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摺動用複合材
説明

摺動用複合材

【課題】充填材(強化材)を添加することなく優れた耐摩耗性と低摩擦係数を有し、且つ相手材の傷摩粍が無い摺動用複合材を提供すること。
【解決手段】改質ふっ素樹脂(ふっ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上の雰囲気下で電離性放射線を照射線量1kGyから10MGyの範囲内で照射して成るもの、又はこれを1から99重量%の割合で他の樹脂と混合したもの)と樹脂又は金属とを貼り付けて構成したことにある。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改質ふっ素樹脂と他材料との複合材に関し、特に摺動用に適する摺動用複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】摺動用複合材は、ショベルカーのバケットや化学プラントのライニング、軸受け材や材料供給用のホッパー内面に用いられており、潤滑性及び非粘着性をその部位に与えている。
【0003】従来の構造としては、ふっ素樹脂であるテトラフルオロエチレン系重合体(PTFE)や超高分子量ポリエチレンと、ゴム材又は金属材を貼り付けたものを用いていた。この時、PTFEには耐摩耗性を向上させるためにガラス繊維やカーボン繊維などの充填材(強化材)を添加していた。
【0004】この摺動用複合材の製品は、PTFEの厚さが0.1〜0.5mmであり、ゴム等の樹脂又は金属材の厚さは0.8〜2mmというものが多く用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の摺動用複合材には、以下に説明する問題点があった。
【0006】ふっ素樹脂を用いる場合、充填材の添加なしでは摩耗が著しく大きいため使用することができなかった。また、ガラス繊維やカーボン繊維等の充填材を入れると、耐摩耗性は向上するが、摺動相手材を摩粍させたり、非粘着性や純粋性を損なっていた。
【0007】さらに、耐摩粍性の点からPTFE以外の樹脂が使われることがあるが、摩擦係数が高く非粘着性に劣るため、摺動用複合材として制限がなされていた。
【0008】従って本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解決し、充填材を添加することなく優れた耐摩耗性と低摩擦係数を有し、且つ相手材の傷摩粍が無い摺動用複合材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の摺動用複合材は、上記の目的を達成するため、改質ふっ素樹脂と他材料とを貼り付けて構成した。
【0010】改質ふっ素樹脂は、ふっ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上の雰囲気下で電離性放射線を照射線量1kGyから10MGyの範囲内で照射して成るもの、又はこれを1から99重量%の割合で他の樹脂と混合したものとした。
【0011】前記ふっ素樹脂は、テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロイレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン系共重合体の内の何れか一つ或はこれらの混合からなるものとした。
【0012】前記他材料は、樹脂又は金属とした。
【0013】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を以下に詳述する。
【0014】摺動用複合材を形成するふっ素樹脂のシート材として、改質ふっ素樹脂を欠かすことはできない。まず、この改質ふっ素樹脂について説明する。
【0015】用いるふっ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン系重合体(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系重合体(PFA)、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系重合体(FEP)が挙げられる。
【0016】上記PTFEの中には、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、又はクロロトリフルオロエチレン等の共重合性モノマーに基づく重合単位を0.2モル%以下含有するものも含まれる。また、共重合体形式のふっ素樹脂の場合、その分子構造の中に少量の第3成分を含むことは有り得る。
【0017】改質ふっ素樹脂は、上記のふっ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、且つその融点以上に加熟した状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射することにより製造したものを指す。ただし、耐摩粍性、クリープ特性、弾性特性を活かしてオイルシールに用いる場合は10kGy以上とする。
【0018】また、電離性放射線の照射を行なうに際しては、ふっ素樹脂をその結晶融点以上に加熱し、特に結晶融点よりも10〜30℃高い範囲内に抑えることが必要である。例えば、ふっ素樹脂としてPTFEを使用する場合には、この材料の結晶融点よりも高い330〜360℃に、PFAでは315〜345℃に、FEPでは280〜310℃にふっ素樹脂を加熱した状態で電離性放射線を照射する。
【0019】雰囲気の酸素濃度を100torr以下としたのは、電離性放射線の照射時に酸素が多量に存在すると架橋が抑制され、分解が進んでしまうためである。従って、雰囲気の酸素濃度は極力少なくする必要があり、10torr以下であれば理想である。
【0020】上記条件で作製する改質ふっ素樹脂は、架橋反応により融点が低下していく。ただし、酸素の存在量や照射線量、加熱温度によっては架橋反応が十分に起こらない場合があり、前述の耐摩耗性を実現するためには架橋によって融点が2℃以上降下したものが必要であり、製品の裕度を考慮すると5℃以上降下したものが必要である。
【0021】改質ふっ素樹脂は、上述のようにふっ素樹脂に特定の雰囲気下で電離性放射線を照射したものの他に、これを1から99重量%の割合で他の樹脂と混合したものを指す。そして、これらの改質ふっ素樹脂を実際に使用する場合には、以下に述べる事柄を考慮する。
(1)摺動面には改質ふっ素樹脂をシート状にして使用する。使用するシート材の厚さは特に制限はないが、その加工性、取り扱い性から0.05mm〜1.0mmにする。
(2)改質ふっ素樹脂のシート材は、エッチングしてあることが望ましい。このエッチングは化学エッチング又はフラズマエッチング等、従来のPTFEのエッチングと同様の手法を用いることができる。
(3)ゴム材との接着(貼り付け)にはエポキシ系又はシリコン系接着剤を用いる。
(4)ゴム材としては、ふっ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム又は水添NBRを用いる。
(5)ゴム以外の樹脂としては、ナイロンや超高分子量ポリエチレン、ふっ素樹脂を用いる。
(6)貼り付ける相手が金属の場合、特に種類に制限は無いが、ふっ素樹脂との接着強度を出すために、表面を鏡面状態にするよりはサンドブラスト等による荒し処理をする。
【0022】次に、本発明の摺動用複合材と従来の摺動用複合材とを試験し、比較した結果を以下に示す。
【0023】本発明の摺動用複合材の改質ふっ素樹脂(実施例1)は、ベースとなるふっ素樹脂としてPTFEを用いた。従来の摺動用複合材は、純PTFE(比較例1)、ガラス繊維20%充填PTFE(比較例2)、超高分子ポリエチレン(比較例3)、MCナイロン(比較例4)を用いた。試験は、摺動面側の貼り付けるシートのみを替え、貼り付ける基材はニトリルゴム材とした。
【0024】この時の試験条件は、スラスト型摩擦摩耗試験装置を使用し、JISK7218に準拠し、ステンレスの円筒状リング(外径φ25.6mm、内径φ20.6mm)にサンプルをリング状に接着し、それぞれのサンプルに対し、4kg/cm2の圧力を加え、円盤状相手材(材質アルミニウム)に対し、速度125m/minの条件のもとに行ない、その摩耗量から比摩耗量を算出した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】


【0026】表1では、上記の比摩耗量の他、その時の摩擦係数、相手材の損傷の有無について記載した。表1より、相手材が軟質金属であるアルミ材でも従来の摺動用複合材と比較し、耐摩耗性を保持し、従来のPTFEとほぼ同等の摩擦係数すなわち自己潤滑性を有しながら、相手材を損傷しないことが分かる。
【0027】なお、充填材の添加については前述の通り、汚染、相手金属の損傷、摩擦係数の点から極力添加しないことが望ましいが、その環境や用途に応じてやむを得ず添加することもある。
【0028】
【発明の効果】本発明の摺動用複合材によれば、改質ふっ素樹脂(ふっ素樹脂に酸素濃度100torr以下で、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上の雰囲気下で電離性放射線を照射線量1kGyから10MGyの範囲内で照射して成るもの、又はこれを1から99重量%の割合で他の樹脂と混合したもの)と樹脂又は金属の他材料とを貼り付けて構成したので次の効果を発揮する。
(1)充填材(強化材)を添加することなく優れた耐摩耗性と低摩擦係数を有し、且つ相手材の傷摩粍が無い摺動用複合材を提供することが可能である。
(2)充填材を添加していないため、化学、薬品、食品に対して安定性、非汚染性であり、化学用、薬品用、食品用として使用可能である。
(3)耐摩耗性の向上により、摺動面に用いるシート材の厚さを従来の摺動用複合材のシート材より薄くすることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】改質ふっ素樹脂と他材料とを貼り付けて成ることを特徴とする摺動用複合材。
【請求項2】改質ふっ素樹脂は、ふっ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上の雰囲気下で電離性放射線を照射線量1kGyから10MGyの範囲内で照射して成るもの、又はこれを1から99重量%の割合で他の樹脂と混合したものであることを特徴とする請求項1記載の摺動用複合材。
【請求項3】ふっ素樹脂は、テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロイレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン系共重合体の内の何れか一つ或はこれらの混合からなるものであることを特徴とする請求項2記載の摺動用複合材。
【請求項4】他材料は、樹脂又は金属であることを特徴とする請求項1記載の摺動用複合材。

【公開番号】特開2002−301795(P2002−301795A)
【公開日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−108432(P2001−108432)
【出願日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】