説明

撥油性コーティング材組成物

【課題】
金属やガラス、プラスチック、ゴムなどの各種基材表面に塗布することによって優れた撥油性を発現するコーティング材組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
(A)一般式 Rf[−X−Y−SiR(OR3−a(式中、Rfはフッ素原子を有する炭素数が1〜20の炭化水素基、Xは酸素原子、または酸素原子を含む2価の有機基、Yは(CH(Z)−)(Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基から選ばれる置換基、nは2〜8の整数)で表される連結基、R、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2、aは0〜2の整数))のフッ素原子含有アルコキシシラン、及び(B)縮合触媒を含有することを特徴とする撥油性コーティング材組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥油性を有するコーティング材組成物に関するものである。得られるコーティング材は表面エネルギーが低く、優れた撥油性を発現するため、種々の基材・用途に使用でき、特にシリコーンゴムに利用することができる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムは、その優れた特性により種々の用途に用いられるが、シリコーンゴムは油に対する親和性があるために耐油性、撥油性が十分ではなく、用途が限られる場合がある。これまでにシリコーンゴム等の基材表面に耐油性や撥油性を付与するための手段としてさまざまな手法が検討されてきた。シリコーンゴムを構成するポリジメチルシロキサン骨格中にフロロ基を導入することによって撥油性を付与する方法が知られている。たとえば、主鎖中にパーフロロポリエーテル構造を有する硬化性フルオロポリエーテルシリコーンゴムが知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、導入されたフロロ基の効果によりシリコーンゴム表面に撥油性を付与することが可能である。しかしながら、これらのフロロポリエーテル化合物は、いずれも製造することが煩雑・困難であり、効果を発現させる為には添加量が多くなるため、経済的観点から不利であるという問題や、当該成分を製造する際には、フッ素系溶媒を使用する必要があるなどの問題があった。
【0003】
また、一分子中にフルオロアルキル基とアルコキシシリル基などの加水分解性基を含むフッ素含有化合物を用いてゴム表面をコーティングすることによって撥油性を付与する方法が知られている。例えば、両末端にフルオロアルキル基を有し、トリメトキシシリル基などの加水分解性基が中間基により結合されているフッ素含有化合物を使用する方法が例示されている(特許文献2参照)。この方法によれば、当該フッ素含有化合物を含有するモノマー溶液をゴム表面に塗布し、トリメチルシリル基による加水分解縮合反応を進行させることにより、被処理物品の表面において撥油性の表面処理層が形成される。しかしながら、当該技術の組成物でシリコーンゴム表面を処理した場合には、ある程度の撥油性を示すものの、さらに高い撥油性を要求される用途に適用する場合には十分に満足できるものではなかった。
【0004】
さらに、シリコーンゴム表面をポリテトラフルオロエチレンやポリテトラフロロエチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系有機高分子で表面コートすることによって撥油性を付与する方法が知られている(特許文献3参照)。この方法によれば、良好な撥油性が得られるものの、これらフッ素系有機高分子をシリコーンゴム表面にコーティングする際に、特殊なプライマーが必要であったり、工程が増えて煩雑となるために、経済的観点から不利であるという問題があったり、処理時に高温に曝されるため、シリコーンゴムに300℃を超える耐熱性が必要となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−299109号公報
【特許文献2】特開2004−352742号公報
【特許文献3】特開2003−171519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、種々の基材、とくにシリコーンゴム表面に塗布することによって優れた撥油性を発現するコーティング材組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、ある特定の構造の有機基で連結されたフッ素原子を含有する炭化水素基とアルコキシシリル基を有する化合物を使用し、金属やガラス、プラスチック、ゴム表面にコーティングすることにより優れた撥油性を付与できることを見出した。さらに当該化合物をシリコーンゴム材料表面にコーティングした場合に極めて優れた撥油性を発現することを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
[1](A)下記一般式(1)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシラン
Rf[−X−Y−SiR(OR3−a (1)
(式(1)中、Rfはフッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、Xは酸素原子、または酸素原子を含む2価の有機基であり、Yは(CH(Z)−)(式中、Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の1価炭化水素基から選ばれる置換基であり、nは2〜8の整数。)で表される連結基、R、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2、aは0、1または2を表す。)、
(B)縮合触媒
からなることを特徴とする撥油性コーティング材組成物。
[2](C)下記一般式(2)で表される、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン及びまたはその加水分解縮合物を(A)成分100重量部に対して0.001〜10,000重量部、及び/または(D)シリコーン樹脂を(A)成分100重量部に対して0.001〜10,000重量部、更に含有することを特徴とする[1]に記載の撥油性コーティング材組成物。
SiR(OR3−b (2)
(式(2)中、Rはフッ素原子を有しない炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアシル基を表し、bは0または1〜3のいずれかの整数を表す。)
[3]前記一般式(1)中のXが、エステル基であることを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載の撥油性コーティング組成物。
[4]シリコーンゴムのコーテイングに用いる[1]〜「3」のいずれかに記載の撥油性コーティング材組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコーティング組成物は、優れた撥油性を発現するため、種々の用途、特にシリコーンゴムを耐油性が要求される用途に利用することができる。例えば、自動車・電子・電気・建築などの産業分野におけるコーティング材として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に用いる(A)成分のフッ素化合物は、本発明の組成物に優れた撥油性を付与するために用いられる必須の成分である。このフッ素化合物は、下記一般式(1)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシランである。
Rf[−X−Y−SiR(OR3−a (1)
一般式(1)における、Rfは、フッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20の、アルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、具体的には、Rfが芳香族炭化水素基の場合に、以下のような基である。
−、CF−、C−、C−、CFCl−、CBrF−、CFI−、C(CF−。
【0010】
Rfがアルキル基の場合には、以下のような基である。
CF−、C−、C−、C−、C11−、C13−、C15−、C17−、C19−、C1021−、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C1735−、CHF−、CHF−、CHF−、CHF10−、CHF12−、CHF14−、CHF16−、CHF18−、C10HF20−、C11HF22−、C12HF24−、CFCH−、C−(CH−(ここで、sは1〜8の整数である。以下同じ。)、C−(CH−、C−(CH−、C11−(CH−、C13−(CH−、C15−(CH−、C17−(CH−、C19−(CH−、C1021−(CH−、C1123−(CH−、C1225−(CH−。
【0011】
Rfがアルケニル基の場合には、以下のような基である。
CFCF=CF−、CFCF=CF−CF−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C−、CFCF=CF−C10−、CFCF=CF−C12−、CFCF=CF−C14−、CFCF=CF−C16−、CFCF=CF−C18−、CFCF=CF−C1020−、
【0012】
Rfがアルキル基の場合に、以下のように、エーテル結合、スルフォニル基、カルボキシル基、あるいは他のハロゲン原子を含んでいてもよい。具体的には、
CFCF(−OCF)−、CFCF(−OCF)−CF−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C−、CFCF(−OCF)−C10−、CFCF(−OCF)−C12−、CFCF(−OCF)−C14−、CFCF(−OCF)−C16−、CFCF(−OCF)−C18−、CFCF(−OCF)−C1020−、F−SO−C−、F−SO−C−、F−SO−C−、F−SO−C10−、F−SO−C12−、F−SO−C14−、F−SO−C16−、F−SO−C18−、F−SO−C1020−、F−SO−C2t−O−C2u−(t、uは1〜10の整数)、HOOC−C−、HOOC−C−、HOOC−C−、HOOC−C10−、HOOC−C12−、HOOC−C14−、HOOC−C16−、HOOC−C18−、HOOC−C1020−、C−O−C−、C−O−C−、C−O−C−、C11−O−C−、C13−O−C−、C15−O−C−、C17−O−C−、C19−O−C−、C1021−O−C−、C1123−O−C−、CBrF−、CBrF−、CBrF−、CBrF10−、CBrF12−、CBrF14−、CBrF16−、CBrF18−、C10BrF20−、CClF−、CClF−、CClF−、CClF10−、CClF12−、CClF14−、CClF16−、CClF18−、C10ClF20−、CIF−、CIF−、CIF−、CIF10−、CIF12−、CIF14−、CIF16−、CIF18−、C10IF20−、
などが挙げられる。上述のフッ素原子を有する炭化水素基Rfがアルキル基またはアルケニル基である場合には直鎖状であっても良いし、分岐していてもよい。
【0013】
一般式(1)のXは、Xは酸素原子、または酸素原子を含む2価の有機基であり、例えば、−O−、−OC(O)−、−CH(−OH)−の中から選ばれる連結基であって、一般式(1)のケイ素原子に結合する連結基Yと、フッ素含有基Rfとの連結基である。
【0014】
また、一般式(1)のYは−(CH(Z)−)−で表される連結基であり、式中のZは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の炭化水素基から選ばれる置換基、nは2〜8の整数である。Yとして、具体的には、
−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH−、−(CHF)−、−(CHCl)−、−(CHBr)−、−(CHI)−、−CH−CHF−、−CH−CHCl−、−CH−CHBr−、−CH−CHI−、−CHF−CHCl−、−CHF−CHBr−、−CHF−CHI−、−CHCl−CHBr−、−CHCl−CHI−、−CHBr−CHI−、などが挙げられる。
【0015】
一般式(1)中のR、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基であって、Rとしてメチル基が、Rとしてメチル基、エチル基またはプロピル基が好適に用いられる。mは1または2、aは0、1または2である。
【0016】
これら上述のフッ素を含有するアルコキシシランの中でも、本発明のシリコーン組成物に優れた撥油性を付与するために、(A)成分中のXがエステル基であるものを使用することが特に好ましく、具体的には、以下のものが挙げられる。
−CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
−CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
−CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
−CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)(CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
F−SO−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
HOOC− (CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
HOOC−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
HOOC− (CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
CF(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
H(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCFCF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH、(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−C−C(CF−C−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−SiCH(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−Si(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
(OCHCHSi−CH−CH(CH)−(O)C−(CF−OC(O)−CH(CH)−CH−SiCH(OCH
【0017】
なお、これらの有機ケイ素化合物は、公知の合成方法によって容易に調製できる。代表的な例として、例えば、アルケニル基を持ったフッ素原子を有する有機化合物に対して、Si−H基を有するアルコキシシラン化合物をヒドロシリル化反応によって付加させる方法などが挙げられる。
【0018】
これらの(A)成分のフッ素化合物は、いずれも本発明のシリコーンゴム組成物に優れた撥油性を付与するために必須であり、単独で用いることもできるが、より効果を向上させるためにはこれらの中から選ばれる少なくとも2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の(B)成分の縮合触媒とは、本発明の(A)成分を加水分解縮合反応させるために必要な成分であり、酸触媒または塩基性触媒、有機金属化合物の中から選択されるものである。酸触媒としては、有機酸および無機酸から選択される1種または2種以上を使用することができる。有機酸触媒としては、具体的には、2−アミノエチルホスホン酸、イノシン酸、2−グリセリン酸、D−グルコース−1−リン酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ニトロ酢酸、ピクリン酸、2−ピリジンカルボン酸、トリフロロ酢酸、トリフロロメチルスルホン酸などが挙げられ、無機酸としては、過塩素酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。
【0020】
塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジンなどのアミン化合物、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0021】
また、有機金属化合物としては、B、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Os、Ir、Hg、レアアースなどを金属原子としてなる金属メトキシド、金属エトキシドあるいは金属イソプロポキシドなどの金属アルコキシド;金属ステアレート、金属オクチレートなどの金属酸塩;金属アセチルアセトネート、金属オクチレングリコレートあるいは金属エチルアセトアセテートなどの金属キレートなどが例示され、入手の容易さ、適度な反応性の点で、B、Al、Ti及びZrの金属アルコキシド、金属酸塩及び金属キレートが好ましく、より好ましくはテトラ−n−ブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、ボロンイソプロポキシドである。さらに当該金属アルコキシドのアルコールとしては、入手が容易なイソプロパノールやブタノールなどを使用しても良いし、該金属アルコキシドの大気中での安定性を考慮して、人工的に化学合成された、または天然物から抽出されたさらに高分子量のアルコールを使用しても良い。
【0022】
これらの(B)成分の縮合触媒の使用量は(A)成分100重量部あたり0.001〜100重量部であり、より好ましくは0.01〜20重量部である。0.001重量部未満の場合は縮合触媒としての機能が十分に果たせないために十分な性能を有する硬化皮膜が得られず、また100重量部を超える場合は組成物の保存安定性が低下する。
【0023】
本発明のコーティング材組成物は、更に、(C)フッ素原子を含有しないアルコキシシラン類及びまたは(D)シリコーンレジン類を含むことが好ましい。これら成分は、本発明のコーティング材組成物における主要成分である(A)成分と共加水分解縮合し得るアルコキシシリル基を有しているか、(A)成分の加水分解縮合物との親和性が極めて高い成分であり、本発明の組成物に基材への接着性を付与すると共に、本発明の組成物による塗膜に強度などの物理的性質を向上させることができる。
【0024】
本発明の(C)成分は、一般式(2)で表されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン及びまたはその加水分解縮合物である。
SiR(OR3−b (2)
一般式(2)中、Rはフッ素原子を有しない炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアシル基を表し、bは0または1〜3のいずれかの整数を表す。Rは、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基であることが好ましく、加水分解・縮合反応の速度が速いことから、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。Rは、メチル基またはエチル基であることが好ましい。一般式(2)で示されるフッ素原子を含有しないアルコキシシラン類としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどを挙げることができる。これらのうち、特に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが、加水分解・縮合反応の速度が速い点から好ましい。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
(C)成分は、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン類単独であってもよいが、フッ素原子を含有しないアルコキシシランとその加水分解縮合物との混合物、あるいはフッ素原子を含有しないアルコキシシランの加水分解縮合物であってよい。本発明のフッ素原子を含有しないアルコキシシランの加水分解縮合物は、重合度が2〜20の低重合度のものである。フッ素原子を含有しないアルコキシシランの加水分解縮合物としては、アルキルシリケートと称されるテトラアルコキシシラン類の加水分解縮合物であることが好ましい。アルキルシリケートとしては、具体的には、アルキルがメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基から選択されるシリケートを挙げることができる。これらのうち、特に、メチル基またはエチル基であるシリケートが、加水分解・縮合反応の速度が速い点から好ましい。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して、0.001〜10,000重量部であり、好ましくは0.1〜1,000重量部、さらに好ましくは1〜200重量部である。(C)成分はそのままで加えても、あるいは、(C)成分を(A)成分と加水分解縮合して用いてもよい。
【0027】
次に、本発明の(D)成分であるシリコーン樹脂について説明する。シリコーン樹脂は、本発明によって得られるコーティング材組成物に各種基材との密着性を向上させるだけでなく、当該コーティング材の機械的強度を向上させることを目的として添加される。本発明のシリコーン樹脂は、そのシロキサンユニットの平均組成が下記一般式(3)、
SiO4−c/2 (3)
(式(3)中、Rは同一または異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基、cは0.5〜2.0である)で示されるオルガノポリシロキサンである。本発明のシリコーン樹脂を構成する、全シロキサンユニット中のトリオルガノシロキサンユニット含有比が0〜80モル%、ジオルガノシロキサンユニット含有比が0〜60モル%、モノオルガノシロキサンユニット含有比が0〜80モル%、オルガノ基を有しないSiO4/2ユニットの含有比が0〜60モル%であって、好ましくは、全シロキサンユニット中のトリオルガノシロキサンユニット含有比が10〜80モル%、オルガノ基を有しないSiO4/2ユニットの含有比が20〜90モル%で構成されるポリオルガノシロキサンレジンである。このようなポリオルガノシロキサンレジンは、構成ユニットに対応するクロロシラン類またはアルコキシシラン類を加水分解縮合するという当業者にとって公知の方法によって製造することができる。
【0028】
当該シリコーン樹脂の一般式(3)におけるRは、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であるが、分子中にすくなくとも1つのアルケニル基を含有することが好ましい。これは、当該コーティング材組成物をシリコーンゴム表面に塗布した場合にアルケニル基により、より強い密着性を得ることができるためである。
【0029】
(D)成分は、単独で使用しても良いし、必要に応じて、2種以上を併用しても良く、その使用量は、(A)成分100重量部あたり0.001〜10,000重量部であり、好ましくは0.1〜1,000重量部であり、より好ましくは1〜200重量部である。(D)成分は、(C)成分に代えて用いることができるが、(C)成分と(D)成分を共に用いることがこれら成分の相乗効果を発揮することから好ましい。
【0030】
本発明では、用途によっては、本発明の組成物を適当な溶媒に分散ないし溶解して用いてもよい。好適に使用される溶媒としては、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルアセテートなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、水などが挙げられる。溶媒の使用量は、(A)成分100重量部あたり、0.001〜100,000重量部であり、好ましくは0.1〜10,000重量部、さらに好ましくは、1〜1,000重量部である。
【0031】
本発明において、溶媒として水を使用する場合には、界面活性剤を適当量添加し、ホモジナイザー等で強制攪拌してエマルジョンとして使用することもできる。その際使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤などの各種の公知の界面活性剤を用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、一般式Ra−O−(CHCHO)−(CHRCHO)−Hで表されるようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル、RaCOO−(CHCHO)−(CHRCHO)−Hで表されるようなポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、RaN−[(CHCHO)m‘−(CHRCHO)n‘−H][(CH CHO)m‘’−(CHRCHO)n‘’−H]で表されるようなポリオキシアルキレンアルキルアミン、RaCON−[(CHCHO)m‘−(CHRCHO)n‘−H][(CHCHO)m‘’−(CHRCHO)n‘’−H]で表されるようなポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
【0032】
本発明においては、前記の(A)成分〜(D)成分以外に、コーティング膜の物理的性質の改善などのために種々の無機質又は有機質充填剤を使用することができる。この充填剤としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、粉砕シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム(タルク)、ケイ酸アルミニウム(クレー)、珪藻土、メタケイ酸カルシウム、ゼオライト、ハイドロタルサイト、グラファイト、カーボンブラック、石英、アルミナなどが挙げられる。これら充填剤などの使用量は本発明の目的を損なわないかぎり任意である。
【0033】
さらに、本発明においては、上記の(A)成分〜(D)成分以外に、コーティング材の基材への密着性や物理的性質の改善などのために、シランカップリング剤を更に用いることができる。このようなシランカップリング剤の具体例を例示すれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリエトキシシラン、γ―クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、β―シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α―グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α―グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β―グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β―グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ―グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ―グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシラン、β―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ―(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ―(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ―(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ―(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物である。
【0034】
本発明のコーティング材を適用する基材は特に限定されず、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、ゴムまたはその組み合わせ(複合材料、積層材料など)などに用いることができる。本発明のコーティング材の特徴である撥油性を発揮できる基材として、金属、プラスチック、ゴムに好適に用いることができ、特にシリコーンゴムに用いて、シリコーンゴムの撥油性を格段に改善することができる。
【0035】
本発明の組成物を各種基材表面上に塗布する方法としては、綿布、紙、スポンジなどにコーティング液を染み込ませて手で塗りこむ手塗り法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、フローコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、エアーナイフコーティング法などにより実施することができる。
【0036】
本発明のコーティング材組成物は、上記塗布方法によって基材表面に塗布した後、加水分解縮合させることにより、各種基材上に撥油性コート皮膜を形成させることができる。加水分解縮合反応を進行させる反応温度としては、0〜250℃の温度であり、好ましくは、20〜220℃、より好ましくは、40〜200℃の温度範囲である。具体的な方法を挙げると、基材上にコーティング組成物を塗布後、25℃で1時間放置後、100℃で15分間程度予備加熱し、200℃で4時間加熱して撥油性皮膜を形成させることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、各例における部は、いずれも重量部を示す。
【0038】
[接触角測定方法]
接触角測定は、FACE社製Contact Angle meter CA−X150型機を使用して実施した。清浄なコーティング皮膜の表面にマイクロシリンジを用いてn−ヘキサデカン(関東化学社製特級)を一滴(約0.002cc)滴下し、1分経過後に接触角を測定した。接触角は5回の平均値を採用した。
【0039】
[コーティング組成物の調製]
以下のようにしてコーティング材組成物を調製した。
[調製例1]
室温で200mlビーカーにトルエン100部にを添加し、(A)成分として、下記式(i)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部、(C)成分として、テトラエトキシシラン7.5部、(D)成分として、(CHSiO1/2単位58モル%、(CH=CH)(CHSiO1/2単位2モル%、SiO4/2単位40モル%で構成されるポリメチルシロキサンレジン5部を添加し攪拌した。続いて攪拌しつつ(B)成分として、チタンテトラブトキシド2部を添加し、本発明に係るコーティング材組成物を調製した。
−CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH (i)
[調製例2]
(A)成分として、下記式(ii)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は調製例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
(OCHSi−(CH−(O)C−(CF−OC(O)−(CH−Si(OCH (ii)
[調製例3]
(A)成分として、下記式(iii)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は調製例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
CF(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH (iii)
[調製例4]
(A)成分として、下記式(iv)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加した以外は調製例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
(CFCF−(CF−(CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH (iv)
[調製例5]
(D)成分を添加しない以外は調製例3と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
[調製例6]
(A)成分を添加することなく、(C)成分として、テトラエトキシシラン12.5部添加した以外は調製例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
【0040】
[コーティング処理方法]
寸法が幅25mmx長さ50mmx厚み2mmのガラス片、SUS片、シリコーンゴム片を準備し、ディップコーティング法(室温で10秒間浸漬、1cm/秒の速さで引き上げ)によって、基材表面を処理した。これを、湿度50%、温度25℃にて1時間乾燥させ、続いて送風循環型オーブン中100℃で15分間加熱して予備硬化させた。さらに200℃に設定した送風循環型オーブンに投入し4時間加熱して硬化皮膜を形成させた。
【0041】
[実施例1]
調製例1のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2]
調製例2のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例3]
調製例3のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
[実施例4]
調製例4のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例5]
調製例5のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
調製例6のコーティング材組成物を使用し、ガラス片、SUS片、シリコーンゴム片の表面それぞれにコーティング処理を行い、硬化皮膜を形成させた。24時間室温にて放置した後、サンプル表面の接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
フッ素原子を有するアルコキシシランを配合した、付加硬化型シリコーンゴムの撥油性試験を行った。両末端がそれぞれジメチルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン100部と、比表面積が200m/gである煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザン8部及びイオン交換水1重量部を万能混練機に仕込み、常温で1時間撹拌混合を行なった後、150℃に昇温し、2時間加熱混合を行なった。その後、混合物を常温まで冷却し、これに、(CH)HSiO2/2単位67モル%と(CHSiO2/2単位33モル%とからなる25℃における粘度が20mPa・sのポリメチルハイドロジェンシロキサン3.1部を添加し、常温における硬化までの時間を延長させるためアセチレンアルコールを0.8部、白金原子含有量0.5wt%の白金−ビニルシロキサン錯体溶液0.3部をそれぞれ添加し、均一になるまで混合した。次いでこの組成物に、本発明の(A)成分である下記式(i)で表されるフッ素原子を有するアルコキシシラン5部添加し、シリコーンゴム組成物を調製した。当該シリコーン組成物をキャビティー内寸法が150mmx150mmx厚み2mmの金型に投入し、170℃で10分間加熱プレスしてシートサンプルを作製した。さらに200℃に設定した送風循環型オーブンに投入して4時間加熱して、2次硬化を実施して、撥油性試験用サンプルとした。接触角測定結果を表1に示す。
−CH−OC(O)−(CH−SiCH(OCH (i)
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、撥油性を有するコーティング材組成物に関するものであり、得られるコーティング材の表面エネルギーが低く、優れた撥油性を発現するため、種々の用途、特に耐油性を有するシリコーンゴム用途に利用することができる。例えば、自動車・電子・電気・建築などの産業分野におけるコーティング材として有用な組成物に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される、少なくとも一つ以上のフッ素原子が結合した炭化水素基を有するアルコキシシラン、
Rf[−X−Y−SiR(OR3−a (1)
(式(1)中、Rfはフッ素原子を少なくとも一つ以上有する炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基または芳香族炭化水素基であって、Xは酸素原子、または酸素原子を含む2価の有機基であり、Yは(CH(Z)−)(式中、Zは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜3の1価炭化水素基から選ばれる置換基であり、nは2〜8の整数。)で表される連結基、R、Rは同一または異なる炭素数1〜10の炭化水素基、mは1または2、aは0、1または2を表す。)、
(B)縮合触媒
からなることを特徴とする撥油性コーティング材組成物。
【請求項2】
(C)下記一般式(2)で表される、フッ素原子を含有しないアルコキシシラン及びまたはその加水分解縮合物を(A)成分100重量部に対して0.001〜10,000重量部、及び/または(D)シリコーン樹脂を(A)成分100重量部に対して0.001〜10,000重量部、更に含有することを特徴とする請求項1に記載の撥油性コーティング材組成物。
SiR(OR3−b (2)
(式(2)中、Rはフッ素原子を有しない炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアシル基を表し、bは0または1〜3のいずれかの整数を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)中のXが、エステル基であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の撥油性コーティング組成物。
【請求項4】
シリコーンゴムのコーテイングに用いる請求項1〜3のいずれかに記載の撥油性コーティング材組成物。

【公開番号】特開2012−211263(P2012−211263A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77795(P2011−77795)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500004955)旭化成ワッカーシリコーン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】