説明

摺洗具

【課題】 摺洗具本体に対して植毛部材を取り付けやすい摺洗具を提供する。
【解決手段】 摺洗具本体1の一面の複数箇所に、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出し被摺洗物を摺洗する植毛部材3、3・・・が散在されている。摺洗具本体1は、スポンジ等の可撓性を有する材料から形成されると共に、摺洗具本体1を厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔2、2・・・を有している。植毛部材1の台座5が前記貫通孔2の一方の開口を覆う一方、台座5に嵌め合わされる止着部材11が前記貫通孔2の他方の開口を覆ってかつ摺洗具本体1を圧縮した状態で台座5に結合されることにより、植毛部材3が摺洗具本体1に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器や鍋等の台所用品あるいは身体や頭皮を洗う際に用いられる摺洗具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポンジと植毛部材とを組み合わせて、植毛部材の摺洗力とスポンジの摺洗力あるいは及び水含み能力とを活かせるようにした摺洗具として、台座に縦横に規則的に配列された多数の毛束を有する植毛部材と、前記毛束に対応する多数個の貫通孔を有するスポンジ等からなる摺洗具本体とが組み合わされてなる摺洗具が公知である(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2528354号公報
【特許文献2】特開2008−279021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の摺洗具は、その植毛部材の摺洗力と摺洗具本体の摺洗力との使い分けが行いやすいという利点を有しているが、毛束が摺洗具本体の貫通孔の一つ一つに存在するように製作することが困難であるという難点がある。
【0005】
例えば、予め台座に複数の毛束を植毛した植毛部材と、貫通孔を備えた摺洗具本体とを相対的に嵌め合わせるようにした場合は、植毛部材と摺洗具本体とが少しでも位置がずれると、嵌め合わせ不可能となる。
【0006】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は植毛部材と摺洗具本体に植毛部材を取り付けやすい摺洗具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の摺洗具は、下記[1]〜[4]の構成を有する。
【0008】
なお、以下に用いられる「植毛部材」は、必ずしも台座に獣毛あるいは合成樹脂製毛が植設されたもののみではなく、弾性合成樹脂やゴムからなり頭皮のマッサージに好適な突起状のものや、あるいは鍋やフライパンにこびり付いたものを掻き落とすヘラ状のものも含むものとする。
【0009】
[1] 摺洗具本体の一面の複数箇所に、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出し被摺洗物を摺洗する植毛部材が散在されてなり、
前記植毛部材の台座と、前記摺洗具本体の前記一面の裏面側に配置された止着部材とが、摺洗具本体を貫通して結合することにより、前記植毛部材が摺洗具本体に取り付けられてなることを特徴とする摺洗具。
【0010】
[2] 前記摺洗具本体が、可撓性を有する材料から形成されている前項1に記載の摺洗具。
【0011】
[3] 前記摺洗具本体が、摺洗具本体を厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔を有し、 前記台座が前記貫通孔の一方の開口を覆う一方、前記止着部材が前記貫通孔の他方の開口を覆ってかつ摺洗具本体を圧縮した状態で前記台座と前記止着部材とが結合されている前項1又は2に記載の摺洗具。
【0012】
[4] 前記台座又は前記止着部材のいずれか一方が雌部を有する一方、他方が雄部を有し、該雌部と雄部との結合関係により前記台座と前記止着部材とが結合されている前項1ないし3のいずれかに記載の摺洗具。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0014】
[1]の発明では、摺洗具本体の一面の複数箇所に、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出し被摺洗物を摺洗する植毛部材が散在されているので、摺洗具本体の摺洗力が発揮されることはもとより、植毛部材の摺洗力も発揮される。
【0015】
また、前記植毛部材の台座と、前記摺洗具本体の前記一面の裏面側に配置された止着部材とが、摺洗具本体を貫通して結合することにより、前記植毛部材が摺洗具本体に取り付けられているので、植毛部材の摺洗具本体に対する取付状態が強固に保持されることはもとより、前記取り付けの際には、台座と止着部材とが摺洗具本体を貫通するものであって、従来のように植毛部材の毛束を摺洗具本体の貫通孔に通さなくても良いので、取り付け操作も行いやすい。
【0016】
[2]の発明では、前記摺洗具本体が、可撓性を有する材料から形成されているので、複数の植毛部材の位置関係を任意に変更して多様な摺洗形態を実現できる。例えば、植毛部材の先端が突出している面を内側にして摺洗具本体を長さ方向中間部から折り曲げることにより、被摺洗物の内外両面に植毛部材の先端を圧接させて一挙に摺洗することができる。
【0017】
[3]の発明では、前記摺洗具本体が、摺洗具本体を厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔を有し、前記台座が前記貫通孔の一方の開口を覆う一方、前記止着部材が前記貫通孔の他方の開口を覆って前記台座と前記止着部材とが結合されているので、台座と止着部材との位置決めが自動的に行われ、両者の結合操作もスムーズに行われる。
【0018】
また、摺洗具本体を圧縮した状態で植毛部材が摺洗具本体に取り付けられているので、植毛部材の台座が摺洗具本体の非圧縮状態面部より内方に位置することになって、台座と被摺洗物との接触を軽減することができ、摺洗時に被摺洗物表面が台座によって傷つけられ難くなる。
【0019】
[4]の発明では、前記台座又は前記止着部材のいずれか一方が雌部を有する一方、他方が雄部を有し、該雌部と雄部との結合関係により前記台座と前記止着部材とが結合されており、両者が径方向へ相対的にずれ動くことがないので、前記台座と前記止着部材との結合がより一層確実なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(イ)は、本発明に係る摺洗具の第1実施形態の斜視図、(ロ)は同摺洗具を裏面から見た斜視図である。
【図2】(イ)は、図1(イ)のII−II線拡大断面図、(ロ)は図1(イ)のIII−III線拡大断面図である。
【図3】摺洗具本体に植毛部材を取り付ける前の一部を切り欠いて示す側面図である。
【図4】本発明に係る摺洗具の一実施形態の植毛部材と止着部材との分解状態の斜視図である。
【図5】同実施形態の使用状態を示す側面図である。
【図6】(イ)は、本発明に係る摺洗具の第2実施形態の断面図、(ロ)は下面側から見た同実施形態の平面図である。
【図7】(イ)は、植毛部材及び止着部材の他の実施形態を示す斜視図、(ロ)は、(イ)の植毛部材及び止着部材の分解状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る摺洗具の実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
図1〜図5は、本発明に係る摺洗具の第1実施形態を示すもので、摺洗具Aは、片手で把持できる大きさに形成され、摺洗具本体1の一面の複数箇所に、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出し被摺洗物を摺洗する植毛部材3が散在されている。
【0023】
摺洗具本体1は、ポリウレタン、ポリエチレン等の可撓性を有する合成樹脂発泡体からなり、図3に示すように、摺洗具本体1を厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔2を有している。
【0024】
この貫通孔2の内径は、後述する植毛部材3の台座5の外径より径小に、止着部材本体12の外径よりも径大に形成されている。
【0025】
植毛部材3は、図2〜4に示すように、多数本の獣毛あるいは合成樹脂毛からなる毛束4と、この毛束4が植設された筒状の台座5と、台座5の上面を被覆するカバー6とを備えている。
【0026】
このカバー6は、前記台座5が直接被摺洗物を擦って被摺洗物を傷つけないことを目的として設けられており、軟質のゴム、合成樹脂から形成されている。カバー6の周縁は摺洗具本体1の貫通孔2の径より径大に形成されている。
【0027】
前記台座5の周面の180度対称位置の各々に、高さ方向に延びた左右一対の突条7、7と、この左右一対の突条7、7間に位置する突起8とが設けられている。
【0028】
止着部材11は、図2〜4に示すように、前記台座5が嵌め込まれる有底筒状の止着部材本体12と、この止着部材12の底部を被覆するカバー16とを備えている。前記台座5と止着部材本体12とは、雄部と雌部との嵌め合わせ関係になる。
【0029】
前記カバー16は、前記台座5のカバー6と同様に、止着部材本体11が直接被摺洗物を擦って被摺洗物を傷つけないことを目的として設けられており、軟質のゴム、合成樹脂から形成されている。カバー16の周縁は摺洗具本体1の貫通孔2の径より径大に形成されている。
【0030】
止着部材本体12の周面開口端部の180度対称位置の各々に、前記台座の突条7、7が嵌め合わされる左右一対の切欠部17、17と、この左右一対の切欠部17、17間に、前記台座5の突起8が嵌合される嵌合孔18が設けられている。
【0031】
止着部材11のひとつは、図1(ロ)及び図2(ロ)に示すように、カバー16と一体となった欠円型リング部16aが設けられて、摺洗時にこの欠円型リング部16aに指を通したり、不使用時には、この欠円型リング部16aをどこかに引っかけて摺洗具Aを吊り下げることができる。
【0032】
而して、植毛部材3は、次のようにして摺洗具本体1に取り付けられる。
【0033】
先ず、図3に示すように、摺洗具本体1の貫通孔2の一方の開口を覆うように植毛部材3の台座5を貫通孔2に挿入する一方、前記貫通孔2の他方の開口を覆うように、止着部材本体11の止着部材本体12を貫通孔2に挿入する。
【0034】
そして、摺洗具本体1を貫通孔2の両側から圧縮させながら、植毛部材3の台座5を止着部材本体12内に嵌め入れると、左右一対の突条7、7が対応する切欠部17、17に嵌り込むと共に、突起8が対応する嵌合孔18内に嵌り込むことによって、植毛部材3と止着部材11とが強固に結合され、植毛部材3が摺洗具本体に強固に取り付けられる。
【0035】
前述のとおり、台座5と止着部材本体12とは、雄部とこの雄部が嵌め合わされる雌部との関係になって、両者が径方向へ相対的にずれ動くことがないので、その結合がより一層確実なものとなる。
【0036】
また、摺洗具本体1を圧縮した状態で植毛部材3が摺洗具本体1に取り付けられているので、植毛部材3の台座5が摺洗具本体1の非圧縮状態面部1aより下方に位置することになり、摺洗時に被摺洗物表面が台座5よって傷つけられることがない。
【0037】
このようにして植毛部材3が摺洗具本体1に取り付けられた摺洗具Aは、頑固な汚れが付着した被摺洗物に対しては、植毛部材3の毛束4を用いて摺察し、汚れがそれほど頑固でない被摺洗物に対しては摺洗具本体の周面を用いて摺察するという使い分けを行うことができる。
【0038】
また、この摺洗具Aは、摺洗具本体1が可撓性を有しているので、複数の植毛部材の位置関係を任意に変更して多様な摺洗形態を実現できる。例えば、図5に示すように、二つ折りにした摺洗具Aの間に被摺洗物Pを挟み込むようにして、毛束4の先端を被摺洗物Pの内外面あるいは表裏面に同時に当接させ、一挙に摺洗することもできる。
【0039】
図6は、この発明に係る摺洗具の第2実施形態を示すもので、この実施形態の摺洗具Bは、柄25と一体成形された摺洗具本体支持プレート22に摺洗具本体21が取付けられてなる柄付き摺洗具である。
【0040】
この摺洗具Bの摺洗具本体21に散在されている植毛部材3及び植毛部材3に結合する止着部材11は、第1実施形態の摺洗具Aの植毛部材3及び止着部材11よりやや大型ではあるが相似形のものが用いられているので、以下においては同一符号を用いて説明し、詳細な説明は省略する。
【0041】
前記摺洗具本体支持プレート22には、図6(イ)に示すように、摺洗具本体21の貫通孔21aとの対応位置に、止着部材本体12が挿通する貫通孔22aが設けられている。この貫通孔22aの径は、止着部材11のカバー16の周縁の外径より径小に形成されている。
【0042】
また、摺洗具本体の貫通孔21aの径は、植毛部材3の台座5のカバー6の周縁の径より径小に形成されている。
【0043】
而して、この摺洗具Bの植毛部材3は、次にようにして摺洗具本体21に取り付けられる。
【0044】
先ず、前記摺洗具本体支持プレート22と摺洗具本体21とを互いの貫通孔22a、21aを合わせるようにして重ね合わせた状態において、摺洗具本体支持プレート22の上面から止着部材11の止着部材本体12を摺洗具本体支持プレート22の貫通孔22aを貫通させ、摺洗具本体21の貫通孔21aに挿入する。
【0045】
その後、摺洗具本体21の下方から植毛部材3の筒状の台座5を摺洗部本体21の貫通孔21aに挿入し、摺洗具本体21を圧縮しながら、台座5を止着部本体12内に嵌め入れる。
【0046】
すると、第1実施形態の図2〜4に示すように、左右一対の突条7、7が対応する切欠部17、17に嵌り込むと共に、突起8が対応する嵌合孔18内に嵌り込むことによって、植毛部材3と止着部材11とが強固に結合される。
【0047】
図6に示すようにこの結合状態は、摺洗具本体支持プレート22に摺洗具本体1が取り付けられた状態でもあるので、摺洗具本体支持プレート22に摺洗具本体1を取り付ける手間や別部材あるいは接着剤等を必要とすることなく、摺洗具本体1だいを摺洗具本体支持プレート22に取り付けることができる。
【0048】
この第2実施形態の摺洗具Bは、第1実施形態の摺洗具Aのように摺洗具本体21を折り曲げて使用することはできないが、それ以外は第1実施形態の摺洗具Aと同様の効果を奏するものである。
【0049】
図7は、他の実施形態の植毛部材33及び止着部材41を示すものである。
【0050】
この実施形態の植毛部材33は、第1実施形態の植毛部材3の獣毛あるいは合成樹脂製毛からなる毛束4の代わりに、台座35に弾性合成樹脂あるいはゴムからなるタワー状突起物34が立設されたもので、その上端にはさらに小さな左右一対の先端突起34aが立設されている。タワー状突起物34は、台座35のカバー36と一体的に形成されている。この植毛部材33は、頭皮のマッサージに好適である。
【0051】
台座35は、その周面に雄ねじ部35aが設けられており、後述する41の雌ねじ部41aにねじ合わされるものとなされている。
【0052】
この植毛部材33の摺洗具本体への取り付け方は、第1実施形態の摺洗具Aにおける嵌合の代わりに、雌雄のねじ部によりねじ合わせが行われるというものであるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
上記実施形態において、台座と止着部材とはいずれか一方が雌部を有する一方、他方が雄部を有しているものであるが、この雌雄部の形状は上記実施形態に限定されるものではない。
【0054】
また、植毛部材は、摺洗具本体の一面に散在され、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出しているものであるが、「摺洗具本体の一面」とは、常に同じ高さ位置にある面という意味ではなく、その一面の一部であって、植毛部材が摺洗具本体を圧縮するような態様で摺洗具本体に取り付けられることにより形成された凹部の底面も含むものとする。
【0055】
従って、このような凹部に植毛部材が取り付けられた場合、非使用状態においては、植毛部材の毛先の先端がまだ凹部内にあって、摺洗具本体の他の圧縮されていない部位よりも低位置あるいは同高位置に止まっているような摺洗具もあり得るが、そのような摺洗具も本願発明に属するものである。
【0056】
摺洗具本体は、ポリウレタン、ポリエチレンに限定されるものではなく、スポンジや、ポリスチレン、ポリアクリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド等の軟質の合成樹脂発泡体が採用されうる。
【0057】
また、不織布やネット地が採用されることもある。
【符号の説明】
【0058】
A:第1実施形態の摺洗具
B:第2実施形態の摺洗具
1:摺洗具本体
2:貫通孔
3:植毛部材
11:止着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺洗具本体の一面の複数箇所に、前記一面から少なくとも毛先の先端が突出し被摺洗物を摺洗する植毛部材が散在されてなり、
前記植毛部材の台座と、前記摺洗具本体の前記一面の裏面側に配置された止着部材とが、摺洗具本体を貫通して結合することにより、前記植毛部材が摺洗具本体に取り付けられてなることを特徴とする摺洗具。
【請求項2】
前記摺洗具本体が、可撓性を有する材料から形成されている請求項1に記載の摺洗具。
【請求項3】
前記摺洗具本体が、摺洗具本体を厚さ方向に貫通する複数個の貫通孔を有し、
前記台座が前記貫通孔の一方の開口を覆う一方、前記止着部材が前記貫通孔の他方の開口を覆ってかつ摺洗具本体を圧縮した状態で前記台座と前記止着部材とが結合されている請求項1又は2に記載の摺洗具。
【請求項4】
前記台座又は前記止着部材のいずれか一方が雌部を有する一方、他方が雄部を有し、該雌部と雄部との結合関係により前記台座と前記止着部材とが結合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の摺洗具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−143440(P2012−143440A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4887(P2011−4887)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(391042405)株式会社まめいた (13)
【Fターム(参考)】