説明

撥水撥油防汚性光反射板とその製造方法及びそれを用いたトンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物。

【課題】従来の化学吸着膜は吸着剤と平坦な基材表面との化学結合のみを用いているため、水滴接触角は高々120度程度止まりであり、水滴や汚れが自然に除去されるためには撥水撥油防汚性や離水性が乏しいという課題があった。また、耐摩耗性や耐候性等の耐久性も乏しいという課題があった。
【解決手段】 少なくとも表面が撥水または撥油性の被膜で覆われた透明微粒子をバインダーを溶かした溶液中に分散する工程と、前記溶液をガラス表面に塗布、乾燥する工程と、酸素を含む雰囲気中で焼成する工程と、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程とにより、表面が焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子で覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板を提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐久性で且つ撥水撥油防汚性の被膜が表面に形成された光反射板に関するものである。詳しくは、トンネル内壁や、道路標識、表示板、乗り物の内外装や建物壁面で利用される防汚性光反射板に関するものである。さらに、それを用いたトンネル、道路標識、表示板、乗り物、および建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の撥水撥油防汚性化学吸着膜を形成できることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面の水酸基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
【特許文献1】特開平02−258032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化学吸着膜は吸着剤と平坦な基材表面との化学結合のみを用いているため、水滴接触角は高々120度程度止まりであり、水滴や汚れが自然に除去されるためには撥水撥油性や離水性、および防汚性が乏しいという課題があった。また、耐摩耗性や耐候性等の耐久性も乏しいという課題があった。
【0005】
本発明は、トンネル内壁や、道路標識、表示板、乗り物の内外装や建物壁面で利用される光反射板において、防汚性や水滴離水性(滑水性ともいう)および耐摩耗性や耐候性等の耐久性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、表面が焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維で覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0007】
第二の発明は、第一の発明に於いて、焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維の一部分の表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われており、且つ他の部分がバインダーである釉膜またはシリカ系ガラス膜を介して基材表面に焼結固定されていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0008】
第三の発明は、第一の発明に於いて、釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部の全表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0009】
第四の発明は、第三の発明に於いて、少なくとも撥水撥油防汚性の被膜が釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部に共有結合していることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0010】
第五の発明は、第一乃至四の発明に於いて、透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0011】
第六の発明は、第一乃至五の発明に於いて、透明微粒子および/または繊維の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0012】
第七の発明は、第一乃至六の発明に於いて、表面の水滴に対する接触角が130度以上に制御されていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0013】
第八の発明は、第一乃至七の発明に於いて、基材が反射性のステンレス、またはアルミニウム板であり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が透明であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0014】
第九の発明は、第一乃至七の発明に於いて、基材がガラス、金属、またはタイルやホーロー等のセラミックスであり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が無機顔料、金属微粒子および/または繊維、あるいはマイカ微粒子を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板である。
【0015】
第十の発明は、第一乃至九の発明の撥水撥油防汚性光反射板を壁面に装着したことを特徴とするトンネルである。
【0016】
第十一の発明は、第一乃至九の発明の撥水撥油防汚性光反射板を用いたことを特徴とする道路標識である。
【0017】
第十二の発明は、第一乃至九の発明の撥水撥油防汚性光反射板を用いたことを特徴とする表示板。
【0018】
第十三の発明は、第一乃至九の発明の撥水撥油防汚性光反射板を車体内外部に装着したことを特徴とする乗り物である。
【0019】
第十四の発明は、第一乃至九の発明の撥水撥油防汚性光反射板を外壁や内壁に装着したことを特徴とする建物である。
【0020】
第十五の発明は、少なくとも表面が撥水または撥油性の被膜で覆われた透明微粒子および/または繊維をバインダーを溶かした溶液中に分散する工程と、前記溶液を基材表面に塗布、乾燥する工程と、酸素を含む雰囲気中で焼成する工程と、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0021】
第十六の発明は、第十五の発明に於いて、バインダーとして焼成により釉膜またはシリカ系ガラス膜になる物質を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0022】
第十七の発明は、第十五および十六の発明に於いて、焼成温度が250℃以上で基材または透明微粒子および/または繊維の融点以下であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0023】
第十八の発明は、第十五乃至十七の発明に於いて、バインダーを溶かした溶液の溶媒が水であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥水性の被膜であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0024】
第十九の発明は、第十五乃至十七の発明に於いて、バインダーを溶かした溶液の溶媒が有機溶媒であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥油性の被膜であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0025】
第二十の発明は、第十五乃至十九の発明に於いて、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、フッ化炭素基とトリクロロシリル基を含むクロロシラン系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、フッ化炭素基とイソシアネート基を含むイソシアネート系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、あるいはフッ化炭素基とアルコキシシリルキを含むアルコキシシラン系化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合するかして作成した化学吸着液と表面に透明微粒子および/または繊維を焼結させた光反射板を接触させて撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0026】
第二十一の発明は、第二十の発明に於いて、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、接触後、余分な化学吸着液を洗浄除去する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0027】
第二十二の発明は、第二十の発明に於いて、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法である。
【0028】
さらに詳しくは、本発明は、少なくとも表面が撥水または撥油性の被膜で覆われた透明微粒子および/または繊維をバインダーを溶かした溶液中に分散する工程と、前記溶液を基材表面に塗布、乾燥する工程と、酸素を含む雰囲気中で焼成する工程と、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程により、表面が焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維で覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板を提供することを要旨とする。
【0029】
ここで、焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維の一部分の表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われており、且つ他の部分がバインダーである釉膜またはシリカ系ガラス膜を介して基材表面に焼結固定されていると耐久性のある防汚性反射板を提供する上で都合がよい。
【0030】
また、釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部の全表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われていると防汚性を向上する上で都合がよい。
【0031】
さらにまた、少なくとも撥水撥油防汚性の被膜が釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部に共有結合していると耐久性を向上できて好都合である。
【0032】
また、透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であると反射効果を向上できて都合がよい。
【0033】
また、透明微粒子および/または繊維の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいと反射効果を大きくできて都合がよいが、好ましくは、5mm〜1μmがよい。より好ましくは、100μm〜3μmがよい。
【0034】
また、表面の水滴に対する接触角が130度以上に制御されていると防汚効果を大きくできて都合がよい。
【0035】
さらに、基材が反射性のステンレスまたはアルミニウム板であり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が透明であると反射効果を大きくできて都合がよい。
【0036】
また、基材がガラス、金属、またはタイルやホーロー等のセラミックスであり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が無機顔料、金属微粒子および/または繊維、あるいはマイカ微粒子を含むと耐久性を向上できて都合がよい。
【0037】
また、前記撥水撥油防汚性光反射板をトンネル内壁面に装着しておくと、長期に亘り防汚効果が発揮され、明るいトンネルを実現できて都合がよい。
【0038】
さらにまた、前期撥水撥油防汚性光反射板を道路標識として用いると、長期に亘り防汚効果が発揮され、夜でも見やすい道路標識を実現できて都合がよい。
【0039】
また、前記撥水撥油防汚性光反射板を映画館等の各種表示板として用いると、長期に亘り防汚効果が発揮され、暗闇でも見やすい表示板を実現できて都合がよい。
【0040】
また、前記撥水撥油防汚性光反射板を車体内外部に装着した自動車等の乗り物製造すると、夜間運転中でも見やすい乗り物を実現できて都合がよい。
【0041】
また、前記撥水撥油防汚性光反射板を外壁や内壁に装着した建物を建築すると、照明装置の電力を削減できて都合がよい。
【0042】
さらにこのとき、バインダーとして焼成により釉膜またはシリカ系ガラス膜になる物質を含むと、耐久性の高い撥水撥油防汚性光反射板を低温で製造できて好都合である。
【0043】
また、焼成温度が250℃以上で基材または透明微粒子および/または繊維の融点以下であると基材を損なうことなく、安定した凸凹を形成する上で都合がよい。
【0044】
また、バインダーを溶かした溶液の溶媒が水であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥水性の被膜であると、有機溶媒による環境汚染を防止できて都合がよい。
【0045】
さらに、バインダーを溶かした溶液の溶媒が有機溶媒であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥油性の被膜であると、安定した凸凹を形成する上で都合がよい。
また、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、フッ化炭素基とトリクロロシリル基を含むクロロシラン系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、フッ化炭素基とイソシアネート基を含むイソシアネート系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、あるいはフッ化炭素基とアルコキシシリルキを含むアルコキシシラン系化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合するかして作成した化学吸着液と表面に透明微粒子および/または繊維を焼結させた光反射板を接触させて撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を含むと耐久性の高い反射板を製造できて都合がよい。
【0046】
さらにまた、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、接触後、余分な化学吸着液を洗浄除去する工程を含むと、撥水撥油防汚性被膜の防汚性能を高める上で都合がよい。
【0047】
また、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いると、製造時間を短縮する上で都合がよい。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したとおり、本発明によれば、耐久性が高い反射機能と防汚機能が要求されるトンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物において、耐久性に優れた撥水撥油防汚性光反射板を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明は、少なくとも表面が撥水または撥油性の被膜で覆われた透明微粒子および/または繊維をバインダーを溶かした溶液中に分散する工程と、前記溶液を基材表面に塗布、乾燥する工程と、酸素を含む雰囲気中で焼成する工程と、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程により、表面が焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維で覆われていることを特徴とする耐久性の高い撥水撥油防汚性光反射板を提供する。
【0050】
したがって、本発明には、耐久性が高い反射機能と防汚機能が要求されるトンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物において、表面が凸凹であり、見かけ上の表面エネルギーが3mN/m以下の耐久性に優れた撥水撥油防汚性光反射板を提供できる作用がある。
【0051】
以下、本願発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0052】
なお、本発明に関する撥水撥油防汚性光反射板には、トンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物等への用途があるが、代表例として、まずトンネル内壁に装着する光反射板を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0053】
あらかじめ、一端にフッ化炭素基(−CF)を含み他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、CF(CF27(CH22Si(OCH)3で示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートを1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)に溶かして化学吸着液を作成した。
【0054】
一方、大きさが5μm程度のガラス微粒子1(可視光波長(380〜700nm)より大きく、透明であればシリカやアルミナ、ジルコニアの微粒子および/または繊維でも良い。また大きさは、好ましくは5mm〜1μmがよいが、より好ましくは、100μm〜3μmがよかった。)を準備して、良く乾燥した後、前記化学吸着液に混ぜ込み、普通の空気中(相対湿度45%)で撹拌しながら1時間程度反応させた。このとき、前記ガラス微粒子1の表面には水酸基2が多数含まれているの(図1(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基2がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記化学式(化2)に示したような結合を形成し、ガラス微粒子1の表面全面に亘り下記式(化1)で示されるフッ化炭素基を含む化学吸着単分子3が表面と化学結合し状態で約1ナノメートル程度の膜厚で形成される。
【0055】
その後、クロロホルム等の塩素系溶媒で余分な未反応の吸着液を洗浄除去すると、表面全面に亘り表面と化学結合したフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被われた表面が撥油性のガラス微粒子4を製造できた(図1(b))。なお、多少被膜が厚くてもいい場合には、この洗浄工程は、省略できた。
【0056】
【化1】

【0057】
一方、バインダーとして焼成するとシリカ系ガラスになるアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH))と、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートをそれぞれモル比で99:1となるように秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に合計で5重量%程度の濃度(好ましい濃度は、1〜10%程度)で溶かして調整した溶液に前記ガラス粒子4を1重量%程度分散して塗布液を作成した。シリカ系ガラスになるアルコキシシリル基を含む薬剤の代わりに、アルコールで薄めたゾルゲル法で透明被膜を形成する市販の薬液や、七宝焼きに用いる水溶性の釉薬(色は目的に合わせて選ぶことが可能であったが、代表例としては、透明、赤、青、緑、黄色、白がある。)が利用できた。
【0058】
その後、表面が鏡面のステンレス基材(反射効果の高い、鏡面のアルミニウム基材でも良い。)5表面に塗布し溶剤を蒸発させると、テトラメトキシシランが加水分解し脱アルコール反応して膜厚2μm程度のシリカ系ガラス膜6が形成される。なお、このとき、このガラス粒子4は、図2(a)に示すように、表面が撥油性であるため前記シリカ系ガラス塗膜6中に埋没することなく露出するので、アスペスト比の高い凸凹を形成できた。
【0059】
なお、溶媒がヘキサメチルシロキサンのような有機系溶媒ではなくて水系の釉薬等の場合には、微粒子表面に撥水性の単分子膜、例えば、下記式(化2)で示したような親油性ではあるが撥水性の被膜を形成しておいても、同様の機能を発現できた。
【0060】
【化2】

【0061】
次に、酸素を含む雰囲気中で600℃30分程度焼成(焼成温度は250℃乃至基材あるいは透明微粒子の融点以下であれば高いほど微粒子を強固に基材表面に焼結できる。)すると、ステンレス基材表面にシリカ系ガラス膜6’をバインダーとして焼結された透明微粒子7が露出した凸凹基材8を作成できた。このとき、ガラス粒子4表面のフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜は、たかだか1nm程度であったため、分解除去された(図2(b))。なお、このとき、焼成温度を250〜350℃で行うと、単なる焼結のみで終わるが、400℃を超えると前記単分子膜を完全に酸化分解除去できた。
【0062】
最後に、前記凸凹基材表面に前記と同じ化学吸着液を塗布し、2時間程度反応させた後、クロロホルム等の塩素系溶媒で余分な未反応の吸着液を洗浄除去すると、前期凸凹基材8表面全面に亘り、表面と化学結合したフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜9を形成でき、焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子9で覆われた水滴接触角がおよそ145度の超撥水撥油防汚性光反射ステンレス板10を製造できた(図2(c))。なお、水滴接触角が130度以上であれば、従来の平坦な場合に比べて防汚性に有意差さがあった。また、ここで、単分子膜にこだわらなければ、洗浄除去工程は必ずしも必要ではなかった。
【0063】
なお、ここで、ステンレス基材5表面のガラス微粒子1は、シリカ系ガラス膜6を介してステンレス板表面に焼結固定されており、前記焼結されガラス系微粒子の露出した表面およびシリカ系ガラス膜の露出した表面は、全面フッ化炭素基を含む撥水撥油防汚性の被膜8で被われている。また、フッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜8は、ステンレス基材5表面のガラス微粒子1の大きさは5μm程度であり、シリカ系ガラス膜の膜厚は2μm程度であるため、前記凸凹基板の凸凹を損なうことは全くなく、蓮の葉効果により水滴接触角がおよそ145度の超撥水を実現できた。なお、バインダー膜として着色釉薬を用いる場合には、基材は、鉄やタイル等のセラミック基材でも問題はない。
【0064】
なお、上記実施例1では、撥油性の単分子膜形成用の薬剤として、フッ化炭素系化学吸着剤であるCF3(CF(CHSi(OCHを用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(12)に示した物質が利用できた。
【0065】
(1) CF3CH2O(CH2)15Si(OCH)3
(2) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OCH)3
(3) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(4) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(5) CF3COO(CH2)15Si(OCH)3
(6) CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH)3
(7) CF3CH2O(CH2)15Si(OC)3
(8) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OC)3
(9) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(10) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(11) CF3COO(CH2)15Si(OC)3
(12) CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC)3
また、親油性ではあるが撥水性の薬剤として、炭化水素系化学吸着剤であるCH3(CHSi(OCHを利用できたが、前記以外にも、下記(21)〜(32)に示した物質が利用できた。
【0066】
(21) CH3CH2O(CH2)15Si(OCH)3
(22) CH3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OCH)3
(23) CH3(CH2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(24) CH3(CH2)Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(25) CH3COO(CH2)15Si(OCH)3
(26) CH3(CH2)Si(OCH)3
(27) CH3CH2O(CH2)15Si(OC)3
(28) CH3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OC)3
(29) CH3(CH2)Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(30) CH3(CH2)Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(31) CH3COO(CH2)15Si(OC)3
(32) CH3(CH2)Si(OC)3
実施例1に置いて、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0067】
なお、実施例1に於いて、シラノール縮合触媒を用いない場合には、下記(41)〜(52)に示した物質が利用できた。なお、この場合は、反応で塩酸が発生するため、取り扱いには十分注意が必要であった。
【0068】
(41) CF3CH2O(CH2)15SiCl3
(42) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
(43) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(44) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(45) CF3COO(CH2)15SiCl3
(46) CF3(CF2)5(CH2)2Si(NCO)3
(47) CF3CH2O(CH2)15Si(NCO)3
(48) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(NCO)3
(49) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(NCO)3
(50) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(NCO)3
(51) CF3COO(CH2)15Si(NCO)3
(52) CF3(CF2)5(CH2)2Si(NCO)3
また、膜形成溶液の溶媒としては、化学吸着剤がアルコキシシラン系、クロロシラン系何れの場合も、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50〜250℃程度がよい。
【0069】
具体的に使用可能な溶媒は、クロロシラン系の場合は、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0070】
さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれら混合物が使用できた。
【0071】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0072】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
【0073】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早くでき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0074】
例えば、シラノール触媒であるジブチル錫オキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0075】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を20分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0076】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0077】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0078】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
【0079】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【実施例2】
【0080】
実施例1で作成した超撥水撥油防汚性光反射ステンレス板をトンネル内壁に取り付け、光反射効果および汚れにくさ、汚れ除去効果を調べた結果、取り付けない場合に比べ、格段にトンネル内を明るくできた。また、普通の塗料を塗布した場合に比べ、数段汚れにくく光反射効果を安定に維持でき、通常のトンネルで1年以上使用可能であった。さらにまた、すすで汚れても、表面に水をかけるだけで蓮の葉のように汚れを除去でき、反射効果が復活した。
【実施例3】
【0081】
実施例1において、基材を鉄板とし、バインダー膜として着色釉薬を用い、その他は同様の方法で道路標識を作成しトンネル内に取り付け、光反射効果および汚れにくさ、汚れ除去効果を調べた結果、従来の道路標識比べ、格段に見やすかった。また、普通のホウロウで製造した場合に比べ、数段汚れにくく安定した光反射効果を維持でき、通常のトンネルで1年以上使用可能であった。さらにまた、すすで汚れても、表面に水をかけるだけで蓮の葉のように汚れを除去でき、反射効果が復活した。
【実施例4】
【0082】
実施例1において、バインダー膜として着色釉薬を用い、基材にガラス板を用い、その他は同様の方法で、裏面から蛍光灯で照らす表示板を作成し、映画館内に取り付け、見やすさを比較した結果、屋内点灯時消灯時に係わらず格段に見やすい表示板を提供できた。
【実施例5】
【0083】
実施例4と同様の方法で自動車用のテールライトを作成し、装着してテストした結果、夜間はもちろん、昼までもよく目に付くテールライトを実現できた。
【実施例6】
【0084】
実施例3と同様の方法で、表面が灰白色の壁板を作成し、建物の屋内の内壁に装着してテストした結果、従来の塗料の塗布に比べ、室内を格段に明るくできた。また、ビルの外壁に装着してテストした結果、普通のタイルに比べて、数段汚れにくかった。また、汚れても、雨に濡れるか、表面に水をかけるだけで蓮の葉のように汚れを除去でき、基の色調を回復できた。
【0085】
以上の実験より、本発明の撥水撥油防汚性光反射板が、光反射効果が高く、且つ防汚性に優れていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施例1においてガラス微粒子表面にフッ化炭素系単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のガラス微粒子の断面図、(b)は、フッ化炭素基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図2】本発明の実施例1においてステンレス基材表面にバインダーとなるシリカ系ガラス膜を介してガラス微粒子を焼結し、さらに前記ガラス微粒子およびシリカ系ガラス膜の表面に撥水撥油防汚性のフッ化炭素系単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はステンレス基材表面にフッ化炭素系単分子膜で被覆されたガラス微粒子とシリカ系ガラス膜が塗布された図、(b)は、酸素を含む雰囲気中での焼結によりガラス微粒子表面のフッ化炭素系単分子膜が分解除去された後の図、(c)は、再び全面にフッ化炭素系単分子膜が形成された図を示す。
【符号の説明】
【0087】
1 ガラス微粒子
2 水酸基
3 フッ化炭素基を含む化学吸着分子
4 フッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被われた表面が撥油性のガラス微粒子
5 ステンレス基材
6 シリカ系ガラス塗膜
6’シリカ系ガラス膜
7 焼結された透明微粒子
8 透明微粒子が露出した凸凹基材
9 フッ化炭素基を含む化学吸着分子膜
10 超撥水撥油防汚性光反射ステンレス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維で覆われていることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項2】
焼結された撥水撥油防汚性透明微粒子および/または繊維の一部分の表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われており、且つ他の部分がバインダーである釉膜またはシリカ系ガラス膜を介して基材表面に焼結固定されていることを特徴とする請求項1記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項3】
釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部の全表面が撥水撥油防汚性の被膜で被われていることを特徴とする請求項1記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項4】
少なくとも撥水撥油防汚性の被膜が釉膜またはシリカ系ガラス膜の露出部と透明微粒子および/または繊維の露出部に共有結合していることを特徴とする請求項3記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項5】
透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であることを特徴とする請求項1〜4記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項6】
透明微粒子および/または繊維および/または繊維の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいことを特徴とする請求項1〜5記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項7】
表面の水滴に対する接触角が130度以上に制御されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項8】
基材が反射性のステンレス、またはアルミニウム板であり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が透明であることを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項9】
基材がガラス、金属、またはセラミックスであり、釉膜またはシリカ系ガラス膜が無機顔料、金属微粒子および/または繊維、あるいはマイカを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の撥水撥油防汚性光反射板。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9記載の撥水撥油防汚性光反射板を壁面に装着したことを特徴とするトンネル。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9記載の撥水撥油防汚性光反射板を用いたことを特徴とする道路標識。
【請求項12】
請求項1乃至請求項9記載の撥水撥油防汚性光反射板を用いたことを特徴とする表示板。
【請求項13】
請求項1乃至請求項9記載の撥水撥油防汚性光反射板を車体内外部に装着したことを特徴とする乗り物。
【請求項14】
請求項1乃至請求項9記載の撥水撥油防汚性光反射板を外壁や内壁として装着したことを特徴とする建物。
【請求項15】
少なくとも表面が撥水または撥油性の被膜で覆われた透明微粒子および/または繊維をバインダーを溶かした溶液中に分散する工程と、前記溶液を基材表面に塗布、乾燥する工程と、酸素を含む雰囲気中で焼成する工程と、撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項16】
バインダーとして焼成により釉膜またはシリカ系ガラス膜になる物質を含むことを特徴とする請求項15記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項17】
焼成温度が250℃以上で基材または透明微粒子および/または繊維の融点以下であることを特徴とする請求項15および16記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項18】
バインダーを溶かした溶液の溶媒が水であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥水性の被膜であることを特徴とする請求項15〜17記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項19】
バインダーを溶かした溶液の溶媒が有機溶媒であり、透明微粒子および/または繊維の表面が撥油性の被膜であることを特徴とする請求項15〜17記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項20】
撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、フッ化炭素基とトリクロロシリル基を含むクロロシラン系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、フッ化炭素基とイソシアネート基を含むイソシアネート系化合物と非水系の有機溶媒を混合するか、あるいはフッ化炭素基とアルコキシシリルキを含むアルコキシシラン系化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合するかして作成した化学吸着液と表面に透明微粒子および/または繊維を焼結させた光反射板を接触させて撥水撥油防汚性被膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項15乃至19に記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項21】
撥水撥油防汚性被膜を形成する工程において、接触後、余分な化学吸着液を洗浄除去する工程を含むことを特徴とする請求項20に記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。
【請求項22】
シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする請求項20に記載の撥水撥油防汚性光反射板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−15167(P2008−15167A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185691(P2006−185691)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】