説明

撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システム

【課題】全方位撮像画面の撮像エリアの外周での映像の分解能が粗い場合でも、鮮明な画像を得られる撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムを提供する。
【解決手段】全方位撮像画面監視システムSは、全方位を動画として撮像可能な固定された第1の撮像手段10と、動画として撮像可能な固定された第2の撮像手段20と、第1の撮像手段10と第2の撮像手段20で撮像した動画を録画する記録手段30と、記録手段30を制御する制御手段40と、第1の撮像手段10、第2の撮像手段20、記録手段30からの撮像を表示する表示手段50と、を備え、第2の撮像手段20は、第1の撮像手段10の撮像領域の外周を撮像する位置に配置されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムに係り、特に、全方位撮像可能カメラの全方位映像に対して分割およびパノラマ展開表示をリアルタイムで実現する撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、幅広い監視対象領域の全てを漏れなく監視することのできる簡易な構成の監視システムとして、魚眼レンズを備えて監視対象領域の全体を一括して等角度撮像する全方位撮像可能カメラを用いた技術が提案されている(特許文献1)。
また、全方位の画像を記録として残しながら記録データ量を抑えた監視カメラ装置が提案されている(特許文献2)。
【0003】
特許文献1の技術は、魚眼レンズを介して得られる全方位画像をそのまま録画装置に記録しておき、その記録画像に対してその記録時刻と注目すべき監視領域とを指定することで前記全方位画像から指定された方位の平面視展開した監視画像を得るようにしたものであり、これによって時間的に遡って、換言すれば過去に遡って監視領域に対するパン・チルト効果を得るようにし、監視対象領域の全体に対する監視の漏れを防ぎながら任意の注目点の監視画像を適格に得るようにしたものである。
【0004】
特許文献2の技術は、全方位の画像を撮影可能な広角レンズまたは凸面ミラーを使用した撮像手段と、該撮像手段で撮影した全方位画像を時系列に連続する静止画像として圧縮データで記録する記録手段と、前記全方位画像を非線形な解像度変換処理により通常画角の画像に変換する画像変換手段と、を備えた全方位監視カメラ装置であって、前記画像変換手段は撮影時には前記撮影手段で撮影された全方位画像を入力され、再生時には前記記録手段に記録された圧縮データより展開された全方位画像を入力されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−286820号公報(段落0007、図1〜3参照)
【特許文献2】特開2005−303340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記各技術においては、全方位撮像画面の撮像エリアの外周での映像の分解能が粗い場合については、明確な解決手段が存在しないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、全方位撮像画面の撮像エリアの外周での映像の分解能が粗い場合でも、鮮明な画像を得られる撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の全方位撮像画面監視システムによれば、少なくとも一つの全方位を動画として撮像可能に固定された第1の撮像手段と、少なくとも一つの動画として撮像可能に固定された第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段と前記第2の撮像手段で撮像した動画を録画する記録手段と、該記録手段を制御する制御手段と、前記第1の撮像手段、前記第2の撮像手段、前記記録手段からの撮像を表示する表示手段と、を備え、前記第2の撮像手段は、前記第1の撮像手段の撮像領域の外周を撮像する位置に配置されたこと、により解決される。
このように構成することにより、第1の撮像手段では撮像範囲の中央と端面(撮像エリアの外周)では映像の分解能に粗密が出るため、端面の映像を第2の撮像手段で追加撮像することが可能となり、同一時間軸で第1の撮像手段で全方位撮像可能であり、この第1の撮像手段における撮像範囲端面の粗の部分を第2の撮像手段で補い、鮮明な画像を提供することが可能となる。
また第1の撮像手段、第2の撮像手段、記録手段からの撮像を表示する表示手段を備えているので、第1の撮像手段、第2の撮像手段からのライブ映像、記録手段からの録画映像、および制御手段によって、録画済み画像ファイルの再生表示を行うことが可能となる。
【0009】
前記第2の撮像手段は、オートズームカメラからなると好適である。これにより、部分的にその部分をオートフォーカスによりズームアップし、映像の変化や人物の特徴などをより鮮明に撮像可能な構成になる。
【0010】
少なくとも前記第1の撮像手段は、撮像手段設置用ハウジングによって固定され、前記撮像手段設置用ハウジングは、内部に、撮像手段取り付け金具が配設され、撮像手段取り付け金具は前記撮像手段の取り付け角度を自由に設定可能であると共に、撮像軸の上下方向にスライド可能に構成され、これによって前記撮像手段は、取り付け位置を自由に設定可能とすると好適である。このように構成することにより、外乱光の影響を極力少なくすることが可能となる。
【0011】
前記課題は、本発明の撮像監視画面によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の全方位撮像画面監視システムに用いられる撮像監視画面であって、該撮像監視画面は、前記第1の撮像手段、前記第2の撮像手段、前記記録手段からの撮像を表示する前記表示手段で表示されるものであり、前記表示手段には、撮像表示領域と操作領域とを備え、前記撮像表示領域は、前記第1の撮像手段で撮像された映像の表示領域と、前記第1の撮像手段の撮像領域の外周を撮像する前記第2の撮像手段で撮像された映像の表示領域とを隣接して表示してなること、により解決される。
【0012】
このように構成すると、撮像監視画面において、同一時間軸で第1の撮像手段の撮像範囲端面の粗の部分を補い、鮮明な画像を提供する事が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
全方位撮像可能な、第1の撮像手段の映像の分解能に粗密があっても、粗い映像を第2の撮像手段で追加撮像することが可能となり、同一時間軸で第1の撮像手段における撮像範囲端面の粗の部分を第2の撮像手段で補い、鮮明な画像を提供することが可能となる。
第1の撮像手段、第2の撮像手段からのライブ映像、記録手段からの録画映像、および制御手段によって、録画済み画像ファイルの再生表示を行うことが可能となる。また、撮像手段が少ないので、取り付け箇所が少なくなると同時に、コストの低減が可能となる。
部分的にその部分をオートフォーカスによりズームアップし、映像の変化や人物の特徴などをより鮮明に撮像可能な構成になる。
さらに、撮像手段取り付け金具を用いているので、外乱光の影響を極力少なくすることが可能となる。
また撮像監視画面において、同一時間軸で第1の撮像手段の撮像範囲端面の粗の部分を補い、鮮明な画像を提供する事が可能となる。
以上のように、従来型の全方位撮像画面監視システムでは実現できなかった、近くのものと遠くのものを同時に表示ができるなど、広範囲なオフィス内を全方向で捉えることで「見えない部分」が圧倒的に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る全方位撮像画面監視システムの基本構成説明図である。
【図2】撮像手段設置用ハウジングの外観図である。
【図3】第1の撮像手段の取り付け形式の説明図である。
【図4】カメラハウジングを分割した状態の図である。
【図5】第1の撮像手段の取り付け金具の説明図である。
【図6】撮像手段設置用ハウジングの変更例を示す図である。
【図7】変更例のカメラハウジングを分割した状態の図である。
【図8】変更例の取り付け金具の説明図である。
【図9】全方位撮像可能カメラの設置形式を示す図である。
【図10】撮像監視画面の撮像表示領域と操作領域の説明図である。
【図11】映像セット設定画面の説明図である。
【図12A】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その1)。
【図12B】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その2)。
【図12C】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その3)。
【図12D】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その4)。
【図12E】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その5)。
【図12F】撮像表示領域に表示される映像の説明図である(その6)。
【図13】撮像表示領域の分割モードに関する図である。
【図14】撮像監視画面に撮像手段の映像を表示する手順を示す図である。
【図15】撮像表示領域に表示される映像の一例を示す図である。
【図16】第1の撮像手段の映像と第2の撮像手段の映像とを重ね合わせる処理の説明図である。
【図17】撮像表示領域に表示される映像の変形例を示す図である。
【図18】変形例に係る全方位撮像画面監視システムの基本構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1乃至図17は、本発明に係るもので、図1は本発明に係る全方位撮像画面監視システムの基本構成説明図、図2は撮像手段設置用ハウジングの外観図、図3は第1の撮像手段の取り付け形式の説明図、図4はカメラハウジングを分割した状態の図、図5は第1の撮像手段の取り付け金具の説明図、図6は撮像手段設置用ハウジングの変更例を示す図、図7は変更例のカメラハウジングを分割した状態の図、図8は変更例の取り付け金具の説明図、図9は(A)及び(B)ともに全方位撮像可能カメラの設置形式を示す図、図10は撮像監視画面の撮像表示領域と操作領域の説明図、図11は映像セット設定画面の説明図、図12A〜図12Fは撮像表示領域に表示される映像の説明図、図13は撮像表示領域の分割モードに関する図、図14は撮像監視画面に撮像手段の映像を表示する手順を示す図、図15は撮像表示領域に表示される映像の一例を示す図、図16は第1の撮像手段の映像と第2の撮像手段の映像とを重ね合わせる処理の説明図、図17は撮像表示領域に表示される映像の変形例を示す図、図18は変形例に係る全方位撮像画面監視システムの基本構成説明図である。
【0016】
<<本実施形態の全方位撮像画面監視システムの構成>>
先ず、図1〜図15を参照しながら、本実施形態の全方位撮像画面監視システムSの概略構成について説明する。本実施形態の全方位撮像画面監視システムSは、図1に示すように、第1の撮像手段10と、第2の撮像手段20と、記録手段30と、制御手段40と、表示手段50と、を主要構成要素として備えている。以下、これらの手段について個別に説明する。
【0017】
<第1の撮像手段>
本実施形態の第1の撮像手段10は、全方位を動画として撮像可能な固定されたカメラを用いている。この第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラは広角レンズ(あるいは魚眼レンズ)または凸面鏡を備え水平方向360°/垂直方向180°程度の画角をもつ撮像手段である。そして、天井や壁面に固定された全方位撮像可能カメラによって、全方位(例えば水平方向360°、垂直方向180°)の状況、全方位の画像を広角撮影画像として撮影する。特に、本実施形態の全方位撮像画面監視システムSでは、第1の撮像手段10として、全方位レンズをマウントしたメガピクセルIPカメラを採用しており、これにより、死角の無い映像監視を可能とする。
【0018】
第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラは、例えば図2に示された外観を有する略樽状のカメラハウジング11に収納された状態で、ドーム状の透明カバー12越しに撮像を行う。カメラハウジング11は、撮像手段設置用ハウジングであり、図2に図示されたものは、屋外用のものである。また、カメラハウジング11は、固定フレーム15を介して天井や壁に固定され、図3では、天井に固定された態様を図示している。
【0019】
以下では、高さ方向が上下方向(鉛直方向)と一致するように天井に固定されたカメラハウジング11を例に挙げて説明する。なお、全方位撮像可能カメラを天井に設置する際、天井高が2.6mである場合には、全方位撮像可能カメラを中心に直径10mとする円状の範囲が推奨撮影範囲であり、天井高が5mである場合には、直径20mとする円状の範囲が推奨撮影範囲である。
【0020】
図2に図示されたカメラハウジング11は、図4に示すように、その高さ方向において、下側部13(透明カバー12が設けられている側)と上側部14とに分割可能である。また、上側部14には、図5に示す撮像手段取り付け金具17a,17bを介して全方位撮像カメラが取り付けられる取り付けテーブル16が配設されている。撮像手段取り付け金具17a,17bは、図5に示すように、一対設けられ、各々は略L字状の断面形状となっている。そして、一対の撮像手段取り付け金具17a,17bは、その間に全方位撮像可能カメラを挟み込んで支持する。
【0021】
ここで、撮像手段取り付け金具17a,17bに対する全方位撮像可能カメラの取り付けは、例えばボルトナットによって行われるが、取り付けの際、撮像手段取り付け金具17a,17bに対して全方位撮像カメラの取り付け角度(ボルトを軸として回動させた際の回動角度)を調整することが可能である。
【0022】
すなわち、取り付け作業の際、撮像手段取り付け金具17a,17bに対して全方位撮像可能カメラを傾け、全方位撮像可能カメラが所望の角度に傾いた状態で、ボルトナットにより撮像手段取り付け金具17a,17bに対して全方位撮像可能カメラを締結する。このように、本実施形態では、撮像手段設置用ハウジングの内部に、撮像手段取り付け金具17a,17bが配設され、撮像手段取り付け金具17a,17bによって、第1の撮像手段の取り付け角度を自由に設定できるように構成されている。
【0023】
さらに、本実施形態では、撮像手段取り付け金具17a,17bに対する全方位撮像可能カメラの取り付け位置が、カメラハウジング11の高さ方向(図5中、矢印にて示す方向)において調整可能となっている。すなわち、取り付け作業の際、撮像手段取り付け金具17a,17bの間に挟まれた全方位撮像可能カメラを、上記の高さ方向に沿って所望の位置までスライド移動させてから、当該位置にて全方位撮像可能カメラをボルトナットで固定する。つまり、本実施形態では、撮像軸(撮影工学系の光軸)が上下方向にスライド可能に構成されており、これによって、全方位撮像可能カメラの取り付け位置を自由に設定することが可能となる。
【0024】
以上のように、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラは、カメラハウジング11内に設けられた撮像手段取り付け金具17a,17bによって、取り付け角度および取り付け位置について自由に設定することが可能となっている。すなわち、本実施形態では、全方位撮像可能カメラによる撮像時に外乱光の影響を極力少なくするように、全方位撮像可能カメラの固定方法について工夫している。
【0025】
上記の構成は、屋外用のカメラハウジング11を例に挙げて説明したものであるが、図6に示す屋内用のカメラハウジング111(撮像手段設置用ハウジングの一例)であっても適用可能である。すなわち、屋内用のカメラハウジング111が、図7に示すように分割可能であり、その内部に、図8に図示された撮像手段取り付け金具117a,117bが配置されており、この撮像手段取り付け金具117a,117bにより、全方位撮像可能カメラの取り付け角度および取り付け位置を自由に設定することが可能な構成をすることしてもよい。
【0026】
なお、図6は図2に、図7は図4に、図8は図5にそれぞれ対応しており、屋内用カメラハウジング111の各部(例えば、透明カバー112、下側部113、上側部114、取り付けテーブル116及び撮像手段取り付け金具117a,117b)については、屋外用カメラハウジング11のものと基本的構成が同様であるため、構成に関する説明を省略する。
【0027】
また、上記の構成は、天井に設置するタイプの全方位撮像可能カメラを例に挙げて説明したが、全方位撮像可能カメラの設置については、天井に設置する場合以外にも、図9Aや図9Bに示すように壁や床上、卓上に設置することも可能であり、さらには、天井、壁、床(卓上)内に埋め込むことも可能である。そして、天井に設置する以外の様式であっても、撮像手段設置用ハウジング内に撮像手段取り付け金具を設けて、全方位撮像可能カメラの取り付け角度や取り付け位置を自由に設定可能とすることにより、撮像時に外乱光の影響を受けないようにすることが可能になる。
【0028】
<第2の撮像手段>
本実施形態の第2の撮像手段20は、動画として撮像可能に固定されており、主として、第1の撮像手段10の粗い撮像箇所に向けて固定されるものである。具体的に説明すると、一般に、全方位撮像可能カメラでは、撮像範囲の中央と端面(撮像エリアの外周)では映像の分解能に粗密が出るため、本実施形態では、この粗い部分を第2の撮像手段を用いて補っている。かかる目的のため、第2の撮像手段20は、前記第1の撮像手段10の撮像領域の外周を撮像する位置に配置される。
【0029】
なお、本実施形態では、1台の全方位撮像可能カメラに対して、第2の撮像手段20としての固定カメラが2台設置されている。ただし、固定カメラの台数については、2台に限定されるものではなく、少なくとも1台以上設けられていればよい。
【0030】
前述のように、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラでは、撮像範囲の中央と端面(撮像エリアの外周)では映像の分解能に粗密が出るため、エリア端面の映像を第2の撮像手段20として、固定カメラで追加撮像することにより、同一時間軸で全方位撮像可能カメラ撮像範囲端面の粗の部分を補い、鮮明な画像を提供することができる。
【0031】
また、本実施形態では、第2の撮像手段20たる固定カメラとして、固定型のIPカメラ(TCP/IPの通信プロトコルに準拠したネットワークカメラ)、あるいはパン、チルト及びズーム(pan,tilt,zoom、以下、PTZと呼ぶ)に対応可能なIPカメラを用いることとし、特に、オートズームカメラ(オートズーム機能を有するカメラ)からなると好適である。
【0032】
第2の撮像手段20たる固定カメラとしてオートズームカメラを配置することにより、入口、出口などの映像に設定エリア条件を加え、部分的にその部分をオートフォーカスによりズームアップし、映像の変化や人物の特徴などをより鮮明に撮像可能な構成になる。
【0033】
具体的に説明すると、例えば、ビルのロビーやエントランスを全方位撮像可能カメラで撮像している場合、入口や出口(エレベータや階段、又はカウンター)の映像は撮像エリアの端面(撮像エリアの外周)に位置することになる。かかる位置では、前述したように、映像の分解能が粗くなってしまう。一方で、セキュリティ等の観点では、人が出入りする際、その人物を特定する上で撮像エリア端面に位置する出入口の映像が重要となる。
【0034】
ここで、撮像エリア端面に位置する出入口の映像を固定カメラで追加撮像すれば、同一時間軸で全方位撮像可能カメラ撮像範囲端面の粗の部分、すなわち、出入口において鮮明な画像を提供することができる。さらに、第2の撮像手段20である固定カメラとして、オートズームカメラを配置することにより、固定カメラの撮像エリア領域を拡大することが可能となる。
【0035】
つまり、固定カメラとしてオートズームカメラを用いれば、入口や出口等、特定の設定エリアをズームアップ条件にセットすることにより、人物の入退出時に、その人物を自動的にズームアップすることが可能であるので、ビルを入退出する人物の特徴について、より鮮明に撮像することが可能となり、もって、ビルの入退出管理が適切に行われるようになる。
【0036】
<記録手段>
本実施形態の記録手段30は、第1の撮像手段10と第2の撮像手段20で撮像した映像(動画)をデータとして記録、保存(すなわち、録画)するものである。本実施形態では、デジタルビデオレコーダ(Degital
video Recorder、以下、DVRと呼ぶ)を用いており、このDVR自体は公知の技術を用いることができる。以下の説明では、ハイブリッド型のDVR(以下、ハイブリッドレコーダ)を記録手段30として用いた構成を例に挙げて説明する。
【0037】
記録手段30は、図1に示すように、POEスイッチングハブ60(ネットワークの中継機器であるハブの一種)を介して、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラ、及び第2の撮像手段20である固定カメラと接続されている。また、前述したように、本実施形態では、第1の全方位撮像可能カメラと、2台の固定カメラとを1セットしており、本実施形態では、記録手段30としてのハイブリッドレコーダに、最大2セット分、接続することが可能となっている。
【0038】
ここで、ハイブリッドレコーダに接続するセット数を、1セット若しくは2セットにするのかについては、ユーザが自由に設定することが可能であるため、図1では、2セットのうちの1つを破線にて示すこととした(図17についても同様である)。
【0039】
さらに、本実施形態では、ハイブリッドレコーダに録画画面表示モニタ32が接続されており、当該モニタ32にて、ハイブリッドレコーダで録画している録画映像を確認することが可能となっている。
【0040】
<制御手段>
本実施形態の制御手段40は、POEスイッチングハブ60を介して、第1の撮像手段10、第2の撮像手段20及び記録手段30と接続された装置(具体的には、パーソナルコンピュータ(以下、PC))であり、第1の撮像手段10、第2の撮像手段20及び記録手段30を制御する。具体的に説明すると、制御手段60は、第1の撮像手段10及び第2の撮像手段20に映像を撮像させ、その撮像データを記録手段30に記録させたり、第1の撮像手段10及び第2の撮像手段20による撮像データを後述する表示手段50に出力させたり、あるいは、全方位撮像可能カメラやPTZ型IPカメラの映像に対してPTZ制御を実行したりする。
【0041】
また、制御手段40は、全方位撮像可能カメラの撮像データ(ライブ映像と再生映像)を表示手段50に表示させる際に、パノラマ展開表示とすることも可能である。さらに、第2の撮像手段20としてオートズームカメラを採用した場合、制御手段40は、オートズームカメラが撮像する範囲のうち、予め設定された設定エリアをズームアップ条件として、当該設定エリアに人物等が入ってきた場合に、部分的に当該設定エリア部分をオートフォーカスにより自動的に拡大する。
【0042】
以上の制御を行う制御手段40の構成について説明すると、CPU、RAM・ROM・HDD・CD/DVD・BL等の各種記憶装置、マウス等の入力部を備えており、各種記憶装置(例えばROM)に格納したプログラムが読み取られて実行されることにより、上述した制御が行われる。上記のプログラムは、全方位撮像可能カメラによる全方位映像(球面映像)を表示するビュアーソフトであり、以下、全方位カメラアプリケーションという。
【0043】
全方位カメラアプリケーションは、POEスイッチングハブ60を介して制御手段40と接続している全方位撮像可能カメラ、固定カメラ及びハイブリッドレコーダを制御して、各カメラが撮像した映像をデジタルデータとしてハイブリッドレコーダに格納させると共に、ハイブリッドレコーダとの通信でライブ映像や録画映像のデータを、ネットワークを経由して受信する。
【0044】
<表示手段>
本実施形態の表示手段50は、第1の撮像手段10、第2の撮像手段20、記録手段30からの撮像を表示するものである。特に、本実施形態の表示手段50は、ファイル映像、ライブ映像、録画映像を表示することが可能である。ファイル映像とは、制御手段40であるPCに保存された映像ファイルによる映像や、上記PCとネットワークを介して通信可能なサーバ(不図示)に保存された映像ファイルによる映像のことである。ライブ映像とは、全方位撮像可能カメラ及び固定カメラが撮像している生の映像のことである。録画映像とは、記録手段30であるハイブリッドレコーダに記録された録画データを再生して表示される映像のことである。
【0045】
表示手段50は、公知のディスプレイ(具体的には、HDMI端子付きのハイビジョンモニタ)から構成されており、上記の制御手段40と接続し、図10に示す撮像監視画面SMGを表示するものである。
【0046】
次に、撮像監視画面SMGについて詳述する。撮像監視画面SMGは、第1の撮像手段10、第2の撮像手段20、記録手段30からの撮像を表示するための画面であり、具体的には、全方位カメラアプリケーションが実行されることにより展開される図10に図示のウィンドウである。
【0047】
上記ウィンドウ(すなわち、撮像監視画面SMG)は、撮像表示領域R1と操作領域R2とを備えている。撮像表示領域R1は、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラが撮像した映像、および、第2の撮像手段20である固定カメラが撮像した映像等を表示するビュー領域である。
【0048】
なお、全方位撮像可能カメラが撮像した映像と、固定カメラが撮像した映像とを同時に表示する際には、全方位撮像可能カメラで撮像された映像の表示領域(具体的には、後述の第1領域R1a)と、固定カメラで撮像された映像の表示領域(具体的には、後述の第2領域R1b及び第3領域R1c)とが隣接して表示されている(例えば、図12D〜図12F参照)。
【0049】
前述したように、全方位撮像可能カメラでは撮像範囲の中央と端面(撮像エリアの外周)では映像の分解能に粗密が出るため、本実施形態では、端面の映像を固定カメラで追加撮像することにより、同一時間軸で全方位撮像可能カメラの撮像範囲端面の粗の部分を補い、鮮明な画像を提供する事が可能である。
【0050】
例えば、ビルのロビーやエントランスを全方位撮像可能カメラで撮像している場合、入口や出口(エレベータや階段、又はカウンター)の映像は撮像エリアの端面に配置されるもので、これは、人が出入りする際に、その人物を特定するためには撮像エリア端面に位置する出入口の映像が重要であることによる。全方位撮像可能カメラで撮像している全体映像は撮像範囲が広いが、前述した通りエリア端面の映像の分解能が粗いため、解像度が確保できる固定カメラにより撮像された鮮明な映像により人物の特徴を捉えることで人物が特定でき、その動線や行動が明らかになる。
【0051】
さらに、全方位撮像可能カメラが撮像した映像と、固定カメラが撮像した映像とが、隣接した表示領域に表示されることにより、監視者(すなわち、全方位撮像画面監視システムSのユーザ)は、全方位撮像可能カメラによって撮像される映像が表示される表示領域を見て、全方位撮像可能カメラの撮像範囲の端面(撮像エリアの外周)に人物が来たと認識した際に、隣接された表示領域(固定カメラによって撮像される映像の表示領域)と対比して、直ちに上記人物の特徴(顔形等)を認識することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、前述したように、全方位撮像可能カメラと、2台の固定カメラとを1セットしており、記録手段30としてのハイブリッドレコーダに、最大2セット分を接続することが可能である。そして、ハイブリッドレコーダに2セット接続された場合、撮像表示領域R1には、2台の全方位撮像可能カメラのうち、選択された一方のカメラの全方位映像(球面映像)をパノラマ展開したパノラマ映像に変換して表示すると共に、選択された側の全方位撮像可能カメラとセットをなす固定カメラの映像を表示することとなる。
【0053】
操作領域R2は、撮像表示領域R1における表示に関してユーザが行う操作を受け付けるためのGUI提供領域である。ユーザが行う操作としては、撮像表示領域R1において表示する映像の種類を選択するための映像種類選択操作、撮像表示領域R1における画面分割を決定するための画面分割決定操作、全方位撮像可能カメラの映像をPZT制御するためのPTZ操作等がある。これらの操作が操作領域R2にて受け付けられると、全方位カメラアプリケーションが、制御手段40であるPCのCPUと協働して、上記操作に対応する処理を実行する。
【0054】
なお、上記の操作については、後述する操作領域R2中のボタンやタブをマウスでクリックすることにより行うこととしてもよく、あるいは、表示手段50がPDF端末のタッチパッドである場合には、当該タッチパネルに対するタッチ操作にて行うこととしてもよい。
【0055】
以下、操作領域R2中に設けられているボタンやタブについて、図10を参照しながら説明する。映像種類タブR2aは、撮像表示領域R1に表示する映像の種類を選択するために設けられたものであり、具体的には、ファイル映像、ライブ映像、録画映像のうちのいずれかを選択する。
【0056】
再生映像指定ボタンR2bは、撮像表示領域R1に表示する映像のファイルや日時を指定するためのものである。具体的に説明すると、再生映像指定ボタンR2bを押すと、不図示のファイル選択画面(又は映像選択画面)が表示され、当該画面にて表示対象の映像のファイル名、あるいは、当該映像が撮像された日時を指定する。なお、映像種類タブR2aにてライブ映像が選択された場合、再生映像指定ボタンR2bは、非表示となり操作不能の状態となる。
【0057】
分割決定ボタンR2cは、撮像表示領域R1における画面分割を決定するために設けられたものである。より詳しく説明すると、本実施形態では、1台の全方位載像可能カメラの映像のみを表示する場合(以下、全方位表示)と、1台の全方位撮像可能カメラと2台の固定カメラの両方の映像を表示する場合(以下、複合表示)とがある。全方位表示用の分割決定ボタンR2cとしては、1分割表示ボタンc1、2分割表示ボタンc2、4分割表示ボタンc3が設けられている。
【0058】
1分割表示ボタンc1が押された場合、図12Aに示すように、全方位載像可能カメラの球面映像が撮像表示領域R1全域に表示される。つまり、1分割表示では、上記球面映像を、エリアを分割せず映像表示することになる。なお、1分割表示では、1台の全方位撮像可能カメラを、1台のPTZカメラとして表示制御することが可能である。
【0059】
2分割表示ボタンc2が押された場合には、図12Bに示すように、撮像表示領域R1が上下に2分割され、各分割画面には、球面映像をパノラマ展開したパノラマ映像が表示される。4分割表示ボタンc3が押された場合、図12Cに示すように、撮像表示領域R1が4分割され、球面映像と、球面映像をパノラマ展開した3つのパノラマ映像が、それぞれ、対応する分割画面に表示される。なお、4分割表示では、1台の全方位撮像可能カメラを、4台のPTZカメラとして仮想的に実現することができ、分割されたそれぞれの映像に対してPTZ制御が可能となる。
【0060】
他方、複合表示用の分割決定ボタンR2cとしては、第1複合表示ボタンc4、第2複合表示ボタンc5、及び第3複合表示ボタンc6が設けられている。これらの3つのボタンが押された場合、撮像表示領域R1は、撮像表示領域R1の左端から撮像表示領域R1の全幅の2/3に相当する長さを有する第1領域R1aと、第1領域R1aの横に並んで第1領域R1aと隣接する領域とに分かれる。この第1領域R1aと隣接する領域は、上下方向に区画された2つの領域によって構成されており、上側に位置する領域を第2領域R1bとし、下側に位置する領域を第3領域R1cとする。
【0061】
そして、第1複合表示ボタンc4が押された場合、図12Dに示すように、球面映像が第1領域R1a全体に表示されると共に、第2領域R1b及び第3領域R1cには、2台の固定カメラの各々の映像が表示される。第2複合表示ボタンc5が押された場合、図12Eに示すように、第1領域R1aには、球面映像をパノラマ展開した2つのパノラマ映像が表示され、第2領域R1b及び第3領域R1cには、2台の固定カメラの各々の映像が表示される。第3複合表示ボタンc6が押された場合には、図12Fに示すように、球面映像と、球面映像をパノラマ展開した3つのパノラマ映像が第1領域R1aに表示されると共に、2台の固定カメラの各々の映像が第2領域R1b及び第3領域R1cに表示される。
【0062】
映像セット選択ボタンR2dは、ユーザによりあらかじめ設定された映像セットの中から一の映像セットを選択するためのものである。ここで、映像セットとは、分割決定ボタンR2cの操作により分割された撮像表示領域R1の各分割画面に、どのカメラの映像を表示させるのかを対応付けたものである。
【0063】
具体的に説明すると、ユーザは、図11に示す設定画面STGにて映像セットを設定することが可能である。同図の設定画面STGにおいて、ユーザは、制御手段40であるPCと通信可能に接続されたハイブリッドレコーダの、表示映像チャンネルに対して、どのカメラを割り当てるかを決めて、入力欄d1,d2,d3に当該カメラの番号を入力する。
【0064】
ここで、ハイブリッドレコーダの表示映像のチャンネルの数は、固定された数(本実施形態では3)であり、各チャンネルに対して入力欄d1,d2,d3が設けられている。例えば、入力欄d1は、ハイブリッドレコーダの表示映像チャンネルのうち、チャンネル1に対応しており、チャンネル1に割り当てられたカメラの映像は、上述した第1領域R1aに表示される。同様に、入力欄d2は、チャンネル2に対応しており、チャンネル2に割り当てられたカメラの映像は、上述した第2領域R1bに表示され、入力欄d3は、チャンネル3に対応しており、チャンネル3に割り当てられたカメラの映像は、上述した第3領域R1cに表示される。
【0065】
より具体的に説明すると、全方位撮像可能カメラと2台の固定カメラとのセットが2セット分ハイブリッドレコーダに接続されている構成において、一方のセットに属する全方位撮像可能カメラの番号を1とし、同セットに属する2台の固定カメラの番号を2,3とし、他方のセットに属する全方位撮像可能カメラの番号を4とし、同セットに属する2台の固定カメラの番号を5,6としたときに、入力欄d1に番号1を入力し、入力欄d2に番号2を入力し、入力欄d3に番号3を入力して、映像セットを設定する。かかる映像セットを選択すると、撮像表示領域R1の第1領域R1aに、一方のセットに属する全方位撮像カメラの映像が表示され、第2領域R1b及び第3領域Rlcに、同セットに属する2台の固定カメラの各々の映像が表示される。
【0066】
同様に、入力欄d1に番号4を入力し、入力欄d2に番号5を入力し、入力欄d3に番号6を入力して、映像セットを設定した場合、当該映像セットを選択すると、撮像表示領域R1の第1領域R1aに、他方のセットに属する全方位撮像カメラの映像が表示され、第2領域R1b及び第3領域Rlcに、同セットに属する2台の固定カメラの各々の映像が表示される。
【0067】
なお、入力欄d1,d2,d3にカメラの番号を未入力にしたままでは、入力欄d1,d2,d3のうち、未入力の分について映像表示が行われないこととなる。また、本実施形態では、図10に示すように、最大で8パターンの映像セットを登録しておくことが可能であるが、最大登録数については8パターンに限られるものではなく、任意の数に設定可能である。
【0068】
再生コントロールボタンR2eは、再生/一時停止、巻き戻し、早送り等の映像再生をコントロールするためのものである。静止画取得ボタンR2fは、当該ボタンR2fが押された時点の再生映像を、静止画ファイルとして取り込むためのものである。なお、これらの2つのボタンR2e,R2fは、ライブ映像が表示されている間、非表示となり操作不能の状態となる。
【0069】
PTZボタンR2gは、全方位撮像可能カメラの映像をPTZ制御するためのものであり、より具体的に説明すると、PTボタンg1,g2,g3,g4はパン動作とチルト動作を実行させるためのものであり、Zボタンg5,g6はズーム用のボタンである。例えば、ライブ映像の表示中、PTZボタンR2gが操作されると、全方位撮像可能カメラが、ボタン操作に応じたPTZ動作を実行する。一方、ファイル映像や録画映像の表示中、PTZボタンR2gが操作されると、全方位撮像可能カメラの映像に対して、ボタン操作に応じたPTZ処理が実行される結果、表示映像が、上記PTZ処理後の内容に変更するようになる。
【0070】
映像セット設定ボタンR2hは、前述した映像セットを設定するために設けられたものであり、当該ボタンR2hが押されると上述の設定画面STGが表示され、入力欄d1,d2,d3にカメラの番号を入力することが可能な状態となる。
【0071】
終了ボタンR2iは、撮像監視画面SMGを閉じて、全方位カメラアプリケーションを終了するためのものである。すなわち、終了ボタンR2iが押されると、各カメラの映像の表示が終了する。なお、終了ボタンR2iによって全方位カメラアプリケーションが終了する際、その直前の状態が保存され、次回のアプリケーション起動時には、当該直前の状態で再開することとなる。ここでは、映像セット毎の内容をそれぞれ保存対象とし、具体的には、撮影監視画面SMGに関する設定事項やPTZ状態など、操作領域R2において行った全ての設定事項が保存される。
【0072】
以上のような構成の撮像監視画面SMGが表示手段50に表示され、撮像監視画面SMGの撮像表示領域R1に、ファイル映像、ライブ映像及び録画映像のうちのいずれかが表示される。そして、撮像表示領域R1は、6種類の分割モードのいずれかに応じて分割される。
【0073】
すなわち、全方位カメラアプリケーションでは、図13に示すように、撮像表示領域R1に1台の全方位載像可能カメラの映像のみを表示する全方位表示パターンと、1台の全方位撮像可能カメラと2台の固定カメラの両方の映像を表示する複合表示パターンとが、選択可能である。
【0074】
さらに、全方位表示パターンでは、全方位載像可能カメラの全方位映像(球面映像)を表示する1分割表示モードと、球面映像をパノラマ展開したパノラマ映像を2つ表示する2分割表示モードと、球面映像及び3つのパノラマ映像を表示する4分割表示モードが選択可能である。
【0075】
一方、複合表示パターンでは、全方位撮像可能カメラの映像を第1領域R1aに表示し、第2領域R1b及び第3領域R1cに2台の固定カメラの各々の映像を表示することとし、第1領域R1aに表示する映像の形式により3つのモードに分かれる。具体的に説明すると、全方位載像可能カメラの全方位映像(球面映像)を1つ表示する第1複合表示モードと、球面映像と2つのパノラマ映像を表示する第2複合表示モードと、球面映像及び3つのパノラマ映像を表示する第3複合表示モードが選択可能である。
【0076】
なお、各モードにおいて、マウスのクリック操作等により、分割画面(撮像表示領域R1を分割モードに応じた数にて細分化された際の単位領域)のうちの一つを指定すると、その指定された分割画面がアクティブ状態となる。本実施形態では、このアクティブ状態になっている分割画面上で、例えば、マウスのダブルクリック操作を実行すると、当該アクティブ状態の分割画面が全画面表示される(撮像表示領域R1全体に表示される)。全画面表示状態は、例えば、キーボードの「Esc」キーを押すことによって解除され、元の表示状態に戻る。
【0077】
さらに、本実施形態では、分割画面の一つがアクティブ状態になっているときに、例えば、マウスホイールを回転させることにより、当該分割画面に表示された映像がズームアップ・ダウンされる。また、例えば、アクティブ状態となった分割画面上にマウスポインタを合わせて、マウスの左ボタンを押しながらマウスポインタをドラッグする動作を行うと、当該分割画面に表示された映像が、ドラッグ方向にパンまたはチルトするようになる。
【0078】
このように、本実施形態では、分割画面の一つがアクティブ状態になっているときに、所定のマウス操作を実行することにより、当該分割画面に表示されたカメラ映像に対して、PTZ制御を実行することが可能である。
【0079】
ところで、1台の全方位撮像可能カメラと2台の固定カメラの両方の映像を表示する複合表示を想定すると、表示手段50として、16:9比率のディスプレイを用いることが適している。また、映像比率(すなわち、撮像表示領域R1の大きさおよび比率)に関してより詳しく説明すると、映像比率は、ディスプレイの解像度により影響を受ける。一方で、撮像表示領域R1に表示される映像は、カメラ映像の解像度による比率を基本としている。
【0080】
具体的に説明すると、撮像表示領域R1中の映像表示範囲(実際に映像が表示される部分)については、選択された表示形式で映像を最も大きく表示することができる適切な範囲が自動的に計算し、当該計算結果に応じた範囲に設定される。この範囲が、カメラ解像度比率による実際の映像表示領域である。
【0081】
<<撮像監視画面での映像表示>>
次に、上記構成の全方位撮像画面監視システムSにおいて、撮像監視画面SMGに全方位撮像可能カメラ及び固定カメラの映像を表示する手順について、図14を参照しながら説明する。
【0082】
撮像監視画面SMGに映像を表示するにあたり、先ず、全方位カメラアプリケーションを起動して(S001)、撮像監視画面SMGを表示手段50に表示する。本実施形態では、全方位カメラアプリケーションの起動に連動して、全方位撮像可能カメラ、固定カメラ、ハイブリッドレコーダ及びこれらの機器の付帯機器が作動し、カメラによる撮像、及び、当該撮像データの記録(録画)が開始される。なお、通常の監視時では、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラの広角撮像データを記録手段30に記録しながら、同時に、全方位撮像可能カメラの撮像を録画画面表示モニタ32に表示する。
【0083】
次に、撮像監視画面SMGのうち、操作領域R2中に設けられているボタンやタブを操作して、映像表示の準備処理を行う。具体的には、映像種類タブR2aを操作して、撮像表示領域R1に表示する映像の種類を選択する(S002)。表示映像としてファイル映像又は録画映像を選択した場合には(S002にて「ファイル映像」または「録画映像」)、その後に、再生映像指定ボタンR2bを押し、不図示のファイル選択画面(又は映像選択画面)にて、撮像表示領域R1に表示する映像のファイルや日時を指定する(S003)。
【0084】
次に、映像セット選択ボタンR2dの中の一を選択する(S004)。この選択操作により、撮像表示領域R1に表示させるカメラの映像の組み合わせが決定される。その後、分割決定ボタンR2cを操作して、撮像表示領域R1における画面分割を決定する(S005)。
【0085】
ここで、上記ステップS004にて選択した映像セットにおける、ハイブリッドレコーダの表示映像チャンネルと、当該表示映像チャンネルに割り当てられたカメラとの関係の如何により、操作可能な分割決定ボタンR2cの組み合わせが変わってくる。具体的に説明すると、上記の表示映像チャンネルと、当該表示映像チャンネルに割り当てられたカメラとの関係は、下記の4パターンとなる。
(1)チャンネル1に全方位撮像可能カメラが割り当てられ、チャンネル2及び3のうち、少なくとも一方に固定カメラが割り当てられている場合
(2)チャンネル1に全方位撮像可能カメラが割り当てられ、チャンネル2及び3のうち、いずれにもカメラが割り当てられていない場合
(3)チャンネル1に固定カメラが割り当てられ、チャンネル2及び3のうち、少なくとも一方に固定カメラが割り当てられている場合
(4)チャンネル1に固定カメラが割り当てられ、チャンネル2及び3のうち、いずれにもカメラが割り当てられていない場合
【0086】
そして、上記(1)のパターンとなった映像セットを選択した場合、分割決定ボタンR2cの全てが選択可能なボタンとして表示される。上記(2)のパターンでは、分割決定ボタンR2cのうち、全方位表示用の分割決定ボタンR2c(具体的には、1分割表示ボタンc1、2分割表示ボタンc2、4分割表示ボタンc3)のみが選択可能なボタンとして表示される。上記(3)のパターンでは、分割決定ボタンR2cのうち、1分割表示ボタンc1及び第1複合表示ボタンc4のみが選択可能なボタンとして表示される。上記(4)のパターンでは、1分割表示ボタンc1のみが選択可能なボタンとして表示される。
【0087】
分割決定ボタンR2cを操作すると、当該操作に基づく形式にて撮像表示領域R1が分割された上で、各分割画面に、対応する映像が表示されるようになる(S006)。例えば、上記(1)のパターンとなった映像セットを選択し、第3複合表示ボタンc6を押した場合には、図15に示すように、全方位撮像可能カメラの球面映像と、球面映像をパノラマ展開した3つのパノラマ映像が、撮像表示領域R1の第1領域R1aに表示されると共に、2台の固定カメラの各々の映像が第2領域R1b及び第3領域R1cに表示される。
【0088】
その後、終了ボタンR2iが操作されるまで、撮像監視画面SMGでの映像表示は継続し、終了ボタンR2iが押された時点で終了する(S007)。また、撮像監視画面SMGでの映像表示が継続している間にPTZボタンR2gが操作されたとき(S008)には、当該操作に基づいて、全方位撮像可能カメラの映像をPTZ制御し(S009)、以降、制御後の内容(具体的には、カメラの向き、傾き等)にて撮像監視画面SMGでの映像表示が引き続き行われる。
【0089】
<<全方位撮像画面監視システムの変形例>>
以下では、全方位撮像画面監視システムSの変形例として第1変形例〜第3変形例について説明する。なお、各変形例の構成において、上記の実施形態(本件例)と同様あるいは同一の部材、配置、装置等については、同一符号を付して、詳細な説明は省略するものとする。
【0090】
<第1変形例>
第1変形例に係る全方位撮像画面管理システムSは、機器構成の面では本件例と略同様である。一方、第1変形例の全方位カメラアプリケーションは、図16に示すように、第1の撮像手段10である全方位撮像可能カメラが撮像した映像をパノラマ展開した際の特定エリアに、第2の撮像手段20である固定カメラ(PTZ型IPカメラまたはIPカメラ)が撮像した鮮明な映像を重ね合わせることが可能である。つまり、第1変形例は、全方位撮像可能カメラのデジタルズーム映像に、固定カメラの更なる高分解能な映像を重ね合わせることが可能となっている点において本件例と異なる。
【0091】
さらに、第1実施例では、全方位撮像可能カメラが撮像する指定エリアの映像に固定カメラをリンクさせておき、ライブ映像において全方位撮像可能カメラが指定エリアにズームした際、当該デジタルズーム映像に固定カメラの映像を重ね合わせて同時映像表示することが可能である。
【0092】
以上のように、撮像表示領域R1の構成としては、本件例のように、全方位撮像可能カメラの球面映像を表示する表示領域(第1領域R1a)、及び、固定カメラの映像を表示する表示領域(第2領域R1b,第3領域R1c)を、各々個別の領域として設けて並べる態様の他、第1変形例のように、全方位撮像可能カメラの球面映像中に固定カメラの高分解能映像を重ね合わせる態様が考えられる。ゆえに、図17に示すように撮像表示領域R1に全方位載像可能カメラの映像を表示しているところ(すなわち、全方位表示パターンの実行中)、全方位撮像可能カメラの球面映像のうち、特定エリアの範囲に、固定カメラの映像を重ね合わせることで、全方位撮像カメラによる撮像映像の表示領域と、固定カメラによる撮像映像の表示領域とを隣接して表示してなる撮像表示領域が構成されることになる。
【0093】
<第2変形例>
第2変形例に係る全方位撮像画面管理システムSは、図17に示すように、制御手段40であるPCが、ギガスイッチングハブ(1000BASE−T/100BASE−TX/10BASE−T対応のスイッチングポートを複数ポート装備したスイッチングハブ)70を介して、最大4台の記録手段30(具体的には、ハイブリッドレコーダ)と接続している。なお、ハイブリッドレコーダの接続台数については、4台に限られるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0094】
ギガスイッチングハブ70に接続された複数のハイブリッドレコーダの各々は、ギガスイッチングハブ70を介して各ハイブリッドレコーダと接続した映像監視制御装置80の制御の下、POEスイッチングハブ60を介してハイブリッドレコーダに接続しているカメラの映像を録画する。また、各ハイブリッドレコーダには、本件例と同様、全方位撮像可能カメラ及び2台の固定カメラのセットが、最大2セット分接続可能である。
【0095】
そして、第2変形例に係る全方位カメラアプリケーションは、制御手段40であるPCに接続された複数のハイブリッドレコーダのうち、指定されたハイブリッドレコーダと通信し、該ハイブリッドレコーダに接続されたカメラの映像を、撮像監視画面SMGの撮像表示領域R1に表示する。より詳しく説明すると、撮像表示領域R1には、指定されたハイブリッドレコーダに接続された全方位撮像可能カメラの球面映像がパノラマ展開されたパノラマ映像と、当該パノラマ映像中の特定エリアについて、上記ハイブリッドレコーダに接続された固定カメラが撮像した映像と、が表示される。
【0096】
ハイブリッドレコーダの指定は、前述した映像セットを設定する際に行われる。具体的に説明すると、図11に示す設定画面STGにおいて、ハイブリッドレコーダを指定するための情報を、入力欄t1,t2,t3,t4に入力する。より具体的には、指定するハイブリッドレコーダのIPアドレスを入力欄t1に、ポート番号を入力欄t2に、ログインIDを入力欄t3に、ログインパスワードを入力欄t4に、それぞれ入力する。
【0097】
以上のように、第2変形例では、制御手段40であるPCに複数のハイブリッドレコーダが接続されているので、表示手段50に映像を表示することが可能なカメラの台数がより多くなる。これにより、1基の制御手段40で、複数エリアの監視をすることが可能になる。
【0098】
<第3変形例>
第3変形例に係る全方位撮像画面管理システムSは、機器構成の面では第2変形例とほぼ同様である。すなわち、第3変形例では、制御手段40であるPCが、ギガスイッチングハブ70を介して、最大4台のハイブリッドレコーダと接続しており、各ハイブリッドレコーダには、全方位撮像可能カメラ及び2台の固定カメラのセットが、最大2セット分接続可能である。
【0099】
一方、第3変形例の全方位カメラアプリケーションは、指定されたハイブリッドレコーダに接続された全方位撮像可能カメラの映像をパノラマ展開した際の特定エリアに、同ハイブリッドレコーダに接続された固定カメラ(IPカメラ)の鮮明映像を重ね合わせることが可能である。すなわち、第3変形例は、第2変形例に係る構成に、第1変形例における全方位カメラアプリケーションの機能を付帯した実施形態である。
【0100】
さらに、第3変形例では、第1変形例と同様、ライブ映像を撮像監視画面SMGに表示する際、全方位撮像可能カメラの指定エリアにPTZの位置を連動させて映像を重ね合わせることが可能である。
【0101】
<第4変形例>
上記の実施形態では、第2の撮像手段20としてオートズームカメラを採用しており、これにより、例えば、人物がビルを入退出する時にその人物に対して自動的にズームアップし、その人物の特徴を鮮明に撮像することが可能となり、もって、ビルの入退出管理が適切に行われるようになる。ただし、固定カメラの仕様によっては、固定カメラをズームアップすると、固定カメラの録画対象映像がズームアップ後の映像となってしまう場合がある。かかる場合、後日に録画映像を確認しようとすると、撮像監視画面SMGに表示できる固定カメラの映像がズームアップ後の映像となり、ズームアップした状態よりも広範囲な映像については表示させることができなくなる。特に、録画映像を撮像監視画面SMGに表示させる際に全方位撮像可能カメラの球面映像に固定カメラの映像を重ね合わせる場合、ズーム操作によって固定カメラの撮像範囲が変動してしまうと、全方位撮像カメラによる撮像映像中、固定カメラの映像が重ねられる範囲と、固定カメラの撮像映像とが一致しなくなってしまう。
【0102】
以上のように、固定カメラのズーム操作を実行してしまうと、後日に録画映像を確認しようとしたときに、固定カメラの映像として、ズームアップした状態よりも広範囲な映像を見ることができなくなってしまう虞があるので、固定カメラについては、意図的にズーム操作を行わないこととしてもよい。
【0103】
<<本発明に係る撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムの有効性>>
以上までに説明してきたように、本発明に係る撮像監視画面及び全方位撮像画面監視システムによれば、簡単操作で、通常のパソコンを操作する感覚で簡単操作が可能で、システムに慣れていない方も簡単にオペレーションがこなせる。
さらに、デュアル表示システムの採用で、複数カメラの画像データ管理とマルチアイの画像管理を切り分けられ、見たい画像を瞬時にモニタリングすることが可能となる。
そして、柔軟な機器構成であり、ライブを重視する場面は既存のカメラで、高画質の映像が必要なところはメガピクセルカメラで、ネットワークカメラを活用する必要がある場合はネットワークカメラなど自由な機器構成が可能となる。
【符号の説明】
【0104】
10 第1の撮像手段、11 カメラハウジング、12 透明カバー、
13 下側部、14 上側部、15 固定フレーム、16 取り付けテーブル、
17a,17b 撮像手段取り付け金具、
20 第2の撮像手段、30 記録手段、32 録画画面表示モニタ、
40 制御手段、50 表示手段、
60 POEスイッチングハブ、70 ギガスイッチングハブ、
80 映像監視制御装置、
111 カメラハウジング、112 透明カバー、113 下側部、
114 上側部、116 取り付けテーブル、
117a,117b 撮像手段取り付け金具、
S 全方位撮像画面監視システム、
R1 撮像表示領域、R1a 第1領域、R1b 第2領域、R1c 第3領域、
R2 操作領域、R2a 映像種類タブ、R2b 再生映像指定ボタン、
R2c 分割決定ボタン、R2d 映像セット選択ボタン、
R2e 再生コントロールボタン、R2f 静止画取得ボタン、
R2g PTZボタン、R2h 映像セット設定ボタン、R2i 終了ボタン、
SMG 撮像監視画面、STG 設定画面、
c1 1分割表示ボタン、c2 2分割表示ボタン、c3 4分割表示ボタン、
c4 第1複合表示ボタン、c5 第2複合表示ボタン、c6 第3複合表示ボタン、
d1,d2,d3 入力欄、
g1,g2,g3,g4 PTボタン、g5,g6 Zボタン、
t1,t2,t3,t4 入力欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの全方位を動画として撮像可能な固定された第1の撮像手段と、少なくとも一つの動画として撮像可能な固定された第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段と前記第2の撮像手段で撮像した動画を録画する記録手段と、該記録手段を制御する制御手段と、前記第1の撮像手段、前記第2の撮像手段、前記記録手段からの撮像を表示する表示手段と、を備え、
前記第2の撮像手段は、前記第1の撮像手段の撮像領域の外周を撮像する位置に配置されたことを特徴とする全方位撮像画面監視システム。
【請求項2】
前記第2の撮像手段は、オートズームカメラからなることを特徴とする請求項1記載の全方位撮像画面監視システム。
【請求項3】
少なくとも前記第1の撮像手段は、撮像手段設置用ハウジングによって固定され、前記撮像手段設置用ハウジングは、内部に、撮像手段取り付け金具が配設され、撮像手段取り付け金具は前記撮像手段の取り付け角度を自由に設定可能であると共に、撮像軸の上下方向にスライド可能に構成され、これによって前記撮像手段は、取り付け位置を自由に設定可能としたことを特徴とする請求項1記載の全方位撮像画面監視システム。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の全方位撮像画面監視システムに用いられる撮像監視画面であって、
前記撮像監視画面は、前記第1の撮像手段、前記第2の撮像手段、前記記録手段からの撮像を表示する前記表示手段で表示されるものであり、前記表示手段には、撮像表示領域と操作領域とを備え、
前記撮像表示領域は、前記第1の撮像手段で撮像された映像の表示領域と、前記第1の撮像手段の撮像領域の外周を撮像する前記第2の撮像手段で撮像された映像の表示領域とを隣接して表示してなることを特徴とする撮像監視画面。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−62559(P2013−62559A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191789(P2011−191789)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(596179988)株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス (13)
【Fターム(参考)】