説明

撥水処理剤及びその製造方法

【課題】生体蓄積性が高いといわれている炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を使わずとも撥水性付与効果及び水滴の落下性改善効果に優れ、被処理物表面に優れた撥水性、防汚性を与えることができ、しかも有機溶剤に可溶性の撥水処理剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール中で加水分解させた加水分解物を含有してなることを特徴とする撥水処理剤。


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス、セラミックス、金属等の無機質表面に優れた撥水撥油性、防汚性等を与えることができる有機溶剤に可溶性の撥水処理剤及びその製造方法に関する。更に詳しくは、生体蓄積性が高いといわれている炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を使わずとも同等以上の特性を示すパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物の加水分解物を有効成分とする撥水処理剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、セラミックス、金属等の無機質材料の表面を各種表面処理剤で処理して表面の性質を改良し、高性能化、応用範囲の拡大化等を図る研究が種々行われている。その1つとして、本来親水性の表面をシリコーン系組成物で処理して撥水性表面に改質するという方法が提案されており、特に特開昭58−147484号公報、同60−221470号公報及び特開平4−96935号公報(特許文献1〜3)に、パーフルオロアルキル基を含有するポリシロキサン又はポリシラザンが撥水性に優れていることが記載されている。しかしながら、上記撥水処理剤は、撥水効果には優れているものの、水滴の落下性に劣るため、家屋、ビルなどの建築物の窓ガラス等の防汚処理剤として適用した場合、水滴が落下せずにガラス表面に水玉状に留まり、これにより空気中のチリ、油分等が付着してかえって汚れたりする場合があった。
【0003】
また、特開平3−290437号公報(特許文献4)には、含フッ素シラザン化合物が提案されているが、この化合物は上記欠点が改良されている反面、一般有機溶剤への溶解性が悪く、高価なフッ素系溶剤にしか安定に溶けないという問題があり、このため応用範囲が限定されるという欠点があった。
【0004】
更に、特開平5−311156号公報(特許文献5)には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶液にフルオロアルキルシラン、酸触媒、水を含有する撥水処理剤が提案されている。しかし、上記撥水処理剤では、溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールによってエステル化され、加水分解されにくくなるため、シラノール基が生成しにくくなること、及び生成したシラノール基が不安定なため縮合反応が進行し、シラノール基が減少してしまうことにより、無機質表面と反応し得るシラノール基量が少なくなり、強固な結合ができず、耐久性が乏しくなるという欠点があった。
【0005】
これら欠点を改善するものとして、特許第3232525号公報(特許文献6)には、パーフルオロアルキル基含有有機ケイ素化合物を炭素数4〜11の三級アルコール中で加水分解させた加水分解物が撥水処理剤として提案されているが、目的の特性を得るためには炭素数8以上のパーフルオロアルキル基が必要である。しかし、近年、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロオクタン酸(以下、PFOA)の人体への蓄積性が注目されており、2003年3月に米国環境保護庁(USEPA)は、野生動物や人の血液を含め、種々の環境から検出されるPFOAの安全性に関する予備リスク調査報告書を公開した。更に、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、及びこれらの前駆体物質の環境中への排出削減と製品中の含有量削減計画を提唱、フッ素樹脂メーカー8社の参加を公表している。
【0006】
パーフルオロアルキル基の炭素数が6以下になると、生体及び環境へのリスクは大きく低減するものの、重合体中のパーフルオロアルキル基に起因する、離型性能、撥水撥油性能などの表面改質機能は著しく低下する。これは、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基は結晶性を持つが、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基であると結晶構造を形成しないため、十分な表面改質機能を発揮しなくなるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−147484号公報
【特許文献2】特開昭60−221470号公報
【特許文献3】特開平4−96935号公報
【特許文献4】特開平3−290437号公報
【特許文献5】特開平5−311156号公報
【特許文献6】特許第3232525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、生体蓄積性が高いといわれている炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を使わずとも撥水性付与効果及び水滴の落下性改善効果に優れ、被処理物表面に優れた撥水性、防汚性を与えることができ、しかも有機溶剤に可溶性の撥水処理剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール、特にtert−ブチルアルコール中で加水分解させた加水分解物が、撥水処理剤として優れた特性を有することを見出した。
【化1】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
【0010】
即ち、上記加水分解物は、上記式(I)におけるパーフルオロオキシアルキレン基が撥水性付与効果に寄与すると共に、加水分解により無機質表面との反応性に富んだシラノール基を有するもので、それ故、被処理物表面に優れた撥水性、防汚性を与えることができ、しかも、炭素数が4〜11である三級アルコールを溶媒とすることにより、三級アルコールのかさ高さのためtert−アルコキシ化反応が抑えられ、加水分解が進行してシラノール基が十分に生成すると共に、シラノール基と三級アルコールが水素結合することにより、シラノール基が安定化されるため、無機質表面と反応し得るシラノール基が多く、強固な結合ができ、高耐久撥水性、防汚性を付与することができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記に示す撥水処理剤及びその製造方法を提供する。
〔請求項1〕
下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール中で加水分解させた加水分解物を含有してなることを特徴とする撥水処理剤。
【化2】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
〔請求項2〕
パーフルオロオキシアルキレン基が、下記式
【化3】


(式中、mは前記と同様である。)
で示されることを特徴とする請求項1記載の撥水処理剤。
〔請求項3〕
三級アルコールが、tert−ブチルアルコールである請求項1又は2記載の撥水処理剤。
〔請求項4〕
三級アルコール量が、上記有機ケイ素化合物の三級アルコール中での濃度を1〜30質量%とする量であり、加水分解時の水の含有量が、上記有機ケイ素化合物中の加水分解性基の合計量に対して0.5当量以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の撥水処理剤。
〔請求項5〕
更に、加水分解物の撥水処理剤中での濃度を0.1〜5質量%とする量で三級アルコール以外の有機溶剤が含有されている請求項1〜4のいずれか1項記載の撥水処理剤。
〔請求項6〕
下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール中で加水分解させて加水分解物を得ることを特徴とする撥水処理剤の製造方法。
【化4】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
〔請求項7〕
パーフルオロオキシアルキレン基が、下記式
【化5】


(式中、mは前記と同様である。)
で示されることを特徴とする請求項6記載の撥水処理剤の製造方法。
〔請求項8〕
三級アルコールが、tert−ブチルアルコールである請求項6又は7記載の撥水処理剤の製造方法。
〔請求項9〕
三級アルコールを上記有機ケイ素化合物の三級アルコール中での濃度が1〜30質量%となる量で用い、加水分解時の水の含有量を上記有機ケイ素化合物中の加水分解性基の合計量に対して0.5当量以上とする請求項6〜8のいずれか1項記載の撥水処理剤の製造方法。
〔請求項10〕
更に、得られた加水分解物に、該加水分解物の撥水処理剤中での濃度を0.1〜5質量%とする量で三級アルコール以外の有機溶剤を添加する請求項6〜9のいずれか1項記載の撥水処理剤の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撥水処理剤は、生体蓄積性が高いといわれている炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を使わずとも撥水性付与効果及び水滴の落下性改善効果に優れ、被処理物表面に優れた撥水性、防汚性を与えることができ、しかも有機溶剤に可溶性であるもので、各種の無機質の表面を有する材料の表面処理に利用することができ、具体的には、建築物、鉄道、車両、航空機等の窓ガラス、鏡、ガラスレンズ等の光学部品、各種ガラス器具、陶器、タイル、無機系の反射防止コートや、シリコーンハードコート等の処理をしたプラスチック材料などの表面処理に広範囲に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の撥水処理剤の原料は、下記一般式(I)で示されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物である。
【化6】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
【0014】
式中、X1、X2は加水分解性基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基などの炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、アセトキシ基などの炭素数2〜4のアシロキシ基、イソプロペノキシ基などの炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基などが挙げられる。中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル基が好適である。
【0015】
1、R2は炭素数1〜6の低級アルキル基又はフェニル基で、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、中でもメチル基が好適である。
【0016】
1、Q2は2価の有機基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよく、好ましくはCH2CH2CH2又はCH2CH2NHCH2CH2CH2のような、1〜3個の窒素原子を含んでもよい炭素数1〜5のアルキレン基又はオキシアルキレン基である。
【0017】
mは4又は5である。この範囲より小さいとパーフルオロオキシアルキレン基としての特徴が十分に発揮されず、また、この範囲より大きいと、分子全体に占めるパーフルオロオキシアルキレン基の割合が大きくなるため、一般溶剤に対する溶解性の点で好ましくない。mの値としては5が機能の発現と溶解性とのバランスの上で特に望ましい。
【0018】
nは2又は3で、それぞれ同じでも異なっていてもよく、またn=2のものとn=3のものとを併用してもよい。
【0019】
上記パーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物としては、特にF(Cx2xO)my2yで示されるパーフルオロオキシアルキレン基部分が、下記式で示されるものであることが好ましく、また加水分解性基X1及びX2がそれぞれアルコキシ基であることが好ましい。
【0020】
【化7】


(mは前記と同様である。)
【0021】
上記式(I)で示されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物として、具体的には、下記化合物を例示することができ、これら化合物の1種類を単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0022】
【化8】

【0023】
【化9】

【0024】
なお、パーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物の分子構造は、これら例示したものに限定されるものではない。
【0025】
本発明の撥水処理剤は、上記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、溶媒である炭素数4〜11、好ましくは炭素数4〜7の三級アルコール中で加水分解させた加水分解物を含有してなるものである。
【0026】
本発明に用いられる溶媒は、炭素数が4〜11、好ましくは炭素数4〜7の三級アルコールであり、具体的には、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノールが挙げられ、好ましくはtert−ブチルアルコールである。一級アルコール、二級アルコールでは前記したように撥水処理剤の耐久性が不十分となり、炭素数12以上となると水との相溶性が悪くなり、加水分解が安定しなくなる。
【0027】
炭素数が4〜11の三級アルコールの使用量は特に制限はないが、式(I)で示されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物の濃度が1〜30質量%、特に2〜15質量%となる範囲が好ましい。上記濃度が1質量%未満であると該有機ケイ素化合物の濃度が低下して、結果的に撥水処理剤としての性能に劣る場合があり、30質量%を超えると三級アルコールのかさ高さによる加水分解性基のtert−アルコキシ化反応の抑制や生成したシラノール基の安定化効果が十分得られない場合がある。
【0028】
また、加水分解は水を使用するが、水の添加量は、式(I)で示されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物に含まれるアルコキシ基等の加水分解性基の合計量に対して0.5当量以上、特に0.5〜3当量が好ましい。0.5当量に満たないと加水分解率が不十分であるため無機質表面との反応性が弱くなる場合があり、3当量を超えると保存安定性が悪くなる場合がある。
【0029】
本発明では、加水分解時に反応を促進する目的で、系のpHを7未満、好ましくはpHを5以下とするように酸を微量添加してもよい。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフロロ酢酸、リン酸等が挙げられる。
【0030】
上記加水分解反応は別に限定されないが、20〜100℃で2〜24時間行うことが望ましい。
【0031】
本発明の撥水処理剤は、上記加水分解物を含む溶液をそのまま使用してもよいが、必要に応じて、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、酢酸セルソルブ等のセルソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、イソパラフィン系炭化水素油、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類などの有機溶剤で0.01〜10質量%程度、特に0.1〜5質量%程度の濃度に希釈して使用してもよい。
【0032】
被処理物への使用方法としては、被処理物表面に浸漬、スプレー、刷毛塗り、スピンコート等の手段で塗布、乾燥すれば耐久性のある撥水・防汚表面を得ることができる。なお、乾燥は室温で十分であるが、40〜200℃で5〜60分加熱することが耐久性の点でより好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0034】
[実施例1]
温度計、撹拌機、冷却器を備えた2リットルガラス反応器に、下記式(1)で示される含フッ素有機ケイ素化合物20.0g、tert−ブタノール320.0g及び0.05N塩酸水1.7gを仕込み、25℃で24時間加水分解反応させた。更にヘキサン640.0gを加えて希釈し、撥水処理剤溶液を得た。
【化10】

【0035】
[実施例2,3、比較例1〜6]
実施例1の含フッ素有機ケイ素化合物、塩酸水、溶媒、希釈溶媒の種類と添加量、加水分解条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして撥水処理剤溶液を得た。
【0036】
次に、上記実施例及び比較例で得られた撥水処理剤溶液0.1mlをそれぞれ予めアセトンで脱脂洗浄し乾燥した30mm×150mmのガラス板上に塗布し、10分間乾燥した後、エタノールで余剰の塗布液を拭き取り、撥水処理ガラス板を作製した。また、耐久性を調べるために、上記撥水処理ガラス板を100℃の熱水中に6時間浸漬した。
【0037】
これらの表面について、下記方法で水の接触角、水の転落角を測定し、初期撥水性及び耐久撥水性を調べた。結果を表1に示す。
[水の接触角及び転落角]
水平にセットしたガラス板上に、接触角の場合1.5μl、転落角の場合50.0μlの水を垂らし、全自動接触角計DM−700(協和界面科学社製)にて接触角及び転落角を測定した。
【0038】
【表1】

【0039】
【化11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール中で加水分解させた加水分解物を含有してなることを特徴とする撥水処理剤。
【化1】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
【請求項2】
パーフルオロオキシアルキレン基が、下記式
【化2】


(式中、mは前記と同様である。)
で示されることを特徴とする請求項1記載の撥水処理剤。
【請求項3】
三級アルコールが、tert−ブチルアルコールである請求項1又は2記載の撥水処理剤。
【請求項4】
三級アルコール量が、上記有機ケイ素化合物の三級アルコール中での濃度を1〜30質量%とする量であり、加水分解時の水の含有量が、上記有機ケイ素化合物中の加水分解性基の合計量に対して0.5当量以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の撥水処理剤。
【請求項5】
更に、加水分解物の撥水処理剤中での濃度を0.1〜5質量%とする量で三級アルコール以外の有機溶剤が含有されている請求項1〜4のいずれか1項記載の撥水処理剤。
【請求項6】
下記一般式(I)で表されるパーフルオロオキシアルキレン基含有有機ケイ素化合物を、炭素数が4〜11である三級アルコール中で加水分解させて加水分解物を得ることを特徴とする撥水処理剤の製造方法。
【化3】


(式中、X1、X2は加水分解性基、R1、R2は低級アルキル基又はフェニル基、Q1、Q2は2価の有機基、mは4又は5、nは2又は3、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)
【請求項7】
パーフルオロオキシアルキレン基が、下記式
【化4】


(式中、mは前記と同様である。)
で示されることを特徴とする請求項6記載の撥水処理剤の製造方法。
【請求項8】
三級アルコールが、tert−ブチルアルコールである請求項6又は7記載の撥水処理剤の製造方法。
【請求項9】
三級アルコールを上記有機ケイ素化合物の三級アルコール中での濃度が1〜30質量%となる量で用い、加水分解時の水の含有量を上記有機ケイ素化合物中の加水分解性基の合計量に対して0.5当量以上とする請求項6〜8のいずれか1項記載の撥水処理剤の製造方法。
【請求項10】
更に、得られた加水分解物に、該加水分解物の撥水処理剤中での濃度を0.1〜5質量%とする量で三級アルコール以外の有機溶剤を添加する請求項6〜9のいずれか1項記載の撥水処理剤の製造方法。

【公開番号】特開2012−219217(P2012−219217A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88280(P2011−88280)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】