説明

撮像ユニット

【課題】撮像ユニットのトータルの厚さが低減された構造を有する撮像ユニットを提供する。
【解決手段】開口10aが設けられた基板10と、該基板10の一方の面に、開口10aを覆い、且つ、受光面11aが開口10aと対向するように実装された撮像素子11と、基板10の他方の面に、開口10aを覆うように固着され、撮像素子11の受光面11aを保護する保護ガラス13と、該保護ガラス13を収容可能な開口15aが設けられ、開口15a内に保護ガラス13を収容した状態で基板10に固定された固定部材15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルカメラ等の撮像装置において用いられる撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラ等の撮像装置において用いられる撮像ユニットは、通常、開口が設けられた基板の一方の面に、該開口を覆うように撮像素子をベアチップ実装すると共に、基板の他方の面に、上記開口を覆うように保護ガラスを固着した構造を有する。従来、このような撮像ユニットは、撮像素子の背面(基板とは反対側の面)にアルミニウム板等の固定部材を接着し、この固定部材を介して撮像装置の筐体に固定されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固定部材を撮像素子の背面に接着する構造では、撮像ユニットのトータルの厚さが固定部材の厚さの分だけ増えてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像ユニットのトータルの厚さが低減された構造を有する撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像ユニットは、第1の開口が設けられた基板と、前記基板の一方の面に、前記第1の開口を覆い、且つ、受光面が前記第1の開口と対向するように実装された撮像素子と、前記基板の他方の面に、前記第1の開口を覆うように固着され、前記撮像素子の前記受光面を保護する保護ガラスと、前記撮像素子又は前記保護ガラスを収容可能な第2の開口が設けられ、該第2の開口内に前記撮像素子又は前記保護ガラスを収容した状態で前記基板に固定された固定部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記撮像ユニットにおいて、前記基板はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする。
【0008】
上記撮像ユニットにおいて、前記固定部材は、前記第2の開口内に前記保護ガラスを収容し、前記基板の表面に対する前記固定部材の表面の高さは、前記基板の表面に対する前記保護ガラスの表面の高さ以下であることを特徴とする。
【0009】
上記撮像ユニットにおいて、前記固定部材は、前記基板に締結されていることを特徴とする。
【0010】
上記撮像ユニットにおいて、前記撮像素子の前記基板とは反対側の面に設けられ、前記撮像素子が発する熱を放熱する放熱部材をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
上記撮像ユニットにおいて、前記放熱部材は、前記固定部材と共に、前記基板に締結されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板に実装された撮像素子又は基板に固着された保護ガラスを固定部材に設けられた開口内に収容するので、撮像ユニットのトータルの厚さを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像ユニットを示す上面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2に係る撮像ユニットを示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3に係る撮像ユニットを示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4に係る撮像ユニットを示す断面図である。
【図6】図6は、実施の形態4の変形例に係る撮像ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これら実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る撮像ユニットの構造を示す上面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
図1及び図2に示すように、撮像ユニット1は、基板10と、該基板10の一方の面(図2においては下面)に実装された撮像素子11と、基板10の他方の面(図2においては上面)に固着された保護ガラス13と、基板10の保護ガラス13の固着面側に固定された固定部材15とを備える。
【0016】
基板10は、例えば、撮像素子11の実装面に回路パターンが形成されたフレキシブルプリント基板である。基板10には、撮像素子11の外形よりも若干小さいサイズの開口10aが設けられている。この開口10aの周辺部には、撮像素子11に設けられた電極(図示せず)と電気的に接続される電極パターンが形成されている。また、基板10の周縁部には、複数(図1においては2つ)のU字状の切り欠き部10bが設けられている。この切り欠き部10bは、後述するように、固定部材15を基板10にビス止めする際に用いられる。
【0017】
撮像素子11は、例えば、CCDイメージセンサ等の固体撮像素子からなり、受光面11aを基板10の開口10aと対向させ、開口10aを覆うようにバンプ12を介して基板10にフリップチップ実装されている。撮像素子11は、保護ガラス13及び開口10aを介して受光面11aに入射した光を光電変換し、電気信号を出力する。
【0018】
保護ガラス13は、例えば、透明ガラス等の透光性を有する材料により形成された平行平板部材であり、撮像素子11の外形よりも若干大きなサイズを有する。保護ガラス13は、基板10の撮像素子11が実装された面とは反対側の面に、開口10aを覆うように、例えばアクリル系の接着剤14を用いて固着されている。この保護ガラス13により開口10aを含む空間が封止され、受光面11aが保護される。
【0019】
固定部材15は、例えば、アルミニウム等の金属又は合金により形成された板状の部材である。固定部材15の外形は、当該撮像ユニット1が取り付けられるディジタルカメラ等の撮像装置の構造に応じて決定される。また、固定部材15には、保護ガラス13を収容可能な、保護ガラス13の外形よりも若干大きなサイズの開口15aが設けられている。さらに、固定部材15の周縁部には、当該撮像ユニット1を撮像装置の筐体に固定する際に用いられる複数(図1においては3つ)のビス孔15bが設けられている。
【0020】
ビス16は、例えばSUSや炭素鋼等の金属又は合金によって形成された締結部材である。
固定部材15は、開口15a内に保護ガラス13を収容した状態で、ビス16によって基板10に締結されている。
【0021】
基板10の表面に対する固定部材15の表面の高さ(即ち、固定部材15の厚さ)d1は、好ましくは、基板10の表面に対する保護ガラス13の表面の高さ(即ち、保護ガラス13の厚さ及び接着剤14の厚さの合計)d2と同程度か、又は高さd2よりも小さくすると良い(即ち、d1≦d2)。
【0022】
なお、図2においては、基板10に設けられた切り欠き部10bにビス16を貫通させているが、切り欠き部10bの代わりに、基板10の周縁部に貫通孔を設け、この貫通孔にビス16を挿通させるようにしても良い。
【0023】
以上説明した実施の形態1によれば、基板10から突出した保護ガラス13の部分を、固定部材15に設けられた開口15a内に収容するので、固定部材を撮像素子の背面に接着する場合と比較して、撮像ユニット1のトータルの厚さを低減することが可能となる。
【0024】
なお、固定部材15を基板10に固定する手段は、ビス止めに限定されず、ビス以外の締結部材を用いても良いし、例えばエポキシ系の接着剤を用いても良い。ビス又はその他の締結部材を用いる場合には、接着剤を用いる場合と比較して、簡単且つ短時間に固定部材15を基板10に固定することができる。
【0025】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2に係る撮像ユニットの構造を示す断面図である。
図3に示すように、実施の形態2に係る撮像ユニット2は、図2に示す撮像ユニット1に対し、撮像素子11の基板10とは反対側の面(受光面11aの背面)に接着剤22を介して設けられた放熱部材21をさらに備える。
【0026】
放熱部材21は、例えば、厚さが0.2mm程度の銅板によって形成されており、撮像素子11が発する熱を放熱する。接着剤22は、例えば無機フィラー入りのエポキシ系の接着部材であり、放熱部材21を撮像素子11に固着すると共に、放熱部材21と撮像素子11との間を絶縁する。
【0027】
このような実施の形態2においては、撮像素子11が発する熱を放熱部材21を介して放熱させることができるので、撮像素子11を効率良く動作させることが可能となる。また、固定部材15の開口15a内に保護ガラス13を収容したことにより、撮像素子11の背面に放熱部材21を設けても、なお、固定部材を撮像素子の背面に固着した場合と比較して、撮像ユニット2のトータルの厚さを低減することが可能となる。
【0028】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図4は、実施の形態3に係る撮像ユニットの構造を示す断面図である。
図4に示すように、実施の形態3に係る撮像ユニット3は、図2に示す撮像ユニット1に対し、撮像素子11の基板10とは反対側の面(受光面11aの背面)にゴム状シート部材32を介して配設された放熱部材31をさらに備える。
【0029】
放熱部材31は、例えば、厚さが0.2mm程度の銅板によって形成されている。この放熱部材31には、ゴム状シート部材32を介して撮像素子11と当接する第1平板部31aと、該第1平板部31aとの間で段差を有し、基板10の開口10aの周囲領域と当接する第2平板部31bとが設けられている。第2平板部31bには、ビス16を貫通させる複数(図4においては2つ)のビス孔31cが形成されている。放熱部材31は、ビス16によって基板10及び固定部材15と共に締結される。
【0030】
ゴム状シート部材32は、例えば、シリコーンゴム等の樹脂材料によって形成されており、放熱部材31と撮像素子11との間を絶縁すると共に、両者を密着させて伝熱性を向上させる。
【0031】
このような実施の形態3によれば、ビス16によって放熱部材31を基板10に固定するので、接着剤等を用いる場合と比較して、簡単且つ短時間に撮像ユニット3を作製することが可能となる。
【0032】
また、実施の形態3によれば、放熱部材31がビス16を介して固定部材15と連結されるので、撮像素子11が発する熱を、放熱部材31から直接空気中に放熱するだけでなく、固定部材15を介して放熱することも可能となる。従って、撮像素子11の冷却効率を向上させることが可能となる。
【0033】
なお、放熱部材31を基板10に固定する手段は、ビス止めに限定されず、ビス以外の締結部材を用いても良いし、接着剤を用いても良い。
また、ゴム状シート部材32の材料としては、シリコーンゴムの他にも、絶縁性と、放熱部材31と撮像素子11とを密着させることができる程度の弾性と、伝熱性とを有する材料であれば用いることができる。或いは、ゴム状シート部材32の代わりに、実施の形態2と同様に、伝熱性を有する接着剤(無機フィラー入りエポキシ系接着剤等)を用いても良い。
【0034】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図5は、実施の形態4に係る撮像ユニットの構造を示す断面図である。
図5に示すように、実施の形態4に係る撮像ユニット4は、図2に示す撮像ユニット1とは反対に、固定部材15を基板10における撮像素子11の実装面側に固定し、開口15a内に撮像素子11を収容する。
【0035】
このように、基板10に対する固定部材15の配置を変更した場合であっても、基板10から突出した撮像素子11の部分を開口15a内に収容することにより、固定部材を撮像素子の背面に接着する場合と比較して、撮像ユニット4のトータルの厚さを低減することが可能となる。
【0036】
なお、図5においては、基板10の表面に対する固定部材15の表面の高さ(即ち、固定部材15の厚さ)が、基板10の表面に対する撮像素子11の表面(図の下側の面)の高さ(即ち、撮像素子11の厚さ及びバンプ12の厚さの合計)よりも大きくなっているが、固定部材15をさらに薄くして、基板10の表面に対する固定部材15の表面の高さを撮像素子11の表面の高さと同程度かそれよりも小さくすると、なお好ましい。
【0037】
(変形例)
次に、実施の形態4の変形例について説明する。図6は、本変形例に係る撮像ユニットの構造を示す断面図である。
図6に示すように、本変形例に係る撮像ユニット5は、基板10の開口10a周囲の領域を撓ませ、基板10の表面に対する固定部材15の表面の高さ(即ち、固定部材15の厚さ)d1部分が、固定部材15の基板10への固定面から見た撮像素子11表面の高さd3と同程度か、又はそれよりも低くなるようにしている(即ち、d1≦d3)。これにより、固定部材15を撮像素子11の実装面側に設ける場合であっても、撮像ユニット5のトータルの厚さをより一層低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1〜5 撮像ユニット
10 基板
10a 開口
10b 切り欠き部
11 撮像素子
11a 受光面
12 バンプ
13 保護ガラス
14、22 接着剤
15 固定部材
15a 開口
15b ビス孔
16 ビス
21、31 放熱部材
31a 第1平板部
31b 第2平板部
31c ビス孔
32 ゴム状シート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口が設けられた基板と、
前記基板の一方の面に、前記第1の開口を覆い、且つ、受光面が前記第1の開口と対向するように実装された撮像素子と、
前記基板の他方の面に、前記第1の開口を覆うように固着され、前記撮像素子の前記受光面を保護する保護ガラスと、
前記撮像素子又は前記保護ガラスを収容可能な第2の開口が設けられ、該第2の開口内に前記撮像素子又は前記保護ガラスを収容した状態で前記基板に固定された固定部材と、
を備えることを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記基板はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記固定部材は、前記第2の開口内に前記保護ガラスを収容し、
前記基板の表面に対する前記固定部材の表面の高さは、前記基板の表面に対する前記保護ガラスの表面の高さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記固定部材は、前記基板に締結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記撮像素子の前記基板とは反対側の面に設けられ、前記撮像素子が発する熱を放熱する放熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記固定部材と共に、前記基板に締結されていることを特徴とする請求項5に記載の撮像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106001(P2013−106001A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250949(P2011−250949)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】