説明

撥水処理剤

【課題】高い接触角および低い転落角を同時に付与しながら、長期にわたりこれらの撥水性を発揮し続けることのできる撥水処理剤を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で示されるアルキルシランと、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有し、25℃における動粘度が5〜1500mm/sのオルガノシロキサンと、溶媒とを、オルガノシロキサンの配合割合が、アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部となるように、配合させて、撥水処理剤を得る。これを基材に塗布すれば、高い接触角および低い転落角を同時に付与することができ、長期にわたりこれらの撥水性を発揮し続けることができる。
SiR3−m (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水処理剤、詳しくは、基材の撥水処理に用いられる撥水処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のフロントガラスなどには、撥水性を付与するために、撥水処理剤を用いて撥水処理している。
【0003】
このような撥水処理剤として、例えば、(A)炭素原子数4〜18のアルキル基を含有するアルキルアルコキシシラン化合物、(B)両末端シラノール基封鎖ポリジオルガノシロキサン油、(C)酸、および、(D)揮発性溶剤を含有し、(B)/(A)の重量比が12〜40かつ(C)/(A)の重量比が2〜5である車両ガラス用表面処理剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、(A)アルキルシラン化合物、(B)酸、(C)ジメチルポリシロキサン、および、(D)揮発性溶剤を含有する撥水処理剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−34553号公報
【特許文献2】特開平10−121036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、フロントガラスに優れた撥水性を付与するためには、フロントガラスに対する水滴の接触角が高いこと、さらには、フロントガラスに対して水滴が動き始める時の角度、つまり、転落角が低いことが要求される。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の車両ガラス用表面処理剤組成物や特許文献2に記載の撥水処理剤組成物では、フロントガラスに、十分に高い接触角を付与することができず、しかも、転落角を低下させることができず、その上、長期にわたって、優れた撥水性を付与することができない。
【0007】
本発明の目的は、高い接触角および低い転落角を同時に付与しながら、長期にわたりこれらの撥水性を発揮し続けることのできる撥水処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、本発明の撥水処理剤は、下記一般式(1)で示されるアルキルシランと、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有し、25℃における動粘度が5〜1500mm/sのオルガノシロキサンと、溶媒とを含有し、前記オルガノシロキサンの配合割合が、前記アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部であることを特徴としている。
【0009】
SiR3−m (1)
(式中、Rは、炭素数6〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rは、メトキシ、エトキシまたはクロロ、Rはメチルまたはエチルを示す。また、mは0〜2の整数を示す。)
また、本発明の撥水処理剤では、一般式(1)におけるRが、メトキシまたはエトキシであって、さらに、酸を含有していることが好適である。
【0010】
また、本発明の撥水処理剤では、一般式(1)におけるRが、炭素数8〜12のアルキル基であることが好適である。
【0011】
また、本発明の撥水処理剤では、前記オルガノシロキサンの動粘度が、5〜700mm/sであることが好適である。
【0012】
また、本発明の撥水処理剤では、前記オルガノシロキサンの配合割合が、前記アルキルシラン100重量部に対して、5〜300重量部であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撥水処理剤は、特定のアルキルシランと、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有するオルガノシロキサンと、溶媒とを含有し、オルガノシロキサンの配合割合が、アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部である。そのため、本発明の撥水処理剤を基材に塗布すれば、高い接触角および低い転落角を同時に付与することができ、長期にわたりこれらの撥水性を発揮し続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の撥水処理剤は、アルキルシランと、オルガノシロキサンと、溶媒とを含有している。
【0015】
アルキルシランは、長鎖アルキルのトリ、ジまたはモノアルコキシシラン、あるいは、長鎖アルキルのトリ、ジまたはモノクロロシランであって、より具体的には、下記一般式(1)で示される。
【0016】
SiR3−m (1)
(式中、Rは、炭素数6〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rは、メトキシ、エトキシまたはクロロ、Rはメチルまたはエチルを示す。また、mは0〜2の整数を示す。)
一般式(1)において、Rとしては、例えば、ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルへキシル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどの直鎖または分岐鎖の炭素数6〜18のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数が6〜18の範囲であれば、転落角の増大を防止しつつ、耐久性を向上させることができる。
【0017】
好ましくは、Rとしては、オクチル、2−エチルへキシル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシルなどの炭素数8〜12のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数が8〜12の範囲であれば、転落角の増大を確実に防止しつつ、耐久性をより一層向上させることができる場合がある。
【0018】
一般式(1)において、Rとしては、好ましくは、メトキシ、エトキシが挙げられる。
【0019】
一般式(1)において、Rとしては、好ましくは、メチルが挙げられる。
【0020】
一般式(1)において、mは、好ましくは、0または1であり、さらに好ましくは、0である。
【0021】
より具体的には、一般式(1)で示されるアルキルシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどの長鎖アルキルトリメトキシシラン、例えば、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどの長鎖アルキルトリエトキシシラン、例えば、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランなどの長鎖アルキルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0022】
これらアルキルシランは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0023】
オルガノシロキサンは、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有する両末端型変性シリコーンオイル(両末端型反応性シリコーンオイル)であって、例えば、下記一般式(2)で示される。
【0024】
【化1】

【0025】
(一般式(2)中、Rは、置換または非置換の非反応性の1価の炭化水素基を示し、Rは、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を示す。pおよびqはそれぞれ1〜3の整数を示し、nは9〜450の整数を示す。)
一般式(2)において、Rとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどの非置換のアルキル基、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルなどの置換のアルキル基、例えば、フェニルなどの非置換のアリール基などが挙げられる。好ましくは、Rとしては、メチルが挙げられる。
【0026】
一般式(2)において、Rとしては、好ましくは、ヒドロキシル基が挙げられる。
【0027】
一般式(2)において、pおよびqは同一またはそれぞれ相異なっていてもよく、それぞれ、例えば、1〜3の整数、好ましくは、3を示す。
【0028】
一般式(2)において、nは、重合度であって、例えば、9〜450であり、好ましくは、9〜300であり、さらに好ましくは、9〜40である。nが上記した範囲を超えると、転落角が増大して、耐久性が低下する場合がある。一方、nが上記した範囲に満たないと、良好な転落角を付与することができない場合がある。
【0029】
なお、オルガノシロキサンは、Rがヒドロキシル基であるときには、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(両末端型シラノール変性ジメチルポリシロキサン)と指称する場合がある。
【0030】
また、このオルガノシロキサンの25℃における動粘度は、5〜1500mm/sであり、好ましくは、5〜700mm/s、さらに好ましくは、5〜35mm/sである。
【0031】
動粘度が上記した範囲を超えると、高い接触角および低い転落角を付与することができず、さらには、耐久性が低下する。一方、動粘度が上記した範囲に満たないと、良好な転落角を付与することができない。
【0032】
これらオルガノポリシロキサンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0033】
オルガノシロキサンの配合割合は、アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部であり、好ましくは、5〜300重量部である。
【0034】
オルガノシロキサンの配合割合が上記した範囲を超えると、高い接触角および低い転落角を付与することができない。さらには、耐久性、より具体的には、基材が自動車のフロントガラスまたはリアガラスである場合には、耐ワイピング性(耐摩擦性)を向上させることができない。
【0035】
溶媒は、アルキルシランおよびオルガノシロキサンを分散または溶解できれば特に限定されず、例えば、揮発性の溶媒であって、このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、例えば、ミネラルスピリットなどの石油系溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、例えば、揮発性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系溶媒などが挙げられる。好ましくは、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0036】
これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0037】
溶媒の配合割合は、アルキルシラン100重量部に対して、例えば、500〜25000重量部、好ましくは、5000〜15000重量部である。溶媒の配合割合が上記した範囲を超えると、良好な撥水性を付与できない場合がある。溶媒の配合割合が上記した範囲に満たないと、作業性が低下する場合がある。
【0038】
また、本発明の撥水処理剤には、さらに、酸を含有させることができる。
【0039】
酸は、例えば、上記した一般式(1)のRが、メトキシまたはエトキシである場合、すなわち、アルキルシランが長鎖アルキル(モノ、ジまたはトリ)メトキシシランまたは長鎖アルキル(モノ、ジまたはトリ)エトキシシランである場合に、撥水処理剤に配合される。
【0040】
このような酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、例えば、酢酸、ギ酸などの有機酸などが挙げられる。
【0041】
これら酸は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0042】
酸の配合割合は、アルキルシラン100重量部に対して、例えば、1〜40重量部、好ましくは、1〜20重量部である。上記した範囲を超えると、作業性が低下したり、コストが増大する場合がある。上記した範囲に満たないと、酸の配合の効果が得られない場合がある。
【0043】
このような酸を含有させれば、酸がアルキルシランの反応性を向上させる触媒として機能し、より具体的には、アルキルシランのメトキシまたはエトキシと、オルガノシロキサンのヒドロキシル基またはアルコキシ基との反応性を向上させて、高い接触角および低い転落角を付与して、耐久性を向上させることができる。
【0044】
そして、本発明の撥水処理剤を得るには、アルキルシランと、オルガノシロキサンと、溶媒と、必要により配合される酸とを、上記した配合割合で適宜配合する。
【0045】
なお、本発明の撥水処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲において、撥水処理剤に通常添加される、例えば、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、香料、着色剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0046】
そして、このようにして得られた、本発明の撥水処理剤は、例えば、基材の撥水処理に用いられる。
【0047】
基材としては、水に濡れたときに撥水性が要求されるものであれば特に限定されず、自動車などの車両の窓ガラス、ミラー、塗装面、例えば、建造物の壁、窓、屋根、例えば、自動車のサイドミラー、路上のカーブミラーなどのミラーなどが挙げられる。好ましくは、自動車の窓ガラス、より具体的には、ワイパーによる摩擦によっても撥水性が低下しない耐ワイピング性が要求されるフロントガラス、リヤガラスなどが挙げられる。
【0048】
基材を撥水処理するには、本発明の撥水処理剤を基材に塗布する。
【0049】
基材に対する塗布は、特に限定されず、例えば、本発明の撥水処理剤をティッシュペーパーなどの吸収紙に含ませて、その吸収紙で、基材を擦るなど、公知の方法が適宜用いられる。なお、塗布方法は、その他、例えば、布、刷毛、スポンジなどで直接塗布することができ、または、スプレーにより吹き付けることもできる。
【0050】
また、塗布後は、例えば、常温乾燥させ、必要により、余剰の撥水処理剤を拭き取れば(または拭き上げれば)よい。
【0051】
そして、本発明の撥水処理剤は、特定のアルキルシランと、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有するオルガノシロキサンと、溶媒とを含有し、オルガノシロキサンの配合割合が、アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部である。そのため、本発明の撥水処理剤を基材、より具体的には、自動車などの窓ガラスに塗布すれば、窓ガラスに対する水の高い接触角および低い転落角を発現させることができる。
【0052】
さらに、長期にわたり、窓ガラスに対する水滴の優れた接触角や転落角などの撥水性を発揮し続けることができる。とりわけ、フロントガラスまたはリヤガラスに対しては、長期にわたり、優れた耐ワイピング性を付与することができる。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例および比較例に何ら限定されるものではない。
【0054】
実施例1
・デシルトリメトキシシラン 100重量部
・両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン 100重量部
(粘度30mm/s(25℃))
・塩酸 30重量部
・イソプロピルアルコール 9000重量部
上記組成において、各成分をイソプロピルアルコールに配合して混合することにより、撥水処理剤を得た。
【0055】
実施例2
デシルトリメトキシシラン100重量部に代えて、デシルトリクロロシラン100重量部を用い、イソプロピルアルコール9000重量部に代えて、イソオクタン9000重量部を用い、塩酸を用いなかった以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0056】
実施例3
デシルトリメトキシシラン100重量部に代えて、ヘキシルトリメトキシシラン100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0057】
実施例4
デシルトリメトキシシラン100重量部に代えて、オクタデシルトリメトキシシラン100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0058】
実施例5
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度700mm/s(25℃))100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0059】
実施例6
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度1500mm/s(25℃))100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0060】
実施例7
デシルトリメトキシシラン100重量部に代えて、ヘキシルトリメトキシシラン100重量部を用い、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度1500mm/s(25℃))を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0061】
実施例8
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))300重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0062】
実施例9
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))1000重量部を用い、イソプロピルアルコール9000重量部に代えて、イソプロピルアルコール8500重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0063】
比較例1
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))1500重量部を用い、イソプロピルアルコール9000重量部に代えて、イソプロピルアルコール8000重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0064】
比較例2
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))に代えて、ジメチルシロキサン(非反応性シリコーンオイル、粘度30mm/s(25℃))を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0065】
比較例3
両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度30mm/s(25℃))100重量部に代えて、両末端型ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン(粘度5000mm/s(25℃))100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に配合して、撥水処理剤を得た。
【0066】
(評価)
1. 撥水処理
各実施例および各比較例の撥水処理剤をティッシュペーパーに含ませて、そのティッシュペーパーで、ガラス板(サイズ150mm×70mm、厚み2.0mm、太佑機材社製)を擦ることにより、撥水処理剤を塗布した後、常温で乾燥させて、ガラス板を撥水処理した。
2. 評価
撥水処理したガラス板を以下の各測定により評価した。その結果を表1に示す。
1) 接触角
ガラス板を接触角計(型番FTA125、FTA社製)にセットした後、水滴4μlの接触角を測定した。
2) 転落角
ガラス板を接触角計(型番FTA125、FTA社製)にセットした後、水滴30μlが動き始めた時の角度、すなわち、転落角を測定した。
3) 耐磨耗性
1%酸化セリウム水分散液4mlをスポンジに含ませ、これをワッシャービリティー試験機(型番552、安田精機製作所社製)に装着させた。その後、ガラス板をこの試験機にセットし、12.5g/cmの荷重をかけながら、スポンジでガラス板を400往復擦った。その後、摺擦後のガラス板を接触角計(型番FTA125、FTA社製)にセットした後、水滴4μlの接触角を測定することにより、耐摩耗性を評価した。
【0067】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアルキルシランと、分子の両末端にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有し、25℃における動粘度が5〜1500mm/sのオルガノシロキサンと、溶媒とを含有し、
前記オルガノシロキサンの配合割合が、前記アルキルシラン100重量部に対して、5〜1000重量部であることを特徴とする、撥水処理剤。
SiR3−m (1)
(式中、Rは、炭素数6〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、Rは、メトキシ、エトキシまたはクロロ、Rはメチルまたはエチルを示す。また、mは0〜2の整数を示す。)
【請求項2】
一般式(1)におけるRが、メトキシまたはエトキシであって、
さらに、酸を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の撥水処理剤。
【請求項3】
一般式(1)におけるRが、炭素数8〜12のアルキル基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の撥水処理剤。
【請求項4】
前記オルガノシロキサンの25℃における動粘度が、5〜700mm/sであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥水処理剤。
【請求項5】
前記オルガノシロキサンの配合割合が、前記アルキルシラン100重量部に対して、5〜300重量部であることを特徴とする、撥水処理剤。

【公開番号】特開2008−274118(P2008−274118A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119421(P2007−119421)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000227331)株式会社ソフト99コーポレーション (84)
【Fターム(参考)】