説明

撮像光学検査装置

【課題】 装置の専有面積を小さくすることができ、高精度の検出結果を短時間で行なうことができる撮像光学検査装置を提供する。
【解決手段】 単一のリニア撮像素子3aと、被検査物100上のリニア撮像素子3aによる撮像領域102を変更する搬送装置2と、リニア撮像素子3aに入射する光の特性が異なる複数の照明装置4,5,6,7と、被検査物100の所定の領域がリニア撮像素子3aの撮像領域内にある時間内に複数回のデータ転送が可能となるように、搬送速度又は転送速度を制御する撮像制御部10と、照明装置の点灯のタイミングをリニア撮像素子3aのデータ転送回ごとに変更する照明制御部9と、リニア撮像素子3aからの画像データを同じ照明装置が点灯した画像データごとに集積する画像処理部11と、集積画像データから合成画像データを作成する画像合成部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物を撮像して得られた画像に基づいて、被検査物表面の傷や異物混入の有無などを検査する撮像光学検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物を撮像して画像に基づいて、被検査物表面の傷や異物混入の有無などを検査する撮像光学検査装置としては、多種の構成が知られている。そして、これらの撮像光学検査装置には、投光角度や受光角度を異ならせた複数の光を利用する光学系を用いて、異なる特性の光に応じてそれぞれ撮像結果を得ることを利用して、検査精度を向上させるものが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、被検査物からの拡散反射光と正反射光成分の光量の検出出力より被検査物の領域を認識し、上記により認識された領域のうち特定領域の正反射光成分の光量の検出出力に基づいて被検査物の判別を行なう装置が開示されている。
【0004】
この装置は、1つの光源から投光される光が被検査物表面で、拡散反射光と正反射光成分となるような位置に設けられた複数の受光素子を用い、それぞれの出力結果に応じて被検査物の検査を行なうものである。
【0005】
また、特許文献2には、1つの撮像装置(CCDカメラ)の撮像領域に対して、一方が拡散照明、他方が透過照明となるように複数の位置に設けられた光源を用いた装置が開示されている。この特許文献2では、2つの照明による画像をそれぞれ得るために、被検査物を複数回撮像する装置と、複数回の撮像を不要とするためにCCDカメラのスキャンニングに同期してそれぞれの光を交互に照射することでタクトタイムを短くする装置とが開示されている。そして、これらの装置は、いずれもそれぞれの照射光による画像情報を集積処理して個別に画像化する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−11230号公報
【特許文献2】特開平8−43047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の装置は、1つの光源に対して複数の撮像装置が必要であり、装置が高価で大型なものとなる欠点がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の装置は、専有面積を少なくし、さらにタクトタイムを増やすことなく拡散照明と透過照明による複数の画像を得ることができるが、画像の数に応じた回数の検査を必要があり、判断処理に時間がかかるという問題がある。また拡散照明と透過照明による画像では、表面の細かな傷などの検出を十分な精度で得られないという問題があった。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、装置の専有面積を小さくすることができ、また、高精度の検出結果を短時間で行なうことができる撮像光学検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の撮像光学検査装置を提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、被検査物を撮像する単一のリニア撮像素子と、
被検査物とリニア撮像素子との位置を相対的に移動させ、被検査物上のリニア撮像素子の撮像領域を変更する搬送装置と、
前記被検査物に到達して前記リニア撮像素子に入射する光の光学特性が異なるように構成された複数の照明装置と、
前記搬送装置により搬送される被検査物の所定の領域が前記リニア撮像素子の撮像領域内にある時間内に、前記リニア撮像素子から複数回のデータ転送が可能となるように、前記搬送装置の搬送速度又は前記リニア撮像素子の転送速度を制御する撮像制御部と、
前記複数の照明装置の点灯のタイミングを前記撮像制御部により制御された前記リニア撮像素子の転送回ごとに変更するように制御する照明制御部と、
前記リニア撮像素子から転送された画像データを前記同じ照明装置が点灯した画像データごとに集積して集積画像データを作成する画像処理部と、
前記画像処理部により作成された集積画像データを合成し、合成画像データを作成する画像合成部と、を備えることを特徴とする、撮像光学検査装置を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記複数の照明装置は、リニア撮像素子に入射する光の反射特性及び透過特性が異なるように前記被検査物への入射角度が異なることを特徴とする、第1態様の撮像光学検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記複数の照明装置は、リニア撮像素子に入射する光が、前記被検査物に対して、それぞれ正反射光、拡散反射光、透過光となるように配置されていることを特徴とする、第2態様の撮像光学検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記複数の照明装置のうち、拡散反射光となるように設けられている照明装置は、前記被検査物に対する入射角が異なる2つの照明装置を備えることを特徴とする、第3態様の撮像光学検査装置を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記複数の照明装置は、射出する光の波長が異なることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの撮像光学検査装置を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記射出する光の波長が異なる照明装置は、被検査物に対する入射角が同じになるように構成されている、第5態様の撮像光学検査装置を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記撮像制御部は、前記点灯させる複数の照明装置の設置数と同数又は設置数の整数倍のデータ転送を可能とするように前記搬送装置の搬送速度又は前記リニア撮像素子の転送速度を制御することを特徴とする、第1から第6態様のいずれか1つの撮像光学検査装置を提供する。
【0018】
本発明の第8態様によれば、前記画像合成部は、対比する2つの集積画像データのそれぞれ対応する各画素の数値(例えば明度)の差分を算出し、当該各画素の差分量に応じた画像を合成画像データとして作成することを特徴とする、第1から第7態様のいずれか1つの撮像光学検査装置を提供する。
【0019】
本発明の第9態様によれば、前記画像合成部は、異物が存在する部分の撮像結果が相反する2つの集積画像データに基づいて合成画像データを作成することを特徴とする、
ことを特徴とする、第8態様の撮像光学検査装置を提供する。
【0020】
本発明の第10態様によれば、前記複数の照明装置は、発光ダイオード照明装置であることを特徴とする、第1から第9態様のいずれか1つの撮像光学検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、単一のリニア撮像素子を用いるため、装置の専有面積を小さくすることができる。また、搬送装置によって被検査物をリニア撮像素子に対して相対的に移動させているため、撮影角度及び画像中の被検査物の大きさが画素レベルで完全に同一の画像を得ることができる。また、撮像制御部と照明制御部を用いて所定領域内を時分割で撮像することによって、異なる照明に基づく複数画像を撮像することができる。したがって、画像の画素が完全に一致した複数の特性光の画像を用いて合成画像を作成するため、簡単かつ高精度に画像の合成処理を行なうことができる。
【0022】
また、リニア撮像素子に入射する光の反射特性及び透過特性が異なるように構成することにより、入射方向の異なる光によって異なる見え方の画像を得ることができ、作成される合成画像に被検査物の特徴をより鮮明に表わすことができる。
【0023】
また、複数の照明装置は、リニア撮像素子に入射する光が、前記被検査物に対して、それぞれ正反射光、拡散反射光、透過光となるように配置することで、多様な被検査物の検査に用いることができる。
【0024】
また、拡散反射光は、被検査物に対する入射角が異なる2つの照明装置を備えることで、表面が鏡面的な性質を持つ被検査物の表面に付された細かな傷などを認識することができる。
【0025】
複数の照明装置の射出する光の波長を異ならせることで、例えば、壁紙など表面が着色された被検査物の印刷状況などを計測することができる。また、この場合、それぞれ異なる波長を同一箇所から射出することで、条件を共通にして計測することができる。
【0026】
撮像制御部が点滅する照明装置の設置数と同数などのデータ転送を可能とするようにすることで、各時分割で撮像される集積画像データの重み付けを均一にすることができる。
【0027】
本発明によれば、各時分割で撮像される集積画像データの画角及び撮像領域が全く同一であるため、画素ごとにその特性値を比較することで、2つの画像データの特徴を容易に合成画像データに反映させることができる。具体的には、各画素の明度の差分を算出し、当該各画素の差分量に応じた画像とすることができ、さらには、異物が存在する部分の撮像結果が相反する2つの集積画像データに基づいて合成画像データを作成することで高精度の合成画像データとすることができる。
【0028】
複数の照明装置に発光ダイオード照明装置を用いることで、点滅の応答性をよくすることができ、短時間周期の点滅制御を高精度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光学検査装置の光学系の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる光学検査装置の機能ブロック図である。
【図3】第1のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。
【図4】第2及び第3のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。
【図5】第4のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる光学検査装置の動作フローを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる光学検査装置の撮像状態を示す模式図である。
【図8】時分割撮像動作のサブフローチャートである。
【図9】時分割撮像動作中のLED照明装置と一次元CCDのデータ転送のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】集積画像データの作成を模式的に説明する図である。
【図11】合成画像データの画素レベルの差分計算の例を示す図である。
【図12】集積画像データと合成画像データのコントラストの変化の例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態にかかる光学検査装置の光学系の例を示す模式図である。
【図14】本発明の第2実施形態にかかる光学検査装置の機能ブロック図である。
【図15】本発明の第3実施形態にかかる光学検査装置の光学系の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る光学検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる光学検査装置の光学系の例を示す模式図である。図2は、第1実施形態にかかる光学検査装置の機能ブロック図である。
【0032】
本実施形態にかかる光学検査装置1は、搬送装置2によって搬送される被検査物100の搬送経路の途中に配置されたCCDラインセンサカメラ3によって被検査物を撮像し、撮像された画像データに基づいて被検査物100の傷や異物混入などを判断するための装置である。
【0033】
CCDラインセンサカメラ3による被検査物100の撮影用照明として、第1から第4のLED照明装置4,5,6,7が設けられている。
【0034】
第1から第4のLED照明装置4,5,6,7は、被検査物に到達してCCDラインセンサカメラ3に入射する光の光学特性を異ならせるために、照射する光の射出方向が異なるように配置されている。第1から第4のLED照明装置4,5,6,7による光の射出方向及びCCDラインセンサカメラ3に入射する光の光学特性についての詳細は後述する。
【0035】
また、光学検査装置1は、図2に示すように下記の機能ブロックを備えている。制御演算部8は、光学検査装置1全体の動作処理を制御するものであり、後述する個別の動作を行なうために画像処理部11,画像合成部12,画像判定部13を内包する。
【0036】
照明制御部9は、制御演算部8からの指示を受けて、第1から第4のLED照明装置4,5,6,7の点灯制御をする。
【0037】
撮像制御部10は、制御演算部8からの指示を受けて、搬送装置2の被検査物100の搬送速度又はCCDラインセンサカメラ3のデータ転送速度を制御する。
【0038】
図1に示す光学系について詳細に説明する。CCDラインセンサカメラ3は、1次元CCD撮像素子3a(図2参照)を搭載したスチルカメラである。CCDラインセンサカメラ3は、所定の画角で被検査物100を撮影可能であり、その撮影方向は、被検査物100の法線に対して角度θとなるように配置されている。角度θは、特に限定はないが、あまりに大きくなると被検査物の撮影画像が歪むため、おおむね45°程度にすることが好ましい。本実施形態のCCDラインセンサカメラ3に使用されているCCD撮像素子3aは、カラーCCDである必要はなく、カラーフィルタが設けられていないものが使用されている。
【0039】
本実施形態にかかる1次元CCD3a(以下、端にCCDという場合がある。)は、撮像制御部10からの制御により、スキャンレートが変更可能に構成されている。すなわち、被検査物から発せられた光の露光による電荷の蓄積と1次元CCD3aの各セルに蓄積された電荷の転送までに要する時間を変更することができる。なお、スキャンレートが変更になった場合でも、光の露光時間は一定であることが好ましい。ただし、画像全体の明度の調整などを行なうために、特定の光源に対する撮像処理では、他の光源との比較において、露光時間を調整してもよい。
【0040】
搬送装置2は、被検査物をCCDラインセンサカメラ3の1次元CCD3aのセル列に対して直交する方向に移動させるものであり、例えばベルトコンベアなどが挙げられる。CCDラインセンサカメラ3による撮像を行なっている間に、搬送装置2により被検査物100が移動することで、CCDラインセンサカメラ3の撮像領域が逐次変更され、結果的に被検査物の平面画像を撮像することができる。
【0041】
搬送装置2は、図2に示すように、撮像制御部10によってその搬送速度を変更可能に構成されており、後述のように制御演算部8からの制御により所定の搬送速度に変更可能に構成されている。
【0042】
第1から第4のLED照明装置4,5,6,7は、被検査物100の搬送方向に対して直交するように設けられる線状光源であり、照明制御部9によって点灯のタイミングが制御されている。第1から第4のLED照明装置4,5,6,7から照射される光は、単一波長のものでもよいし、白色光であってもよい。また、照明装置ごとに波長帯異なるものが用いられていてもよい。LED照明を用いることで、点灯消灯の応答性がよく、また、ごく短時間の点灯消灯の切り替えをすることができる。また、発光に指向性を強く持たせており、一定方向に向けてスポット的に光を照射することができる。
【0043】
第1のLED照明装置4は、図1に示すように、照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ3に正反射光として入力されるように配置される。被検査物100に対する光の入射角θは、カメラの撮影方向と同じに構成されている。
【0044】
第2のLED照明装置5及び第3のLED照明装置6は、図1に示すように共に照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ3に拡散反射光として入力されるように配置される。被検査物100に対する光の入射角は、第2のLED照明装置5の入射角θが第3のLED照明装置6の入射角θよりも小さくなるように配置されており、例えば、入射角θが30〜60°、入射角θが60〜80°程度とすることができる。
【0045】
第4のLED照明装置7は、図1に示すように、照射された光が被検査物100を透過してそのままCCDラインセンサカメラ3に透過光として入力されるように配置される。
【0046】
図3は、第1のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。図3に示すように、被検査物100の表面に到達した第1のLED照明装置4からの入射光は、被検査物100の表面で鏡面反射し、CCDラインセンサカメラ3に到達する。このとき、被検査物100の表面の鏡面の程度にもよるが、通常、正反射光に較べて拡散反射光が少ないので、図3(a)に示すように、正反射光成分51が大きく、カメラに入射されない拡散反射成分52が小さくなる。
【0047】
一方、入射光の到達位置に表面の傷などの異物101があると、図3(b)に示すように、正反射光成分51が少なくなり、一方で、拡散反射光成分52が大きくなる。したがって、結果的に、第1のLED照明装置4によって照射された被検査物100は、異物などが存在しない領域に対して異物101が存在する部分が暗くなるように撮像される。
【0048】
図4は、第2及び第3のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。図4に示すように、被検査物100の表面に到達した第2及び第3のLED照明装置5,6からの入射光は、被検査物100の表面で鏡面反射し、CCDラインセンサカメラ3に到達する。このとき、被検査物100の表面の鏡面の程度及び入射角度にもよるが、通常、正反射光に較べて拡散反射光が少なくなり、図4(a)に示すように、カメラに入射されない正反射光成分51が大きく、カメラに入射される拡散反射成分52が小さくなる。
【0049】
一方、入射光の到達位置に表面の傷などの異物101があると、図4(b)に示すように、異物101によって反射角度が変化することになるため、正反射光成分51が少なくなり、一方で、拡散反射光成分52が大きくなる。したがって、結果的に、第2及び第3のLED照明装置5によって照射された被検査物100は、異物などが存在しない領域に対して異物101が存在する部分が明るくなるように撮像される。
【0050】
なお、異物101が存在する部分の撮像の明るさの程度は、入射光の入射角度及び表面の傷等の異物の状態によって変化する。したがって、CCDラインセンサカメラ3に対して拡散反射光となる光源を2つ設けることで、浅い角度で見えやすい異物と深い角度で見えやすい異物の双方によって検査することができる。
【0051】
図5は、第4のLED照明装置による光の進行方向を示す図であり、(a)は異物がない状態、(b)は異物がある状態を示している。図5に示すように、被検査物100の表面に到達した第1のLED照明装置4からの入射光は、被検査物100を透過し、CCDラインセンサカメラ3に到達する。
【0052】
このとき、被検査物100の透明度及び屈折率によって透過光と反射光との成分比が異なるが、図3(b)に示すように、入射光の到達位置に表面の傷などの異物101があると、当該異物で光が反射拡散するため、透過光成分53が少なくなり、一方で、反射光成分52が大きくなる。したがって、結果的に、第4のLED照明装置7によって照射された被検査物100は、異物100などが存在しない領域に対して異物101が存在する部分が暗くなるように撮像される。
【0053】
次に本実施形態にかかる光学検査装置の動作について説明する。図6は、本実施形態にかかる光学検査装置の動作フローを示す図である。
【0054】
本実施形態にかかる光学検査装置は、図6に示すように、まず、被検査物100を時分割で撮像し(#1)、撮像した画像データを集積してそれぞれの集積画像データを作成し(#2)、それぞれの集積画像データを合成し、合成画像データを作成し(#3)、合成画像データに基づいて、異物の混入や表面の傷などの判定処理(#4)を行なう。
【0055】
本実施形態にかかる光学検査装置は、図7に示すように、単一のCCDラインセンサカメラ3を用い、搬送装置2によって被検査物100をCCDラインセンサカメラ3のCCD3aに対して移動させる構造となっている。
【0056】
また、被検査物100の移動中のある撮影領域102を撮像するタイミングにおいて、LED照明装置4,5,6,7の点灯のタイミングをずらすことで、それぞれ光学特性が異なった画像を時分割で撮像することができ、それぞれの画像の撮影角度及び画像中の被検査物の大きさが画素レベルで完全に同一の画像を得ることができる。したがって、画像の画素と被検査物の特定領域の対応関係が画像間で完全に一致した複数の画像を用いて合成画像を作成するため、簡単かつ高精度に画像の合成処理を行なうことができる。なお、以下の説明では、LED照明装置4,5,6,7の点灯を4つの照明装置すべてについて行なっているが、例えば、利用者からの撮影条件の設定により、任意の2つ以上の照明装置を切り替えるようにしてもよい。
【0057】
また、CCDラインセンサカメラ3に入射する光の反射特性及び透過特性が異なるようにLED照明装置4,5,6,7の位置を設定していることにより、入射方向の異なる光によって異なる見え方の画像を得ることができ、作成される合成画像に被検査物の特徴をより鮮明に表わすことができる。
【0058】
図8は、図7に示す時分割撮像動作のサブフローチャートである。図9は、時分割撮像動作中のLED照明装置と一次元CCD3aのデータ転送のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0059】
時分割撮像処理動作においては、まず、搬送装置により被検査物100の搬送を開始する(#101)。時分割撮像処理の動作中は、搬送装置2によって被検査物100を移動させながらCCDラインセンサカメラ3で撮影することで被検査物100の2次元画像データを撮像することができる。
【0060】
被検査物100全体をCCDラインセンサカメラ3で撮像する場合、実際には搬送装置2が連続的に動作しているため、被検査物100の撮像領域が漸次変化するが、本実施形態では理解のため、仮想的にその撮像領域を列に分割し、当該列ごとに撮像動作が行なわれるものとして説明する。
【0061】
被検査物100がCCDラインセンサカメラ3の撮像領域に搬送された瞬間から1列目の撮像が開始する(#102)。1列目の撮像が行なわれる期間中は、4つのLED照明装置4,5,6,7が順次点灯し、LED照明装置4,5,6,7の点灯のタイミングとCCDラインセンサカメラ3中のCCD3aのデータ転送が同期して、それぞれの動作が4回行なわれる。これにより、1列あたりLED照明装置4,5,6,7の照射に応じた撮像データを得ることができる。
【0062】
具体的には、n列目(初期値1〜最大値nmax)の撮像(#102)の期間中にm番目(初期値1〜最大値mmax)のLED照明装置が点灯する(#103)。本実施形態ではLED照明装置は4つ設けられており、1列あたりの撮像回数が4回であれば、1から4番目のLED照明装置は、それぞれ1から4番目の照明装置に相当する。
【0063】
m番目のLED照明装置が点灯することにより、CCDラインセンサカメラ3のCCD3aが露光し、所定の電荷蓄積時間が経過するとデータ転送を行なう(#104)。データ転送が終了したタイミングでm番目のLED照明装置を消灯させ(#105)、m+1番目のLED照明装置を点灯させる(#107)。
【0064】
この動作を図9のタイミングチャートを用いてより具体的に説明する。上記の通り、搬送装置の搬送速度は一定で、被検査物100は連続的に移動しているため、微少時間でも経過すると撮像領域102は順次変化する。この撮像領域102の変化量がCCD3aの1画素分の撮像範囲を超えないうちに、4回のCCD3aからのデータ転送を行なう。
【0065】
例えば、あるタイミングtで特定の撮像領域を撮像したものとする。なお、tはどのようなタイミングでもよいが、理解の容易のため、第4LED照明装置7が消灯したタイミングとする。
【0066】
で第1LED照明装置4が点灯を開始する。これにより、CCD3aが露光され、CCD3aに電荷が蓄積される。所定時間が経過すると露光が終了し、受光した光量に応じた情報がCCDからデータ転送される(t)。そのタイミングで、第1LED照明装置4が消灯し、第2LED照明装置5が点灯する。
【0067】
以下、同様にtで2回目のデータ転送、tで3回目のデータ転送、tで4回目のデータ転送が完了する。なお、各LED照明装置の点灯切り替えのタイミングをCCDのデータ転送の終了時にしているのは、LED照明装置の応答性を考慮したものであり、複数の照明が点灯した状態でそれぞれの撮像期間(t〜t、t〜t、t〜t、t〜t)中に露光が行なわれないようにしたものである。すなわち、LED照明装置の消灯はデータ転送の開始時、LED照明装置の消灯はデータ転送の終了時とすることで、2重露光の問題を解消することができる。
【0068】
以上のように、4つのLED照明装置の切り替え及びCCDのデータ転送のタイミングによって、搬送装置の搬送速度を制御することができる。すなわち、例えば、点灯させるLED照明装置を少なくしたり、CCDのスキャンレートを短くすれば、1つの列に対して必要なデータ転送を完了させるまでの時間を短くすることができるため、被検査物の搬送速度を早くすることができる。
【0069】
一方、点灯させるLED照明装置を少なくした場合であっても、搬送速度を一定に保ち、1つの列に対してそれぞれの照明装置の切り替えを複数回ずつ行ない、照明装置ごとのデータ転送を複数回にわたって確保するようにしてもよい。
【0070】
すなわち、点灯させるLED照明の数と同数又は好ましくは整数倍の回数のデータ転送が1つの列に対して行なわれるように搬送速度を制御すればよく、このデータ転送を確保可能な搬送速度に搬送装置2を制御することができる。
【0071】
上記の動作をmmax番目のLED照明装置まで行なうことで、n列目の撮像が終了する。その後、mを初期値1にリセット(#109)し、n+1列目の撮像動作を繰り返し(#110)、最終列であるnmax列目まで同様の処理を行なう。なお、最終列であるnmax列目は、必ずしも被検査物の搬送方向終端の撮像領域を意味するものではなく、被検査物の特定領域であってもよい。例えば、長尺物のフィルムなど、例えば、特定の長さに区切って撮像を行ない、当該区切られた領域ごとに時分割撮像処理を終了させるようにしてもよい。
【0072】
max列目の撮像が終了すると時分割撮像処理が終了し、集積画像データ作成処理を行なう(#2)。集積画像データの作成は、画像処理部11がその処理を司る。図10に示すように、時分割撮像処理では、k番目、k番目などの1つの画素の撮像に4つの画像データが出力される。また、被検査物100を撮像するために複数列の撮像処理が行なわれ、それぞれが4つに時分割されたデータ転送を行なうため、各列の同じタイミングの画像を抜き出して集積することにより、集積画像データを作成する。
【0073】
具体的には、n列目のk番目の画素(Dn1kと表記する)からの出力には、1から4番の照明に対応する転送データ(Dn1k1-1、Dn1k1-2、Dn1k1-3、Dn1k1-4)が蓄積されている。このように、すべての画素について、照明に対応するデータが存在するため、これらの情報を各照明に応じた画素データとして集積し、集積画像データを作成する。
【0074】
このようにして作成された集積画像データは、各照明の光学特性に応じた画像となっている。例えば、第1のLED照明装置4に対応する画像は、上記のように、正反射光によって露光された画像データであるため、被検査物表面が平滑である場合は、正常な部分が明るく、異物などにより光の反射が妨げられた部分が暗くなるような画像となる。
【0075】
また、第2及び第3のLED照明装置5,6に対応する画像は、拡散反射光によって露光された画像データであるため、被検査物表面が平滑である場合は、正常な部分が暗く、異物などにより光の正反射が妨げられた部分が明るくなるような画像となる。また、浅い角度からの光によれば比較的細かい表面の傷などについても視認しやすくなるなど、光の入射角度が異なることで画像上の特徴が生じる
【0076】
第4のLED照明装置7に対応する画像は、透過光によって露光された画像データであるため、被検査物の正常な部分が明るく、異物などにより光の透過が妨げられた部分が暗くなるような画像となる。
【0077】
次に複数の集積画像データを用いて合成画像データを作成する(#3)。合成画像データの作成は、画像合成部12がその処理を司る。合成画像データを作成するための集積画像データは任意のものを使用することができるが、異物が存在する部分の撮像結果が相反する2つの集積画像データに基づいて作成することができる。例えば、第1の照明による集積画像データと、第2又は第3の照明による集積画像とを比較して合成画像データとすることができる。
【0078】
作成する合成画像データの数は特に制限されるものではなく、必要に応じて複数作成してもよいし、また、一次的に作成された第1次合成画像データ同士あるいは第1次合成画像データと集積画像データを用いて第2次合成画像データを作成してもよい。
【0079】
合成画像データの作成においては、対比する2つの集積画像データのそれぞれ対応する各画素の数値(例えば明度)の差分を算出し、当該各画素の差分量に応じた画像を作成することができる。
【0080】
図11に第1集積画像データと第2集積画像データとを用いて作成する合成画像データの作成の処理の模式図を示す。上記のように、第1集積画像データと第2集積画像データは、異物が存在する部分の撮像結果が相反するものであり、図11の例では、n列K番の画素に該当する部分に異物が撮像されているものとする。上記の通り、第1集積画像データでは、異物が存在する当該画素の明度は他の部分より低く、第2集積画像データでは、異物が存在する当該画素の明度は他の部分より高くなる。
【0081】
したがって、各画素の対応する明度の差分を取ると異物が撮像されている部分の画素の明度の幅が増幅され、周囲の正常な部分との際が際だつこととなる。
【0082】
例えば、図11の例では、第1集積画像データと第2集積画像データとの正常な部分の明度の値は同じで、異物が撮像されている部分の明度がそれぞれ25ずつ変化しているものとすると、差分を取ることで差分値が50となり、周囲の値よりも当該画素の値が顕著になる。
【0083】
上記のように合成画像データの作成に用いる集積画像データの組み合わせ及び作成する合成画像データの数は、特に制限されるものではなく、検査する被検査物100の性状に応じて適宜自由に選択することができる。このように合成画像データを作成することで、被検査物の性状により適応した画像の作成ができ、後述の判定処理における判定を確実にすることができる。
【0084】
このようにして作成された合成画像データの例を図12に示す。図12の例では、作成に利用した集積画像70,71のうち、正常な部分72に対して異物73が撮像されている欠陥部分の明度が相反するものとなっている。また、それぞれの集積画像70,71では十分に視認できない程度の低いコントラストの欠陥が、差分を取ることにより作成される合成画像80では、より明確に視認できるようになる。
【0085】
その後、合成画像に基づいて、画像判定部13が判定処理を行なう。
【0086】
本実施形態にかかる光学検査装置によれば、単一のカメラを用いて異なる光学特性の光を照射された被検査物を一度の搬送で画素レベルの精細度を持って時分割撮像するため、異なる光学特性を有する複数の画像データの画角及び撮像領域を画素レベルで同じにできる。したがって、合成画像の作成が容易であり、それぞれの画像では十分に判別できないような細かな傷を検査することができる。
【0087】
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態にかかる光学検査装置の光学系の例を示す模式図である。図14は、第2実施形態にかかる光学検査装置の機能ブロック図である。
【0088】
本実施形態にかかる光学検査装置20は、搬送装置2によって搬送される被検査物100の搬送経路の途中に配置されたCCDラインセンサカメラ23によって被検査物を撮像し、撮像された画像データに基づいて被検査物100の傷や異物混入などを判断するための装置である。
【0089】
第2実施形態にかかる光学検査装置20は、おおむね第2実施形態にかかる光学検査装置1と処理内容については共通するが、設置されている光学系が異なる。以下、異なる光学系について中心に説明する。
【0090】
CCDラインセンサカメラ23による被検査物100の撮影用照明として、第1LED照明装置24及び第2LED照明装置25が設けられている。
【0091】
第1LED照明装置24及び第2LED照明装置25は、被検査物に到達してCCDラインセンサカメラ23に入射する光の光学特性を異ならせるために、照射する光の射出方向が異なるように配置されている。また、第2LED照明装置25は、異なる波長域をピークとする3つの波長の光を照射することができるように構成されている。
【0092】
図13に示す光学系について詳細に説明する。CCDラインセンサカメラ23は、1次元CCD撮像素子3a(図14参照)を搭載したスチルカメラである。CCDラインセンサカメラ3は、所定の画角で被検査物100を撮影可能であり、その撮影方向は、被検査物100の法線に対して角度θとなるように配置されている。本実施形態のCCDラインセンサカメラ3に使用されているCCD撮像素子3aは、カラーCCDである必要はなく、カラーフィルタが設けられていないものが使用されている。
【0093】
第1LED照明装置24及び第2LED照明装置25は、被検査物100の搬送方向に対して直交するように設けられる線状光源であり、照明制御部9によって点灯のタイミングが制御されている。第1LED照明装置24から照射される光は、白色光が用いられている。第2LED照明装置25から照射される光は、上記の通り、異なる3つの波長域をピークとする光であり、照明制御部9による制御によって、それぞれの波長の光を切り替えて照射することができるようになっている。
【0094】
第1LED照明装置24は、図13に示すように、照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ23に正反射光として入力されるように配置される。被検査物100に対する光の入射角θは、カメラの撮影方向と同じに構成されている。
【0095】
第2LED照明装置25は、図13に示すように共に照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ3に拡散反射光として入力されるように配置される。第2LED照明装置25の入射角θは、例えば、30〜60°程度とすることができる。
【0096】
次に本実施形態にかかる光学検査装置の動作について説明する。第2実施形態にかかる光学検査装置の動作は、光を照射するLED照明装置の切り替えが異なるだけで、他の処理動作はおおむね第1実施形態にかかる光学検査装置の動作と共通である。
【0097】
このように第2LED照明装置25から3つの波長域の光を照射することで、例えば、壁紙などカラー印刷物の印刷の欠陥を判定することができる。
【0098】
例えば、第1LED照明装置24の白色光で撮像された集積画像データが、全体の印刷の状態を示し、第2LED照明装置25のそれぞれの単色光で撮像された集積画像データが、カラー印刷のそれぞれの原色成分の印刷の欠陥を示すことができる。
【0099】
また、合成画像データは、第1LED照明装置24の白色光で撮像された集積画像データと第2LED照明装置25のそれぞれの単色光で撮像された集積画像データとを用いて作成することにより、当該原色成分の印刷の欠陥を高コントラストで表現することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図15は、本発明の第3実施形態にかかる光学検査装置の光学系の例を示す図である。本実施形態は、例えば、飲料水を入れるためのボトル130の口金部分のネジ部分131の形状欠陥を測定するための検査装置である。
【0101】
本実施形態にかかる光学検査装置30は、ボトル130を矢印91に示すように回転させるための回転テーブル32を備えており、矢印90に示すように回転する。ボトルの口金部分131に対向して、CCDラインセンサカメラ33が設けられている。
【0102】
CCDラインセンサカメラ33は、内蔵されている一次元CCD33aがボトルの高さ方向に沿うような向きに配置されている。回転テーブル32を回転させながらCCDラインセンサカメラ33で撮像することにより、ボトル130の口金部分を平面に展開したような画像が撮像される。
【0103】
CCDラインセンサカメラ33による被検査物130の撮影用照明として、第1LED照明装置34と第2LED照明装置35が設けられている。
【0104】
第1LED照明装置34と第2LED照明装置35は、被検査物130に到達してCCDラインセンサカメラ33に入射する光の光学特性を異ならせるために、照射する光の射出方向が異なるように配置されている。
【0105】
第1LED照明装置34と第2LED照明装置35は、ボトルの口金部分131のねじ山の傾斜面に対して略垂直方向に白色光を照射するように配置される。すなわち、第1LED照明装置34はボトル130の上方向から、第2LED照明装置35はボトル130の下方向からそれぞれ光を照射する。
【0106】
第1LED照明装置34からの光は、ねじ山の上側斜面で反射し、CCDラインセンサカメラ33に対して例えば正反射光として入力すると供に、ねじ山の下側斜面に対しては入射角がきわめて浅い拡散反射光としてCCDラインセンサカメラ33に到達する。
【0107】
一方、第2LED照明装置35からの光は、ねじ山の下側斜面で反射し、CCDラインセンサカメラ33に対して例えば正反射光として入力すると供に、ねじ山の上側斜面に対しては入射角がきわめて浅い拡散反射光としてCCDラインセンサカメラ33に到達する。
【0108】
このように光学特性が異なる2つの照明によってそれぞれ照射された被検査物であるボトル130の口金部分の画像を撮像し、当該撮像画増を用いて欠陥を判定するために、第1実施形態と同様の処理動作を行なう。
【0109】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、
【0110】
各実施形態において設けられているLED照明装置の位置及び光の照射方向及び設置数などは一例としてのものであり、さらに照明装置を追加してもよい。
【0111】
また、いずれの実施形態においても、搬送装置により被検査物を移動させる構成であるが、光学系全体を被検査物に対して動かすように構成することもできる。
【0112】
また、上記実施形態では、いずれもCCDのデータ転送速度(スキャンレート)は一定であり、点灯させるLED照明の数に応じて搬送速度を制御しているが、CCDのデータスキャンレートを変更するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1,20,30 光学検査装置
2,32 搬送装置
3,23,33 CCDラインセンサカメラ
3a,33a 1次元CCD
4,24,34 第1LED照明装置
5,25,35 第2LED照明装置
6 第3LED照明装置
7 第4LED照明装置
8 制御演算部
9 照明制御部
10 撮像制御部
11 画像処理部
12 画像合成部
13 画像判定部
100 被検査物
101 異物
102 撮影領域
130 ボトル
131 口金部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を撮像する単一のリニア撮像素子と、
被検査物とリニア撮像素子との位置を相対的に移動させ、被検査物上のリニア撮像素子の撮像領域を変更する搬送装置と、
前記被検査物に到達して前記リニア撮像素子に入射する光の光学特性が異なるように構成された複数の照明装置と、
前記搬送装置により搬送される被検査物の所定の領域が前記リニア撮像素子の撮像領域内にある時間内に、前記リニア撮像素子から複数回のデータ転送が可能となるように、前記搬送装置の搬送速度又は前記リニア撮像素子の転送速度を制御する撮像制御部と、
前記複数の照明装置の点灯のタイミングを前記撮像制御部により制御された前記リニア撮像素子の転送回ごとに変更するように制御する照明制御部と、
前記リニア撮像素子から転送された画像データを前記同じ照明装置が点灯した画像データごとに集積して集積画像データを作成する画像処理部と、
前記画像処理部により作成された集積画像データを合成し、合成画像データを作成する画像合成部と、を備えることを特徴とする、撮像光学検査装置。
【請求項2】
前記複数の照明装置は、リニア撮像素子に入射する光の反射特性及び透過特性が異なるように前記被検査物への入射角度が異なることを特徴とする、請求項1に記載の撮像光学検査装置。
【請求項3】
前記複数の照明装置は、リニア撮像素子に入射する光が、前記被検査物に対して、それぞれ正反射光、拡散反射光、透過光となるように配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の撮像光学検査装置。
【請求項4】
前記複数の照明装置のうち、拡散反射光となるように設けられている照明装置は、前記被検査物に対する入射角が異なる2つの照明装置を備えることを特徴とする、請求項3に記載の撮像光学検査装置。
【請求項5】
前記複数の照明装置は、射出する光の波長が異なることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の撮像光学検査装置。
【請求項6】
前記射出する光の波長が異なる照明装置は、被検査物に対する入射角が同じになるように構成されている請求項5に記載の撮像光学検査装置。
【請求項7】
前記撮像制御部は、点灯させる前記複数の照明装置の設置数と同数又は設置数の整数倍のデータ転送を可能とするように前記搬送装置の搬送速度又は前記リニア撮像素子の転送速度を制御することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の撮像光学検査装置。
【請求項8】
前記画像合成部は、対比する2つの集積画像データのそれぞれ対応する各画素の数値の差分を算出し、当該各画素の差分量に応じた画像を合成画像データとして作成することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の撮像光学検査装置。
【請求項9】
前記画像合成部は、異物が存在する部分の撮像結果が相反する2つの集積画像データに基づいて合成画像データを作成することを特徴とする、請求項8に記載の撮像光学検査装置。
【請求項10】
前記複数の照明装置は、発光ダイオード照明装置であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の撮像光学検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−42297(P2012−42297A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182812(P2010−182812)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】