説明

摩擦材成形方法

【課題】ブレーキ用摩擦材を容易に予備成形する摩擦材成形装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ブレーキ用の摩擦材を予備成形する摩擦材成形装置1であって、第一の型枠4と第二の型枠3とを有し、第一の型枠4と第二の型枠3とを連結することにより予備成形用の型を形成する型枠部材6と、第一の型枠4内を移動することで予備成形用の型に収容された摩擦材を圧縮し、第二の型枠3内に予備成形物を成形する圧縮部材5と、予備成形物が内部に成形された第二の型枠3を第一の型枠4から分離し、本成形用の装置に移動する移動手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキの摩擦材を成形する摩擦材成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキの摩擦材は、粉粒状の原料を予備成形用の金型で圧縮して予備成形した後、予備成形物を本成形(加熱圧縮)することにより成形される。摩擦材の原料は、繊維基材、結合材、及び摩擦調整材や潤滑材等の添加材で構成される。
【0003】
ブレーキの摩擦材を成形する技術として、予備成形物を予備成形用の金型から取り出してから本成形用の装置に搬送し、本成形する技術が知られている(例えば、特許文献1や2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−151972号公報
【特許文献2】特許第3205066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予備成形物を本成形用の装置に搬送する際は、搬送用のパッケージ等に移し替えて搬送するが、移し替えの際に予備成形物が型崩れしないようにする必要がある。このため、予備成形の際に原料を高圧で圧縮しておく必要がある。
【0006】
予備成形を高圧で行うには、高出力の油圧シリンダ等を使う必要がある。また、予備成形用の金型から予備成形物を取り出す際も高出力のシリンダ等で押し出す必要がある。このため、予備成形用の装置や金型が大型化し、製造コストが高くなる。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑み、ブレーキ用摩擦材を容易に予備成形する摩擦材成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、予備成形用の型を少なくとも2つの型枠で形成し、予備成形物が内部に成形された型枠を他の型枠と分離し、本成形用の装置に移動する。
【0009】
詳細には、ブレーキ用の摩擦材を本成形する前に該摩擦材を圧縮して予備成形する摩擦材成形装置であって、第一の型枠と第二の型枠とを有し、該第一の型枠と第二の型枠とを連結することにより予備成形用の型を形成する型枠部材と、前記第一の型枠内を移動することで前記予備成形用の型に収容された前記摩擦材を圧縮し、前記第二の型枠内に予備成形物を成形する圧縮部材と、前記予備成形物が内部に成形された前記第二の型枠を前記第一の型枠から分離し、本成形用の装置に移動する移動手段と、を備える。
【0010】
型枠内の摩擦材を予備成形のために圧縮すると、体積が収縮する。すなわち、型枠内は、摩擦材が残る空間と残らない空間とに分かれる。予備成形物を移動する際は、型崩れ等を防ぐため容器等に入れて搬送する必要がある。ここで、本発明は、予備成形用の型枠が、摩擦材が残る空間と残らない空間とに分かれることに着目し、型枠を分離している。すなわち、本発明に係る摩擦材成形装置の型枠部材は、第一の型枠と第二の型枠とを有して
いる。型枠部材は、第一の型枠と第二の型枠とを結合することにより、単一な型を形成する。第一の型枠は、圧縮前の摩擦材を収容し、これを圧縮する圧縮部材の動きを案内する役割を主に司る。第二の型枠は、圧縮前の摩擦材を収容し、圧縮部材によって圧縮された摩擦材である予備成形物を成形した状態で収容する役割を主に司る。そして、移動手段が内部に予備成形物が成形された第二の型枠を第一の型枠から分離し、本成形用の装置に移動する。これにより、予備成形物を移動用の容器等に移し替えることなく移動することが可能となる。
【0011】
以上、本発明によれば、予備成形の型枠を使って予備成形物を運搬しているので製造工程を簡略化し、ブレーキ用摩擦材を容易に予備成形することが可能である。
【0012】
ここで、前記第一の型枠は、前記圧縮部材の移動を案内する摺動面を有し、前記圧縮部材は、前記摺動面に沿って移動しながら前記摩擦材を圧縮してもよい。
【0013】
第一の型枠は、前述したように、圧縮部材の動きを案内する役割を司る。よって、第一の型枠が圧縮部材の動きを案内する摺動面を有し、この摺動面に沿って圧縮部材が移動することにより、型枠に収容された摩擦材を圧縮することが可能になる。
【0014】
また、前記圧縮部材は、前記予備成形用の型に収容された前記摩擦材を前記第一の型枠内に残すことなく前記第二の型枠内に圧縮してもよい。
【0015】
圧縮部材が第一の型枠に摩擦材を残すことなく第二の型枠に摩擦材を圧縮することにより、第一の型枠内に予備成形物が残ることがなくなる。このため、第一の型枠に予備成形物を残すことなく、予備成形物を本成形用の装置に移動することが可能になる。
【0016】
また、前記第二の型枠は、前記圧縮部材が前記摩擦材を圧縮した際に前記予備成形物を形作るための成形面を有してもよい。
【0017】
第二の型枠は、前述したように圧縮された摩擦材である予備成形物を成形した状態で収容する。すなわち、予備成形物の形状は第二の型枠内の形状と同じになる。そこで、第二の型枠が、予備成形物を形作る成形面を有していることにより、予備成形物を所望の形に成形することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
ブレーキ用摩擦材を容易に予備成形する摩擦材成形装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る摩擦材成形装置の正面図。
【図2A】型枠部材の部分を拡大した要部拡大図。
【図2B】実施形態に係る摩擦材成形装置の正面図。
【図3】摩擦材成形装置の動作フロー図。
【図4】原料の投入方法を示す図。
【図5】原料が投入された型枠部材の要部拡大図。
【図6】予備成形中の型枠部材の状態を示す図。
【図7】上型が分離した型枠部材の状態を示す図。
【図8】パッケージ治具と中型とが分離した型枠部材を示す図。
【図9】変形例に係る型枠部材の斜視図。
【図10】原料の投入方法を示す図。
【図11】パッケージ治具を載せた型枠部材の状態図。
【図12】下型を押し上げる際の型枠部材の状態図。
【図13】パッケージ治具を分離する際の型枠部材の状態図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を例示的に説明する。本実施形態に係る摩擦材成形装置は、車両を制動するブレーキ用の摩擦材の製造に用いるものである。
【0021】
<実施形態の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る摩擦材成形装置1の正面図である。図1において示すように、摩擦材成形装置1は、上型2、パッケージ治具3(本発明でいう、第二の型枠に相当する)、中型4(本発明でいう、第一の型枠に相当する)、及び下型5(本発明でいう、圧縮部材に相当する)で構成される型枠部材6、中型4に下型5を押し込んでライニングの原料を圧縮する下型押上げシリンダ7、中型4を出し入れする中型出し入れシリンダ8、型枠部材6や下型押上げシリンダ7、中型出し入れシリンダ8を支持する架台10を備える。
【0022】
図2Aは、摩擦材成形装置1のうち、型枠部材6の部分を拡大した要部拡大図である。型枠部材6は、ドラム式ブレーキのライニング(本発明でいう、摩擦材に相当する)を予備成形するための型枠であり、図2Aにおいて示すように、1バッチで4つのライニングが同時に成形可能なように構成されている。
【0023】
型枠部材6は、中型4に収容されたライニングの原料を圧縮することでライニングを予備成形する。型枠部材6は、パッケージ治具3の中の面(本発明でいう、成形面に相当する)がライニングの側面を形作り、上型2がライニングの上面を形作り、下型5がライニングの下面を形作る。型枠部材6は、中型4の中の面(本発明でいう、摺動面に相当する)を下型5が滑りながら上下に動くことでライニングを成形する。
【0024】
上型2は、下型押上げシリンダ7の上方に固定されており、下型押上げシリンダ7が下型5を押し上げた際の力を受け止める。
【0025】
中型4は、架台10のレール11に据え付けられており、中型出し入れシリンダ8の伸縮に合わせて横方向にスライド移動可能なように構成されている。図2Bは、中型出し入れシリンダ8が伸びた状態の摩擦材成形装置1の正面図である。図2Bに示すように、中型出し入れシリンダ8が伸びることによりパッケージ治具3や中型4、及び下型5が上型2から離れる。これにより、中型4とパッケージ治具3とを脱着したり、あるいは中型4やパッケージ治具3の中に摩擦材の原料を投入したりすることが可能となる。以下、中型出し入れシリンダ8が縮んでいる時のパッケージ治具3、中型4、及び下型5の位置を圧縮位置といい、中型出し入れシリンダ8が伸びている時のパッケージ治具3、中型4、及び下型5の位置を出し入れ位置という。また、中型4は、パッケージ治具3を載せる際に位置決めするための位置決めピンを有しており、パッケージ治具3内の成形面と中型4の摺動面との間にズレが生じないように構成されている。中型4の位置決めピンは、パッケージ治具3が乗せられた状態の中型4をレール11でスライドさせてもパッケージ治具3を落とさないようにする役割も果たす。なお、中型4は、中型出し入れシリンダ8の伸縮によってスライドされる際に中型出し入れシリンダ8と結合するためのフック12A(図1参照)を有している。
【0026】
下型5は、中型4の下方に4本の長尺ボルト13で吊り下げられている。この長尺ボルト13は、中型4側のみ固定されている。これにより、下型5は、中型4と相対的に上下移動が可能なようになっている。また、下型5は、長尺ボルト13に巻き付くように圧縮スプリング14が配設されており、中型4から離れる方向に付勢される。また、下型5は、下型押上げシリンダ7の先端を引っ掛けるためのフック12B(図1参照)が設けられ
ている。中型4が下型押上げシリンダ7側に移動した際は、このフック12Bが下型押上げシリンダ7の先端に引っ掛かる。これにより、下型押上げシリンダ7は、下型5を上下に動かすことが可能になる。
【0027】
下型押上げシリンダ7は、原料を圧縮してライニングを予備成形するためのエアシリンダであり、下型5を中型4に押し込む。下型押上げシリンダ7は、直径100mm(面積78.5cm2)のエアシリンダであり、面圧0.7MPaで560.3kgfの推力を
出す。
【0028】
<実施形態1の動作>
次に、摩擦材成形装置1の動作について説明する。図3は、摩擦材成形装置1の動作フロー図である。以下、図3のフロー図を参照しつつ、摩擦材成形装置1の動作について説明する。
【0029】
<ステップS101:原料投入>まず、中型4にライニングの原料を投入する。原料を投入する際は中型出し入れシリンダ8を伸ばし、中型4等を出し入れ位置にする。図4は、原料の投入方法を示す。図4において示すように、ライニングの原料を投入する際は、4つ分のライニングの原料を予め均等に配分した原料配分器15のシャッターを開き、原料を投入する。中型4に原料を投入したら、各キャビティの原料を均す。各キャビティの原料を均したら、中型4の上にパッケージ治具3を載せる。図5は、各キャビティに原料を投入し、中型5の上にパッケージ治具3を載せた状態の型枠部材6を示す。
【0030】
<ステップS102:原料圧縮>次に、下型押上げシリンダ7で下型5を上に押し上げる。下型5を押し上げる際は中型出し入れシリンダ8を縮め、中型4等を圧縮位置にする。下型押上げシリンダ7が下型5を押し上げることにより、下型5に取り付けられた圧縮スプリング14が中型4とパッケージ治具3を上に押し上げる。パッケージ治具3は、上へ押上げられることにより、上型2に嵌る。パッケージ治具3が上型2に嵌ってパッケージ治具3と中型4の上昇が止まった後は、圧縮スプリング14が収縮し、下型5が更に押し上げられ続ける。これにより、中型4内に投入された原料は圧縮され、ライニングとして予備成形される。予備成形されたライニングは、パッケージ治具3内に残る。図6において、このときの型枠部材6の状態を示す。下型押上げシリンダ7は、シリンダ推力560.3kgfに達したら押上げを停止し、シリンダを縮める。これにより、下型5が下に下がり、やがてパッケージ治具3と中型4も下に下がる。図7は、ライニングの予備成形後に下型押上げシリンダ7を収縮させた状態の型枠部材6を示す。図7が示すように、下型押上げシリンダ7が収縮することにより、上型2がパッケージ治具3と分離する。
【0031】
<ステップS103:型枠分離>次に、中型出し入れシリンダ8は、中型4等を出し入れ位置側にスライドさせる。なお、下型5やパッケージ治具3は、中型4と共にスライドする。中型4が出し入れ位置に移動したら、パッケージ治具3と中型4とを分離する。図8は、パッケージ治具3と中型4とが分離した型枠部材6を示す。図8が示すように、中型4から分離されたパッケージ治具3の中にはライニングが残っている。なお、パッケージ治具3と中型4の分離は、図示しないロボットハンドが行ってもよいし、作業者が手作業で行ってもよい。
【0032】
<ステップS104:搬送>次に、中型4と分離されたパッケージ治具3を図示しない本成形用の装置に搬送する。搬送されるパッケージ治具3は、予備成形したライニングを内部に保持した状態で搬送される。また、パッケージ治具3は、図示しないロボットハンドやベルトコンベア等の搬送装置(本発明でいう、移動手段に相当する)によって本成形用の装置に搬送される。なお、搬送装置は、モータ等を動力源とするもののみならず、人が動かすものであってもよい。
【0033】
<実施形態1の効果>
本実施形態に係る摩擦材成形装置1によれば、予備成形用の金型の一部であるパッケージ治具3を使って予備成形物であるライニングを搬送しているため、搬送用の容器等に移し替えることなくそのまま搬送することが可能となる。これにより、移し替え等の工程を省略することが可能となり、生産効率の向上や予備成形物の歩留まりを向上させることが可能になる。
【0034】
また、予備成形後、搬送用の容器等への移し変えが必要ないため、予備成形を高圧で行う必要がない。このため、予備成形に必要な設備を小型化、低コスト化することが可能となる。従来技術によれば、設備の容積が9m3、費用が10,000千円、予備成形用の
型が容積45Lで製作費用900〜1000千円であったが、本実施形態によれば、設備の容積1.5m3、費用が3,500千円、予備成形用の型が容積16Lで製作費用40
0千円となった。
【0035】
また、予備成形を低圧で行うことが可能であるため、高圧で行う場合に比べて予備成形用の型枠の摩耗が少なく、型枠をアルミや樹脂で構成することも可能となる。すなわち、従来技術によれば、予備成形物を移し変える際に型崩れ等しないようにするため、ラム面積706.5cm2の油圧シリンダで面圧4.08〜5.51MPa、ラム推力2936
4〜39702kgfの圧力により予備成形を行っていたが、本実施形態では52.4〜70.9分の1程度の推力で予備成形することが可能となる。
【0036】
また、型は、一般的に摩擦材が残る部分(すなわち、本実施形態でいえばパッケージ治具3の部分)の摩耗が最も激しいが、本実施形態であれば、型が摩耗してもパッケージ治具3のみを交換すればよく、中型4等を有効活用することが可能である。また、複数のパッケージ治具3を用意しておくことにより、予備成形したライニングを本成形用の装置に搬送している間、新たなライニングを予備成形することが可能となる。
【0037】
また、中型を固定し、上型と下型とを挿入して原料を圧縮する場合に比べ、本実施形態では、下型5を突上げることで中型4が連動し、原料が圧縮されるので、型を動かすアクチュエータを減らすことが可能となる。
【0038】
<変形例>
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、4つのライニングを同時に成形していた。本変形例では、ディスクブレーキ用のブレーキパッドを成形する場合について説明する。なお、上述した実施形態と本変形例との相違点は型枠部材であるため、その他の構成要素(各シリンダや架台等)の説明は省略する。
【0039】
図9は、変形例に係る型枠部材21の斜視図である。図9において示すように、本変形例に係る型枠部材21は、上述した実施形態の型枠部材6と同様、上型22、パッケージ治具23、中型24、及び下型25で構成されており、1バッチで一つのブレーキパッドを予備成形可能なように構成されている。型枠部材21の各構成要素は、上述の実施形態と同様、各シリンダや架台等に連結されている。
【0040】
なお、上述の実施形態は、下型を下型押上げシリンダが直接押し上げていた。本変形例では、下型押上げシリンダ7がプレート26に挿通された棒を介して下型25を押し上げる。図9において示すように、プレート26の上面には圧縮スプリング14が配設されている。よって、下型押上げシリンダ7の突上げによってプレート26が突上げられると、中型24が圧縮スプリング14によって上方向に付勢される。これにより、中型24やパッケージ治具23の型枠内に上型22が嵌合する。
【0041】
また、プレート26は、ガイドプレート(上記実施形態でいうレール11に相当する)上をスライド可能なように構成されている。また、プレート26に挿通された棒の下端にはフック12Bが配設されており、プレート26のスライドに応じて下型押上げシリンダ7の先端と連結したり連結を解除したりする。
【0042】
次に、本変形例の動作を説明する。本変形例の動作の流れは上述した実施形態と同様なので、図3のフローを参照しながら以下説明する。
【0043】
<ステップS101:原料投入>まず、中型24等を出し入れ位置にセットし、中型24にブレーキパッドの原料を投入する。図10は、ブレーキパッドの原料を投入する際の方法を示す。図10において示すように、中型24の中にブレーキパッドの原料を投入し、均す。次に、図11に示すように、中型24の上にパッケージ治具23を載せる。
【0044】
<ステップS102:原料圧縮>次に、中型24等を圧縮位置にセットし、下型押上げシリンダ7で下型25を上に押し上げる。図12において、下型25を押し上げる際の状態を示す。図12において示すように、下型押上げシリンダ7が下型25を押し上げることにより、下型押上げシリンダ7と連動して圧縮スプリング14が中型24とパッケージ治具23を上に押し上げる。これにより、上述した実施形態と同様、上型22がパッケージ治具23に嵌り、パッケージ治具23の中にブレーキパッドが予備成形される。
【0045】
<ステップS103:型枠分離>次に、中型出し入れシリンダ8により、パッケージ治具23、中型24、下型25、及びプレート26を出し入れ位置側にスライドさせる。そして、パッケージ治具23と中型24とを分離する。
【0046】
<ステップS104:搬送>次に、図13において示すように、分離したパッケージ治具23を図示しない本成形用の装置に搬送する。パッケージ治具23は、予備成形されたブレーキパッドを内部に保持した状態で搬送される。パッケージ治具23は、図示しないロボットハンドやベルトコンベア等の搬送装置によって本成形用の装置に搬送される。
【0047】
<変形例の効果>
本変形例によれば、上述した実施形態の効果と同様の効果の他、ライニングの場合と異なり予備成形物が平坦なブレーキパッドであるため、パッケージ治具を極めて小さくすることが可能である。パッケージ治具を極めて小さくすることが可能であるため、製造コストの低減といった本発明の効果を最大限に発揮させることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・・・摩擦材成形装置
2,22・・・上型
3,23・・・パッケージ治具
4,24・・・中型
5,25・・・下型
6,21・・・型枠部材
7・・・・・・下型押上げシリンダ
8・・・・・・中型出し入れシリンダ
10・・・・・架台
11・・・・・レール
12A,B・・フック
13・・・・・長尺ボルト
14・・・・・圧縮スプリング
15・・・・・原料配分器
26・・・・・プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ用の摩擦材を本成形する前に該摩擦材を圧縮して予備成形する摩擦材成形装置であって、
第一の型枠と第二の型枠とを有し、該第一の型枠と第二の型枠とを連結することにより予備成形用の型を形成する型枠部材と、
前記第一の型枠内を移動することで前記予備成形用の型に収容された前記摩擦材を圧縮し、前記第二の型枠内に予備成形物を成形する圧縮部材と、
前記予備成形物が内部に成形された前記第二の型枠を前記第一の型枠から分離し、本成形用の装置に移動する移動手段と、を備え、
前記第二の型枠は、前記予備成形物の側面を形成するための型枠である貫通穴を有し、
前記圧縮部材は、前記貫通穴の上側の開口を塞ぐように前記第二の型枠と連結する他の型の方へ前記摩擦材を押して圧縮し、前記第二の型枠内に前記予備成形物を形成する、
摩擦材成形装置。
【請求項2】
前記第一の型枠は、前記圧縮部材の移動を案内する摺動面を有し、
前記圧縮部材は、前記摺動面に沿って移動しながら前記摩擦材を圧縮する、
請求項1に記載の摩擦材成形装置。
【請求項3】
前記圧縮部材は、前記予備成形用の型に収容された前記摩擦材を前記第一の型枠内に残すことなく前記第二の型枠内に圧縮する、
請求項1または2に記載の摩擦材成形装置。
【請求項4】
前記第二の型枠は、前記圧縮部材が前記摩擦材を圧縮した際に前記予備成形物を形作るための成形面を有する、
請求項1から3の何れかに記載の摩擦材成形装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−250288(P2012−250288A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171075(P2012−171075)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2007−250419(P2007−250419)の分割
【原出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】