軟化させて加工する摩擦加工方法であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15のものを用いて被加工材を加工する。
これにより、上述した摩擦加工用ツール、摩擦加工装置と同様の作用効果が発揮される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、摩擦加工用ツールのツール寿命が向上され、製造の手間や製造コストを抑えることができる。しかも、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料等からなる被加工材の薄板等に対しても良好な接合等を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態による摩擦加工用ツールを示す図であり、同図(A)はツールの斜視図であり、同図(B)はその側面図である。
【図2】摩擦攪拌接合装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】摩擦攪拌接合装置のツール再生機構としてのツール研削装置の部分を拡大した断面図である。
【図4】ワーク加工操作位置とツール再生操作位置との関係を示す模式図である。
【図5】実施例1の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図6】実施例2の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図7】実施例3の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図8】実施例4の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図9】実施例5の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図10】実施例6の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図11】実施例7の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図12】実施例8の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図13】実施例9の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図14】実施例10の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図15】実施例11の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図16】実施例12の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図17】実施例13の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図18】参考例の摩擦攪拌接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(摩擦加工用ツール)
摩擦加工用ツールは、金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて、主にショルダ面の径方向に塑性変形ないし流動させて加工するためのツールである。摩擦加工用ツール(以下、適宜「ツール」と呼ぶ。)は、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、円柱状のツール本体を備え、被加工材に当接させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている。なお、ツールは、背景技術で述べた摩擦攪拌接合(FSW)、摩擦攪拌改質(FSP)、摩擦点接合(FSJ)等に用いる場合を摩擦攪拌加工用ツールと呼ぶことができる。
【0019】
すなわち、図1に示すように、ツール20は、円柱状のツール本体21と、ツール本体21の基端側にフランジ23を介して形成する六角柱状の取付部24とを有する。この取付部24を摩擦加工装置のツールホルダー3に着脱自在に固定して、ツール本体21を被加工材に押し当てる。このツール20は、被加工材に押し当てるツール本体21の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されており、ショルダ面22には従来のような突起状のプローブが無い。従って、平坦なショルダ面22は、被加工材として例えば板材同士の端部を突き合せた接合線上に対して回転させながら圧接させて摩擦接合を行なう。なお、ショルダ面22は、その母線がツール本体21の軸線に垂直な平面のみならず、母線がやや凸又はやや凹の曲面となっていてもよい。そして、ツール20のショルダ径(ショルダ面22の直径)は、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15となるように設定される。例えば、薄板の板厚が1.5mm以下である場合、ツールのショルダ径は、8〜14mmに設定される。
【0020】
ツール20は、被加工材がアルミニウム合金等に比べて高融点材料の鉄系合金等であっても確実に接合を行なえるようにするために、Ni基2重複相金属間化合物合金により形成される。このNi基2重複相金属間化合物合金として、Ni基2重複相金属間化合物を有する合金であれば、限定されない。
【0021】
Ni基2重複相金属間化合物合金として、例えば、Ni3Al(L12)−Ni3Ti(D024)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金(国際公開WO2006/1011212号パンフレットを参照)や、Ni3Al(L12)−Ni3Nb(D0a)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金(国際公開WO2007/086185号パンフレットを参照)などが知られている。
【0022】
上記Ni3Al(L12)−Ni3Ti(D024)−Ni3V(D022)系相金属間化合物合金として、具体的には、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Ti:0原子%以上で3.5原子%以下、B:0重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなり、かつ初析L12相と(L12+D022)共析組織との2重複相組織を有するNi3Al基金属間化合物が挙げられる。
【0023】
この金属間化合物は、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Ti:0原子%以上で3.5原子%以下、B:0重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなる合金材に対して、初析L12相とAl相とが共存する温度で第1熱処理を行い、その後L12相とD022相とが共存する温度に冷却するか、当該L12相とD022相とが共存する温度で第2熱処理を行うことによって、Al相を(L12+D022)共析組織に変化させて2重複相組織を形成する工程を備える方法によって製造することができる。もしくは、上記組成の合金を高温のA1単相領域から徐冷することによって2重複相組織を形成する工程を備える方法によっても製造することができる。
【0024】
また、上記Ni3Al(L12)−Ni3Nb(D0a)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金として、具体的には、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Nb:0原子%以上で5原子%以下、B:50重量ppm以上1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなり、初析L12相と(L12+D022)共析組織との2重複相組織を有するNi3Al基金属間化合物が挙げられる。
【0025】
この金属間化合物は、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Nb:0原子%以上で5原子%以下、B:50重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなる合金材に対して、初析L12相とAl相とが共存する温度、又は初析L12相とAl相とD0aが共存する温度で第1熱処理を行い、その後、L12相とD022相とが共存する温度に冷却するか、その温度で第2熱処理を行うことによって、Al相を(L12+D022)共析組織に変化させて2重複相組織を形成する工程によって製造することができる。もしくは、上記組成の合金を高温のA1単相領域から徐冷することによって2重複相組織を形成する工程を備える方法によっても製造することができる。
【0026】
そして、ツール20の材質には、Niを主成分とし且つAl:2〜9原子%、V:10〜17原子%、Ta及び/又はW:0.5〜8原子%、Nb:0〜6原子%、Co:0〜6原子%、Cr:0〜6原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してB:10〜1000重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金が、耐熱及び耐摩耗性に優れる点で好ましい。なお、本明細書において、上記「〜」は、上限値、下限値をそれぞれ含む。
Ta及び/又はWが0.5〜8原子%含むことにより硬さの向上効果が得られる。
Nb、Co、Crは、任意成分であるが、Nbは、2重複相組織の強度向上のために添加され、また、Co、Crは、耐酸化性向上のために添加される。
Bは、得られる合金の延性向上のために添加される。
また、初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有することにより、金属間化合物合金は引張強度などの機械的特性や耐クリープ特性に優れるものとなる。
【0027】
また、ツール20の材質には、Niを主成分とし且つAl:5.5〜13原子%、V:10〜17原子%、Nb:0〜6原子%、Ti:0〜6原子%、Co:0〜6原子%、Cr:0〜6原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してB:10〜1000重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金も、上記のものと同様に、耐熱及び耐摩耗性に優れる点で好ましい。
【0028】
ツール20の製造は、溶解・鋳造法、鋳造材を熱間鍛造等の塑性加工、粉末冶金法等にて賦形してもよい。例えば、Ni基2重複相金属間化合物合金のツールの製造は、種々の製造方法にて行うことができ、所定の組成になるように所定の元素の地金(それぞれ純度99.9重量%以上)とBを秤量したものを真空誘導溶解法やアーク溶解法等によって溶解、鋳造することによって鋳塊を作製する。この鋳塊から放電加工、切削加工、研削加工、研磨加工等を適宜用いて所定の形状に加工することによりツールを製造する。
【0029】
以上のツール20によれば、被加工材に接触させるツール本体21の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されていることにより、被加工材を摩擦熱により軟化させて主にショルダ面22の径方向に塑性変形ないし流動させて加工することができる。ツール20のショルダ面22が平坦に形成されており、ショルダ面22には摩耗、破損等し易いプローブが設けられていないので、ツール20の寿命が向上される。また、ショルダ面22にプローブを形成する必要がないので、ツール20を製造する手間や製造コストを抑えることができる。さらに、ツール20がNi基2重複相金属間化合物合金からなるので、耐熱及び耐摩耗性に優れる。従って、本摩擦加工用ツール20は、被加工材の加工時に摩擦熱による高温下でも必要な硬さ(例えば、800℃ではビッカース硬さが400以上)を発揮し、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材に対しても良好な接合等を行うことができる。特に、被加工材として板厚が1.5mm以下の薄板の突き合わせを接合するのに好適である。また、ツール20のショルダ面22はプローブが無く平坦に形成されるので、後述するツール再生機構5においても、摩耗等したツール20のショルダ面22を研削する砥石51の外周面形状も平坦面とすることができ、製造容易な簡単な形状にすることができる。
【0030】
(摩擦加工装置)
次に、摩擦加工装置の一実施形態として、被加工材となる板材(ワーク)の端面を突き合わせて摩擦接合するための摩擦攪拌接合装置を説明する。図2に示すように、摩擦攪拌接合装置1は、ワークW1,W2を配置するための基台7上に、ワークW1,W2に対して摩擦接合を行う加工機構2を備える。
【0031】
基台7上には、2枚の平板状のワークW1及びワークW2が配される裏当て冶具4が設けられ、裏当て冶具4の上に配置されたワークW1及びワークW2は、裏当て冶具4に設けたワーク押さえ6によりワークW1及びワークW2を突き合せた接合線Lが裏当て冶具4の中央に位置するように固定される。裏当て冶具4は、ワークW1,W2が鉄系合金等の高融点材料の場合には窒化珪素などのセラミックス等が使用されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、裏当て冶具4は、熱伝導率の小さい材料で形成される平板部材や棒状部材等で構成してもよい。
【0032】
加工機構2は、ツール20を保持するツール保持部30と、ツール20を回転させる回転用モータ23と、ツール保持部30を昇降させる昇降用モータ85と、ツール保持部30を横方向に移動させる直動機構84とを備える。ツール保持部30は、下部にツール20を着脱自在に取り付けるツールホルダー3を備える。ツールホルダー3は、ツール回転用モータ32と連結されており、このツール回転用モータ32の駆動によりツールホルダー3とともにツール20が回転される。ツール保持部30は、スライダー80に対して昇降自在に取り付けられており、スライダー80に設ける昇降用モータ85によって基台7に対して上下に移動自在にされ、これにより、ワークW1,W2に対するツール高さが調節される。また、ツール保持部30は、スライダー80に対して回動自在に取り付けられ、ツール20を所定の前進角θ(図4参照)に設定できるようになっている。スライダー80は、一対のガイドレール81、ボールネジ82及び送り用モータ83を備える直動機構84における一対のガイドレール81、ボールネジ82に取り付けられており、送り用モータ83の駆動により基台7に平行に移動自在となっている。
【0033】
そして、ワークW1,W2を接合する際、高速回転(例えば、500rpm〜2000rpm程度)させたツール20を、ワークW1及びワークW2の接合線Lの一端に押し付ける。すると、発生する摩擦熱により接合線L周辺のワークW1,W2が軟化する。そして、ツール20を接合線Lの他端に向かって移動させると、回転による摩擦熱で接合線L周辺のワークW1,W2が連続的に軟化して主にショルダ面22の径方向に塑性変形ないし流動して、ワークW1,W2の接合線L付近が摩擦接合される。
【0034】
本実施形態では、プローブを有しないツール20の平坦なショルダ面22を板材の突き合せ部である接合線L上の表面に圧接させるだけで摩擦接合を行なうため、接合する板材の裏面まで摩擦熱を十分到達させる必要があり、被加工材となる板材が薄板であるこことが好ましい。従って、被加工材としての板材(ワークW1,W2)が鉄系材料からなる薄板であって、板厚が1.5mm以下のものを接合するのに好適に使用される。なお、薄板の板厚が1.5mmを超えても、薄板の裏面に配置する裏当て冶具4として、薄板の裏面側からの放熱を遮断できる熱伝導率の小さい材質(例えば、Si3N4)とすることにより良好な接合を行うことが可能である。この裏当て冶具4は、熱伝導率が小さいほど、薄板に当接されているツール20のショルダ面22からの薄板の軟化する深さが増加し、その結果、良好な接合が得られる。
【0035】
そして、この摩擦攪拌接合装置1に用いられるツール20は、被加工材としての薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5以上15以下の範囲となる大きさに設定されるのが好ましい。さらに、摩擦攪拌接合装置での摩擦接合条件は、ツール20の送り速度が500mm/min以上900mm/min以下で加工を行なうように設定されるのが好ましい。また、ツール20の回転数は、ツールが被加工材に圧接されたとき、摩擦熱により約800〜約1000℃程度に発熱する回転数とすることができる。例えば、ツール20の回転数は、700rpm以上1800rpm以下の範囲に設定されるのが好ましい。さらに、ツール20の前進角θ(図4参照)は、例えば、2度以上5度以下の範囲で設定されるのが好ましい。
【0036】
以上の条件設定により、プローブが無い摩擦加工用ツール20により、被加工材としてステンレスなどの鉄系材料からなる薄板(W1,W2)の突き合わせ部に対しても良好な接合を行うことができる。また、ツール20は、従来のように被加工材の突合せ部の端面間にプローブを挿入する必要がないので、ツール20の深さ方向の位置を高い精度で制御する必要がなくなる。
【0037】
(ツール再生機構)
また、摩擦攪拌接合装置1は、ツール20を再生させるツール再生機構としてのツール研削装置5を備えている。ツール研削装置5は、被加工材の加工により摩耗等したツール20のショルダ面22を研削して元の平面形状に復元し再生するためのものであり、裏当て冶具4に隣接して基台7上の一方側に配置されている(図2参照)。そして、図3に示すように、ツール研削装置5は、円板状の砥石支持板52の外周に形成した砥石51と、砥石支持板52に取り付けられた回転軸58に接続されて砥石51を回転させる砥石回転用モータ53とを備える。砥石51としては、ツール20の研削が円滑に行えるようにダイヤモンド砥石等を使用することが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、ボラゾンのような立方晶窒化ホウ素(CBN)等によるものでも良い。また、砥石51は、ツール20及び砥石51から発生する研削クズ等が外部に飛散されないようにするため、カバー54により覆われており、このカバー54には、ツール20を配置させるツール挿入口56が上面に設けられるとともに、研削クズ等を排出させる排出口57が下面に設けられている。
【0038】
そして、図3を参照して、ツール20の再生の際は、摩耗等したツール20を回転させながらツール研削装置5の上方に移動させて先端のショルダ面22を、回転している砥石51に当接させて研削する。これにより、ツール20のショルダ面22が元の平坦な状態に再生される。
【0039】
また、図4を参照して、ワークW1,W2の接合線Lが伸びる方向と砥石51の回転方向が一致するようにツール研削装置5を基台7上に配設することにより、ツール20に前進角θを保持させた状態のままでも砥石51により研削できるので、ツール20の再生操作を容易にすることができる。
【0040】
上記再生操作の際、砥石51の周速は、CBN(立法晶窒化硼素)やダイヤモンド砥石の場合は5〜80m/sec程度に設定されるが、これらには限られない。これにより、ツール20を回転させながら砥石51を回転させて研削するに際して、ツール20を欠損等させることなく円滑に研削することができる。また、この再生時のツール20の回転数は、砥石51の種類や砥石51の周速等を考慮して研削に最適な回転数が設定される。通常は、比較的遅い回転数とされ、例えば、ツール20の回転数は、100rpm前後程度に設定されるのが好ましいが、これに限定されない。
【0041】
なお、このツール20の研削時には、砥石51周辺に冷風及び/又はミストを供給するようにしてもよい。これにより、ツール研削時に冷風及びミストを供給することで、砥石51の研削面の粗さを細かくし、滑らかに且つ効率的にツール20を研削することができる。
【0042】
以上の再生操作により、ツール20のショルダ面22が摩耗等しても、ツール研削装置5によりショルダ面22を平面状態に復元して再生することができる。従って、摩耗等したツール20を再生により再使用することができるので、ツール20の寿命が更に向上され、ツール交換頻度を少なくすることができる。特に、本摩擦加工用ツール20にはプローブが無いので、砥石51の構造も簡素に形成でき、再生が容易となる。
【0043】
さらに、ツール20を回転させるツール回転用モータ32には、図示していないが、ツール20の回転トルクを検出するトルク検出部(図示せず)が接続されており、このトルク検出部は、ツール20を砥石51により研削している際中もツール20の回転トルクを検出するようになっている。そして、ツール研削中にトルク検出部で検出した回転トルクが所定の設定値に達すると研削加工を停止するように制御する制御手段(図示せず)が摩擦攪拌接合装置1に設けられている。研削加工を停止する回転トルクとしての設定値は、ツール20のショルダ面22が摩擦接合により摩耗等して平面平滑性が無くなった状態で研削されている時の回転トルクよりも研削により平滑になった時の回転トルクが小さくなるので、回転トルクが減少して所定時間一定値を維持すると研削加工を停止するようになっている。
【0044】
これにより、ツール再生時にツール20の回転トルクをトルク検出部により検出して、例えばショルダ面22が滑らかな平面になった時の回転トルクの値を設定値とし、回転トルクがこの設定値になった時に再生停止することで、時間の無駄がなく、削りすぎることもなく良好なツール再生を行なうことができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されず、本発明の範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、上記トルク検出部は、ツール回転用モータ32の回転トルクを検出するが、砥石回転用モータ53の回転トルクを検出するようにしてもよい。
【実施例】
【0046】
摩擦加工用ツールとして、プローブの無いものでも良好な摩擦接合が行えることを確かめるため、以下の実施例を行った。
【0047】
(実施例1)
摩擦加工用ツールは、ショルダ径が10mmで、図1に示すようにショルダ面が平坦な平面に形成されてプローブを有しないものを用い、図2に示した摩擦攪拌接合装置により、板厚が1.0mmのSUS430からなる2枚の薄板(被加工材)を突き合わせて摩擦接合を行った。
摩擦加工用ツールの材質は、Niが75原子%、Alが7原子%、Vが13原子%、Taが5原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してBが50重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金である。
薄板の裏当て冶具は、図2に示す摩擦攪拌接合装置では、板状のものを使用するが、実施例1では、窒化珪素(Si3N4)製からなり、30×30mm角、長さ100mmの角材を接合方向に3本並べて使用した。
摩擦接合条件は、ツールを、前進角3度、ツール回転数1500rpmで回転させながら上記被加工材としての2枚の薄板の接合線上に押し付け、摩擦熱によりツールがオレンジ色に発光した後、ツール送り速度900mm/minで直線状に250mm移動させるように設定し、2枚の薄板を突き合わせた接合線を摩擦接合した。なお、加工時のツールへの負荷は約0.7tonに設定した。
そして、接合後、薄板の接合部における施工状態は図5の写真に示す。
【0048】
(引張試験)
次いで、上記薄板の突き合せ接合した接合部の強度を調べるために、接合部の接合方向に対して直交する向きに切り出して試験片を作製し、JISZ 2241「金属材料引張試験方法」に準じて引張試験を行った。試験片は、JISZ 2201 5号試験片の形状に準じ、幅25mm、平行部長さ50mmとした。また、測定時のクロスヘッド速度は20mm/minとした。
【0049】
(実施例2)
実施例3では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用いた以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例2について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図6の写真に示す。
【0050】
(実施例3)
実施例3では、摩擦加工用ツールはショルダ径が14mmとしたものを用い、また、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例3について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図7の写真に示す。
【0051】
(実施例4)
実施例4では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用い、また、被加工材としての薄板は板厚が0.8mmのものとし、さらに、摩擦接合条件はツール送り速度550mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例4について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図8の写真に示す。
【0052】
(実施例5)
実施例5では、摩擦接合条件はツール送り速度650mm/minとしたこと以外は、実施例4と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例5について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図9の写真に示す。
【0053】
(実施例6)
実施例6では、摩擦加工用ツールはショルダ径が8mmとしたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例7について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図10の写真に示す。
【0054】
(実施例7)
実施例7では、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例7について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図11の写真に示す。
【0055】
(実施例8)
実施例9では、摩擦接合条件はツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例9について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図12の写真に示す。
【0056】
(実施例9)
実施例9では、被加工材としての薄板は板厚が1.5mmのものとし、また、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例9について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図13の写真に示す。
【0057】
(実施例10)
実施例10では、摩擦接合条件はツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例9と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例10について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図14の写真に示す。
【0058】
(実施例11)
実施例11では、摩擦接合条件はツール回転数が1000rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例11について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図15の写真に示す。
【0059】
(実施例12)
実施例12では、摩擦加工用ツールはショルダ径が14mmとしたものを用い、摩擦接合条件はツール回転数が900rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例12について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図16の写真に示す。
【0060】
(実施例13)
実施例13では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用い、摩擦接合条件はツール回転数が800rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例13について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図17の写真に示す。
【0061】
(参考例)
参考例では、摩擦加工用ツールは、ショルダ径を12mmとし、ショルダ面の中央に半径2mm、高さ0.73mmの球面状に突出したプローブを設けたものを用い、また、摩擦攪拌接合条件はツール回転数を1400rpmとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦攪拌接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、参考例について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図18の写真に示す。
【0062】
以上の各実施例、参考例の条件及び結果を表1に示す。
【表1】
【0063】
表1より、各実施例において、SUS430の薄板(板厚0.8〜1.5mm)の摩擦接合した接合部の施工状態は、外観上、いずれも良好であった。このことから、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、プローブを有しないツールを用いた各実施例であっても、同材質のプローブを有するツールを用いた参考例と同様に、薄板の接合部は良好な仕上り状態が得られた。
【0064】
また、引張強度についても、各実施例は、492〜567N/mm2の範囲に有り、参考例の535N/mm2と比較しても、見劣りしない程度の良好な接合力が得られた。なお、実施例で示した上記引張試験と同条件で測定したSUS430母材の引張強度は、n=3の平均が519N/mm2であったことから、上記各実施例の引張強度は、SUS430母材と比較しても見劣りしない十分な強度が得られていることが判った。
【0065】
以上より、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、プローブを有しないツールを用いても、従来のようなプローブを有するツールを用いた場合とほとんど変わりない品質で、SUS430の薄板の摩擦接合を行うことができた。
【符号の説明】
【0066】
1 摩擦攪拌接合装置(摩擦加工装置)
2 加工機構
5 ツール再生機構(ツール研削装置)
20 摩擦加工用ツール
21 ツール本体
22 ショルダ面
51 砥石
L 接合線
W1,W2 ワーク(被加工材)
θ 前進角
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金属材料の被加工材同士を突き合せて摩擦熱により軟化させて接合するために用いられる摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加工法として、摩擦攪拌接合(FSW)が知られている。摩擦攪拌接合は、金属材料の被加工材同士を突き合せて形成される接合線に沿って円柱状のツールを回転させながら押し当て、接合方向に相対移動させることにより、発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて接合する方法である。また、上記ツールを用いて、被加工材表面の強度及び硬さ等を向上させる摩擦攪拌改質(FSP)や、被加工材を点接合する摩擦点接合(FSJ)も行われ、これらと上記摩擦攪拌接合とを総称して摩擦攪拌加工と称される。
【0003】
上記摩擦攪拌加工用ツールは、円柱状のツール本体と、ツール本体の先端面に形成されるショルダ面と、ショルダ面の中央に突設するプローブとを備える。そして、摩擦攪拌加工用ツールは、被加工材よりも硬さ、融点、耐摩耗性等の物性の高い材料が要求され、アルミニウム材等の低融点材料の被加工材の接合にはSKD鋼等の工具鋼が主に使用されている。一方、ステンレス等の鉄系材料の被加工材を接合する場合には、セラミックス製や超硬合金製の摩擦攪拌加工用ツールが使用されている。しかし、セラミックス製の摩擦攪拌加工用ツールは破損しやすく、超硬合金製の摩擦攪拌加工用ツールは短時間で摩耗が生じやすい等の問題がある。そこで、摩擦攪拌加工用ツールの材質として高強度で優れた高温特性を有するNi基2重複相金属間化合物合金からなるものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−255170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記摩擦攪拌加工用ツールのプローブは、被加工材同士を接合する場合に軟化した金属材料をプローブの長さ方向に流動させ、接合強度を向上させることを意図して設けられているが、プローブの加工を必要とするためツールの形状が複雑になり、製作コストが高く、また、プローブが破損すると、その摩擦攪拌加工用ツールはそれ以上使用できなくなる。また、上記プローブ深さによっては、薄板同士を接合させるFSWを行う場合に接合部に開口等の欠陥を起こし易くなる等のおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、ツール寿命が向上され、製造の手間や製造コストを抑えることができる摩擦加工用ツール、これを用いた摩擦加工装置及び摩擦加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る摩擦加工用ツールは、
金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて加工するための摩擦加工用ツールであって、
円柱状のツール本体を備え、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている。
【0008】
これにより、ショルダ面には摩耗等し易いプローブが設けられていないので、摩擦加工用ツールの寿命が向上される。また、ショルダ面にプローブを形成する必要がないので、摩擦加工用ツールを製造する手間や製造コストを抑えることができる。また、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されていることにより、被加工材を摩擦熱により軟化させて主にショルダ面の径方向に塑性変形ないし流動させて加工することができる。なお、このような加工原理によるツールを摩擦加工用ツールと呼ぶ。
【0009】
上記摩擦加工用ツールの材質は、Ni基2重複相金属間化合物合金であるのが好ましい。
この場合、摩擦加工用ツールは、耐熱及び耐摩耗性に優れるものとなる。従って、本摩擦加工用ツールは、被加工材の加工時に摩擦熱による高温下でも必要な硬さを発揮し、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材に対しても良好な接合等を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る摩擦加工装置は、
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて、加工方向に相対移動させる加工機構を備える摩擦加工装置であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15であり、
加工機構は、ツール送り速度が500〜900mm/minに設定されている。
なお、上記の摩擦接合用ツール及び加工機構の条件は、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板に対する設定とするのが望ましい。
【0011】
これにより、上記摩擦加工用ツールの作用効果に加え、プローブが無い摩擦加工用ツールによりステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材の薄板に対しても良好な接合等を行うことができる。
【0012】
上記摩擦加工装置において、
摩擦加工により摩耗等した摩擦加工用ツールにおけるショルダ面のみで形成する先端面を砥石により研削するツール再生機構を備え、
ツール再生機構は、上記摩擦加工用ツールを回転させながら砥石を回転させてツール本体のショルダ面を研削するように制御し、上記摩擦加工用ツールの回転トルクを検出するトルク検出手段の出力値が所定の設定値に達すると再生停止するように制御する制御手段を備えるのが望ましい。
【0013】
ショルダ面が摩耗することにより、ショルダ面と被加工材の接触状態が不安定になり良好な接合状態を得ることができなくなる。これに対して、上記ツール再生機構によれば、摩擦加工用ツールのショルダ面が摩耗等しても、ツール再生機構によりショルダ面を平面状態に復元して再生することができる。従って、摩耗等した摩擦加工用ツールを再生により再使用することができるので、摩擦加工用ツールの寿命が更に向上され、ツール交換頻度を少なくすることができる。特に、本摩擦加工用ツールにはプローブが無いので、上記ツール再生機構における砥石の構造も簡素に形成でき、再生が容易となる。
【0014】
また、ツール再生時に摩擦加工用ツールの回転トルクをトルク検出部により検出して、例えばショルダ面が滑らかな平面になった時の回転トルクの値を設定値とし、回転トルクがこの設定値になった時に再生停止することで、時間の無駄がなく、削りすぎることもなく良好なツール再生を行なうことができる。
【0015】
一方、本発明に係る摩擦加工方法は、
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて加工方向に相対移動させることにより、摩擦熱により被加工材を軟化させて加工する摩擦加工方法であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15のものを用いて被加工材を加工する。
これにより、上述した摩擦加工用ツール、摩擦加工装置と同様の作用効果が発揮される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、摩擦加工用ツールのツール寿命が向上され、製造の手間や製造コストを抑えることができる。しかも、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料等からなる被加工材の薄板等に対しても良好な接合等を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態による摩擦加工用ツールを示す図であり、同図(A)はツールの斜視図であり、同図(B)はその側面図である。
【図2】摩擦攪拌接合装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】摩擦攪拌接合装置のツール再生機構としてのツール研削装置の部分を拡大した断面図である。
【図4】ワーク加工操作位置とツール再生操作位置との関係を示す模式図である。
【図5】実施例1の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図6】実施例2の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図7】実施例3の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図8】実施例4の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図9】実施例5の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図10】実施例6の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図11】実施例7の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図12】実施例8の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図13】実施例9の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図14】実施例10の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図15】実施例11の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図16】実施例12の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図17】実施例13の摩擦接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【図18】参考例の摩擦攪拌接合により得られた薄板の接合部を表側から撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(摩擦加工用ツール)
摩擦加工用ツールは、金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて、主にショルダ面の径方向に塑性変形ないし流動させて加工するためのツールである。摩擦加工用ツール(以下、適宜「ツール」と呼ぶ。)は、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、円柱状のツール本体を備え、被加工材に当接させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている。なお、ツールは、背景技術で述べた摩擦攪拌接合(FSW)、摩擦攪拌改質(FSP)、摩擦点接合(FSJ)等に用いる場合を摩擦攪拌加工用ツールと呼ぶことができる。
【0019】
すなわち、図1に示すように、ツール20は、円柱状のツール本体21と、ツール本体21の基端側にフランジ23を介して形成する六角柱状の取付部24とを有する。この取付部24を摩擦加工装置のツールホルダー3に着脱自在に固定して、ツール本体21を被加工材に押し当てる。このツール20は、被加工材に押し当てるツール本体21の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されており、ショルダ面22には従来のような突起状のプローブが無い。従って、平坦なショルダ面22は、被加工材として例えば板材同士の端部を突き合せた接合線上に対して回転させながら圧接させて摩擦接合を行なう。なお、ショルダ面22は、その母線がツール本体21の軸線に垂直な平面のみならず、母線がやや凸又はやや凹の曲面となっていてもよい。そして、ツール20のショルダ径(ショルダ面22の直径)は、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15となるように設定される。例えば、薄板の板厚が1.5mm以下である場合、ツールのショルダ径は、8〜14mmに設定される。
【0020】
ツール20は、被加工材がアルミニウム合金等に比べて高融点材料の鉄系合金等であっても確実に接合を行なえるようにするために、Ni基2重複相金属間化合物合金により形成される。このNi基2重複相金属間化合物合金として、Ni基2重複相金属間化合物を有する合金であれば、限定されない。
【0021】
Ni基2重複相金属間化合物合金として、例えば、Ni3Al(L12)−Ni3Ti(D024)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金(国際公開WO2006/1011212号パンフレットを参照)や、Ni3Al(L12)−Ni3Nb(D0a)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金(国際公開WO2007/086185号パンフレットを参照)などが知られている。
【0022】
上記Ni3Al(L12)−Ni3Ti(D024)−Ni3V(D022)系相金属間化合物合金として、具体的には、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Ti:0原子%以上で3.5原子%以下、B:0重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなり、かつ初析L12相と(L12+D022)共析組織との2重複相組織を有するNi3Al基金属間化合物が挙げられる。
【0023】
この金属間化合物は、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Ti:0原子%以上で3.5原子%以下、B:0重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなる合金材に対して、初析L12相とAl相とが共存する温度で第1熱処理を行い、その後L12相とD022相とが共存する温度に冷却するか、当該L12相とD022相とが共存する温度で第2熱処理を行うことによって、Al相を(L12+D022)共析組織に変化させて2重複相組織を形成する工程を備える方法によって製造することができる。もしくは、上記組成の合金を高温のA1単相領域から徐冷することによって2重複相組織を形成する工程を備える方法によっても製造することができる。
【0024】
また、上記Ni3Al(L12)−Ni3Nb(D0a)−Ni3V(D022)系金属間化合物合金として、具体的には、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Nb:0原子%以上で5原子%以下、B:50重量ppm以上1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなり、初析L12相と(L12+D022)共析組織との2重複相組織を有するNi3Al基金属間化合物が挙げられる。
【0025】
この金属間化合物は、Al:5原子%より大で13原子%以下、V:9.5原子%以上で17.5原子%より小、Nb:0原子%以上で5原子%以下、B:50重量ppm以上で1000重量ppm以下、残部は不純物を除きNiからなる合金材に対して、初析L12相とAl相とが共存する温度、又は初析L12相とAl相とD0aが共存する温度で第1熱処理を行い、その後、L12相とD022相とが共存する温度に冷却するか、その温度で第2熱処理を行うことによって、Al相を(L12+D022)共析組織に変化させて2重複相組織を形成する工程によって製造することができる。もしくは、上記組成の合金を高温のA1単相領域から徐冷することによって2重複相組織を形成する工程を備える方法によっても製造することができる。
【0026】
そして、ツール20の材質には、Niを主成分とし且つAl:2〜9原子%、V:10〜17原子%、Ta及び/又はW:0.5〜8原子%、Nb:0〜6原子%、Co:0〜6原子%、Cr:0〜6原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してB:10〜1000重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金が、耐熱及び耐摩耗性に優れる点で好ましい。なお、本明細書において、上記「〜」は、上限値、下限値をそれぞれ含む。
Ta及び/又はWが0.5〜8原子%含むことにより硬さの向上効果が得られる。
Nb、Co、Crは、任意成分であるが、Nbは、2重複相組織の強度向上のために添加され、また、Co、Crは、耐酸化性向上のために添加される。
Bは、得られる合金の延性向上のために添加される。
また、初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有することにより、金属間化合物合金は引張強度などの機械的特性や耐クリープ特性に優れるものとなる。
【0027】
また、ツール20の材質には、Niを主成分とし且つAl:5.5〜13原子%、V:10〜17原子%、Nb:0〜6原子%、Ti:0〜6原子%、Co:0〜6原子%、Cr:0〜6原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してB:10〜1000重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金も、上記のものと同様に、耐熱及び耐摩耗性に優れる点で好ましい。
【0028】
ツール20の製造は、溶解・鋳造法、鋳造材を熱間鍛造等の塑性加工、粉末冶金法等にて賦形してもよい。例えば、Ni基2重複相金属間化合物合金のツールの製造は、種々の製造方法にて行うことができ、所定の組成になるように所定の元素の地金(それぞれ純度99.9重量%以上)とBを秤量したものを真空誘導溶解法やアーク溶解法等によって溶解、鋳造することによって鋳塊を作製する。この鋳塊から放電加工、切削加工、研削加工、研磨加工等を適宜用いて所定の形状に加工することによりツールを製造する。
【0029】
以上のツール20によれば、被加工材に接触させるツール本体21の先端面が平坦なショルダ面22のみで形成されていることにより、被加工材を摩擦熱により軟化させて主にショルダ面22の径方向に塑性変形ないし流動させて加工することができる。ツール20のショルダ面22が平坦に形成されており、ショルダ面22には摩耗、破損等し易いプローブが設けられていないので、ツール20の寿命が向上される。また、ショルダ面22にプローブを形成する必要がないので、ツール20を製造する手間や製造コストを抑えることができる。さらに、ツール20がNi基2重複相金属間化合物合金からなるので、耐熱及び耐摩耗性に優れる。従って、本摩擦加工用ツール20は、被加工材の加工時に摩擦熱による高温下でも必要な硬さ(例えば、800℃ではビッカース硬さが400以上)を発揮し、プローブが無くてもステンレスなどの鉄系材料からなる被加工材に対しても良好な接合等を行うことができる。特に、被加工材として板厚が1.5mm以下の薄板の突き合わせを接合するのに好適である。また、ツール20のショルダ面22はプローブが無く平坦に形成されるので、後述するツール再生機構5においても、摩耗等したツール20のショルダ面22を研削する砥石51の外周面形状も平坦面とすることができ、製造容易な簡単な形状にすることができる。
【0030】
(摩擦加工装置)
次に、摩擦加工装置の一実施形態として、被加工材となる板材(ワーク)の端面を突き合わせて摩擦接合するための摩擦攪拌接合装置を説明する。図2に示すように、摩擦攪拌接合装置1は、ワークW1,W2を配置するための基台7上に、ワークW1,W2に対して摩擦接合を行う加工機構2を備える。
【0031】
基台7上には、2枚の平板状のワークW1及びワークW2が配される裏当て冶具4が設けられ、裏当て冶具4の上に配置されたワークW1及びワークW2は、裏当て冶具4に設けたワーク押さえ6によりワークW1及びワークW2を突き合せた接合線Lが裏当て冶具4の中央に位置するように固定される。裏当て冶具4は、ワークW1,W2が鉄系合金等の高融点材料の場合には窒化珪素などのセラミックス等が使用されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、裏当て冶具4は、熱伝導率の小さい材料で形成される平板部材や棒状部材等で構成してもよい。
【0032】
加工機構2は、ツール20を保持するツール保持部30と、ツール20を回転させる回転用モータ23と、ツール保持部30を昇降させる昇降用モータ85と、ツール保持部30を横方向に移動させる直動機構84とを備える。ツール保持部30は、下部にツール20を着脱自在に取り付けるツールホルダー3を備える。ツールホルダー3は、ツール回転用モータ32と連結されており、このツール回転用モータ32の駆動によりツールホルダー3とともにツール20が回転される。ツール保持部30は、スライダー80に対して昇降自在に取り付けられており、スライダー80に設ける昇降用モータ85によって基台7に対して上下に移動自在にされ、これにより、ワークW1,W2に対するツール高さが調節される。また、ツール保持部30は、スライダー80に対して回動自在に取り付けられ、ツール20を所定の前進角θ(図4参照)に設定できるようになっている。スライダー80は、一対のガイドレール81、ボールネジ82及び送り用モータ83を備える直動機構84における一対のガイドレール81、ボールネジ82に取り付けられており、送り用モータ83の駆動により基台7に平行に移動自在となっている。
【0033】
そして、ワークW1,W2を接合する際、高速回転(例えば、500rpm〜2000rpm程度)させたツール20を、ワークW1及びワークW2の接合線Lの一端に押し付ける。すると、発生する摩擦熱により接合線L周辺のワークW1,W2が軟化する。そして、ツール20を接合線Lの他端に向かって移動させると、回転による摩擦熱で接合線L周辺のワークW1,W2が連続的に軟化して主にショルダ面22の径方向に塑性変形ないし流動して、ワークW1,W2の接合線L付近が摩擦接合される。
【0034】
本実施形態では、プローブを有しないツール20の平坦なショルダ面22を板材の突き合せ部である接合線L上の表面に圧接させるだけで摩擦接合を行なうため、接合する板材の裏面まで摩擦熱を十分到達させる必要があり、被加工材となる板材が薄板であるこことが好ましい。従って、被加工材としての板材(ワークW1,W2)が鉄系材料からなる薄板であって、板厚が1.5mm以下のものを接合するのに好適に使用される。なお、薄板の板厚が1.5mmを超えても、薄板の裏面に配置する裏当て冶具4として、薄板の裏面側からの放熱を遮断できる熱伝導率の小さい材質(例えば、Si3N4)とすることにより良好な接合を行うことが可能である。この裏当て冶具4は、熱伝導率が小さいほど、薄板に当接されているツール20のショルダ面22からの薄板の軟化する深さが増加し、その結果、良好な接合が得られる。
【0035】
そして、この摩擦攪拌接合装置1に用いられるツール20は、被加工材としての薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5以上15以下の範囲となる大きさに設定されるのが好ましい。さらに、摩擦攪拌接合装置での摩擦接合条件は、ツール20の送り速度が500mm/min以上900mm/min以下で加工を行なうように設定されるのが好ましい。また、ツール20の回転数は、ツールが被加工材に圧接されたとき、摩擦熱により約800〜約1000℃程度に発熱する回転数とすることができる。例えば、ツール20の回転数は、700rpm以上1800rpm以下の範囲に設定されるのが好ましい。さらに、ツール20の前進角θ(図4参照)は、例えば、2度以上5度以下の範囲で設定されるのが好ましい。
【0036】
以上の条件設定により、プローブが無い摩擦加工用ツール20により、被加工材としてステンレスなどの鉄系材料からなる薄板(W1,W2)の突き合わせ部に対しても良好な接合を行うことができる。また、ツール20は、従来のように被加工材の突合せ部の端面間にプローブを挿入する必要がないので、ツール20の深さ方向の位置を高い精度で制御する必要がなくなる。
【0037】
(ツール再生機構)
また、摩擦攪拌接合装置1は、ツール20を再生させるツール再生機構としてのツール研削装置5を備えている。ツール研削装置5は、被加工材の加工により摩耗等したツール20のショルダ面22を研削して元の平面形状に復元し再生するためのものであり、裏当て冶具4に隣接して基台7上の一方側に配置されている(図2参照)。そして、図3に示すように、ツール研削装置5は、円板状の砥石支持板52の外周に形成した砥石51と、砥石支持板52に取り付けられた回転軸58に接続されて砥石51を回転させる砥石回転用モータ53とを備える。砥石51としては、ツール20の研削が円滑に行えるようにダイヤモンド砥石等を使用することが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、ボラゾンのような立方晶窒化ホウ素(CBN)等によるものでも良い。また、砥石51は、ツール20及び砥石51から発生する研削クズ等が外部に飛散されないようにするため、カバー54により覆われており、このカバー54には、ツール20を配置させるツール挿入口56が上面に設けられるとともに、研削クズ等を排出させる排出口57が下面に設けられている。
【0038】
そして、図3を参照して、ツール20の再生の際は、摩耗等したツール20を回転させながらツール研削装置5の上方に移動させて先端のショルダ面22を、回転している砥石51に当接させて研削する。これにより、ツール20のショルダ面22が元の平坦な状態に再生される。
【0039】
また、図4を参照して、ワークW1,W2の接合線Lが伸びる方向と砥石51の回転方向が一致するようにツール研削装置5を基台7上に配設することにより、ツール20に前進角θを保持させた状態のままでも砥石51により研削できるので、ツール20の再生操作を容易にすることができる。
【0040】
上記再生操作の際、砥石51の周速は、CBN(立法晶窒化硼素)やダイヤモンド砥石の場合は5〜80m/sec程度に設定されるが、これらには限られない。これにより、ツール20を回転させながら砥石51を回転させて研削するに際して、ツール20を欠損等させることなく円滑に研削することができる。また、この再生時のツール20の回転数は、砥石51の種類や砥石51の周速等を考慮して研削に最適な回転数が設定される。通常は、比較的遅い回転数とされ、例えば、ツール20の回転数は、100rpm前後程度に設定されるのが好ましいが、これに限定されない。
【0041】
なお、このツール20の研削時には、砥石51周辺に冷風及び/又はミストを供給するようにしてもよい。これにより、ツール研削時に冷風及びミストを供給することで、砥石51の研削面の粗さを細かくし、滑らかに且つ効率的にツール20を研削することができる。
【0042】
以上の再生操作により、ツール20のショルダ面22が摩耗等しても、ツール研削装置5によりショルダ面22を平面状態に復元して再生することができる。従って、摩耗等したツール20を再生により再使用することができるので、ツール20の寿命が更に向上され、ツール交換頻度を少なくすることができる。特に、本摩擦加工用ツール20にはプローブが無いので、砥石51の構造も簡素に形成でき、再生が容易となる。
【0043】
さらに、ツール20を回転させるツール回転用モータ32には、図示していないが、ツール20の回転トルクを検出するトルク検出部(図示せず)が接続されており、このトルク検出部は、ツール20を砥石51により研削している際中もツール20の回転トルクを検出するようになっている。そして、ツール研削中にトルク検出部で検出した回転トルクが所定の設定値に達すると研削加工を停止するように制御する制御手段(図示せず)が摩擦攪拌接合装置1に設けられている。研削加工を停止する回転トルクとしての設定値は、ツール20のショルダ面22が摩擦接合により摩耗等して平面平滑性が無くなった状態で研削されている時の回転トルクよりも研削により平滑になった時の回転トルクが小さくなるので、回転トルクが減少して所定時間一定値を維持すると研削加工を停止するようになっている。
【0044】
これにより、ツール再生時にツール20の回転トルクをトルク検出部により検出して、例えばショルダ面22が滑らかな平面になった時の回転トルクの値を設定値とし、回転トルクがこの設定値になった時に再生停止することで、時間の無駄がなく、削りすぎることもなく良好なツール再生を行なうことができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されず、本発明の範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、上記トルク検出部は、ツール回転用モータ32の回転トルクを検出するが、砥石回転用モータ53の回転トルクを検出するようにしてもよい。
【実施例】
【0046】
摩擦加工用ツールとして、プローブの無いものでも良好な摩擦接合が行えることを確かめるため、以下の実施例を行った。
【0047】
(実施例1)
摩擦加工用ツールは、ショルダ径が10mmで、図1に示すようにショルダ面が平坦な平面に形成されてプローブを有しないものを用い、図2に示した摩擦攪拌接合装置により、板厚が1.0mmのSUS430からなる2枚の薄板(被加工材)を突き合わせて摩擦接合を行った。
摩擦加工用ツールの材質は、Niが75原子%、Alが7原子%、Vが13原子%、Taが5原子%を含む合計100原子%の組成の合計重量に対してBが50重量ppmを含み且つ初析L12相と(L12+D022)共析組織とからなる2重複相組織を有するNi基2重複相金属間化合物合金である。
薄板の裏当て冶具は、図2に示す摩擦攪拌接合装置では、板状のものを使用するが、実施例1では、窒化珪素(Si3N4)製からなり、30×30mm角、長さ100mmの角材を接合方向に3本並べて使用した。
摩擦接合条件は、ツールを、前進角3度、ツール回転数1500rpmで回転させながら上記被加工材としての2枚の薄板の接合線上に押し付け、摩擦熱によりツールがオレンジ色に発光した後、ツール送り速度900mm/minで直線状に250mm移動させるように設定し、2枚の薄板を突き合わせた接合線を摩擦接合した。なお、加工時のツールへの負荷は約0.7tonに設定した。
そして、接合後、薄板の接合部における施工状態は図5の写真に示す。
【0048】
(引張試験)
次いで、上記薄板の突き合せ接合した接合部の強度を調べるために、接合部の接合方向に対して直交する向きに切り出して試験片を作製し、JISZ 2241「金属材料引張試験方法」に準じて引張試験を行った。試験片は、JISZ 2201 5号試験片の形状に準じ、幅25mm、平行部長さ50mmとした。また、測定時のクロスヘッド速度は20mm/minとした。
【0049】
(実施例2)
実施例3では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用いた以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例2について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図6の写真に示す。
【0050】
(実施例3)
実施例3では、摩擦加工用ツールはショルダ径が14mmとしたものを用い、また、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例3について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図7の写真に示す。
【0051】
(実施例4)
実施例4では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用い、また、被加工材としての薄板は板厚が0.8mmのものとし、さらに、摩擦接合条件はツール送り速度550mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例4について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図8の写真に示す。
【0052】
(実施例5)
実施例5では、摩擦接合条件はツール送り速度650mm/minとしたこと以外は、実施例4と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例5について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図9の写真に示す。
【0053】
(実施例6)
実施例6では、摩擦加工用ツールはショルダ径が8mmとしたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例7について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図10の写真に示す。
【0054】
(実施例7)
実施例7では、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例7について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図11の写真に示す。
【0055】
(実施例8)
実施例9では、摩擦接合条件はツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例6と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例9について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図12の写真に示す。
【0056】
(実施例9)
実施例9では、被加工材としての薄板は板厚が1.5mmのものとし、また、摩擦接合条件はツール送り速度700mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例9について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図13の写真に示す。
【0057】
(実施例10)
実施例10では、摩擦接合条件はツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例9と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例10について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図14の写真に示す。
【0058】
(実施例11)
実施例11では、摩擦接合条件はツール回転数が1000rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例11について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図15の写真に示す。
【0059】
(実施例12)
実施例12では、摩擦加工用ツールはショルダ径が14mmとしたものを用い、摩擦接合条件はツール回転数が900rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例12について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図16の写真に示す。
【0060】
(実施例13)
実施例13では、摩擦加工用ツールはショルダ径が12mmとしたものを用い、摩擦接合条件はツール回転数が800rpm、ツール送り速度500mm/minとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、実施例13について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図17の写真に示す。
【0061】
(参考例)
参考例では、摩擦加工用ツールは、ショルダ径を12mmとし、ショルダ面の中央に半径2mm、高さ0.73mmの球面状に突出したプローブを設けたものを用い、また、摩擦攪拌接合条件はツール回転数を1400rpmとしたこと以外は、実施例1と同様にして摩擦攪拌接合を行い、試験片を作製して引張試験を行った。
そして、参考例について、接合後、薄板の接合部における施工状態は図18の写真に示す。
【0062】
以上の各実施例、参考例の条件及び結果を表1に示す。
【表1】
【0063】
表1より、各実施例において、SUS430の薄板(板厚0.8〜1.5mm)の摩擦接合した接合部の施工状態は、外観上、いずれも良好であった。このことから、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、プローブを有しないツールを用いた各実施例であっても、同材質のプローブを有するツールを用いた参考例と同様に、薄板の接合部は良好な仕上り状態が得られた。
【0064】
また、引張強度についても、各実施例は、492〜567N/mm2の範囲に有り、参考例の535N/mm2と比較しても、見劣りしない程度の良好な接合力が得られた。なお、実施例で示した上記引張試験と同条件で測定したSUS430母材の引張強度は、n=3の平均が519N/mm2であったことから、上記各実施例の引張強度は、SUS430母材と比較しても見劣りしない十分な強度が得られていることが判った。
【0065】
以上より、Ni基2重複相金属間化合物合金からなり、プローブを有しないツールを用いても、従来のようなプローブを有するツールを用いた場合とほとんど変わりない品質で、SUS430の薄板の摩擦接合を行うことができた。
【符号の説明】
【0066】
1 摩擦攪拌接合装置(摩擦加工装置)
2 加工機構
5 ツール再生機構(ツール研削装置)
20 摩擦加工用ツール
21 ツール本体
22 ショルダ面
51 砥石
L 接合線
W1,W2 ワーク(被加工材)
θ 前進角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて加工するための摩擦加工用ツールであって、
円柱状のツール本体を備え、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている摩擦加工用ツール。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦加工用ツールにおいて、
材質がNi基2重複相金属間化合物合金からなる摩擦加工用ツール。
【請求項3】
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当て、加工方向に相対移動させる加工機構を備える摩擦加工装置であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1又は2に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15であり、
加工機構は、ツール送り速度が500〜900mm/minに設定されている摩擦加工装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦加工装置において、
上記の摩擦接合用ツール及び加工機構の条件は、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板に対する設定とする摩擦加工装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の摩擦加工装置において、
摩擦加工により摩耗した摩擦加工用ツールにおけるショルダ面のみで形成する先端面を砥石により研削するツール再生機構を備え、
ツール再生機構は、上記摩擦加工用ツールを回転させながら砥石を回転させてツール本体の先端面を研削するように制御し、上記摩擦加工用ツールの回転トルク又は砥石の回転トルクを検出するトルク検出手段の出力値が所定の設定値に達すると再生が停止するように制御する制御手段を備える摩擦加工装置。
【請求項6】
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて加工方向に相対移動させることにより、摩擦熱により被加工材を軟化させて加工する摩擦加工方法であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1又は2に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15のものを用いて被加工材を加工する摩擦加工方法。
【請求項1】
金属材料の被加工材に対して回転させながら押し当てて発生する摩擦熱により被加工材を軟化させて加工するための摩擦加工用ツールであって、
円柱状のツール本体を備え、被加工材に接触させるツール本体の先端面が平坦なショルダ面のみで形成されている摩擦加工用ツール。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦加工用ツールにおいて、
材質がNi基2重複相金属間化合物合金からなる摩擦加工用ツール。
【請求項3】
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当て、加工方向に相対移動させる加工機構を備える摩擦加工装置であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1又は2に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材となる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15であり、
加工機構は、ツール送り速度が500〜900mm/minに設定されている摩擦加工装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦加工装置において、
上記の摩擦接合用ツール及び加工機構の条件は、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板に対する設定とする摩擦加工装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の摩擦加工装置において、
摩擦加工により摩耗した摩擦加工用ツールにおけるショルダ面のみで形成する先端面を砥石により研削するツール再生機構を備え、
ツール再生機構は、上記摩擦加工用ツールを回転させながら砥石を回転させてツール本体の先端面を研削するように制御し、上記摩擦加工用ツールの回転トルク又は砥石の回転トルクを検出するトルク検出手段の出力値が所定の設定値に達すると再生が停止するように制御する制御手段を備える摩擦加工装置。
【請求項6】
金属材料の被加工材に対して摩擦加工用ツールを回転させながら押し当てて加工方向に相対移動させることにより、摩擦熱により被加工材を軟化させて加工する摩擦加工方法であって、
摩擦加工用ツールは、請求項1又は2に記載の摩擦加工用ツールであって、被加工材として板厚が1.5mm以下の鉄系材料からなる薄板の板厚に対するショルダ径の比率が6.5〜15のものを用いて被加工材を加工する摩擦加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−200871(P2011−200871A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68078(P2010−68078)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度経済産業省中小企業庁戦略的基盤技術高度化支援事業「摩擦攪拌接合による鉄系高融点材料の接合システムの開発」に係る委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度経済産業省中小企業庁戦略的基盤技術高度化支援事業「摩擦攪拌接合による鉄系高融点材料の接合システムの開発」に係る委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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