摩擦板の製造方法及び製造装置
【課題】生産効率を向上させ、短時間で多くの摩擦板を製造するには、打抜き、押圧接着、及びインデックスの動作を高速で行う必要がある。従って、これら一連の動作による押圧接着では押圧時間が短くなり、充分な接着力を得るのは難しいという問題点がある。また押圧接着後は直ちにインデックスされるため、摩擦材セグメントの位置ずれが生じ易い。
【解決手段】本願の摩擦板の製造方法は、ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造方法であって、前記摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布した前記コアプレートと前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行うことを特徴としている。また、本願の摩擦板の製造装置は、ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造装置であって、貼着位置に配列した状態で保持することによって前記摩擦材セグメントの位置決めを行う治具(40)を備えたことを特徴としている。
【解決手段】本願の摩擦板の製造方法は、ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造方法であって、前記摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布した前記コアプレートと前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行うことを特徴としている。また、本願の摩擦板の製造装置は、ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造装置であって、貼着位置に配列した状態で保持することによって前記摩擦材セグメントの位置決めを行う治具(40)を備えたことを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動変速機等に用いられる摩擦板の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト低減要求から摩擦材の歩留まり向上を目的として摩擦材セグメントをコアプレートに貼着した摩擦板の使用が提案されており、これに伴って摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造方法及び製造装置が開発されている。
【0003】
このような、従来の製造方法及び製造装置では、所定の間隔で摩擦材を繰り出して打抜き、摩擦材セグメントを得、位置決めされたコアプレートに直接押圧接着する方法が知られている。この方法は、摩擦材の打抜きと押圧接着を同じ部材の一連の動作で行い、この動作に合わせてコアプレートを所定の角度でインデックス(回転)させていくものである。
【0004】
図11は、従来の摩擦板の製造装置を示しており、以下これについて説明する。打抜き装置100によって等ピッチづつ繰り出される摩擦材131を打抜き複数の摩擦材セグメント132を得る。一方、円テーブル110は支持台111を備え、コアプレート121の位置決めを行っている。打抜き装置100で得た摩擦材セグメント132は金型102の形状に応じてパンチ101に打ち抜かれ、コアプレート121に押圧接着される。この打抜き、押圧接着の動作に合わせて支持台111は摩擦材セグメント132が接着された範囲を所定の角度としてインデックス回動していく。この種の従来技術としては、例えば、特公平4−68491号公報、特公平4−68492号公報、特公平4−68494号公報、特開平7−151175号公報及び特開平10−318309号公報などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術において、生産効率を向上させ、短時間で多くの摩擦板を製造するには、打抜き、押圧接着、及びインデックスの動作を高速で行う必要がある。従って、これら一連の動作による押圧接着では押圧時間が短くなり、充分な接着力を得るのは難しいという問題点がある。また押圧接着後は直ちにインデックスされるため、摩擦材セグメントの位置ずれが生じ易い。従って、インデックス動作を速くして短時間で摩擦板を製造することは困難であった。
【0006】
そこで本発明は、生産効率を向上させ、製造時間を短縮できると共に、摩擦材セグメントの位置ずれを防止した摩擦板の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本願の摩擦板の製造方法は、
ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造方法であって、
前記摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布した前記コアプレートと前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行うことを特徴としている。
また、本願の摩擦板の製造装置は、
ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造装置であって、
貼着位置に配列した状態で保持することによって前記摩擦材セグメントの位置決めを行う治具(40)を備えたことを特徴としている。
摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布したコアプレートを押圧して仮接着を行う製造方法とした。また、摩擦材セグメントに向かって延在する突出部を設けた空所に、摩擦材セグメントを圧入することで摩擦材セグメントを位置決めすることとした。
【0008】
また、製造方法を実施する装置には、貼着位置に配列した状態で摩擦材セグメントの位置決めを行う治具を備え、また治具には摩擦材セグメントを載置する保持台及び保持台に対して上下にスライドするガイドを備えている。
【発明の効果】
【0009】
以上説明した本発明の摩擦板の製造方法及び製造装置によれば、以下のような効果が得られる。
【0010】
本発明によれば、仮接着前の摩擦材セグメントの位置ずれを防止することができ、仮接着後のコアプレートのインデックス操作を行う必要がなく、また仮接着の押圧時間を長くすることができるので摩擦材セグメントの位置ずれ防止の効果が生じる。更に、本発明によれば、摩擦材セグメントを正確な位置に接着した摩擦板を得ることができ、摩擦材セグメントを治具に供給する時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明によれば、仮接着前の摩擦材セグメントの位置ずれが生じない装置を得ることができ、更に、より精度の高い位置決めを行うことができ、仮接着時にコアプレートを位置決めされた摩擦材セグメントに充分押し付けることが可能となり、仮接着用の接着剤がガイドに付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を示す摩擦板の製造装置の概略図である。
【図2】コアプレートに接着剤が塗布される様子を示す該略正面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、接着剤を塗布したコアプレートに対して、位置決めされた摩擦材セグメントを圧接着する様子を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施例のガイドの上面図である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの状態を示す拡大図である。
【図7】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの別の状態を示す拡大図である。
【図8】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの更に別の状態を示す拡大図である。
【図9】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの更に別の状態を示す拡大図である。
【図10】本願の各実施例に適用可能な摩擦板製造工程の流れを示すフローチャートである。
【図11】従来の摩擦板の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の摩擦板の製造方法では、摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤を塗布した前記コアプレートに対して前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行う工程を有する。
本発明の摩擦板の製造装置では、打抜きによって得た摩擦材セグメントを所定の位置に位置決めする治具を備えている。
【0014】
前記治具は、摩擦材セグメントの外周縁を覆うガイドを備えているが、このガイドは押圧接着時にコアプレートに押圧されることによって下降する。このような機構とすることによって摩擦材セグメントの位置決めが押圧接着時まで確実に行われる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。尚、図面において同一部分は同一符号で示してある。
図1は、本発明の一実施例を示す摩擦板の製造装置の概略図である。以下、この製造装置に基づいて、本発明の摩擦材の製造方法の一実施例を説明する。尚、本発明の製造方法は、図1に示す製造装置以外の装置によっても達成可能であることは言うまでもない。
【0016】
図1を参照して、本発明の製造方法の過程を述べる。シート状または帯状の摩擦材31が等ピッチで繰り出され、この摩擦材31をプレス5で打抜いて、複数の摩擦材セグメント32を得る。プレス5は、金型2とパンチ1とからなる。摩擦材セグメント32は一旦摩擦材31に戻した後、パンチ1で押し出し、治具40の保持台42に供給する。尚、本例では4個の摩擦材セグメント32を同時に保持台42上に供給する。
【0017】
この動作を繰り返しながら治具40をインデックス(回転)させていき、摩擦板の片面分に貼着する所定枚数の摩擦材セグメント32を所定の位置で保持台42上に保持する。この時、各摩擦材セグメント32は、ほぼ等間隔かつほぼ環状に配置される。摩擦板片面分の位置決めが完了したら、次の工程に移動させ、そこで下面に仮接着用の接着剤が塗布されたほぼ環状のコアプレート21(図1では不図示)を上方から押圧する。このときの押圧時間は、摩擦材セグメント32の供給にかかるインデックス回数分行うことができる。
【0018】
本実施例では、周方向の長さの異なる摩擦材セグメント32を互いに隣接させ、環状に32枚並べている。従って、この場合、摩擦板片面分の全摩擦材セグメント32の供給に8回のインデックスを行うが、従来技術では1回のインデックス動作にかかる時間よりも長い時間押圧を行うとサイクルタイムが長くなってしまうが、本発明によれば、コアプレート21の押圧接着と摩擦材セグメント32の治具40への供給とを別工程で行うので、8回のインデックス動作と同じ時間押圧しても装置のサイクルタイムが長くなることは無い。従って、摩擦材セグメント32に対する押圧時間を長くとることができるので、コアプレート21への貼着固定がより確実になる。
【0019】
コアプレート21の両面に摩擦材を貼着するものについては、片面の仮接着が終了後反転させ、前記と同様の工程によって反対面側の仮接着も行う。仮接着後の摩擦板は次工程にて加圧・加熱による本接着が行われる。尚、前述のように摩擦材セグメント32の打ち抜きはインデックスの回数を減らすため、複数枚または複数列分同時に行うことが好ましいが、プレス1による摩擦材の打ち抜きは、一列のみの打ち抜きでもよい。
【0020】
次に、図1を参照して本発明の摩擦板の製造装置について説明する。シート状または帯状の摩擦材31を供給する繰り出し装置は省略してある。打抜き装置5はパンチ1及び金型2からなり該略のみを示している。打ち抜き装置5は公知の装置を使用できる。
【0021】
図1はまた、複数の摩擦材セグメント32を位置決めする治具40の断面を示している。治具40は所定角度でインデックスを行うベース41と、摩擦材セグメント32を載置する保持台42と、摩擦材セグメント32を案内するガイド50と、ガイド50を上方に支持するスプリング44と、によって構成される。図1では矢印方向に動作するパンチ1によって摩擦材セグメント32が供給されている状態を示している。
【0022】
上述のように摩擦材セグメント32の位置決めが行われる一方で、別の工程ではコアプレート21へ仮接着用の接着剤が塗布される。図2は、コアプレート21に接着剤が塗布される様子を示す概略正面図である。コアプレート21の接着面の、径方向ほぼ中央に接着剤26が装置25によって帯状に塗布される。摩擦材セグメント32の位置決め工程と、コアプレート21に接着剤を塗布する工程とは、同時並行に行われることが好ましいが、時差を設けて行うこともできる。
【0023】
図3(a)及び(b)は、片面(下面)に接着剤を塗布したコアプレート21に対して、位置決めされた摩擦材セグメント32を圧接着する様子を示す概略断面図である。コアプレート21は搬送装置60のアーム61に保持されている。図3(a)はこの状態を示している。この状態で搬送装置60は、位置決めされた摩擦材セグメント32の上方からコアプレート21を押圧して、コアプレート21に対して摩擦材セグメント32を仮接着する。仮接着後、所定の加熱及び加圧下で本接着が行われ、摩擦板が完成する。加熱・加圧は同時に行うことが好ましい。
【0024】
このとき、コアプレート21がガイド50の上部に接触し始めると、ガイド50を支持しているスプリング44は収縮する。つまり、ガイド50の上部は、コアプレート21が下降して接触するまでは、摩擦材セグメント32より高い位置にある、すなわち保持台42の上面はガイド50の上部より低い位置にある。搬送装置60が更に下降すると摩擦材セグメント32の上面とガイド50の上部とは同じ高さになる。図3(b)はこの状態を示している。この状態で、搬送装置60がコアプレート21を摩擦材セグメント32に対して所定の押圧力を加えた後、搬送装置60が上昇すると摩擦材セグメント32はコアプレート21に接着された状態となっているのでコアプレート21に貼着されたまま治具40から取り外すことができる。
【0025】
図4及び図5にガイド50の詳細を示す。図4は、ガイド50の上面図であり、図5は図4のA−A’断面図である。図5に示すように、ガイド50は、ほぼ環状の内周壁52と、ほぼ環状の外周壁53と、スプリング44の先端が嵌合する凹部51と、周方向に複数配置された仕切壁55と、内周壁52と連続するほぼ環状のリング部57とによって構成される。仕切壁55には窪部56があり、この窪部56は、コアプレート21の押圧接着時に接着剤がガイド50に付着しないための逃げとして設けられている。
【0026】
図4に示すように、ガイド50の仕切壁55は、図1に示すように摩擦材セグメント32の配置状況に応じて用いられる。尚、摩擦材セグメント32は、全く同一の長さのものを配列してもよく、この場合は仕切壁55は、等ピッチで円周方向に配列されることになる。
【0027】
ガイド50の内周壁52と外周壁53とで画成される環状の空間に摩擦材セグメント32が載置される保持台42が嵌合する。また、隣接する各摩擦材セグメント間には、周方向に所定の幅を有し、半径方向に貫通する複数の溝ができるが、この溝は摩擦板及び摩擦板の用いられる多板クラッチの潤滑油の潤滑路または潤滑油溜りとして機能する。
【0028】
上述の実施例に示すように、ガイド50に画成される空間、すなわち空所に摩擦材セグメント32を載置すると、空所と摩擦材セグメント間の隙間の関係で、空所内の摩擦材セグメントの位置がずれる恐れがある。そこで、ガイドの内壁に摩擦材セグメントに対して突出する突出部を設ける。突出部の先端間の幅は、摩擦材セグメントの幅より僅かに狭く設定する。この結果、摩擦材セグメントは、この突出部の支持によって、空所内に圧入されるような状態で載置される。よって、摩擦材セグメントの位置決めがより精確にできるようになる。
【0029】
この突出部を設けた実施例を図6乃至図9に示す。図6に示すようにガイド50の摩擦材セグメント32が配置される空所には、突出部57が設けられている。摩擦材セグメントに向かって半径方向に延在する突出部57の先端間に形成される空所の幅は、摩擦材セグメントの径方向幅に対して僅かに小さい。従って、摩擦材セグメント32は圧入によって空所に配置される。このため、より高い精度で摩擦材セグメントの位置決めが行える。この例では、突出部57は周方向に2個、半径方向にそれぞれ対向して合計4個設けられている。尚、この設定公差は、摩擦材セグメント32の片側に設ける場合、−0.1〜0mmの範囲が好ましく、両側に設ける場合は、−0.2〜0mmの範囲が好ましい。
【0030】
図7は、突出部の別の形態を示す図であり、半径方向に突出する突出部57と、摩擦材セグメント32に向かって、周方向に突出する突出部58とを組み合わせて、摩擦材セグメント32を位置決めしている。図7では、摩擦材セグメント32の対角上にある2つの角に突出部57と58が設けられている。図8は、突出部の更に別の形態を示す図であり、摩擦材セグメント32に関して、半径方向の突出部57が突出部58とは異なる角に設けられている。図9は、更に別の突出部の形態を示す図であり、突出部57は、摩擦材セグメント32の半径方向の対辺についてそれぞれ1個だけ設けられている。突出部57及び突出部58は、図示の位置、個数及び組み合わせに限られるものではなく、その他の形態も可能であることは言うまでもない。
【0031】
図10は、本願発明の各実施例に適用可能な摩擦板製造工程の流れを示すフローチャートである。図10において、 ステップS1で摩擦材31を不図示の摩擦材供給源に所定量ストックしておく。次に、ステップS2において、不図示の繰出し装置により摩擦材31を治具40へと供給する。更に、ステップS3で、摩擦材31から摩擦材セグメント32を打ち抜き装置5により打ち抜き、打ち抜いた摩擦材セグメント32を治具40に供給した後、摩擦材セグメント32をガイド50に位置決め圧入する。
【0032】
ステップS1−S3と並行して、摩擦材セグメント32を貼着するコアプレート21が用意される。ステップS7でコアプレート21を不図示のコアプレート供給源に所定量ストックしておく。ステップS8で、コアプレート21が搬送装置60により接着剤塗布位置に供給される。ステップS9において、仮接着用の接着剤がコアプレート21の上面、すなわち片面に塗布される。その後、ステップS10でコアプレート21は反転され、接着剤塗布面が下側にくるようになる。反転されたコアプレート21は、摩擦材セグメント32との仮接着が行われる位置に搬送され、ステップS4で、摩擦材セグメント32に対して押圧され仮接着が行われる。
【0033】
ステップS4で仮接着が行われた後、摩擦材セグメント32が仮接着されたコアプレート21は、ステップS5で不図示の排出機構により、本接着を行うステップS6に搬送される。ステップS6では、加圧及び加熱下で本接着が行われ、摩擦材セグメントがコアプレートに確実に固定された摩擦板が完成する。
【0034】
尚、コアプレート21の両面に摩擦材セグメント32を接着した摩擦板を製造する場合は、ステップS4での仮接着後に、ステップS11の排出工程によりステップS8のコアプレート供給位置まで戻す。次に、ステップS9で仮接着用の接着剤をコアプレート21の上面に塗布し(下面は既に摩擦材セグメントを接着済み)、ステップS10で反転する。その後、ステップS4において仮接着が行われ、ステップS6の本接着工程へ搬送される。この場合、ステップS8でのコアプレート供給は、ステップS7にストックされたいずれの面にも摩擦材セグメントが接着されていないものと、ステップS11から排出された片側のみに摩擦材セグメントが貼着されたものを交互に行う。
【0035】
上述の実施例では、摩擦材セグメントを4個同時に並べ、8回のインデックスにより合計32個の摩擦材セグメントを配置したが、摩擦材セグメント32の数は32個に限定されない。例えば、図1に示す摩擦材セグメント4個分の周方向長さを有する円弧状の摩擦材セグメントをコアプレート21上に配置することもできる。また、コアプレート21の1周分のインデックスの回数は、摩擦材セグメントの数や大きさに応じて任意に設定できることは言うまでもない。更に、上述の実施例ではコアプレート側を下降させ押圧接着を行っているが、逆にアームに保持されたコアプレートに対して摩擦材セグメントを所定の位置に保持した治具を上昇させ押圧することによって仮接着を行っても良い。
【符号の説明】
【0036】
5 打抜き装置
21 コアプレート
26 接着剤
31 帯状の摩擦材
32 摩擦材セグメント
40 治具
44 スプリング
50 ガイド
56 窪部
57,58 突出部
60 搬送装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動変速機等に用いられる摩擦板の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト低減要求から摩擦材の歩留まり向上を目的として摩擦材セグメントをコアプレートに貼着した摩擦板の使用が提案されており、これに伴って摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造方法及び製造装置が開発されている。
【0003】
このような、従来の製造方法及び製造装置では、所定の間隔で摩擦材を繰り出して打抜き、摩擦材セグメントを得、位置決めされたコアプレートに直接押圧接着する方法が知られている。この方法は、摩擦材の打抜きと押圧接着を同じ部材の一連の動作で行い、この動作に合わせてコアプレートを所定の角度でインデックス(回転)させていくものである。
【0004】
図11は、従来の摩擦板の製造装置を示しており、以下これについて説明する。打抜き装置100によって等ピッチづつ繰り出される摩擦材131を打抜き複数の摩擦材セグメント132を得る。一方、円テーブル110は支持台111を備え、コアプレート121の位置決めを行っている。打抜き装置100で得た摩擦材セグメント132は金型102の形状に応じてパンチ101に打ち抜かれ、コアプレート121に押圧接着される。この打抜き、押圧接着の動作に合わせて支持台111は摩擦材セグメント132が接着された範囲を所定の角度としてインデックス回動していく。この種の従来技術としては、例えば、特公平4−68491号公報、特公平4−68492号公報、特公平4−68494号公報、特開平7−151175号公報及び特開平10−318309号公報などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術において、生産効率を向上させ、短時間で多くの摩擦板を製造するには、打抜き、押圧接着、及びインデックスの動作を高速で行う必要がある。従って、これら一連の動作による押圧接着では押圧時間が短くなり、充分な接着力を得るのは難しいという問題点がある。また押圧接着後は直ちにインデックスされるため、摩擦材セグメントの位置ずれが生じ易い。従って、インデックス動作を速くして短時間で摩擦板を製造することは困難であった。
【0006】
そこで本発明は、生産効率を向上させ、製造時間を短縮できると共に、摩擦材セグメントの位置ずれを防止した摩擦板の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本願の摩擦板の製造方法は、
ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造方法であって、
前記摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布した前記コアプレートと前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行うことを特徴としている。
また、本願の摩擦板の製造装置は、
ほぼ環状のコアプレート(21)に複数の摩擦材セグメント(32)を貼着する摩擦板の製造装置であって、
貼着位置に配列した状態で保持することによって前記摩擦材セグメントの位置決めを行う治具(40)を備えたことを特徴としている。
摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤(26)を塗布したコアプレートを押圧して仮接着を行う製造方法とした。また、摩擦材セグメントに向かって延在する突出部を設けた空所に、摩擦材セグメントを圧入することで摩擦材セグメントを位置決めすることとした。
【0008】
また、製造方法を実施する装置には、貼着位置に配列した状態で摩擦材セグメントの位置決めを行う治具を備え、また治具には摩擦材セグメントを載置する保持台及び保持台に対して上下にスライドするガイドを備えている。
【発明の効果】
【0009】
以上説明した本発明の摩擦板の製造方法及び製造装置によれば、以下のような効果が得られる。
【0010】
本発明によれば、仮接着前の摩擦材セグメントの位置ずれを防止することができ、仮接着後のコアプレートのインデックス操作を行う必要がなく、また仮接着の押圧時間を長くすることができるので摩擦材セグメントの位置ずれ防止の効果が生じる。更に、本発明によれば、摩擦材セグメントを正確な位置に接着した摩擦板を得ることができ、摩擦材セグメントを治具に供給する時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明によれば、仮接着前の摩擦材セグメントの位置ずれが生じない装置を得ることができ、更に、より精度の高い位置決めを行うことができ、仮接着時にコアプレートを位置決めされた摩擦材セグメントに充分押し付けることが可能となり、仮接着用の接着剤がガイドに付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を示す摩擦板の製造装置の概略図である。
【図2】コアプレートに接着剤が塗布される様子を示す該略正面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、接着剤を塗布したコアプレートに対して、位置決めされた摩擦材セグメントを圧接着する様子を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施例のガイドの上面図である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの状態を示す拡大図である。
【図7】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの別の状態を示す拡大図である。
【図8】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの更に別の状態を示す拡大図である。
【図9】突出部による摩擦材セグメントの位置決めの更に別の状態を示す拡大図である。
【図10】本願の各実施例に適用可能な摩擦板製造工程の流れを示すフローチャートである。
【図11】従来の摩擦板の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の摩擦板の製造方法では、摩擦材セグメントを貼着位置に予め位置決めしておき、接着剤を塗布した前記コアプレートに対して前記摩擦材セグメントを押圧して仮接着を行う工程を有する。
本発明の摩擦板の製造装置では、打抜きによって得た摩擦材セグメントを所定の位置に位置決めする治具を備えている。
【0014】
前記治具は、摩擦材セグメントの外周縁を覆うガイドを備えているが、このガイドは押圧接着時にコアプレートに押圧されることによって下降する。このような機構とすることによって摩擦材セグメントの位置決めが押圧接着時まで確実に行われる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。尚、図面において同一部分は同一符号で示してある。
図1は、本発明の一実施例を示す摩擦板の製造装置の概略図である。以下、この製造装置に基づいて、本発明の摩擦材の製造方法の一実施例を説明する。尚、本発明の製造方法は、図1に示す製造装置以外の装置によっても達成可能であることは言うまでもない。
【0016】
図1を参照して、本発明の製造方法の過程を述べる。シート状または帯状の摩擦材31が等ピッチで繰り出され、この摩擦材31をプレス5で打抜いて、複数の摩擦材セグメント32を得る。プレス5は、金型2とパンチ1とからなる。摩擦材セグメント32は一旦摩擦材31に戻した後、パンチ1で押し出し、治具40の保持台42に供給する。尚、本例では4個の摩擦材セグメント32を同時に保持台42上に供給する。
【0017】
この動作を繰り返しながら治具40をインデックス(回転)させていき、摩擦板の片面分に貼着する所定枚数の摩擦材セグメント32を所定の位置で保持台42上に保持する。この時、各摩擦材セグメント32は、ほぼ等間隔かつほぼ環状に配置される。摩擦板片面分の位置決めが完了したら、次の工程に移動させ、そこで下面に仮接着用の接着剤が塗布されたほぼ環状のコアプレート21(図1では不図示)を上方から押圧する。このときの押圧時間は、摩擦材セグメント32の供給にかかるインデックス回数分行うことができる。
【0018】
本実施例では、周方向の長さの異なる摩擦材セグメント32を互いに隣接させ、環状に32枚並べている。従って、この場合、摩擦板片面分の全摩擦材セグメント32の供給に8回のインデックスを行うが、従来技術では1回のインデックス動作にかかる時間よりも長い時間押圧を行うとサイクルタイムが長くなってしまうが、本発明によれば、コアプレート21の押圧接着と摩擦材セグメント32の治具40への供給とを別工程で行うので、8回のインデックス動作と同じ時間押圧しても装置のサイクルタイムが長くなることは無い。従って、摩擦材セグメント32に対する押圧時間を長くとることができるので、コアプレート21への貼着固定がより確実になる。
【0019】
コアプレート21の両面に摩擦材を貼着するものについては、片面の仮接着が終了後反転させ、前記と同様の工程によって反対面側の仮接着も行う。仮接着後の摩擦板は次工程にて加圧・加熱による本接着が行われる。尚、前述のように摩擦材セグメント32の打ち抜きはインデックスの回数を減らすため、複数枚または複数列分同時に行うことが好ましいが、プレス1による摩擦材の打ち抜きは、一列のみの打ち抜きでもよい。
【0020】
次に、図1を参照して本発明の摩擦板の製造装置について説明する。シート状または帯状の摩擦材31を供給する繰り出し装置は省略してある。打抜き装置5はパンチ1及び金型2からなり該略のみを示している。打ち抜き装置5は公知の装置を使用できる。
【0021】
図1はまた、複数の摩擦材セグメント32を位置決めする治具40の断面を示している。治具40は所定角度でインデックスを行うベース41と、摩擦材セグメント32を載置する保持台42と、摩擦材セグメント32を案内するガイド50と、ガイド50を上方に支持するスプリング44と、によって構成される。図1では矢印方向に動作するパンチ1によって摩擦材セグメント32が供給されている状態を示している。
【0022】
上述のように摩擦材セグメント32の位置決めが行われる一方で、別の工程ではコアプレート21へ仮接着用の接着剤が塗布される。図2は、コアプレート21に接着剤が塗布される様子を示す概略正面図である。コアプレート21の接着面の、径方向ほぼ中央に接着剤26が装置25によって帯状に塗布される。摩擦材セグメント32の位置決め工程と、コアプレート21に接着剤を塗布する工程とは、同時並行に行われることが好ましいが、時差を設けて行うこともできる。
【0023】
図3(a)及び(b)は、片面(下面)に接着剤を塗布したコアプレート21に対して、位置決めされた摩擦材セグメント32を圧接着する様子を示す概略断面図である。コアプレート21は搬送装置60のアーム61に保持されている。図3(a)はこの状態を示している。この状態で搬送装置60は、位置決めされた摩擦材セグメント32の上方からコアプレート21を押圧して、コアプレート21に対して摩擦材セグメント32を仮接着する。仮接着後、所定の加熱及び加圧下で本接着が行われ、摩擦板が完成する。加熱・加圧は同時に行うことが好ましい。
【0024】
このとき、コアプレート21がガイド50の上部に接触し始めると、ガイド50を支持しているスプリング44は収縮する。つまり、ガイド50の上部は、コアプレート21が下降して接触するまでは、摩擦材セグメント32より高い位置にある、すなわち保持台42の上面はガイド50の上部より低い位置にある。搬送装置60が更に下降すると摩擦材セグメント32の上面とガイド50の上部とは同じ高さになる。図3(b)はこの状態を示している。この状態で、搬送装置60がコアプレート21を摩擦材セグメント32に対して所定の押圧力を加えた後、搬送装置60が上昇すると摩擦材セグメント32はコアプレート21に接着された状態となっているのでコアプレート21に貼着されたまま治具40から取り外すことができる。
【0025】
図4及び図5にガイド50の詳細を示す。図4は、ガイド50の上面図であり、図5は図4のA−A’断面図である。図5に示すように、ガイド50は、ほぼ環状の内周壁52と、ほぼ環状の外周壁53と、スプリング44の先端が嵌合する凹部51と、周方向に複数配置された仕切壁55と、内周壁52と連続するほぼ環状のリング部57とによって構成される。仕切壁55には窪部56があり、この窪部56は、コアプレート21の押圧接着時に接着剤がガイド50に付着しないための逃げとして設けられている。
【0026】
図4に示すように、ガイド50の仕切壁55は、図1に示すように摩擦材セグメント32の配置状況に応じて用いられる。尚、摩擦材セグメント32は、全く同一の長さのものを配列してもよく、この場合は仕切壁55は、等ピッチで円周方向に配列されることになる。
【0027】
ガイド50の内周壁52と外周壁53とで画成される環状の空間に摩擦材セグメント32が載置される保持台42が嵌合する。また、隣接する各摩擦材セグメント間には、周方向に所定の幅を有し、半径方向に貫通する複数の溝ができるが、この溝は摩擦板及び摩擦板の用いられる多板クラッチの潤滑油の潤滑路または潤滑油溜りとして機能する。
【0028】
上述の実施例に示すように、ガイド50に画成される空間、すなわち空所に摩擦材セグメント32を載置すると、空所と摩擦材セグメント間の隙間の関係で、空所内の摩擦材セグメントの位置がずれる恐れがある。そこで、ガイドの内壁に摩擦材セグメントに対して突出する突出部を設ける。突出部の先端間の幅は、摩擦材セグメントの幅より僅かに狭く設定する。この結果、摩擦材セグメントは、この突出部の支持によって、空所内に圧入されるような状態で載置される。よって、摩擦材セグメントの位置決めがより精確にできるようになる。
【0029】
この突出部を設けた実施例を図6乃至図9に示す。図6に示すようにガイド50の摩擦材セグメント32が配置される空所には、突出部57が設けられている。摩擦材セグメントに向かって半径方向に延在する突出部57の先端間に形成される空所の幅は、摩擦材セグメントの径方向幅に対して僅かに小さい。従って、摩擦材セグメント32は圧入によって空所に配置される。このため、より高い精度で摩擦材セグメントの位置決めが行える。この例では、突出部57は周方向に2個、半径方向にそれぞれ対向して合計4個設けられている。尚、この設定公差は、摩擦材セグメント32の片側に設ける場合、−0.1〜0mmの範囲が好ましく、両側に設ける場合は、−0.2〜0mmの範囲が好ましい。
【0030】
図7は、突出部の別の形態を示す図であり、半径方向に突出する突出部57と、摩擦材セグメント32に向かって、周方向に突出する突出部58とを組み合わせて、摩擦材セグメント32を位置決めしている。図7では、摩擦材セグメント32の対角上にある2つの角に突出部57と58が設けられている。図8は、突出部の更に別の形態を示す図であり、摩擦材セグメント32に関して、半径方向の突出部57が突出部58とは異なる角に設けられている。図9は、更に別の突出部の形態を示す図であり、突出部57は、摩擦材セグメント32の半径方向の対辺についてそれぞれ1個だけ設けられている。突出部57及び突出部58は、図示の位置、個数及び組み合わせに限られるものではなく、その他の形態も可能であることは言うまでもない。
【0031】
図10は、本願発明の各実施例に適用可能な摩擦板製造工程の流れを示すフローチャートである。図10において、 ステップS1で摩擦材31を不図示の摩擦材供給源に所定量ストックしておく。次に、ステップS2において、不図示の繰出し装置により摩擦材31を治具40へと供給する。更に、ステップS3で、摩擦材31から摩擦材セグメント32を打ち抜き装置5により打ち抜き、打ち抜いた摩擦材セグメント32を治具40に供給した後、摩擦材セグメント32をガイド50に位置決め圧入する。
【0032】
ステップS1−S3と並行して、摩擦材セグメント32を貼着するコアプレート21が用意される。ステップS7でコアプレート21を不図示のコアプレート供給源に所定量ストックしておく。ステップS8で、コアプレート21が搬送装置60により接着剤塗布位置に供給される。ステップS9において、仮接着用の接着剤がコアプレート21の上面、すなわち片面に塗布される。その後、ステップS10でコアプレート21は反転され、接着剤塗布面が下側にくるようになる。反転されたコアプレート21は、摩擦材セグメント32との仮接着が行われる位置に搬送され、ステップS4で、摩擦材セグメント32に対して押圧され仮接着が行われる。
【0033】
ステップS4で仮接着が行われた後、摩擦材セグメント32が仮接着されたコアプレート21は、ステップS5で不図示の排出機構により、本接着を行うステップS6に搬送される。ステップS6では、加圧及び加熱下で本接着が行われ、摩擦材セグメントがコアプレートに確実に固定された摩擦板が完成する。
【0034】
尚、コアプレート21の両面に摩擦材セグメント32を接着した摩擦板を製造する場合は、ステップS4での仮接着後に、ステップS11の排出工程によりステップS8のコアプレート供給位置まで戻す。次に、ステップS9で仮接着用の接着剤をコアプレート21の上面に塗布し(下面は既に摩擦材セグメントを接着済み)、ステップS10で反転する。その後、ステップS4において仮接着が行われ、ステップS6の本接着工程へ搬送される。この場合、ステップS8でのコアプレート供給は、ステップS7にストックされたいずれの面にも摩擦材セグメントが接着されていないものと、ステップS11から排出された片側のみに摩擦材セグメントが貼着されたものを交互に行う。
【0035】
上述の実施例では、摩擦材セグメントを4個同時に並べ、8回のインデックスにより合計32個の摩擦材セグメントを配置したが、摩擦材セグメント32の数は32個に限定されない。例えば、図1に示す摩擦材セグメント4個分の周方向長さを有する円弧状の摩擦材セグメントをコアプレート21上に配置することもできる。また、コアプレート21の1周分のインデックスの回数は、摩擦材セグメントの数や大きさに応じて任意に設定できることは言うまでもない。更に、上述の実施例ではコアプレート側を下降させ押圧接着を行っているが、逆にアームに保持されたコアプレートに対して摩擦材セグメントを所定の位置に保持した治具を上昇させ押圧することによって仮接着を行っても良い。
【符号の説明】
【0036】
5 打抜き装置
21 コアプレート
26 接着剤
31 帯状の摩擦材
32 摩擦材セグメント
40 治具
44 スプリング
50 ガイド
56 窪部
57,58 突出部
60 搬送装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ環状のコアプレートに複数の摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造装置であって、
摩擦板の片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納する位置決め治具と、
接着剤を塗布した前記コアプレートを保持及び搬送する搬送装置と、
とからなり、前記位置決め治具に対して前記搬送装置が保持するコアプレートを押圧することで前記収納した前記摩擦材セグメントの全数を同時に前記コアプレートに貼着することを特徴とする摩擦板の製造装置。
【請求項2】
前記位置決め治具は回転インデックス可能であり、前記コアプレートへの貼り付け位置に相当する配置で、前記摩擦材セグメントを所定インデックス回転すると共に摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項3】
前記位置決め治具により、摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントが収納され、前記位置決め治具が前記貼着のための位置に移動した後、前記摩擦材セグメントが前記コアプレートに押圧及び貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項4】
前記位置決め治具は、前記摩擦材セグメントの外周縁を覆うガイドを備えていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項5】
前記位置決め治具は、異なる形状の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項6】
シート状または帯状の摩擦材から、1つまたは複数の摩擦材セグメントを打ち抜く装置を有し、前記装置による打抜き後、前記摩擦材セグメントを一旦摩擦材に戻した後、前記摩擦材セグメントは、前記位置決め治具まで搬送され、パンチで押し出され前記位置決め治具に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項7】
前記コアプレートの片面に前記摩擦材セグメントを押圧貼着した後、前記コアプレートを反転させ、もう一方の面に前記摩擦材セグメントを貼着することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項8】
前記摩擦材セグメントは押圧のみで前記コアプレートに貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項9】
前記摩擦材セグメントは押圧及び加熱により前記コアプレートに貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項10】
ほぼ環状のコアプレートに複数の摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造方法であって、
摩擦板の片面分に相当する数の
前記摩擦材セグメントを、位置決め治具に設けられた保持部材の一面に円周状に予め収納しておくこと、
前記コアプレートの接着剤が塗布された表面と該保持部材の該一面とを対向させるとともに該保持部材に保持された該摩擦材セグメントの全数を同時に該コアプレートの該表面に付勢して貼着する貼着工程と、
とからなり、前記位置決め治具は回転インデックス可能であり、前記コアプレートへの貼り付け位置に相当する配置で、前記摩擦材セグメントを所定インデックス回転すると共に摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする摩擦板の製造方法。
【請求項11】
帯状摩擦材より前記摩擦材セグメントに切り取るセグメント打抜き工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項12】
前記収納工程では前記摩擦材セグメントを前記一面に向かって垂直方向に収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項13】
前記収納工程では、少なくとも1個の前記摩擦材セグメントを収納した後、円周方向に順次次の該摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項14】
前記収納工程は個々の前記摩擦材セグメントを供給する供給部に対して該摩擦材セグメントを収納した後、前記保持部材を回転させて該供給部に位置決めする位置決め工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項15】
前記貼着工程は前記保持部材に相対移動可能に収納された前記摩擦材セグメントを付勢して貼着する工程であることを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項16】
前記収納工程では前記摩擦材セグメントをその表面と垂直方向に付勢して収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項17】
前記収納工程では、少なくとも2個以上の前記摩擦材セグメントを同時に収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項18】
前記貼着工程では複数個の前記摩擦材セグメントを同時に貼着することを特徴とする請求項15に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項19】
複数個の摩擦材セグメントを円周状に収納する一面を持つ保持部材と、前記摩擦材セグメントを前記保持部材に収納する第1部材と、接着剤が塗布された貼着表面を有するコアプレートを支持する支持部材と、前記貼着表面と前記一面とが対向した位置において、前記保持部材に保持された前記摩擦材セグメントを付勢して前記支持部材に支持された前記コアプレートに貼着する第2部材と、を有することを特徴とする摩擦板の製造装置。
【請求項20】
帯状摩擦材より前記摩擦材セグメントに切り取るセグメント打抜き部材を含むことを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項21】
前記第1部材は前記摩擦材セグメントを前記一面に向かって垂直方向に収納することを特徴とする請求項20に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項22】
前記保持部材と前記第1部材とは少なくとも1個の前記摩擦材セグメントを前記保持部材に収納した後、円周方向に順次次の該摩擦材セグメントを収納するように協同することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項23】
前記保持部材は回転可能であり、該保持部材は前記第1部材が個々の前記摩擦材セグメントを供給する供給部に対して該摩擦材セグメントを収納した後、回転して該供給部に位置決めすることを特徴とする請求項22に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項24】
前記第2部材は前記保持部材に相対移動可能に保持されていることを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項25】
前記第1部材は前記摩擦材セグメントをその表面と垂直方向に収納することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項26】
前記第1部材は少なくとも2個以上の前記摩擦材セグメントを同時に収納することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項27】
前記供給部は前記保持部材に形成されたリング状凹部に沿って配置されていることを特徴とする請求項23に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項28】
前記第2部材は複数個の前記摩擦材セグメントを同時に貼着することを特徴とする請求項25に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項1】
ほぼ環状のコアプレートに複数の摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造装置であって、
摩擦板の片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納する位置決め治具と、
接着剤を塗布した前記コアプレートを保持及び搬送する搬送装置と、
とからなり、前記位置決め治具に対して前記搬送装置が保持するコアプレートを押圧することで前記収納した前記摩擦材セグメントの全数を同時に前記コアプレートに貼着することを特徴とする摩擦板の製造装置。
【請求項2】
前記位置決め治具は回転インデックス可能であり、前記コアプレートへの貼り付け位置に相当する配置で、前記摩擦材セグメントを所定インデックス回転すると共に摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項3】
前記位置決め治具により、摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントが収納され、前記位置決め治具が前記貼着のための位置に移動した後、前記摩擦材セグメントが前記コアプレートに押圧及び貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項4】
前記位置決め治具は、前記摩擦材セグメントの外周縁を覆うガイドを備えていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項5】
前記位置決め治具は、異なる形状の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項6】
シート状または帯状の摩擦材から、1つまたは複数の摩擦材セグメントを打ち抜く装置を有し、前記装置による打抜き後、前記摩擦材セグメントを一旦摩擦材に戻した後、前記摩擦材セグメントは、前記位置決め治具まで搬送され、パンチで押し出され前記位置決め治具に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項7】
前記コアプレートの片面に前記摩擦材セグメントを押圧貼着した後、前記コアプレートを反転させ、もう一方の面に前記摩擦材セグメントを貼着することを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項8】
前記摩擦材セグメントは押圧のみで前記コアプレートに貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項9】
前記摩擦材セグメントは押圧及び加熱により前記コアプレートに貼着されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項10】
ほぼ環状のコアプレートに複数の摩擦材セグメントを貼着する摩擦板の製造方法であって、
摩擦板の片面分に相当する数の
前記摩擦材セグメントを、位置決め治具に設けられた保持部材の一面に円周状に予め収納しておくこと、
前記コアプレートの接着剤が塗布された表面と該保持部材の該一面とを対向させるとともに該保持部材に保持された該摩擦材セグメントの全数を同時に該コアプレートの該表面に付勢して貼着する貼着工程と、
とからなり、前記位置決め治具は回転インデックス可能であり、前記コアプレートへの貼り付け位置に相当する配置で、前記摩擦材セグメントを所定インデックス回転すると共に摩擦板片面分に相当する数の前記摩擦材セグメントを収納することを特徴とする摩擦板の製造方法。
【請求項11】
帯状摩擦材より前記摩擦材セグメントに切り取るセグメント打抜き工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項12】
前記収納工程では前記摩擦材セグメントを前記一面に向かって垂直方向に収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項13】
前記収納工程では、少なくとも1個の前記摩擦材セグメントを収納した後、円周方向に順次次の該摩擦材セグメントを収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項14】
前記収納工程は個々の前記摩擦材セグメントを供給する供給部に対して該摩擦材セグメントを収納した後、前記保持部材を回転させて該供給部に位置決めする位置決め工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項15】
前記貼着工程は前記保持部材に相対移動可能に収納された前記摩擦材セグメントを付勢して貼着する工程であることを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項16】
前記収納工程では前記摩擦材セグメントをその表面と垂直方向に付勢して収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項17】
前記収納工程では、少なくとも2個以上の前記摩擦材セグメントを同時に収納することを特徴とする請求項10に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項18】
前記貼着工程では複数個の前記摩擦材セグメントを同時に貼着することを特徴とする請求項15に記載の摩擦板の製造方法。
【請求項19】
複数個の摩擦材セグメントを円周状に収納する一面を持つ保持部材と、前記摩擦材セグメントを前記保持部材に収納する第1部材と、接着剤が塗布された貼着表面を有するコアプレートを支持する支持部材と、前記貼着表面と前記一面とが対向した位置において、前記保持部材に保持された前記摩擦材セグメントを付勢して前記支持部材に支持された前記コアプレートに貼着する第2部材と、を有することを特徴とする摩擦板の製造装置。
【請求項20】
帯状摩擦材より前記摩擦材セグメントに切り取るセグメント打抜き部材を含むことを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項21】
前記第1部材は前記摩擦材セグメントを前記一面に向かって垂直方向に収納することを特徴とする請求項20に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項22】
前記保持部材と前記第1部材とは少なくとも1個の前記摩擦材セグメントを前記保持部材に収納した後、円周方向に順次次の該摩擦材セグメントを収納するように協同することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項23】
前記保持部材は回転可能であり、該保持部材は前記第1部材が個々の前記摩擦材セグメントを供給する供給部に対して該摩擦材セグメントを収納した後、回転して該供給部に位置決めすることを特徴とする請求項22に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項24】
前記第2部材は前記保持部材に相対移動可能に保持されていることを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項25】
前記第1部材は前記摩擦材セグメントをその表面と垂直方向に収納することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項26】
前記第1部材は少なくとも2個以上の前記摩擦材セグメントを同時に収納することを特徴とする請求項19に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項27】
前記供給部は前記保持部材に形成されたリング状凹部に沿って配置されていることを特徴とする請求項23に記載の摩擦板の製造装置。
【請求項28】
前記第2部材は複数個の前記摩擦材セグメントを同時に貼着することを特徴とする請求項25に記載の摩擦板の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225511(P2012−225511A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157459(P2012−157459)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2009−152534(P2009−152534)の分割
【原出願日】平成11年7月7日(1999.7.7)
【出願人】(000102784)NSKワーナー株式会社 (149)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2009−152534(P2009−152534)の分割
【原出願日】平成11年7月7日(1999.7.7)
【出願人】(000102784)NSKワーナー株式会社 (149)
【Fターム(参考)】
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