説明

撮像素子、電子機器、製造方法、および検査装置

【課題】検出感度を向上するとともに、低コスト化を実現することができるようにする。
【解決手段】イメージセンサにおいては、光電変換部の受光素子上に、中央部分に凹部(窪み)が形成された平凸形状の構造体が形成されている。構造体の凹部を除く表面には、光反射性の薄膜が形成されている。そして、構造体の凹部には、測定対象のゲル状、または液体状の試料が貯留されている。本開示は、例えば、試料を測定対象とする検査装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子、電子機器、製造方法、および検査装置に関し、特に、検出感度を向上するとともに、低コスト化を実現することができるようにした撮像素子、電子機器、製造方法、および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、溶液のpH測定、DNAやたんぱく質の解析などを2次元画像として表示する化学センサ、またはバイオセンサの需要が増加している。このような化学センサとしては、例えば、集光した光スポットによる勃起電流から半導体素子の表面円電位を読みとる表面電位測定法(SPV法)を利用したLight Addressable Potentiometric Sensor(LAPS)がある。
【0003】
しかしながら、このような化学センサは、検出画像を2次元マップとして取り込むことができるものの、基板表面から光を入射させるため、透明基板や透明電極が必要となる。また、これらのセンサは、光源と素子がそれぞれ1つであるため、光源をスポット状態にしても発生した勃起キャリアが半導体素子の平面方向に拡散して、観察対象となる勃起電流の範囲が広がってしまう。このため、このようなセンサは、画像分解能が低かった。
【0004】
そこで、検出感度が高く、かつ低ノイズ信号が得られ、さらに電荷信号を2次元的データとして出力することが可能なデバイスとしてCCDおよびCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を検出手段に用いた化学センサやバイオセンサが多く提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−30162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したセンサにおいては、試料と受光素子との位置合わせに対して高い精度が必要であった。これに対して、ウェルと検出器との位置合わせを行うブロックを具備するものがあるが、このセンサの場合、装置の小型化や簡素化が困難である。
【0007】
また、測定対象の試料を、センサの保護膜あるいは反射防止膜上に直接載せて観察するものもあるが、このようなセンサの場合、粘度の低い資料の測定には不向きであり、また、複数種の試料を同時に測定することが困難である。
【0008】
さらに、受光素子上に形成されるウェルに試料を閉じ込めるものもあるが、このようなセンサの場合、金属ウェル構造を半導体素子上に構築することが必要であり、低コスト化が困難であった。
【0009】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、検出感度を向上するとともに、低コスト化を実現することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の側面の撮像素子は、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とを備え、前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている。
【0011】
前記構造体は、光透過材料により形成されている。
【0012】
前記構造体と前記光電変換部との間に、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される層をさらに備えることができる。
【0013】
前記構造体は、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される。
【0014】
前記構造体は、前記受光素子の単一画素、または複数画素毎に形成されている。
【0015】
本開示の第2の側面の電子機器は、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子を備える。
【0016】
本開示の第3の側面の撮像素子の製造方法は、受光素子および光電変換部が形成されたウェハ上に、有機高分子材料層を形成し、前記有機高分子材料層上における前記光電変換部の直上領域の所定の位置に、その中央部分以外を遮光するレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをリフローすることにより、前記受光素子を覆うように形成され、前記中央部分に凹部を有する平凸形状の構造体を生成し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域に光反射材料を付加する。
【0017】
本開示の第4の側面の検査装置は、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子と、前記凹部に充填された試料に対して光を照射する光源と、前記光源と前記撮像素子とを制御する制御部とを備える。
【0018】
本開示の第1の側面においては、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体が、その中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域が、光反射材料によって覆われている。
【0019】
本開示の第2の側面においては、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体が、その中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域が、光反射材料によって覆われている撮像素子が備えられる。
【0020】
本開示の第3の側面においては、受光素子と光電変換部とが形成されたウェハ上に、有機高分子材料層が形成され、前記有機高分子材料層上における前記光電変換部の直上領域の所定の位置に、その中央部分以外を遮光するレジストパターンが形成される。前記レジストパターンをリフローすることにより、前記受光素子を覆うように形成され、その中央部分に凹部を有する平凸形状の構造体が生成される。そして、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域に光反射材料が付加される。
【0021】
本開示の第4の側面においては、複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体が、その中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域が、光反射材料によって覆われている撮像素子の凹部に充填された試料に対して光が照射される。そして、前記構造体を介して、前記受光素子に入射された光が電気信号に変換される。
【発明の効果】
【0022】
本開示の第1および第2の側面によれば、入射された光が変換された電気信号を得ることができる。特に、検出感度を向上することができる。
【0023】
本開示の第3の側面によれば、撮像素子を製造することができる。特に、検出感度を向上させた撮像素子を低コストで製造することができる。
【0024】
本開示の第4の側面によれば、入射された光が変換された電気信号を得ることができる。特に、検出感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】撮像素子の構造の例を示す断面図である。
【図2】撮像素子の製造工程を説明するフローチャートである。
【図3】撮像素子の製造工程を説明する図である。
【図4】製造中のウェハを上から見た上面図である。
【図5】従来のオンチップレンズの製造工程を説明する図である。
【図6】従来のオンチップレンズの製造工程を説明する図である。
【図7】撮像素子の製造工程を説明する図である。
【図8】製造中のウェハを上から見た上面図である。
【図9】撮像素子の構造の他の例を示す断面図である。
【図10】検査装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(撮像素子)
2.第2の実施の形態(検査装置)
【0027】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成例]
図1は、本開示を適用した撮像素子としてのイメージセンサの一実施の形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0028】
図1に示されるイメージセンサ1は、n型基板11、受光素子(PD:Photo Diode)13−1および13−2を有する光電変換部12、カラーフィルタ14−1および14−2、並びに構造体15−1および15−2などで構成されている。
【0029】
イメージセンサ1においては、光電変換部12の受光素子13−1および13−2上に、波長選択性を有する、カラーフィルタ14−1および14−2がそれぞれ形成されている。さらに、カラーフィルタ14−1および14−2の上部には、中央部分に凹部(窪み)16−1および16−2がそれぞれ形成された平凸形状(レンズ形状)の構造体15−1および15−2がそれぞれ形成されている。また、構造体15−1および15−2の凹部16−1および16−2を除く最上部表面には、光反射性の薄膜17−1および17−2がそれぞれ形成されている。そして、構造体15−1および15−2の凹部16−1および16−2には、図中丸で示されるように、測定対象のゲル状、または液体状の試料21−1および21−2がそれぞれ貯留されている。この丸は、試料が貯留されていることを概念的に示すものである。
【0030】
なお、以下、特に区別する必要のない場合、受光素子13−1および13−2、カラーフィルタ14−1および14−2、並びに、構造体15−1および15−2は、それぞれ、受光素子13、カラーフィルタ14、並びに構造体15と称する。凹部16−1および16−2、薄膜17−1および17−2、並びに、試料21−1および21−2も、特に区別する必要のない場合、それぞれ、凹部16、薄膜17、並びに、試料21と称する。
【0031】
また、図1の例においては、受光素子13−1および13−2が2個しか示されていないが、実際には、n型基板11上には、複数の受光素子13がマトリクス状に配設された光電変換部12が構成されている。
【0032】
n型基板11は、半導体ウェハなどで構成される。光電変換部12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子により構成される。光電変換部12は、試料21の光現象を検出し、電気信号として出力する。
【0033】
カラーフィルタ14は、受光素子13を覆うように、その上部に形成され、特定の波長領域を通過させ、かつ、他の波長領域を吸収、あるいは反射する材料や構造により、波長選択性を有するように形成される。例えば、波長選択性を持たせる方法としては、通常のCCDやCMOSイメージセンサと同様に、一定厚みを有する高分子材料を付加する方法や、無機材料の多層膜を形成して干渉フィルタを構成させる方法などがある。
【0034】
図1の例のカラーフィルタ14−2のハッチは、カラーフィルタ14−1と異なる波長選択性を有していることを示している。このように、カラーフィルタ14は、用途に応じて、画素(受光素子13)毎に異なる波長選択性を持たせる場合もあるが、これに限定されず、例えば、同一の波長選択性を有するフィルタを均一に構成するようにしてもよい。
【0035】
なお、カラーフィルタ14は、試料に対して光現象を発生させるための勃起光の波長が受光素子13や光電変換部12に到達するのを防ぐために設けられる。したがって、例えば、構造体15が波長選択性を有している場合など、勃起光を用いることなく光現象が得られる場合には、カラーフィルタ14を省略することも可能である。
【0036】
中央部分に凹部16が形成された平凸形状の構造体15は、光透過材料によって形成されている。構造体15は、カラーフィルタ14の上部、すなわち、光電変換部12の直上領域の所定の位置に、受光素子13を覆うように形成される。この構造体15は、隣接画素との間を区切り、その凹部16に試料21を貯留して光現象の測定を行うために形成される。凹部16を形成することにより、試料21がゲル状、または液体状であっても流れ出したり、隣と混ざることを抑制することができる。なお、試料21は、ゲル状や液体状以外であってもよい。
【0037】
ここで、光現象は、あらゆる方向で観察されるため、受光素子13と反対方向へ出射された光を検出するためには、光を受光素子13方向へと反射させる構造が必要となる。
【0038】
そのため、構造体15の凹部16の領域を除く、上部表面には、AL、Au、Pt、Crなどの材料からなる光反射性を有する薄膜17が形成されている。これにより、受光素子が構造体15で起こる光現象を最大限に取り込み、高感度の信号検出を行うことが可能となる。
【0039】
以上のように、イメージセンサ1は、受光素子13並びに光電変換部12が構造体15と一体化して形成されている。これにより、アライメントの処理が不要となる。また、構造体15は、図2を参照して後述するように、ウエハプロセスによって形成することができるので、位置合わせ精度をサブミクロン以内に抑えることが可能になる。
【0040】
なお、図1の例においては、カラーフィルタ14を、光電変換部12と構造体15の間に設けるようにしたが、カラーフィルタ14を設けることなしに、構造体15自体を、波長選択性を有する材料によって形成してもよい。例えば、構造体15は、特定の波長領域を通過させ、かつ、他の波長領域を吸収、あるいは反射する材料や構造により、波長選択性を有するように形成することもできる。
【0041】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1のイメージセンサ1の製造方法を説明する。
【0042】
ステップS11において、イメージセンサ1の製造装置(以下、製造装置と称する)は、半導体ウェハであるn型基板11を準備する。ステップS12において、製造装置は、図3に示されるように、n型基板11上に、マトリクス状に複数の受光素子13と、光電変換部12とを形成する。
【0043】
ステップS13において、製造装置は、受光素子13および光電変換部12の直上領域に、受光素子13を覆うように、波長選択材料からなるカラーフィルタ14のフィルタ層を形成する。
【0044】
なお、上述したステップS11乃至S13における処理は、特に限定されるものではなく、公知の光電変換素子の製造方法などを適用することも可能である。
【0045】
ステップS14において、フィルタ層の上に、有機高分子材料層31を形成する。この有機高分子材料層31が、のちに構造体15となる。
【0046】
ステップS15において、製造装置は、図3に示されるように、有機高分子材料層31において、カラーフィルタ14の中央部以外を遮光する、すなわち、中央部を露光するレジストパターン41を形成する。レジストパターン41は、受光素子13を覆うように凹部16を有する構造体15が形成されるよう、光電変換部12の直上領域の所定の位置に形成される。
【0047】
具体的には、製造装置は、有機高分子材料層31の上に、1つのカラーフィルタ14−1の中央部以外を遮光するように、感光性レジスト層を形成する。そして、製造装置は、レジスト層の平凸形状の構造体となる部分以外の領域を露光してレジスト樹脂を硬化させる。現像処理を施すと、硬化された領域以外は除去されて、露光マスクを反転させた領域が、レジストパターン41−1として転写形成される。同様に、1つのカラーフィルタ14−2についても、カラーフィルタ14−2の中央部以外を遮光するレジストパターン41−2が形成される。
【0048】
なお、以下、レジストパターン41−1および41−2を個々に区別する必要がない場合、レジストパターン41と称する。
【0049】
図4は、レジストパターン41が形成されたイメージセンサ1を上から見た上面図である。図5の例のAにおける断面図が、図3に相当する。なお、図4の例においては、カラーフィルタ14が有機高分子材料層31の下層にあるため、カラーフィルタ14を点線で表している。
【0050】
レジストパターン41−1は、カラーフィルタ14−1の中央部以外を遮光するように形成されている。レジストパターン41−2は、カラーフィルタ14−2の中央部以外を遮光するように形成されている。レジストパターン41−3は、カラーフィルタ14−3の中央部以外を遮光するように形成されている。レジストパターン41−(n−1)は、カラーフィルタ14−(n−1)の中央部以外を遮光するように形成されている。レジストパターン41−nは、カラーフィルタ14−nの中央部以外を遮光するように形成されている。レジストパターン41−(n+1)は、カラーフィルタ14−(n+1)の中央部以外を遮光するように形成されている。
【0051】
なお、図4の例においては、カラーフィルタ14およびレジストパターン41が6個しか示されていないが、実際には、複数で構成される。
【0052】
また、図3および図4の例においては、レジストパターン41が中央部を正方形とするように形成されているが、その形は限定されない。また、図3および図4の例においては、レジストパターン41が、カラーフィルタ14の中央部だけでなく、カラーフィルタ14間の境界も除いて形成されているが、これは、次の工程において、有機高分子材料層31があふれてしまうのを防ぐためである。
【0053】
図2に戻って、ステップS16において、製造装置は、レジストパターン41をリフローする。具体的には、製造装置は、レジストパターン41に対して、カラーフィルタ14を熱退色させない範囲の温度を与えることによって、リフロープロセスを行う。リフロープロセスとしては、例えば、特許第3355874号に記載されるオンチップレンズ形成法と同様に、混同ガスを用いたドライエッチングプロセスを施し、有機高分子材料層31を全てエッチバックする方法を用いることができる。
【0054】
図5および図6は、構造体15を形成する方法との比較のための、従来のオンチップレンズ形成方法を説明する図である。
【0055】
図5に示されるように、従来のオンチップレンズ形成方法において、有機高分子材料層31の上に形成されるレジストパターン51−1は、カラーフィルタ14−1より少し小さめにカラーフィルタ14−1上に形成されていた。同様に、レジストパターン51−2は、カラーフィルタ14−2より少し小さめにカラーフィルタ14−2上に形成されていた。
【0056】
したがって、上述した混同ガスを用いたドライエッチングプロセスを施し、有機高分子材料層31を全てエッチバックする方法により、図6に示されるように、集光に適した平凸形状の、完成度の高いオンチップレンズ61−1および61−2が形成された。
【0057】
これに対して、イメージセンサ1において、レジストパターン41は、カラーフィルタ14の中央部以外を遮光するように、すなわち、中央部を露光するように形成されている。
【0058】
したがって、このリフロープロセスにより、図7に示されるように、カラーフィルタ14上に、すなわち、光電変換部12の直上領域の所定の位置に、受光素子13を覆うように、凹部16を有する平凸形状の構造体15が形成される。図7の例においては、カラーフィルタ14−1上には、凹部16−1を有する平凸形状の構造体15−1が形成され、カラーフィルタ14−2上には、凹部16−2を有する平凸形状の構造体15−2が形成される。
【0059】
このように、リフロープロセスを行うことにより、より集光率の高い曲率を持った形状である、平凸形状の構造体15が形成される。
【0060】
図8は、凹部16を有する平凸形状の構造体15が形成されたイメージセンサ1を上から見た上面図である。図8の例のAにおける断面図が、図7に相当する。
【0061】
凹部16−1を有する平凸形状の構造体15−1は、カラーフィルタ14−1上に形成されている。凹部16−2を有する平凸形状の構造体15−2は、カラーフィルタ14−2上に形成されている。凹部16−3を有する平凸形状の構造体15−3は、カラーフィルタ14−3上に形成されている。凹部16−(n−1)を有する平凸形状の構造体15−(n−1)は、カラーフィルタ14−(n−1)上に形成されている。凹部16−nを有する平凸形状の構造体15−nは、カラーフィルタ14−n上に形成されている。凹部16−(n+1)を有する平凸形状の構造体15−(n+1)は、カラーフィルタ14−(n+1)上に形成されている。
【0062】
なお、図8の例においては、カラーフィルタ14および構造体15が6個しか示されていないが、実際には、複数で構成される。
【0063】
また、図7および図8の例においては、構造体15が模式的に示されているため、構造体15は、カラーフィルタ14の四隅を覆っていないが、実際には、有機高分子材料層31のリフローにより覆うように形成される。
【0064】
さらに、図8の例においては、凹部16が正円で示されているが、凹部16の形状は、楕円でもよいし、円に限らない。すなわち、凹部16の形状は問わない。
【0065】
図2に戻って、ステップS17において、製造装置は、構造体15の上表面のうち、中央の凹部16を除いた領域に光反射材料を付加する。
【0066】
製造装置は、構造体15の上表面のうち、中央の凹部16を除いた領域に対して、蒸着や塗布などのプロセスで光反射性材料を付加し、光反射性の薄膜17を形成する。光反射材料としては、例えば、AL、Au、Pt、またはCrなどの金属材料が用いられる。
【0067】
これにより、構造体15で起こる光現象のうち、上部方向へ散逸する光を、受光素子13側に反射させて、イメージセンサ1に取り込み、高感度の信号検出を行うことができるようになる。
【0068】
再度、図2に戻り、ステップS18において、製造装置は、構造体15の形成されたウェハを切断してチップ化する。
【0069】
以上のように、半導体チップなどの製造技術を応用して、イメージセンサ1が製造されるので、光電変換部12の直上域の所定の位置(すなわち、受光素子13を覆う位置)に、精度よく平凸形状の構造体15を形成することができる。
【0070】
また、受光素子13と光電変換部12と凹部16を有する構造体15とが一体で形成されるので、アライメントの手段が不要になる。これにより、装置を小型化および簡素化することができるので、低コストを実現することができる。
【0071】
[撮像素子の構成例]
図9は、本開示を適用した撮像素子としてのイメージセンサの他の実施の形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0072】
図9に示されるイメージセンサ71は、n型基板11、受光素子81−1乃至84−1、および受光素子81−2乃至84−2を有する光電変換部12、カラーフィルタ14−1および14−2、並びに構造体15−1および15−2などで構成されている。
【0073】
なお、図9は、断面図であるので、受光素子83−1および84−1、並びに、受光素子83−2および84−2の図示はされていないが、図9の例の場合、実際には、4つの受光素子に対して単一の構造体が形成されている。
【0074】
すなわち、図1のイメージセンサ1は、1つの受光素子に対して単一の構造体が形成されていた。これに対して、イメージセンサ71においては、複数の受光素子81−1乃至84−1上に、波長選択性を有するカラーフィルタ14−1が形成され、複数の画素に対して単一の構造体15−1が形成されている。また、複数の受光素子81−2乃至84−2上に、波長選択性を有するカラーフィルタ14−1が形成され、複数の画素に対して単一の構造体15−1が形成されている。
【0075】
そして、図1のイメージセンサ1と同様に、カラーフィルタ14−1および14−2の上部には、中央部分に凹部(窪み)16−1および16−2がそれぞれ形成された平凸形状の構造体15−1および15−2がそれぞれ形成されている。また、構造体15−1および15−2の凹部16−1および16−2を除く最上部表面には、光反射性の薄膜17−1および17−2がそれぞれ形成されている。そして、構造体15−1および15−2の凹部16−1および16−2には、図中丸で示されるように、測定対象のゲル状、または液体状の試料21−1および21−2がそれぞれ貯留されている。
【0076】
なお、以下、受光素子81−1乃至84−1、および受光素子81−2乃至84−2を個々に区別しない場合、受光素子81乃至84と称する。
【0077】
また、図9の例においては、受光素子81乃至84に対して、単一の構造体15が形成される例を説明したが、受光素子の数は4つに限らず、6つやもっと多く構成するようにしてもよい。
【0078】
このように、1つの試料21−1に対して複数の画素(受光素子81−1乃至84−1)を設置して光現象を検出することで、信号S/N比を高めることが可能になる。また、隣接する試料21−2に対しても、同様に、対応する複数の画素(受光素子81−2乃至84−2)およびカラーフィルタ14−2により光現象が検出される。これにより、画素数が同一の場合には、検出密度が低下するものの、図1のイメージセンサ1と比して、高感度での検出が可能になる。
【0079】
また、イメージセンサ71も、受光素子81乃至84および光電変換部12が、凹部16を有する構造体と一体で形成されているため、アライメント作業や手段が不要となる。さらに、イメージセンサ71も、その図示と説明は省略するが、図2を参照して上述したイメージセンサ1の製造方法と同様に製造することが可能であるので、位置合わせ精度をサブミクロン以内に抑えることができる。
【0080】
以上のように、本開示によれば、受光素子および光電変換部と、凹部を有する構造体とを一体化して形成しているので、装置を小型化、および簡素化することができるとともに、低コストで製造することができる。
【0081】
また、本開示によれば、受光素子上に設けられた平凸形状の構造体の、凹部以外の最表面に光反射性の薄膜が付加されているので、試料から上部方向(受光素子と反対方向)に出射された光現象を反射し、受光素子側に導くことができる。これにより、検出感度を高めることができる。
【0082】
このように検出感度を高めることにより、検出誤差を小さくし、かつ、少ない試料から確実に化学反応を検出することが可能になる。
【0083】
<2.第2の実施の形態>
[検査装置の構成例]
図10は、本開示を適用した撮像素子としてのイメージセンサを用いた検査装置の一実施の形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0084】
図10に示される検査装置100は、撮像装置101、光源102、および試料注入部103により構成される。撮像装置101は、図1のイメージセンサ1、制御部111、画像処理部112、メモリ113、表示部114、および送信部115により構成される。
【0085】
イメージセンサ1の受光素子13および光電変換部12は、制御部111の制御のもと、凹部16に試料が貯留された状態の構造体15で起こる光現象を取り込み、電気信号として、画像処理部112に出力する。
【0086】
制御部111は、撮像装置101の各部を制御するとともに、光源102の発光タイミングを制御し、試料注入部103の試料の注入タイミングを制御する。例えば、制御部111は、イメージセンサ1の撮像タイミングを制御したり、画像処理部112の画像処理を制御したり、送信部115の送信を制御する。
【0087】
画像処理部112は、制御部111の制御のもと、イメージセンサ1からの電気信号に対応する画像に適した信号処理を行い、処理後の画像やデータを、メモリ113に記録したり、表示部114に表示させる。例えば、画像処理部112は、イメージセンサ1からの電気信号に対応する画像を処理して、配列のデータや反応しているかしていないかのデータを出力する。
【0088】
メモリ113は、画像処理部112により処理された画像やデータを記憶する。表示部114は、画像処理部112により処理された画像やデータを表示する。送信部115は、メモリ113に蓄積された画像やデータを、例えば、USBなどで接続される装置(図示せぬ)に送信する。
【0089】
光源102は、制御部111からのタイミングで発光する。試料注入部103は、制御部111からの制御に応じて、イメージセンサ1の構造体15が有する凹部16に、検査対象の試料を注入する。
【0090】
以上のように、図10の検査装置100においては、受光素子13並びに光電変換部12が構造体15と一体化して形成されているイメージセンサ1を用いることによって、アライメントの処理や手段が不要となる。この結果、装置の小規模、低コスト化を実現することができる。
【0091】
また、位置合わせ精度をサブミクロン以内に抑えることが可能になり、精度のよい検査を行うことができる。
【0092】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0094】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 複数の受光素子と、
前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体と
を備え、
前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、
前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている
撮像素子。
(2) 前記構造体は、光透過材料により形成されている
前記(1)に記載の撮像素子。
(3) 前記構造体と前記光電変換部との間に、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される層
をさらに備える前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4) 前記構造体は、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される
前記(1)に記載の撮像素子。
(5) 前記構造体は、前記受光素子の単一画素、または複数画素毎に形成されている
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6) 複数の受光素子と、
前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、
前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子
を備える電子機器。
(7) 受光素子および光電変換部が形成されたウェハ上に、有機高分子材料層を形成し、
前記有機高分子材料層上における前記光電変換部の直上領域の所定の位置に、その中央部分以外を遮光するレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをリフローすることにより、前記受光素子を覆うように形成され、前記中央部分に凹部を有する平凸形状の構造体を生成し、
前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域に光反射材料を付加する
撮像素子の製造方法。
(8) 複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子と、
前記凹部に充填された試料に対して光を照射する光源と、
前記光源と前記撮像素子とを制御する制御部と
を備える検査装置。
【符号の説明】
【0095】
1 イメージセンサ, 11 n型基板, 12 光電変換部, 13−1,13−2,13 受光素子, 14−1,14−2,14 カラーフィルタ, 15−1,15−2,15 構造体, 16−1,16−2,16 凹部, 17−1,17−2,17 薄膜, 21−1,21−2,21 試料, 71 イメージセンサ, 81−1乃至84−1,81−2乃至84−2, 81乃至84 受光素子, 100 検査装置, 101 撮像装置, 111 制御部, 112 画像処理部, 113 メモリ, 114 表示部, 115 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光素子と、
前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体と
を備え、
前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、
前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている
撮像素子。
【請求項2】
前記構造体は、光透過材料により形成されている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記構造体と前記光電変換部との間に、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される層
をさらに備える請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記構造体は、特定波長領域を吸収する、あるいは、特定波長領域を透過する光機能性材料により形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記構造体は、前記受光素子の単一画素、または複数画素毎に形成されている
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
複数の受光素子と、
前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、
前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子
を備える電子機器。
【請求項7】
受光素子および光電変換部が形成されたウェハ上に、有機高分子材料層を形成し、
前記有機高分子材料層上における前記光電変換部の直上領域の所定の位置に、その中央部分以外を遮光するレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをリフローすることにより、前記受光素子を覆うように形成され、前記中央部分に凹部を有する平凸形状の構造体を生成し、
前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域に光反射材料を付加する
撮像素子の製造方法。
【請求項8】
複数の受光素子と、前記受光素子に入射した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記受光素子を覆うように形成された平凸形状の構造体とからなり、前記構造体は、前記平凸形状の中央部分に凹部を有し、前記構造体の表面のうち、前記凹部を除いた領域は、光反射材料によって覆われている撮像素子と、
前記凹部に充填された試料に対して光を照射する光源と、
前記光源と前記撮像素子とを制御する制御部と
を備える検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4938(P2013−4938A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137983(P2011−137983)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】