説明

摩耗試験装置

【課題】 荷重をかけた状況でのゴムロールの摩耗状況の評価に加え、所定の状態でゴムロールに相手側の部材を食い込ませた状況でのゴムロールの摩耗の評価を行うことができる摩耗試験装置を提供する。
【解決手段】 被試験ロール2に対して軸心が平行な状態で所定の荷重を付加して接触する機能と被試験ロール2に軸心が平行な状態で軸心間距離が所定の距離で接触する機能とが選択されるフリーロール3を備え、被試験ロール2とフリーロール3により試験紙50を挟んだ状態で、被試験ロール2を所定時間駆動回転させ、実機に即した状態で被試験ロール2を摩耗させて摩耗状態を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムロールの摩擦の状況を測定する摩擦状況測定装置に関し、特に、複写機、プリンター、現金預け払い機、自動改札機等、機器内で紙類を搬送及び紙類のカール取り等に用いられるゴムロールの摩耗状況を測定する摩耗試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の機器の構成部品であるゴムロールは、用紙を1枚ずつ搬送(給紙)するものであり、ゴムロールを用いた給紙の機構は様々である。例えば、給紙ロールによって用紙をサバキ爪に押し当てるコーナーセパレート方式や、分離パッドと給紙ロールの間で用紙を送り出すフリクションパッド方式や、給紙ベルトを用いて用紙を送り出すベルトフリクション方式や、互いに逆方向に回転する分離ロールと給紙ロールの間で用紙を送り出すフィードリバース方式等が知られている。
【0003】
給紙ロールは用紙を所定時間搬送すると摩耗が発生し、搬送性能が低下する。種々の給紙の機構が存在するため、摩耗状況や要求される耐摩耗性の状況も給紙の機構によって様々である。このため、給紙ロールの摩耗状況の推移や耐摩耗性を把握し、適用する機器に最適なゴムロールの性能を決定したり改善することは機器の開発や使用に不可欠となっている。
【0004】
そこで、従来から、ゴムロールの外表面に研磨砥石を押し当ててゴムロールを研削し、ゴムロールの外周を積極的に摩耗させて重量の変化により摩耗状況を評価することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。従来のゴムロールの評価試験は、研磨砥石ゴムロールの外周を積極的に摩耗させるので、短時間に摩耗状態を再現して摩耗状況を評価することができる。
【0005】
ところで、給紙機構や紙の種類も多種類にわたるようになってきており、給紙ロール(ゴムロール)の硬度や摩擦力等の要求仕様も様々になってきている。例えば、給紙ロールの位置を固定して相手側のロールに一定量食い込ませ、食い込み状況にあるロールの間に紙を通してカールを除去するためのカール取りロールが備えられた機器も存在する。また、摩耗の状況により紙粉の発生状況が異なり、摩耗状況を詳細に把握する要求が高まってきている。
【0006】
従来の技術では、短時間にゴムロールの摩耗状態を再現することはできるものの、硬度や摩擦力等が異なる給紙ロールや食い込み状態で使用されるカール取りロール等、ゴムロールの種類や使用状況に応じて摩耗状態を得ることができず、実機の使用状況に応じた摩耗状態は得られないのが現状であった。
【0007】
【特許文献1】特開平8−178815号公報
【特許文献2】特開平8−233716号公報
【特許文献3】特開平9−126969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、時間をかけることなく実機の使用状況に即した摩耗状態を得ることができる摩耗試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、被試験ロールの外周面に所定の荷重を付加した状態で接触する接触部材を備え、所定の荷重が付加された状態で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0010】
第1の態様では、使用状態に応じた所定の荷重を付加し、荷重が付加された状態で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させることで、使用状態に応じた摩耗状態を得ることができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の第2の態様は、被試験ロールの外周面に所定の押付け間隔で接触する接触部材を備え、所定の押付け間隔で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0012】
第2の態様では、使用状態に応じた所定の押付け間隔で接触部材に当接させ、所定の押付け間隔で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させることで、使用状態に応じた摩耗状態を得ることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の摩耗試験装置において、接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態の固定ロールであることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0014】
第3の態様では、固定ロールに対して接触した被試験ロールの摩耗状態を得ることができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1または第2の態様に記載の摩耗試験装置において、接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で回転自在な回転ロールであることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0016】
第4の態様では、回転ロールに対して接触した被試験ロールの摩耗状況を得ることができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1または第2の態様に記載の摩耗試験装置において、接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で回転自在な回転ロールと、被試験ロールと回転ロールの間に挟まれる試験シートとからなることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0018】
第5の態様では、回転ロールとの間に試験シートを挟んだ状態で被試験ロールの摩耗状況を得ることができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の摩耗試験装置において、試験シートは、研磨シートであることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0020】
第6の態様では、研磨シートを挟んだ状態で研削しながら短い時間で被試験ロールを摩耗させて摩耗状況を得ることができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第5または第6の態様に記載の摩擦試験装置において、試験シートは被試験ロールと回転ロールとの間で搬送される方向に移動自在に支持され、被試験ロールの周速度よりも遅い速度で試験シートを搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0022】
第7の態様では、試験シートを被試験ロールの周速度よりも遅い速度で搬送させ、常に新しい部位の試験シートを当接させて摩耗状態を得ることができる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明の第8の態様は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で接触自在な回転ロールと、被試験ロールと回転ロールの間に所定の荷重を与えるための荷重付与手段と、荷重付与手段により所定の荷重が付加された状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段とを備え、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの径の変化により摩耗状態を評価することを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0024】
第8の態様では、荷重付与手段で使用状態に応じた所定の荷重が付加された状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させることで、使用状態に応じた摩耗状態を得ることができる。
【0025】
上記目的を達成するための本発明の第9の態様は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で接触自在な回転ロールと、被試験ロールと回転ロールを所定の押付け間隔で接触させるための接触付与手段と、接触付与手段により所定の押付け間隔で接触部材に当接された被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段とを備え、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの重量の変化により摩耗状態を評価することを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0026】
第9の態様では、接触付与手段で使用状態に応じた所定の押付け間隔で回転ロールに被試験ロールを接触させ、所定の押付け間隔で接触する被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させることで、使用状態に応じた摩耗状態を得ることができる。
【0027】
上記目的を達成するための本発明の第10の態様は、基台に支持される被試験ロールと、基台に昇降自在に支持されるベース台と、ベース台に対して揺動自在に支持される支持アームと、支持アームの一端に回転自在に支持され軸心が平行な状態で被試験ロールに接触する回転ロールと、支持アームの揺動状況を調整して無負荷の状態で回転ロールを被試験ロールに接触させる定荷重調整機構と、定荷重調整機構で調整された状態の回転ロールに荷重を付与して被試験ロールに対して所定の荷重を与える荷重付与手段と、支持アームの揺動状況を調整して所定の押付け間隔で回転ロールを被試験ロールに接触させる定位置調整機構と、定荷重調整機構及び定位置調整機構の動作を選択する選択手段と、選択手段により定荷重調整機構が選択されて被試験ロールに所定の荷重が与えられた際に、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる一方、選択手段により定位置調整機構が選択された際に、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段とを備え、定荷重調整機構が選択された際に、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの径の変化により摩耗状態を評価する一方、定位置調整機構が選択された際に、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの重量の変化により摩耗状態を評価することを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0028】
第10の態様では、選択手段により定荷重調整機構が選択されて荷重付与手段により被試験ロールに所定の荷重が与えられた際に、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させ、被試験ロールの径の変化により摩耗状態を評価する。一方、選択手段により定位置調整機構が選択された際に、支持アームの揺動状況を調整して所定の押付け間隔で回転ロールを被試験ロールに接触させ、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させ、被試験ロールの重量の変化により摩耗状態を評価する。
【0029】
本発明の第11の態様は、第10の態様に記載の摩耗試験装置において、試験シートは被試験ロールと回転ロールとの間で搬送される方向に移動自在に支持され、被試験ロールの周速度よりも遅い速度で試験シートを搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0030】
第11の態様では、試験シートを被試験ロールの周速度よりも遅い速度で搬送させ、常に新しい部位の試験シートを当接させて摩耗状態を得ることができる。
【0031】
本発明の第12の態様は、第11の態様に記載の摩耗試験装置において、搬送手段で搬送される試験シートは繰り出しロールに巻回されていることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0032】
第12の態様では、繰り出しロールに巻回された試験シートを繰り出して試験シートを搬送することができる。
【0033】
本発明の第13の態様は、第11の態様に記載の摩耗試験装置において、搬送手段で搬送される試験シートは無端状の研磨シートであることを特徴とする摩耗試験装置にある。
【0034】
第13の態様では、研磨シートを挟んだ状態で研削しながら短い時間で被試験ロールを摩耗させて摩耗状況を得ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の摩耗試験装置は、時間をかけることなく実機の使用状況に即した摩耗状態を得ることができる摩耗試験装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の摩耗試験装置は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で所定の荷重を付与して接触する機能と被試験ロールに軸心が平行な状態で軸心間距離が所定の距離で接触する機能とが選択される接触部材(回転ロール)としてのフリーロールを備え、所定の荷重が付加された被試験ロールとフリーロールが接触している状態で被試験ロールを駆動回転させる駆動手段を備えたものである。
【0037】
そして、所定の荷重が付加された状態で接触している被試験ロールとフリーロールの間で試験シートを挟み、駆動手段により被試験ロールを駆動回転させると共に試験シートを被試験ロールの周速度よりも遅い速度で搬送状態にして被試験ロールを摩耗させ、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの径の変化により摩耗状況を評価する。
【0038】
また、軸心間距離が所定の距離で接触している被試験ロールとフリーロールの間で試験シートを挟み、駆動手段により被試験ロールを駆動回転させると共に試験シートを被試験ロールの周速度よりも遅い速度で搬送状態にして被試験ロールを摩耗させ、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの重量の変化により摩耗状況を評価する。
【0039】
このため、1台の装置で、フリーロールを介して荷重をかけた状況での被試験ロールの摩耗状況の評価に加え、所定の状態でフリーロールを被試験ロールに食い込ませた状況での摩耗の評価を行うことができる。
【0040】
図1乃至図5に基づいて本発明の第1実施形態例を具体的に説明する。
【0041】
図1には本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の斜視、図2には本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の側面視、図3には本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の平面視、図4には定荷重状態での摩耗状況の結果、図5には定変位での摩耗状況の結果を示してある。
【0042】
図1乃至図3に基づいて摩耗試験装置を説明する。
【0043】
図に示すように、基台1には駆動回転可能な被試験ロール2が支持されると共に、被試験ロール2に軸心が平行な状態で接触自在なフリーロール3が設けられている。フリーロール3は昇降自在なベース台4に支持アーム5を介して支持され、支持アーム5は定荷重調整機構6によって揺動状態が調整され、フリーロール3が無負荷の状態で被試験ロール2に接触する。フリーロール3には分銅10が載置可能な支持枠8が設けられ、定荷重調整機構6で調整された状態のフリーロール3の支持枠8に分銅10を載置することにより、被試験ロール2に対して所定の荷重(分銅10の重量)を与えることができる(荷重付与手段)。
【0044】
この時、フリーロール3は被試験ロール2に接触して連れ周りするようになっているが、フリーロール3を逆方向に駆動させることも可能である。
【0045】
また、支持アーム5の揺動状況を調整して定位置でフリーロール3を被試験ロール2に接触させる定位置調整機構9が備えられ、定位置調整機構9は分銅10による荷重が付加されていない状態の支持アーム5を拘束し、被試験ロール2に対してフリーロール3を押し付ける状態に支持アーム5を揺動させる。そして、定荷重調整機構6を機能させる際には支持アーム5の拘束を解放するようになっている(選択手段)。
【0046】
一方、基台1には試験シートである試験紙50が巻回されたロール51が回転自在に支持され、ロール51から試験紙50が繰り出され、試験紙50が被試験ロール2とフリーロール3の間に挟まれるようになっている。ロール51の繰り出し側における基台1には一対の搬送ロール52、53が備えられ、一対の搬送ロール52、53に挟まれた試験紙50が被試験ロール2及びフリーロール3側に搬送される。一対の搬送ロール52、53と被試験ロール2及びフリーロール3の間の試験紙50の搬送経路には、一対の搬送ロール52、53に対して試験紙50を真っ直ぐに案内するガイド部材54が支柱59に支持されて配置されている。
【0047】
被試験ロール2及びフリーロール3に試験紙50が挟まれた状態で、被試験ロール2を所定の時間の間駆動回転させて被試験ロール2を摩耗させ、摩耗の状況が評価される。この時、所定の重さの分銅10により荷重を与えることで、定荷重状態における被試験ロール2の摩耗の状態が得られる。また、定荷重調整機構6を機能させて被試験ロール2に対してフリーロール3を押し付ける状態に支持アーム5を揺動させることで定位置状態における被試験ロール2の摩耗の状態が得られる。そして、被試験ロール2の周速度よりも遅い速度で試験紙50を搬送することで、常に、試験紙50の新しい部位を被試験ロール2とフリーロール3の間に挟むことができる。
【0048】
定荷重状態で被試験ロール2を摩耗させた場合、例えば、被試験ロール2の径の変化により摩耗を評価する。また、定位置状態で被試験ロール2を摩耗させた場合、例えば、被試験ロール2の重量の変化により摩耗を評価する。
【0049】
摩耗試験装置を詳細に説明する。
【0050】
基台1には支持柱21が設けられ、支持柱21には被試験ロール2の中心軸2aの一端を支持する支持軸22が軸方向に移動自在に設けられている。また、基台1には駆動モータ23が設けられ、駆動モータ23の駆動軸に被試験ロール2の中心軸2aの他端が支持される。支持軸22を軸方向に移動させることにより被試験ロール2の着脱が行える。
【0051】
基台1には昇降自在なベース台4が設けられている。ベース台4はねじ軸24の上端に固定され、ねじ軸24の下方は回転が規制された状態で昇降可能に支持部材25に支持されている。支持部材25にはねじ軸24に螺合するナット材26が設けられ、レバー27を介してナット材26を回動させることによりねじ軸24が昇降し、ベース台4がねじ軸24と共に昇降する。図中28はベース台4を水平に昇降させるためのスライドガイドである。
【0052】
ベース台4には揺動ガイド31が固定され、揺動ガイド31には被試験ロール2の軸方向に沿って平行に延びる中心軸周りで揺動する支持アーム5が支持されている。支持アーム5の先端(図2、図3中右端)にはフリーロール3が回転自在に支持されている。フリーロール3の上方には支持枠8が配され、支持枠8の両端部においてフリーロール3の軸端が回転自在に支持される。支持枠8の両端部は開閉自在に構成され、両端部8を開閉することによりフリーロール3の交換を容易に行うことができる。支持枠8の上面には分銅10が載置されるようになっており、分銅10を支持枠8の上面に置くことにより、分銅10の重量でフリーロール3によって被試験ロール2に荷重を与えることができる。
【0053】
一方、揺動中心を挟んで支持アーム5の他端には調整ねじ軸34が設けられ、調整ねじ軸34には錘35が螺合している。錘35を回転させることにより、調整ねじ軸34に対する錘35の長手方向の位置が調整され、支持アーム5の揺動状態をバランスさせてフリーロール3を無負荷の状態で被試験ロール2に接触させることができる(定荷重調整機構)。バランスの状況(水平の状況)は、例えば、支持アーム5に水準器を載せて平行状態を確認する等により容易に確認することができる。予め支持アーム5に水準器を取り付けておくことも可能である。
【0054】
支持アーム5の揺動中心と支持枠8との間に位置するベース台4には、支持アーム5の両側(図3中上下)に位置して固定枠部材36が設けられ、一方の固定枠部材36(図3中下側)の上端には固定枠37の一端が回動自在に支持されている。固定枠37の他端は他方の固定枠部材(図3中上側)の上端に止め具38を介して取り付けられるようになっている。固定枠37を回動して止め具38を介して他方の固定枠部材36に他端を取り付けることにより支持アーム5の上方側に固定枠37が配される。
【0055】
固定枠37には押しねじ39が設けられ、押しねじ39をねじ込むことにより押しねじ39の先端が支持アーム5に当接し、支持アーム5が拘束される。押しねじ39を更にねじ込むことで、支持アーム5を下側に揺動させることができ、即ち、支持アーム5を位置決め揺動させて揺動状況を調整することができ、フリーロール3を定位置で被試験ロール2に接触させることができる。押しねじ39のねじ込み量は目盛部材40により読み取ることができ、被試験ロール2に対するフリーロール3の食い込み量を定量的に把握することができる(定位置調整機構)。
【0056】
止め具38を外して固定枠37を回動させることにより、支持アーム5の拘束を解放することができる。この状態で、定荷重調整機構を機能させてフリーロール3を無負荷の状態で被試験ロール2に接触させるように揺動状態をバランスさせることができ、分銅10を置くことによりフリーロール3によって被試験ロール2に荷重をかけることができる。つまり、定位置調整機構を構成する固定枠37の回動により定荷重調整機構と定位置調整機構の作動を選択する選択手段が構成されている。
【0057】
試験紙50が巻回されているロール51は繰り出し台56に回転自在に支持され、ロール51の繰り出し側における基台1には一対の搬送ロール52、53が回転支持台57に回転自在に支持されている。上側の搬送ロール52の軸端には駆動モータ58が連結され、駆動モータ58の駆動により一対の搬送ロール52、53が互いに逆方向に回転して試験紙50を被試験ロール2及びフリーロール3側に搬送する。駆動モータ58の回転速度は、試験紙50が微小に移動する(例えば、5mm/min)速度になるようにされ、駆動モータ23の駆動による被試験ロール2の回転速度よりも遅くなるように設定されている。
【0058】
定荷重での被試験ロール2の摩耗試験の状況を説明する。
【0059】
定荷重での試験の場合、止め具38を外して固定枠37を回動させ、支持アーム5を揺動自在な状態にする。錘35を調整して調整ねじ軸34の任意の位置に錘35を移動させ、フリーロール3が無負荷で被試験ロール2に接触する状態に支持アーム5をバランスさせる。この状態で、所望の荷重に応じた重さの分銅10を支持枠8に載せることで、フリーロール3を介して所定の荷重を被試験ロール2にかけることができる。
【0060】
所定の荷重を被試験ロール2にかけた状態で、ロール51から繰り出されて搬送ロール52、53で搬送される試験紙50を被試験ロール2とフリーロール3の間に挟みこみ、駆動モータ23の駆動により被試験ロール2を駆動回転させて試験紙50に接触された被試験ロール2を摩耗させる。
【0061】
この時、駆動モータ58による搬送ロール52の微小回転駆動により試験紙50が微小速度で搬送され、被試験ロール2の駆動回転による試験紙50の搬送力に対して制動が働いた状態で被試験ロール2が試験紙50に接触する。このため、所定の摩耗状態を確保して常に新しい部位の試験紙50を被試験ロール2に接触させることができ、直接被試験ロール2の摩耗に関わらない紙粉等の影響を排除して被試験ロール2を摩耗させることができる。
【0062】
試験紙50に接触している被試験ロール2を所定時間連続して駆動回転させ、外径の変化(減少)により被試験ロール2の摩耗を評価する。従って、給紙ロールや搬送ロール等に適用される被試験ロール2の摩耗状況を実機に即した状態で評価することが可能になる。
【0063】
尚、上述した実施形態例では、接触部材として回転自在なフリーロール3と間に挟まれる試験紙50を例に挙げて説明したが、回転が固定された状態のロールを用いて試験紙50を介在させずに被試験ロール2に接触させることも可能である。
【0064】
図4に基づいて被試験ロール2の摩耗試験状況を具体的に説明する。
【0065】
被試験ロール2として、以下のロール発泡体を用いた。カプロラクトン系ポリウレタンプレポリマー(RV2600:大日本インキ化学工業株式会社製)100重量部に、整泡剤、老化防止剤を添加し、メカニカルフロスで5分間攪拌した。その後、硬化剤として、鎖延長剤1,6−へキサンジオール/架橋剤ポリカプロラクトントリオール(PCL320:ダイセル化学工業株式会社製)=70/30の混合物を33.9重量部と、水0.05重量部とを混合し、メカニカルフロスで3分間攪拌したものを、120℃に加熱した金型に発泡密度0・4g/cmとなるように注型し、50分後に取り出した。得られたロールを研磨、突切りし、外径φ27mm×内径φ17mm×幅24mmのロール発泡体を得た。
【0066】
試験条件は、荷重400gf、被試験ロール2の回転速度300rpm、普通用紙を用いて常温常湿(22℃、55%Rh)の試験環境で摩耗試験を実施した。150分連続して摩耗試験を行い、被試験ロール2の外径の変化状況を図4に示した。
【0067】
図4に示すように、時間の経過と共に被試験ロール2の外径は漸減し、150分後には、例えば、27mmのものが、100分の20mm程度減少した。即ち、被試験ロール2の外径が、30分後には100分の3mm程度減少し、60分後には100分の6mm程度減少し、90分後には100分の10mm程度減少し、120分後には100分の15mm程度減少し、150分後には100分の20mm程度減少したことが確認された。
【0068】
このように、被試験ロール2は時間の経過と共に外径が漸減することが確認され、外径の漸減の状況等に応じて定荷重における被試験ロール2の摩耗状況を評価することができる。
【0069】
定位置での被試験ロール2の摩耗試験の状況を説明する。
【0070】
所定の状態でフリーロール3を被試験ロール2に食い込ませる場合、固定枠37を回動させて止め具38により固定枠37を固定枠部材36に固定し、押しねじ39を支持アーム5に当接させて支持アーム5の揺動を拘束する。
【0071】
押しねじ39をねじ込んで支持アーム5を下側に揺動させ、支持アーム5を位置決め揺動させて揺動状況(食い込み量)を調整する。押しねじ39のねじ込み量(食い込み量)は目盛部材40により読み取られ、被試験ロール2に対するフリーロール3の食い込み量、即ち、被試験ロール2とフリーロール3の軸間距離を所定の距離に設定する。
【0072】
被試験ロール2に対するフリーロール3の食い込み量を所定の状態に設定した状態で、ロール51から繰り出されて搬送ロール52、53で搬送される試験紙50を被試験ロール2とフリーロール3の間に挟みこみ、駆動モータ23の駆動により被試験ロール2を駆動回転させて試験紙50に接触された被試験ロール2を摩耗させる。
【0073】
この時、駆動モータ58による搬送ロール52の微小回転駆動により試験紙50が微小速度で搬送され、被試験ロール2の駆動回転による試験紙50の搬送力に対して制動が働いた状態で被試験ロール2が試験紙50に接触する。このため、所定の摩耗状態を確保して常に新しい部位の試験紙50を被試験ロール2に接触させることができ、直接被試験ロール2の摩耗に関わらない紙粉等の影響を排除して被試験ロール2を摩耗させることができる。
【0074】
試験紙50に接触している被試験ロール2を所定時間連続して駆動回転させ、摩耗重量と比重の関係から摩耗量を求め、被試験ロール2の摩耗を評価する。従って、カール取りロール等に適用される被試験ロール2の摩耗状況を実機に即した状態で評価することが可能になる。
【0075】
図5に基づいて被試験ロール2の摩耗試験状況を具体的に説明する。
【0076】
被試験ロール2として、以下のロール発泡体を用いた。EPDM100重量部、シリカ15重量部、酸化亜鉛5重量部、ステアリン酸1重量部、ポリエチレングリコール1重量部、加硫促進剤5重量部、硫黄1重量部、発泡剤8重量部を配合し、発泡倍率2.4倍で加硫発泡し、外径φ22mm×内径φ10mm×幅22mmのロール発泡体を得た。
【0077】
試験条件は、被試験ロール2の回転速度270rpm、純正ロール紙を用いて用紙送り速度を1mm/sec、フリーロール3として外径φ10mm、食い込み量1mm、常温常湿(22℃、50%Rh)の試験環境で摩耗試験を実施した。120分連続して摩耗試験を行い、被試験ロール2の摩耗粉の重量(g)を被試験ロール2の比重(g/cm)で除した値を摩耗量(cm)とした。摩耗量(cm)の変化状況を図5に示した。
【0078】
図5に示すように、時間の経過と共に被試験ロール2の摩耗量は増加し、120分後には、例えば、0.182(cm)となった。即ち、被試験ロール2の摩耗量(cm)が、30分後には1000分の8(cm)となり、60分後には1000分の39(cm)となり、90分後には1000分の113(cm)となり、120分後には1000分の182(cm)となったことが確認された。
【0079】
このように、被試験ロール2は時間の経過と共に摩耗量(cm)が増加することが確認され、摩耗量(cm)の増加の状況等に応じて定位置における被試験ロール2の摩耗状況を評価することができる。
【0080】
上述したように、1台の摩耗試験装置により、定荷重状態及び定位置状態での被試験ロール2の摩耗状況を得ることができ、定荷重及び定位置における被試験ロール2の摩耗状況を1台の装置で評価することができる。この結果、実機に対して極めて近い状況での摩耗試験が可能になる。実機に対して極めて近い状況での摩耗試験が可能になることで、特に、ゴムやスポンジ、ウレタン、EPDM等の柔らかいロールに対して、延び、圧縮、脱脂状況等を相関させて摩耗の状況を評価することが可能になる。
【0081】
図6乃至図8に基づいて本発明の第2実施形態例を説明する。
【0082】
図6には本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の斜視、図7には本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の側面視、図8には本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の平面視を示してある。
【0083】
第2実施形態例に係る摩耗試験装置は、無端状の研磨布を被試験ロール2とフリーロール3の間に挟んで加速的な試験を可能にした構成である。即ち、図1乃至図3に示した第1実施形態例における試験紙50のロール51、搬送ロール52、53、ガイド部材54に代えて、研磨シートとしての無端状の研磨布を備えた構成となっている。このため、第1実施形態例と同一部材(被試験ロール2、フリーロール3を支持する機構である定荷重調整機構6や定位置調整機構9)には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0084】
図に示すように、被試験ロール2とフリーロール3の間には無端状の研磨布71が備えられ、研磨布71の研磨面(内周面)が被試験ロール2の外周面に接触するようになっている。研磨布71は送り機構72によって被試験ロール2の周速度よりも遅い速度で送られる。即ち、被試験ロール2とフリーロール3の下側における基台1には一対の駆動ロール73、74が支持され、一対の駆動ロール73、74にはそれぞれ研磨布71の内側(研磨面側)から研磨布71を挟んで駆動ロール73、74に接触する従動ロール75、76が備えられている。駆動ロール73、74にはそれぞれ駆動モータ77、78が連結されている。そして、無端状の研磨布71は、被試験ロール2とフリーロール3の入側、出側に上下一対に設けられた案内ロール81、82により、所定の張力が保たれた状態で移動が案内されている。
【0085】
尚、研磨布71を無端状にしたことにより繰り返し研磨面を使用できる構成にしたが、シート状の研磨布を用いて研磨面を順次移動させる構成にすることも可能である。
【0086】
定荷重での被試験ロール2の摩耗試験の状況を説明する。
【0087】
定荷重での試験の場合、第1実施形態例と同様に、フリーロール3が無負荷で被試験ロール2に接触する状態に支持アーム5をバランスさせる。この状態で、所望の荷重に応じた重さの分銅10を支持枠8に載せることで、フリーロール3を介して研磨布71を挟んだ被試験ロール2に所定の荷重をかけることができる。
【0088】
研磨布71を挟んだ被試験ロール2に所定の荷重をかけた状態で、駆動モータ23の駆動により被試験ロール2を駆動回転させて研磨布71に接触された被試験ロール2を摩耗させる。この時、駆動モータ77、78による駆動ロール73、74の微小回転駆動により研磨布71が微小速度で搬送され、被試験ロール2の駆動回転による研磨布71の搬送力に対して制動が働いた状態で被試験ロール2が研磨布71の研磨面に接触する。このため、研磨面による研磨を働かせた状態の高速の摩耗状態を確保して研磨布71を被試験ロール2に接触させることができ、加速的な摩耗状態を再現して被試験ロール2を摩耗させることができる。このため、脱脂状況等による油膜などの影響を最小限に抑え被試験ロール2を摩耗させることができる。
【0089】
研磨布71に接触している被試験ロール2を所定時間連続して駆動回転させ、外径の変化(減少)により被試験ロール2の摩耗を評価する。従って、給紙ロールや搬送ロール等に適用される被試験ロール2の摩耗状況を加速的に実機に即した状態で評価することが可能になる。
【0090】
定位置での被試験ロール2の摩耗試験の状況を説明する。
【0091】
所定の状態でフリーロール3を被試験ロール2に食い込ませる場合、第1実施形態例と同様に、押しねじ39を支持アーム5に当接させて支持アーム5の揺動を拘束する。押しねじ39をねじ込んで支持アーム5を下側に揺動させ、支持アーム5を位置決め揺動させて揺動状況(食い込み量)を調整し、フリーロール3の食い込み量、即ち、研磨布71を挟んだ被試験ロール2とフリーロール3の軸間距離を所定の距離に設定する。
【0092】
研磨布71を挟んで被試験ロール2に対するフリーロール3の食い込み量を所定の状態に設定し、駆動モータ23の駆動により被試験ロール2を駆動回転させて研磨布71に接触された被試験ロール2を摩耗させる。この時、駆動モータ77、78による駆動ロール73、74の微小回転駆動により研磨布71が微小速度で搬送され、被試験ロール2の駆動回転による研磨布71の搬送力に対して制動が働いた状態で被試験ロール2が研磨布71の研磨面に接触する。このため、研磨面による研磨を働かせた状態の高速の摩耗状態を確保して研磨布71を被試験ロール2に接触させることができ、加速的な摩耗状態を再現して被試験ロール2を摩耗させることができる。このため、脱脂状況等による油膜などの影響を最小限に抑え被試験ロール2を摩耗させることができる。
【0093】
研磨布71に接触している被試験ロール2を所定時間連続して駆動回転させ、摩耗重量と比重の関係から摩耗量を求め、被試験ロール2の摩耗を評価する。従って、カール取りロール等に適用される被試験ロール2の摩耗状況を加速的に実機に即した状態で評価することが可能になる。
【0094】
上述した摩耗試験装置を用いることにより、複写機、プリンター、現金預け払い機、自動改札機等、機器内で紙類を搬送及び紙類のカール取り等に用いられる、様々な機能が要求されるゴムロールの摩耗状況を1台の試験装置で評価することが可能になる。例えば、各種OA機器における搬送ロール、給紙ロール、分離ロールをはじめ、現像ロール、転写ロール、帯電ロール、定着ロール等のゴムロールの摩耗状況を1台の試験装置で評価することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、ゴムロールの摩耗の状況を試験する摩耗試験装置、特に、複写機、プリンター、現金預け払い機、自動改札機等、機器内で紙類を搬送及び紙類のカール取り等に用いられるゴムロールの摩耗状況を評価する摩耗試験装置の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態例に係る摩耗試験装置の平面図である。
【図4】定荷重状態での摩耗状況の結果を表すグラフである。
【図5】定変位での摩耗状況の結果を表すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態例に係る摩耗試験装置の平面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 基台
2 被試験ロール
3 フリーロール
4 ベース台
5 支持アーム
6 定荷重測定機構
8 支持枠
9 定位置調整機構
10 分銅
11 紙部材
21 支持柱
22 支持軸
23 駆動モータ
24 ねじ軸
25 支持部材
26 ナット材
27 レバー
31 揺動ガイド
33 載置枠
34 調整ねじ軸
35 錘
36 固定枠部材
37 固定枠
38 止め具
40 目盛部材
50 試験紙
51 ロール
52 搬送ロール
54 ガイド部材
56 繰り出し台
57 回転支持台
58 駆動モータ
59 支柱
71 研磨布
72 送り機構
73、74 駆動ロール
75、76 従動ロール
77、78 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験ロールの外周面に所定の荷重を付加した状態で接触する接触部材を備え、所定の荷重が付加された状態で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項2】
被試験ロールの外周面に所定の押付け間隔で接触する接触部材を備え、所定の押付け間隔で接触部材に当接している被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の摩耗試験装置において、
接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態の固定ロールであることを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の摩耗試験装置において、
接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で回転自在な回転ロールであることを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の摩耗試験装置において、
接触部材は、被試験ロールに対して軸心が平行な状態で回転自在な回転ロールと、被試験ロールと回転ロールの間に挟まれる試験シートとからなることを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項6】
請求項5に記載の摩耗試験装置において、
試験シートは、研磨シートであることを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の摩耗試験装置において、
試験シートは被試験ロールと回転ロールとの間で搬送される方向に移動自在に支持され、被試験ロールの周速度よりも遅い速度で試験シートを搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項8】
被試験ロールに対して軸心が平行な状態で接触自在な回転ロールと、
被試験ロールと回転ロールの間に所定の荷重を与えるための荷重付与手段と、
荷重付加手段により所定の荷重が付加された状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段と
を備え、
所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの径の変化により摩耗状態を評価する
ことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項9】
被試験ロールに対して軸心が平行な状態で接触自在な回転ロールと、
被試験ロールと回転ロールを所定の押付け間隔で接触させるための接触付与手段と、
接触付与手段により所定の押付け間隔で接触部材に当接された被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段と
を備え、
所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの重量の変化により摩耗状態を評価する
ことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項10】
基台に支持される被試験ロールと、
基台に昇降自在に支持されるベース台と、
ベース台に対して揺動自在に支持される支持アームと、
支持アームの一端に回転自在に支持され軸心が平行な状態で被試験ロールに接触する回転ロールと、
支持アームの揺動状況を調整して無負荷の状態で回転ロールを被試験ロールに接触させる定荷重調整機構と、
定荷重調整機構で調整された状態の回転ロールに荷重を付与して被試験ロールに対して所定の荷重を与える荷重付与手段と、
支持アームの揺動状況を調整して所定の押付け間隔で回転ロールを被試験ロールに接触させる定位置調整機構と、
定荷重調整機構及び定位置調整機構の動作を選択する選択手段と、
選択手段により定荷重調整機構が選択されて被試験ロールに所定の荷重が与えられた際に、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる一方、選択手段により定位置調整機構が選択された際に、被試験ロールと回転ロールとの間に試験シートが挟まれた状態で被試験ロールを駆動回転させて被試験ロールを摩耗させる駆動手段と
を備え、
定荷重調整機構が選択された際に、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの径の変化により摩耗状態を評価する一方、定位置調整機構が選択された際に、所定時間駆動回転させた後の被試験ロールの重量の変化により摩耗状態を評価する
ことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項11】
請求項10に記載の摩耗試験装置において、
試験シートは被試験ロールと回転ロールとの間で搬送される方向に移動自在に支持され、被試験ロールの周速度よりも遅い速度で試験シートを搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項12】
請求項11に記載の摩耗試験装置において、
搬送手段で搬送される試験シートは繰り出しロールに巻回されていることを特徴とする摩耗試験装置。
【請求項13】
請求項11に記載の摩耗試験装置において、
搬送手段で搬送される試験シートは無端状の研磨シートであることを特徴とする摩耗試験装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−205997(P2007−205997A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27704(P2006−27704)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)