説明

播種機

【課題】従来より、施薬・施肥等の作業を播種作業と並行して行う場合、施薬装置・施肥装置等の供給装置から圃場に粒状物を投下する投下口が、一カ所だけに限定して支持されていると、粒状物の特性や圃場の状況によっては、種子と粒状物との間隔が不適切となり、粒状物の薬効等の効果を十分に種子に及ぼせない、という問題があった。
【解決手段】薬剤繰出装置4・5からの薬剤42を圃場に投下する投下口87La・87Raを支持アーム93・96によって支持し、該支持アーム93・96全体を、前記播種機1のメインフレーム7L・7Rに対して前後左右へ水平移動して固定することにより、前記投下口87La・87Raの支持位置を自在に変更する投下位置調整機構90を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種装置に加え、薬剤・肥料等の粒状物の供給装置を備えた播種機に関し、特に、該粒状物の投下位置を自在に変更可能な構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種子を水溶性フィルムや不織布から成るテープの中に一定粒数ずつ一定間隔で封入した、いわゆるシードテープを、該シードテープを巻回したテープリールから繰り出して圃場内に導入するシードテープ式の播種装置を用いて、点播・条播等の播種作業を行う播種機が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。これにより、簡単な構造で播種間隔や播種量を一定にすることができる。
一方、一般のロール式や回転目皿式の播種装置と施薬装置によって、種子と薬剤を圃場に一緒に投下する播種機が公知となっている(例えば、特許文献2参照)。これにより、これまでは播種作業後に別途に行っていた施薬作業を、播種作業と並行して行い、作業効率の向上を図ることができる。このような並行作業は、前述したシードテープ式の播種装置を備えた播種機においても要望が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−22718号公報
【特許文献2】特開2008−11746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
播種作業後に施薬作業や施肥作業を別途に行う場合は、薬剤・肥料等の粒状物の特性を考慮した上で、圃場の状況を目視で確認しながら、種子と粒状物との間隔が適切となる位置に、粒状物を投下することができる。
これに対し、前記シードテープ式、ロール式や回転目皿式のいずれの播種装置を備えた播種機であっても、前述した並行作業を行う場合、施薬装置・施肥装置等の供給装置から圃場に粒状物を投下する投下口が、一カ所だけに限定して支持されていると、粒状物の特性や圃場の状況によっては、種子と粒状物との間隔が不適切となり、種子に及ぼす粒状物の薬効等の効果が十分でなく、作物の発芽不良・生育不良が起こって収穫量の減少や品質の低下を招く、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、播種装置に加えて粒状物の供給装置を備えた播種機において、前記供給装置からの粒状物を圃場に投下する投下口を支持アームによって支持し、該支持アーム全体を、前記播種機の機体フレームに対して前後左右へ水平移動した上で固定することにより、前記投下口の支持位置を自在に変更する投下位置調整機構を設けたものである。
請求項2においては、前記投下位置調整機構において、前記支持アームの一端側に前記投下口を連結する一方、前記支持アームの他端側には長孔を設け、該長孔に調整軸を挿入し、該調整軸を中心に前記長孔を前後左右に回動または摺動させるものである。
請求項3においては、前記供給装置を保持すると共に該供給装置への入力部を備える装置フレームを設け、該装置フレームを機体左右一側に移動可能な移動機構を備えることにより、前記入力部への動力伝達経路を装置フレームと一緒に機体左右一側に偏位させるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1により、シードテープ式、ロール式や回転目皿式のいずれの播種装置を備えた播種機であっても、前記投下口が一カ所だけに限定して支持されることがなく、粒状物の特性や圃場の状況に応じて、種子と粒状物との間隔を適切にすることができる。これにより、粒状物の薬効等の効果を十分に種子に及ぼすことができ、作物の良好な発芽と生育が行われて、作物の収穫量の増加や品質の向上を図ることができる。しかも、一端に投下口を連結した針金等を塑性変形することにより投下口を簡易的に移動し固定する場合と比べ、投下口を所定の支持位置に精度良く移動させた上で必要に応じて強固に固定することができ、高い粒状物散布精度が得られる。
請求項2により、前記支持アームと調整軸から成る簡単な構成で投下位置調整機構を形成することができ、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項3により、シードテープ式の播種装置を備える播種機において、前記動力伝達経路が機体左右略中央を占有している場合であっても、シードテープ式の播種装置を取り外した後、前記移動機構によって動力伝達経路を偏位させ、その空いた機体内空間にロール式または回転目皿式の播種装置を配置することができる。しかも、前記投下位置調整機構によって、前記動力伝達経路やロール式または回転目皿式の播種装置による干渉を防ぎつつ、投下口を播種に適した位置に配置することができる。これにより、同一播種機において播種装置の方式を、種子の種類、播種間隔、播種量等の条件に応じて、シードテープ式とロール式または回転目皿式との間で自在に変更することができ、播種機の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係わる播種機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】同じく平面一部断面図である。
【図3】テープ導入装置を備えた播種機の前後略中央部の斜視図である。
【図4】作条・覆土部の斜視図である。
【図5】第一薬剤繰出装置の側面図である。
【図6】取付台への装置フレームと支持アームの組立図である。
【図7】テープ導入装置を備えた播種機の前後略中央部の平面図である。
【図8】挟持体の組立図である。
【図9】ロール播種装置を備えた播種機の前後略中央部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、図1の矢印Fで示す方向を播種機1の前進方向とし、以下で述べる各部材の位置や方向などはこの前進方向を基準とするものである。
【0009】
まず、本発明に関わる播種機1について、その全体構成を図1、図2により説明する。なお、本実施例では、走行補助用の走行モータ22を備えた人力歩行型の播種機1を例に説明するが、該走行モータ22を備えないものであってもよく、駆動方式は特には限定されない。該播種機1には、左右一対のメインフレーム7L・7Rが配置され、該メインフレーム7L・7Rの前部間に、前ローラ8の前車軸10が支承される一方、メインフレーム7L・7Rの後部間に、鎮圧ローラ9の後車軸11が支承される。
【0010】
更に、メインフレーム7L・7Rの前後略中央部には、種子を封入したシードテープ12を圃場に導入するテープ導入装置2が、シードテープ式の播種装置として配置されると共に、該テープ導入装置2と前記鎮圧ローラ9との間には、第一薬剤繰出装置4と第二薬剤繰出装置5とが、薬剤を圃場に投下する施薬装置として左右に並設されている。そして、該薬剤繰出装置4・5を保持する装置フレーム40の下方に、本発明に関わる投下位置調整機構90が設けられている。なお、繰出装置4・5から繰り出す粒状物は、同種または異種の薬剤であっても、あるいは、肥料など、薬剤以外であってもよく、特には限定されない。
【0011】
また、前記メインフレーム7L・7Rの後部で、前記薬剤繰出装置4・5の近傍には、正面視門型形状のハンドル13が前後回動可能に連結され、該ハンドル13の上下途中部からは、左右のハンドル高さ調節フレーム14L・14Rが、それぞれ前記メインフレーム7L・7Rの後部まで延設される。該ハンドル高さ調節フレーム14L・14Rの下部には、複数の調整孔15・15・・・が穿孔されており、そのうち同一高さにある左右一対の調整孔15・15にボルト16・16を螺挿することにより、ハンドル高さ調節フレーム14L・14Rが、その下端部で前記メインフレーム7L・7Rに締結固定される。
【0012】
これにより、ハンドル13の高さ調節時には、ボルト16・16を螺脱してからハンドル高さ調節フレーム14L・14Rを上下動し、ハンドル13が所定の高さに達したところで、ボルト16・16を調整孔15・15に螺挿して、ハンドル高さ調節フレーム14L・14Rをメインフレーム7L・7Rに締結固定し、ハンドル13を所定の高さに設定できるようにしている。
【0013】
また、前記メインフレーム7L・7Rの前部で、前記前車軸10の支承部の近傍からは、側面視でU字状の左右一対の支持フレーム17L・17Rが立設され、該支持フレーム17L・17Rの上端部の上に、バッテリー18が搭載されている。該バッテリー18は、信号線19を介して、前記ハンドル13の把持アーム13aの左右略中央に設けたモータスイッチ20に接続されると共に、電線21を介して、前記鎮圧ローラ9に組み込んだ前記走行モータ22に接続される。
【0014】
これにより、ハンドル13を把持しながら前記モータスイッチ20を操作すると、該モータスイッチ20からの信号により、バッテリー18から走行モータ22に電力が供給されて鎮圧ローラ9が回転し、播種機1の走行が補助されるようにしている。
【0015】
なお、前記前ローラ8において、その後方で左右のメインフレーム7L・7R間には、前連結板38が架設され、該前連結板38の前端部からは、泥落とし用の前スクレイパー38aが、前ローラ8の後部外周面に向かって突出されると共に、該前連結板38の左右中央部からは、持ち運び用の正面視門形の把手43が立設されている。更に、前記鎮圧ローラ9の後方にも、泥落とし用の後スクレイパー44が、鎮圧ローラ9の後部外周面に向かって突出されている。
【0016】
次に、前記テープ導入装置2について、図1乃至図4により説明する。
該テープ導入装置2は、テープ保持部57、テープガイド部58、及び作条・覆土部59から構成される。
【0017】
このうちテープ保持部57とテープガイド部58は、前記左のメインフレーム7Lに締結された支持部材31に締結固定される。該支持部材31は、メインフレーム7Lの外側面に締結固定された固定板部31aと、該固定板部31aの前部略中央からメインフレーム7Lの上方を跨ぐようにして右方に延設された取付アーム部31bとから構成されており、該取付アーム部31bに、前記テープ保持部57とテープガイド部58とが締結固定されている。
【0018】
前記テープ保持部57は、前方に開いた側面視U字状の固定部61を有し、該固定部61は、前記取付アーム部31bの基部近傍に後方より嵌合されると共に、該固定部61の上板61aには、ボルト89が上方から螺挿されており、該ボルト89の螺挿進行に伴ってボルト89の下端を前記取付アーム部31bの上面に押圧することにより、テープ保持部57を前記取付アーム部31bに締結固定できるようにしている。
【0019】
該固定部61の後板61bの左右略中央には、支柱部62の下端部前面が固設され、該支柱部62の上端には、右方に延出するリール支軸63の左端と、右方に開いた平面視U字状の保護フレーム64の前後略中央部とが締結されている。
【0020】
前記リール支軸63には、筒状の芯部65cが前後回転可能に遊嵌され、この芯部65cと、該芯部65cの左右端部に対向するように固定された左右の側板部65a・65bとからテープリール65が構成される。そして、該テープリール65の芯部65cの周囲に、前記シードテープ12が多層に巻回されている。
【0021】
また、前記テープガイド部58は、角パイプ状の固定筒部68を有し、該固定筒部68は、前記取付アーム部31bの先半部に外嵌されると共に、該固定筒部68の上板68aには、ボルト72が上方から螺挿されており、該ボルト72の螺挿進行に伴ってボルト72の下端を前記取付アーム部31bの上面に押圧することにより、テープガイド部58を前記取付アーム部31bに締結固定できるようにしている。
【0022】
該固定筒部68の前板68bの左右略中央には、上下方向に軸心を有するガイド筒部69の後面が固設され、該ガイド筒部69と前記固定筒部68とからガイド支持体67が形成される。
【0023】
該ガイド支持体67において、ガイド筒部69内には昇降筒70が昇降自在に内挿され、該昇降筒70内には、圃場にシードテープ12を導入する導入パイプ71が固設される。更に、前記ガイド筒部69の前板69aには、ボルト73が前方から螺挿されており、該ボルト73の螺挿進行に伴ってボルト73の後端を前記昇降筒70の前面に押圧することにより、導入パイプ71が固定された前記昇降筒70を、前記ガイド支持体67に締結固定できるようにしている。
【0024】
これにより、ボルト73を緩めて昇降筒70と一緒に導入パイプ71を昇降させた後、再びボルト73を締めることによって、導入パイプ71の上下位置をボルト73により固定することができ、該導入パイプ71の下端の導入口71aの上下位置を変え、シードテープ12の導入深さを無段階に調整することができる。
【0025】
また、前記作条・覆土部59においては、前記前連結板38の後部上面からロッド支持体76が立設され、該ロッド支持体76内に、支持ロッド77が上下摺動可能に挿通されている。そして、このロッド支持体76には、ボルト78が前方から螺挿されており、該ボルト78の螺挿進行に伴ってボルト78の後端を前記支持ロッド77の前面に押圧することにより、支持ロッド77をロッド支持体76に締結固定できるようにしている。
【0026】
これにより、ボルト78を緩めて支持ロッド77を昇降させた後、再びボルト78を締めることによって、支持ロッド77の上下位置をボルト78により固定することができ、該支持ロッド77の下端に支持された作条爪79の上下位置を変え、作溝深さを無段階に調整することができる。
【0027】
該作条爪79は、平面視で前部を閉塞し後部を後方に開いた略V字状に形成されると共に、前記支持ロッド77の下部は途中で後方にL字状に屈曲し、その屈曲部77aの下面に、前記作条爪79の略V字状の先端上部が固設されている。
【0028】
前記作条爪79の後部には、支持ピン81が係止ピン82によって抜脱不能に横架され、該支持ピン81に、後部が下方に湾曲した覆土アーム84の前端が前後揺動可能に連結され、該覆土アーム84の後端には、覆土板80が前後回動可能に係止されている。そして、前記作条爪79と覆土アーム84との間には付勢バネ83が介設されており、該付勢バネ83の弾性力によって、覆土アーム84に支持された覆土板80を下方に常時付勢状態とし、覆土効果を高めるようにしている。
【0029】
以上のような構成において、播種機1の走行前に、予め、シードテープ12をテープリール65から繰り出して導入パイプ71内を挿通し、下端の導入口71aから機体後方に向かって引き出した後、覆土板80と鎮圧ローラ9の下を通して機体後方に引き出し、土等をかけて固定する。すると、播種機1の走行開始時には、鎮圧ローラ9がシードテープ12上を転動することにより、該シードテープ12が鎮圧ローラ9と圃場面との間に挟まれながら後方に引き出される。
【0030】
該シードテープ12が引き出されると同時に、前記作条爪79によって圃場に溝が掘られるため、その溝内にシードテープ12が導かれる。続いて、溝内のシードテープ12は、作条爪79後方の覆土板80により、その全部に覆土がなされた後、覆土上面が鎮圧ローラ9により鎮圧される。このようにしてシードテープ12による播種作業が行われる。
【0031】
次に、前記薬剤繰出装置4・5と、その駆動構成とについて、図1乃至図3、図5により説明する。なお、両薬剤繰出装置4・5は略同一構造であるため、以下の説明では、左の薬剤繰出装置4についてのみ説明し、右の薬剤繰出装置5についての説明は省略する。
【0032】
図5に示すように、薬剤繰出装置4は、薬剤42を蓄えるホッパー45と下繰出ケース48とから構成される。このうちのホッパー45は、上面が蓋体47にて覆われたホッパー本体部45aと、該ホッパー本体部45aよりも下方にある上繰出ケース部45bとから成り、該上繰出ケース部45bと前記下繰出ケース48とから、薬剤42を所定量だけ繰り出すための繰出部46が形成される。
【0033】
前記上繰出ケース部45bは、繰出ロール41を斜めに略二分するように形成されており、この上繰出ケース部45bの下面に嵌合するようにして前記下繰出ケース48が構成されると共に、該下繰出ケース48の下部開口には、下端に施薬ホース56Lが連通するガイドロート55が連設されている。一方、上繰出ケース部45bは、その下部が開口されると共に、該上繰出ケース部45bと前記下繰出ケース48との接合部の下端には、嵌合凹部45cが形成されている。
【0034】
更に、上繰出ケース部45bで該嵌合凹部45cよりも上部には、前記繰出ロール41に駆動軸部36aを挿入するための軸孔45dが形成され、該軸孔45dよりも更に上部にある取付部45hには、ブラシ49が蝶ネジ50によって締結固定されている。該ブラシ49の刷毛部49aは、繰出ロール41に向かって延出され、該繰出ロール41上部の外周面41bと接触している。
【0035】
これにより、該外周面41bに形成された複数の凹部41aに嵌入しきれないままで搬送されてきた余分な薬剤42を、後述するようにして、前記ブラシ49により堰き止めるようにしている。
【0036】
前記取付部45hでブラシ49よりも更に上部には、ネジ孔45eが穿孔される一方、該ネジ孔45eと同軸上で下繰出ケース48の上部にも、ネジ孔48cが穿孔されると共に、該下繰出ケース48の下端後部には、前記嵌合凹部45cを嵌合して支持する支持軸48aが形成されている。
【0037】
これにより、前記繰出ロール41を前記上繰出ケース部45bの開口部45fに嵌入した状態で、前記駆動軸部36aを軸孔45dから繰出ロール41内に挿嵌し、繰出ロール41を上繰出ケース部45bに軸支し、その後、前記支持軸48aを嵌合凹部45cに嵌合させた上で、ノブネジ51のネジ部51aをネジ孔48c・45eに螺挿することによって、下繰出ケース48を上繰出ケース部45bに締結固定できるようにしている。なお、この下繰出ケース48の前面からは、前記装置フレーム40に薬剤繰出装置4を保持するための支持部48bが前方に突出されると共に、該支持部48bには、平面視略中央に上下貫通孔48fが穿孔されている。
【0038】
また、前記下繰出ケース48内側の上部には、係合凹部48eが形成され、該係合凹部48eにはガイド板52を挿入して固定できるようにし、ネジ止めすることなくガイド板52を容易に着脱できるようにしている。
【0039】
更に、該ガイド板52と前記繰出ロール41の外周面41bとの隙間は、上部のホッパー45側が最も広く、落下側にいくに従って徐々に狭くなるように調整されており、薬剤42がガイド板52によって少しずつ凹部41aに押し込まれるようにしている。
【0040】
加えて、前記ブラシ49を挟んでガイド板52と反対側に保護板53が配設され、該保護板53は、前記ブラシ49の後面を覆う直状部53aと、該直状部の下端から繰出ロール41の外周面41bに沿って後方に延出される湾曲部53bとから構成される。そして、該湾曲部53bでブラシ49に近い部分から、前記直状部53aでブラシ49の刷毛部49aの根本に近い部分にかけて、前後方向に長い長孔53cが開口されると共に、該長孔53cの左右開口幅は、前記凹部41aの開口径よりも大きく構成されている。
【0041】
このような構成において、前記繰出ロール41が矢印54の方向に回転していくと、薬剤42は、前記保護板53の長孔53cを通って凹部41a内に転がり入り、該凹部41a内に保持された状態でブラシ49まで搬送される。そして、該ブラシ49に到達すると、凹部41a内に入りきれずに溢れていた小粒状の薬剤42は、ブラシ49の刷毛部49aによって堰き止められて長孔53cから外に排出され、それ以上は搬送されない。
【0042】
前記繰出ロール41が矢印54の方向に更に回転していくと、溢れた小粒状の薬剤42等が取り除かれた凹部41a内の薬剤42は、前記ガイド板52の内側面によって繰出ロール41側に押し付けられ、凹部41a内に保持された状態で所定の落下部まで搬送されてから、前記下繰出ケース48の下部開口からガイドロート55内に落下し、該ガイドロート55に連通する施薬ホース56Lを介して圃場に投下される。
【0043】
図1乃至図3に示すように、播種機1には、このような構成から成る薬剤繰出装置4・5を、走行に伴う前ローラ8の回転に連動して駆動させるための動力伝達経路23が設けられている。
該動力伝達経路23は、左右のメインフレーム7L・7Rに対して、その外側に設けた外伝達部24と、内側に設けた内伝達部25とから構成される。
【0044】
このうちの外伝達部24においては、前記前ローラ8の前車軸10の右端にスプロケット26が外嵌固設されると共に、右のメインフレーム7Rの前後略中央部に前後回動自在に軸支される中間軸30の右端にもスプロケット27が外嵌固設され、該スプロケット27と前記スプロケット26との間には、チェーン28が巻回される。更に、これらスプロケット26・スプロケット27・チェーン28を収容するチェーンケース29が、右のメインフレーム7Rの前半部に取り付けられている。
【0045】
これにより、前車軸10の回転動力が、スプロケット26、チェーン28、スプロケット27を介して中間軸30に伝達される。
【0046】
また、前記内伝達部25においては、前記中間軸30と鎮圧ローラ9との間で左右のメインフレーム7L・7R間に、前記装置フレーム40が立設される。
該装置フレーム40の上部に設けた左右の側板部40c・40d間に、前部を前斜め下方に切断して開口したチェーンケース35の上部が挿嵌固定されている。
【0047】
ここで、前記側板部40c・40dの外側面からは、左右外方に挟持体85・86が突設され、該挟持体85・86に、前記薬剤繰出装置4・5の各支持部48bが上下から挟持されており、薬剤繰出装置4・5が、それぞれ、挟持体85・86を介して、装置フレーム40の上部左右に着脱可能に支持されている。
【0048】
なお、前記挟持体85・86の上部には、係合凸部85a・86aが下方に突設されており、該係合凸部85a・86aが前記支持部48bの上下貫通孔48fの上開口に嵌合して、前記薬剤繰出装置4・5の位置ずれを防止するようにしている。
【0049】
そして、前記チェーンケース35の上部には、前記左の側板部40cに設けた軸受け37により、分配軸部36bが回動可能に軸支され、該分配軸部36bの左右両端は、前述の如く装置フレーム40に保持した薬剤繰出装置4・5の各駆動軸部36a・36cの内端に挿嵌されると共に、該分配軸部36bの左右略中央には、スプロケット33が外嵌固設されている。そして、これら駆動軸部36a、分配軸部36b、駆動軸部36cから駆動軸36が構成される。
【0050】
一方、前記中間軸30の左端には、左端を閉塞したボス筒74が外嵌され、該ボス筒74にスプロケット32が外嵌固設され、該スプロケット32と前記スプロケット33との間には、チェーン34が巻回されている。
【0051】
これにより、中間軸30の右端に伝達されてきた回転動力が、中間軸30の左端からスプロケット32、チェーン34、スプロケット33を介して、前記駆動軸36に伝達される。
【0052】
従って、播種機1の走行に伴って前ローラ8が回転すると、該前ローラ8の回転動力が前記外伝達部24から内伝達部25を通って駆動軸36に伝達され、前記薬剤繰出装置4・5が自動的に駆動される。なお、この際の繰出間隔は、前記スプロケット対26・27やスプロケット対32・33の各ギア比を変更したり、前記薬剤繰出装置4・5の繰出ロール41における凹部41aの周方向間隔を変更する等して、自在に調整することができる。
【0053】
なお、左のメインフレーム7Lに締結固定した固定板部31aの下部前後略中央には、押さえネジ75が螺挿され、該押さえネジ75は、前記ボス筒74に向かって突出されており、押さえネジ75の先端によって、前記ボス筒74の左端側面が押止されている。
【0054】
これにより、右のメインフレーム7Rのみに軸支されて片持ち支持状態にある前記中間軸30において、その自由端を、左のメインフレーム7Lから突出された前記押さえネジ75によって押止することにより、中間軸30の支持剛性を高めることができ、前ローラ8の回転動力が外伝達部24から内伝達部25に伝達される際の動力伝達ロスや振動の発生を防止できるようにしている。
【0055】
次に、前記投下位置調整機構90について、図1、図2、図6、図7により説明する。
該投下位置調整機構90は、前述の如く、装置フレーム40の下方に設けられている。
【0056】
ここで、該装置フレーム40は、正面視上下逆T字状であって、左右に延出する平板状の基部40aと、該基部40aの上面で左右略中央よりも右寄りから立設する立板状の起立柱部40bとから構成される。
【0057】
そして、該起立柱部40bの上後部が後方に延出されて前記側板部40cが形成されると共に、同じく起立柱部40bの上前部が右側方から後方に向かって延出されて前記側板部40dが形成される。一方、前記基部40aで起立柱部40bを挟んで左右両側には、前後方向に長い左右一対の縦長孔40e・40fが形成されている。
【0058】
このような構成から成る装置フレーム40は、前記左右のメインフレーム7L・7R間にボルト116により締結固定された平板状の取付台92の上に載置されている。そして、該取付台92の左右両側には、左右方向に長い左右一対の横長孔92a・92bが形成されており、該横長孔92a・92bに前記縦長孔40e・40fが平面視で直交状に部分重複するように、前記装置フレーム40が取付台92上に載置される。
【0059】
また、該取付台92の下面には、左右一対の支持アーム93・96が当接されている。 このうち左の支持アーム93は、該支持アーム93の前端側にあって上下方向に軸心を有する筒状のガイド筒94と、該ガイド筒94の外周後部に前端部が固定された長い平板状のガイドアーム95とから構成される。同様に、右の支持アーム96も、該支持アーム96の前端側にあって上下方向に軸心を有する筒状のガイド筒97と、該ガイド筒97の外周後部に前端部が固定された長い平板状のガイドアーム98とから構成される。
【0060】
ここで、前記第一薬剤繰出装置4の施薬ホース56Lの下端には、投下口87Laを有する施薬パイプ87Lが連通連結され、同様に、前記第二薬剤繰出装置5の施薬ホース56Rの下端にも、投下口87Raを有する施薬パイプ87Rが連通連結されており、該施薬パイプ87L・87Rが、それぞれ、前記ガイド筒94・97の支持孔94a・97a内に、上方から嵌入し固定されている。これにより、投下口87La・87Raは、それぞれ前記支持アーム93・96の前端側に連結されている。
【0061】
更に、該支持アーム93の後端側には、ガイドアーム95の長手方向に長い縦長孔95aが形成され、同様に、支持アーム96の後端側には、ガイドアーム98の長手方向に長い縦長孔98aが形成されており、該縦長孔95a・98aは、それぞれ、前記横長孔92a・92bに平面視で直交状に部分重複するように、前記支持アーム93・96が取付台92下面に当接されている。
【0062】
以上のような構成において、機体左側では、調整ボルト99Lを、支持アーム93の縦長孔95aから取付台92の横長孔92aを介して装置フレーム40の縦長孔40eまで順次挿通させた後、調整ナット100に螺挿する。機体右側でも同様に、調整ボルト99Rを、支持アーム96の縦長孔98aから取付台92の横長孔92bを介して装置フレーム40の縦長孔40fまでで順次挿通させた後、調整ナット100に螺挿する。これにより、前記取付台92に対し、下からは左右一対の支持アーム93・96を、上からは装置フレーム40を、同時に締結固定することができる。
【0063】
従って、調整ボルト99L・99Rを緩めてから、該調整ボルト99L・99Rに対して前記縦長孔95a・98aを摺動させることにより、左右の支持アーム93・96全体を調整ボルト99L・99Rを中心にして前後左右の水平方向に回動または摺動させ、その後、再び調整ボルト99L・99Rを締めることにより、ガイド筒94・97の水平位置を調整ボルト99L・99Rにより固定することができ、該ガイド筒94・97に嵌入される施薬パイプ87L・87Rの投下口87La・87Raの支持位置も自在かつ確実に調整される。
【0064】
このようにして、左右一対の支持アーム93・96と、該支持アーム93・96の支持位置を自在に変更した後に締結固定するための調整ボルト99L・99Rとから、前記投下位置調整機構90を構成することができる。
【0065】
すなわち、播種装置であるテープ導入装置2に加えて粒状物の薬剤42の供給装置である薬剤繰出装置4・5を備えた播種機1において、前記薬剤繰出装置4・5からの薬剤42を圃場に投下する投下口87La・87Raを支持アーム93・96によって支持し、該支持アーム93・96全体を、前記播種機1の機体フレームであるメインフレーム7L・7Rに対して前後左右へ水平移動して固定することにより、前記投下口87La・87Raの支持位置を自在に変更する投下位置調整機構90を設けたので、シードテープ式、ロール式や回転目皿式のいずれの播種装置を備えた播種機であっても、前記投下口87La・87Raが一カ所だけに限定して支持されることがなく、薬剤42の特性や圃場の状況に応じて、種子と薬剤42との間隔を適切にすることができる。これにより、薬剤42の薬効等の効果を十分に種子に及ぼすことができ、作物の良好な発芽と生育が行われて、作物の収穫量の増加や品質の向上を図ることができる。しかも、一端に投下口87La・87Raを連結した針金等を塑性変形することにより投下口87La・87Raを簡易的に移動し固定する場合と比べ、投下口87La・87Raを所定の支持位置に精度良く移動させた上で必要に応じて強固に固定することができ、高い薬剤散布精度が得られる。
【0066】
更に、前記投下位置調整機構90において、前記支持アーム93・96の一端側である前端側に前記投下口87La・87Raを連結する一方、前記支持アーム93・96の他端側である後端側には長孔である縦長孔95a・98aを設け、該縦長孔95a・98aに調整軸である調整ボルト99L・99Rを挿入し、該調整ボルト99L・99Rを中心に前記縦長孔95a・98aを前後左右に回動または摺動させるので、前記支持アーム93・96と調整ボルト99L・99Rから成る簡単な構成で投下位置調整機構90を形成することができ、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0067】
次に、このような投下位置調整機構90を利用し、シードテープ式の前記テープ導入装置2からロール式のロール播種装置101への交換に必要な構成とその手順について、図3、図6乃至図9により説明する。
【0068】
図6、図8、図9に示すように、この交換には、前記投下位置調整機構90に加え、前記テープ導入装置2を取り外した後にロール播種装置101を挟持する挟持体102と、該ロール播種装置101設置のための機体内空間を確保するため前記装置フレーム40を機体右側に移動する移動機構103とを要する。なお、該ロール式のロール播種装置101は前記薬剤繰出装置4・5と略同一構造であるため、以下の説明では、ロール播種装置101の構成部材については、第一薬剤繰出装置4と同じ符号を用いるものとする。
【0069】
このうちの挟持体102は、前記右のメインフレーム7Rに締結される本体104と、該本体104に固定されてロール播種装置101を挟持支持する挟持バネ105とから構成される。
【0070】
前記本体104は、右のメインフレーム7Rの内側面に締結される立板状の取付側部104aと、該取付側部104aの下辺から左方水平に延出された平板状の延出部104bと、該延出部104bの左辺から下方に垂下して再び左方水平に伸びる段差部104cとから構成される。
【0071】
そして、このうちの延出部104bの左端上面には、平板状の挟持バネ105の基部がリベット106により固定され、該挟持バネ105と前記段差部104cとの間に、前記ロール播種装置101の支持部48bが上下から挟持され、ロール播種装置101が、挟持体102を介して、右のメインフレーム7Rの内側に着脱可能に支持されている。
【0072】
なお、挟持バネ105の平面略中央部には、前記挟持体85・86と同様に、係止凸部105aが下方に突設されており、該係止凸部105aが前記ロール播種装置101の支持部48bの上下貫通孔48fの上開口に嵌合して、ロール播種装置101の位置ずれを防止するようにしている。
【0073】
また、前記移動機構103は、前記横長孔92a・92bを形成した取付台92と、前記縦長孔40e・40fを形成した装置フレーム40と、前記縦長孔95a・横長孔92a・縦長孔40eを下から貫通する左の調整ボルト99Lと、前記縦長孔98a・横長孔92b・縦長孔40fを下から貫通する右の調整ボルト99Rとから構成される。
【0074】
このような構成において、前記調整ボルト99L・99Rを緩めてから装置フレーム40を機体左右一側に向かって押動すると、該装置フレーム40の縦長孔40e・40fによって、前記調整ボルト99L・99Rが機体左右一側に向かって押動され、該調整ボルト99L・99Rが取付台92の横長孔92a・92bに沿って摺動する。
【0075】
すると、装置フレーム40が取付台92の上面を機体左右一側に向かって移動すると共に、該装置フレーム40に前記調整ボルト99L・99Rから縦長孔95a・98aを介して連結される支持アーム93・96も、一緒に機体左右一側に向かって移動する。
【0076】
以上のような構成におけるロール播種装置101への交換手順について説明する。
まず、図3、図7に示すように、前記テープガイド部58において、前記ガイド筒部69より、ボルト73を緩めて昇降筒70を引き上げ、該昇降筒70と一緒に、前記導入パイプ71を、作条爪79の左右の側板部79a・79b間から取り出す。続いて、ボルト72を緩め、前記支持部材31の取付アーム部31bから、前記ガイド筒部69と一緒に固定筒部68を右方に引き出すことにより、テープガイド部58を取り外す。その後、テープ保持部57において、ボルト89を緩め、前記支持部材31の取付アーム部31bから、前記支柱部62・リール支軸63・保護フレーム64・テープリール65と一緒に固定部61を後方に引き出すことにより、テープ保持部57を取り外す。続いて、前後のボルト107・108を螺脱し、左のメインフレーム7Lから、前記取付アーム部31bと一緒に固定板部31aを脱着することにより、支持部材31を取り外す。これにより、テープ導入装置2全体を播種機1から取り外すことができる。
【0077】
すると、前記支持部材31と一緒に前記押さえネジ75も取り外されるため、該押さえネジ75によって左端側面が押止されているボス筒74の左方は開放状態となる。そこで、前記調整ボルト99L・99Rを緩めてから、装置フレーム40を機体前側に押動し、前記調整ボルト99L・99Rに対して縦長孔40e・40fを摺動させると、前記ボス筒74に外嵌固定されたスプロケット32と、装置フレーム40のスプロケット33との間隔が短くなり、両スプロケット32・33間に巻回された前記チェーン34が弛緩する。
【0078】
この弛緩したチェーン34を外した後、前記ボス筒74を中間軸30の左端から抜脱し、該ボス筒74の代わりに、図9に示すように、貫通孔109aを備えると共に前記スプロケット32を外嵌したボス筒109を、前記中間軸30の途中部に外嵌固定する。
【0079】
続いて、図7乃至図9に示すように、前後のボルト110・111を螺脱し、右のメインフレーム7Rの内側面に締結される前連結板38の取付側部38bを取り外した後、該取付側部38bと前記メインフレーム7Rとの間に、前記挟持体102の取付側部104aを介装し、再び前記ボルト110・111を締めることにより、挟持体102を右のメインフレーム7Rに固定する。
【0080】
そして、該挟持体102に前記支持部48bを挟持させると共に、前記中間軸30の左端部に駆動軸部36aの右端を嵌合させることにより、ロール播種装置101を、機体左右略中央の空間で前記作条爪79の左右の側板部79a・79b間の直上方に、配置することができ、該作条爪79によって掘られた溝内に種子が確実に投下されるようにしている。この時、ロール播種装置101の駆動軸部36aには、中間軸30からの動力が入力される。
【0081】
その後、図9に示すように、前記移動機構103において、前記調整ボルト99L・99Rが緩んだ状態で、前記装置フレーム40を機体右側に向かって押動すると、調整ボルト99L・99Rが取付台92の横長孔92a・92bに沿って機体右側に向かって摺動し、装置フレーム40が左右位置112から左右位置113まで移動する。
【0082】
これに伴い、装置フレーム40のスプロケット33も、もとの左右位置114から左右位置115まで移動するが、該左右位置115は、前記ボス筒109のスプロケット32と略同じ左右位置に設定されている。そして、該スプロケット32・33間に前記チェーン34が巻回されることにより、前記内伝達部25が機体右側に偏位して形成される。
【0083】
この際、前記支持アーム93・96も、調整ボルト99L・99Rと一緒に機体右側に向かって移動するが、該支持アーム93・96は、前記投下位置調整機構90により、調整ボルト99L・99Rを中心にして前後左右に回動または摺動されるようにしている。
【0084】
これにより、右の支持アーム96を、該支持アーム96に支持された投下口87Raが前記内伝達部25と干渉しない位置まで移動させることができる。左の支持アーム93については、該支持アーム93に支持された投下口87Laによって位置決めされた施薬パイプ87Lや施薬ホース56が前記ロール播種装置101と干渉しない位置まで移動させることができる。更に、投下口87La・87Raの位置は、必要に応じて、作条爪79の上方を水平移動させ、播種に適した位置に設定することができる。
【0085】
このようにして、支持アーム93・96を移動した後、装置フレーム40を機体後側に押動し、前記調整ボルト99L・99Rに対して縦長孔40e・40fを摺動させて両スプロケット32・33間を広げ、前記チェーン34を張設し、その後、再び前記調整ボルト99L・99Rを締めることにより、内伝達部25が機能できる状態で、装置フレーム40と支持アーム93・96を同時に取付台92に固定することができる。
【0086】
すなわち、供給装置である薬剤繰出装置4・5を保持すると共に該薬剤繰出装置4・5への入力部であるスプロケット33を備える装置フレーム40を設け、該装置フレーム40を機体左右一側に移動可能な移動機構103を備えることにより、前記スプロケット33への動力伝達経路である内伝達部25を装置フレーム40と一緒に機体左右一側に偏位させるので、シードテープ式の播種装置であるテープ導入装置2を備える播種機1において、前記内伝達部25が機体左右略中央を占有している場合であっても、テープ導入装置2を取り外した後、前記移動機構103によって内伝達部25を偏位させ、その空いた機体内空間にロール式の播種装置であるロール播種装置101を配置することができる。しかも、前記投下位置調整機構90によって、前記内伝達部25やロール播種装置101による干渉を防ぎつつ、投下口87La・87Raを播種に適した位置に配置することができる。これにより、同一播種機において播種装置の方式を、種子の種類、播種間隔、播種量等の条件に応じて、シードテープ式とロール式との間で自在に変更することができ、播種機の汎用性を高めることができる。なお、ロール式でなく回転目皿式であってもよい。
【0087】
更に、前記ロール播種装置101は、前記内伝達部25からの分岐動力によって駆動するので、ロール播種装置101への動力伝達経路または動力源を別途に設ける必要がなく、部品コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、播種装置に加えて粒状物の供給装置を備えた、全ての播種機に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 播種機
2 テープ導入装置(播種装置)
4・5 薬剤繰出装置(供給装置)
7L・7R メインフレーム(機体フレーム)
25 内伝達部(動力伝達経路)
33 スプロケット(入力部)
40 装置フレーム
42 薬剤(粒状物)
87La・87Ra 投下口
90 投下位置調整機構
93・96 支持アーム
95a・98a 縦長孔(長孔)
99L・99R 調整ボルト(調整軸)
101 ロール播種装置(播種装置)
103 移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
播種装置に加えて粒状物の供給装置を備えた播種機において、前記供給装置からの粒状物を圃場に投下する投下口を支持アームによって支持し、該支持アーム全体を、前記播種機の機体フレームに対して前後左右へ水平移動した上で固定することにより、前記投下口の支持位置を自在に変更する投下位置調整機構を設けたことを特徴とする播種機。
【請求項2】
前記投下位置調整機構において、前記支持アームの一端側に前記投下口を連結する一方、前記支持アームの他端側には長孔を設け、該長孔に調整軸を挿入し、該調整軸を中心に前記長孔を前後左右に回動または摺動させることを特徴とする請求項1に記載の播種機。
【請求項3】
前記供給装置を保持すると共に該供給装置への入力部を備える装置フレームを設け、該装置フレームを機体左右一側に移動可能な移動機構を備えることにより、前記入力部への動力伝達経路を装置フレームと一緒に機体左右一側に偏位させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200211(P2012−200211A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68029(P2011−68029)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(597041747)アグリテクノ矢崎株式会社 (56)
【Fターム(参考)】