説明

撥水撥油組成物

【課題】本発明は、撥水撥油組成物を提供することを課題とする
【解決手段】下記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー及び有機溶剤を含むPTFE微粒子の分散剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属等の表面に撥水、撥油性能を付与させるのに有用な含フッ素オリゴマーを含む分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)微粒子は、表面エネルギーが低く、撥水性・撥油性および比重が大きいことから、一般的な有機溶媒中には分散しにくい。また、PTFE微粒子のみを金属表面にコーティングした場合、良好な撥水性を示すが、撥油性の点では十分ではない。このため、PTFE微粒子は、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、テロメリゼーション法で製造された含フッ素オリゴマー等を含む有機溶媒等に分散して、各種用途に使用されている。
【0003】
しかしながら、近年、PFOA、PFOSは、環境での残留性、生体での蓄積性、及び有毒性が懸念されており、各国で使用規制が設けられてきている。また、従来使用されてきた含フッ素オリゴマー分散剤は、熱等により分解し、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)等のフッ素化合物を生成するので、このようなオリゴマーを使用することも好ましくない。このような背景のもと、PFOA、PFOS、分解してPFOAやPFOSといったフッ素化合物を生成する含フッ素オリゴマー分散剤に代わる分散剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−249130号公報
【特許文献2】特開平8−269286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、PTFE微粒子の分散性に優れ、かつ、PTFEのコーティング膜とした時の撥水性及び撥油性の両方に優れる、PTFE微粒子の分散剤を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高度に分岐したパーフルオロアルケニル基を主鎖にもつ含フッ素オリゴマーとPTFE微粒子とを併用することにより、金属等の表面に優れた撥水撥油性能を付与することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成された発明である。すなわち、本発明は、下記項1〜6に記載の分散剤、該分散剤とPTFE微粒子を含む組成物、及び該組成物を熱処理して得られるコーティング膜に関する。
【0007】
項1. 下記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー及び有機溶剤を含むPTFE微粒子の分散剤。
【化1】

[式中、Rは炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である。Rは炭素原子数が1〜100の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である。R及びRは、相互に独立してH又はメチル基である。m及びnは、相互に独立して、1〜30の整数である。ただし、各繰り返し単位の順番は特定されない。Rfは下記式(2)又は(3)で示される基である。]
【化2】


【化3】

項2. 前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーのRは炭素原子数が1〜20(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)であり、R2は炭素原子数が2〜50(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である項1に記載の分散剤。
項3. 項1又は2に記載の分散剤及びPTFE微粒子を含む組成物であって、該組成物中の含フッ素オリゴマーの含有量が0.1〜30.0重量%、有機溶剤の含有量が50.0〜99.8重量%、PTFE微粒子の含有量が0.1〜40.0重量%である組成物。
項4. 前記分散剤の配合割合が前記組成物中の0.1〜30.0重量%である項3に記載の組成物。
項5. 前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーとPTFE微粒子の配合量の比率(重量)が、下式:
1≦[PTFE微粒子]/[一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー]≦40
の関係にある項3又は4に記載の組成物。
項6. 項3〜5のいずれかに記載の組成物を金属、セラミックス又は樹脂の表面に塗布し、熱処理して得られるコーティング膜。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、PTFE微粉末の分散性に優れ、かつ、PTFE微粉末との混合物とした時の撥水性と撥油性の両方に優れた分散剤を得ることができる。該分散剤を使用することにより、PTFE微粉末の焼付けを150〜250℃程度と比較的低温行うことができるため、金属、セラミックス等の高温に耐える材料表面だけでなく、樹脂等の高温に弱い材料表面に撥水撥油性を付与することもできる。さらに、本発明の分散剤は、分解してもPFOA、PFOSといった環境での残留性等が懸念されるフッ素化合物を生じないので、従来のPTFE微粒子の分散剤として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の分散剤、組成物及びコーティング膜について詳述する。
【0010】
1.分散剤
本発明の分散剤は、以下の含フッ素オリゴマー、及び有機溶剤といった他の成分を含む。
【0011】
含フッ素オリゴマー
本発明の分散剤は、PTFE微粒子を分散させるための分散剤であり、下記一般式(1):
【0012】
【化4】

【0013】
で表される含フッ素オリゴマーを含むことを特徴とする。
【0014】
一般式(1)において、Rは炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基である。該飽和脂肪族炭化水素基は、所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を複数有していてもよい。Rは、好ましくは炭素原子数が1〜20の二価の飽和脂肪族炭化水素基である。
【0015】
特に好ましいRとしては、下記一般式で表される二価の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
−(CHn1− (n1=2〜10)
−(CHn2OCOC− (n2=2〜10)
−(CHn3− (n3=1〜10)
−(CHCHO)n4CHCH− (n4=1〜10)
−(CHCHO)n5COC− (n5=1〜10)。
【0016】
一般式(1)において、Rは炭素原子数が1〜100の二価の飽和脂肪族炭化水素基である。該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を複数有していてもよい。Rは好ましくは炭素原子数が2〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基である。
【0017】
特に好ましいRとしては、下記一般式で表される二価の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
−(CHn6− (n6=2〜10)
−(CHCHO)n7CHCH− (n7=1〜20)
−(CHCHCHO)n8CHCHCH− (n8=1〜10)。
【0018】
一般式(1)において、R及びRは、相互に独立してH又はメチル基である。
【0019】
また、m及びnは、相互に独立して、1〜30の整数である。m及びnは、好ましくは相互に独立して、0.1≦m/n≦10、特に好ましくは0.3≦m/n≦5である。
一般式(1)において、各繰り返し単位の順番は特定されず、ランダムでもブロックでもよい。
【0020】
一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの重量平均分子量は、通常3000〜50000程度、好ましくは4000〜25000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)によって測定した値である。
【0021】
一般式(1)において、Rfは下記式(2)又は(3)で示される基である。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
一般式(1)において、n個のRfは、一般式(2)、(3)で表される基が混合していてもよく、どちらか一方のみでも良い。また、一般式(2)、(3)で表される基の比も特に限定されない。
【0025】
また、前記一般式(1)で示される含フッ素オリゴマーは、例えば、下記式(1A)
CH=CR−COO−R−O−Rf (1A)
(式中、R、R及びRfは、前記に定義される通りである)
で表される含フッ素モノマー、下記式(1B)
CH=CR−COO−R−OH (1B)
(式中、R及びRは、前記に定義される通りである)
で表されるエステル系モノマーを、前記n:mの比率で混合し、重合開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等)を適量加えて、溶媒の存在下に室温〜100℃程度の温度で1〜24時間程度反応させることにより得ることができる。この際、前記式(1A)、(1B)の混合順序は特に限定されない。
【0026】
式(1A)、(1B)で表されるモノマーは、公知の方法により得ることができ、市販品を使用することもできる。
【0027】
例えば、式(1B)で表されるモノマーの具体例としては、グリセリンモノメタクリレート(日油製、商品名:ブレンマーGLM等)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマーE等)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマーPE90、PE200、PE350等)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油製 商品名:ブレンマーAE90、AE200、AE400等)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマーP等)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマーPP1000、PP500、PP800等)、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製 商品名:ブレンマーAP150、AP400、AP550等)、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)−モノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマー50PEP−300等)、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−モノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマー70PEP−350B等)、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)−モノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマー55PET−800等)、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)−モノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマーPPT等)、プロピレングリコール・ポリブチレングリコール−モノメタクリレート(日油製 商品名:ブレンマー10PPB−500B等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:HEA等)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:HPA等)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成製 商品名:4HBA、大阪有機化学工業製 商品名:4−HBA等)、1、4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。
【0028】
式(1A)及び(1B)で表されるモノマーは、それぞれ1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーを含む本発明の分散剤は、従来PTFE微粒子の分散剤として広く使用されてきた、PFOAやPFOSと同等の分散性を有する。また、本発明の含フッ素オリゴマーは、上記一般式(2)及び(3)で示される分岐状パーフルオロカーボン鎖を分子内に有する。この分岐状パーフルオロカーボン鎖は、表面エネルギーの低下に極めて効果的である。したがって、後述の通り、前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーを含む本発明の分散剤をPTFE微粒子用の分散剤として使用することにより、高い表面改質効果を有するコーティング膜を得ることができる。また、該フッ素オリゴマーは、分解してもPFOA又はPFOSを生成することはない。さらに、上記一般式(2)及び(3)で示される分岐状パーフルオロカーボン鎖の原料である含フッ素化合物(ヘキサフルオロプロペン3量体)は、比較的安価に製造できるため、コストの点でも優れた分散剤を製造することができる。
【0030】
他の成分
本発明の分散剤に含まれる他の成分としては、PTFE微粒子の分散剤に含まれる一般的な有機溶剤が挙げられる。このような分散剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
【0031】
本発明の分散剤において、これら有機溶剤と前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの配合割合は、含フッ素オリゴマー100重量部に対して、有機溶剤を通常166〜9980重量部程度とすればよい。
【0032】
PTFE微粒子
本発明の分散剤は、PTFE微粒子の分散剤として使用される。PTFE微粒子は、表面改質を目的として使用されるものであれば、特に限定されず、公知の方法により製造することができ、市販品も容易に入手可能である。PTFE微粒子の市販品としては、例えば、株式会社広丘精機社製のRF−4−6、RF−5−5、ダイキン工業株式会社製のルブロンL−2等が挙げられる。PTFE微粒子の数平均粒子径は、通常0.1〜100.0μm程度、好ましくは0.5〜10.0μm程度である。
【0033】
2.組成物
本発明の組成物は、前記PTFE微粒子、前記分散剤、及び必要に応じて配合される添加物との混合物である。
【0034】
前記PTFE微粒子、前記分散剤、及び必要に応じて配合される添加物の混合方法は特に限定されず、これらの成分が均一に分散すればよい。また、混合の際の温度も特に限定されず、通常0〜100℃程度で混合すればよい。
【0035】
本発明の組成物において、PTFE微粒子の配合量は、通常0.1〜40.0重量%程度、好ましくは1.0〜20.0重量%程度である。また、含フッ素オリゴマーの配合量は、通常0.1〜30.0重量%程度、好ましくは0.5〜5.0重量%程度である。さらに、前記有機溶剤の配合量は、通常50.0〜99.8重量%程度、好ましくは75.0〜98.5重量%程度である。
【0036】
本発明において、前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーとPTFE微粒子の配合量の比率(重量)は、下式:
0.1≦[PTFE微粒子]/[一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー]≦40
の関係にあることが好ましい。さらに、下式:
1≦[PTFE微粒子]/[一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー]≦15
の関係にあることがより好ましい。
【0037】
3.コーティング膜
本発明の組成物は、金属等の表面に塗布し、加熱処理を施すことにより、コーティング膜を形成する。該コーティング膜には、前記PTFE微粒子及び前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーが含まれる。前記のとおり、PTFE微粒子のみを金属等の表面にコーティングした場合、良好な撥水性を示すものの、良好な撥油性を得ることができない。
【0038】
一方、本発明の組成物は、前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーを分散剤に含むことにより、PTFE微粒子の分散性に優れているだけでなく、コーティング膜としたときの撥水性及び撥油性にも極めて優れている。
【0039】
また、通常、PTFE微粒子を含む組成物を加熱処理(PTFEの焼付け)してコーティング膜を形成する際は、350〜400℃程度という高温条件を必要とする。これに対して、本願発明の組成物は、150〜250℃程度と比較的低温で焼付けを行うことが可能である。このことから、本発明のコーティング膜は、金属、セラミックス等の高温条件に強い材料の表面だけでなく、比較的高温条件に弱い樹脂等の表面にも形成することができる。
【0040】
コーティング膜を形成し得る材料の具体例としては、鉄・アルミニウム・ステンレス等の金属、ガラス・陶器、セメント等のセラミックス、ポリウレタン・プラスチック・ポリエステル等の樹脂が挙げられる。加熱処理時間は、通常1分間以上である。
【0041】
本発明の組成物の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
【0042】
また、コーティング膜の厚みは、通常0.01〜100μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明が実施例に限定されることは意図しない。
【0044】
実施例1
サンプル管(50ml)内に、下記表1に記載の含フッ素オリゴマー(B)0.50g、N−メチル−2−ピロリドン9.40g及び酢酸エチル0.50gを入れた。得られた混合液に表2に記載のPTFE微粒子(A)0.50gを徐々に加え、PTFE微粉末の分散液を10.00g得た。得られた分散液を金属表面(SUS)に塗布し、200℃で1時間加熱処理(焼付け)を行い、金属表面にPTFEの膜を形成した。得られたPTFE膜について、水、及びヘキサデカンを用いて接触角を測定した。接触角の評価方法は表3、配合比率、焼付け条件、及び各試験結果は表4の通りである。なお、表4〜7中のPTFE微粒子、フッ素オリゴマー、及び溶剤の数値は、重量比である。
【0045】
実施例2〜44
実施例1と同様にして、表1及び表2に記載の含フッ素オリゴマー及びPTFE微粒子を用いてコーティング膜を形成した。得られたPTFE膜について、実施例1と同様にして接触角を測定した。実施例2〜44の各成分の配合比率、焼付け条件、及び各試験結果は表4〜7の通りである。
【0046】
比較例1
サンプル管(50ml)内に、N−メチル−2−ピロリドン10.00gを入れた。N−メチル−2−ピロリドンを金属表面(SUS)に塗布し、200℃で1時間焼付けを行った。得られた膜について、実施例1と同様にして接触角を測定した。各成分の配合比率、焼付け条件、及び各試験結果は表7の通りである。
【0047】
比較例2
サンプル管(50ml)内に、N−メチル−2−ピロリドン9.50gを入れた。PTFE微粒子(A)0.50gを徐々に加えたが、PTFE分散液を得ることができなかった。配合比率は表7の通りである。
【0048】
比較例3
サンプル管(50ml)内に、含フッ素オリゴマー(B)0.20g、N−メチル−2−ピロリドン9.60g及び酢酸エチル0.20gを入れ、含フッ素オリゴマー溶液10.00gを得た。得られた溶液を各種金属表面(SUS、Al、SPCC)に塗布し、200℃で1時間焼付けを行い、金属表面に含フッ素オリゴマーの膜を形成した。得られた膜について、実施例1と同様にして接触角を測定した。各成分の配合比率、焼付け条件、及び各試験結果は表7の通りである。
【0049】
比較例4〜7
実施例2と同様にして、表1及び表2に記載の含フッ素オリゴマー、PTFE微粒子を用いてコーティング膜を形成した。配合比率、焼付け条件、及び各試験結果は表7の通りである。
【0050】
【表1】

各実施例及び比較例で使用した含フッ素オリゴマー(A)〜(F)は、下記一般式(1’)の通りである。
【0051】
【化7】

【0052】
式中、n及びmは表1の通りである。また、式中、Rfは、下記(2)と(3)とが混合している。なお、一般式(1’)において、(2)と(3)とのモル比は、0.3≦(2)/(3)≦5であった。
【0053】
【化8】

【0054】
【化9】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

【0060】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー及び有機溶剤を含むPTFE微粒子の分散剤。
【化1】

[式中、Rは炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である。Rは炭素原子数が1〜100の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である。R及びRは、相互に独立してH又はメチル基である。m及びnは、相互に独立して、1〜30の整数である。ただし、各繰り返し単位の順番は特定されない。Rfは下記式(2)又は(3)で示される基である。]
【化2】

【化3】

【請求項2】
前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーのRは炭素原子数が1〜20(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)であり、R2は炭素原子数が2〜50(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の分散剤及びPTFE微粒子を含む組成物であって、該組成物中の含フッ素オリゴマーの含有量が0.1〜30.0重量%、有機溶剤の含有量が50.0〜99.8重量%、PTFE微粒子の含有量が0.1〜40.0重量%である組成物。
【請求項4】
前記分散剤の配合割合が前記組成物中の0.1〜30.0重量%である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーとPTFE微粒子の配合量の比率(重量)が、下式:
1≦[PTFE微粒子]/[一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー]≦40
の関係にある請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の組成物を金属、セラミックス又は樹脂の表面に塗布し、熱処理して得られるコーティング膜。

【公開番号】特開2011−74129(P2011−74129A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224615(P2009−224615)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000135265)株式会社ネオス (95)
【Fターム(参考)】