説明

撓み振動型アクチュエータ

【課題】撓み振動型アクチュエータを音響振動用と触覚振動用とに共用可能とする。
【解決手段】細長板状体から成るシム(11)およびこのシムの表裏両面または一方の面に形成された圧電素子(12,13)から成る細長板状体の撓み振動子(10)と、この撓み振動子の長手方向の片端または中央部分を根元側端部として保持する撓み振動子保持部(20)と、前記撓み振動子に取付けられた圧電素子に動作電力を供給するヘアピン形状の給電用はさみ金具(14) とから成る第1, 第2の撓み振動子アセンブリ(10a),(10b) を、撓み振動子(10)の先端方向に延長される金属片(39)を介在させつつ2段重ね構造とし、さらに、上記第1,第2の撓み振動子アセンブリの一方の撓み振動子の先端部を前記電子機器のケース(3) に固可能とすることにより触覚振動用とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの小型電子機器に利用されるパネル型スピーカに使用されるアクチュエータに関するものであり、特に、音響振動だけでなく低音域の触覚振動も発生可能とした小型・軽量の撓み振動型アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機などの小型電子機器の音響振動用として、小型のパネル型スピーカが開発されてきた。このパネル型スピーカは、英国のニュー・トランスデューサ社 ( NewTransducers Limited)が出願した国際出願特許 WO97/09482 号に開示されているように、パネル振動板に励振用のアクチュエータを装着する際、パネルの振動分布の形態を制御する振動理論に基づいてアクチュエータを最適ポイントに選定することで、パネル振動板から効率良く音を放射するもので、分布振動( Distributed Mode) 型スピーカとも呼ばれている。アクチュエータとしては、可動線輪型のものと、撓み振動型のものが知られている。
【0003】
撓み振動型のアクチュエータは、細長い板状のシムの表裏両面に圧電素子を取付けることによりバイモルフ型の撓み振動子が形成される。この撓み振動子の一端または長手方向の中央部分が保持部によって保持され、この保持部を支える細長形状のベースプレートが電子機器の表示パネルの保護板を兼ねた振動板の裏側に取付けられる。撓み振動子が発生した撓み振動が、撓み振動子保持部からこれを保持するベースプレートのピストン振動として、このベースプレートが取付けられた振動板に伝達される。このピストン振動により、この振動板に撓み振動を基本とする分布振動として励振される(特許文献1,2)。
【0004】
この種のパネル型スピーカが使用される携帯電話機などの小型電子機器では、タッチパネル式のデータ入力が行われることが多い。この種のデータ入力では、入力操作が実行されたことをユーザーが確認できるよう、フィードバックが行われる。このフィードバックの一手法として、スピーカから100Hz ほどの低周波の触覚振動を発生させるものが知られている。ユーザーは、この低周波の触覚振動をタッチパネルに接触させた指先で感得することにより、入力操作が確実に実行されたことを確認できる(特許文献3,4)。
【0005】
上記触覚振動を発生するスピーカとしては、これを従来の音響振動用と兼用する方式(特許文献3)と、音響動用とは別個に設ける方式(特許文献2)との二つに大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2007−054148
【特許文献2】特願2008−041453
【特許文献3】特開2007−122501号公報
【特許文献4】特開2008−059027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の撓み振動型アクチュエータで発生可能な低周波は、振動板の大きさや重さなどの条件にもよるが300Hz ほどになる。このため、一つのアクチュエータを触覚振動用と音響振動用とに兼用する方式の実現は容易ではない。音響振動用と触覚振動用とに個別に撓み振動型アクチュエータを設けると、設置空間が増えて大型になるだけでなく、二種類の異なる構造のアクチュエータを製造するための部品点数も増加し、製造費用も嵩むという問題が生ずる。
【0008】
従って、本願発明の一つの目的は、音響振動用と触覚振動用とに兼用できる小型・安価な撓み振動型アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決する本発明の撓み振動型アクチュエータは、
細長板状体から成るシム(11)およびこのシムの表裏両面に形成された圧電素子(12,13) から成る細長板状体の撓み振動子(10)と、この撓み振動子の長手方向の片端または中央部分を根元側端部として保持する撓み振動子保持部(20)と、前記撓み振動子の表裏両面に取付けられた圧電素子に動作電力を供給するヘアピン形状の給電用はさみ金具(14)とから成る第1, 第2の撓み振動子アセンブリ(10a,10b) と、
前記第1の撓み振動子アセンブリ(10a) の撓み振動子保持部(20)の上に前記第2の撓み振動子アセンブリ(10b) の撓み振動子保持部(20)を撓み振動子(10)の先端側に延長される金属片を介在させつつ重ね合わせた状態で前記第1,第2の撓み振動子アセンブリを保持するとともに前記第1の撓み振動子アセンブリ(10a) の撓み振動子の裏面から離間してこの撓み振動子の長手方向に延長される細長板状体のベースプレート(30)と、
前記ベースプレートの裏面をその長手方向の複数箇所で電子機器の表示パネルの保護板を兼ねる振動板に固定する複数のベースプレート固定機構(36,37) とを備えたことと、
前記第1,第2の撓み振動子アセンブリの一方の前記撓み振動子の先端部を前記電子機器のケースに固定可能としたこととを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の撓み振動型アクチュエータは、第1,第2の撓み振動子アセンブリを重ね合わせた状態で保持すると共に、第1,第2の撓み振動動子アセンブリの一方の撓み振動子の先端部を前方に突出させて電子機器のケースに固定可能とすることによって触覚振動用とし、先端部を固定しない他方を音響振動用として利用する構成であるから、小型・低廉な撓み振動型アクチュエータを提供できるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の撓み振動型アクチュエータ1を使用した分布振動型スピーカの構成を示す部分断面図である。
【図2】図1中の撓み振動型アクチュエータ1の構成を示す斜視図である。
【図3】図1,図2中の撓み振動型アクチュエータ1の構成を分解して示す分解斜視図である。
【図4】上記実施例の撓み振動型アクチュエータ1の駆動力特性を示す実測データであり、実線は撓み振動子アセンブリ10aを駆動したときの慣性振動の駆動力特性、点線は撓み振動子アセンブリ10bを駆動したときの制動振動の駆動力特性である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための一つの形態によれば撓み振動型アクチュエータが、ベースプレート固定機構によって振動板の裏面に逆さ吊りの状態で固定される。
【0013】
本発明を実施するための他の形態によれば、撓み振動型アクチュエータが電子機器の表示部もしくはデータ入力部または両者を兼ねたタッチパネルに隣接して設置される。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例の撓み振動型アクチュエータを使用する分布振動型スピーカの構成を示す図である。図中、振動板2と筐体3は断面図によって表示され、撓み振動型アクチュエータ1は側面図によって表示されている。この実施例のパネル型スピーカでは、撓み振動型アクチュエータ1が、携帯電話機のLCDの保護板を兼ねた振動板2の裏面に逆さの宙吊り状態で取付けられている。撓み振動型アクチュエータ1は、紙面に垂直の方向に位置をずらして配置されているタッチパネル(図示せず)に隣接して設置されている。このLCDの保護板を兼ねる振動板2は、その両端部が携帯電話機のケース3に、弾性部材4と5とを介在させながら保持されている。
【0015】
このアクチュエータが従来のアクチュエータと異なる点は、アクチュエータ1の撓み振動子アセンブリ10a,10bがそれぞれの撓み振動子保持部20を接着材層を介して重ね合わせることにより、上下方向への2段構成となっている点である。もう一つの異なる点は、第2の振動子アセンブリ10bの先端部から前方に突出するシム11が、先端部保持機構3aを介してケース3に固定された点である。
【0016】
図2は、図1中のアクチュエータ1のみを拡大して示す斜視図、図3はその分解斜視図である。この撓み振動型アクチュエータ1は、第1の撓み振動子アセンブリ10aと、第2の撓み振動子アセンブリ10bと、ベースプレート30とから構成されている。第1,第2の撓み振動子アセンブリ10a,10bは、細長板状体の撓み振動子10と、この撓み振動子10の根元側端部を保持する撓み振動子保持部20と、ヘアピン形状の給電用はさみ金具14とから構成されている。
【0017】
撓み振動子10は、細長くて薄い矩形状の金属板から成るシム11と、このシム11の表裏両面に接着によって取付けられた圧電層12,13とから構成されている。第1,第2の撓み振動子アセンブリ10a,10bは、圧電素子12,13に交流の動作電力を供給するために、燐青銅などの弾力性に富んだ金属板を折り曲げて形成したヘアピン形状の給電用はさみ金具14と、この給電用はさみ金具14を通して圧電素子12,13に交流動作電力を供給するリード線(図示せず)と、シム11と導通した入力端子15とを備えている。
【0018】
シム11を構成する金属板としては、ステンレス鋼やアルミ合金など、硬めで、内部の摩擦損失が少なく、高Qの素材を選択することが、音響特性の点でも励振効率の点でも、望ましい。圧電素子12,13としては、チタン酸バリウムなどの圧電セラミックの薄板を、電極層で挟みながら複数枚積層した構造などが好適である。給電用はさみ金具14と接地電位に保たれるシム11の間に交流電圧を印加すると、この交流電圧の極性に応じて、シム11の表面と裏面に形成された圧電素子が厚み方向に伸縮し、これと逆位相で圧電素子12,13が撓み振動子10の長手方向に伸縮する。圧電素子12,13を、互いの分極の極性が逆になるように形成しておくことにより、表裏両面の圧電素子12,13の撓み振動子10の長手方向への伸縮が逆相になり、振動子10に撓み振動が発生する。
【0019】
撓み振動子保持部20は、概ね樹脂を素材とする柱状体から成り、シム11の根元側端部がこの柱状体の内部に形成された矩形断面の細いスリットの内部に圧入されることにより、撓み振動子10が撓み振動子保持部20に片持ち梁(カンチレバー)の状態で保持されている。撓み振動子保持部20の上面と底面に形成された挿入溝に沿って、バネ性の金属で形成されたヘアピン形状の給電用はさみ金具14が挿入され、その先端部分がこの撓み振動子10の表面と裏面とに形成された圧電素子12,13の表面に形成された電極に圧接される。これにより、給電用はさみ金具14と、圧電撓み振動層12,13との間に、接触抵抗の小さな電気的接続が形成される。
【0020】
この実施例の撓み振動型アクチュエータ1は、下段の第1の撓み振動子アセンブリ10aの上に、撓み振動子(10)の先端側に延長される金属片39を介在させつつ上段の第2の撓み振動子アセンブリ10bが積み重ねられた2段構成となっている。この2段構成は、以下の手順で形成される。まず、第1,第2の撓み振動子アセンブリ10a,10bの撓み振動子10を片持ち梁の状態で保持する撓み振動子保持部20を金属片39接着剤層を介在させながら重ねをわせる。次に、これを、細長くて薄い矩形状の金属板で構成されたベースプレート30の根元側端部の左右から直立する係止爪31,32の間に挿入する。最後に、係止爪31,32の先端部分を内側に折り曲げてカシメることにより、上記2段重ねの構造をベースプレート30の根元側端部の上面に固定する。
【0021】
このような係止爪31,32の折り曲げの便宜も考慮して、ベースプレート30は、好適には、真鍮などの金属で構成される。ベースプレート30の先端部から直立する折り曲げ部分には、第1の撓み振動子アセンブリ10aの撓み振動子10に発生するおそれのある過大な振幅を抑制するための開口33が形成されている。撓み振動子10bの振動子13の根元側端部には、弾性板状体34と金属片39が接着固定される。
【0022】
第1の振動子アセンブリ10aの撓み振動子保持部20をベースプレート30に固定する際、振撓み動子10のシム11の先端部が、ベースプレート30の先端から直立する折り曲げ部分に形成された振動抑制用の開口33内に挿入される。ベースプレート30の根元側端部に配置される弾性板状体34は、このベースプレート30と、その上方の第1の振動子アセンブリ10aの振動子10との間に形成される間隙を完全に塞ぐように、ベースプレート30の上面と、撓み振動子10の底面に接着固定されている。
【0023】
この弾性板状体34は、ポリウレタン、発泡樹脂、軟質ゴムなどの弾性体を素材としている。これに対して、ベースプレート30の先端側端部に配置される板状弾性体35は、ベースプレート30と、その上方の第1の振動子アセンブリ10aの振動子10との間に小さな間隙を形成しながら、ベースプレート30の上面に接着固定されている。この板状弾性体35の素材としては、弾性板状体34よりも柔らかめものが選択される。
【0024】
このように構成された撓み振動型アクチュエータは、そのベースプレート30が両面接着テープ36,37から成るベースプレート固定機構を介在させながら、図1に示すように、携帯電話機などの電子機器のLCDの保護板を兼ねる振動板2の裏面に逆さの宙づりの状態で取付けられる。この取付け強度を高める目的からは、両面接着テープをベースプレート30の底面の全域にわたって配置することが望ましい。しかしながら、そのように構成すると、ベースプレート30とLCDの保護板を兼ねる振動板とによって組合せ梁の構造が形成され、撓み振動に対する剛性が強くなり過ぎ、保護板を兼ねる振動板への撓み振動の励振能率が低下するおそれがある。このようなおそれを解消するため、両面接着テープを、ベースプレート30の根元側端部と、先端側端部とに離間させて、少なめに使用する構成が採用されている。
【0025】
入力端子から交流電力を供給すると、ヘアピン形状の給電用はさみ金具14を通して、撓み振動子10の中心のシム11の表面側と裏面側とに形成された圧電素子12,13に交流電力が供給され、これらの撓み振動が開始される。圧電撓み振動層12と13には、それぞれの表面の電極とシムに接する裏面電極との間に同一極性の電圧を印加した時に、互いに逆位相となるような厚み方向への伸縮を発生するような圧電特性に設定されている。このため、圧電撓み振動層12と13は、振動子10の長手方向に一方が伸びる時、他方が縮むという逆相の伸縮を行うことにより、振動子10に撓み振動が励振される。
【0026】
撓み振動子10に励振された振動は、撓み振動子保持部20の上下方向のピストン振動に変換され、ベースプレート30を介して、振動板2に伝達され、この振動板2に撓み振動子を基本とする分布振動型の振動を励振する。このように、撓み振動型アクチュエータ1を電子機器の保護板の裏面に固定するため、ベースプレート30を振動子10を収容するケース状に形成する必要がない。このため、アクチュエータ全体としての小型化・軽量化・製造費用の低廉化が実現される。
【0027】
撓み振動子10を構成する圧電素子12と13は、チタン酸バリウムなどの比較的脆い圧電材料で形成されている。このため、過大な撓み振動が発生すると、破損するおそれがある。この過大な振動は、信号よりも、むしろ、このアクチュエータが装着された携帯電話機などの電子機器が、コンクリートなどの硬い床に落下した時の衝撃によって発生する場合が多い。この過大な振動を抑制するため、板状弾性体35と、開口33とが形成されている。
【0028】
撓み振動子の先端部が自由端となる第1の撓み振動子アセンブリ10aは、音響振動用として使用される。これに対して、振動子の先端部が固定端となる第2の撓み振動子アセンブリ10bは、触覚振動用として使用される。第1の撓み振動子アセンブリ10aでは、撓み振動子10が撓むと、その先端部と撓み振動子保持部20とが、上下方向に互いに逆向きに変位する。撓み振動子アセンブリ10aでは、撓み振動子10の先端部の自由端が下方に変位すると、その反作用(慣性力)によって、その撓み振動子保持部20が上方に変位し、その結果、ベースプレート30を介して振動板1が上方に変位する。従って、第1の撓み振動子アセンブリ10aを、慣性(または反作用)型撓み振動子と称することもできる。
【0029】
これに対して、第2の撓み振動子アセンブリ10bでは、先端部数固定機構3aによってケース3に固定されている先端部が下方に変位しようとすると、先端部数固定機構3aを支点として、撓み振動子保持部20が上方に変位し、その結果、ベースプレート30を介して振動板1が上方に変位する。従って、この第2の撓み振動子アセンブリ10bを、制動(または作用)型撓み振動子と言うこともできる。このように、アクチュエータを2段重ねの慣性型と制動型とで構成することにより、先端部を自由端にした慣性型撓み振動子アセンブリ10aから高品位の音声信号を発生させると同時に、先端部を筐体に固定した制動型撓み振動子アセンブリ10bから、触覚振動を発生させることができる。
【0030】
図4は、上記第1の実施例の撓み振動型アクチュエータの駆動力特性を示す実験データである。横軸は振動の周波数、縦軸は1voltの入力信号で発生する駆動力(ニュートン)である。縦軸のゼロdBNが1ニュートンである。実験データは、上記実施例のアクチュエータ1の撓み振動子10の先端部分を先端固定部3aに固定した制動振動の場合と、固定しない慣性振動の場合の撓み振動子保持部20に発生する上下方向の駆動力を示している。実線が慣性振動の駆動力特性で、点線が制動振動時の駆動力特性である。
【0031】
100Hz 付近の駆動力を比較すると、制動振動では慣性振動に比べ、およそ20dB(10倍)だけ強い駆動力が得られることが分かる。
【0032】
以上詳細に説明した実施例において、振動子10の寸法としては、長さ20mm〜50mm、幅3mm〜10mm、厚み0.5mm〜3mmの範囲が好適である。上記最小の寸法以下では、寸法が小さすぎて製造が困難になる。また、上記最大寸法以上では、携帯電話など小型の携帯用機器への応用が困難になる。
【0033】
また、板状弾性体35として、発泡倍率10〜50の範囲のウレタン系の発泡材を素材とする厚み0.3mm〜1mmの範囲のクッション材を形成する。振動子保持部20としては、複雑な形状を実現するため樹脂成形品を使用する。
【0034】
以上、上段の撓み振動子アセンブリの撓み振動子10bの先端部分から前方に突出させたシム11をケースに固定することにより、これを触覚振動用の撓み振動子アセンブリとして使用する構成を例示した。しかしながら、これとは逆に、下段の撓み振動子アセンブリ10aの先端部分から前方に突出させたシムをケース3に固定することにより触覚振動用の撓み振動子アセンブリとして使用する構成とすることもできる。
【0035】
また、上記実施例の撓み振動型アクチュエータの撓み振動子を、片持ち梁の形式にする構成について例示した。しかしながら、上記片持ち梁の形式の振動子を、振動子保持部の両側に形成したり、一本の長い振動子の中央部分を振動子保持部で保持する構成とすることもできる。この場合、振動子保持部の両側に形成された振動子の一方の先端部のみをケースに固定することにより、これを触覚振動専用の振動子アセンブリとして利用し、先端部が自由端の他方の振動子を音響振動専用の振動子アセンブリとして利用することもできる。
【0036】
さらに、撓み振動型アクチュエータを電子機器の表示パネルの保護板を兼ねる振動板の裏面に宙づり状態で取付ける構成を例示した。しかしながら、取付け空間の制限などやむを得ない事情がある場合は、振動板の表面に取り付けることもできる。
【0037】
また、個別に作成した2個の保持部20を2段重ねにする構成を例示した。しかし、2段の保持部を一体に形成しておく構成とすることもできる。
【0038】
以上、撓み振動子の先端部から突出させたシムを、先端部固定機構に固定する構成を例示した。しかしながら、シムではなく圧電素子の先端部を固定する構成とすることもできる。
【0039】
また、シムの表裏両面側に圧電素子を形成するバイモルフ型の撓み振動子を使用する構成を例示した。しかしながら、シムの表裏片面だけに圧電素子を形成するユニモルフ型の撓み振動子を使用する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 撓み振動型アクチュエータ
2 電子機器の表示パネルの保護板を兼ねる振動板
10 撓み振動子
11 シム
12,13 圧電素子
14 給電用はさみ金具
15 入力端子
20 撓み振動子保持部
30 ベースプレート
31,32 係止爪
33 開口
34 弾性板状体
35 板状弾性体
36,37 両面接着テープ
38 弾性接着剤層
39 金属片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長板状体から成るシム(11)およびこのシムの表裏両面または一方の面に形成された圧電素子(12,13) から成る細長板状体の撓み振動子(10)と、この撓み振動子の長手方向の片端または中央部分を根元側端部として保持する撓み振動子保持部(20)と、前記撓み振動子の表裏両面に取付けられた圧電素子に動作電力を供給するヘアピン形状の給電用はさみ金具(14)とから成る第1, 第2の撓み振動子アセンブリ(10a,10b) と、
前記第1の撓み振動子アセンブリ(10a) の撓み振動子保持部(20)の上に前記第2の撓み振動子アセンブリ(10b) の撓み振動子保持部(20)を撓み振動子(10)の先端側に延長される金属片(39)を介在させつつ重ね合わせた状態で前記第1,第2の撓み振動子アセンブリを保持するとともに前記第1の撓み振動子アセンブリ(10a) の撓み振動子の裏面から離間してこの撓み振動子の長手方向に延長される細長板状体のベースプレート(30)と、
前記ベースプレートの裏面をその長手方向の複数箇所で電子機器の表示パネルの保護板を兼ねる振動板に固定する複数のベースプレート固定機構(36,37) とを備えたことと、
前記第1,第2の撓み振動子アセンブリの一方の前記撓み振動子の先端部を前記電子機器のケースに固定可能としたこととを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の振動子アセンブリの撓み振動子保持部と前記第2の振動子アセンブリの撓み振動子保持部とは、一体に形成されたことを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、
前記振動子のシムの先端部を前方に突出させることにより、この突出部分を前記電子機器のケースに固定可能としたこととを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずかにおいて、
前記ベースプレート固定機構によって前記電子機器の表示パネルの保護板を兼ねる振動板の裏面に逆さ吊りの状態で固定されることを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記ベースプレート固定機構(36,37)は、両面接着テープから成ることを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記電子機器のタッチパネルに隣接して設置されることを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記電子機器の表示パネルの保護板を兼ねた振動板は、その両端が前記電子機器のケースに弾性体を介在させながら保持されたことを特徴とする撓み振動型アクチュエータ。
【請求項8】
音響振動用と触覚振動用とを兼ねた撓み振動型アクチュエータ。
【請求項9】
請求項8において、
音響振動用と触覚振動用の2個の撓み振動子を積み重ねた構造の撓み振動型アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−162508(P2010−162508A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8331(P2009−8331)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(595077418)株式会社オーセンティック (25)
【Fターム(参考)】